説明

車両用内装品及びその製造方法

【課題】表皮材の芯材に対する位置合わせを正確に行うことができ、しかも接着剤の使用を不要ないしは使用量を大幅に減らすことができる車両用アームレストを提供する。
【解決手段】表皮材3には、第1〜第4袋部5A〜5Dを形成する。第1〜第4袋部5A〜5Dには、芯材2の第1〜第4角部4A〜4Dを挿入する。表皮材3の第1及び第2袋部5A,5B間に位置する部分に当該部分を弾性変形させる引張り力が作用するよう、第1及び第2袋部5A,5B間の距離を第1及び第2袋部4A,4B間の距離より短くする。同様に、第3及び第4袋部5C,5D間の距離を第3及び第4角部4C,4D間の距離より若干短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアの車内に臨む内面に取り付けられるアームレスト等の車両用内装品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用アームレストは、ドアフレームに取り付けられる芯材と、この芯材に取り付けられた表皮材とを備えている。表皮材は、芯材の車内に面する表面全体を覆うとともに、芯材の背面の周縁部を覆っており、芯材に固着されている。
【0003】
表皮材を芯材に固着する方法としては、接着による方法や下記特許文献1に記載されているような超音波融着法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−110950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前者の接着による場合には、接着剤が気化するため作業環境の悪化を招くという問題がある。また、不慣れな作業者にとっては位置合わせが難しかったり、表皮材の一部に皺が寄ったりするという問題がある。特に、芯材の端部に角部がある場合には、芯材の背面に折り返した表皮材の周縁部どうしを重ね合わせ状態で接着しなければならないため、接着自体の困難性もさることながら、角部近傍の表皮材に弛みが生じてしまい、シャープな角部を有する内装品を製造することが困難であるという問題がある。
一方、融着による場合には、芯材の形状が平板状をなすものであればよいが、芯材が湾曲ないしは屈曲した断面形状を有していると、超音波融着法の採用自体が困難であるという問題がある。このため、アームレストなどの非平板状をなす車両用内装品には、ほとんど採用されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、この発明の第1の態様は、一端部及び他端部に第1及び第2角部がそれぞれ形成された芯材と、この芯材の表面を覆うとともに、上記芯材の周縁部で折り返された周縁部が上記芯材の周縁部の背面を覆う表皮材とを備えた車両用内装品において、上記表皮材の上記第1及び第2角部に対応する部分に第1及び第2袋部がそれぞれ形成され、上記表皮材の上記第1及び第2袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第1及び第2袋部に上記第1及び第2角部がそれぞれ挿入されていることを特徴としている。
この場合、上記第1角部と上記第2角部とを結ぶ方向と交差する方向における上記芯材の一側部と他側部とに第3及び第4角部がそれぞれ形成され、上記表皮材の上記第3及び第4角部に対応する部分に第3及び第4袋部がそれぞれ形成され、上記表皮材の上記第3及び第4袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第3及び第4袋部に上記第3及び第4角部がそれぞれ挿入されていることが望ましい。
この発明の第2の態様は、一端部及び他端部に第1及び第2角部がそれぞれ形成された芯材と、この芯材の表面を覆うとともに、上記芯材の周縁部で折り返された周縁部が上記芯材の周縁部の背面を覆う表皮材とを備えた車両用内装品を製造するに際し、上記表皮材の上記第1及び第2角部に対応する部分に第1及び第2袋部をそれぞれ形成し、上記表皮材の上記第1及び第2袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第1及び第2袋部に上記第1及び第2角部をそれぞれ挿入することを特徴としている。
この場合、上記第1角部と上記第2角部とを結ぶ方向と交差する方向における上記芯材の一側部と他側部とに第3及び第4角部がそれぞれ形成されており、上記表皮材の上記第3及び第4角部に対応する部分に第3及び第4袋部をそれぞれ形成し、上記表皮材の上記第3及び第4袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第3及び第4袋部に上記第3及び第4角部をそれぞれ挿入することが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、芯材の第1及び第2角部が表皮材の第1及び第2袋部に挿入されることにより、表皮材が芯材に位置固定されるので、表皮材を芯材に接着するための接着剤を無くすか、大幅に減らすことができる。したがって、作業環境を良好なものにすることができる。また、表皮材を芯材に対して位置決めするための作業が不要になるので、不慣れな作業者でも表皮材が芯材に対して位置ずれを起こすような事態を未然に防止することができる。さらに、第1及び第2袋部は、予め第1及び第2角部に対応した形状に形成されるから、表皮材の第1及び第2角部に対応する部分に弛みが生じることがなく、シャープな角部を有する内装品を製造することができる。
また、第1及び第2袋部への第1及び第2角部の挿入により、表皮材の芯材に対する位置固定がなされるので、仮に表皮材を芯材に超音波融着法によって固定するにしても、その固定箇所を少なくすることができる。したがって、アームレストのように断面が湾曲ないしは屈曲した形状の内装品に対しても超音波融着法を問題なく採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、同実施の形態の平面図である。
【図3】図3は、同実施の形態の背面図である。
【図4】図4は、図1のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図5】図5は、図1のY−Y線に沿う拡大断面図である。
【図6】図6は、図1のZ−Z線に沿う拡大断面図である。
【図7】図7は、同実施の形態において用いられている芯材の正面図である。
【図8】図8は、同芯材の平面図である。
【図9】図9は、同芯材の背面図である。
【図10】図10は、同実施の形態において用いられている表皮材を展開した状態で示す背面図である。
【図11】図11は、図10のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図12】図12は、同実施の形態の表皮材の第1袋部が形成される部分を、第1袋部が形成される前の状態で示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図12は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態は、この発明を車両用内装品の一例であるアームレスト1に適用したものである。アームレスト1は、ドア(図示せず)の車内に臨む内面に取り付けられるものであり、図1〜図6に示すように、芯材2及び表皮材3を有している。
【0010】
芯材2は、ポリプロピレン等の比較的硬質の樹脂からなるものであり、射出成形法、その他の成形法等によって成形されている。図4〜図9に示すように、芯材2は、正面板部2a、上板部2b及び下板部2cを有している。
【0011】
正面板部2aは、その長手方向を前後方向(図1〜図3において左右方向)に向けるとともに、幅方向を上下方向に向けた状態で配置されている。正面板部2aの正面、つまり車内に臨む面は、図2に示すように、前後方向の中央部が同方向の両端部に対して車内側に膨出し、かつ図4〜図6に示すように上下方向の中央部が同方向の両端部に対して車内側に膨出するよう、凸曲面によって構成されている。
【0012】
上板部2bは、正面板部2aの上端から車外側に向かって突出するよう、正面板部2aに対してほぼ直角に屈曲した状態で連設されている。上板部2bの前後方向の長さは、正面板部2aの全長の略2/3程度に設定されており、上板部2bの後端(図7〜図9において左端)が正面板部2aの後端と前後方向において同一位置に位置させられている。したがって、上板部2bは、正面板部2aの後端から前方へ向かってその全長の略2/3にわたる範囲において正面板部2aに連設されている。上板部2bの車内に臨む上面は、図4〜図7に示すように、前後方向及び幅方向(左右方向)の中央部が両方向の両端部に対して僅かに上方へ膨出するよう、曲率半径が非常に大きい凸曲面によって構成されている。上板部2bの上面は、ほぼ水平な平面としてもよい。
【0013】
図5に示すように、下板部2cは、正面板部2aの下端部に湾曲部2dを介して連設されており、正面板部2aから車外側に向かって突出している。下板部2cの前後方向の長さは、正面板部2aの全長の略2/3程度に設定されており、下板部2cの前端が正面板部2aの前端と同一位置に位置させられている。したがって、下板部2cは、正面板部2aの前端から後方へ向かってその全長の略2/3にわたる範囲において正面板部2aに連設されている。よって、正面板部2aの中央部側に位置する上板部2b及び下板部2cの略半分どうしは、上下方向に互いに対向している。
【0014】
特に図9に示すように、芯材2の背面を構成する正面板部2aの背面、上板部2bの下面及び下板部2cの上面には、係止突起2eが形成されている。各係止突起2eは、それが形成された各面の外側の端縁に近接して配置されており、形成された箇所の各面とほぼ直交するように立設されている。
【0015】
芯材2の前端部には、第1角部4Aが形成されている。この第1角部4Aは、正面板部2aの正面、背面、上面及び下面が交差する交差部として構成されている。したがって、第1角部4Aは、正面板部2aの正面、背面、上面及び下面の各面に対して一種の突出部になっている。第1角部4Aの先端部は、凸曲面によって構成されている。しかし、第1角部4Aの先端部は、必ずしも凸曲面によって構成する必要がなく、二つ以上の面を交差させることによって点又は線状に構成してもよい。
【0016】
芯材2の後端部には、第2角部4Bが形成されている。この第2角部4Bは、正面板部2aの正面、背面及び後端面並びに上板部2bの上面、下面及び後端面が交差することによって構成されている。したがって、第2角部4Bは、それを構成する各面に対して一種の突出部になっている。第2角部4Bの先端部(図7において後端部)は、凸曲面によって構成されているが、第1角部4Aと同様に、点又は線状に構成してもよい。
【0017】
図8に示すように、上板部2bには、その前後方向の略中央部から前端に至る部分に切欠き部2fが形成されている。この切欠き部2fの後方に位置する側面と、上板部2bの上面、下面及び側面とが交差することにより、上板部2bに第3角部4Cが形成されている。この第3角部4Cは、それを構成する各面に対して一種の突出部になっている。第3角部4Cの先端部は、上下に延びる直線になっているが、第1及び第2角部4A,4Bと同様に凸曲面によって構成してもよい。
【0018】
下板部2cの後端部には、第4角部4Dが形成されている。この第4角部4Dは、下板部2cの下面、上面、側面及び後端面が互いに交差することによって構成されている。したがって、第4角部24D、それを構成する各面に対して一種の突出部になっている。第4角部4Dの先端部は、第3角部4Cと同様に上下に延びる直線になっているが、凸曲面によって構成してもよい。
【0019】
第3及び第4角部4C,4Dは、前者が芯材2の上側部に配置され、後者が芯材2の下側部に配置されているが、両者は前後方向においてほぼ同一位置に配置されている。したがって、第3及び第4角部4C,4Dを結ぶ線は、第1及び第2角部を結ぶ線と交差する。
【0020】
次に、表皮材3について説明すると、表皮材3は、表皮及びフォーム層(いずれも図示せず)によって構成されている。表皮は、その表面がアームレスト1の表面として車内に露出するものであり、サーモプラスチックオレフィン(TPO)やポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂、あるいはファブリックやトリコット等によって構成されている。一方、フォーム層は、表皮材3に柔らかな触感を付与するためのものであり、適宜のクッション性を持たせるために、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂を発泡することによって形成されている。フォーム層は、表皮の背面に接着、その他の手段によって固着されている。このように構成された表皮材3は、全体として柔軟な膜状をなしている。表皮材3は、フォーム層を省き、表皮だけで構成してもよい。
【0021】
表皮材3は、図10に示すように、芯材2の車内に臨む面、すなわち芯材2の正面板部2aの正面、上板部2bの上面、下板部2cの下面及び湾曲部2eの表面全体を覆うことができるのみならず、芯材2の周縁部において折り返して芯材2の周縁部の背面を覆うことができるような形状及び寸法を有している。
【0022】
表皮材3には、第1〜第4袋部5A〜5Dが形成されている。第1〜第4袋部5A,5Dは、芯材2の第1〜第4角部4A〜4Dがそれぞれほぼぴったりと嵌り込むことができるような形状、及び寸法を有しており、表皮材3を芯材2に対して正しく位置合わせしたとき、第1角部4A〜4Dをそれぞれ挿入することができるように配置されている。ただし、第1及び第2袋部5A,5B間の距離は、若干ではあるが第1及び第2角部4A,4B間の距離より短く設定されている。したがって、第1及び第2袋部5A,5Bに第1及び第2角部4A,4Bをそれぞれ挿入すると、表皮材3の第1及び第2袋部5A,5B間に位置する部分に引っ張り力(前後方向の引っ張り力)が作用する。勿論、この引っ張り力は、表皮材3を前後方向へ弾性変形させるだけの大きさであり、作業者が引っ張り力に抗して第1及び第2角部4A,4Bを第1及び第2袋部5A,5Bに容易に挿入することができる程度の大きさである。同様に、第3及び第4袋部間の距離は、第3及び第4角部4A,4B間の距離より所定の距離だけ短く設定されている。したがって、第3及び第4袋部5C,5Dに第3及び第4角部4C,4Dがそれぞれ挿入されると、表皮材3の第3及び第4袋部5C,5D間に位置する部分に引っ張り力が作用する。この引っ張り力は、第1及び第2袋部5A,5B間に作用する引っ張り力と同程度の大きさである。
【0023】
第1袋部5Aは、例えば図12に示すようにして形成することができる。すなわち、第1角部4Aと対向する表皮材3の端部には、切欠き3aを形成する。切欠き3aは、芯材2の第1角部4Aより若干外側に離間させて形成することが望ましい。そして、表皮材3の端部を破線L1,L2に沿って折り曲げ、切欠き3aの二つの側面3b、3cを互いに面接触させる。その状態を維持しつつ、側面3b,3cに隣接した部分どうしを縫製する。これによって、第1袋部5Aを形成することができる。第1袋部5Aに芯材2の第1角部4Aを正規の位置まで挿入したとき、切欠き3aの名残である側面3b,3cは、芯材2の背面側に位置し、正面側(車内側)から目視することができない。これは、切欠き3aが芯材2の第1角部4Aより若干外側に離間して形成されているからである。第1袋部5Aは、側面3b,3cどうしを接着その他の手段で固着することによっても形成することができる。第2〜第4袋部5B〜5Dも第1袋部5Aと同様にして形成することができる。
【0024】
表皮材3の周縁部、つまり表皮材3を芯材2に対して正しく位置合わせしたとき、芯材2の背面側に折り返される周縁部には、図10に示すように、係止突起2eと同数の係合孔3dが形成されている。各係合孔3dは、対応する係止突起2eより若干外側に位置する点を除き、各係止突起2eとほぼ同一位置に位置するようにそれぞれ配置されている。したがって、表皮材3の係合孔3dが形成された部分を芯材2の内側へ向かう方向へ引っ張って係合孔3aを係止突起2eと位置合わせすることにより、係合孔3dに係止突起2eを挿入することができる。挿入状態では、全係合孔3aを順次結んだ線の範囲内に位置する表皮材3に引っ張り力が作用する。この引っ張り力は、第1及び第2袋部5A,5B間に作用する引っ張り力、並びに第3及び第4袋部5C,5D間に作用する引っ張り力とほぼ同じ大きさになっている。
【0025】
第1〜第4袋部5A〜5Dに第1〜第4角部4A〜4Dがそれぞれ挿入されるとともに、各係合孔3dに係止突起2eがそれぞれ挿入されることにより、表皮材3が芯材2に対して正しく位置合わせされ、芯材2の表面全体及び背面の周縁部が表皮材3によって覆われている。しかも、表皮材3に引っ張り力が作用しているので、表皮材3のうちの少なくともアームレスト1の表面を構成する部分は、芯材2に接着していないにも拘わらず、皺が寄ることなく芯材2の表面全体にわたって接触する。表皮材3の周縁部、つまり芯材2の背面と対向する周縁部のうち、第1〜第4袋部5A〜5Dと係合孔3dとの間に位置する部分及び二つの係合孔3d,3d間に位置する部分については、必要に応じて接着その他の手段によって芯材2の背面に固着してもよい。
【0026】
係止突起2eの先端部は、溶融しつつ押し潰されており、その押し潰された部分が表皮材3に接触している。これにより、係止突起2eが係合孔3dから抜け出ることが阻止され、ひいては表皮材3が芯材2から脱落することが防止されている。係止突起2eは、必ずしも押し潰す必要がない。例えば、係止突起2eの先端側の外周面に、係止突起2eの先端側から基端側へ向かって高さが高くなる係止爪(図示せず)を設けておき、この係止爪によって係止突起2eが係合孔3dから抜け出ることを防止し、ひいては表皮材3が芯材2から脱落することを防止してもよい。また、表皮材3が芯材2から脱落するおそれがない場合には、係止突起2eを係合孔3dに単に挿入するだけでもよい。
【0027】
上記構成のアームレスト1を製造する場合には、芯材2及び表皮材3を予め形成しておく。そして、まず芯材2の第1〜第4角部4A〜4Dを表皮材3の第1〜第4袋部5A〜5Dにそれぞれ挿入する。すると、芯材2と表皮材3とが自動的に正しく位置合わせされる。次に、表皮材3の周縁部を折り返し、各係合孔3dに各係止突起2eをそれぞれ挿入する。その後、係合孔3dを貫通した係止突起2eの先端部を溶融しながら押し潰す。これによって、アームレスト1を製造することができる。表皮材3の周縁部については、その一部を必要に応じて芯材2の背面に接着、超音波融着等の固着手段によって固着してもよい。
【0028】
上記構成のアームレスト1によれば、接着剤を必要に応じて使用するだけであり、表皮材3を芯材2の表面全体にわたって接着する場合に比して接着剤の使用をなくすか、使用量を大幅に減らすことができる。したがって、アームレスト1の製造現場の作業環境を向上させることができる。また、第1〜第4角部4A〜4Dを第1〜第4袋部5A〜5Dに挿入することにより、芯材2と表皮材3との位置合わせが自動的に行われるので、それらの位置合わせに要する手間を無くすことができるとともに、常に正しく位置合わせを行うことができる。さらに、表皮材3の第1〜第4角部4A〜4Dに対応する部分に第1〜第4袋部5A〜5Dが形成されているので、各角部4A〜4Dに対応する部分を互いに重ね合わせる必要がない。しかも、アームレストの各角部(芯材2の第1〜第4角部4A〜4Dに対応する角部)が第1〜第4袋部5A〜5Dによって予め構成されているから、アームレスト1の角部を構成する表皮材3に皺が寄ることがなく、当該角部をシャープな形状にすることができる。
【0029】
また、必要に応じて超音波融着法が使用されるが、超音波融着法は表皮材3の一部の融着に使用されるだけである。したがって、超音波融着法は、芯材2の形状が超音波融着に適した箇所だけにその使用を限定することができる。そのようにすれば、芯材2の形状が問題になることがない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、アームレストのように多数の角部を有する車両用内装品に利用することができ、角部を綺麗に仕上げることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 アームレスト(車両用内装品)
2 芯材
3 表皮材
4A 第1角部
4B 第2角部
4C 第3角部
4D 第4角部
5A 第1袋部
5B 第2袋部
5C 第3袋部
5D 第4袋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部及び他端部に第1及び第2角部がそれぞれ形成された芯材と、この芯材の表面を覆うとともに、上記芯材の周縁部で折り返された周縁部が上記芯材の周縁部の背面を覆う表皮材とを備えた車両用内装品において、
上記表皮材の上記第1及び第2角部に対応する部分に第1及び第2袋部がそれぞれ形成され、上記表皮材の上記第1及び第2袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第1及び第2袋部に上記第1及び第2角部がそれぞれ挿入されていることを特徴とする車両用内装品。
【請求項2】
上記第1角部と上記第2角部とを結ぶ方向と交差する方向における上記芯材の一側部と他側部とに第3及び第4角部がそれぞれ形成され、上記表皮材の上記第3及び第4角部に対応する部分に第3及び第4袋部がそれぞれ形成され、上記表皮材の上記第3及び第4袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第3及び第4袋部に上記第3及び第4角部がそれぞれ挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装品。
【請求項3】
一端部及び他端部に第1及び第2角部がそれぞれ形成された芯材と、この芯材の表面を覆うとともに、上記芯材の周縁部で折り返された周縁部が上記芯材の周縁部の背面を覆う表皮材とを備えた車両用内装品を製造するに際し、
上記表皮材の上記第1及び第2角部に対応する部分に第1及び第2袋部をそれぞれ形成し、上記表皮材の上記第1及び第2袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第1及び第2袋部に上記第1及び第2角部をそれぞれ挿入することを特徴とする車両用内装品の製造方法。
【請求項4】
上記第1角部と上記第2角部とを結ぶ方向と交差する方向における上記芯材の一側部と他側部とに第3及び第4角部がそれぞれ形成されており、上記表皮材の上記第3及び第4角部に対応する部分に第3及び第4袋部をそれぞれ形成し、上記表皮材の上記第3及び第4袋部間に位置する部分に引っ張り力が作用した状態で、上記第3及び第4袋部に上記第3及び第4角部をそれぞれ挿入することを特徴とする請求項3に記載の車両用内装品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−130920(P2011−130920A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293129(P2009−293129)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000162010)しげるテック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】