車両用反射体
【課題】後方車両の運転者等に充分な注意喚起を促すことのできる車両用反射体を提供する。
【解決手段】排気管2の後端部に回転体6を設け、回転体6の羽根にリフレクター10を設ける。回転体6に排気ガスを誘導して排気ガスの流動エネルギーによって回転体6を回転させる。回転体6の回転に伴ってリフレクター10が回転する。
【解決手段】排気管2の後端部に回転体6を設け、回転体6の羽根にリフレクター10を設ける。回転体6に排気ガスを誘導して排気ガスの流動エネルギーによって回転体6を回転させる。回転体6の回転に伴ってリフレクター10が回転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光の反射によって車両後方に注意を喚起する車両用反射体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の装備部品には、周囲と異なる着色によって表示等を目立たせ、後方車両の運転者等に視的印象を高めるように工夫されたものがある。
例えば、ホイールハウスの後部に装着されてタイヤからの泥等の跳ね上げを防止するマッドガードに着色した表示を付し、後方車両の運転者にマッドガード上の表示を印象付けたり、デザイン性を高めたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−226373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来の装備部品においては、周囲と異なる着色のみで視覚的印象を高めるものであるため、視認者の注意を引き付けるのには限界があり、例えば、後方車両の運転者に前車に接近した旨の注意を喚起するには不十分であるものと考えられる。
【0004】
このため、本出願人は、リフレクター等の反射体を用い、その反射体の反射光によって後方車両の運転者等(以下、「後方車両等」と呼ぶ。)の注意を喚起することを検討している。しかし、このように単にリフレクターを貼り付けただけでは、他のランプ類の表面パネルとの差異が小さく、後方車両等に充分な注意を喚起するにはやはり不十分であるものと考えられる。
【0005】
そこで、この発明は、後方車両等に充分な注意喚起を促すことのできる車両用反射体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、流体からエネルギーを受けて回転する回転体(例えば、後述の実施形態における回転体6)と、この回転体を回転可能に支持する支持体(例えば、後述の実施形態における支持壁5)と、前記回転体に設けられ、入射光を受けて光を反射する反射部(例えば、後述の実施形態におけるリフレクター10)と、前記回転体に流体を導く誘導手段(例えば、後述の実施形態におけるガス誘導口7)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、流体が導入手段を介して回転体に導入されると、回転体が支持体に支持されて回転する。このとき、反射部は回転体と一体に回転しながら入射光を受けて光を反射する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用反射体において、前記誘導体は、車両の排気ガスを前記回転体に導くことを特徴とする。
これにより、回転体の反射部はエンジンの作動に連動して回転する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用反射体において、前記誘導手段は、車体周囲の外気を前記回転体に導くことを特徴とする。
これにより、回転体の反射部は車両の走行状態に応じて回転する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記支持体は、車体後部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記回転体の径方向内側領域(例えば、後述の実施形態における径方向内側領域b)を非反射部とし、径方向外側領域(例えば、後述の実施形態における径方向外側領域a)を反射部としたことを特徴とする。
これにより、1回転当たりの移動距離の大きい径方向外側領域のみが反射部とされるため、反射部の見え具合から回転体の回転状況が認識され易くなる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記回転体は、回転軸(例えば、後述の実施形態における回転軸8)が車体前後方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記回転体は、回転軸(例えば、後述の実施形態における回転軸21)が車体幅方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、導入手段を通して導入される流体によって回転体とともに反射部を回転させることができるため、反射部の回転と光の反射の相乗効果によって後方車両等に充分な注意喚起を促すことができる。また、反射部が回転体とともに回転するため、反射部に泥や水滴、汚れ等が付着しにくいという利点もある。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、エンジンの作動に連動する排気ガスの流れによって回転体を回転させるため、反射部の回転状況からエンジン操作状況を後方車両等に容易に認識させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、車両の走行状態に応じた外気の流れによって回転体を回転させることができるため、反射部の回転状況から走行状態を後方車両等に容易に認識させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、後方車両等からの視認が良好になり、注意喚起効果がより高まる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、回転体の回転状況を認識し易い径方向外側のみを反射部としたため、後方車両等に回転体の反射部の回転状況をより容易に認識させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、回転体の回転軸が車体前後方向に沿って配置されるため、流体を受ける回転体の羽根の車体前後方向の占有スペースを狭めることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、回転体の回転軸が車体幅方向に沿って配置されるため、車両後方から見た回転体の占有スペースを略長方形状できるようになり、その結果、回転体のレイアウトの自由度とデザイン性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「上」「下」と「前」「後」は、特別に断らない限り、車体に対しての上下と前後を意味するものとする。また、各実施形態の説明においては、同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0021】
最初に、図1〜図5に示すこの発明の第1の実施形態について説明する。
この実施形態では、図1に示すように、この発明にかかる車両用反射体1(以下、「反射体1」と呼ぶ。)はエンジンから車体後方に引き出された排気管2の後端部に取り付けられ、リヤバンパ3の排気用の開口4内に配置されている。
【0022】
反射体1は、図2,図3に示すように、排気管2の後端部に半径方向に沿って設けられた棒状の支持壁5(支持体)と、この支持壁5の管内中心位置に回転可能に軸支された回転体6と、排気管2と支持壁5の間に設けられて排気ガスを回転体6に導くガス誘導口7(誘導手段)と、を備えている。回転体6は、車体前後方向に沿う回転軸8の外周に、付根部から先端部側に向かって所定の捩れを有する複数の羽根9…が設けられ、排気管2から排出される排気ガスの流動エネルギーを羽根9…で受けて回転軸8回りに回転するようになっている。
【0023】
回転体6の各羽根9…は、先端部側の径方向外側領域a(排気管2の後端部の管径よりも径方向外側に位置される領域)がほぼ偏平に形成され、そのほぼ偏平な面が車体前後方向に近い方向に指向するようになっている。そして、各羽根9…の径方向外側領域aの車体後方側に臨む面には、入射光を受けて光を反射するリフレクター10(反射部)が取り付けられている。したがって、この反射体1の場合、回転体6の径方向内側領域bがリフレクター10のない非反射部とされ、径方向外側領域aがリフレクター10のある反射部とされている。
また、排気管2の後部には、車体後方側に向かってテーパ状に開き回転体6の周囲を囲繞するガイド壁11が設けられている。
【0024】
この反射体1は、以上のように排気管2の後端部に取り付けられ、回転体6のリフレクター10部分がリヤバンパ3の開口4を通して車体後方から視認できるようになっているため、図4に示すように、接近した後方車両C´等がこの反射体1を装備した車両Cの反射体1(リフレクター10)の反射を容易に視認することができる。
【0025】
また、この反射体1は、排気管2から排気ガスが排出されると、回転体6がその流動エネルギーを受けて回転し、このときリフレクター10が回転体6の羽根9…とともに回転する。そして、このときの回転体6の回転速度は、図5の(A)〜(D)に示すように排気ガスのガス排出量、つまりエンジンの作動状態に応じて変化する。なお、図5の(A)はエンジン停止時の状態を示し、(B)は、アイドリング状態、(C)は、アクセルが踏み込まれた状態、(C)はアクセルがOFFにされた状態を夫々示す。
【0026】
したがって、この反射体1を採用した車両Cに接近した後方車両C´等は、リフレクター10の回転状態を視認することによって前方車両Cの運転者の走行意思を容易に予測判断することが可能になるとともに、リフレクター10の回転と光の反射の相乗効果によって充分な注意喚起が促される。特に、この実施形態の反射体1においては、1回転当たりの移動距離が長く回転状況を認識し易い径方向外側にみにフレクター10が設けられているため、リフレクター10の回転状況の把握が容易であるという利点がある。
さらに、この反射体1においては、リフレクター10が排気ガスを受けて常に回転するため、泥や水滴、汚れ等が付着しにくく、常にリフレクター10の反射面を高反射状態に維持することができる。
【0027】
また、この実施形態の反射体1の場合、回転体6の回転軸8が車体前後方向を向き、排気ガスを受ける各羽根9…が捩れた構造となっているため、羽根9…の車体前後方向の占有幅を狭め、装置全体のコンパクト化を図ることができるという利点もある。
【0028】
図6〜図8は、この発明の第2の実施形態を示すものである。
この第2の実施形態の反射体101は、図6に示すように、リヤバンパ3の排気用の開口104内に配置されている。反射体101は、図7,図8に示すように、複数の羽根20…を有する回転体106と、この回転体106の回転軸21を車体幅方向に沿うように支持するリヤバンパ3の開口縁22(支持体)と、エンジンの排気ガスを回転体106の上半部に誘導する排気管102の後端の排気誘導部102a(誘導手段)と、を備えている。回転体106は、回転軸21の外周に平板状の複数の羽根20…が放射状に設けられ、排気管102から排出される排気ガスの流動エネルギーを羽根20…で受けて回転軸21回りに回転するようになっている。
【0029】
そして、回転体106の各羽根20…は、径方向外側領域aのみがリフレクター10(反射部)によって構成され、径方向内側領域bは非反射部とされている。また、排気管102の後端の排気誘導部102aは、上下方向に潰れた略楕円状の管端末の下半部が切り欠かれ、その切欠き部分を通して回転体106の上半部が排気ガスの通路に臨むようになっている。
【0030】
この反射体101は、回転体106のリフレクター10部分がリヤバンパ3の開口104内に配置されるため、後方車両等からこのリフレクター10の反射を容易に視認することができ、しかも、回転体106の上半部が排気管102の後端部に臨み、排気ガスの流動エネルギーによって回転体106が回転するようになっていることから、リフレクター10の回転状況に基づいて後方車両等から走行意思を容易に判断することができる。そして、この実施形態の場合も、リフレクター10が回転体106の径方向外側領域aのみに配置されているため、リフレクター10の回転状況の把握が容易であるという利点がある。
【0031】
また、この実施形態の反射体101の場合、回転体106の回転軸21が車体幅方向を向き、排気ガスを受けて回転体106が縦方向に回転する構造となっているため、車両後方から見た回転体106の占有スペースが横長の長方形状になり、回転体106のレイアウトの自由度とデザイン性が高まる。
また、この実施形態の場合も、リフレクター10は回転体106とともに回転するため、泥や水滴、汚れ等が付着しにくい。
【0032】
次に、図9〜図12に示すこの発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態の反射体201は、図9に示すように後輪タイヤ30の後方側のマッドガード31に一体に設けられている。マッドガード31は、車体のリヤホイールハウスの後部下端にビス止め等によって固定され、後輪タイヤ30の外周面に対峙するマッドガード本体32(図10,図11参照)が樹脂によって一体に形成されるとともに、このマッドガード本体32のリヤホイールハウスの下端から下方に突出する下方突出部に反射体201が設けられている。
【0033】
反射体201は、図10,図11に示すように、マッドガード本体32の車体後方側面に設けられた円形状の凹部33(支持体)と、この凹部33の底壁33aに回転可能に軸支された回転体6と、凹部33の底壁33aに設けられた複数の貫通孔34…(誘導手段)と、を備えている。回転体6は、車体前後方向に沿う回転軸8の外周に複数の羽根9…が設けられ、貫通孔34…を通して誘導される走行風の流動エネルギーを羽根9…で受けて回転軸8回りに回転するようになっている。また、貫通孔34…は回転体6の径方向内側領域bに臨む位置に配置されている。
【0034】
そして、各羽根9…の径方向外側領域aの車体後方側に臨む面にはリフレクター10(反射部)が取り付けられ、径方向内側領域bは非反射部とされている。また、回転軸8の車体後方側の端部には円板状の遮蔽板35が取り付けられ、この遮蔽板35によって貫通孔34…と各羽根9…の非反射部の後方を覆うようになっている。これにより、貫通孔34…を通り抜けた走行風は回転体6の羽根9…の非反射部を通過し遮蔽部35に当たって向きを変える。したがって、泥水等が貫通孔34…を通過しても、図11中の矢印で示すように各羽根9…のリフレクター10には付着しにくくなる。
【0035】
この反射体201は、走行風を受けて回転する回転体6がマッドガード31に設けられ、その回転体6のリフレクター10が車体後方側から視認し得るようになっているため、リフレクター10の回転と反射の相乗効果によって後方車両C´等に強力に注意を喚起することができる。また、回転体6の回転速度は、図12の(A)〜(C)に示すように車両Cの走行速度にほぼ比例するため、後方車両C´等から車両Cの走行状態を容易に把握することができる。なお、図12の(A)は、車両停止の状態を示し、(B)は、低速走行状態、(C)は、高速走行状態を夫々示す。
【0036】
図13,図14は、この発明の第4の実施形態を示すものである。
この実施形態の反射体301は、第3の実施形態と同様に車両後方側のマッドガード31に設けられている。この反射体301は、マッドガード本体32の車体後方側面に設けられた略方形状の凹部33(支持体)と、この凹部33の側壁33bに回転可能に軸支された回転体106と、凹部33の底壁33aに設けられた貫通孔40(誘導手段)と、底壁33aの貫通孔40の孔縁に突設されたガイド突起41と、を備えている。
【0037】
回転体301は、回転軸21の外周に平板状の複数の羽根20…が放射状に設けられ、貫通孔40を通して導入される走行風の流動エネルギーを羽根20…で受けて回転する。各羽根20の径方向外側領域には第2の実施形態と同様にリフレクター10が設けられている。また、ガイド突起41は、貫通孔40の下縁から回転体106の上半部に向くように斜め上方に傾斜して突設され、貫通孔40を通過して車体後方側に向かう走行風を回転体106の上部側に向けて羽根20に当てるようになっている。これにより、回転体106は図14中の矢印で示すように回転し、貫通孔40を通過した泥水等が車体後部面に跳ね上がらないようになる。
【0038】
この反射体301の場合も、走行風を受けて回転する回転体21がマッドガード31に設けられ、その回転体21のリフレクター10が車体後方側から視認し得るようになっているため、リフレクター10の回転と反射の相乗効果によって後方車両等に強力に注意を喚起することができる。そして、この実施形態の場合も、回転体301の回転速度が車両の走行速度にほぼ比例するため、後方車両等から車両の走行状態を容易に把握することができる。
【0039】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の第1の実施形態の反射体を採用した車両の背面図。
【図2】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図3】同実施形態を示す図2のA−A断面に相当する断面図。
【図4】同実施形態を説明する模式的な側面図。
【図5】同実施形態の反射体の作動状態を(A)〜(D)で示す模式的な正面図。
【図6】この発明の第2の実施形態の反射体を採用した車両の背面図。
【図7】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図8】同実施形態を示す図7のB−B断面に相当する断面図。
【図9】同実施形態を説明する模式的な側面図。
【図10】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図11】同実施形態を示す図10のC−C断面に相当する断面図。
【図12】同実施形態の反射体の作動状態を(A)〜(C)で示す模式的な正面図。
【図13】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図14】同実施形態を示す図13のD−D断面に相当する断面図。
【符号の説明】
【0041】
1,101,201,301…車両用反射体
5…支持壁(支持体)
6,106…回転体
7…ガス誘導口(誘導手段)
8…回転軸
10…リフレクター(反射部)
21…回転軸
22…開口縁(支持体)
33a…底壁(支持体)
34…貫通孔(誘導手段)
40…貫通孔40(誘導手段)
41…ガイド突起(誘導手段)
a…径方向外側領域
b…径方向内側領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、光の反射によって車両後方に注意を喚起する車両用反射体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の装備部品には、周囲と異なる着色によって表示等を目立たせ、後方車両の運転者等に視的印象を高めるように工夫されたものがある。
例えば、ホイールハウスの後部に装着されてタイヤからの泥等の跳ね上げを防止するマッドガードに着色した表示を付し、後方車両の運転者にマッドガード上の表示を印象付けたり、デザイン性を高めたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−226373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来の装備部品においては、周囲と異なる着色のみで視覚的印象を高めるものであるため、視認者の注意を引き付けるのには限界があり、例えば、後方車両の運転者に前車に接近した旨の注意を喚起するには不十分であるものと考えられる。
【0004】
このため、本出願人は、リフレクター等の反射体を用い、その反射体の反射光によって後方車両の運転者等(以下、「後方車両等」と呼ぶ。)の注意を喚起することを検討している。しかし、このように単にリフレクターを貼り付けただけでは、他のランプ類の表面パネルとの差異が小さく、後方車両等に充分な注意を喚起するにはやはり不十分であるものと考えられる。
【0005】
そこで、この発明は、後方車両等に充分な注意喚起を促すことのできる車両用反射体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、流体からエネルギーを受けて回転する回転体(例えば、後述の実施形態における回転体6)と、この回転体を回転可能に支持する支持体(例えば、後述の実施形態における支持壁5)と、前記回転体に設けられ、入射光を受けて光を反射する反射部(例えば、後述の実施形態におけるリフレクター10)と、前記回転体に流体を導く誘導手段(例えば、後述の実施形態におけるガス誘導口7)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、流体が導入手段を介して回転体に導入されると、回転体が支持体に支持されて回転する。このとき、反射部は回転体と一体に回転しながら入射光を受けて光を反射する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用反射体において、前記誘導体は、車両の排気ガスを前記回転体に導くことを特徴とする。
これにより、回転体の反射部はエンジンの作動に連動して回転する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用反射体において、前記誘導手段は、車体周囲の外気を前記回転体に導くことを特徴とする。
これにより、回転体の反射部は車両の走行状態に応じて回転する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記支持体は、車体後部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記回転体の径方向内側領域(例えば、後述の実施形態における径方向内側領域b)を非反射部とし、径方向外側領域(例えば、後述の実施形態における径方向外側領域a)を反射部としたことを特徴とする。
これにより、1回転当たりの移動距離の大きい径方向外側領域のみが反射部とされるため、反射部の見え具合から回転体の回転状況が認識され易くなる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記回転体は、回転軸(例えば、後述の実施形態における回転軸8)が車体前後方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体において、前記回転体は、回転軸(例えば、後述の実施形態における回転軸21)が車体幅方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、導入手段を通して導入される流体によって回転体とともに反射部を回転させることができるため、反射部の回転と光の反射の相乗効果によって後方車両等に充分な注意喚起を促すことができる。また、反射部が回転体とともに回転するため、反射部に泥や水滴、汚れ等が付着しにくいという利点もある。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、エンジンの作動に連動する排気ガスの流れによって回転体を回転させるため、反射部の回転状況からエンジン操作状況を後方車両等に容易に認識させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、車両の走行状態に応じた外気の流れによって回転体を回転させることができるため、反射部の回転状況から走行状態を後方車両等に容易に認識させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、後方車両等からの視認が良好になり、注意喚起効果がより高まる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、回転体の回転状況を認識し易い径方向外側のみを反射部としたため、後方車両等に回転体の反射部の回転状況をより容易に認識させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、回転体の回転軸が車体前後方向に沿って配置されるため、流体を受ける回転体の羽根の車体前後方向の占有スペースを狭めることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、回転体の回転軸が車体幅方向に沿って配置されるため、車両後方から見た回転体の占有スペースを略長方形状できるようになり、その結果、回転体のレイアウトの自由度とデザイン性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「上」「下」と「前」「後」は、特別に断らない限り、車体に対しての上下と前後を意味するものとする。また、各実施形態の説明においては、同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0021】
最初に、図1〜図5に示すこの発明の第1の実施形態について説明する。
この実施形態では、図1に示すように、この発明にかかる車両用反射体1(以下、「反射体1」と呼ぶ。)はエンジンから車体後方に引き出された排気管2の後端部に取り付けられ、リヤバンパ3の排気用の開口4内に配置されている。
【0022】
反射体1は、図2,図3に示すように、排気管2の後端部に半径方向に沿って設けられた棒状の支持壁5(支持体)と、この支持壁5の管内中心位置に回転可能に軸支された回転体6と、排気管2と支持壁5の間に設けられて排気ガスを回転体6に導くガス誘導口7(誘導手段)と、を備えている。回転体6は、車体前後方向に沿う回転軸8の外周に、付根部から先端部側に向かって所定の捩れを有する複数の羽根9…が設けられ、排気管2から排出される排気ガスの流動エネルギーを羽根9…で受けて回転軸8回りに回転するようになっている。
【0023】
回転体6の各羽根9…は、先端部側の径方向外側領域a(排気管2の後端部の管径よりも径方向外側に位置される領域)がほぼ偏平に形成され、そのほぼ偏平な面が車体前後方向に近い方向に指向するようになっている。そして、各羽根9…の径方向外側領域aの車体後方側に臨む面には、入射光を受けて光を反射するリフレクター10(反射部)が取り付けられている。したがって、この反射体1の場合、回転体6の径方向内側領域bがリフレクター10のない非反射部とされ、径方向外側領域aがリフレクター10のある反射部とされている。
また、排気管2の後部には、車体後方側に向かってテーパ状に開き回転体6の周囲を囲繞するガイド壁11が設けられている。
【0024】
この反射体1は、以上のように排気管2の後端部に取り付けられ、回転体6のリフレクター10部分がリヤバンパ3の開口4を通して車体後方から視認できるようになっているため、図4に示すように、接近した後方車両C´等がこの反射体1を装備した車両Cの反射体1(リフレクター10)の反射を容易に視認することができる。
【0025】
また、この反射体1は、排気管2から排気ガスが排出されると、回転体6がその流動エネルギーを受けて回転し、このときリフレクター10が回転体6の羽根9…とともに回転する。そして、このときの回転体6の回転速度は、図5の(A)〜(D)に示すように排気ガスのガス排出量、つまりエンジンの作動状態に応じて変化する。なお、図5の(A)はエンジン停止時の状態を示し、(B)は、アイドリング状態、(C)は、アクセルが踏み込まれた状態、(C)はアクセルがOFFにされた状態を夫々示す。
【0026】
したがって、この反射体1を採用した車両Cに接近した後方車両C´等は、リフレクター10の回転状態を視認することによって前方車両Cの運転者の走行意思を容易に予測判断することが可能になるとともに、リフレクター10の回転と光の反射の相乗効果によって充分な注意喚起が促される。特に、この実施形態の反射体1においては、1回転当たりの移動距離が長く回転状況を認識し易い径方向外側にみにフレクター10が設けられているため、リフレクター10の回転状況の把握が容易であるという利点がある。
さらに、この反射体1においては、リフレクター10が排気ガスを受けて常に回転するため、泥や水滴、汚れ等が付着しにくく、常にリフレクター10の反射面を高反射状態に維持することができる。
【0027】
また、この実施形態の反射体1の場合、回転体6の回転軸8が車体前後方向を向き、排気ガスを受ける各羽根9…が捩れた構造となっているため、羽根9…の車体前後方向の占有幅を狭め、装置全体のコンパクト化を図ることができるという利点もある。
【0028】
図6〜図8は、この発明の第2の実施形態を示すものである。
この第2の実施形態の反射体101は、図6に示すように、リヤバンパ3の排気用の開口104内に配置されている。反射体101は、図7,図8に示すように、複数の羽根20…を有する回転体106と、この回転体106の回転軸21を車体幅方向に沿うように支持するリヤバンパ3の開口縁22(支持体)と、エンジンの排気ガスを回転体106の上半部に誘導する排気管102の後端の排気誘導部102a(誘導手段)と、を備えている。回転体106は、回転軸21の外周に平板状の複数の羽根20…が放射状に設けられ、排気管102から排出される排気ガスの流動エネルギーを羽根20…で受けて回転軸21回りに回転するようになっている。
【0029】
そして、回転体106の各羽根20…は、径方向外側領域aのみがリフレクター10(反射部)によって構成され、径方向内側領域bは非反射部とされている。また、排気管102の後端の排気誘導部102aは、上下方向に潰れた略楕円状の管端末の下半部が切り欠かれ、その切欠き部分を通して回転体106の上半部が排気ガスの通路に臨むようになっている。
【0030】
この反射体101は、回転体106のリフレクター10部分がリヤバンパ3の開口104内に配置されるため、後方車両等からこのリフレクター10の反射を容易に視認することができ、しかも、回転体106の上半部が排気管102の後端部に臨み、排気ガスの流動エネルギーによって回転体106が回転するようになっていることから、リフレクター10の回転状況に基づいて後方車両等から走行意思を容易に判断することができる。そして、この実施形態の場合も、リフレクター10が回転体106の径方向外側領域aのみに配置されているため、リフレクター10の回転状況の把握が容易であるという利点がある。
【0031】
また、この実施形態の反射体101の場合、回転体106の回転軸21が車体幅方向を向き、排気ガスを受けて回転体106が縦方向に回転する構造となっているため、車両後方から見た回転体106の占有スペースが横長の長方形状になり、回転体106のレイアウトの自由度とデザイン性が高まる。
また、この実施形態の場合も、リフレクター10は回転体106とともに回転するため、泥や水滴、汚れ等が付着しにくい。
【0032】
次に、図9〜図12に示すこの発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態の反射体201は、図9に示すように後輪タイヤ30の後方側のマッドガード31に一体に設けられている。マッドガード31は、車体のリヤホイールハウスの後部下端にビス止め等によって固定され、後輪タイヤ30の外周面に対峙するマッドガード本体32(図10,図11参照)が樹脂によって一体に形成されるとともに、このマッドガード本体32のリヤホイールハウスの下端から下方に突出する下方突出部に反射体201が設けられている。
【0033】
反射体201は、図10,図11に示すように、マッドガード本体32の車体後方側面に設けられた円形状の凹部33(支持体)と、この凹部33の底壁33aに回転可能に軸支された回転体6と、凹部33の底壁33aに設けられた複数の貫通孔34…(誘導手段)と、を備えている。回転体6は、車体前後方向に沿う回転軸8の外周に複数の羽根9…が設けられ、貫通孔34…を通して誘導される走行風の流動エネルギーを羽根9…で受けて回転軸8回りに回転するようになっている。また、貫通孔34…は回転体6の径方向内側領域bに臨む位置に配置されている。
【0034】
そして、各羽根9…の径方向外側領域aの車体後方側に臨む面にはリフレクター10(反射部)が取り付けられ、径方向内側領域bは非反射部とされている。また、回転軸8の車体後方側の端部には円板状の遮蔽板35が取り付けられ、この遮蔽板35によって貫通孔34…と各羽根9…の非反射部の後方を覆うようになっている。これにより、貫通孔34…を通り抜けた走行風は回転体6の羽根9…の非反射部を通過し遮蔽部35に当たって向きを変える。したがって、泥水等が貫通孔34…を通過しても、図11中の矢印で示すように各羽根9…のリフレクター10には付着しにくくなる。
【0035】
この反射体201は、走行風を受けて回転する回転体6がマッドガード31に設けられ、その回転体6のリフレクター10が車体後方側から視認し得るようになっているため、リフレクター10の回転と反射の相乗効果によって後方車両C´等に強力に注意を喚起することができる。また、回転体6の回転速度は、図12の(A)〜(C)に示すように車両Cの走行速度にほぼ比例するため、後方車両C´等から車両Cの走行状態を容易に把握することができる。なお、図12の(A)は、車両停止の状態を示し、(B)は、低速走行状態、(C)は、高速走行状態を夫々示す。
【0036】
図13,図14は、この発明の第4の実施形態を示すものである。
この実施形態の反射体301は、第3の実施形態と同様に車両後方側のマッドガード31に設けられている。この反射体301は、マッドガード本体32の車体後方側面に設けられた略方形状の凹部33(支持体)と、この凹部33の側壁33bに回転可能に軸支された回転体106と、凹部33の底壁33aに設けられた貫通孔40(誘導手段)と、底壁33aの貫通孔40の孔縁に突設されたガイド突起41と、を備えている。
【0037】
回転体301は、回転軸21の外周に平板状の複数の羽根20…が放射状に設けられ、貫通孔40を通して導入される走行風の流動エネルギーを羽根20…で受けて回転する。各羽根20の径方向外側領域には第2の実施形態と同様にリフレクター10が設けられている。また、ガイド突起41は、貫通孔40の下縁から回転体106の上半部に向くように斜め上方に傾斜して突設され、貫通孔40を通過して車体後方側に向かう走行風を回転体106の上部側に向けて羽根20に当てるようになっている。これにより、回転体106は図14中の矢印で示すように回転し、貫通孔40を通過した泥水等が車体後部面に跳ね上がらないようになる。
【0038】
この反射体301の場合も、走行風を受けて回転する回転体21がマッドガード31に設けられ、その回転体21のリフレクター10が車体後方側から視認し得るようになっているため、リフレクター10の回転と反射の相乗効果によって後方車両等に強力に注意を喚起することができる。そして、この実施形態の場合も、回転体301の回転速度が車両の走行速度にほぼ比例するため、後方車両等から車両の走行状態を容易に把握することができる。
【0039】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の第1の実施形態の反射体を採用した車両の背面図。
【図2】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図3】同実施形態を示す図2のA−A断面に相当する断面図。
【図4】同実施形態を説明する模式的な側面図。
【図5】同実施形態の反射体の作動状態を(A)〜(D)で示す模式的な正面図。
【図6】この発明の第2の実施形態の反射体を採用した車両の背面図。
【図7】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図8】同実施形態を示す図7のB−B断面に相当する断面図。
【図9】同実施形態を説明する模式的な側面図。
【図10】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図11】同実施形態を示す図10のC−C断面に相当する断面図。
【図12】同実施形態の反射体の作動状態を(A)〜(C)で示す模式的な正面図。
【図13】同実施形態の反射体を示す正面図。
【図14】同実施形態を示す図13のD−D断面に相当する断面図。
【符号の説明】
【0041】
1,101,201,301…車両用反射体
5…支持壁(支持体)
6,106…回転体
7…ガス誘導口(誘導手段)
8…回転軸
10…リフレクター(反射部)
21…回転軸
22…開口縁(支持体)
33a…底壁(支持体)
34…貫通孔(誘導手段)
40…貫通孔40(誘導手段)
41…ガイド突起(誘導手段)
a…径方向外側領域
b…径方向内側領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体からエネルギーを受けて回転する回転体と、
この回転体を回転可能に支持する支持体と、
前記回転体に設けられ、入射光を受けて光を反射する反射部と、
前記回転体に流体を導く誘導手段と、
を備えたことを特徴とする車両用反射体。
【請求項2】
前記誘導体は、車両の排気ガスを前記回転体に導くことを特徴とする請求項1に記載の車両用反射体。
【請求項3】
前記誘導手段は、車体周囲の外気を前記回転体に導くことを特徴とする請求項1に記載の車両用反射体。
【請求項4】
前記支持体は、車体後部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項5】
前記回転体の径方向内側領域を非反射部とし、径方向外側領域を反射部としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項6】
前記回転体は、回転軸が車体前後方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項7】
前記回転体は、回転軸が車体幅方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項1】
流体からエネルギーを受けて回転する回転体と、
この回転体を回転可能に支持する支持体と、
前記回転体に設けられ、入射光を受けて光を反射する反射部と、
前記回転体に流体を導く誘導手段と、
を備えたことを特徴とする車両用反射体。
【請求項2】
前記誘導体は、車両の排気ガスを前記回転体に導くことを特徴とする請求項1に記載の車両用反射体。
【請求項3】
前記誘導手段は、車体周囲の外気を前記回転体に導くことを特徴とする請求項1に記載の車両用反射体。
【請求項4】
前記支持体は、車体後部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項5】
前記回転体の径方向内側領域を非反射部とし、径方向外側領域を反射部としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項6】
前記回転体は、回転軸が車体前後方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【請求項7】
前記回転体は、回転軸が車体幅方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用反射体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−226551(P2008−226551A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60505(P2007−60505)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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