説明

車両用収納装置

【課題】 インスツルメントパネルの意匠面の形状のうちリテーナが取付けられる部分の形状がセンタ基準で左右非対称形状である場合に対応できるリテーナを有する車両用収納装置の提供。
【解決手段】 (1)リテーナ10を有しており、リテーナ10は、左右方向に複数個のリテーナ要素11、12に分割されており、複数個のリテーナ要素11、12は前後方向に位置調整可能である。(2)位置調整は段階的である。(3)位置調整は無段階的である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用収納装置は、図7に示すように、リテーナ1を有する。リテーナ1は、車両の内装部材であるインスツルメントパネルに取り付けられる。リテーナ1は、1部材からなる。リテーナ1は、2つの収容部1a、1bを有する。2つの収容部1a、1bは、車両左右方向に並んでいる。収容部1a、1bには、引出しタイプの、カップホルダ、灰皿、小物入れ等が取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来車両用収納装置には、つぎの問題点(課題)がある。リテーナ1は、1部材からなるので、通常、左右対称に形成される。そのため、リテーナ1は、インスツルメントパネルの意匠面形状のうちリテーナ1が取り付けられる部分の形状がセンタ基準で左右非対称となっている場合には、対応できない。その結果、インスツルメントパネルの左右非対称形状に合わせて、リテーナ1の形状(構造)を作りなおさなければならず、インスツルメントパネルの左右非対称形状の場合の数だけリテーナの形状を要する。本発明の目的は、インスツルメントパネルの意匠面の形状のうちリテーナが取付けられる部分の形状がセンタ基準で左右非対称形状である場合に対応できるリテーナを有する車両用収納装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) リテーナを有しており、前記リテーナは、左右方向に複数個のリテーナ要素に分割されており、該複数個のリテーナ要素は前後方向に位置調整可能である、車両用収納装置。
(2) 前記位置調整は段階的である(1)記載の車両用収納装置。
(3) 前記位置調整は無段階的である(1)記載の車両用収納装置。
【0005】上記(1)〜(3)の車両用収納装置では、リテーナが複数個のリテーナ要素に分割されており、該複数個のリテーナ要素が位置調整可能であるので、インスツルメントパネルの意匠面の形状に合わせてリテーナ要素の位置を決めるだけでインスツルメントパネルの非対称形状に対応できる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1〜図4は、本発明実施例1の車両用シフトレバー装置を示しており、図5は、本発明実施例2の車両用シフトレバー装置を示しており、図6は、本発明実施例3の車両用シフトレバー装置を示している。本発明実施例1から本発明実施例3にわたって共通する部分には、本発明実施例1から本発明実施例3にわたって共通する符号を付してある。まず、本発明実施例1から本発明実施例3にわたって共通する部分を、たとえば図2を参照して、説明する。
【0007】本発明実施例の車両用収納装置は、リテーナ10と、位置調整機構20とを、有する。リテーナ10は、車両の内装部材である図示略のインスツルメントパネルに、図示略のビス等により取り付けられる。リテーナ10は、車両左右方向に複数個(図示例では、2個)のリテーナ要素に分割される。以下、本発明実施例では、リテーナ10が車両左右方向に2個のリテーナ要素(第1のリテーナ要素11、第2のリテーナ要素12)に分割される場合を例にとって説明する。
【0008】第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12とは、互いに取外し可能に組付け可能である。第1のリテーナ要素11は、車室内側に開口する収容部11aを有し、第2のリテーナ要素12は、車室内側に開口する、収容部11aとは異なる収容部12aを有する。収容部11aには、図示略の収容物が出し入れ可能に取り付けられ、収容部12aには、図示略の収容物が出し入れ可能に取り付けられる。図示略の収容物は、たとえば、カップホルダ、灰皿、小物入れ等からなる。収容部11aに取り付けられる収容物と、収容部12aに取り付けられる収容物とは、同種であってもよく、異種であってもよい。図示略の収容物は、収容部11a、12aに回動可能に取り付けられていてもよく、直線動可能に取り付けられていてもよい。
【0009】位置調整機構20は、第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12の一方を、第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12の他方に対して、車両前後方向に位置調整する。位置調整機構20は、第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12の一方を、第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12の他方に対して、段階的に位置調整する機構であってもよく、無段階的に位置調整する機構であってもよい。
【0010】つぎに、本発明実施例1から本発明実施例3にわたって共通する部分の作用を説明する。リテーナ10が第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12とに分割されており、第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12とは位置調整可能であるので、インスツルメントパネルの意匠面の形状に合わせてリテーナ要素11、12の位置を決めるだけでインスツルメントパネルの非対称形状に対応できる。また、リテーナ10を第1のリテーナ要素11と第2のリテーナ要素12に分割したので、第1のリテーナ要素11または第2のリテーナ要素12を単品で使用することができる。
【0011】つぎに、本発明各実施例に特有な部分を説明する。本発明実施例1では、図1〜図4に示すように、位置調整機構20は、第1のリテーナ要素11に形成された凸部21と、第2のリテーナ要素12に形成された凹部22と、からなる。
【0012】凸部21は、第1のリテーナ要素11と一体に形成されるか、または、第1のリテーナ要素11と別体に形成されて第1のリテーナ要素11に固定して取り付けられる。凸部21は、第1のリテーナ要素11の、第2のリテーナ要素12に対向する対向壁11bに設けられている。凸部21は、上下方向に延びている。凸部21は、1個以上(望ましくは3個)設けられている。凸部21が複数設けられている場合、各凸部21は車両前後方向位置が異なっている。凸部21は、凹部22にはめ込み可能とされている。凸部21が凹部22にはめ込まれたとき、凸部21は凹部22内でがたつかないか、または、がたついてもその程度は無視できる程度である。凹部22は、第2のリテーナ要素12の、第1のリテーナ要素11に対向する対向壁12bに設けられている。凹部22は、上下方向に延びている。凹部22は、複数設けられており、各凹部22は、車両前後方向位置が異なっている。
【0013】本発明実施例1では、凸部21が1個以上設けられており、凹部22が複数設けられているので、凸部21を凹部22にはめ込む車両前後方向位置を変えることができる。そのため、第1のリテーナ要素11を第2のリテーナ要素12に対して、車両前後方向に段階的に位置調整できる。また、本発明実施例1では、凸部21と凹部22が上下方向に延びているので、凸部21を凹部22にはめ込む量を調整することで、上下方向にも位置調整できる。
【0014】本発明実施例2では、図5に示すように、位置調整機構20は、第1のリテーナ要素11に形成されたガイド突起23と、第2のリテーナ要素12に形成されたガイドレール24と、からなる。
【0015】ガイド突起23は、第1のリテーナ要素11と一体に形成されるか、または、第1のリテーナ要素11と別体に形成されて第1のリテーナ要素11に固定して取り付けられる。ガイド突起23は、第1のリテーナ要素11の、第2のリテーナ要素12に対向する対向壁11bに設けられている。ガイド突起23は、車両前後方向に延びている。ガイド突起23は、1個設けられている。ガイド突起23は、ガイドレール24に車両前後方向に移動可能に保持される。ガイド突起23がガイドレール24に保持されているとき、ガイド突起23はガイドレール24内でがたつかないか、または、がたついてもその程度は無視できる程度である。ガイドレール24は、第2のリテーナ要素12と一体に形成されるか、または、第2のリテーナ要素12と別体に形成されて第2のリテーナ要素12に固定して取り付けられる。ガイドレール24は、第2のリテーナ要素12の、第1のリテーナ要素11に対向する対向壁12bに設けられている。ガイドレール24は、車両前後方向に延びている。ガイドレール24は、1個設けられている。
【0016】本発明実施例2では、ガイド突起23とガイドレール24が設けられているので、ガイド突起23の車両前後方向位置をガイドレール24内で変えることができる。そのため、第1のリテーナ要素11を第2のリテーナ要素12に対して、車両前後方向に無段階的に位置調整できる。
【0017】本発明実施例3では、図6に示すように、位置調整機構20が、第1のリテーナ要素11に形成された爪25と、第2のリテーナ要素12に形成された爪受け部26と、からなる。
【0018】爪25は、第1のリテーナ要素11と一体に形成されるか、または、第1のリテーナ要素11と別体に形成されて第1のリテーナ要素11に固定して取り付けられる。爪25は、第1のリテーナ要素11の、第2のリテーナ要素12に対向する対向壁11bに設けられている。爪25は、1個以上設けられている。爪25が複数設けられている場合、各爪25は車両前後方向位置が異なっている。爪25は、爪受け部26に引っ掛かり(係合)可能とされている。爪25が爪受け部26に係合したとき、爪25は爪受け部26に対してがたつかないか、または、がたついてもその程度は無視できる程度である。爪受け部26は、第2のリテーナ要素12と一体に形成されるか、または、第2のリテーナ要素12と別体に形成されて第2のリテーナ要素12に固定して取り付けられる。爪受け部26は、第2のリテーナ要素12の、第1のリテーナ要素11に対向する対向壁12bに設けられている。爪受け部26は複数設けられており、各爪受け部26は、車両前後方向位置が異なっている。
【0019】本発明実施例3では、爪25が1個以上設けられており爪受け部26が複数設けられているので、爪25を爪受け部26に係合させる車両前後方向位置を変えることができる。そのため、第1のリテーナ要素11を第2のリテーナ要素12に対して、車両前後方向に段階的に位置調整できる。
【0020】
【発明の効果】請求項1または請求項2または請求項3記載の車両用収納装置によれば、リテーナが複数個のリテーナ要素に分割されており、該複数個のリテーナ要素が位置調整可能であるので、インスツルメントパネルの意匠面の形状に合わせてリテーナ要素の位置を決めるだけでインスツルメントパネルの非対称形状に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の車両用収納装置の、複数個のリテーナを互いに組み付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】図1の、凸部と凹部のはめ込み位置を変えた場合の、平面図である。
【図5】本発明実施例2の車両用収納装置の位置調整機構を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明実施例3の車両用収納装置の位置調整機構を示す拡大斜視図である。
【図7】従来の車両用収納装置のリテーナの斜視図である。
【符号の説明】
10 リテーナ
11 第1のリテーナ要素
11a 第1のリテーナ要素の収容部
12 第2のリテーナ要素
12a 第2のリテーナ要素の収容部
20 位置調整機構
21 凸部
22 凹部
23 ガイド突起
24 ガイドレール
25 爪
26 爪受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 リテーナを有しており、前記リテーナは、左右方向に複数個のリテーナ要素に分割されており、該複数個のリテーナ要素は前後方向に位置調整可能である、車両用収納装置。
【請求項2】 前記位置調整は段階的である請求項1記載の車両用収納装置。
【請求項3】 前記位置調整は無段階的である請求項1記載の車両用収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−95003(P2003−95003A)
【公開日】平成15年4月3日(2003.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−289304(P2001−289304)
【出願日】平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】