説明

車両用情報提供装置

【課題】警報音を、コストをあまりかけずに、音量調整でき、運転者を必要以上に緊張させてしまうことのない車両用情報提供装置を得る。
【解決手段】車両の計器を収納するケースの内部に設けられた発音体32と、計器板に設けられた警報表示装置D1、2と、計器板外部からの外部信号によって発音体32を吹鳴させ、警報表示装置D1、2を作動させる計器用制御装置、特に制御手段25とを備える。制御手段25は、計器を収納するケースの内部に設けられている。また、制御手段25は、エンジンの停止を知らせるエンジン停止信号ESSg、または車両停止信号SSg等に基づいて、車両状態表示装置D1、2を制御する。更に、制御手段25は、エンジン停止中または車両停止中には、発音体32に印加する駆動信号を変更し、この変更された駆動信号で発音体32の警報音の大きさを小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の停止中または車両のエンジン停止中に、車両の室内で吹鳴する発音体の警報音の大きさを制御する車両用情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両内の音の大きさを制御する考え方がある。特許文献1に記載の停車時制御装置が知られている。この停車時制御装置の停車時間推定部は、算出された予想停車時間に基づいて、ドライバに対してどのようなサービスを提供するか、そして、どのような制御内容にするかを決定し、決定されたサービスを実行するように指示する。指示した先が車内制御部であれば、車内制御部は、指示に基づいて車内照明の制御、シートリクライニングの制御、電話操作を可能とする制御等を行う。
【0003】
指示した先が走行制御部であれば、走行制御部は、指示に基づいて、ハイブリッドエンジンのガソリンエンジン部分を停止する等のエンジンアイドリング制御を行う。指示した先が、コンテンツ再生部であれば、コンテンツ再生部は、指示に基づいてオーディオの音量を下げるなどの制御を行う。このように、停車時の停止動作に基づいて車両や車両機器を制御している。
【0004】
次に、特許文献2においては、エンジンがアイドリングであるか停止中であるかを簡単な構成で判定することにより、移動体の電気系統に対する電源供給を制御することができる移動体制御装置およびナビゲーション装置を提供している。
【0005】
具体的には、ナビゲーションのジャイロの信号を分析して、車両の運動量に含まれる振動成分からエンジンの動作状態を間接的に判定することにより、エンジンがアイドリングであるか停止中であるか簡単に判定して、車両に搭載された電装機器に対する供給電源を制御するようにしている。これにより、専用の振動センサを設けることなく、かつ、車両とエンジン動作状態検出装置の間に特別な電気配線を必要することなしに、バッテリの消耗を抑制することができる。
【0006】
また、この移動体制御装置は、音声信号を生成する音声信号源と、音声信号源が生成した音声信号の音量および音質を、エンジン動作状態判定手段の判定結果に応じて調整する音量・音質制御手段と、音量・音質制御手段が出力する音量・音質調整後の音声信号を出力する音声出力手段とを備えたものから構成される。
【0007】
この構成により、エンジンが停止している状態と作動している状態において、出力する音量および音質を制御することができ、エンジンの動作状態に応じて最適な音量および音質を得ることができる。
【0008】
このように、エンジンが停止している状態と、作動している状態において、オーディオやカーナビゲーション等から出力される音声信号を自動的に適切な音量および音質に制御することができ、エンジンの動作状態に応じて、最適な音量および音質を得ることができる。
【0009】
一方、近年のコンピュータを利用した制御技術により、発音体がさまざまな周波数、音圧、和音を、コンピュータで合成されたパルス信号で警報音を発生する電子的警報装置が、特許文献3で知られている。
【0010】
更に、特許文献4には、計器を収納するケース内の制御装置によって制御されて吹鳴する発音体が設けられた車両用情報提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−238988号公報
【特許文献2】特開2005−263102号公報
【特許文献3】特開平4−53320号公報
【特許文献4】特開2007−69886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように車両内部の音を制御する音響技術が存在するにも関わらず、これらの技術は普及していない。一方では、省エネルギーの観点から、アイドリングストップを行うエンジン付きの車両や、電気自動車やハイブリッドカーの普及により、車両内は、ますます静粛になる機会が増加している。また、最近の交通量の増加により、車両が停止する機会も増加している。
【0013】
ここで、発明者は、上記音響技術が普及していない理由について考察した。そして、その理由が、コストアップや、車両内の機器の設置スペースにあるのでないかという点に着目した。
【0014】
また、音楽コンテンツの再生等では、運転者が操作できる操作スイッチが設けられており、わざわざ自動で音を小さくしたり、大きくしたりしなくても手動操作できることにある点に着目した。
【0015】
しかし、もう一方で、コストを下げて実現できれば、この種の音響技術が普及すること、および、手動操作では容易に音量等を操作できない警報音があることに気づいた。これらの警報音は、計器を収納するケースの内部の発音体から突然発せられ、運転者に異常の存在と、異常に内容を示すインジケータの作動を報知するものである。
【0016】
そして、この種の用途の発音体においては、運転中と同じ音圧、音の調子で、車両停止中やエンジン停止中に伴う静粛時に突発的に警報音が発せられると、運転者が驚愕し、外部の信号や歩行者の動向等から注意をそらされることがあることに注目した。
【0017】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、警報音発生中において手動操作では容易に大きさを操作できない警報音を、コストをあまりかけずに、運転者を必要以上に緊張させず、安全運転に集中させることのできる警報音にすることができる車両用情報提供装置を得ることにある。
【0018】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両において警報音を発する条件が成立したときに、車両内の制御回路に接続された発音体により警報音を発する車両用情報提供装置であって、車両の停止中または車両のエンジンの停止中に制御回路を通して発音体に与える駆動信号を制御することにより、制御回路は、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において、条件が成立したときに発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前に発音体が発する警報音よりも小さくすることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が突発的に発する警報音の大きさを、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音の大きさよりも小さくしたから、車両の室内が静かになったときに、突発的に発せられる大きな警報音に運転者が慌てることがなく、注意が過度に発音体に向かうことによる前方不注意等を抑止することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、車両のメータおよび表示器からなる車両状態表示装置を支持するケースを有し、ケース内に発音体が収納されており、車両の停止中または車両のエンジンの停止中かどうかを、ケース内に収納され車両状態表示装置を制御する制御回路において、該制御回路に入力された外部信号を基に判定し、外部信号は、車両状態表示装置を制御するエンジン停止信号、エンジン回転数信号、車速信号のうちいずれかからなることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、エンジン停止信号、エンジン回転数信号、ならびに車速信号は、車両状態表示装置のためにケース内において使用される信号であり、この信号を活用できるため、発音体の制御のために特別な信号をケース内に入力する必要がなく、この点に関し新たなコストアップ要因となる変更を必要としない。
【0023】
請求項3に記載の発明では、制御回路は、発音体の警報音の大きさを設定する設定手段を有し、該設定手段を用いて車両の運転者により予め設定され、かつ記憶された設定値に基づいて、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音よりも小さくすることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において小さくされる警報音は、予め、運転者の好みに応じて設定された値に基づくから、小さすぎて聞き取れなかったり、大きすぎたりすることが無い。
【0025】
請求項4に記載の発明では、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が吹鳴する吹鳴時間の長さを、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が吹鳴する吹鳴時間の長さよりも短くすることにより、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音よりも小さくしたことを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、発音体の吹鳴時間が短くなることにより、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音よりも小さくして、車室内が静かなときに合致した警報音とすることができ、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明では、制御回路は、発音体が発する警告音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前よりも小さくした後の車両の停止中または車両のエンジンの停止中において、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音の大きさに戻すことを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、発音体が発する警報音の大きさを一旦小さくした後に、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音の大きさに、車両の停止中または車両のエンジンの停止中に戻すから、車室内において最終的には所定の大きさの警報音が聞こえるため、警報に気がつかないことを防止でき、かつ、最初は小さな警報音から始まるから、突発的に発せられる大きな警報音で運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、発音体は該発音体の共鳴周波数で振動することにより最も大きな警報音を発生し、発音体の共鳴周波数から遠ざかる方向に駆動信号の周波数を変更することにより、発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前よりも小さくすることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、発音体の共鳴周波数から遠ざかる方向に周波数が変更されることにより、発音体の音の大きさが低下し、車室内が静かなときに合致した警報音となり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明では、発音体の共鳴周波数から低い周波数の方に遠ざかる方向に、駆動信号の周波数を変更することにより、発音体が発する警報音の大きさを、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音の大きさよりも小さくすることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、発音体の共鳴周波数から低い周波数の方に遠ざかる方向に、駆動信号の周波数を変更することにより、周波数の低い、よりソフトな警報音になるから、運転者に警報音を気づかせながら車室内が静かなときに合致した警報音となり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0033】
請求項8に記載の発明では、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体に印加される電圧を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体に印加される電圧の大きさよりも低くすることにより、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音よりも小さくしたことを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、発音体に印加される電圧の大きさを低くしたから、発音体が吹鳴するときの音圧が低下し、車両の停止中または車両のエンジンの停止中において発音体が発する警報音を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体が発する警報音の大きさよりも小さくして、車室内が静かなときに合致した警報音となり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0035】
請求項9に記載の発明では、制御回路は、発音体に印加される電圧の波形長さを短くして電圧のデューティ比を下げることにより、発音体に印加される電圧を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体に印加される電圧よりも低くすることを特徴としている。
【0036】
この発明によれば、電圧のデューティ比を下げて実効値を低下させて車両の停止前または車両のエンジンの停止前における発音体に印加される電圧の大きさよりも低くするから、発音体が吹鳴するときの音圧を任意に制御することができ、電力損失も少ない。
【0037】
請求項10に記載の発明では、制御回路は、発音体に直列接続された抵抗を、より大きな抵抗値のものに切り替えることにより、発音体に印加される電圧を、車両の停止前または車両のエンジンの停止前よりも低くすることを特徴としている。
【0038】
この発明によれば、発音体に直列接続された抵抗を、より大きな抵抗値のものに切り替えて、発音体に印加される電圧の大きさを低下させるから、簡単な回路構成により、警報音の大きさを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用情報提供装置の概要をしめす正面図である。
【図2】図1の車両用情報提供装置のブロック構成図である。
【図3】図1中のF3−F3線に沿った車両用情報提供装置の断面図である。
【図4】図1の表示部に表示される警告表示の一例を示す模式図である。
【図5】図1の計器用制御装置を構成する主として制御手段で実行される処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態における発音体の音圧の時間経過を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態における発音体の音圧の時間経過を示すグラフである。
【図8】本発明の第3実施形態における発音体の音圧と周波数との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第4実施形態における発音体の吹鳴時間の変化を示すグラフである。
【図10】本発明の第5実施形態における発音体の吹鳴時間の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の第6実施形態における発音体に印加される駆動信号のデューティ比の変化を示すグラフである。
【図12】本発明の第7実施形態における計器用制御装置で実行されるフローチャートのうち、駆動信号変更部分に相当する詳細図である。
【図13】本発明の第8実施形態における車両用情報提供装置の一部電気回路図である。
【図14】本発明の第9実施形態における車両用情報提供装置の一部電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0041】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0042】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図6を用いて詳細に説明する。この第1実施形態において、公知の部分は、特許文献4に即して説明する。図1は、本実施形態における車両用情報提供装置の一例の概観図を示す。
【0043】
図1において、車両内の運転者前方の計器板に設けられた車両用情報提供装置1は、第1、第2の表示手段(表示部)D1、D2を備えた車両状態表示装置(車両用メータ)と警報表示装置(インジケータ)2からなる。
【0044】
第1の表示手段D1は、TFT等の液晶表示パネルや有機ELパネル等からなり、車速等を表示するマルチディスプレイである。このマルチディスプレイ内にも本発明にいう計器を収納するケースの内部の警報表示装置の一部分が構成され、他の部分は、複数の警報表示装置(インジケータ)2で構成される。
【0045】
第2の表示手段D2は、後述する指針と指標板とを備えた指針式表示部(計器)からなる。3は、エンジン回転計からなる第1の指針式表示部、4は、燃料計からなる第2の指針式表示部、5は、温度計からなる第3の指針式表示部である。
【0046】
図2は、図1の車両用情報提供装置1のブロック構成図である。その構成としては、車両情報の入出力を行う車両情報端子20及び多重通信入出力端子21と、車両インターフェース(車両I/F)手段23とを備える。
【0047】
更に、車両用情報提供装置1の制御を行う制御手段25と、処理プログラムを格納するROM等からなる記憶手段26と、表示手段D1の表示制御、各指針式表示部3、4、5および警報表示装置(インジケータ)2に制御出力を送信して制御を行う制御出力手段27と、各種情報の聴覚的表示を行う聴覚情報提供手段29とを有している。
【0048】
また、聴覚情報提供手段29の構成としては、音/音声を再生する音/音声合成手段30と、この音/音声合成手段30からの出力信号(音/音声出力信号)を増幅するアンプ31と、このアンプ31からの増幅信号を警報音として出力する例えば略円形の発音体(スピーカ)32と、この発音体32から発せられる音を間隙を通じて車両内部である車室内の運転者に導く導音部33とを有している。
【0049】
車両インターフェース手段23、制御手段25、記憶手段26、制御出力手段27、および聴覚情報提供手段29の音/音声合成手段30、アンプ31により、本発明の計器用制御装置を構成している。なお、狭義には、制御手段25を計器用制御装置と称することもある。
【0050】
発音体32は、本実施形態の場合、リング状マグネットを備えた磁気回路と、ボイスコイルと、このボイスコイルの先端に連結されるコーン型の振動板と、磁気回路と振動板を所定の位置に支持するフレームとから主に構成されている。
【0051】
ボイスコイルに電流を流すと、ボイスコイルに力が作用し、ボイスコイルの動きに連動して振動板が振動することによって警報音を発する。故に、発音体32は、動電型スピーカ(コーンスピーカ)からなる。このスピーカ32は、車両用情報提供装置1における第3の指針式表示部5の下方に配設される(図1参照)。
【0052】
なお、本実施形態における車両用情報提供装置1は、図2に示すように多重通信ライン40を介してエンジン制御装置等からなる走行制御装置41と、各種操作スイッチ等からなる操作手段42等とに接続されている。
【0053】
図3は、図1中、F3−F3線に沿った車両用情報提供装置1(主に、第3の指針式表示部5)の一部断面図を示している。以下、第3の指針式表示部5の構成について詳細説明を行う。なお、第1、第2の指針式表示部3、4の構成は、第3の指針式表示部5の構成と略同一であるため、その詳細な説明は省略する。
【0054】
図3において、第3の指針式表示部5は、回路基板51と、この回路基板51に装着され回転軸52が前方に延びる指針駆動装置53と、回転軸52にて回転駆動される指針54とを備える。
【0055】
また、指針54の背後に位置して回路基板51上に配設される指標板55と、この指標板55を照明する光源56と、指標板55を保持するケース体57と、指針54や指標板55を露出させるための見返し部材58とを備える。
【0056】
更に、見返し部材58の前方側に配置される透視パネル59と、この透視パネル59の外縁部を隠蔽するバイザー60と、回路基板51の背面側を覆うカバー部材61とを備える。
【0057】
回路基板51には、聴覚情報提供手段29(図2)を制御する制御手段25と、指針駆動装置53(図3)を駆動・制御する制御出力手段27(図2)と、音/音声合成手段30と、アンプ31と、発音体32と、光源56と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが接続されている。また、回路基板51は、その背面に実装された発音体32に対応して開口が形成された略円形の孔部51a(図3)を備えている。
【0058】
指針駆動装置53は、可動磁石式計器またはステッピングモータからなり、回転軸52が回路基板51を貫通するように、その主要部がカバー部材61側となる回路基板51の背後に装着され、且つ半田付け等の導通手段により、配線パターンを介して制御出力手段27(図2)に電気接続されている。
【0059】
指針54は、合成樹脂からなり、指標板55の指標部55aを指示するように線状に延びる指示部54aと、この指示部54aの回転中心部を覆うカバー(指針キャップ)54bとを備えている。
【0060】
なお、57aは、ケース体57に設けた例えば円筒カップ型の凹部57bと回路基板51とによって囲まれた空間であり、この空間57aは、回路基板51の孔部51aに連通しており、孔部51aに隣接して配設される発音体32の共鳴空間として作用する。
【0061】
次に、図2の車両用情報提供装置1の動作について説明する。制御手段25は、車両情報の入出力を行う車両情報端子20及び多重通信入出力端子21から、走行制御に関する車両状態、アラーム情報、および操作に関する情報を入手する。
【0062】
この入手した情報に基づいて、車両状態報知、アラーム出力、および操作に関するガイダンス、およびアンサーバックを、聴覚情報提供手段29の発音体32を介して警報音と音声で報知する。また同時に、表示手段D1(図1)の画像で表示する。また、必要な警報表示を、警報表示装置(インジケータ)2で行う。
【0063】
ここで、アラーム情報を例に挙げて、制御手段25の入出力時の動作について説明する。制御手段25は、車両情報の入出力を行う車両情報端子20及び多重通信入出力端子21から、車両に関する情報を入手し、この情報に基づいて、警告の発生条件があるか否かを判定する。
【0064】
ここで警告の発生条件を検出すると、警告情報を聴覚情報提供手段29で警報音と音声とで報知するとともに、警告情報に関係する表示形態を表示部D1または警報表示装置(インジケータ)2によって表示する。図4は、図1の表示部D1に表示される警告表示の一例を示す模式図である。
【0065】
図4において、制御手段25(図2)は、シートベルトが未装着であることを示す検出信号が車両情報端子20または多重通信入出力端子21を介して入力されると、警報音「ポーン」の後、音声にて「シートベルトを着用してください」を出力するように聴覚情報提供手段29を制御する。
【0066】
従って、聴覚情報提供手段29における発音体32から出る警報音及び音声は、図3の導音部33を通って、運転者に向けて発せられることで、運転者は、警報音及び音声を容易に認識することができる。なお、ここでは表示部D1または警報表示装置(インジケータ)2(図1)を介して視覚情報も運転者に提供している。
【0067】
計器用制御装置内の制御手段25は、車両が停止したことを判断するために、制御手段25内に多重通信ライン40で入力されている車速信号SSg(図2)を活用する。つまり、車速信号SSgから車両停止信号が作られる。この車速信号SSgは、走行制御装置41から制御手段25に入力されて、第1の表示手段(表示部)D1を使用した車速表示に使用する周知かつ既存の信号である。
【0068】
また、計器用制御装置内の制御手段25(図2)は、エンジンが停止したことを判断するために、制御手段25内に多重通信ライン40から入力されている「エンジン停止信号ESSg、またはエンジン回転数信号ERSgからなる」エンジン制御信号を活用する。
【0069】
その理由は、計器を収納するケースの内部に接続された外部信号が、この実施形態のためにわざわざ新設した外部信号線を活用することはコストアップするので好ましくないからである。従って、この実施形態では、計器を収納するケースの内部で他の用途にも活用される外部信号線を使用する。
【0070】
このうち、エンジン回転数信号ERSgは、走行制御装置41から制御手段25に入力されて、表示部D1、または指針式表示部3(図1)のエンジン回転数表示に使用している既存の信号である。
【0071】
また、エンジン停止信号ESSgは、表示部D1の液晶画面内に「アイドリングストップ中です」のように表示するところのエンジン停止表示に使用している既存の信号である。このエンジン停止信号ESSgにより、エンストしているのか意図的にエンジンをとめているのか(アイドリングストップしているのか)が判明するように表示されている。
【0072】
次に、作動について説明する。図5は、図1の計器用制御装置を構成する主として制御手段25で実行される処理を示すフローチャートである。図5において、車両の始動スイッチ(キースイッチ)がオンされて、制御がスタートすると、ステップS501において、各種設定値を読み込む。
【0073】
この設定値には、記憶手段26(図2)に記憶された発音体32の吹鳴音量の設定モードにおいて設定した設定値や、このような予め操作入力により設定した設定値がないときに使用する初期設定値(デフォルト値)を含む。
【0074】
次に、ステップS502において、制御手段25は、車両インターフェース(車両I/F)手段23を介して、走行制御装置41(図2)と、各種操作スイッチ等からなる操作手段42とから各種の信号を読み取る。
【0075】
この読み取った信号の中には、車速信号SSg、エンジン停止信号ESSg、およびエンジン回転数信号ERSgが含まれている。次に、ステップS503において、エンジン停止信号ESSg、またはエンジン回転数信号ERSgが、車両のエンジンの停止を知らせているか否かを判定する。
【0076】
車両のエンジンの停止を知らせている場合には、ステップS504において、発音体32に印加する駆動信号を車両内の静粛性に合わせて変更するように、音/音声合成手段30(図2)に指示する。
【0077】
この指示により、音/音声合成手段30は、制御手段25から警報指示があった場合に、変更された駆動信号で発音体32を吹鳴させる。なお、この駆動信号とは、この第1実施形態ではアンプ31の出力信号であり、変更された駆動信号とは、制御手段25で制御されるアンプ31のゲインを1ランク落とした駆動信号である。
【0078】
これにより、制御手段25は、発音体32に印加する駆動信号を車両内の静粛性に合わせて変更し、変更された駆動信号で発音体32を弱く吹鳴させることで、音圧レベルを低下させる。
【0079】
また、ステップS504の後は、ステップS506で始動スイッチがオフされたか否かを判定し、オフされていれば、制御を終了する。始動スイッチがオフされていなければ、ステップS503に戻り、以下の制御を繰り返す。
【0080】
なお、ステップS503において、エンジン停止ではない判定されたときは、ステップS505に進み、制御手段25内に多重通信ライン40で入力されている車速信号SSgを活用して、車両が停止しているか否か判定する。
【0081】
ステップS505において、車両停止と判断されたときは、ステップS504に進み、発音体32(図2)に印加する駆動信号を車両内の静粛性に合わせて変更するように、音/音声合成手段30に指示する。ステップS505において、車両停止でない場合は、ステップS506に進む。
【0082】
ステップS506では、始動スイッチがOFFされたか否かが判定され、始動スイッチOFFでなければ、ステップS503に戻り、以下上述と同様に制御を行う。また、始動スイッチがOFFであれば、制御を終了する。
【0083】
このように、車両のエンジンが停止した場合、または車両が停止した場合に、音圧レベルを低下させるため、車室内が静かになっても、突発的に吹鳴する発音体32の警報音に運転者が慌てることが少なく、注意が過度に発音体32に向かうことによる前方不注意等を抑止することができる。
【0084】
図6は、第1実施形態における発音体32の音圧の時間経過を示すグラフである。変更された駆動信号は、図6のように変更前の音圧に比べて、発音体の音圧を低下させているから、車室内が静かなときに合致した警報音となり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0085】
なお、発音体32の警報音と、通常のラジオ等のオーディオの発する音との相違は、オーディオの音の場合は、エンジン停止中や車両停止中において鳴り続けている場合があり、かつこの間において、音量が自由に変化する基本的に心地よい音であるのに対し、計器を収納するケースの内部の発音体32の警報音は、急に吹鳴する性格をもったコンテンツであり、運転者を必要以上に緊張させてしまう恐れがある点にある。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0087】
図7は、第2実施形態における発音体の音圧の時間経過を示すグラフである。図7において、変更前の音圧に比べて、変更後は、吹鳴の初期において、音圧が所定時間T1低下しており、その後、変更前の値と同レベルとなる。
【0088】
このように、変更された駆動信号は、段階的に変化する信号からなり、発音体32の音圧は、段階的に大きくなる。これによれば、車室内が静かなときに合致した警報音の大きさとなり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。また、最終的には通常の大きな警報音となるから、警報音に気づかないという可能性が少なくなる。
【0089】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0090】
図8は、本発明の第3実施形態における発音体の音圧と周波数との関係を示すグラフである。図8において、発音体の共鳴周波数をFbで示している。発音体32は、通常は共鳴周波数Fbの駆動信号を与えられて効率よく発音する。
【0091】
変更前の音圧に比べて、変更後は、音圧が低下して吹鳴するように、共鳴周波数Fbから所定量ずれた周波数F1またはF2の駆動信号に変更される。Foは、このときの周波数の推移を示すオフセット量である。特に、周波数の低いほうに推移させることにより、警報音の大きさを小さくしソフトな感じの警報音にすることができる。
【0092】
このように、発音体32の共鳴周波数Fbから遠ざかる方向の、周波数F1またはF2に変更されることにより、発音体32から出る警報音の音圧が低下し、車室内が静かなときに合致した警報音の大きさとなり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0093】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0094】
図9は、本発明の第4実施形態における発音体の吹鳴時間の変化を示すグラフである。図9において、発音体32の変更前の吹鳴時間を、Tbで示している。発音体32は、通常は、この吹鳴時間Tbに亘り駆動信号を与えられて発音する。駆動信号の変更後は、吹鳴時間がTpのように短くなる。
【0095】
これによれば、発音体32の吹鳴時間を短くしたから、車室内が静かなときに合致した警報音の大きさとなり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0096】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0097】
図10は、本発明の第5実施形態における発音体32の吹鳴時間の変化を示すグラフである。図10において、発音体32は、周期Tfで繰り返し所定時間吹鳴する。繰り返し吹鳴の一回分の吹鳴のうち、変更前の吹鳴時間をTbで示している。
【0098】
発音体32は、通常は、この吹鳴時間Tbに亘り、駆動信号を与えられて、周期Tfで繰り返し断続吹鳴する。駆動信号の変更後は、一回分の吹鳴時間がTpのように短くなる。
【0099】
このように、第5実施形態では、発音体32は断続音を発生するものからなり、変更された駆動信号は、発音体32の断続吹鳴周期を変更しないで、断続吹鳴周期毎の吹鳴幅を小さくした駆動信号からなる。このような断続音を発生する発音体32は、例えば、図示しない方向指示器やハザードランプの作動警報に使用できる。
【0100】
そして、発音体32の断続吹鳴周期を変更しないで、断続吹鳴周期ごとの吹鳴幅を小さくしたから、車室内が静かなときに合致した警報音の大きさとなり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0101】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0102】
図11は、本発明の第6実施形態における発音体32に印加される駆動信号のデューティ比の変化を示すグラフである。図11において、変更前の駆動信号は、デューティ比がDbのパルス列からなり、このパルス列が印加された圧電ホーンから鳴る発音体32が所定の音圧で発音する。
【0103】
変更された駆動信号は、発音体32に加わるパルス信号のパルス電圧のデューティ比をデューティ比Dbからデューティ比Dpのように下げた駆動信号からなる。これによれば、発音体32の音圧が低下するため、車室内が静かなときに合致した警報音の大きさとなり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0104】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0105】
図12は、本発明の第7実施形態における計器用制御装置の制御手段25で実行されるフローチャートのうち、図5のステップS504の駆動信号変更部分に相当する詳細図である。援用する図1のマルチディスプレイからなる第1の表示手段(表示部)D1は、タッチスイッチ機能を有し、図示しない画面上のタッチスイッチの操作により、メータ設定(カスタマイズ)モードを立ち上げることが可能である。
【0106】
このメータ設定モードにおいて、制御手段25を、発音体32の吹鳴音量の設定モードにして、発音体32の吹鳴音量を運転者の好みの値に設定することができる。この設定された設定値は、援用する図2の記憶手段26内に記憶される。
【0107】
図12において、ステップS504aにおいて、記憶手段26内にデフォルト値以外の設定値が記憶されているか否かを判定する。デフォルト値以外の設定値が記憶されていれば、ステップS504bに進み、記憶されている設定値に基づいて、変更された駆動信号が、音/音声合成手段30で生成され、アンプ31で増幅されて、発音体32が吹鳴する。
【0108】
また、ステップS504aにおいて、記憶手段26内に、デフォルト値以外の設定値が記憶されていないと判定された場合は、ステップS504cに進み、デフォルト値に基づいて、変更された駆動信号が生成される。
【0109】
この設定値は、上述した各実施形態または各実施形態の組み合わせに応じて設定することもできる。例えば、図12の実施形態を図7の実施形態と組み合わせた場合、時間T1が設定されている。
【0110】
また、図12の実施形態を図8の実施形態と組み合わせた場合は、周波数のオフセット量Foまたは変更後の周波数F1(F2)が設定されている。更に、図12の実施形態を図9、図10の実施形態と組み合わせた場合は、時間Tpが設定されている。
【0111】
また、図12の実施形態を、図11の実施形態と組み合わせた場合は、デューティ比Dpが設定されている。これらの記憶された設定値に基づいて、変更後の駆動信号が生成されて、発音体32に印加される。
【0112】
これによれば、変更された駆動信号は、記憶された設定値に従って生成されるから、予め好みの警報音の大きさに運転者が設定しておくことで、車両のエンジンの停止を知らせるエンジン停止信号ESSg、およびエンジン回転数信号ERSgのうちいずれか一方の信号に基づいて、自分の好みの大きさの警報音で警報が発せられる。従って、車室内が静かなときに合致した警報音の大きさとなり、運転者を驚かして、注意を過剰に引くことがなく、安全運転に寄与することができる。
【0113】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0114】
図13は、本発明の第8実施形態における車両用情報提供装置の一部電気回路図である。図2においては、動電型のスピーカ(コーンスピーカ)から発音体32を構成したが、発音体32は電圧を印加することで発音体自身が自励振動するベルやブザーによって構成することもできる。
【0115】
図13において、エンジン停止信号ESSg、エンジン回転数信号ERSg、および車速信号SSgが、図2の制御手段25相当部を含んだメータECU(電子制御ユニット)250に入力されている。
【0116】
そして、このメータECU250において、車両の停止またはエンジンの停止と判定されたときは、駆動用トランジスタ70のベースに印加される駆動信号のデューティ比が1ランク低下させられる。つまりパルス列のON時間を短くして発音体に印加される電圧の実効値または平均値を小さくする。なお、このときに、エンジンの停止と判定されたときに1ランク低下させ、なおかつ、車両の停止と判定されたときに、もう1ランク低下させても良い。
【0117】
これによって、電圧を印加することで発音体32自身が自励振動するベルやブザーによって構成された図13の発音体32は、車両内の暗騒音が低下したエンジンの停止時や車両の停止時において、発音する音圧が低下する。なお、発音体として、パルス列またはサイン波の周波数に応じて振動する圧電ホーンやスピーカを利用することもできる。この場合もトランジスタのON、OFF制御により、デューティ比を制御して、発音体に印加される実効値を小さくして、音圧を下げ、警報音の大きさを小さくすることができる。
【0118】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。この第9実施形態は、第8実施形態の変形例である。
【0119】
図14は、本発明の第9実施形態における車両用情報提供装置の一部電気回路図である。図14において、エンジン停止信号ESSg、エンジン回転数信号ERSg、および車速信号SSgがメータECU250に入力されている。
【0120】
図14において、通常時はトランジスタ70aがONして電流が抵抗71、発音体32、抵抗72、トランジスタ70aと流れて発音体32が吹鳴する。計器用制御装置をなすメータ用ECU250において、車両の停止またはエンジンの停止と判定されたときは、トランジスタ70aをOFFして、トランジスタ70bのONに切り替える。
【0121】
これにより、発音体32に直列に接続された抵抗が、抵抗72から、より抵抗値の大きい抵抗73に切り替わり、電圧降下が大きくなって、発音体32に印加される電圧が低下する。これによって、低下した電圧が発音体32に印加されることで、車両内の暗騒音が低下したエンジンの停止時や車両の停止時において、発音体32が発音する音圧が低下する。
【0122】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、交差点前の一時停止のときなどに、エンジンを切って省エネ運転を行い、発進時に自動的にエンジンをスタータで起動するアイドルストップ機能のついた車両を例にとって説明したが、バッテリの残容量のみで走行用モータを駆動して走る電気自動車(EV)または、走行用モータとエンジンを併用するハイブリッドカー(HEV)であって良い。
【0123】
これらの車両は、エンジンが止まる機会が増えたり、エンジンそのものを持たない車両であったりする。特に、車両停止時やエンジン停止時において、車室内が静かであり、本発明を適用するメリットが大きい。
【0124】
しかし、本発明は、通常のガソリン車やディーゼル車にも適用することができる。その理由は、近年の車両は、エンジン等の騒音が小さく、かつ車室内の機密性が高く、車外音が車室内に入り難くなっているためである。また、道路の混雑により車両停止の機会が増加しているためである。
【0125】
また、この発音体の用途は、計器を収納するケースの内部に接続された外部信号を活用して、計器を収納するケースの内部の制御手段により、計器を収納するケースの内部の発音体を吹鳴させる用途であれば良く、例えば、ウインカー作動音、キー抜き忘れ警報、ライト消し忘れ警報、シートベルト不着用警報、ドア開放走行警報、パーキングブレーキの解除忘れ警報、車両運転キーのバッテリ消耗警報、ブレーキを踏まないとエンジンがかけられないときの警報、バックするときの車室内警報音等への適用が考えられる。
【0126】
次に、図12においては、援用する図1のマルチディスプレイからなる第1の表示手段(表示部)D1の、タッチスイッチ機能を利用して、図示しない画面上のタッチスイッチの操作によりメータ設定(カスタマイズ)モードを立ち上げたが、このメータ設定(カスタマイズ)モードを立ち上げる方法は、既存の種々の方法を採用できる。
【0127】
そして、このメータ設定(カスタマイズ)モードにおいては、本発明に関係する設定の他に、例えば表示の言語を切り替える設定を行う等が知られている。また、ナビゲーション装置のディスプレイを活用したメータ設定(カスタマイズ)モードも知られている。
【0128】
次に、図12において、発音体32の吹鳴音量の設定モードにおいて、発音体32の吹鳴音の大きさを運転者の好みの値に設定することができ、この設定された設定値は、図2の記憶手段26内に記憶されることについて述べたが、設定にあったっては、音量調整機能を活用して、発音体32を鳴らしてモニタリングしながら、一旦気に入った任意の警報音の大きさに調整し、次回からは、その設定された警報音の大きさにて発音体を吹鳴させるように設定してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 車両用情報提供装置
2 警報表示装置(インジケータ)
3 エンジン回転計からなる第1の指針式表示部
4 燃料計からなる第2の指針式表示部
5 温度計からなる第3の指針式表示部
3、4、5、D1、D2 車両状態表示装置
20 車両情報端子
21 多重通信入出力端子
23 車両インターフェース(車両I/F)手段
23、25、26、27、30、31 計器用制御装置
25 制御手段
26 記憶手段
27 制御出力手段
29 聴覚情報提供手段
30 音/音声合成手段
31 アンプ
32 発音体(スピーカ)
41 走行制御装置
42 操作手段
51 回路基板
40 多重通信ライン
250 制御手段相当部を含んだメータECU
D1、D2 第1、第2の表示手段(第1、第2の表示部)
Db、Dp デューティ比
ERSg エンジン回転数信号(エンジン制御信号)
ESSg エンジン停止信号(エンジン制御信号)
Fb 発音体の共鳴周波数
Fo 周波数の推移量を示すオフセット量
SSg 車速信号(車両停止信号)
Tb 変更前の吹鳴時間
Tp 変更後の吹鳴時間
Tf 発音体の吹鳴する周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において警報音を発する条件が成立したときに、前記車両内の制御回路に接続された発音体により警報音を発する車両用情報提供装置であって、
前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中に前記制御回路を通して前記発音体に与える駆動信号を制御することにより、前記制御回路は、前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において、前記条件が成立したときに前記発音体が発する警報音を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前に前記発音体が発する警報音よりも小さくすることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項2】
前記車両のメータおよび表示器からなる車両状態表示装置を支持するケースを有し、前記ケース内に前記発音体が収納されており、前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中かどうかを、前記ケース内に収納され前記車両状態表示装置を制御する前記制御回路において、該制御回路に入力された外部信号を基に判定し、
前記外部信号は、前記車両状態表示装置を制御するエンジン停止信号、エンジン回転数信号、車速信号のうちいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載の車両用情報提供装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記発音体の警報音の大きさを設定する設定手段を有し、該設定手段を用いて前記車両の運転者により予め設定され、かつ記憶された設定値に基づいて、前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において前記発音体が発する警報音を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体が発する警報音よりも小さくすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用情報提供装置。
【請求項4】
前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において前記発音体が吹鳴する吹鳴時間の長さを、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体が吹鳴する吹鳴時間の長さよりも短くすることにより、前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において前記発音体が発する警報音を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体が発する警報音よりも小さくしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車両用情報提供装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記発音体が発する警告音を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前よりも小さくした後の前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体が発する警報音の大きさに戻すことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車両用情報提供装置。
【請求項6】
前記発音体は該発音体の共鳴周波数で振動することにより最も大きな警報音を発生し、前記発音体の前記共鳴周波数から遠ざかる方向に前記駆動信号の周波数を変更することにより、前記発音体が発する警報音を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前よりも小さくすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車両用情報提供装置。
【請求項7】
前記発音体の前記共鳴周波数から低い周波数の方に遠ざかる方向に、前記駆動信号の周波数を変更することにより、前記発音体が発する警報音の大きさを、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体が発する警報音の大きさよりも小さくすることを特徴とする請求項6に記載の車両用情報提供装置。
【請求項8】
前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において前記発音体に印加される電圧を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体に印加される電圧の大きさよりも低くすることにより、前記車両の停止中または前記車両のエンジンの停止中において前記発音体が発する警報音を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体が発する警報音よりも小さくしたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の車両用情報提供装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記発音体に印加される電圧の波形長さを短くして電圧のデューティ比を下げることにより、前記発音体に印加される電圧を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前における前記発音体に印加される電圧よりも低くすることを特徴とする請求項8に記載の車両用情報提供装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記発音体に直列接続された抵抗を、より大きな抵抗値のものに切り替えることにより、前記発音体に印加される電圧を、前記車両の停止前または前記車両のエンジンの停止前よりも低くすることを特徴とする請求項8に記載の車両用情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−220450(P2012−220450A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89437(P2011−89437)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】