説明

車両用操作装置

【課題】操作部と表示部とを物理的に異なる位置に配置する構成において、操作部と表示部との間に関連性及び一体感を効果的に持たせることができる車両用操作装置の提供。
【解決手段】本発明による車両用操作装置1は、表示機能を備える操作部10と、操作部10よりも運転席から遠い側に配置され、複数の情報項目を表示する表示ディスプレイ20と、処理装置30とを備え、処理装置30は、操作部上での所定の選択操作A,B,C,D,Eに応答して、表示ディスプレイ上に表示されている複数の情報項目のうちの選択された1つの情報項目の表示を、表示ディスプレイ上の表示画面から消去すると共に、消去された情報項目に対応する操作画面を、操作部上に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのディスプレイを用いる車両用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作スイッチが配置された操作部と、操作部における操作スイッチの配置位置及びその機能を表す操作メニュー画像を表示する表示部とを、車室内の物理的に離れた位置に別々に配置した車両用操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両用操作装置では、操作部を操作するユーザの手の画像をカメラで撮像し、当該手の画像を、操作メニュー画像を表示する表示部に重畳表示して、車載機器のいわゆるブラインド操作を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−69676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、運転席に対して近い側に操作部を配置し、運転席に対して遠い側(車両前方側)に表示部を配置する構成では、ユーザは、車両前方側の表示部を見ながら、手元側の操作部での操作が可能な場合があり、安全性の観点から有利である。他方、このような操作部と表示部とを物理的に異なる位置に配置する構成では、操作部と表示部との間で関連性を持たせつつ、一体感を出すことが有用である。
【0005】
この点、上記の特許文献1に記載するような、操作部を操作するユーザの手の画像をカメラで撮像して表示部に重畳表示するので、操作部と表示部は、異なる場所に存在しても、ユーザの手の画像がリンクとなって関連性及び一体感を保つことができる。しかしながら、このような手の画像を用いない構成では、操作部と表示部との一体感を出すのが一般的に困難である。例えば、表示機能を備える操作部と、表示部とにそれぞれ単に同一の表示画面を連動して表示した場合、二重表示となるだけであり、操作部と表示部との間の一体感としては不十分である。また、このような二重表示を行う構成の場合、操作部を見ながら操作する状況下では、操作部での操作に伴い表示部の表示が変化するので、ユーザ(運転者等)の注意が表示部の方にも引かれてしまい、操作部を見ながら行う操作部での操作に対する操作性が阻害される虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、操作部と表示部とを物理的に異なる位置に配置する構成において、操作部と表示部との間に関連性及び一体感を効果的に持たせることができる車両用操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、表示機能を備える操作部と、
前記操作部よりも運転席から遠い側に配置され、複数の情報項目を表示する表示ディスプレイと、
処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記操作部上での所定の選択操作に応答して、前記表示ディスプレイ上に表示されている複数の情報項目のうちの選択された1つの情報項目の表示を、前記表示ディスプレイ上の表示画面から消去すると共に、前記消去された情報項目に対応する操作画面を、前記操作部上に出力することを特徴とする、車両用操作装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作部と表示部とを物理的に異なる位置に配置する構成において、操作部と表示部との間に関連性及び一体感を効果的に持たせることができる車両用操作装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】車両内における車両用操作装置1の2つのディスプレイ10,20の配置状態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例による車両用操作装置1の主要構成のブロック図である。
【図3】表示ディスプレイ20とタッチ操作ディスプレイ10の間の表示画面の関係の一例を示す図である。
【図4】処理装置30により実現される主要処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す処理に関連したタッチ操作ディスプレイ10及び表示ディスプレイ20における画面の状態(画面の変化態様)の一例を示す図である。
【図6】ランチャ項目C’が選択された場合のタッチ操作ディスプレイ10上の操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0011】
図1は、車両内における車両用操作装置1の2つのディスプレイ10,20の配置状態の一例を示す概略図である。図2は、本発明の一実施例による車両用操作装置1の主要構成のブロック図である。
【0012】
車両用操作装置1は、図2に示すように、タッチ操作ディスプレイ10と、表示ディスプレイ20と、処理装置30とを含む。
【0013】
タッチ操作ディスプレイ10は、表示機能に加えて、ユーザ(例えば運転者)によりタッチ操作を検出する機能を備える。タッチ操作を検出する原理は、任意であり、感圧式であってもよいし、静電式であってもよい。尚、タッチ操作は、人の手によるタッチ操作や、ペン(スタイラス)などの器具によるタッチ操作を含んでよい。
【0014】
表示ディスプレイ20は、液晶ディスプレイのような任意の表示装置から構成される。表示ディスプレイ20は、表示機能のみを有するものであってよい(即ち、タッチ操作が可能でないディスプレイであってよい)。但し、表示ディスプレイ20は、タッチ操作ディスプレイ10と同様、タッチ操作が可能なディスプレイであってもよい。
【0015】
タッチ操作ディスプレイ10及び表示ディスプレイ20は、車室内の異なる位置に配置され、タッチ操作ディスプレイ10の方が表示ディスプレイ20よりもユーザ(特に運転者)に近い側に配置される。具体的には、図1に示すように、タッチ操作ディスプレイ10は、ユーザが操作しやすい位置、好ましくは、運転者が手を伸ばすだけで操作できるような位置に配置される。タッチ操作ディスプレイ10は、例えば、センターコンソール部に配置されてよいし、インストルメントパネルに配置されてもよい。他方、表示ディスプレイ20は、ユーザが見やすい位置、好ましくは、運転者が運転中の視野を大きく変えることなく見ることができるような位置に配置される。表示ディスプレイ20は、例えば、インストルメントパネル上面の中央部に配置されてよい。尚、表示ディスプレイ20の画面の大きさは、タッチ操作ディスプレイ10の画面の大きさよりも大きく設定されてよい。また、タッチ操作ディスプレイ10は、車室内に備え付けられる固定型であってもよいし、ユーザにより車室内に持ち込まれる携帯型であってもよい。後者の場合、タッチ操作ディスプレイ10は、ユーザにより車室内の持ち込まれるスマートフォン等により実現されてもよい。
【0016】
処理装置30は、図2に示すように、タッチ操作ディスプレイ10及び表示ディスプレイ20に接続される。尚、この接続は、有線であっても無線であってもよく、また、直接的な態様であっても間接的な態様であってもよい。処理装置30は、タッチ操作ディスプレイ10及び表示ディスプレイ20における表示画面(画像出力ないし映像出力)の生成(描画)及び出力処理を行うと共に、タッチ操作ディスプレイ10での各種操作に応じた各種機能を実現する処理を行う。処理装置30は、例えばグラフィックボードや描画ICを含んでよく、タッチ操作ディスプレイ10及び表示ディスプレイ20における各種表示画面の生成・出力のための各種処理を行う。また、処理装置30は、例えばマイクロコンピューターやDSP(digital signal processor)を含んでよく、タッチ操作ディスプレイ10上での各種操作に応じた操作信号を生成・出力する。尚、処理装置30の機能は、1つの専用の処理装置により実現されてもよいし、互いに異なる場所に配置された複数の処理装置により協動して実現されてもよい。例えば、処理装置30の機能の一部又は全部は、ナビゲーション装置のECUやエアコンECUにより実現されてもよい。また、処理装置30の機能の一部又は全部は、タッチ操作ディスプレイ10及び/又は表示ディスプレイ20に内蔵されてもよい。
【0017】
図3は、表示ディスプレイ20とタッチ操作ディスプレイ10の間の表示画面の関係の一例を示す図であり、図3(A)は、表示ディスプレイ20の表示画面の一例を示し、図3(B)は、タッチ操作ディスプレイ10の初期画面の一例を示す図である。
【0018】
表示ディスプレイ20には、タッチ操作ディスプレイ10で操作可能な複数の情報項目が表示される。図3(A)に示す例では、表示ディスプレイ20には、5つの情報項目A,B,C,D,Eが横方向に一列で表示され、両端の情報項目A,Bは、一部が表示ディスプレイ20の画面からはみ出して見えない状態である。尚、情報項目A,B,C,D,Eの数や配列態様は任意である。例えば、複数の情報項目は、縦方向や横方向若しくはその組み合わせで配列されてもよいし、ランダムな位置に配置されてもよい。また、図3(A)に示す例では、表示ディスプレイ20の画面サイズの制約等に起因して、表示ディスプレイ20上では両端の情報項目A,Bが部分的にしか表示されていないが、情報項目A,Bが全て表示されてもよいし、逆に情報項目A,Bが全く表示されなくしてもよい。尚、図3(A)に示す例では、表示ディスプレイ20上の最も中央の情報項目Dを最も大きく表示し、外側の情報項目C,Eを小さく表示し、更に外側の情報項目B,Aを更に小さく表示することで、画面全体に奥行き感を出している。即ち、表示ディスプレイ20上の最も中央の情報項目Dが最も前(ユーザ側)に出ており、外側の情報項目が後方に後退しているような奥行き感を出している。
【0019】
情報項目は、タッチ操作ディスプレイ10で操作可能な各種機能を表す項目を含んでよい。例えば、情報項目は、オーディオ機能、TV機能、空調機能、ナビゲーション機能、メール機能等を表すものであってよい。また、情報項目は、タッチ操作ディスプレイ10で表示可能な各種情報を表す項目を含んでもよい。例えば、情報項目は、燃費などの走行情報、エンターテイメント情報等を表すものであってよい。
【0020】
各情報項目は、アイコンの形態で表示ディスプレイ20に表示されてもよい。その際、各アイコンには、対応する機能を表す絵や文字(説明)が付与されてもよい。例えば、あるアイコンは、当該アイコンを選択した場合にタッチ操作ディスプレイ10でどのような操作が可能か(どのような機能を実現可能か)を表す絵や文字が付与されてもよい。また、あるアイコンは、当該アイコンを選択した場合にタッチ操作ディスプレイ10でどのような情報を見ることができるかを表す絵や文字が付与されてもよい。
【0021】
例えば、図3(A)に示す例では、情報項目Aは、TV機能に対応し、情報項目Aに係るアイコンには、“TV”という文字が表示されてもよい。或いは、情報項目Aに係るアイコンには、現在選局されているTV放送の映像が出力されてもよい。また、情報項目Bは、オーディオ機能に対応し、情報項目Bに係るアイコンには、“オーディオ”という文字が表示されてもよい。或いは、情報項目Bに係るアイコンには、現在再生されている音楽の状態(楽曲名やトラック番号等)を表す表示が出力されてもよい。また、情報項目Cは、空調機能に対応し、情報項目Cに係るアイコンには、“空調設定”という文字が表示されてもよい。或いは、情報項目Cに係るアイコンには、現在の空調装置の状態(設定温度やブロア風量等)を表す表示が出力されてもよい。また、情報項目Dは、ナビゲーション機能に対応し、情報項目Dに係るアイコンには、“ナビ画面”という文字が表示されてもよい。或いは、情報項目Dに係るアイコンには、現在の自車位置周辺の地図表示が出力されてもよい。また、情報項目Eは、燃費などの走行情報を表示する機能に対応し、情報項目Eに係るアイコンには、“走行情報”という文字が表示されてもよい。或いは、情報項目Eに係るアイコンには、走行情報の一部が出力されてもよい。
【0022】
表示ディスプレイ20上の画面において、情報項目の表示領域以外の表示領域には、任意の情報が出力されてよい。例えば、所定の背景画像(動画又は静止画)が出力されてもよい。動画の場合、例えば後方監視カメラでリアルタイムに撮像される車両後方の環境画像が出力されてもよい。また、静止画の場合、例えば所定色の画像やPCの壁紙等で使用される画像が出力されてもよい。
【0023】
タッチ操作ディスプレイ10には、表示ディスプレイ20にて表示される各情報項目に対応したランチャ項目が表示される。各ランチャ項目は、表示ディスプレイ20上の各情報項目の配列態様と同様の配列態様で表示されてよい。図3(B)に示す例では、タッチ操作ディスプレイ10には、3つのランチャ項目C’,D’,E’が表示されている。尚、図3(B)では、ランチャ項目の配列順序を示すための便宜上、実際にはタッチ操作ディスプレイ10に表示されていないランチャ項目A’,B’についても、タッチ操作ディスプレイ10外に示している。3つのランチャ項目C’,D’,E’は、図3(A)に示す表示ディスプレイ20上の中央の3つの情報項目C,D,Eに対応し、表示ディスプレイ20上の最も中央の情報項目が情報項目Dであることに対応し、タッチ操作ディスプレイ10上の最も中央のランチャ項目はランチャ項目D’となっている。尚、ランチャ項目A’,B’,C’,D’,E’の数や配列態様は、情報項目A,B,C,D,Eの数や配列態様に対応するものであれば、任意である。また、図3(B)に示す例では、タッチ操作ディスプレイ10の画面サイズの制約等に起因して、タッチ操作ディスプレイ10上ではランチャ項目A’,B’が表示されていないが、ランチャ項目A’,B’の一部又は全部が表示されてもよい。
【0024】
各ランチャ項目は、表示ディスプレイ20上の各情報項目と同様、アイコンの形態でタッチ操作ディスプレイ10に表示されてもよい。その際、各アイコンには、対応する機能を表す絵や文字(説明)が付与されてもよい。この場合、各アイコンには、表示ディスプレイ20上の各情報項目に係る各アイコンと同一の絵や文字(説明)が付与されてもよいし、各情報項目に係る各アイコンと異なる絵や文字が付与されてもよい。例えば、タッチ操作ディスプレイ10の画面サイズが表示ディスプレイ20よりも小さい場合には、各ランチャ項目に係るアイコンには、対応する各情報項目に係るアイコンに付与された情報よりも少ない情報が付与されてもよい。
【0025】
図4は、処理装置30により実現される主要処理の一例を示すフローチャートである。図5は、図4に示す処理に関連した説明図であり、図4に示す処理に関連したタッチ操作ディスプレイ10及び表示ディスプレイ20における画面の状態(画面の変化態様)の一例を示す図である。図5には、タッチ操作ディスプレイ10側の画面の状態が図の左側に示され、表示ディスプレイ20側の画面の状態が図の右側に示されている。図6は、ランチャ項目C’が選択された場合のタッチ操作ディスプレイ10上の操作画面の一例を示す図である。
【0026】
図5及び図6を参照しつつ、図4のフローチャートについて説明する。図4に示す処理ルーチンは、例えばイグニッションスイッチがオンされた時に起動され、その後、イグニッションスイッチがオフされるまで、所定周期毎に繰り返し実行されてよい。尚、図4に示す処理ルーチンの起動時(初期状態)、表示ディスプレイ20上には、例えば図3(A)に示すような画面が出力され、それに対応して、タッチ操作ディスプレイ10上には、図3(B)に示すような初期画面が出力されてよい。尚、起動時に最も中央に位置する情報項目(図3の例の場合は、情報項目D)は、デフォルト又はユーザにより設定された情報項目であってもよいし、前回の終了時に最も中央に位置する情報項目であってもよいし、或いは、過去の操作からの学習により特定された最も使用頻度が高い情報項目であってもよい。
【0027】
ステップ400では、タッチ操作ディスプレイ10上においてスクロール操作が検出されたか否かが判定される。スクロール操作は、表示ディスプレイ20上の画面及びそれに伴いタッチ操作ディスプレイ10上の画面を左右方向にスクロールさせるための操作であってよい。タッチ操作ディスプレイ10上においてスクロール操作が検出された場合は、ステップ402に進み、スクロール操作が検出されない場合は、ステップ404に進む。
【0028】
ステップ402では、タッチ操作ディスプレイ10上でのスクロール操作に応答して、表示ディスプレイ20上の画面がスクロールされると共に、それに連動してタッチ操作ディスプレイ10上の画面がスクロールされる。例えば、図5のS500にて手の動きを模式的に示すように、ユーザがタッチ操作ディスプレイ10上で指を左から右に動かすと、表示ディスプレイ20上の画面が右にスクロールされ、図3(A)に示す画面から図5のS502の画面へと遷移する。これに連動して、タッチ操作ディスプレイ10上の画面が右にスクロールされ、図3(B)に示す画面から図5のS501の画面へと遷移する。尚、タッチ操作ディスプレイ10上での指の移動量や移動速度に応じて、スクロール量が可変されてもよい。このスクロール操作に応じた処理が終了すると、次回周期の処理のためステップ400に戻る。
【0029】
このようにして、ユーザは、前方側の表示ディスプレイ20上の画面を見ながら、タッチ操作ディスプレイ10上でスクロール操作を行うことで、表示ディスプレイ20上で所望の情報項目を選択可能な位置に移動させることができる。
【0030】
ステップ404では、タッチ操作ディスプレイ10上においてランチャ項目の選択操作が検出されたか否かが判定される。選択操作は、タッチ操作ディスプレイ10上で選択可能な複数のランチャ項目から所望の1つのランチャ項目を選択する操作である。選択操作は、タッチ操作ディスプレイ10上における選択したいランチャ項目をタッチすることで実現されてもよいし、タッチ操作ディスプレイ10上における選択したいランチャ項目を、タッチしながら画面下方向に移動させる操作(即ち下方向のドラッグ操作)により実現されてもよい。後者の操作は、後述の表示ディスプレイ20上の特定の情報項目をタッチ操作ディスプレイ10上に引き込む(移動させる)動作(図5のS506,S508参照)と感覚的に対応する。タッチ操作ディスプレイ10上においてランチャ項目の選択操作が検出された場合、ステップ406に進み、選択操作が検出されない場合は、次回周期の処理のためステップ400に戻る。
【0031】
尚、タッチ操作ディスプレイ10上において選択可能なランチャ項目は、その時点でタッチ操作ディスプレイ10上に表示されているランチャ項目のいずれであってもよい。例えば図5のS500に示す画面では、ランチャ項目B’,C’,D’のいずれも選択可能とされてもよい。或いは、タッチ操作ディスプレイ10上において選択可能なランチャ項目は、その時点で表示ディスプレイ20上の画面で最も中央に位置する情報項目(図5のS502に示す画面では、情報項目C)に対応するランチャ項目のみであってもよい。この場合、タッチ操作ディスプレイ10上のどの位置で選択操作(例えば、下方向のドラッグ操作)を行っても、その時点で表示ディスプレイ20上の画面で最も中央に位置する情報項目が選択されることとしてよい。かかる構成によれば、ユーザは、タッチ操作ディスプレイ10を見なくても、表示ディスプレイ20の画面だけを見て所望のランチャ項目の選択操作を行うことができる。従って、この場合、タッチ操作ディスプレイ10においてランチャ項目の表示は省略されてもよい。
【0032】
ステップ406では、タッチ操作ディスプレイ10上でのランチャ項目の選択操作に応答して、表示ディスプレイ20上の画面から、タッチ操作ディスプレイ10上で選択されたランチャ項目に対応する情報項目が消去される。例えば図5に示す例では、例えばランチャ項目C’が選択されると(S504参照)、表示ディスプレイ20上の画面は、情報項目Cを含むS502に示す画面から、情報項目Cが抜けたS506に示す画面へと遷移する。
【0033】
尚、ステップ406において、選択されたランチャ項目に対応する情報項目が画面の最も中央に位置するように、表示ディスプレイ20上の画面をスクロールした上で、表示ディスプレイ20上の画面から、タッチ操作ディスプレイ10上で選択されたランチャ項目に対応する情報項目を消去することとしてもよい(但し、スクロールと消去の順序は逆でもよいし、同時でもよい)。このような処理は、表示ディスプレイ20上の画面で最も中央に位置する情報項目以外の情報項目が選択された場合に実行されてよい。
【0034】
ステップ408では、タッチ操作ディスプレイ10上でのランチャ項目の選択操作に応答して、タッチ操作ディスプレイ10において、選択されたランチャ項目(例えば対応するアプリ)が起動される。この結果、タッチ操作ディスプレイ10上に、選択されたランチャ項目(即ち選択された情報項目)に対応する操作画面が出力される。これにより、上記のステップ406の処理と相まって、あたかも表示ディスプレイ20上の選択された情報項目がタッチ操作ディスプレイ10上に移動してきたかのような感覚をユーザに与えることができ、タッチ操作ディスプレイ10と表示ディスプレイ20との一体感(2つで1つの操作装置を実現しているという感覚)を高めることができる。
【0035】
ここで、タッチ操作ディスプレイ10における選択された情報項目に対応する操作画面の表示自体は、表示ディスプレイ20上の選択された情報項目の表示と実質的に(サイズや後述の“戻る”釦の表示等を除き)同一であってもよい(図5のS508参照)。但し、タッチ操作ディスプレイ10の操作画面は、好ましくは、何らかの操作が可能な画面である。例えば、表示ディスプレイ20上で情報項目Dに係るアイコンに、現在の自車位置周辺の地図表示が出力されている状況下で、ランチャ項目D’が選択された場合、タッチ操作ディスプレイ10上には、その時点で表示ディスプレイ20に表示されている地図表示が実質的にそのまま出力されてもよい。この場合、ユーザは、タッチ操作ディスプレイ10上において、例えばスクロール操作を行うことで地図表示をスクロールさせることができる。また、例えば、表示ディスプレイ20上で情報項目Eに係るアイコンに、走行情報が出力されている状況下で、ランチャ項目E’が選択された場合、タッチ操作ディスプレイ10上には、その時点で表示ディスプレイ20に表示されている走行情報が実質的にそのまま出力されてもよい。この場合、例えば、ユーザは、タッチ操作ディスプレイ10上において、スクロール操作を行うことで他の走行情報を見たり、特定の走行情報をタッチ操作することで当該走行情報の詳細(例えば、リアルタイムでエコラン度合いを表すメータや履歴等)を見たりすることができる。
【0036】
或いは、タッチ操作ディスプレイ10における選択された情報項目に対応する操作画面は、表示ディスプレイ20上の選択された情報項目の表示と同一ではないが、表示ディスプレイ20上の選択された情報項目と関連するものであってよい。但し、この場合も、タッチ操作ディスプレイ10の操作画面は、好ましくは、何らかの操作が可能な画面である。例えば、表示ディスプレイ20上で情報項目Dに係るアイコンに、“ナビ画面”という文字が表示されている状況下で、ランチャ項目D’が選択された場合、タッチ操作ディスプレイ10上には、現在の自車位置周辺の地図表示画面がダイレクトに出力されてもよい。尚、この場合、ユーザは、タッチ操作ディスプレイ10上において、例えばスクロール操作を行うことで地図表示をスクロールさせることができる。また、例えば、表示ディスプレイ20上で情報項目Cに係るアイコンに、“空調設定”という文字が表示されている状況下で、ランチャ項目C’が選択された場合、タッチ操作ディスプレイ10上には、図6に示すような空調設定用操作画面がダイレクトに出力されてもよい。この場合、ユーザは、タッチ操作ディスプレイ10上において、各種釦を操作することで所望の空調設定を行うことができる。尚、タッチ操作ディスプレイ10の操作画面は、複数の階層で構成されてもよい。
【0037】
ステップ410では、タッチ操作ディスプレイ10上において“戻る”釦の操作(図5のS513参照)が検出されたか否かが判定される。“戻る”釦は、タッチ操作ディスプレイ10上の操作画面の所定の位置に設定されてもよい。例えば図5のS513に示す画面や図6に示す例では、“戻る”釦は、“BACK”という文字が付された釦で構成され、タッチ操作ディスプレイ10上の操作画面の端(図示の例では右上の角)に設定されている。“戻る”釦は、上記のステップ408で出力する操作画面上に最初から設定されていてもよい。タッチ操作ディスプレイ10上において“戻る”釦の操作が検出された場合は、ステップ414に進み、“戻る”釦の操作が検出されない場合は、ステップ411に進む。
【0038】
ステップ411では、タッチ操作ディスプレイ10上において他の操作(即ち“戻る”釦の操作以外の操作)が検出されたか否かが判定される。他の操作は、操作画面に応じて異なるが、例えば移動、選択、確定、変更などを目的とした操作であって、タッチ操作、ドラッグ操作、ストローク操作(図5のS512参照)等であってよい。タッチ操作ディスプレイ10上において他の操作が検出された場合は、ステップ412に進み、他の操作が検出されない場合は、次回周期の処理のためステップ410に戻る。
【0039】
ステップ412では、上記ステップ411で検出された操作に対応する機能が実現される。例えば検出された操作が、例えば空調装置の設定に関する操作である場合、操作内容を表す情報(信号)が生成され、空調装置またはそれを制御するエアコンECUに送信されてよい。例えば風量や温度が設定された場合、エアコンECUは、設定された風量や温度が実現されるように、ブロアモータ(送風機)や、エアミックスドアの開度、ヒータ、コンプレッサ、電動ウォータポンプ等を制御してもよい。また、操作画面の切替(階層の切替等)やスクロール等を目的とする操作の場合、当該操作に応じた操作画面の切替等が実現されてよい。
【0040】
ステップ414では、タッチ操作ディスプレイ10上での“戻る”釦の操作に応答して、表示ディスプレイ20上の画面に、上記ステップ406で消去した情報項目が復帰される。即ち、表示ディスプレイ20上の画面を、上記ステップ406の処理を行う前の状態に戻す(図5のS514参照)。
【0041】
ここで、表示ディスプレイ20上の画面は、上記ステップ406の処理後、本ステップ414の処理までの間は、上記ステップ406の処理後の状態、即ち選択された情報項目が消去された状態(図5のS506参照)を維持する。従って、この間、表示ディスプレイ20上の画面において、選択された情報項目が消去された表示領域には、初期画面における情報項目以外の表示領域と同様、所定の背景画像(動画又は静止画)が出力されてよい。この背景画像は、タッチ操作ディスプレイ10上の操作画面とは無関係な画像であるので、タッチ操作ディスプレイ10上での操作に連動して変化しない(即ち、選択操作時を除き、タッチ操作ディスプレイ10での操作時に二重表示とならない)。これにより、タッチ操作ディスプレイ10の操作画面を見ながら行うタッチ操作ディスプレイ10の操作中に、ユーザの注意が表示ディスプレイ20へと向けられる可能性が低減され、タッチ操作ディスプレイ10の操作性を良好に維持することができる。
【0042】
ステップ416では、タッチ操作ディスプレイ10上での“戻る”釦の操作に応答して、タッチ操作ディスプレイ10上の画面が、操作画面から初期画面に戻され、次回周期の処理のためステップ400に戻る。これにより、上記のステップ414の処理と相まって、あたかもタッチ操作ディスプレイ10上の操作画面が表示ディスプレイ20上に戻されるかのような感覚をユーザに与えることができ、タッチ操作ディスプレイ10と表示ディスプレイ20との一体感を高めることができる。尚、本ステップ416で操作画面から戻される初期画面において、ランチャ項目の配列順(どのランチャ項目が最も中央に位置するか)は、任意の態様で決定されてもよい。例えば、ランチャ項目の配列順は、図5の処理ルーチンの起動時の初期画面における配列順に対応してもよいし、或いは、操作画面に切り替わる直前の初期画面(図5のS504の画面)における配列順に対応してもよい。
【0043】
尚、図4に示す処理は、一旦、ある特定の1つのランチャ項目を選択すると、その後、“戻る”釦を操作しない限り、他のランチャ項目を選択できないように構成されている。例えば、ある特定の1つのランチャ項目を選択して、図4のS404の肯定判定を経ると、“戻る”釦の操作により初期画面に戻してから(S410の肯定判定、S414,S416)でないと、他のランチャ項目を選択できない。これに対して、タッチ操作ディスプレイ10上に操作画面が表示されている状況下でも、他のランチャ項目を選択できるように構成することも可能である。この場合、タッチ操作ディスプレイ10上に操作画面に、他のランチャ項目を選択するためのランチャ変更釦を設定すればよい。このランチャ変更釦は、任意の態様であってよいが、例えば、他のランチャ項目をダイレクトに選択するための釦であってもよいし、或いは、図5のS506の画面をスクロールさせるスクロール釦と、図5のS506の画面の最も中央の情報項目に対応するランチャ項目を選択する決定釦の組み合わせであってもよい。いずれにしても、タッチ操作ディスプレイ10上で他のランチャ項目が選択された場合は、タッチ操作ディスプレイ10上には、選択された他のランチャ項目に対応する操作画面が表示される。他方、表示ディスプレイ20上の画面は、消去されていた情報項目が復帰されると共に(図5のS514参照)、新たに選択された他のランチャ項目に対応する情報項目が消去される(図5のS506参照)。この場合、必要に応じて、新たに選択された他のランチャ項目に対応する情報項目が画面の最も中央に位置するように、表示ディスプレイ20上の画面がスクロールされてもよい。
【0044】
以上説明した本実施例による車両用操作装置1よれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0045】
上述の如く、視認性と操作性の双方を維持する観点から遠方側の表示ディスプレイ20と手元側のタッチ操作ディスプレイ10を用いる構成において、表示ディスプレイ20側で表示されている特定の情報項目をタッチ操作ディスプレイ10にて選択して、タッチ操作ディスプレイ10へと引き込んで(移動させて)から、タッチ操作ディスプレイ10で操作を行い、タッチ操作ディスプレイ10での操作が終了すると、表示ディスプレイ20側に情報項目を戻すという一体感の高い連動態様で、表示ディスプレイ20とタッチ操作ディスプレイ10とを効果的に協動させることができる。また、これにより、タッチ操作ディスプレイ10での操作中において、表示ディスプレイ20とタッチ操作ディスプレイ10での二重表示を防止して、高い操作性を維持することができる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0047】
例えば、上述した実施例において、表示ディスプレイ20上の情報項目の配列(及びそれに伴いタッチ操作ディスプレイ10上のランチャ項目の配列)は、ユーザにより可変されてもよい。また、表示ディスプレイ20上の情報項目(及びそれに伴いタッチ操作ディスプレイ10上のランチャ項目)は、例えば外部情報センターからダウンロードすることで、追加されてもよいし、更新されてもよい。また、表示ディスプレイ20上の情報項目(及びそれに伴いタッチ操作ディスプレイ10上のランチャ項目)は、ユーザの選択により削除されてもよい。
【0048】
また、上述した実施例において、タッチ操作ディスプレイ10の“戻る”釦(図5のS513の“BACK”参照)は、操作画面に移行したときに現れるタッチスイッチにより構成されているが、“戻る”釦は、タッチ操作ディスプレイ10の周囲に常設される専用スイッチであってもよい。この場合、“戻る”釦は、感圧式のスイッチや静電式のスイッチの他、メンブレンスイッチや、タクトスイッチ(プッシュスイッチを含む)のような任意のスイッチにより実現されてもよい。尚、メンブレンスイッチは、上部接点シートと下部接点シートの間に、穴が開いた絶縁物(スペーサー)を挟み貼り合わせ、上部接点を押下して導通させるスイッチをいう。
【0049】
また、上述した実施例では、タッチ操作ディスプレイ10上でのランチャ項目の選択操作に応答して、表示ディスプレイ20上の画面から、タッチ操作ディスプレイ10上で選択されたランチャ項目に対応する情報項目が完全に消去されているが、情報項目の消去態様は多様でありうる。例えば、情報項目の外枠(アイコンの外枠)だけを残して、中身の文字や絵などを消去する態様も可能である。或いは、タッチ操作ディスプレイ10上で選択されたランチャ項目に対応する情報項目は、表示ディスプレイ20上で縮小して見立たなくしたり、輝度を低減したり(トーンダウンしたり、非アクティブ化したり)することで、実質的に消去されてもよい。尚、トーンダウンしたり、非アクティブ化したりする構成では、“戻る”釦が操作されるまで、表示ディスプレイ20上の当該情報項目は固定されてよい(即ちタッチ操作ディスプレイ10上での操作に伴う操作画面の変化に連動しないで固定されてよい)。
【0050】
また、上述した実施例では、操作部は、表示機能と操作機能が一体化したタッチ操作ディスプレイ10により構成されているが、操作部における表示機能と操作機能とは必ずしも一体である必要ない。即ち、操作部は、表示機能を備えないタッチ操作部と、表示機能を実現する操作用ディスプレイとにより構成されてもよい。この場合、上述の実施例におけるタッチ操作ディスプレイ10の表示機能は、操作用ディスプレイにより実現され、上述の実施例におけるタッチ操作ディスプレイ10の操作機能は、タッチ操作部により実現されればよい。尚、タッチ操作部は、静電式であってもよいし(例えば静電パッド)、感圧式であってもよいし、検出方式は任意である。また、操作用ディスプレイは、任意のディスプレイであってよいが、タッチ操作部の近傍に配置される。例えば、タッチ操作部は、操作用ディスプレイの前側(運転者側)に隣接して配置されてよい。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用操作装置
10 タッチ操作ディスプレイ
20 表示ディスプレイ
30 処理装置
A,B,C,D,E 情報項目
A’,B’,C’,D’,E’ ランチャ項目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示機能を備える操作部と、
前記操作部よりも運転席から遠い側に配置され、複数の情報項目を表示する表示ディスプレイと、
処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記操作部上での所定の選択操作に応答して、前記表示ディスプレイ上に表示されている複数の情報項目のうちの選択された1つの情報項目の表示を、前記表示ディスプレイ上の表示画面から消去すると共に、前記消去された情報項目に対応する操作画面を、前記操作部上に出力することを特徴とする、車両用操作装置。
【請求項2】
前記処理装置は、前記操作部に設定された“戻る”釦の操作に応答して、前記操作部上に出力された操作画面を初期画面に戻すと共に、前記表示ディスプレイ上の表示画面に、前記操作画面に対応する情報項目の表示を復帰させる、請求項1に記載の車両用操作装置。
【請求項3】
前記処理装置は、前記所定の選択操作後、前記“戻る”釦の操作までの間、前記表示ディスプレイ上の表示画面における前記消去された情報項目が表示されていた領域には、所定の背景表示を出力する、請求項2に記載の車両用操作装置。
【請求項4】
前記操作部上に表示される初期画面は、前記表示ディスプレイ上に表示されている複数の情報項目に対応して配列された複数のランチャ項目の表示を含み、
前記処理装置は、前記操作部に初期画面が表示されている状況下で、前記操作部上でのスクロール操作に応答して、前記操作部の初期画面をスクロールすると共に、それに連動して前記表示ディスプレイ上の表示画面をスクロールする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の車両用操作装置。
【請求項5】
前記操作部は、タッチ操作ディスプレイを含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の車両用操作装置。
【請求項6】
前記操作部は、タッチ操作部と、前記タッチ操作部の近傍に配置される操作用ディスプレイとを含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の車両用操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−33451(P2013−33451A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130272(P2012−130272)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】