説明

車両用方向指示装置

【課題】簡素な構成で視認性を向上させることができる車両用方向指示装置を提供する。
【解決手段】車両用方向指示装置1は、点滅することで車両2の進行方向を指示する方向指示灯10、11を備えている。車両2は、側面のドア20、21に、前後方向に延びるサイドモール22、23をそれぞれ備えている。方向指示灯10、11は、サイドモール22、23の全体をなしている。これより、車両用方向指示装置1を作動させることで、サイドモール22、23の全体が点滅することとなる。そのため、点滅する領域を前後方向に拡張することができる。従って、従来のようにアクチュエータ等を用いることなく、簡素な構成で視認性を向上させることができる。また、車両2のデザインを大きく損なうこともない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滅することで車両の進行方向を指示する車両用方向指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点滅することで車両の進行方向を指示する車両用方向指示装置として、例えば特許文献1に開示されているウインカー装置がある。このウインカー装置は、ウインカーランプ体と、アクチュエータとを備えている。通常、ウインカーランプ体は、フェンダーパネルの内部空間に格納されている。右左折に伴ってウインカースイッチを投入すると、アクチュエータが作動する。ウインカーランプ体は、ロッド及びレバーを介して伝達されるアクチュエータの駆動力によって格納位置から起立し、点滅する。これより、ウインカーランプ体の視認性を向上させることができる。
【特許文献1】特開2004−203204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述したウインカー装置では、アクチュエータや、アクチュエータの駆動力を伝達するロッド及びレバーが必要となる。そのため、構造が複雑になるという問題があった。また、それに伴って、コストが上昇してしまうという問題もあった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成で視認性を向上させることができる車両用方向指示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
そこで、本発明は、この課題を解決すべく、車両の側面に取付けられたサイドモール又はサイドバンパーに方向指示手段を設置することで、簡素な構成で視認性を向上できるものである。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の車両用方向指示装置は、車両に設置され、点滅することで車両の進行方向を指示する方向指示手段を有する車両用方向指示装置において、車両は、側面に設置され、前後方向に延びるサイドモール又はサイドバンパーを有し、方向指示手段は、サイドモール又はサイドバンパーの少なくとも一部をなしていることを特徴とする。この構成によれば、車両は、側面に、前後方向に延びるサイドモール又はサイドバンパーを有している。方向指示手段は、サイドモール又はサイドバンパーの少なくとも一部をなしている。これより、車両用方向指示装置を作動させることで、サイドモール又はサイドバンパーの少なくとも一部が点滅することとなる。そのため、点滅する領域を前後方向に拡張することができる。従って、従来のようにアクチュエータ等を用いることなく、簡素な構成で視認性を向上させることができる。また、車両のデザインを大きく損なうこともない。
【0007】
請求項2に記載の車両用方向指示装置は、請求項1に記載の車両用方向指示装置において、方向指示手段は、サイドモール又はサイドバンパーの全体をなすことを特徴とする。この構成によれば、車両用方向指示装置を作動させることで、サイドモール又はサイドバンパーの全体が点滅することとなる。そのため、より視認性を向上させることができる。
【0008】
請求項3に記載の車両用方向指示装置は、請求項1又は2に記載の車両用方向指示装置において、サイドモールは、少なくとも車両のドアに設置されていることを特徴とする。この構成によれば、車両用方向指示装置を作動させることで、車両のドアに設置されたサイドモール部分が点滅することとなる。そのため、点滅する領域を確実に拡張することができる。従って、確実に視認性を向上させることができる。
【0009】
請求項4に記載の車両用方向指示装置は、請求項1又は2に記載の車両用方向指示装置において、サイドバンパーは、少なくとも前後輪の間に設置されていることを特徴とする。この構成によれば、車両用方向指示装置を作動させることで、前後輪の間に設置されたサイドバンパー部分が点滅することとなる。そのため、点滅する領域を確実に拡張することができる。従って、確実に視認性を向上させることができる。
【0010】
請求項5に記載の車両用方向指示装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用方向指示装置において、方向指示手段は、間隔をあけて設置された複数の発光部材を有することを特徴とする。この構成によれば、サイドモール部分又はサイドバンパー部分を確実に点滅させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0012】
まず、図1を参照して車両用方向指示装置の構成について説明する。なお、車両用方向指示装置は、車両の左右両側面に方向指示灯を備えているが、左右対象で同様の構成であるため、ここでは、車両の左側面について説明する。ここで、図1は、本実施形態における車両用方向指示装置が搭載された車両の左側面図である。なお、図中における前後方向及び上下方向は、車両の前後方向及び上下方向を示すものである。
【0013】
車両用方向指示装置は、車両の右左折時に車両の進行方向を指示する装置である。図1に示すように、車両用方向指示装置1は、点滅することで車両2の進行方向を指示する方向指示灯10、11(方向指示手段)を備えている。
【0014】
車両2は、側面に、前後方向に延びるサイドモール22、23を備えている。具体的には、ドア20、21に、前後方向に延びるサイドモール22、23をそれぞれ備えている。サイドモール22、23は、他車両のドアの接触等から自車両2のドア20、21を保護するための樹脂からなる長方形板状の部材である。
【0015】
方向指示灯10、11は、サイドモール22、23の全体をなしている。
【0016】
次に、図2〜図4を参照して方向指示灯の構成について説明する。ここで、図2は、図1における方向指示灯周辺の拡大図である。具体的には、ドア20の方向指示灯周辺の拡大図である。図3は、図2におけるA−A矢視断面図である。図4は、図2におけるB−B矢視断面図である。なお、図中における前後方向及び上下方向は、車両の前後方向及び上下方向を示すものである。
【0017】
図2〜図4に示すように、方向指示灯10は、複数の発光ダイオード100(発光部材)と、プリント基板101と、カバー102とを備えている。
【0018】
発光ダイオード100は、電流が流れることで発光する素子である。
【0019】
プリント基板101は、発光ダイオード100を配線するための長方形板状の部材である。プリント基板101の表面には、発光ダイオード100を配線するためのパターンが形成されている。発光ダイオード100は、プリント基板101の長手方向に等間隔に配置され、接続されている。
【0020】
カバー102は、所定色の透光性を有する樹脂なる長方形板状の部材である。カバー102は、サイドモール22の上下方向中央部に形成された、前後方向に延びる
長方形状の孔部220に嵌込まれ、固定されている。
【0021】
図3に示すように、発光ダイオード100の接続されたプリント基板101は、サイドモール22とドア20の凹部200によって形成される空間201に設定されている。より具体的には、図3及び図4に示すように、プリント基板101の長手方向を車両2に前後方向に向けるとともに、発光ダイオード100の発光部100aをカバー102側に向けた状態で設置されている。これにより、方向指示灯100が、サイドモール22をなすこととなる。
【0022】
図1に示す方向指示灯11についても同様の構成である。また、車両2の右側面の方向指示灯についても同様の構成である。
【0023】
最後に、効果について説明する。本実施形態によれば、車両2は、側面のドア20、21に、前後方向に延びるサイドモール22、23を有している。方向指示灯10、11は、サイドモール22、23の全体をなしている。これより、車両用方向指示装置1を作動させることで、サイドモール22、23の全体が点滅することとなる。そのため、点滅する領域を前後方向に拡張することができる。従って、従来のようにアクチュエータ等を用いることなく、簡素な構成で視認性を向上させることができる。また、車両2のデザインを大きく損なうこともない。
【0024】
また、本実施形態によれば、発光ダイオード100は、長方形板状のプリント基板101の長手方向に等間隔に配置され、接続されている。そして、発光ダイオード100の接続されたプリント基板101は、長手方向を車両2に前後方向に向けるとともに、発光ダイオード100の発光部100aをカバー102側に向けた状態で設置されている。これにより、サイドモール22の前方端部から後方端部の全体にかけて、発光ダイオード100が、間隔をあけて設置されることとなる。従って、サイドモール22全体を確実に点滅させることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、方向指示灯10、11が、サイドモール22、23の全体をなしている例を挙げているが、これに限られるものではない。サイドモールの少なくとも一部をなしていればよい。
【0026】
また、本実施形態では、サイドモール22、23が、ドア20、21のみに設置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。少なくともドアに設置されていればよい。
【0027】
さらに、本実施形態では、方向指示灯10、11が、サイドモール22、23をなしている例を挙げているが、これに限られるものではない。図5に示すように、トラック3においては、歩行者等の巻込みを防止するため、前後の車輪30、31の間にサイドバンパー32を備えている。方向指示灯40(方向指示手段)は、このサイドバンパー32の少なくとも一部をなしていてもよい。この場合も同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態における車両用方向指示装置が搭載された車両の左側面図である。
【図2】図1における方向指示灯周辺の拡大図である。
【図3】図2におけるA−A矢視断面図である。
【図4】図2におけるB−B矢視断面図である。
【図5】変形形態における車両用方向指示装置が搭載されたトラックの左側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・車両用方向指示装置、10、11、・・・方向指示灯(方向指示手段)、100・・・発光ダイオード(発光部材)、100a・・・発光部、101・・・プリント基板、102・・・カバー、2・・・車両、20、21・・・ドア、200・・・凹部、201・・・空間、22、23・・・サイドモール、220・・・孔部、3・・・トラック、30、31・・・車輪、32・・・サイドバンパー、40・・・方向指示灯(方向指示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置され、点滅することで前記車両の進行方向を指示する方向指示手段を有する車両用方向指示装置において、
前記車両は、側面に設置され、前後方向に延びるサイドモール又はサイドバンパーを有し、
前記方向指示手段は、前記サイドモール又は前記サイドバンパーの少なくとも一部をなしていることを特徴とする車両用方向指示装置。
【請求項2】
前記方向指示手段は、前記サイドモール又は前記サイドバンパーの全体をなすことを特徴とする請求項1に記載の車両用方向指示装置。
【請求項3】
前記サイドモールは、少なくとも前記車両のドアに設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用方向指示装置。
【請求項4】
前記サイドバンパーは、少なくとも前後輪の間に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用方向指示装置。
【請求項5】
前記方向指示手段は、間隔をあけて設置された複数の発光部材を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用方向指示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−179077(P2009−179077A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17320(P2008−17320)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】