説明

車両用検知装置、異常検知方法および異常検知プログラム

【課題】車両が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両内外における異常を的確に検知することが可能な車両用検知装置、異常検知方法および異常検知プログラムを提供する。
【解決手段】車両50内に設置され、電波を送信するための送信アンテナ1と、車両50内に設置され、電波を受信するための受信アンテナ2,3,4,5と、受信アンテナ2,3,4,5が受信した電波に基づいて空間特徴量P(t)を算出し、算出した空間特徴量P(t)に基づいて車両50の外部における人間の動作および車両50の内部への人間の侵入動作を検知するための異常検知演算部6と、を備えることにより、たとえば、犯罪者が車両50に対して犯罪行為を開始する前に、犯罪者の車両50への接近を検知することができるため、犯罪行為が行われる前に犯罪者に威嚇をして犯罪行為をあきらめさせるなど、犯罪を未然に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用検知装置、異常検知方法および異常検知プログラムに関し、特に、空間特徴量を用いて人間の動作を検知する車両用検知装置、異常検知方法および異常検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内等の所定エリアにおいて、人の動作を検知する侵入検知装置が開発されている。侵入検知方法の一例として、たとえば、「UWB−IRによる屋内侵入者検知に関する検討」寺阪圭司 他、電子情報通信学会論文誌B、第J90-B巻、第1号、pp.97-100、2007年1月1日(非特許文献1)には、UWB−IR(Ultra WideBand-Impulse Radio)による伝搬遅延プロファイルすなわち電力遅延プロファイルを用いる方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、広帯域の信号を用いることから他の無線サービスとの干渉が問題となり、また、受信信号の電力を用いることから屋内におけるマルチパスフェージングの影響を受け、検出精度が劣化する場合がある。
【0004】
このような問題点を解決するための技術として、たとえば、特開2008−216152号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、イベント検出装置は、各アレイアンテナの受信信号に基づいて固有ベクトルすなわち到来角分布を計算し、当該固有ベクトルと、比較基準となる平時の固有ベクトルとの内積値を計算する。そして、イベント検出装置は、この内積値と所定の閾値との比較結果に基づいて、イベントの発生すなわち侵入者の検知を行なう。
【0005】
また、人の動作を検知して車両に異常が発生したことを警報する車両用検知装置の一例として、たとえば、車両に超音波センサを搭載し、犯罪者がガラスを割って車内に侵入した場合など、車両に異常が発生したことを検知してサイレンを鳴らす技術が開示されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「UWB−IRによる屋内侵入者検知に関する検討」寺阪圭司 他、電子情報通信学会論文誌B、第J90-B巻、第1号、pp.97-100、2007年1月1日
【非特許文献2】“日産純正セキュリティシステム”、[online]、[平成23年8月10日検索]、インターネット〈URL:http://www.nissan.co.jp/OPTIONAL-PARTS/SECURITY/security01.html〉
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−216152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献2に記載の技術では、気体中において減衰しやすい超音波を使用しているため、車両外の人間の動きを検知することができず、車両が被害を受けるまで異常の発生を検知することができないという問題があった。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車両が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両内外における異常を的確に検知することが可能な車両用検知装置、異常検知方法および異常検知プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる車両用検知装置は、車両内に設置され、電波を送信するための送信アンテナと、上記車両内に設置され、上記電波を受信するための受信アンテナと、上記受信アンテナが受信した上記電波に基づいて空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記車両の外部における人間の動作および前記車両の内部への人間の侵入動作を検知するための異常検知演算部と、を備える。
【0011】
このような構成により、車両が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両内外における異常を的確に検知することができる。たとえば、犯罪者が車両に対して犯罪行為を開始する前に、犯罪者の車両への接近を検知することができるため、犯罪行為が行われる前に犯罪者に威嚇をして犯罪行為をあきらめさせるなど、犯罪を未然に抑制することができる。
【0012】
また、たとえば車両のドアの開閉または車両の窓ガラスの破損などを検知することができるため、車両に異常が発生したことを早期に所有者または警備会社等に通報することができる。
【0013】
(2)より好ましくは、上記車両用検知装置は、複数の上記受信アンテナを備え、上記異常検知演算部は、複数の上記受信アンテナにおいて受信された上記電波に基づいて上記空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて上記車両への人間の接近方向を検知する。
【0014】
このような構成により、たとえば3本以上の受信アンテナを設置する場合、異常検知演算部は2本の受信アンテナの組み合わせごとに空間特徴量を算出し、車両の内外の人間の動作を検知することができるため、受信アンテナの組み合わせに対応する受信エリアを、人間の動作が検知されたエリアとして特定することができる。
【0015】
また、インパルス応答等、送信アンテナが帯域幅を持つ電波を送信する場合には、異常検知演算部は各受信アンテナが受信した電波ごとに空間特徴量を算出することにより、各受信アンテナの受信エリア別に、人間の動作を検知することができる。
【0016】
(3)好ましくは、上記受信アンテナは、上記車両内の天井に設置される。
【0017】
このような構成により、受信アンテナは、下方からの電波も受信しやすくなるため、人間が車両付近にかがんでいるような場合であっても、精度よく人間の動作を検知することができる。
【0018】
また、車両用検知装置が複数の受信アンテナを備える場合には、車両内のレイアウトに大きく影響されることなく、複数の受信アンテナ同士を、互いに間隔を広くあけて設置することができるため、受信感度を向上させることができる。
【0019】
また、受信アンテナを車両の天井の内装品の内側に設置し、ルーフ部分と内装品との間に配線を施すことができるため、車内の美観を損ねることがない。
【0020】
(4)より好ましくは、上記送信アンテナは、上記車両内の天井に設置される。
【0021】
このような構成により、送信アンテナは、下方へも電波を到達させやすくなるため、人間が車両付近にかがんでいるような場合であっても、精度よく人間の動作を検知することができる。
【0022】
また、送信アンテナを車両の天井の内装品の内側に設置し、ルーフ部分と内装品との間に配線を施すことができるため、車内の美観を損ねることがない。
【0023】
(5)より好ましくは、上記受信アンテナは、指向性アンテナである。
【0024】
このような構成により、受信アンテナの指向性の方向を車両の外部方向とすることで、受信アンテナが、車両の外部において反射された電波を受信する確率を高めることができる。
【0025】
(6)好ましくは、上記車両用検知装置は、4つの上記受信アンテナを備え、上記4つの受信アンテナは、上記車両における、右前方、右後方、左前方および左後方にそれぞれ設置される。
【0026】
このように、間隔を広くあけて複数の受信アンテナを設置することにより、車両の周囲を各受信アンテナの受信エリアに区切ることができる。また、区切られた受信エリアごとに人間の動作を検知することにより、車両の周囲において人間の動作が検知されたエリアをさらに細かく特定することができる。
【0027】
(7)好ましくは、上記車両用検知装置は、4つの上記受信アンテナを備え、上記4つの受信アンテナは、上記車両における、前方であって左右方向略中央、後方であって左右方向略中央、右側であって前後方向略中央および左側であって前後方向略中央にそれぞれ設置される。
【0028】
このように、間隔を広くあけて複数の受信アンテナを設置することにより、車両の周囲を各受信アンテナの受信エリアに区切ることができる。また、区切られた受信エリアごとに人間の動作を検知することにより、車両の周囲において人間の動作が検知されたエリアをさらに細かく特定することができる。
【0029】
また、車両の前方または後方から人間が接近する場合、車両の前方または後方に設置される各受信アンテナと接近する人間との距離が短いため、算出される空間特徴量が大きくなり、人間の動作を検知しやすい。
【0030】
(8)より好ましくは、上記異常検知演算部は、算出した各上記空間特徴量に基づいて、上記人間の動作を検知した方向を、上記車両における、前方、後方、右側方または左側方のいずれに人間が存在するかを判別する。
【0031】
このような構成により、運転席付近などといった特定のエリアだけでなく、車両の周囲の全域について、人間の動作が検知されたエリアを判別することができる。
【0032】
(9)好ましくは、上記車両用検知装置は、さらに、上記異常検知演算部が上記人間の動作を検知した場合には、光による警告を行うための警告部を備える。
【0033】
このような構成により、車両を目視している人間に対してのみ威嚇することができるため、車両の横を通りすぎる通行人に対して威嚇するという不都合を防ぐことができる。
【0034】
(10)好ましくは、上記警告部は、上記異常検知演算部が人間の動作を検知した場合には、上記車両の内部であって上記車両の外部から目視可能な位置に設置される警告灯を点灯させる。
【0035】
このような構成により、車両の内部に関心のある人間に対してのみ威嚇することができる。
【0036】
(11)好ましくは、上記車両用検知装置は、さらに、上記車両の外部から目視可能であり、かつ上記車両の互いに異なる位置に複数設置される警告灯の点灯を制御するための警告部を備え、上記警告部は、複数の上記警告灯のうち、上記異常検知演算部が上記人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する上記警告灯を点灯させる。
【0037】
このような構成により、車両を目視している人間に対してのみ威嚇することができるため、車両の横を通りすぎる通行人に対して威嚇するという不都合を防ぐことができる。
【0038】
また、監視されている感覚を不審者に与え、不審者に対する威嚇をより強化することができる。
【0039】
(12)好ましくは、上記異常検知演算部は、検知した人間の動作が所定の条件を満たす場合には、上記車両用検知装置において所定の電波の受信が検知されている場合を除き、上記人間は不審者であると判定する。
【0040】
ここで、所定の電波は、たとえば車両のドライバーが所有するスマートキーから送信される電波である。このような構成により、たとえば車両のドライバーなど、威嚇の対象とすべきでない人間に対する威嚇を防ぐことができる。
【0041】
(13)好ましくは、上記車両用検知装置は、さらに、上記車両の照明の点灯を制御するための照明制御部を備え、上記照明制御部は、上記車両用検知装置において所定の電波の受信が検知されている場合には、前記照明を点灯させる。
【0042】
ここで、所定の電波は、たとえば車両のドライバーが所有するスマートキーから送信される電波である。このような構成により、たとえば夜間に車両のドライバーが乗車する際にドライバーの足元を照らすなど、乗車の補助を行うことができる。
【0043】
(14)好ましくは、上記異常検知演算部は、人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、上記人間は不審者であると判定する。
【0044】
このような構成により、簡易な判定処理で、車両の横を通り過ぎる通行人と不審者とを区別することができる。
【0045】
(15)好ましくは、上記異常検知演算部は、連続して複数の上記受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、上記人間は不審者であると判定する。
【0046】
ここで、「連続して」とは、異常検知演算部が、たとえば車両の前方を通行する人間の動作と車両の後方を通行する他の人間の動作とを同時に検知した場合にまで、不審者を検知したと判断するのではないことを意味する。すなわち、異常検知演算部が、たとえば車両の後方で人間の動作を検知した後に、同一の人間の動作を車両の左側方で検知し、その後さらに、同一の人間の動作を車両の前方で検知するというように、一連の動きが認められる場合に不審者を検知したと判断するものである。
【0047】
このような構成により、車両の横を通り過ぎる通行人と不審者との区別を、精度よく行うことができる。
【0048】
(16)好ましくは、上記異常検知演算部は、複数の上記受信アンテナのうち、第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した後に、第2の受信アンテナについて人間の動作を検知し、その後再び、上記第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、不審者を検知したと判断する。
【0049】
このように、車両の周囲を行き来する人間の動作を検知することにより、車両の横を通り過ぎる通行人と不審者との区別を、精度よく行うことができる。
【0050】
(17)好ましくは、上記異常検知演算部は、同一の上記受信アンテナについて人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、上記人間は不審者であると判定する。
【0051】
このように、車両の周囲の特定の場所に所定時間以上滞在している人間の動作を検知することにより、車両の横を通り過ぎる通行人と不審者との区別を、精度よく行うことができる。
【0052】
(18)好ましくは、上記異常検知演算部は、算出した上記空間特徴量が小さい場合には、上記車両の外部において人間の動作があったと判断し、算出した上記空間特徴量が大きい場合には、人間の前記車両内への侵入動作があったと判断する。
【0053】
このような構成により、車両に接近する人間の動作と、車両内に侵入する人間の動作と、を区別することができる。また、車両に接近する人間の動作と、車両内に侵入する人間の動作と、を区別することによって、たとえば、車両に対する被害の危険度を段階的に分けることができ、不審者に対する威嚇および所有者または警備会社等に対する通報を、危険の度合いに応じて段階的に変化させることができる。
【0054】
(19)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる異常検知方法は、車両内に設置される送信アンテナおよび受信アンテナを備える車両用検知装置における異常検知方法であって、上記送信アンテナから電波を送信するステップと、上記受信アンテナにおいて上記電波を受信するステップと、上記受信アンテナにおいて受信された上記電波に基づいて空間特徴量を算出するステップと、算出した上記空間特徴量に基づいて上記車両の外部における人間の動作および前記車両の内部への人間の侵入動作を検知するステップと、を含む。
【0055】
このような構成により、車両が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両内外における異常を的確に検知することができる。たとえば、犯罪者が車両に対して犯罪行為を開始する前に、犯罪者の車両への接近を検知することができるため、犯罪行為が行われる前に犯罪者に威嚇をして犯罪行為をあきらめさせるなど、犯罪を未然に抑制することができる。
【0056】
(20)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる異常検知プログラムは、車両内に設置される送信アンテナおよび受信アンテナを備える車両用検知装置おいて用いられる異常検知プログラムであって、コンピュータに、上記送信アンテナから電波を送信するステップと、上記受信アンテナにおいて上記電波を受信するステップと、上記受信アンテナにおいて受信された上記電波に基づいて空間特徴量を算出するステップと、算出した上記空間特徴量に基づいて上記車両の外部における人間の動作および前記車両の内部への人間の侵入動作を検知するステップと、を実行させる。
【0057】
このような構成により、車両が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両内外における異常を的確に検知することができる。たとえば、犯罪者が車両に対して犯罪行為を開始する前に、犯罪者の車両への接近を検知することができるため、犯罪行為が行われる前に犯罪者に威嚇をして犯罪行為をあきらめさせるなど、犯罪を未然に抑制することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、車両が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両内外における異常を的確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用検知装置の送信アンテナおよび受信アンテナの設置位置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用検知装置が搭載された車両の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両用検知装置の異常検知演算部の構成を示すブロック図である。
【図5】不審者である人間の動きの例を示す図である。
【図6】不審者である人間の動きの例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車両用検知装置が車両に発生する異常を検知し、不審者に対する威嚇を行う際の動作手順を示すフローチャート(その1)である。
【図8】本発明の実施の形態に係る車両用検知装置が車両に発生する異常を検知し、不審者に対する威嚇を行う際の動作手順を示すフローチャート(その2)である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例に係る車両用検知装置の送信アンテナおよび受信アンテナの設置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
[構成および基本動作]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0061】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100の構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す送信アンテナ1および受信アンテナ2,3,4,5の設置位置を示す図であり、図3は、図2に示す車両50の正面図である。
【0062】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、動体検知センサとして機能する。車両用検知装置100として、電波を受信するための送信アンテナ1と、電波を受信するための受信アンテナ2,3,4,5と、人間の動作を検知する異常検知演算部6と、が図2に示す車両50に設置されている。
【0063】
車両用検知装置100は、送信アンテナ1から一定間隔以内または連続的に送信される電波を受信アンテナ2,3,4,5で受信し、異常検知演算部6が当該電波に基づいて信号処理を行なうことにより、車両50の外部における人間の動作および車両50の内部への人間の侵入動作を検知する。
【0064】
車両用検知装置100は、アレイ式電波センサであり、電波伝搬の変化を利用して動体の検知機能を実現する。また、車両用検知装置100が使用する電波は、原理上は周波数および帯域幅等に制約はない。
【0065】
(送信アンテナおよび受信アンテナ)
図2および図3を参照して、送信アンテナ1は、無指向性アンテナであって、車両50内に設置されている。具体的には、送信アンテナ1は、車室内に設置され、たとえば、天井の略中央部分であって内装品の内側に設置されている。
【0066】
受信アンテナ2,3,4,5は、それぞれの受信エリアが異なるように、車両50内の異なる位置に設置されている。具体的には、受信アンテナ2は、車両50の右前方に設置される。受信アンテナ3は、車両50の右後方に設置される。受信アンテナ4は、車両50の左後方に設置される。受信アンテナ5は、車両50の左前方に設置される。
【0067】
より詳細には、受信アンテナ2,3,4,5は、図3に示すように、車室内の天井であって、内装品の内側に設置され、ルーフ部分と内装品との間において配線が施されている。受信アンテナ2,3,4,5は、指向性アンテナであって、指向性の方向が車両50の外部方向となるように設置されている。
【0068】
車両50の内部においては、送信アンテナ1から送信される電波が、直接または反射して、受信アンテナ2,3,4,5によって受信される。車両50の外部においては、送信アンテナ1から送信される電波が車両50の窓などを通過して車両50の外部に到達し、車両50の周囲の人間または路面などによって反射する。そして、反射波は再び車両50の窓などを通過して、受信アンテナ2,3,4,5によって受信される。
【0069】
(異常検知演算部)
図4は、図1に示す異常検知演算部6の構成を示すブロック図である。図4を参照して、異常検知演算部6は、所定電波検知部10bと、送信部11と、受信部12と、空間特徴量算出部13と、検知部14と、警告部15と、照明制御部16と、を備えている。
【0070】
(i)送信部および受信部
送信部11は、所定周波数の電波を送信アンテナ1から送信する送信処理を行う。受信部12は、受信アンテナ2,3,4,5において受信された電波から上記所定周波数の電波を抽出し、抽出した電波に対して所定の受信処理を行ってデジタル信号をそれぞれ生成し、空間特徴量算出部13に出力する。
【0071】
また、受信部12は、受信アンテナ2,3,4,5において受信された電波を所定電波検知部10bに出力する。所定電波検知部10bは、受信アンテナ2,3,4,5において受信された電波が、所定の電波であるか否かを検知し、検知結果を検知部14に出力する。ここで、所定の電波とは、たとえば車両50のドライバーが所有するスマートキーから送信される電波である。
【0072】
(ii)空間特徴量算出部
空間特徴量算出部13は、受信アンテナ2,3,4,5に対応する各デジタル信号を受信部12から受けて、これらのデジタル信号に基づいて、受信アンテナ2,3,4,5によって受信された電波のレベルおよび位相を算出する。そして、空間特徴量算出部13は、算出結果に基づいて、受信アンテナ2,3,4,5によって受信された電波に基づく空間特徴量P(t)を算出する。
【0073】
より詳細には、空間特徴量算出部13は、たとえば特許文献1に記載の構成と同様に、到来角分布を用いて空間特徴量P(t)を抽出する。すなわち、空間特徴量算出部13は、固有ベクトルの内積を算出することにより、空間特徴量P(t)を抽出する。この内積は、比較基準となる初期ベクトルからの変化量を示す。初期ベクトルすなわち侵入者無しのときの固有ベクトルをvnoとし、観測時tにおける固有ベクトルをvob(t)とすると、空間特徴量P(t)は以下の式で表される。
P(t)=vno・vob(t)
【0074】
(iii)検知部
検知部14は、空間特徴量算出部13により算出された空間特徴量P(t)に基づいて、受信アンテナ2,3,4,5の受信エリアにおける人間の動作を検知する。すなわち、検知部14は、送信アンテナ1から送信される電波が帯域幅を持つか否かに応じて、以下に説明するような処理を行う。
【0075】
(帯域幅を持たない電波が送信される場合)
送信アンテナ1から送信される電波が帯域幅を持たない場合、空間特徴量算出部13は、4つの受信アンテナ2,3,4,5を2つずつの組み合わせ、具体的には、
組A:受信アンテナ2と受信アンテナ3
組B:受信アンテナ3と受信アンテナ4
組C:受信アンテナ4と受信アンテナ5
組D:受信アンテナ5と受信アンテナ2
に分ける。
【0076】
そして、空間特徴量算出部13は、組Aについて、受信アンテナ2,3によって受信された電波のレベルに基づいて、組Aにおける空間特徴量P(t)を算出する。また、空間特徴量算出部13は、同様に、組B、組Cおよび組Dについて、それぞれ空間特徴量P(t)を算出する。
【0077】
検知部14は、組A,B,CおよびDの組ごとに算出された空間特徴量P(t)が閾値Th1より大きいか否かをそれぞれ判断し、各組に対応するエリア別に人間の動作を検知する。そして、検知部14は、各組に対応するエリアのうち人間の動作を検知したエリアを、車両50への人間の接近方向として特定する。
【0078】
すなわち、検知部14は、組Aについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の右側方であると特定する。また、検知部14は、組Bについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の後方であると特定する。また、検知部14は、組Cについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の左側方であると特定する。また、検知部14は、組Dについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の前方であると特定する。
【0079】
(帯域幅を持つ電波が送信される場合)
送信アンテナ1から送信される電波が帯域幅を持つ場合、たとえばインパルス応答が送信される場合、空間特徴量算出部13は、受信アンテナ2,3,4,5によって受信された電波ごとにレベルおよび到着タイミングを算出し、これらの算出結果に基づいて、受信アンテナ2,3,4,5によって受信された電波ごとの空間特徴量P(t)を算出する。
【0080】
検知部14は、受信アンテナ2,3,4,5において受信された電波ごとに算出された空間特徴量P(t)が閾値Th1より大きいか否かをそれぞれ判断し、受信アンテナ2,3,4,5の各受信エリア別に人間の動作を検知する。そして、検知部14は、各受信エリアのうち人間の動作を検知したエリアを、車両50への人間の接近方向として特定する。
【0081】
また、検知部14は、空間特徴量算出部13が算出した空間特徴量P(t)の大小に基づいて、車両50の外部において人間の動作があったか、または、人間の車両50内への侵入動作があったか、を判断する。
【0082】
ここで、車両50内に人間が侵入する際には、車両50のドアの開閉または車両50の窓ガラスの破損などが起きるため、この場合の空間特徴量P(t)は、車両50内への侵入動作がない場合と比較して大きくなる。一方、車両50の外部で人間の動作がある場合には、空間特徴量P(t)は小さくなる。
【0083】
この相違を利用して、検知部14は、空間特徴量P(t)が閾値Th2(Th2>Th1)以下である場合には、車両50の外部において人間の動作があったと判断し、空間特徴量P(t)が当該閾値Th2より大きい場合には、人間の車両50内への侵入動作があったと判断する。
【0084】
図5および図6は、不審者である人間の動きの例を示す図である。検知部14は、以下に説明するように、検知した人間の動作が所定の条件を満たす場合には、動作が検知された人間は不審者であると判定し、車両50の横を通り過ぎる通行人と不審者とを区別する。具体的には、検知部14は、人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、動作を検知した人間は、車両50の周囲に所定時間以上滞在しており、車両の横を通り過ぎる通行人ではなく不審者であると判定する。
【0085】
また、他の判定方法としては、検知部14は、連続して複数の受信アンテナから人間の動作を検知した場合には、動作を検知した人間は、不審者であると判定する。ここで、「連続して」とは、検知部14が、たとえば車両50の前方を通行する人間の動作と車両50の後方を通行する他の人間の動作とを同時に検知した場合にまで、不審者を検知したと判断するのではないことを意味する。
【0086】
すなわち、図5を参照して、検知部14は、たとえば車両50の後方で人間の動作を検知した後に、同一の人間の動作を車両50の左側方で検知し、その後さらに、同一の人間の動作を車両50の前方で検知するというように、一連の動きが認められる場合に不審者を検知したと判断する。
【0087】
また、他の判定方法としては、検知部14は、受信アンテナ2,3,4,5のうち、第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した後に、第2の受信アンテナについて人間の動作を検知し、その後再び、第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、不審者を検知したと判断する。
【0088】
具体的には、図6を参照して、帯域幅を持たない電波が送信される場合、たとえば、検知部14は、受信アンテナ2,3の組について人間の動作を検知した後に、受信アンテナ3,4の組について人間の動作を検知し、その後再び、受信アンテナ2,3の組について人間の動作を検知した場合、動作を検知した人間は車両50の周囲を行き来しており、車両50の横を通り過ぎる通行人ではなく不審者であると判定する。
【0089】
また、他の判定方法としては、検知部14は、同一の受信アンテナについて人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、動作を検知した人間は、車両50の周囲の特定の場所、たとえば運転者席側のドア付近に所定時間以上滞在しており、車両の横を通り過ぎる通行人ではなく不審者であると判定する。
【0090】
一方、検知部14は、車両用検知装置100において所定の電波の受信が検知されている場合には、動作が検知された人間は不審者ではないと判定する。ここで、車両50は、たとえばスマートキーから送信される電波などである所定の電波を受信するための所定電波受信部10aを搭載する。すなわち、所定電波受信部10aは、スマートキーから送信された電波を受信してドアロックを解除するためのスマートキーシステムにおける受信部である。そして、所定の電波は、受信アンテナ2,3,4,5、または、所定電波受信部10aにおけるアンテナにおいて受信される。
【0091】
そして、受信アンテナ2,3,4,5において所定の電波が受信された場合には、所定電波検知部10bが、所定の電波を検知し、検知結果を検知部14に出力する。また、所定電波受信部10aにより所定の電波が受信された場合には、所定電波受信部10aが、所定の電波を検知し、検知結果を検知部14に出力する。
【0092】
なお、車両50に、所定電波受信部10aと所定電波検知部10bとの両方が備えられている必要はなく、いずれか一方だけ備えられていればよい。
【0093】
(iv)警告部
警告部15は、検知部14による検知結果を受けて、検知部14が人間の動作を検知した場合には、光による警告を行う。詳細には、警告部15は、車両50の内部であって車両50の外部から目視可能な位置に設置される前方警告灯7a,右側方警告灯7b,左側方警告灯7c,後方警告灯7d(以下、これらを総称する場合には、「警告灯7」とする。)の点灯を制御する。
【0094】
図2に示すように、前方警告灯7aは、車両50の前方のバックナンバー付近に設置されている。右側方警告灯7bは、車両50の右側方のドアノブ付近に設置されている。左側方警告灯7cは、車両50の左側方のドアノブ付近に設置されている。後方警告灯7dは、車両50の後方のバックナンバー付近に設置されている。
【0095】
警告灯7は、たとえば黄色または赤色などの色で点灯し、さらに、警告音を発生する。警告部15は、検知部14が人間の動作を検知した場合には、警告灯7が黄色に点灯するように制御し、検知部14が不審者を検知した場合には、警告灯7が赤色に点灯するように制御する。また、警告部15は、検知部14が車両50内への侵入動作を検知した場合には、警告灯7が赤色に点灯するとともに警告音を発生するように制御する。
【0096】
また、警告部15は、車両用検知装置100において所定の電波の受信が検知され、検知部14において動作が検知された人間は不審者ではないと判定された場合には、検知部14が人間の動作を検知しても、警告灯7を点灯させない。ここで、所定の電波は、たとえば車両50のドライバーが所有するスマートキーから送信される電波である。
【0097】
(v)照明制御部
照明制御部16は、検知部14による検知結果を受けて、車両50に設けられている前方照明8a,右側方照明8b,左側方照明8c,後方照明8d(以下、これらを総称する場合には、「照明8」とする。)の点灯を制御する。図2に示すように、前方照明8aは、車両50の前方のヘッドライドである。右側方照明8bは、車両50の右側方のドア付近に設けられ、車両50に乗り降りする際のドライバーの足元を照らすための照明設備である。左側方照明8cは、車両50の左側方のドア付近に設けられ、車両50に乗り降りする際のドライバーの足元を照らすための照明設備である。後方照明8dは、車両50の後方のヘッドライドである。
【0098】
照明制御部16は、車両用検知装置100において所定の電波の受信が検知されている場合には、照明8を点灯させる。本実施の形態では、照明制御部16は、車両50の周囲が照明8の点灯を必要とする程度に暗い場合であり、かつ、車両用検知装置100において所定の電波の受信が検知されている場合には、検知部14が人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する照明を点灯させる。
【0099】
ここで、車両50は、たとえば光の明るさを検知する光検知センサ9を搭載し、光検知センサ9による検知結果を照明制御部16が受けることにより、照明制御部16が車両50の周囲の明るさを判断する。
【0100】
たとえば、照明制御部16が、光検知センサ9によって車両50の周囲が照明8の点灯を必要とする程度に暗いと判断した場合であって、受信アンテナ2および受信アンテナ3が車両50のドライバーのスマートキーから送信される電波を受信している場合には、照明制御部16は右側方照明8bを点灯させることによってドライバーの乗車を補助する。
【0101】
なお、照明8は、必ずしも複数設けられている必要はない。また、照明制御部16は、検知部14が人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する照明が存在しない場合には、いずれの照明も点灯させない。
【0102】
また、上述した警告部15は、検知部14が人間の動作を検知した場合には、警告灯7だけでなく、照明8を制御して点灯させてもよい。
【0103】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100が車両50に発生する異常を検知し、不審者に対する威嚇を行う際の動作について説明する。
【0104】
図7および図8は、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100が車両50に発生する異常を検知し、不審者に対する威嚇を行う際の動作手順を示すフローチャートである。
【0105】
車両用検知装置100は、フローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
【0106】
図7および図8を参照して、まず、異常検知演算部6の送信部11が、所定周波数の電波の送信処理を行い、車両50内の天井の略中央部分に設置された送信アンテナ1から電波が送信される(ステップS1)。
【0107】
次に、車両50の内部で反射された電波または車両50の外部で人間または路面などによって反射された電波が受信アンテナ2,3,4,5において受信され、異常検知演算部6の受信部12が、受信された電波から上記所定周波数の電波を抽出し、抽出した電波に対して所定の受信処理を行う(ステップS2)。
【0108】
次に、異常検知演算部6の空間特徴量算出部13が、受信部12によって生成されたデジタル信号を受けて、受信アンテナ2,3,4,5が受けた電波に基づいて空間特徴量P(t)を算出する(ステップS3)。そして、異常検知演算部6の検知部14が、算出された空間特徴量P(t)に基づいて人間の動作を検知する(ステップS4)。具体的には、検知部14が、空間特徴量P(t)が閾値Th1より大きいか否かを判別する。
【0109】
ここで、検知部14は、空間特徴量P(t)が閾値Th1以下である場合には(ステップS4で「NO」)、車両50の内外において人間の動作がなかったと判断し、受信処理(ステップS2)に戻って同様の動作が繰り返される。
【0110】
一方、検知部14は、空間特徴量P(t)が閾値Th1より大きい場合には(ステップS4で「YES」)、人間の動作を検知したと判断し(ステップS5)、前述のような方法を用いて、人間の動作を検知したエリアの特定を行う(ステップS6)。
【0111】
次に、検知部14が、人間の動作を検知した時、所定の電波、たとえばスマートキーから送信された電波を受信中か否かを識別し(ステップS7)、識別結果を警告部15および照明制御部16に出力する。
【0112】
次に、照明制御部16が、検知部14から識別結果を受けて、人間の動作を検知した時、所定の電波を受信中である場合には(ステップS7で「YES」)、さらに光検知センサ9から、車両50の周囲が照明8の点灯を必要とする程度に暗いか否かを示す検知結果を取得する(ステップS8)。
【0113】
次に、照明制御部16が、車両50の周囲が照明8の点灯を必要とする程度に暗い場合には(ステップS8で「YES」)、人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する照明、たとえば前方のヘッドライトが点灯するように、照明8の点灯を制御する(ステップS9)。一方、車両50の周囲が照明8の点灯を必要としない程度の明るさである場合には(ステップS8で「NO」)、受信処理(ステップS2)に戻って同様の動作が繰り返される。
【0114】
一方、人間の動作を検知した時、所定の電波を受信していない場合には(ステップS7で「NO」)、検知部14が、検知した人間の動作が車両50の外部の動作であるか、または、車両50内への侵入動作であるかを判断する(ステップS10)。具体的には、検知部14が、空間特徴量P(t)が閾値Th2より大きいか否かを判別する。
【0115】
次に、検知部14が、空間特徴量P(t)が閾値Th2以下である場合には(ステップS10で「NO」)、検知した人間の動作が車両50の外部での動作であると判断する(ステップS11)。そして、警告部15が、検知部14から判断結果を受けて、人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する警告灯が黄色に点灯するように、警告灯7の点灯を制御する(ステップS12)。
【0116】
次に、検知部14が、人間の動作を検知した状態の継続時間、および、人間の動作を検知したエリアに基づき、上述した種々の方法を用いて、動作を検知された人間が不審者であるか否かの判定を行う(ステップS13)。
【0117】
そして、検知部14が、動作を検知した人間が不審者ではないと判定した場合には(ステップS13で「NO」)、受信処理(ステップS2)に戻って同様の動作が繰り返される。そして、空間特徴量算出部13が空間特徴量P(t)を算出し(ステップS3)、算出された空間特徴量P(t)が閾値Th1以下である場合、すなわち検知部14によって人間の動作が検知されない場合には(ステップS4)、警告部15が、黄色に点灯している警告灯が消灯するように警告灯7を制御する。
【0118】
一方、検知部14が、動作を検知した人間が不審者であると判定した場合には(ステップS13で「YES」)、警告部15が、黄色に点灯している警告灯を赤色に点灯させる(ステップS14)。
【0119】
また、検知部14が、空間特徴量P(t)が閾値Th2より大きい場合には(ステップS10で「YES」)、検知した人間の動作が車両50内への侵入動作であると判断する(ステップS15)。そして、警告部15は、不審者への威嚇を一層強化するため、黄色に点灯している警告灯を赤色に点灯させるとともに、この警告灯が警告音を発生するように制御する(ステップS16)。
【0120】
ところで、非特許文献2に記載の技術では、気体中において減衰しやすい超音波を使用しているため、車両外の人間の動きを検知することができず、車両が被害を受けるまで異常の発生を検知することができないという問題があった。
【0121】
これに対して、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、車両50内に設置され、電波を送信するための送信アンテナ1と、車両50内に設置され、電波を受信するための受信アンテナ2,3,4,5と、が備えられている。また、車両用検知装置100では、異常検知演算部6が備えられ、異常検知演算部6が、受信アンテナ2,3,4,5が受信した電波に基づいて空間特徴量P(t)を算出し、算出した空間特徴量P(t)に基づいて車両50の外部における人間の動作および車両50の内部への人間の侵入動作を検知する。
【0122】
このような構成により、車両50が被害を受ける前に異常の発生を検知して被害を未然に防ぎ、かつ、車両50内外における異常を的確に検知することができる。たとえば、犯罪者が車両50に対して犯罪行為を開始する前に、犯罪者の車両50への接近を検知することができるため、犯罪行為が行われる前に犯罪者に威嚇をして犯罪行為をあきらめさせるなど、犯罪を未然に抑制することができる。
【0123】
また、たとえば車両50のドアの開閉または車両50の窓ガラスの破損などを検知することができるため、車両50に異常が発生したことを早期に所有者または警備会社等に通報することができる。
【0124】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、複数の受信アンテナを備え、異常検知演算部6は、受信アンテナ2,3,4,5において受信された電波に基づいて空間特徴量P(t)を算出し、算出した空間特徴量P(t)に基づいて車両50への人間の接近方向を検知する。
【0125】
このような構成により、たとえば3本以上の受信アンテナを設置する場合、異常検知演算部6は2本の受信アンテナの組み合わせごとに空間特徴量P(t)を算出し、車両50の内外の人間の動作を検知することができるため、受信アンテナの組み合わせに対応する受信エリアを、人間の動作が検知されたエリアとして特定することができる。
【0126】
また、インパルス応答等、送信アンテナ1が帯域幅を持つ電波を送信する場合には、異常検知演算部6は各受信アンテナが受信した電波ごとに空間特徴量P(t)を算出することにより、各受信アンテナの受信エリア別に、人間の動作を検知することができる。
【0127】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、4つの受信アンテナを備え、4つの受信アンテナは、車両50における、右前方、右後方、左前方および左後方にそれぞれ設置される。
【0128】
このように、間隔を広くあけて複数の受信アンテナを設置することにより、車両50の周囲を各受信アンテナ2,3,4,5の受信エリアに区切ることができる。また、区切られた受信エリアごとに人間の動作を検知することにより、車両50の周囲において人間の動作が検知されたエリアをさらに細かく特定することができる。
【0129】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、算出した各空間特徴量P(t)に基づいて、人間の動作を検知した方向を、車両50における、前方、後方、右側方または左側方のいずれに人間が存在するかを判別する。
【0130】
このような構成により、運転席付近などといった特定のエリアだけでなく、車両50の周囲の全域について、人間の動作が検知されたエリアを判別することができる。
【0131】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、受信アンテナ2,3,4,5は、車両50内の天井に設置される。
【0132】
このような構成により、受信アンテナ2,3,4,5は、下方からの電波も受信しやすくなるため、人間が車両50付近にかがんでいるような場合であっても、精度よく人間の動作を検知することができる。
【0133】
また、車両用検知装置100が複数の受信アンテナを備える場合には、車両50内のレイアウトに大きく影響されることなく、複数の受信アンテナ同士を、互いに間隔を広くあけて設置することができるため、受信感度を向上させることができる。
【0134】
また、受信アンテナ2,3,4,5を車両50の天井の内装品の内側に設置し、ルーフ部分と内装品との間に配線を施すことができるため、車内の美観を損ねることがない。
【0135】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、送信アンテナ1は、車両50内の天井に設置される。
【0136】
このような構成により、送信アンテナ1は、下方へも電波を到達させやすくなるため、人間が車両50付近にかがんでいるような場合であっても、精度よく人間の動作を検知することができる。
【0137】
また、送信アンテナ1を車両50の天井の内装品の内側に設置し、ルーフ部分と内装品との間に配線を施すことができるため、車内の美観を損ねることがない。
【0138】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、受信アンテナ2,3,4,5は、指向性アンテナである。
【0139】
このような構成により、受信アンテナ2,3,4,5の指向性の方向を車両50の外部方向とすることで、受信アンテナ2,3,4,5が、車両50の外部において反射された電波を受信する確率を高めることができる。
【0140】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、さらに、警告部15を備え、警告部15は、異常検知演算部6が人間の動作を検知した場合には、光による警告を行う。
【0141】
このような構成により、車両50を目視している人間に対してのみ威嚇することができるため、車両50の横を通りすぎる通行人に対して威嚇するという不都合を防ぐことができる。
【0142】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、警告部15は、異常検知演算部6が人間の動作を検知した場合には、車両50の内部であって車両50の外部から目視可能な位置に設置される警告灯7を点灯させる。
【0143】
このような構成により、車両50の内部に関心のある人間に対してのみ威嚇することができる。
【0144】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、さらに、車両50の外部から目視可能であり、かつ車両50の互いに異なる位置に複数設置される警告灯7の点灯を制御するための警告部15を備え、警告部15は、複数の警告灯7のうち、異常検知演算部6が人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する警告灯7を点灯させる。
【0145】
このような構成により、車両50を目視している人間に対してのみ威嚇することができるため、車両50の横を通りすぎる通行人に対して威嚇するという不都合を防ぐことができる。
【0146】
また、監視されている感覚を不審者に与え、不審者に対する威嚇をより強化することができる。
【0147】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、検知した人間の動作が所定の条件を満たす場合には、車両用検知装置100において所定の電波の受信が検知されている場合を除き、人間は不審者であると判定する。
【0148】
このような構成により、たとえば車両50のドライバーなど、威嚇の対象とすべきでない人間に対する威嚇を防ぐことができる。
【0149】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、さらに、車両50の照明の点灯を制御するための照明制御部16を備える。照明制御部16は、車両用検知装置100において所定の電波の受信が検知されている場合には、照明8を点灯させる。
【0150】
このような構成により、たとえば夜間に車両50のドライバーが乗車する際にドライバーの足元を照らすなど、乗車の補助を行うことができる。
【0151】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、上記人間は不審者であると判定する。
【0152】
このような構成により、簡易な判定処理で、車両50の横を通り過ぎる通行人と不審者とを区別することができる。
【0153】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、連続して複数の受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、上記人間は不審者であると判定する。
【0154】
すなわち、異常検知演算部6が、たとえば車両50の後方で人間の動作を検知した後に、同一の人間の動作を車両50の左側方で検知し、その後さらに、同一の人間の動作を車両50の前方で検知するというように、一連の動きが認められる場合に不審者を検知したと判断するものである。
【0155】
このような構成により、車両50の横を通り過ぎる通行人と不審者との区別を、精度よく行うことができる。
【0156】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、受信アンテナ2,3,4,5のうち、第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した後に、第2の受信アンテナについて人間の動作を検知し、その後再び、第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、不審者を検知したと判断する。
【0157】
このように、車両50の周囲を行き来する人間の動作を検知することにより、車両50の横を通り過ぎる通行人と不審者との区別を、精度よく行うことができる。
【0158】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、同一の受信アンテナについて人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、上記人間は不審者であると判定する。
【0159】
このように、車両50の周囲の特定の場所に所定時間以上滞在している人間の動作を検知することにより、車両50の横を通り過ぎる通行人と不審者との区別を、精度よく行うことができる。
【0160】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100では、異常検知演算部6は、算出した空間特徴量P(t)が小さい場合には、車両50の外部において人間の動作があったと判断し、算出した空間特徴量P(t)が大きい場合には、人間の車両50内への侵入動作があったと判断する。
【0161】
このような構成により、車両50に接近する人間の動作と、車両50内に侵入する人間の動作と、を区別することができる。また、車両50に接近する人間の動作と、車両50内に侵入する人間の動作と、を区別することによって、たとえば、車両50に対する被害の危険度を段階的に分けることができ、不審者に対する威嚇および所有者または警備会社等に対する通報を、危険の度合いに応じて段階的に変化させることができる。
【0162】
なお、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、受信アンテナは、送信アンテナから送信された電波の、直接波および車両50の内部または外部において反射した反射波を受信することができればよく、必ずしも複数設置されている必要はない。この場合、送信アンテナ1からは、前述のような帯域幅を持つ電波等、受信側において電波の各伝搬経路の情報を取得可能なものを送信すればよい。
【0163】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、上述した態様に限られるものではなく、たとえば、警告部15が、車両50に人間が接近した際に「警戒中」と記した文字を赤く浮かび上がらせるなど、警告灯7が種々の態様の警告を行うように制御することができる。
【0164】
また、警告灯7による他の態様による警告としては、たとえば、警告部15は、車両50に人間が接近した際に、前方警告灯7a,右側方警告灯7b,左側方警告灯7c、および、後方警告灯7dがすべて点灯するように警告灯7を制御することができる。
【0165】
また、車両50の周囲が明るい場合には、警告灯7の点灯が不審者に気づかれにくい。このため、警告部15は、光検知センサ9から車両50の周囲が照明8の点灯を必要としない程度に明るいという検知結果を取得した場合には、検知された人間の動作が車両50の外部での動作であるとしても、警告灯7が警告音を発生するように制御してもよい。
【0166】
また、本発明の実施の形態に係る車両用検知装置100は、車両50に監視カメラなどを搭載し、検知部14が不審者を検知した場合には、異常検知演算部6が、不審者が存在するエリアに監視カメラを向けて撮影を開始し、撮影した動画をドライバーの携帯端末等に送信するなどの構成を採用することができる。
【0167】
(変形例)
以下、本発明の実施の形態の変形例について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0168】
本発明の実施の形態の変形例に係る車両用検知装置100は、上述した実施の形態に係る車両用検知装置100と比較して、車両50の内部に設置された受信アンテナ2,3,4,5の設置位置が異なるものである。
【0169】
図9は、本発明の実施の形態の変形例に係る車両用検知装置100の送信アンテナ1および受信アンテナ2,3,4,5の設置位置を示す図である。
【0170】
図9を参照して受信アンテナ2,3,4,5は、それぞれの受信エリアが異なるように、車両50内の異なる位置に設置されている。具体的には、受信アンテナ2は、車両50の前方であって左右方向略中央に設置される。受信アンテナ3は、車両50の右側であって前後方向略中央に設置される。受信アンテナ4は、車両50の後方であって左右方向略中央に設置される。受信アンテナ5は、車両50の左側であって前後方向略中央に設置される。
【0171】
より詳細には、受信アンテナ2,3,4,5は、図3に示すように、車室内の天井であって、内装品の内側に設置され、ルーフ部分と内装品との間において配線が施されている。また、受信アンテナ2,3,4,5は、指向性アンテナであって、指向性の方向が車両50の外部方向となるように設置されている。
【0172】
受信アンテナ2,3,4,5が上述のような位置に設置されているため、検知部14は、送信アンテナ1から送信される電波が帯域幅を持たない電波である場合、車両50の周囲の各エリアにおける人間の動作を検知するための処理を以下のようにして行う。
【0173】
すなわち、送信アンテナ1から送信される電波が帯域幅を持たない場合、空間特徴量算出部13は、4つの受信アンテナ2,3,4,5を3つずつの組み合わせ、具体的には、
組E:受信アンテナ2と受信アンテナ3と受信アンテナ4
組F:受信アンテナ3と受信アンテナ4と受信アンテナ5
組G:受信アンテナ4と受信アンテナ5と受信アンテナ1
組H:受信アンテナ5と受信アンテナ1と受信アンテナ2
に分ける。
【0174】
そして、空間特徴量算出部13は、組Eについて、受信アンテナ2,3,4によって受信された電波のレベルに基づいて、組Eにおける空間特徴量P(t)を算出する。また、空間特徴量算出部13は、同様に、組F、組Gおよび組Hについて、それぞれ空間特徴量P(t)を算出する。
【0175】
検知部14は、組E,F,GおよびHの組ごとに算出された空間特徴量P(t)が閾値Th1より大きいか否かをそれぞれ判断し、各組に対応するエリア別に人間の動作を検知する。そして、検知部14は、各組に対応するエリアのうち人間の動作を検知したエリアを特定する。
【0176】
すなわち、検知部14は、組Eについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の右側方であると特定する。また、検知部14は、組Fについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の後方であると特定する。また、検知部14は、組Gについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の左側方であると特定する。また、検知部14は、組Hについて人間の動作を検知した場合、人間の動作が検知されたエリアは車両50の前方であると特定する。
【0177】
上述のとおり、本発明の実施の形態の変形例に係る車両用検知装置100は、4つの受信アンテナを備え、4つの受信アンテナは、車両50における、前方であって左右方向略中央、後方であって左右方向略中央、右側であって前後方向略中央および左側であって前後方向略中央にそれぞれ設置される。
【0178】
このように、間隔を広くあけて複数の受信アンテナを設置することにより、車両50の周囲を各受信アンテナ2,3,4,5の受信エリアに区切ることができる。また、区切られた受信エリアごとに人間の動作を検知することにより、車両50の周囲において人間の動作が検知されたエリアをさらに細かく特定することができる。
【0179】
また、車両50の前方または後方から人間が接近する場合、車両50の前方または後方に設置される各受信アンテナと接近する人間との距離が短いため、算出される空間特徴量P(t)が大きくなり、人間の動作を検知しやすい。
【0180】
その他の構成および動作は上述した実施の形態に係る車両用検知装置100と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0181】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0182】
1 送信アンテナ
2,3,4,5 受信アンテナ
6 異常検知演算部
7 警告灯
7a 前方警告灯
7b 右側方警告灯
7c 左側方警告灯
7d 後方警告灯
8 照明
8a 前方照明
8b 右側方照明
8c 左側方照明
8d 後方照明
9 光検知センサ
10a 所定電波受信部
10b 所定電波検知部
11 送信部
12 受信部
13 空間特徴量算出部
14 検知部
15 警告部
16 照明制御部
50 車両
100 車両用検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に設置され、電波を送信するための送信アンテナと、
前記車両内に設置され、前記電波を受信するための受信アンテナと、
前記受信アンテナが受信した前記電波に基づいて空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記車両の外部における人間の動作および前記車両の内部への人間の侵入動作を検知するための異常検知演算部と、を備える、車両用検知装置。
【請求項2】
前記車両用検知装置は、複数の前記受信アンテナを備え、
前記異常検知演算部は、複数の前記受信アンテナにおいて受信された前記電波に基づいて前記空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて前記車両への人間の接近方向を検知する、請求項1に記載の車両用検知装置。
【請求項3】
前記受信アンテナは、前記車両内の天井に設置される、請求項1または請求項2に記載の車両用検知装置。
【請求項4】
前記送信アンテナは、前記車両内の天井に設置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項5】
前記受信アンテナは、指向性アンテナである、請求項2に記載の車両用検知装置。
【請求項6】
前記車両用検知装置は、4つの前記受信アンテナを備え、
前記4つの受信アンテナは、前記車両における、右前方、右後方、左前方および左後方にそれぞれ設置される、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項7】
前記車両用検知装置は、4つの前記受信アンテナを備え、
前記4つの受信アンテナは、前記車両における、前方であって左右方向略中央、後方であって左右方向略中央、右側であって前後方向略中央および左側であって前後方向略中央にそれぞれ設置される、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項8】
前記異常検知演算部は、算出した各前記空間特徴量に基づいて、前記車両における、前方、後方、右側方または左側方のいずれに人間が存在するかを判別する、請求項6または請求項7に記載の車両用検知装置。
【請求項9】
前記車両用検知装置は、さらに、
前記異常検知演算部が前記人間の動作を検知した場合には、光による警告を行うための警告部を備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項10】
前記車両用検知装置は、さらに、
前記車両の外部から目視可能であり、かつ前記車両の互いに異なる位置に複数設置される警告灯の点灯を制御するための警告部を備え、
前記警告部は、複数の前記警告灯のうち、前記異常検知演算部が前記人間の動作を検知した電波の受信アンテナに対応する前記警告灯を点灯させる、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項11】
前記異常検知演算部は、検知した人間の動作が所定の条件を満たす場合には、前記車両用検知装置において所定の電波の受信が検知されている場合を除き、前記人間は不審者であると判定する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項12】
前記車両用検知装置は、さらに、前記車両の照明の点灯を制御するための照明制御部を備え、
前記照明制御部は、前記車両用検知装置において所定の電波の受信が検知されている場合には、前記照明を点灯させる、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項13】
前記異常検知演算部は、人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、前記人間は不審者であると判定する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項14】
前記異常検知演算部は、連続して複数の前記受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、前記人間は不審者であると判定する、請求項2に記載の車両用検知装置。
【請求項15】
前記異常検知演算部は、複数の前記受信アンテナのうち、第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した後に、第2の受信アンテナについて人間の動作を検知し、その後再び、前記第1の受信アンテナについて人間の動作を検知した場合には、不審者を検知したと判断する、請求項14に記載の車両用検知装置。
【請求項16】
前記異常検知演算部は、同一の前記受信アンテナについて人間の動作を検知した状態が所定時間以上継続した場合には、前記人間は不審者であると判定する、請求項2に記載の車両用検知装置。
【請求項17】
前記異常検知演算部は、算出した前記空間特徴量が小さい場合には、前記車両の外部において人間の動作があったと判断し、算出した前記空間特徴量が大きい場合には、人間の前記車両内への侵入動作があったと判断する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の車両用検知装置。
【請求項18】
車両内に設置される送信アンテナおよび受信アンテナを備える車両用検知装置における異常検知方法であって、
前記送信アンテナから電波を送信するステップと、
前記受信アンテナにおいて前記電波を受信するステップと、
前記受信アンテナにおいて受信された前記電波に基づいて空間特徴量を算出するステップと、
算出した前記空間特徴量に基づいて前記車両の外部における人間の動作および前記車両の内部への人間の侵入動作を検知するステップと、を含む、異常検知方法。
【請求項19】
車両内に設置される送信アンテナおよび受信アンテナを備える車両用検知装置おいて用いられる異常検知プログラムであって、コンピュータに、
前記送信アンテナから電波を送信するステップと、
前記受信アンテナにおいて前記電波を受信するステップと、
前記受信アンテナにおいて受信された前記電波に基づいて空間特徴量を算出するステップと、
算出した前記空間特徴量に基づいて前記車両の外部における人間の動作および前記車両の内部への人間の侵入動作を検知するステップと、を実行させるための、異常検知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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