説明

車両用清掃具及びこれを用いた柄付き洗車ブラシ

【課題】 ホイール取付ボルトの頭部とこれを収納する座ぐり部を効率よく清掃する。
【解決手段】 車両用清掃具10の先端部を、筒状部材14の内周面と外周面の両面にブラシ毛16が植設された筒状ブラシ体12によって構成し、さらにこの筒状ブラシ体12の形状をボルト頭部38と座ぐり部34との径方向の隙間に挿入可能に設定することにより、当該挿入状態においてブラシ毛16がボルト頭部38の外周面と座ぐり部34の内周面の両面に同時に接触するようにし、これによって当該両面を同時に清掃可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車のホイールを清掃する場合に有効利用することのできる車両用清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における自動車の需要は、より上質で高性能なものに遷移しつつある。このような状況下で、需要者の間では自動車を常に美麗に保ちたいという志向が強まっており、そのための道具として様々な洗車用具が普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、平面状に植設されたブラシ部とこれに連設された柄体を有する洗車ブラシであって、当該柄体の末端に水道用ホースを接続するとブラシ部から水が放出される洗車ブラシが開示されており、これを用いれば自動的に放水しながら洗車することができるようになっている。
【特許文献1】登録実用新案第3053189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、前記のような自動車の高級志向に伴って、車両用ホイールとしてより軽量で美しくデザインされたアルミ製ホイール等が多く採用されている。このようなホイールの具体的構造を図3に示す。なお、図3はホイールの一例であるが、市販されている多くのホイールも同様の構造を有している。
【0005】
図3(a)はホイール単体の正面図である。図示のように、ホイール30は、円形を呈して図略のタイヤの内周に装着される部品であって、その中心部にボルト穴32を有し、車両の四輪において各車軸にボルトで締結される構成となっている。このボルト締結部の断面図を図3(b)に示す。図示のように、ホイール30は、ボルト穴32を挿通するホイール取付ボルト36によって車軸のハブ40に締結される。また、ボルト穴32の入口部には座ぐり部34が凹設されており、この座ぐり部34内にホイール取付ボルト36のボルト頭部38が収納される。なお、多くのホイール30では比較的深い座ぐり部34を有するため、ボルト頭部38は、座ぐり部34内に隠れるような状態で収納されるのが一般的である。
【0006】
ここで、ホイール30は地面の直近にあって泥などの汚れがすぐに付着するため、このボルト頭部38や座ぐり部34は非常に汚れ易い部分である。しかしながら、ボルト頭部38や座ぐり部34のような細かい部分を前記特許文献1のような従来の洗車ブラシを用いて清掃しようとしても、ブラシ部が平面状であるため座ぐり部34内にブラシを十分に届かせることができず、当該部分の汚れを除去することは困難であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、ホイール取付ボルトの頭部周辺を清掃するのに適した車両用清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両用ホイールを車軸に締結するためのホイール取付ボルトの頭部と、その頭部が収納される前記ホイールのボルト穴入口部に凹設された座ぐり部を清掃する車両用清掃具であって、筒状の部材の内周面と外周面の両面にブラシ毛が植設された筒状ブラシ体をその先端部に有するとともに、前記筒状ブラシ体の形状が前記ボルト頭部と座ぐり部との径方向の隙間に挿入可能とされていることにより、当該挿入状態において前記ブラシ毛が前記ボルト頭部の外周面と前記座ぐり部の内周面の両面に同時に接触するように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
この車両用清掃具によれば、ホイール取付ボルトの頭部とこれを収納する座ぐり部との径方向の隙間に挿入可能な筒状ブラシ体をその先端に有し、その内外周にあるブラシ毛が当該挿入状態において前記ボルト頭部の外周面と前記座ぐり部の内周面に同時に接触するように構成されているため、この状態で当該筒状ブラシ体を円周方向等に動かしてブラシ毛を摺動させることにより、従来の洗車ブラシでは除去することが困難であったボルト頭部や座ぐり部の汚れを確実に除去することができる。しかも両者の汚れを同時に除去することができるため、効率よく清掃作業を行うことが可能である。
【0010】
さらに、前記筒状ブラシ体を、前記筒状部材の先端面にもブラシ毛を植設することにより構成すれば、当該ブラシ毛が前記座ぐり部の底面に接触するため、当該底面も確実に清掃することができる。
【0011】
また、前記車両用清掃具の後端部を、手で保持するための持手部とすれば、この持手部を保持しながら前記筒状ブラシ体を円周方向等に動かすことができるため、容易に清掃作業を行うことが可能となる。
【0012】
さらにこの持手部に、円周方向に手が滑ることを防止するための滑り止め機構を設ければ、前記動作をより確実に行うことができる。
【0013】
また、本発明は、車体の表面を清掃可能なブラシ部に柄体の付いた本体ブラシを有する柄付き洗車ブラシであって、前記本体ブラシの柄体の後端に、前記のような車両用清掃具が所定の連結手段によって着脱可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0014】
この構成の柄付き洗車ブラシによれば、本体ブラシを用いて車体表面の多くの部分を清掃できるだけでなく、車両用清掃具を用いてホイール取付ボルトの頭部や座ぐり部も清掃することができるため、非常に便利である。
【0015】
ここで、前記ボルト頭部等は非常に細かい部分であるため、このような部分を清掃するには前記車両用清掃具は単体で使用した方が使い勝手がよいが、それをそのまま放置しておくと紛失したりする恐れがあるため不使用時は本体ブラシに連結しておいた方がよい。本柄付き洗車ブラシによれば、車両用清掃具が本体ブラシに着脱可能に連結されているため、車両用清掃具を用いるときはこれを本体ブラシから取り外し、不使用時は再度本体ブラシに連結するという使い分けが可能となり、さらに利便性を高めることができる。
【0016】
なお、前記本体ブラシと車両用清掃具を着脱可能に連結する手段は、具体的には、本体ブラシの柄体の後端に管状ネジを凸設するとともに、車両用清掃具の後端部に当該管状ネジと嵌合する雌ネジを凹設することによって実現することが可能である。
【0017】
この構成においては、前記本体ブラシの柄体に設けた管状ネジを水道用ホースとも接続可能に形成するともに、前記柄体の内部には、前記管状ネジの口部からブラシ部まで伸びる中空状の通水路を設け、さらにこの通水路と通じる開口部をブラシ部に設けることにより、前記柄体の管状ネジに前記水道用ホースを接続した状態で前記ブラシ部から水が放出されるようにすることもできる。これにより、本体ブラシを用いるときは柄体の管状ネジに水道用ホースを接続し、不使用時は当該管状ネジに前記車両用清掃具を連結して前記管状ネジをカバーするという使い分けが可能となる。すなわち、車両清掃具が本体ブラシの管状ネジのキャップとしての役割も兼ねることとなり、非常に使い勝手に優れた洗車ブラシを実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の車両用清掃具によれば、ホイール取付ボルトの頭部とこれを収納する座ぐり部の汚れを効率よく確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本実施形態にかかる柄付き洗車ブラシの分解図である。図示のように、柄付き洗車ブラシ40は、本体ブラシ42と車両用清掃具10によって構成されており、これらが着脱可能に連結される構成となっている。まず、車両用清掃具10について、図2を用いて詳細に説明する。
【0021】
図2(a)は車両用清掃具10の側面図(一部断面図)である。図示のように、車両用清掃具10は、筒状部材14にブラシ毛16が植設された筒状ブラシ体12を先端に有しており、その反対側は持手部18となっている。
【0022】
筒状ブラシ体12は、図2(b)に示すように、筒状部材14の外周面と内周面にブラシ毛16が全周にわたって植設された構造を有しており、本実施形態では、図2(a)に示すように、筒状部材14の先端面にもブラシ毛16が植設されている。
【0023】
持手部18は、筒状ブラシ体12と連設された円柱状の部材であって、この持手部18を手で保持しながら本車両用清掃具10を操作することが可能になっている。また、その外周面には、軸方向に長さを有する複数の矩形状の突起物によって構成される滑り止め20が形成されており、これによって円周方向に手が滑ることを防止している。なお、本実施形態では突起物によって滑り止め20を形成したが、反対に凹みを設けることによって滑り止め20を形成してもよい。また、持手部18の後端には、本体ブラシ42(図1)と連結するための雌ネジ22が凹設されている。
【0024】
以上のような車両用清掃具10は、図3に示すようなホイール30のボルト締結部を清掃するために用いられる。具体的には、ホイール取付ボルト36のボルト頭部38と、そのボルト頭部38が収納されるホイール30に凹設された座ぐり部34を清掃する。その使用状態について図4を用いて説明する。
【0025】
図4(a)に示すように、筒状ブラシ体12は、前記ボルト頭部38と座ぐり部34の径方向の隙間に挿入可能なようにその内外径が設定されており、この挿入状態において、筒状ブラシ体12の内外周にあるブラシ毛16が、ボルト頭部38の外周面と座ぐり部34の内周面に接触するように構成されている。従って、この状態から、持手部18を保持している手を図4(b)のように動かしてブラシ体12を周方向や前後方向に動かせば、ブラシ毛16が図4(a)に示した各接触面上で摺動し、ボルト頭部38や座ぐり部34の汚れが同時に除去される。
【0026】
以上のような車両用清掃具10によれば、従来の洗車ブラシでは除去することが困難であったホイール取付ボルト36のボルト頭部38や座ぐり部34の汚れを確実に除去することができる。しかも両者の汚れを同時に除去できるため、効率よく清掃作業を行うことが可能である。
【0027】
なお、本実施形態では座ぐり部34の底面の汚れも確実に除去するために、筒状部材14の先端面にもブラシ毛16を植設したが(図4(a)に示すブラシ毛16a)、内周面と外周面にあるブラシ毛16の中で最も先端側のブラシ毛16bが清掃時にボルト頭部38や座ぐり部34に圧接して広がることにより、ある程度は座ぐり部34の底面の汚れを除去できるため、この先端部のブラシ毛16aは特に支障なければ省略してもよい。
【0028】
また、ボルト頭部38の上面は、それほど奥まったところにないため従来の洗車ブラシを用いても十分に清掃可能であることから、本実施形態の車両用清掃具10は、このボルト頭部38の上面は清掃できない構成としたが、これを筒状部材14の内部底面(図4(a)に示す面14a)にボルト頭部38の上面と接触するようなブラシ毛16を植設することにより当該ボルト上面も清掃できるようにしてもよい。
【0029】
次に、再び図1に戻って、本体ブラシ42について説明する。本体ブラシ42は、主に車体の表面を清掃するためのブラシであって、ブラシ部44と柄体46から構成されている。この柄体46の後端には図略の水道用ホースと接続可能な管状ネジ52が凸設されている。また、柄体46の内部には管状ネジ52の口部からブラシ部44に向かって伸びる中空状の通水路48が設けられており、さらにこの通水路48に通じる開口部50がブラシ部44に設けられている。すなわち、管状ネジ52の口部から導入された水が、ブラシ部44の開口部50から放出される構成となっており、これによって、ブラシ部44から自動的に放水しながら洗車することが可能となっている。なお、本実施形態の本体ブラシ42はこのような放水機能付きのものを採用したが、車体の表面を清掃できるものであればこれに限るものではなく、例えば放水機能が付いていないものでもよいし、ブラシではなくスポンジを有するものでもよい。
【0030】
一方、車両用清掃具10は前述したように、持手部18に雌ネジ22が凹設されており、本体ブラシ42の管状ネジ52と嵌合可能となっている。これにより、本体ブラシ42と車両用清掃具10は着脱可能に連結される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の柄付き洗車ブラシ40によれば、本体ブラシ42を用いて車体表面の多くの部分を清掃できるだけでなく、車両用清掃具10を用いてホイール取付ボルト36のボルト頭部38周辺も清掃できるため、非常に便利である。また、本体ブラシ42と車両用清掃具10が着脱可能に連結されているため、車両用清掃具10を使用するときはこれを本体ブラシ42から取り外して単体で使用し(ボルト頭部38等は細かい部分であるため車両用清掃具10は単体で使用した方が使い勝手がよい)、不使用時は紛失防止などのために再度本体ブラシ42に連結するという使い分けが可能となる。
【0032】
なお、本実施形態では、本体ブラシ42と車両用清掃具10とを連結可能な構成としたが、これを別々の構成としてそれぞれ単体で使用するようにしてもよい。この場合、車両用清掃具10についても本体ブラシ42と同様、水道用ホースに接続可能な構成とすることができる。具体的には、図5に示す車両用清掃具10’のように、持手部18’の後端に凸設されて水道用ホースと接続可能な管状ネジ24と、持手部18’を貫通して筒状ブラシ体12’から管状ネジ24の口部まで通じる通水路26とを設けることにより、管状ネジ24に水道用ホースを接続すれば筒状ブラシ体12’から水が放出されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態にかかる柄付き洗車ブラシを示す分解図である。
【図2】(a)本発明の実施の形態にかかる車両用清掃具の側面図(一部断面図)、(b)はその横断面図である。
【図3】(a)はホイール単体の正面図、(b)はホイールと車軸を締結するためのホイール取付ボルトの取付状態を示す断面図である。
【図4】(a)前記車両用清掃具を前記ホイールのボルト締結部に挿入した状態を示す断面図、(b)は前記車両用清掃具を用いて清掃する動作を示す図である。
【図5】変形実施例に係る車両清掃具を示す側面図(一部断面図)である。
【符号の説明】
【0034】
10 車両用清掃具
12 筒状ブラシ体
14 筒状部材
16 ブラシ毛
18 持手部
20 滑り止め
22 雌ネジ
30 ホイール
32 ボルト穴
34 座ぐり部
36 ホイール取付ボルト
38 ボルト頭部
40 柄付き洗車ブラシ
42 本体ブラシ
44 ブラシ部
46 柄体
48 通水路
50 開口部
52 管状ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ホイールを車軸に締結するためのホイール取付ボルトの頭部と、その頭部が収納される前記ホイールのボルト穴入口部に凹設された座ぐり部を清掃する車両用清掃具であって、
筒状の部材の内周面と外周面の両面にブラシ毛が植設された筒状ブラシ体をその先端部に有するとともに、
前記筒状ブラシ体の形状が前記ボルト頭部と座ぐり部との径方向の隙間に挿入可能とされていることにより、
当該挿入状態において前記ブラシ毛が前記ボルト頭部の外周面と前記座ぐり部の内周面の両面に同時に接触するように構成されていることを特徴とする車両用清掃具。
【請求項2】
請求項1記載の車両用清掃具において、
前記筒状ブラシ体は、前記筒状部材の先端面にもブラシ毛が植設されたものであることを特徴とする車両用清掃具。
【請求項3】
前記車両用清掃具の後端部を、手で保持するための持手部としたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用清掃具。
【請求項4】
請求項3記載の車両用清掃具において、
前記持手部には、円周方向に手が滑ることを防止するための滑り止め機構が設けられていることを特徴とする車両用清掃具。
【請求項5】
車体の表面を清掃可能なブラシ部に柄体の付いた本体ブラシを有する柄付き洗車ブラシであって、
前記本体ブラシの柄体の後端に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用清掃具が所定の連結手段によって着脱可能に連結されていることを特徴とする柄付き洗車ブラシ。
【請求項6】
請求項5記載の柄付き洗車ブラシにおいて、
前記連結手段は、前記本体ブラシの柄体の後端に管状ネジを凸設するとともに、前記車両用清掃具の後端部に当該管状ネジと嵌合する雌ネジを凹設することによって構成されていることを特徴とする柄付き洗車ブラシ。
【請求項7】
請求項6記載の柄付き洗車ブラシにおいて、
前記本体ブラシの柄体に設けた管状ネジを水道用ホースとも接続可能に形成するともに、
前記柄体の内部には、前記管状ネジの口部からブラシ部まで伸びる中空状の通水路を設け、さらにこの通水路と通じる開口部をブラシ部に設けることにより、
前記柄体の管状ネジに前記水道用ホースを接続した状態で前記ブラシ部から水が放出されるように構成されていることを特徴とする柄付き洗車ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−224755(P2006−224755A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39158(P2005−39158)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(505057705)
【Fターム(参考)】