車両用灯具のレンズ取付構造
【課題】専用の装置を要することなく、レンズをワンタッチで簡単にレンズホルダに取り付けることができる車両用灯具のレンズ取付構造を提供すること。
【解決手段】レンズ2と、該レンズ2を保持するレンズホルダ3と、該レンズホルダ3に保持されたリフレクタと、前記レンズホルダ3が取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成される車両用灯具の前記レンズ2の取付構造として、前記レンズ2の周縁に差込片2aと係止爪2bを形成し、前記レンズホルダ3に差込孔と係止孔3bを形成し、前記レンズ2の差込片2aを前記レンズホルダ3の差込孔に差し込み、前記レンズ2をその差込片2aを支点として回動させてその係止爪2bを前記レンズホルダ3の係止孔3bに係止することによって該レンズ2を前記レンズホルダ3に取り付ける構成を採用する。
【解決手段】レンズ2と、該レンズ2を保持するレンズホルダ3と、該レンズホルダ3に保持されたリフレクタと、前記レンズホルダ3が取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成される車両用灯具の前記レンズ2の取付構造として、前記レンズ2の周縁に差込片2aと係止爪2bを形成し、前記レンズホルダ3に差込孔と係止孔3bを形成し、前記レンズ2の差込片2aを前記レンズホルダ3の差込孔に差し込み、前記レンズ2をその差込片2aを支点として回動させてその係止爪2bを前記レンズホルダ3の係止孔3bに係止することによって該レンズ2を前記レンズホルダ3に取り付ける構成を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とするヘッドランプ等の車両用灯具とその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力で高寿命であるLED(発光ダイオード)を光源として使用する車両用灯具が増えつつある。斯かるLEDを光源とするヘッドランプ等の車両用灯具には、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、斯かる車両用灯具のレンズのレンズホルダへの取付方法に関して、特許文献2には、樹脂製のレンズをレンズホルダ(シェード)に接着又はレーザー溶着によって取着する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−186698号公報
【特許文献2】特開2007−048695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2において開示されているようにレンズをレンズホルダに接着又はレーザー溶着によって取着する方法では、その取着に専用の装置を要する他、取着作業が容易でなく、コストアップを招くという問題があった。又、レンズの周縁をレーザー溶着する場合には、レンズの周縁はレーザーを透過させるために透明でなければならないため、その透明な周縁から不要な光が漏れるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、専用の装置を要することなく、レンズをワンタッチで簡単にレンズホルダに取り付けることができる車両用灯具のレンズ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成される車両用灯具の前記レンズの取付構造として、前記レンズの周縁に差込片と係止爪を形成し、前記レンズホルダに差込孔と係止孔を形成し、前記レンズの差込片を前記レンズホルダの差込孔に差し込み、前記レンズをその差込片を支点として回動させてその係止爪を前記レンズホルダの係止孔に係止することによって該レンズを前記レンズホルダに取り付ける構成を採用することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記レンズホルダに前記レンズを受けてこれを位置決めする位置決め突起を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記レンズホルダに前記レンズの外周に当接して該レンズをその差込片側に押圧する押圧突起を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記レンズ又は前記レンズホルダの一方に位置決めピンを突設し、他方に前記位置決めピンが嵌合する嵌合孔を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記レンズの周縁にシボ加工を施したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けは、該レンズの周縁に形成された差込片をレンズホルダの差込孔に差し込み、レンズをその差込片を支点として回動させてその係止爪をレンズホルダの係止孔に係止することによって該レンズをレンズホルダにワンタッチで簡単取り付けることができるため、専用の装置が不要となり、組付工数が削減されて車両用灯具のコストダウンを図ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けに際して、該レンズをレンズホルダに形成された位置決め突起に当てることによって、レンズをレンズホルダに対して前後方向に正確に位置決めすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けに際して、レンズホルダに形成された押圧突起をレンズの外周に当接させて該レンズをその差込片側に押圧することによって、レンズをレンズホルダに確実に固定することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けに際して、レンズ又はレンズホルダの一方に突設された位置決めピンを他方に形成された嵌合孔に嵌合させることによって、レンズをレンズホルダに対して周方向に正確に位置決めすることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、レンズの周縁にシボ加工を施したため、不要な光がレンズに周縁から外部に漏れ出ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両用灯具の斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図4】本発明に係る車両用灯具の平面図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具の側面図である。
【図6】図3のA−A線断面図である。
【図7】図3のB−B線断面図である。
【図8】図3のC−C線断面図である。
【図9】本発明に係る車両用灯具のレンズの正面図である。
【図10】本発明に係る車両用灯具のレンズの背面図である。
【図11】本発明に係る車両用灯具のレンズの側面図である。
【図12】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの斜視図である。
【図13】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの正面図である。
【図14】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの側面図である。
【図15】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの底面図である。
【図16】本発明に係る車両用灯具のレンズとレンズホルダの斜視図である。
【図17】本発明に係る車両用灯具のレンズとレンズホルダの正面図である。
【図18】本発明に係る車両用灯具のレンズとレンズホルダの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る車両用灯具の斜視図、図2は同車両用灯具の分解斜視図、図3は同車両用灯具の正面図、図4は同車両用灯具の平面図、図5は同車両用灯具の側面図、図6は図3のA−A線断面図、図7は図3のB−B線断面図、図8は図3のC−C線断面図、図9はレンズの正面図、図10は同レンズの背面図、図11は同レンズの側面図、図12はレンズホルダの斜視図、図13は同レンズホルダの正面図、図14は同レンズホルダの側面図、図15は同レンズホルダの底面図、図16はレンズとレンズホルダの斜視図、図17はレンズとレンズホルダの正面図、図18レンズとレンズホルダの側面図である。
【0020】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両前部の左右に設けられるヘッドランプの灯室内に組み込まれるロービーム用ランプであって、その構成は左右で同じであるため、以下、一方の車両用灯具1についてのみ図示及び説明する。
【0021】
車両用灯具1は、左右一対のレンズ(投影レンズ)2と、これらのレンズ2をそれぞれ保持する左右一対のレンズホルダ3と、各レンズホルダ3に保持される左右一対のリフレクタ4と、各レンズホルダ3が取り付けられるヒートシンク5と、該ヒートシンク5上に装着された左右一対のLED光源6を含んで構成されている。
【0022】
上記レンズ2は、非球面の凸レンズであって、アクリル樹脂等の透明樹脂によって構成されており、図9〜図11に示すように、その外周の下端には差込片2aが下方に向かって一体に形成されている。又、レンズ2に外周の上部左右の2箇所には係止爪2bが径方向外方に向かって一体に形成されており、図10に示すように、レンズ2の内面(レンズホルダ3との合わせ面)の幅方向中央上端部には円形の嵌合孔2cが形成されている。そして、レンズ2の周縁フランジ部の外面(図9において網目を付した部分)にはシボ加工が施されている。
【0023】
前記各レンズホルダ3は、樹脂にて一体成形されており、図13〜図15に示すように、前端に設けられたリング状のホルダ部3Aの外周下端部(レンズ2に形成された前記差込片2aに対応する位置)には周方向に長いスリット状の差込孔3aが形成されている。又、レンズホルダ3のホルダ部3Aの外周の上部左右の2箇所(レンズ2に形成された前記係止爪2bに対応する2箇所)には周方向に長いスリット状の係止孔3bが形成されている。
【0024】
更に図12及び図13に示すように、各レンズホルダ3のホルダ部3Aの内周面(レンズ2が嵌まり込む面)の下半部の左右2箇所には、レンズ2の内面外周を受けて該レンズ2を前後方向に位置決めするための位置決め突起3cが形成されており、ホルダ部3Aの内周面の上半部の左右2箇所には、レンズ2の外周に当接して該レンズ2をその差込片2a側(下方)に押圧する押圧突起3dが形成されている。又、各レンズホルダ3のホルダ部3Aの内周面の幅方向中央上端部(レンズ2の嵌合孔2cに対応する箇所)には前方に向かって略水平に延びる位置決めピン3eが一体に突設されている。
【0025】
他方、各レンズホルダ3の前端のホルダ部3Aから後方(車両後方)に向かって略水平に延びるベース部3Bの左右両側面には係止爪3fがそれぞれ突設されている。尚、各ベース3Bの上面はアルミ蒸着等が施されて反射面を構成している。
【0026】
更に、図6、図14及び図15に示すように、レンズホルダ3の下部には後方(図6の上方)に向かって略水平に突出する左右一対の係止突起3gが一体に形成されており、左右方向において両係止突起3gの間には図7及び図14に示すように上下2本の位置決めピン3hが後方(図7及び図14の右方)に向かって一体に突設されている。
【0027】
前記各リフレクタ4は、光を透過しない不透明樹脂によって一体成形されており、その前方と下方が開口するドーム状を成し、その内面はアルミ蒸着等の反射処理が施されて反射面を形成している。そして、このリフレクタ4の左右の所定箇所(レンズホルダ3に形成された前記係止爪3bに対応する箇所)には矩形の係止孔4a(図2参照)が形成されている。
【0028】
前記ヒートシンク5は、熱伝導性の高いアルミダイカスト等によって一体成形されており、その前面側には左右一対のレンズホルダ3が後述のようにフック方式によってワンタッチで取り付けられる。ここで、図2及び図6に示すように、ヒートシンク5の前面側の左右一対のレンズホルダ3が取り付けられる部分には左右各2つずつの係止孔5aがそれぞれ形成されており、左右方向(幅方向)において各2つの係止孔5aの中間には上下2つのボス5Aがそれぞれ形成されている。そして、図2及び図7に示すように、各ボス5Aには円孔状の位置決め孔5bがそれぞれ貫設されている。
【0029】
又、ヒートシンク5には複数枚の放熱フィン5cが一体に形成されており、その下部の左右にはスライダ5dが外側方に向かって水平且つ一体に突設されている。そして、図2に示すように、ヒートシンク5の水平部の左右には左右一対の前記LED光源6を設置するための平坦な設置面5eがそれぞれ形成されている。尚、図示しないが、ヒートシンク5の各設置面5eの後方には、左右一対の各コネクタ7(図2及び図7参照)を差し込むための矩形孔状のコネクタ差込部が形成されている。ここで、各コネクタ7は、不図示の駆動回路に接続されるコード8の端部に取り付けられている。
【0030】
更に、ヒートシンク5の左右幅内であって、且つ、一方の設置面5eの後方上部には、エーミング調整用ピボットを保持するナット9(図8参照)が取り付けられるナット取付部5Bが車両前方(レンズ2側)に向かって膨出するよう一体に形成されている。このナット取付部5Bは、当該車両用灯具1の重心を通る垂直面上に配置されており、図8に示すように、ナット取付部5Bに保持されたエーミング調整用ピボットを保持するナット9には、エーミング機構のアクチュエータを構成する電動モータ10から車両前方に向かって略水平に延びるロッド11の先端に形成されたボール11aが保持されている。ここで、ヒートシンク5の下部の左右両側部に一体に突設された前記スライダ5dは、図8に示すハウジング12の左右に前後方向に形成された不図示のレールにスライド可能に嵌合保持されている。従って、前記電動モータ10が駆動されてロッド11が前後に進退動すると、車両用灯具1の全体がハウジング12に対して左右のスライダ5dを中心として上下に回動し、この回動によって当該車両用灯具1の上下方向の光軸調整がなされる。
【0031】
前記各LED光源6は、図7に示すように、熱伝導性及び絶縁性が高いセラミック等から成る矩形平板状のLED基板6a上にLEDチップ6bを実装して構成されている。
【0032】
次に、以上の構成を有する車両用灯具1の組立方法について説明する。
【0033】
レンズホルダ3の左右のリング状のホルダ部3Aのそれぞれには左右の各レンズ2がフック方式によってワンタッチで簡単に取り付けられる。即ち、左右の各レンズ2をその外周下端に形成された差込片2aをレンズホルダ3のホルダ部3Aの下端に形成された差込孔3aに上方から差し込み、レンズ2の全体を差込片2aを支点としてレンズホルダ3側に回動させれば、該レンズ2の外周2箇所に形成された係止爪2bがレンズホルダ2のホルダ部3Aを径方向外方へと押し広げながらホルダ部3Aに嵌合し、該係止爪2bがレンズホルダ3の係止孔3bに係合して係止されることによって、図16〜図18に示すようにレンズ2がレンズホルダ3にワンタッチで簡単に取り付けられる。
【0034】
ところで、レンズ2のレンズホルダ3への上記要領による取り付けに際して、レンズホルダ2に突設された位置決めピン3hがレンズ2の内面に形成された嵌合孔2cに差し込まれて嵌合するため、レンズ2がレンズホルダ3に対して周方向に正確に位置決めされる。尚、本実施の形態では、レンズ2側に嵌合孔2cを形成し、レンズホルダ3側に位置決めピン3hを形成したが、これとは逆にレンズ2側に位置決めピンを形成し、レンズホルダ3側に嵌合孔を形成し、両者を互いに嵌合させるよう構成しても良い。
【0035】
又、本実施の形態では、レンズ2のレンズホルダ3への取り付けに際して、該レンズ2がレンズホルダ3に形成された左右2つの位置決め突起3cに当接するため、レンズ2がレンズホルダ3に対して前後方向に正確に位置決めされる。
【0036】
更に、本実施の形態では、レンズ2のレンズホルダ3への取り付けに際して、レンズホルダ3に形成された押圧突起3dがレンズ2の外周に当接して該レンズ2をその差込片2a側(下方)に押圧するため、レンズ2がレンズホルダ3に確実に固定される。
【0037】
又、レンズホルダ3の左右のベース部3B上には左右の各リフレクタ4が上方から嵌め込まれて固定される。即ち、左右の各リフレクタ4をレンズホルダ3の左右のベース部3B上に設置し、これを下方に押し込むと、該リフレクタ4の左右に形成された係止孔4aにレンズホルダ3の左右両側面に形成された係止爪3bが係合して係止されるため、各リフレクタ4が左右の各レンズホルダ3のベース部3Bにそれぞれ固定保持される。
【0038】
ところで、左右のLED光源6は、ヒートシンク5の水平部の左右に形成された設置面5e上に設置され、図2及び図7に示すように金属製のクリップ13の差し込みによってヒートシンク5の各設置面5eに固定されるが、該LED光源6のLED基板6aとヒートシンク5の設置面5eとの間には両者の密着性と熱伝導性を高めるために熱伝導性の高い熱伝導グリースが介装されるが、本実施の形態では、LED光源6側、具体的にはLED基板6aの下面に熱伝導性グリースが塗布される。この場合、熱伝導性グリースのLED基板への塗布は、ヒートシンク5との干渉を考慮することなく作業性良くなされる。
【0039】
而して、LED基板6aの下面に熱伝導性グリースが塗布された左右の各LED光源6は、前述のようにヒートシンク5の左右の各設置面5e上に設置され、金属製のクリップ13の差し込みによってヒートシンク5の各設置面5e上に固定される。
【0040】
次に、レンズ2とリフレクタ4が組み付けられた左右の各レンズホルダ3は、ヒートシンク5に前方から嵌め込まれることによってヒートシンク5にワンタッチで簡単に取り付けられる。即ち、各レンズホルダ3は、その後部に突設された前記位置決めピン3dを図7に示すようにヒートシンク5のボス5Aに形成された位置決め孔5bに前方から差し込むことによってヒートシンク5に対して位置決めされる。そして、その状態を保持したまま左右の各レンズホルダ3をこれに組み付けられたレンズ2及びリフレクタ4と共に後方へと押し込めば、図6に示すように、各レンズホルダ3に形成された係止突起3cの先端がヒートシンク5の左右に形成された各2つの係止孔5aに係合して係止されるため、前述のようにレンズ2とリフレクタ4が組み付けられた左右の各レンズホルダ3がヒートシンク5にワンタッチで簡単に取り付けられる。
【0041】
以上のようにして車両用灯具1が組み立てられると、図7に示すように、ヒートシンク5の後部の左右に形成された不図示のコネクタ差込部に左右の各コネクタ7を差し込んでこれを係止すれば、LED光源6が電源コード8を介して不図示の駆動回路に電気的に接続される。
【0042】
而して、夜間での車両の走行において運転者が不図示の点灯スイッチをON操作すれば、バッテリから電流がコード8を経て左右の各LED光源6へと供給され、各LED光源6のLEDチップ6bが起動されて発光する。すると、各LED光源6からの光は、各リフレクタ4の反射面及びレンズホルダ3のベース3Bの反射面によって反射されてロービーム用に配光された後、車両前方へと進んで左右の各レンズ2を通過することによって集光され、ハウジング12の前面開口部を覆う不図示のアウタレンズを通って前方へと照射される。このとき、各LED光源6のLEDチップ6bが発する熱は、LED基板6aから熱伝導性グリースを経てヒートシンク5へと伝導し、ヒートシンク5の放熱フィン5cから外部に効率良く放熱されるため、LEDチップ6bの温度上昇が抑えられ、該LEDチップ6bに高い発光効率と寿命が確保される。
【0043】
以上において、本発明に係る車両用灯具1においては、レンズ2のレンズホルダ3への取り付けは、該レンズ2の外周下端に形成された差込片2aをレンズホルダ3の差込孔3aに差し込み、レンズ2をその差込片2aを支点として回動させてその係止爪2bをレンズホルダ3の係止孔3bに係合させて係止することによって該レンズ2をレンズホルダ3にワンタッチで簡単取り付けることができるため、専用の装置が不要となり、組付工数が削減されて車両用灯具1のコストダウンが図られる。
【0044】
又、本実施の形態では、レンズ2の周縁(図9において網目を付した部分)にシボ加工を施したため、不要な光がレンズ2に周縁から外部に漏れ出ることがなく、車両用灯具1の品質が高められる。
【0045】
尚、以上は本発明をヘッドランプのロービーム用ランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、ヘッドランプのハイビーム用ランプの他、ヘッドランプ以外の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 車両用灯具
2 レンズ
2a レンズの差込片
2b レンズの係止爪
2c レンズの嵌合孔
3 レンズホルダ
3A レンズホルダのホルダ部
3B レンズホルダのベース部
3a レンズホルダの差込孔
3b レンズホルダの係止孔
3c レンズホルダの位置決め突起
3d レンズホルダの押圧突起
3e レンズホルダの位置決めピン
3f レンズホルダの係止爪
3g レンズホルダの係止突起
3h レンズホルダの位置決めピン
4 リフレクタ
4a リフレクタの係止孔
5 ヒートシンク
5A ヒートシンクのボス
5B ヒートシンクのナット取付部
5a ヒートシンクの係止孔
5b ヒートシンクの位置決め孔
5c ヒートシンクの放熱フィン
5d ヒートシンクのスライダ
5e ヒートシンクの設置面
6 LED光源
6a LED基板
6b LEDチップ
7 コネクタ
8 コード
9 ナット
10 電動モータ
11 ロッド
11a ロッドのボール
12 ハウジング
13 クリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とするヘッドランプ等の車両用灯具とその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力で高寿命であるLED(発光ダイオード)を光源として使用する車両用灯具が増えつつある。斯かるLEDを光源とするヘッドランプ等の車両用灯具には、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、斯かる車両用灯具のレンズのレンズホルダへの取付方法に関して、特許文献2には、樹脂製のレンズをレンズホルダ(シェード)に接着又はレーザー溶着によって取着する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−186698号公報
【特許文献2】特開2007−048695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2において開示されているようにレンズをレンズホルダに接着又はレーザー溶着によって取着する方法では、その取着に専用の装置を要する他、取着作業が容易でなく、コストアップを招くという問題があった。又、レンズの周縁をレーザー溶着する場合には、レンズの周縁はレーザーを透過させるために透明でなければならないため、その透明な周縁から不要な光が漏れるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、専用の装置を要することなく、レンズをワンタッチで簡単にレンズホルダに取り付けることができる車両用灯具のレンズ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成される車両用灯具の前記レンズの取付構造として、前記レンズの周縁に差込片と係止爪を形成し、前記レンズホルダに差込孔と係止孔を形成し、前記レンズの差込片を前記レンズホルダの差込孔に差し込み、前記レンズをその差込片を支点として回動させてその係止爪を前記レンズホルダの係止孔に係止することによって該レンズを前記レンズホルダに取り付ける構成を採用することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記レンズホルダに前記レンズを受けてこれを位置決めする位置決め突起を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記レンズホルダに前記レンズの外周に当接して該レンズをその差込片側に押圧する押圧突起を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記レンズ又は前記レンズホルダの一方に位置決めピンを突設し、他方に前記位置決めピンが嵌合する嵌合孔を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記レンズの周縁にシボ加工を施したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けは、該レンズの周縁に形成された差込片をレンズホルダの差込孔に差し込み、レンズをその差込片を支点として回動させてその係止爪をレンズホルダの係止孔に係止することによって該レンズをレンズホルダにワンタッチで簡単取り付けることができるため、専用の装置が不要となり、組付工数が削減されて車両用灯具のコストダウンを図ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けに際して、該レンズをレンズホルダに形成された位置決め突起に当てることによって、レンズをレンズホルダに対して前後方向に正確に位置決めすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けに際して、レンズホルダに形成された押圧突起をレンズの外周に当接させて該レンズをその差込片側に押圧することによって、レンズをレンズホルダに確実に固定することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、レンズのレンズホルダへの取り付けに際して、レンズ又はレンズホルダの一方に突設された位置決めピンを他方に形成された嵌合孔に嵌合させることによって、レンズをレンズホルダに対して周方向に正確に位置決めすることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、レンズの周縁にシボ加工を施したため、不要な光がレンズに周縁から外部に漏れ出ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両用灯具の斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
【図4】本発明に係る車両用灯具の平面図である。
【図5】本発明に係る車両用灯具の側面図である。
【図6】図3のA−A線断面図である。
【図7】図3のB−B線断面図である。
【図8】図3のC−C線断面図である。
【図9】本発明に係る車両用灯具のレンズの正面図である。
【図10】本発明に係る車両用灯具のレンズの背面図である。
【図11】本発明に係る車両用灯具のレンズの側面図である。
【図12】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの斜視図である。
【図13】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの正面図である。
【図14】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの側面図である。
【図15】本発明に係る車両用灯具のレンズホルダの底面図である。
【図16】本発明に係る車両用灯具のレンズとレンズホルダの斜視図である。
【図17】本発明に係る車両用灯具のレンズとレンズホルダの正面図である。
【図18】本発明に係る車両用灯具のレンズとレンズホルダの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係る車両用灯具の斜視図、図2は同車両用灯具の分解斜視図、図3は同車両用灯具の正面図、図4は同車両用灯具の平面図、図5は同車両用灯具の側面図、図6は図3のA−A線断面図、図7は図3のB−B線断面図、図8は図3のC−C線断面図、図9はレンズの正面図、図10は同レンズの背面図、図11は同レンズの側面図、図12はレンズホルダの斜視図、図13は同レンズホルダの正面図、図14は同レンズホルダの側面図、図15は同レンズホルダの底面図、図16はレンズとレンズホルダの斜視図、図17はレンズとレンズホルダの正面図、図18レンズとレンズホルダの側面図である。
【0020】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両前部の左右に設けられるヘッドランプの灯室内に組み込まれるロービーム用ランプであって、その構成は左右で同じであるため、以下、一方の車両用灯具1についてのみ図示及び説明する。
【0021】
車両用灯具1は、左右一対のレンズ(投影レンズ)2と、これらのレンズ2をそれぞれ保持する左右一対のレンズホルダ3と、各レンズホルダ3に保持される左右一対のリフレクタ4と、各レンズホルダ3が取り付けられるヒートシンク5と、該ヒートシンク5上に装着された左右一対のLED光源6を含んで構成されている。
【0022】
上記レンズ2は、非球面の凸レンズであって、アクリル樹脂等の透明樹脂によって構成されており、図9〜図11に示すように、その外周の下端には差込片2aが下方に向かって一体に形成されている。又、レンズ2に外周の上部左右の2箇所には係止爪2bが径方向外方に向かって一体に形成されており、図10に示すように、レンズ2の内面(レンズホルダ3との合わせ面)の幅方向中央上端部には円形の嵌合孔2cが形成されている。そして、レンズ2の周縁フランジ部の外面(図9において網目を付した部分)にはシボ加工が施されている。
【0023】
前記各レンズホルダ3は、樹脂にて一体成形されており、図13〜図15に示すように、前端に設けられたリング状のホルダ部3Aの外周下端部(レンズ2に形成された前記差込片2aに対応する位置)には周方向に長いスリット状の差込孔3aが形成されている。又、レンズホルダ3のホルダ部3Aの外周の上部左右の2箇所(レンズ2に形成された前記係止爪2bに対応する2箇所)には周方向に長いスリット状の係止孔3bが形成されている。
【0024】
更に図12及び図13に示すように、各レンズホルダ3のホルダ部3Aの内周面(レンズ2が嵌まり込む面)の下半部の左右2箇所には、レンズ2の内面外周を受けて該レンズ2を前後方向に位置決めするための位置決め突起3cが形成されており、ホルダ部3Aの内周面の上半部の左右2箇所には、レンズ2の外周に当接して該レンズ2をその差込片2a側(下方)に押圧する押圧突起3dが形成されている。又、各レンズホルダ3のホルダ部3Aの内周面の幅方向中央上端部(レンズ2の嵌合孔2cに対応する箇所)には前方に向かって略水平に延びる位置決めピン3eが一体に突設されている。
【0025】
他方、各レンズホルダ3の前端のホルダ部3Aから後方(車両後方)に向かって略水平に延びるベース部3Bの左右両側面には係止爪3fがそれぞれ突設されている。尚、各ベース3Bの上面はアルミ蒸着等が施されて反射面を構成している。
【0026】
更に、図6、図14及び図15に示すように、レンズホルダ3の下部には後方(図6の上方)に向かって略水平に突出する左右一対の係止突起3gが一体に形成されており、左右方向において両係止突起3gの間には図7及び図14に示すように上下2本の位置決めピン3hが後方(図7及び図14の右方)に向かって一体に突設されている。
【0027】
前記各リフレクタ4は、光を透過しない不透明樹脂によって一体成形されており、その前方と下方が開口するドーム状を成し、その内面はアルミ蒸着等の反射処理が施されて反射面を形成している。そして、このリフレクタ4の左右の所定箇所(レンズホルダ3に形成された前記係止爪3bに対応する箇所)には矩形の係止孔4a(図2参照)が形成されている。
【0028】
前記ヒートシンク5は、熱伝導性の高いアルミダイカスト等によって一体成形されており、その前面側には左右一対のレンズホルダ3が後述のようにフック方式によってワンタッチで取り付けられる。ここで、図2及び図6に示すように、ヒートシンク5の前面側の左右一対のレンズホルダ3が取り付けられる部分には左右各2つずつの係止孔5aがそれぞれ形成されており、左右方向(幅方向)において各2つの係止孔5aの中間には上下2つのボス5Aがそれぞれ形成されている。そして、図2及び図7に示すように、各ボス5Aには円孔状の位置決め孔5bがそれぞれ貫設されている。
【0029】
又、ヒートシンク5には複数枚の放熱フィン5cが一体に形成されており、その下部の左右にはスライダ5dが外側方に向かって水平且つ一体に突設されている。そして、図2に示すように、ヒートシンク5の水平部の左右には左右一対の前記LED光源6を設置するための平坦な設置面5eがそれぞれ形成されている。尚、図示しないが、ヒートシンク5の各設置面5eの後方には、左右一対の各コネクタ7(図2及び図7参照)を差し込むための矩形孔状のコネクタ差込部が形成されている。ここで、各コネクタ7は、不図示の駆動回路に接続されるコード8の端部に取り付けられている。
【0030】
更に、ヒートシンク5の左右幅内であって、且つ、一方の設置面5eの後方上部には、エーミング調整用ピボットを保持するナット9(図8参照)が取り付けられるナット取付部5Bが車両前方(レンズ2側)に向かって膨出するよう一体に形成されている。このナット取付部5Bは、当該車両用灯具1の重心を通る垂直面上に配置されており、図8に示すように、ナット取付部5Bに保持されたエーミング調整用ピボットを保持するナット9には、エーミング機構のアクチュエータを構成する電動モータ10から車両前方に向かって略水平に延びるロッド11の先端に形成されたボール11aが保持されている。ここで、ヒートシンク5の下部の左右両側部に一体に突設された前記スライダ5dは、図8に示すハウジング12の左右に前後方向に形成された不図示のレールにスライド可能に嵌合保持されている。従って、前記電動モータ10が駆動されてロッド11が前後に進退動すると、車両用灯具1の全体がハウジング12に対して左右のスライダ5dを中心として上下に回動し、この回動によって当該車両用灯具1の上下方向の光軸調整がなされる。
【0031】
前記各LED光源6は、図7に示すように、熱伝導性及び絶縁性が高いセラミック等から成る矩形平板状のLED基板6a上にLEDチップ6bを実装して構成されている。
【0032】
次に、以上の構成を有する車両用灯具1の組立方法について説明する。
【0033】
レンズホルダ3の左右のリング状のホルダ部3Aのそれぞれには左右の各レンズ2がフック方式によってワンタッチで簡単に取り付けられる。即ち、左右の各レンズ2をその外周下端に形成された差込片2aをレンズホルダ3のホルダ部3Aの下端に形成された差込孔3aに上方から差し込み、レンズ2の全体を差込片2aを支点としてレンズホルダ3側に回動させれば、該レンズ2の外周2箇所に形成された係止爪2bがレンズホルダ2のホルダ部3Aを径方向外方へと押し広げながらホルダ部3Aに嵌合し、該係止爪2bがレンズホルダ3の係止孔3bに係合して係止されることによって、図16〜図18に示すようにレンズ2がレンズホルダ3にワンタッチで簡単に取り付けられる。
【0034】
ところで、レンズ2のレンズホルダ3への上記要領による取り付けに際して、レンズホルダ2に突設された位置決めピン3hがレンズ2の内面に形成された嵌合孔2cに差し込まれて嵌合するため、レンズ2がレンズホルダ3に対して周方向に正確に位置決めされる。尚、本実施の形態では、レンズ2側に嵌合孔2cを形成し、レンズホルダ3側に位置決めピン3hを形成したが、これとは逆にレンズ2側に位置決めピンを形成し、レンズホルダ3側に嵌合孔を形成し、両者を互いに嵌合させるよう構成しても良い。
【0035】
又、本実施の形態では、レンズ2のレンズホルダ3への取り付けに際して、該レンズ2がレンズホルダ3に形成された左右2つの位置決め突起3cに当接するため、レンズ2がレンズホルダ3に対して前後方向に正確に位置決めされる。
【0036】
更に、本実施の形態では、レンズ2のレンズホルダ3への取り付けに際して、レンズホルダ3に形成された押圧突起3dがレンズ2の外周に当接して該レンズ2をその差込片2a側(下方)に押圧するため、レンズ2がレンズホルダ3に確実に固定される。
【0037】
又、レンズホルダ3の左右のベース部3B上には左右の各リフレクタ4が上方から嵌め込まれて固定される。即ち、左右の各リフレクタ4をレンズホルダ3の左右のベース部3B上に設置し、これを下方に押し込むと、該リフレクタ4の左右に形成された係止孔4aにレンズホルダ3の左右両側面に形成された係止爪3bが係合して係止されるため、各リフレクタ4が左右の各レンズホルダ3のベース部3Bにそれぞれ固定保持される。
【0038】
ところで、左右のLED光源6は、ヒートシンク5の水平部の左右に形成された設置面5e上に設置され、図2及び図7に示すように金属製のクリップ13の差し込みによってヒートシンク5の各設置面5eに固定されるが、該LED光源6のLED基板6aとヒートシンク5の設置面5eとの間には両者の密着性と熱伝導性を高めるために熱伝導性の高い熱伝導グリースが介装されるが、本実施の形態では、LED光源6側、具体的にはLED基板6aの下面に熱伝導性グリースが塗布される。この場合、熱伝導性グリースのLED基板への塗布は、ヒートシンク5との干渉を考慮することなく作業性良くなされる。
【0039】
而して、LED基板6aの下面に熱伝導性グリースが塗布された左右の各LED光源6は、前述のようにヒートシンク5の左右の各設置面5e上に設置され、金属製のクリップ13の差し込みによってヒートシンク5の各設置面5e上に固定される。
【0040】
次に、レンズ2とリフレクタ4が組み付けられた左右の各レンズホルダ3は、ヒートシンク5に前方から嵌め込まれることによってヒートシンク5にワンタッチで簡単に取り付けられる。即ち、各レンズホルダ3は、その後部に突設された前記位置決めピン3dを図7に示すようにヒートシンク5のボス5Aに形成された位置決め孔5bに前方から差し込むことによってヒートシンク5に対して位置決めされる。そして、その状態を保持したまま左右の各レンズホルダ3をこれに組み付けられたレンズ2及びリフレクタ4と共に後方へと押し込めば、図6に示すように、各レンズホルダ3に形成された係止突起3cの先端がヒートシンク5の左右に形成された各2つの係止孔5aに係合して係止されるため、前述のようにレンズ2とリフレクタ4が組み付けられた左右の各レンズホルダ3がヒートシンク5にワンタッチで簡単に取り付けられる。
【0041】
以上のようにして車両用灯具1が組み立てられると、図7に示すように、ヒートシンク5の後部の左右に形成された不図示のコネクタ差込部に左右の各コネクタ7を差し込んでこれを係止すれば、LED光源6が電源コード8を介して不図示の駆動回路に電気的に接続される。
【0042】
而して、夜間での車両の走行において運転者が不図示の点灯スイッチをON操作すれば、バッテリから電流がコード8を経て左右の各LED光源6へと供給され、各LED光源6のLEDチップ6bが起動されて発光する。すると、各LED光源6からの光は、各リフレクタ4の反射面及びレンズホルダ3のベース3Bの反射面によって反射されてロービーム用に配光された後、車両前方へと進んで左右の各レンズ2を通過することによって集光され、ハウジング12の前面開口部を覆う不図示のアウタレンズを通って前方へと照射される。このとき、各LED光源6のLEDチップ6bが発する熱は、LED基板6aから熱伝導性グリースを経てヒートシンク5へと伝導し、ヒートシンク5の放熱フィン5cから外部に効率良く放熱されるため、LEDチップ6bの温度上昇が抑えられ、該LEDチップ6bに高い発光効率と寿命が確保される。
【0043】
以上において、本発明に係る車両用灯具1においては、レンズ2のレンズホルダ3への取り付けは、該レンズ2の外周下端に形成された差込片2aをレンズホルダ3の差込孔3aに差し込み、レンズ2をその差込片2aを支点として回動させてその係止爪2bをレンズホルダ3の係止孔3bに係合させて係止することによって該レンズ2をレンズホルダ3にワンタッチで簡単取り付けることができるため、専用の装置が不要となり、組付工数が削減されて車両用灯具1のコストダウンが図られる。
【0044】
又、本実施の形態では、レンズ2の周縁(図9において網目を付した部分)にシボ加工を施したため、不要な光がレンズ2に周縁から外部に漏れ出ることがなく、車両用灯具1の品質が高められる。
【0045】
尚、以上は本発明をヘッドランプのロービーム用ランプに対して適用した形態について説明したが、本発明は、ヘッドランプのハイビーム用ランプの他、ヘッドランプ以外の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 車両用灯具
2 レンズ
2a レンズの差込片
2b レンズの係止爪
2c レンズの嵌合孔
3 レンズホルダ
3A レンズホルダのホルダ部
3B レンズホルダのベース部
3a レンズホルダの差込孔
3b レンズホルダの係止孔
3c レンズホルダの位置決め突起
3d レンズホルダの押圧突起
3e レンズホルダの位置決めピン
3f レンズホルダの係止爪
3g レンズホルダの係止突起
3h レンズホルダの位置決めピン
4 リフレクタ
4a リフレクタの係止孔
5 ヒートシンク
5A ヒートシンクのボス
5B ヒートシンクのナット取付部
5a ヒートシンクの係止孔
5b ヒートシンクの位置決め孔
5c ヒートシンクの放熱フィン
5d ヒートシンクのスライダ
5e ヒートシンクの設置面
6 LED光源
6a LED基板
6b LEDチップ
7 コネクタ
8 コード
9 ナット
10 電動モータ
11 ロッド
11a ロッドのボール
12 ハウジング
13 クリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成される車両用灯具の前記レンズの取付構造であって、
前記レンズの周縁に差込片と係止爪を形成し、前記レンズホルダに差込孔と係止孔を形成し、前記レンズの差込片を前記レンズホルダの差込孔に差し込み、前記レンズをその差込片を支点として回動させてその係止爪を前記レンズホルダの係止孔に係止することによって該レンズを前記レンズホルダに取り付けることを特徴とする車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項2】
前記レンズホルダに前記レンズを受けてこれを位置決めする位置決め突起を形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項3】
前記レンズホルダに前記レンズの外周に当接して該レンズをその差込片側に押圧する押圧突起を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項4】
前記レンズ又は前記レンズホルダの一方に位置決めピンを突設し、他方に前記位置決めピンが嵌合する嵌合孔を形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項5】
前記前記レンズの周縁にシボ加工を施したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項1】
レンズと、該レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダに保持されたリフレクタと、前記レンズホルダが取り付けられるヒートシンクと、該ヒートシンク上に装着されたLED光源を含んで構成される車両用灯具の前記レンズの取付構造であって、
前記レンズの周縁に差込片と係止爪を形成し、前記レンズホルダに差込孔と係止孔を形成し、前記レンズの差込片を前記レンズホルダの差込孔に差し込み、前記レンズをその差込片を支点として回動させてその係止爪を前記レンズホルダの係止孔に係止することによって該レンズを前記レンズホルダに取り付けることを特徴とする車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項2】
前記レンズホルダに前記レンズを受けてこれを位置決めする位置決め突起を形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項3】
前記レンズホルダに前記レンズの外周に当接して該レンズをその差込片側に押圧する押圧突起を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項4】
前記レンズ又は前記レンズホルダの一方に位置決めピンを突設し、他方に前記位置決めピンが嵌合する嵌合孔を形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【請求項5】
前記前記レンズの周縁にシボ加工を施したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両用灯具のレンズ取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−119285(P2012−119285A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270885(P2010−270885)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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