車両用灯具
【課題】従来の車両用灯具では、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に付着した雪や氷や曇りを確実に融かしたり除去したりすることができない場合がある。
【解決手段】ランプレンズ４に設けられている線ヒータ５は、高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部と、低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部と、を有する。この結果、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【解決手段】ランプレンズ４に設けられている線ヒータ５は、高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部と、低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部と、を有する。この結果、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ランプレンズが融雪（解氷、防曇）構造をなす車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この種の車両用灯具は、従来からある（たとえば、特許文献１、特許文献２、特許文献３）。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、前面レンズと、前記前面レンズにインサート成形や接着剤により接合一体化された配線板ヒータ（ベースフィルムの上に導電箔パターンが印刷されているもの）と、を備えるものである。また、前記の従来の車両用灯具は、レンズと、前記レンズにプリント（もしくは、インサート、挟み込み、接着）された電熱線と、を備えるものである。さらに、従来の車両用灯具は、光透過カバーと、前記光透過カバーに設けられた加熱体（光透過シートに付着されている）と、を備えるものである。
【０００３】
以下、従来の車両用灯具の作用について説明する。配線板ヒータ（電熱線、加熱体）に給電すると、その配線板ヒータ（電熱線、加熱体）が発熱し、その熱により、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に付着した雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりする。この結果、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）から照射される光の損失を防ぐことができる。特に、光源として、ハロゲンバルブや白熱バルブと比較して、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）から照射される光の温度が低い光源、たとえば、ＬＥＤなどの半導体型光源やＨＩＤなどの放電灯を使用した車両用灯具においては、効果的である。
【０００４】
ところが、従来の車両用灯具は、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に配線板ヒータ（電熱線、加熱体）をただ単に設けたものであるから、配線板ヒータ（電熱線、加熱体）が前面レンズ（レンズ、光透過カバー）をほぼ均一の温度で暖めるものである。一方、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）においては、温度分布、すなわち、高温箇所と低温箇所とが存在する。この結果、従来の車両用灯具では、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）の温度分布の温度差が大きい場合には、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）の低温箇所に付着した雪や氷や曇りを確実に融かしたり除去したりすることができない場合がある。
【０００５】
【特許文献１】特開平１０−１０９５８７号公報
【特許文献２】特開２００２−１５０８１２号公報
【特許文献３】特開２００２−１６６７７８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に付着した雪や氷や曇りを確実に融かしたり除去したりすることができない場合があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この発明（請求項１にかかる発明）は、ランプレンズに設けられているヒータが、少なくとも高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、発熱部と無発熱部とを有する、ことを特徴とする。
【０００８】
また、この発明（請求項２にかかる発明）は、ヒータが、電流を供給すると電気抵抗により発熱する電熱部材であって、抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを有する、ことを特徴とする。
【０００９】
さらに、この発明（請求項３にかかる発明）は、ヒータが、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、線パターンの密疎により高温発熱部と低温発熱部とを有する、ことを特徴とする。
【００１０】
さらにまた、この発明（請求項４にかかる発明）は、ヒータが電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、この線ヒータが設けられているランプレンズの表面には、防曇兼封止コートが施されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、ヒータが、少なくとも高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、発熱部と無発熱部とを有するので、ランプレンズの温度分布に対応してランプレンズを暖めることができる。たとえば、ランプレンズの低温箇所を高温発熱部あるいは発熱部により暖め、一方、ランプレンズの高温箇所を低温発熱部により暖めあるいは無発熱部により常温のままとすることができる。この結果、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、ランプレンズの温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズに雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズのほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズに付着した雪や氷や曇りをランプレンズのほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００１２】
また、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、ランプレンズの温度分布に対応してランプレンズを暖めることができるので、灯室内に複数個の光照射部が配置されている車両用灯具やスラント角度が大きいランプレンズを使用する車両用灯具のように、温度分布の温度差が大きいランプレンズにおいて、このランプレンズに雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズに付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズにおいて、このランプレンズのうち必要な箇所たとえば上部を高温発熱部あるいは発熱部で暖めることにより、ランプレンズの上部の雪や氷が滑落してランプレンズの下部の雪や氷を滑落させることができる。
【００１３】
また、この発明（請求項２にかかる発明）の車両用灯具は、ヒータの抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを形成し、あるいは、ヒータの抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを形成するものであるから、ヒータに高温発熱部と低温発熱部とをあるいは発熱部と無発熱部とを設けたにもかかわらず、ヒータの構造や発熱制御が簡単であり、製造コストに貢献することができる。
【００１４】
しかも、この発明（請求項２にかかる発明）の車両用灯具は、ヒータの抵抗値をほぼ０にもしくはほぼ０に近似させて無発熱部を形成するものであるから、省電力に貢献することができる。
【００１５】
さらに、この発明（請求項３にかかる発明）の車両用灯具は、ランプレンズのうち配光性能への影響や光学的影響が少ない箇所を線パターンの密の高温発熱部を配置し、一方、ランプレンズのうち配光性能への影響や光学的影響が大きい箇所を線パターンの疎の低温発熱部を配置することができる。これにより、この発明（請求項３にかかる発明）の車両用灯具は、配光性能への影響や光学的影響を最小限に抑えることができる。
【００１６】
さらに、この発明（請求項４にかかる発明）の車両用灯具は、線ヒータが設けられているランプレンズの表面に防曇兼封止コートを施すものであるから、ランプレンズの防曇効果と、線ヒータの封止（保護）効果とが得られる。また、この発明（請求項４にかかる発明）の車両用灯具は、防曇兼封止コートを施すものであるから、コートを施す工程を１回に削減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの６例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例１】
【００１８】
図１〜図１０は、この発明にかかる車両用灯具の実施例１を示す。以下、この実施例１にかかる車両用灯具の構成について説明する。この実施例１にかかる車両用灯具は、所定の配光パターン、たとえば、すれ違い用の配光パターンを照射する自動車用のヘッドランプ１Ｌ、１Ｒである。前記ヘッドランプ１Ｌ、１Ｒは、図１に示すように、自動車Ｃの前部の左右両側にそれぞれ装備されている。以下、左側のヘッドランプ１Ｌについて説明する。なお、右側のヘッドランプ１Ｒは、左側のヘッドランプ１Ｌの構造とほぼ左右逆である。
【００１９】
前記ヘッドランプ１Ｌは、図２および図４に示すように、５個のランプユニット２と、ランプハウジング３と、ランプレンズ４と、線ヒータ５と、給電部６と、を備えるものである。前記ランプハウジング３と前記ランプレンズ４とにより、灯室７が区画されている。前記灯室７内には、前記５個のランプユニット２が上下２段に（この例では、上段に２個、下段に３個）それぞれ配置されている。
【００２０】
前記ランプユニット２は、光を前記ランプレンズ４を通して外部に照射する光照射部を構成するものである。前記ランプユニット２は、所定の配光パターン、この例では、すれ違い用の配光パターンを照射（放射、出射）するものである。前記ランプユニット２は、図３に示すように、プロジェクタタイプであって、ユニット構造をなす。前記ランプユニット２は、上側リフレクタ８および下側リフレクタ９と、反射面１０およびシェード１１と、半導体型光源１２と、投影レンズ（凸レンズ、集光レンズ）１３と、ヒートシンク部材１４と、から構成されている。
【００２１】
前記ランプユニット２は、ホルダ部材１５を介して前記ランプハウジング３に取り付けられている。前記ランプハウジング３には、ヒートシンク部材１６が設けられている。前記ランプハウジング３側のヒートシンク部材１６と、前記ランプユニット２側のヒートシンク部材１４とは、前記ホルダ部材１５および前記ランプハウジング３を介して接続されている。これにより、前記半導体型光源１２において発生する熱は、前記ヒートシンク部材１４、前記ホルダ部材１５、前記ランプハウジング３、前記ヒートシンク部材１６を介して外部に放出される。
【００２２】
前記半導体型光源１２は、たとえば、ＬＥＤ、ＥＬ（有機ＥＬ）などの自発光半導体型光源（この実施例１ではＬＥＤ）を使用する。このために、前記半導体型光源１２自体においては熱が発生するが、前記半導体型光源１２からの光には熱がほとんど発生しない。これにより、前記ランプレンズ４には、雪や氷や曇りが付着し易い。
【００２３】
前記ランプレンズ４は、ほぼ素通しのレンズであって、いわゆるアウターカバー（アウターレンズ）である。前記ランプレンズ４は、この例では、たとえばＰＣ（ポリカーボネート）などの合成樹脂から成形されている。また、前記ランプレンズ４は、縦断面（垂直断面）において、上から下にかけて後方から前方にスラント（傾斜）している。なお、前記ランプレンズ４の材質がＰＣの場合、前記ランプレンズ４の耐熱温度は約１３０°Ｃである。
【００２４】
前記線ヒータ５は、転写式の線ヒータであって、前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられている。前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられている前記線ヒータ５は、図６に示すように、ベースフィルム１７と、接着剤１８と、導電性ペースト１９と、レジスト２０と、から構成されている。また、前記線ヒータ５は、光透過性のものが好ましい。
【００２５】
前記ベースフィルム１７は、透明なたとえばＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などの合成樹脂製のフィルムからなる。前記ベースフィルム１７の一面には、前記接着剤１８が設けられている。
【００２６】
前記ベースフィルム１７の他面には、前記導電性ペースト１９、１９０が線パターンに形成されている。前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンは、この例では、図４および図１０に示すように、相互にほぼ平行である上下６本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンである。上下２本の横線から縦線が連続して２個の端末部が形成されている。前記導電性ペースト１９、１９０は、導電性インクであって、この例では、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストからなる。前記導電性ペースト１９、１９０は、電流が供給されることにより、前記導電性ペーストの電気抵抗により発熱するものであって、電気抵抗値が高いと発生熱量が高く、電気抵抗値が低いと発生熱量が低い。
【００２７】
前記導電性ペースト１９、１９０は、図４に示すように、高抵抗値の導電性ペースト１９と、低抵抗値の導電性ペースト１９０と、からなる。前記高抵抗値の導電性ペースト１９は、図４中の通常の実線に示すように、前記ランプレンズ４の上部から中間部にかけて設けられている。一方、低抵抗値の導電性ペースト１９０は、図４中の太い実線に示すように、前記ランプレンズ４の中間部から下部にかけて設けられている。前記高抵抗値の導電性ペースト１９と前記低抵抗値の導電性ペースト１９０とは、断面積の大小や材料の違いなどにより、抵抗値の高低が決定される。この結果、前記ランプレンズ４に設けられている前記線ヒータ５は、前記高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部と、前記低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部と、を有する。
【００２８】
前記ベースフィルム１７の他面には、前記レジスト２０が前記導電性ペースト１９、１９０を覆うように設けられている。前記レジスト２０は、前記導電性ペースト１９、１９０を電気的に絶縁すると共に外からの衝撃から保護するものであって、すなわち、前記導電性ペースト１９、１９０の表面保護コートである。前記レジスト２０は、この例では、ウレタン系やアクリル系の接着剤などからなる。
【００２９】
前記ベースフィルム１７（この例では、前記接着剤１８をも含む）は、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンにカットされている。カットされた前記ベースフィルム１７の幅Ｗは、この例では、約０．５ｍｍであって、前記レジスト２０の幅とほぼ同等の幅である。そして、前記ベースフィルム１７がカットされた後において、前記レジスト２０側に配置したセパレータ２１を使用して、前記接着剤１８を前記ランプレンズ４の内面に接着させて線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０を前記ランプレンズ４の内面に転写させる。これにより、前記線ヒータ５は、前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられる。
【００３０】
前記セパレータ２１は、線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０を前記ランプレンズ４の内面に転写させた後前記レジスト２０側から剥がされる。前記セパレータ２１は、図１０に示すように、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターン形状をなす前記線ヒータ５を載置することができ、かつ、前記ランプレンズ４の内面に転写することができる程度の大きさと形状を有しているシート形状をなすものである。また、前記セパレータ２１は、前記ランプレンズ４の内面の曲面に追従し得るように、フレキシブル性の素材、この例では、ウレタンなどのゴム系の素材を使用するものである。
【００３１】
以下、この実施例１にかかる車両用灯具のヘッドランプ１Ｌ、１Ｒの前記ランプレンズ４の製造工程を図９を参照して説明する。まず、前記ベースフィルム１７の一面に前記接着剤（接着層）１８を設け、かつ、前記接着剤１８に剥離フィルムや剥離紙などの剥離シート２２を剥離可能に接着してなるシート部材２３を製造する（図９（Ａ）参照）。なお、前記シート部材２３の大きさは、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターン形状をなす前記線ヒータ５を形成することができる程度の大きさを有している。
【００３２】
つぎに、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７の他面（上面）に前記導電性ペースト１９、１９０を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により印刷して、線パターンに形成する（図９（Ｂ）参照）。
【００３３】
つづいて、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７の他面（上面）に前記レジスト（絶縁層兼保護膜）２０を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により印刷して、前記導電性ペースト１９、１９０を覆うように設ける（図９（Ｃ）参照）。
【００３４】
それから、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８を、たとえば、打ち抜き加工により、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットする（図９（Ｄ）参照）。すなわち、カッタ（図示せず）を前記レジスト２０側から前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８に押し込んで前記接着剤１８と前記剥離シート２２との境で止めて前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８をカットする。なお、図９（Ｃ）中において、実線ＣＬで前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８のカット箇所を示す。前記カッタを前記シート部材２３から離すと共に、カットされた前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８のうち、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンの部分以外の余分な部分を前記剥離シート２２から除く。
【００３５】
これにより、図９（Ｄ）に示すように、カットされなかった前記シート部材２３の前記剥離シート２２と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットされた前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８と、線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンに設けられている前記レジスト２０とが残される。なお、前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８のカット幅Ｗは、この例では、前記レジスト２０の幅とほぼ同等の幅であって、前記レジスト２０が前記導電性ペースト１９、１９０を覆い得る幅、すなわち、前記レジスト２０が前記導電性ペースト１９、１９０を封止して電気的に絶縁し得ると共に外からの衝撃から保護し得る幅である。
【００３６】
そして、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８を前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットした後、前記レジスト２０側に前記セパレータ２１を配置させる（図９（Ｅ）参照）。これにより、図１０に示すように、カットされなかった前記シート部材２３の前記剥離シート２２と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットされた前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８と、線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンに設けられている前記レジスト２０とが、前記セパレータ２１上に前記レジスト２０側を下にして載置される。この結果、線ヒータユニットが製造される。この線ヒータユニットは、前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８および前記導電性ペースト１９、１９０および前記レジスト２０から構成されている前記線ヒータ５と、前記セパレータ２１および前記シート部材２３の前記剥離シート２２と、からなるものである。
【００３７】
つぎに、上記のようにして製造された線ヒータユニットの前記剥離シート２２を剥がす（図９（Ｆ）参照）。それから、前記レジスト２０側に配置した前記セパレータ２１を使用して、前記接着剤１８を前記ランプレンズ４の内面に接着させて線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０を前記ランプレンズ４の内面に転写させる（図９（Ｇ）参照）。そして、前記セパレータ２１を前記レジスト２０から剥がす。これにより、図４〜図６に示すように、内面に前記線ヒータ５が転写により設けられている前記ランプレンズ４が製造される。
【００３８】
上記のように、前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられている前記線ヒータ５には、図７および図８に示すように、前記給電部６が設けられている。前記給電部６は、前記線ヒータ５に電流を供給するものである。
【００３９】
すなわち、前記線ヒータ５の２個の端末部には、給電用のパターン部２４、２４がそれぞれ設けられている。前記２個の給電パターン部２４、２４は、前記導電性ペースト１９、１９０と一体に設けられている。すなわち、前記２個の給電パターン部２４、２４は、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７の他面に、前記導電性ペースト１９、１９０が印刷などにより形成される際に同時に形成されるものである。このために、前記２個の給電パターン部２４、２４は、前記導電性ペースト１９、１９０と同様に、導電性インクであって、この例では、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストからなる。
【００４０】
前記２個の給電パターン部２４、２４には、前記レジスト２０が設けられていない。これは、絶縁性の前記レジスト２０により、前記２個の給電パターン部２４、２４と表面実装タイプ（ＳＭＴ）のコネクタ２５とが電気的に接続される際の妨げとならないようにするためである。前記２個の給電パターン部２４、２４には、前記表面実装タイプのコネクタ２５が設けられていると共に電気的に接続されている。前記表面実装タイプのコネクタ２５には、ハーネス２６を介してレンズ側のコネクタ２７が電気的に接続されている。前記レンズ側のコネクタ２７は、前記ランプレンズ４の側壁２８に固定されている。
【００４１】
一方、前記ランプハウジング３には、ハウジング側のコネクタ２９が設けられている。前記ハウジング側のコネクタ２９には、ハーネス３０が電気的に接続されている。前記ハーネス３０は、電源（図示せず）側に電気的に接続されている。この結果、前記レンズ側のコネクタ２７と前記ハウジング側のコネクタ２９とを電気的に接続すると、前記線ヒータ５に電流を供給することができる。前記２個の給電パターン部２４、２４と、前記表面実装タイプのコネクタ２５と、前記ハーネス２６と、前記レンズ側のコネクタ２７と、前記ハウジング側のコネクタ２９と、前記ハーネス３０とが、前記給電部６を構成する。なお、前記表面実装タイプのコネクタ２５を使用せずに、前記レンズ側のコネクタ２７のハーネス２６を前記２個の給電パターン部２４、２４に直接電気的に接続しても良い。また、前記給電部６は、前記ランプレンズ４の意匠への影響が小さい箇所に設けられている。
【００４２】
前記線ヒータ５は、前記給電部６を介して、手動スイッチ（図示せず）またはおよび自動スイッチ（図示せず）に接続されている。前記手動スイッチは、手動により、前記線ヒータ５への電流供給をオンしたりオフしたりするものである。前記自動スイッチは、自動的に、前記線ヒータ５への電流供給をオンしたりオフしたりするものである。
【００４３】
前記自動スイッチは、ＥＣＵなどの制御部と、温度センサや光センサなどの検出部と、から構成されている。前記検出部は、自動車Ｃの周囲環境、たとえば、自動車Ｃの外の温度や前記ランプレンズ４から照射される光などを検出してその検出信号を前記制御部に出力する。前記制御部は、前記検出部からの検出信号に基づいて前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着しているか否か、あるいは、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度か否かを判断する。そして、前記制御部は、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着している、あるいは、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度であると判断すると、前記給電部６を介して前記線ヒータ５に電流を供給する。一方、前記制御部は、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着していない、あるいは、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度でないと判断すると、前記給電部６を介して前記線ヒータ５への電流供給を遮断する。
【００４４】
前記線ヒータ５の１個の端末部には、温度制御部３１が設けられている。前記温度制御部３１は、前記導電性ペースト１９、１９０の発熱温度を制御するものである。前記温度制御部３１としては、たとえば、ＰＴＣサーミスターを使用する。このＰＴＣサーミスターは、温度が上昇すると抵抗値が高くなって所定の抵抗値に達すると電流が流れなくなる特性を有するものである。たとえば、前記ランプレンズ４の材質がＰＣの場合、前記ランプレンズ４の耐熱温度は約１３０°Ｃであるから、前記導電性ペースト１９、１９０の発熱温度が約６０°Ｃ付近に達した時点で電流が流れなくなる抵抗特性を有するＰＴＣサーミスターを前記温度制御部３１として使用する。
【００４５】
前記ベースフィルム１７もしくは前記レジスト２０のうち少なくともいずれか一方が着色されている。すなわち、前記ベースフィルム１７の一面またはおよび他面に着色層を設ける。あるいは、前記ベースフィルム１７自体もしくは前記レジスト２０自体を着色する。
【００４６】
この実施例１にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【００４７】
５個のランプユニット２の半導体型光源１２をそれぞれ点灯する。すると、５個のランプユニット２の半導体型光源１２からの光が上側リフレクタ８の反射面１０で反射され、その反射光の一部が下側リフレクタ９のシェード１１によりカットオフされ、残りの反射光が投影レンズ１３およびランプレンズ４を透過して外部にカットオフラインを有する所定の配光パターン、すなわち、すれ違い用の配光パターンで照射される。このすれ違い用の配光パターンのカットオフラインは、シェード１１のエッジにより形成される。また、シェード１１に反射面を設けることにより、反射面１０からの反射光であってシェード１１の反射面で反射された反射光を利用することができる。
【００４８】
ここで、ランプレンズ４に転写に設けられている線ヒータ５は、線状のパターンからなるので、光がランプレンズ４を透過する際に、光の損失や配光の影響などを最小限に抑えることができる。しかも、半導体型光源１２を光源とするランプユニット２を使用するので、ランプユニット２から照射される光の幅が小さい。このために、幅が小さい光を線ヒータ５の線状のパターンとパターンとの間に通すことにより、光の損失や配光の影響などをさらに防ぐことができる。
【００４９】
そして、半導体型光源１２からの光には熱がほとんど発生しないので、ランプレンズ４には、雪や氷や曇りが付着し易い。この場合、手動スイッチまたはおよび自動スイッチにより、ランプレンズ４に転写により設けられている線ヒータ５に電流が供給される。
【００５０】
線ヒータ５に電流が供給されると、線ヒータ５の電気抵抗により、線ヒータ５が発熱する。この線ヒータ５の発熱作用により、ランプレンズ４が暖められ、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのが防止され、あるいは、ランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりする。この結果、ランプレンズ４から照射される光の損失を防ぐことができる。
【００５１】
このとき、高抵抗値の導電性ペースト１９の発熱温度は、低抵抗値の導電性ペースト１９０の発熱温度よりも高いので、高抵抗値の導電性ペースト１９が配置されているランプレンズ４の上部から中間部にかけての温度は、低抵抗値の導電性ペースト１９０が配置されているランプレンズ４の中間部から下部にかけての温度より高くなる。このために、ランプレンズ４の上部から中間部かけて付着している雪や氷が集中加熱されて融かされてランプレンズ４の表面上を滑る。この融かされた雪や氷の滑り現象（いわゆる、雪崩現象）により、ランプレンズ４の中間部から下部にかけて付着している雪や氷は、融かされて滑ってきた雪や氷の荷重でランプレンズ４の表面上を滑ったりランプレンズ４の表面上から落とされたりする。この結果、ランプレンズ４の表面から雪や氷が除去されて、ランプレンズ４から照射される光の損失を防ぐことができる。
【００５２】
線ヒータ５の発熱作用中において、この線ヒータ５の発熱温度が所定温度に達すると、温度制御部３１の温度制御作用により、線ヒータ５への電流供給が制御され、線ヒータ５の発熱温度が所定温度付近に保持される。この結果、耐熱温度が比較的低い樹脂製のランプレンズ４を過熱から保護することができる。
【００５３】
ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのが防止され、また、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりしたところで、手動スイッチまたはおよび自動スイッチにより、ランプレンズ４に設けられている線ヒータ５への電流供給が遮断される。
【００５４】
５個のランプユニット２の半導体型光源１２がそれぞれ点灯中において、半導体型光源１２において発生する熱は、ランプユニット２のヒートシンク部材１４、ホルダ部材１５、ランプハウジング３、ヒートシンク部材１６を介して外部に放出される。
【００５５】
この実施例１にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【００５６】
この実施例１にかかる車両用灯具は、線ヒータ５が、高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部と、低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。たとえば、ランプレンズ４の低温箇所を高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部により暖め、一方、ランプレンズ４の高温箇所を低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部により暖めることができる。この結果、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００５７】
特に、この実施例１にかかる車両用灯具は、図２および図４に示すように、灯室７内に５個のランプユニット２が配置されていて、かつ、スラント角度が大きいランプレンズ４を使用する車両用灯具であって、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい車両用灯具である。しかしながら、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、温度分布の温度差が大きいランプレンズ４であっても、このランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この実施例１にかかる車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズ４において、ランプレンズ４のうち必要な箇所この例では上部から中間部にかけて高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部で暖めるので、ランプレンズ４の上部から中間部にかけての雪や氷が滑落してそのランプレンズ４の中間部から下部にかけての雪や氷を滑落させることができる。
【００５８】
また、この実施例１にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の導電性ペースト１９、１９０の抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを形成するものであるから、線ヒータ５に高温発熱部と低温発熱部とを設けたにもかかわらず、線ヒータ５の構造や発熱制御が簡単であり、製造コストに貢献することができる。
【００５９】
さらに、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７の一面に設けられている接着剤１８をランプレンズ４に接着させて、ベースフィルム１７の他面に形成されている線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものである。このために、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズに導電パターンをインサート成形により一体化する車両用灯具と比較して、特別な金型が不要であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【００６０】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７が導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンにカットされていて、レジスト２０側に配置されたセパレータ２１を使用して、導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものである。すなわち、この実施例１にかかる車両用灯具は、線状のベースフィルム１７をランプレンズ４に接着するので、シート状のベースフィルムをランプレンズに接着する車両用灯具のように、線状のベースフィルム１７に歪やしわが発生したりするような虞がない。したがって、この実施例１にかかる車両用灯具は、線状のベースフィルム１７に形成されている線パターンの導電性ペースト１９、１９０において歪やしわが発生したりする場合がなく、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に確実にかつ正確に転写することができる。
【００６１】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものであるから、線パターンを意匠線として兼用することができ、ランプレンズ４の意匠上の効果を向上させることができる。
【００６２】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものであるから、ＩＴＯ膜ヒータ生成と比較して、真空蒸着機などの大型設備やタクトの長い蒸着工程が不要であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【００６３】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４に転写させる導電性ペースト１９、１９０、すなわち、転写式の導電性ペースト１９、１９０の線パターンの形状や寸法を汎用性のあるものとすることにより、種々様々の車両用灯具のランプレンズ４に使用することができる。
【００６４】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものであるから、ヒータ有り無しのランプレンズ４の製造管理において、作り分けが容易であり、製造ラインや在庫管理などを簡素化することができる。
【００６５】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７と、接着剤１８と、線パターンの導電性ペースト１９、１９０と、レジスト２０と、からなる線ヒータ５の製造が簡単であり、また、線ヒータ５を転写させてなるランプレンズ４の製造も簡単である。この結果、種々様々な車両用灯具のランプレンズ４に転写させる種々様々な導電線ペースト１９の線パターンのニーズ（設計やデザイン）に迅速にかつ簡単に対応することができる。
【００６６】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７もしくはレジスト２０のうち少なくともいずれか一方が着色されているものであるから、ランプレンズ４の意匠上の効果をさらに向上させることができ、しかも、ランプレンズ４のデザイン設計の自由度が上がる。その上、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７もしくはレジスト２０のうち少なくともいずれか一方を着色することにより、導電性ペースト１９、１９０を紫外線や熱などの影響から保護することができる。
【００６７】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、導電性ペースト１９、１９０の発熱温度を制御する温度制御部３１が設けられているので、ランプレンズ４を暖める温度を適正に制御することができ、ランプレンズ４として耐熱温度が低い樹脂製レンズを使用してもなんら影響や問題がない。
【００６８】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、セパレータ２１を使用してランプレンズ４の内面に導電性ペースト１９、１９０を転写するものであって、そのセパレータ２１が、ランプレンズ４の曲面に追従し得るように、フレキシブル性の素材を使用したものであるから、ランプレンズ４に導電性ペースト１９をランプレンズ４の曲面に十分に追従して転写させることができる。これにより、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の曲面や形状や大型サイズに容易に対応することができ、導電性ペースト１９、１９０の線パターンのデザイン設計の自由度が上がる。
【実施例２】
【００６９】
図１１および図１２は、この発明にかかる車両用灯具の実施例２を示す。図中、図１〜図１０と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例２にかかる車両用灯具について説明する。
【００７０】
この実施例２にかかる車両用灯具は、図１１に示すように、上下４本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンからなる線ヒータ５がランプレンズ４に上下に２組転写して設けられているものである。上側の線ヒータ５は、低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部であり、一方、下側の線ヒータ５は、高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部である。そして、高温発熱部の前記線ヒータ５と低温発熱部の前記線ヒータ５とは、給電部６に並列に接続されている。
【００７１】
低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の前記線ヒータ５と高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の前記線ヒータ５とは、図１２に示すように、複数組み合わせ可能なモジュール部品である。すなわち、高温発熱部の前記線ヒータ５と低温発熱部の前記線ヒータ５とは、上下４本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンからなり、この線パターンからなる１組もしくは複数組の高温発熱部の前記線ヒータ５と１組もしくは複数組の低温発熱部の前記線ヒータ５とをセパレータ２１を使用してランプレンズ４に転写により設けるものである。なお、図１１は、１組の高温発熱部の前記線ヒータ５と同じく１組の低温発熱部の前記線ヒータ５とを、セパレータ２１を使用してランプレンズ４に転写によりそれぞれ設けたものを図示するものである。
【００７２】
この実施例２にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の上部に低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の線ヒータ５を設け、かつ、ランプレンズ４の下部に高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の線ヒータ５を設けたものであるから、前記の実施例１の車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例２にかかる車両用灯具は、低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の線ヒータ５と、高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の線ヒータ５と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。この結果、この実施例２にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００７３】
特に、この実施例２にかかる車両用灯具は、図１１に示すように、灯室７内に５個のランプユニット２が配置されていて、かつ、スラント角度が大きいランプレンズ４を使用する車両用灯具であって、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい車両用灯具である。しかしながら、この実施例２にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、温度分布の温度差が大きいランプレンズ４であっても、このランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この実施例２にかかる車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズ４において、ランプレンズ４のうち必要な箇所この例では上部から中間部にかけて低抵抗値の導電性ペースト１９′の高温発熱部で暖めるので、ランプレンズ４の上部から中間部にかけての雪や氷が滑落してそのランプレンズ４の中間部から下部にかけての雪や氷を滑落させることができる。
【００７４】
また、この実施例２にかかる車両用灯具は、低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の線ヒータ５と高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の線ヒータ５とが複数組み合わせ可能なモジュール部品であるから、１組の高温発熱部の線ヒータ５と１組の低温発熱部の線ヒータ５とをたとえば小型で汎用形状のモジュール化することにより、種々様々なランプレンズ４の形状や寸法に対応して、高温発熱部の線ヒータ５の導電性ペースト１９′と低温発熱部の線ヒータ５の導電性ペースト１９０′とをランプレンズ４に転写させることができる。
【実施例３】
【００７５】
図１３および図１４は、この発明にかかる車両用灯具の実施例３を示す。図中、図１〜図１２と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例３にかかる車両用灯具について説明する。
【００７６】
この実施例３にかかる車両用灯具は、図１３および図１４に示すように、導電性ペースト１９の線パターンが、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下６本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下６本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている。すなわち、ランプレンズ４のほぼ中央部から下部にかけては、疎の線パターン部１９Ａが配置されており、逆に、ランプレンズ４のほぼ上部には、密の線パターン部１９Ｂが配置されている。ランプレンズ４のほぼ中央部から下部にかけて配置されている疎の線パターン部１９Ａは、線ヒータ５の低温発熱部を構成し、逆に、ランプレンズ４のほぼ上部に配置されている密の線パターン部１９Ｂは、線ヒータ５の高温発熱部を構成する。
【００７７】
この実施例３にかかる車両用灯具は、上段に３個のランプユニット２が、下段に２個のランプユニット２が、それぞれ配置されている。前記ランプレンズ４のほぼ上部の密の線パターン部１９Ｂのうち、下側２−３本の横線のパターンが、前記上段の３個のランプユニット２のやや上部に位置する。
【００７８】
この実施例３にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の高温発熱部の密の線パターン部１９Ｂがランプレンズ４のほぼ上部に配置されており、一方、線ヒータ５の低温発熱部の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４のほぼ中央部から下部にかけて配置されているので、前記の実施例１、２の車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例３にかかる車両用灯具は、線ヒータ５が、密の線パターン部１９Ｂからなる高温発熱部と、疎の線パターン部１９Ａからなる低温発熱部と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。この結果、この実施例３にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００７９】
特に、この実施例３にかかる車両用灯具は、図１３および図１４に示すように、灯室７内に５個のランプユニット２が配置されていて、かつ、スラント角度が大きいランプレンズ４を使用する車両用灯具であって、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい車両用灯具である。しかしながら、この実施例３にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、温度分布の温度差が大きいランプレンズ４であっても、このランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この実施例３にかかる車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズ４において、ランプレンズ４のうち必要な箇所この例では上部から中間部にかけて密の線パターン部１９Ｂからなる高温発熱部で暖めるので、ランプレンズ４の上部から中間部にかけての雪や氷が滑落してそのランプレンズ４の中間部から下部にかけての雪や氷を滑落させることができる。
【００８０】
また、この実施例３にかかる車両用灯具は、導電性ペースト１９の密の線パターン部１９Ｂが配光性能に影響を与えないランプレンズ４のほぼ上部に配置されており、一方、導電性ペースト１９の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４の主発光部のほぼ中央部から下部にかけて配置されているので、配光性能への影響を最小限に抑えることができる。
【００８１】
さらに、この実施例３にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９をランプレンズ４に転写させる転写式の線ヒータ５を使用するものであるから、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下６本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下６本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている線パターンの通電ペースト１９を容易に形成することができる。
【実施例４】
【００８２】
図１５および図１６は、この発明にかかる車両用灯具の実施例４を示す。図中、図１〜図１４と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例４にかかる車両用灯具について説明する。
【００８３】
この実施例４にかかる車両用灯具は、前記の実施例３にかかる車両用灯具の変形例である。この実施例４にかかる車両用灯具は、図１５および図１６に示すように、導電性ペースト１９の線パターンが、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下４本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下８本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている。すなわち、上下４本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、上下２本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、が上下２段に構成されている。
【００８４】
上下４本の横線の密の線パターン部１９Ｂが、ランプレンズ４のうち、上段の３個のランプユニット２のやや上部に対応する箇所と、下段の２個のランプユニット２のやや上部に対応する箇所と、にそれぞれ配置されている。一方、上下２本の横線の疎の線パターン部１９Ａが、ランプレンズ４のうち、上段の３個のランプユニット２の中央部から下部にかけて対応する箇所と、下段の２個のランプユニット２の中央部から下部にかけて対応する箇所と、にそれぞれ配置されている。
【００８５】
この実施例４にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の高温発熱部の密の線パターン部１９Ｂがランプレンズ４のうち上下２段の５個のランプユニット２のやや上部に対応する箇所すなわち上部側に配置されており、一方、線ヒータ５の低温発熱部の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４のうち上下２段の５個のランプユニット２のほぼ中央部から下部にかけて対応する箇所すなわち下部側に配置されている。このために、この実施例４にかかる車両用灯具は、前記の実施例１、２、３の車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例４にかかる車両用灯具は、線ヒータ５が、密の線パターン部１９Ｂからなる高温発熱部と、疎の線パターン部１９Ａからなる低温発熱部と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。この結果、この実施例４にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００８６】
また、この実施例４にかかる車両用灯具は、ランプユニット２としてすれ違い用の配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニットを使用するものである。このすれ違い用の配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニット２において、有効発光面（有効照射面）のうち上部は光学的影響が小さく、一方、下部は光学的影響が大きい特徴を有する。この結果、この実施例４にかかる車両用灯具は、導電性ペースト１９の密の線パターン部１９Ｂがランプレンズ４のうち光学的影響が小さいランプユニット２の上部側に配置されており、一方、導電性ペースト１９の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４のうち光学的影響が大きいランプユニット２の下部側に配置されているので、光学的影響を最小限に抑えることができる。
【００８７】
さらに、この実施例４にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９をランプレンズ４に転写させる転写式の線ヒータ５を使用するものであるから、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下４本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下８本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている線パターンの通電ペースト１９を容易に形成することができる。
【実施例５】
【００８８】
図１７は、この発明にかかる車両用灯具の実施例５を示す。図中、図１〜図１６と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例５にかかる車両用灯具について説明する。
【００８９】
この実施例５にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４に転写により設けられている線ヒータ５が、発熱部と無発熱部とを有するものである。前記発熱部は、図１７中の実線で示すように、前記線ヒータ５のうち導電性ペースト１９で形成されている部分である。一方、前記無発熱部は、図１７中の破線で示すように、前記線ヒータ５のうち金属線（もしくは金属箔）３２で形成されている部分である。前記線ヒータ５のうち前記導電性ペースト１９の発熱部は、前記ランプレンズ４のうち低温箇所、もしくは、前記ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りによる配光影響や光学的影響が大きい箇所などに配置されている。一方、前記線ヒータ５のうち前記金属線３２の無発熱部は、前記ランプレンズ４のうち高温箇所、もしくは、前記ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りによる配光影響や光学的影響が小さい箇所などに配置されている。
【００９０】
前記金属線３２は、たとえば、抵抗値がほぼ０もしくはほぼ０に近似する材質のものを使用する。また、前記金属線３２は、前記導電性ペースト１９と共に線パターンを形成するものである。さらに、前記金属線３２は、前記導電性ペースト１９と共に前記ランプレンズ４に転写されて設けられるものであっても良いし、前記導電性ペースト１９が前記ランプレンズ４に転写された後にディスペンサーで前記ランプレンズ４に配線されるものであっても良い。
【００９１】
この実施例５にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、ランプレンズ４の低温箇所などを線ヒータ５の導電性ペースト１９からなる発熱部により暖め、一方、ランプレンズ４の高温箇所などを線ヒータ５の金属線３２からなる無発熱部により常温のままとすることができる。この結果、この実施例５にかかる車両用灯具は、上記の実施例１〜４にかかる車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例５にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができ、ランプレンズ４から照射される光の損失を防ぐことができる。
【００９２】
また、この実施例５にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の導電性ペースト１９および金属線３２の抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを形成するものであるから、線ヒータ５に発熱部と無発熱部とを設けたにもかかわらず、線ヒータ５の構造や発熱制御が簡単であり、製造コストに貢献することができる。
【００９３】
さらに、この実施例５にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の金属線３２の抵抗値をほぼ０にもしくはほぼ０に近似させて無発熱部を形成するものであるから、省電力に貢献することができる。
【実施例６】
【００９４】
図１８および図１９は、この発明にかかる車両用灯具の実施例６を示す。図中、図１〜図１７と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例６にかかる車両用灯具について説明する。
【００９５】
この実施例６にかかる車両用灯具は、ヒータとして、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータ３３を使用するものである。前記線ヒータ３３は、前記線ヒータ３３の抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを形成し、あるいは、前記線ヒータ３３の抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを形成し、あるいは、前記線ヒータ３３の線パターンの密疎により高温発熱部と低温発熱部とを形成するものである。
【００９６】
前記線ヒータ３３は、ランプレンズ４の表面に、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により直接印刷されて設けられており、あるいは、接着剤により直接接着して設けられており、あるいは、フィルムを介して設けられている。前記線ヒータ３３が設けられている前記ランプレンズ４の表面には、防曇兼封止コート３４が施されている。前記防曇兼封止コート３４は、たとえば、アクリル系の材料からなるものであって、前記線ヒータ３３を電気的に絶縁すると共に外からの衝撃から保護するとともに、前記ランプレンズ４の表面の曇りを防ぐものである。
【００９７】
この実施例６にかかる車両用灯具は、上記のごとき構成からなるので、上記の実施例１〜５にかかる車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例６にかかる車両用灯具は、線ヒータ３３が設けられているランプレンズ４の表面に防曇兼封止コート３４を施すものであるから、ランプレンズ４の防曇効果と、線ヒータ３３の封止（保護）効果とが得られる。また、この実施例６にかかる車両用灯具は、防曇兼封止コート３４を施すものであるから、コートを施す工程を１回に削減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【００９８】
以下、前記の実施例１〜６以外の例について説明する。前記の実施例１〜６においては、線ヒータ５、３３をランプレンズ４の内面に設けるものである。ところが、この発明においては、線ヒータ５、３３をランプレンズ４の外面もしくは内外両面に設けても良い。
【００９９】
また、前記の実施例１〜５においては、線ヒータ５を転写によりランプレンズ４の表面に設けるものである。ところが、この発明においては、ヒータをランプレンズ４に、直接印刷、直接接着、フィルムを介して、インサート、挟み込みなどにより、設けても良い。
【０１００】
さらに、前記の実施例１〜６は、線ヒータ５、３３に、高温発熱部と低温発熱部との２つの発熱部を形成し、あるいは、１つの発熱部と無発熱部とを形成するものである。ところが、この発明においては、ヒータに、３つ以上の発熱部を形成し、あるいは、２つ以上の発熱部と無発熱部とを形成するものであっても良い。
【０１０１】
さらにまた、前記の実施例１〜６は、自動車Ｃのヘッドランプ１Ｌ、１Ｒのランプレンズ４に使用した例を説明するものである。ところが、この発明においては、自動車Ｃのヘッドランプ１Ｌ、１Ｒ以外の車両用灯具、たとえば、ストップランプなどの信号灯、カーブランプなどの照明灯、フロントコンビネーションランプ、リアコンビネーションランプなどのランプレンズに使用しても良い。
【０１０２】
さらにまた、前記の実施例１〜６においては、光を前記ランプレンズ４を通して外部に照射する光照射部として、半導体型光源１２を光源とするプロジェクタタイプのランプユニット２について説明するものである。ところが、この発明においては、光照射部として、前記のランプユニット２以外の光照射部、たとえば、光源が半導体型光源やＨＩＤなどの放電灯やハロゲンバルブや白熱バルブであって、プロジェクタタイプや反射タイプや直射タイプのランプユニットであっても良いし、あるいは、プロジェクタタイプや反射タイプや直射タイプの車両用灯具において、半導体型光源やＨＩＤなどの放電灯やハロゲンバルブや白熱バルブの光源、および、その光源と反射面との組み合わせのものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【０１０３】
【図１】この発明にかかる車両用灯具の実施例１を示し、自動車のヘッドランプに使用されている状態の説明図である。
【図２】同じく、ヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図３】同じく、ヘッドランプに使用されているランプユニットの垂直断面図（縦断面図）である。
【図４】同じく、ヘッドランプに使用されているランプレンズを示す斜視図である。
【図５】同じく、図４におけるＶ部の拡大図である。
【図６】同じく、図５におけるＶＩ−ＶＩ線断面図である。
【図７】同じく、図４におけるＶＩＩ部の拡大図である。
【図８】同じく、図７におけるＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線断面図である。
【図９】同じく、ヘッドランプに使用されているランプレンズの製造工程を示す説明図である。
【図１０】同じく、ヘッドランプに使用される線ヒータユニットを示す説明図である。
【図１１】この発明にかかる車両用灯具の実施例２を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１２】同じく、ヘッドランプに使用される線ヒータユニットを示す説明図である。
【図１３】この発明にかかる車両用灯具の実施例３を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１４】同じく、ヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図１５】この発明にかかる車両用灯具の実施例４を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１６】同じく、ヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図１７】この発明にかかる車両用灯具の実施例５を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１８】この発明にかかる車両用灯具の実施例６を示す自動車のヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図１９】同じく、ランプレンズおよび線ヒータおよび防曇兼封止コートの一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【０１０４】
Ｃ 自動車
ＣＬ カット箇所
１Ｌ、１Ｒ ヘッドランプ（車両用灯具）
２ ランプユニット
３ ランプハウジング
４ ランプレンズ
５ 線ヒータ
６ 給電部
７ 灯室
８ 上側リフレクタ
９ 下側リフレクタ
１０ 反射面
１１ シェード
１２ 半導体型光源（ＬＥＤ）
１３ 投影レンズ
１４ ヒートシンク部材
１５ ホルダ部材
１６ ヒートシンク部材
１７ ベースフィルム
１８ 接着剤
１９、１９０、１９′、１９０′ 導電性ペースト
１９Ａ 疎の線パターン部
１９Ｂ 密の線パターン部
２０ レジスト
２１ セパレータ
２２ 剥離シート
２３ シート部材
２４ 給電パターン部
２５ 表面実装タイプのコネクタ
２６ ハーネス
２７ レンズ側のコネクタ
２８ ランプレンズの側壁
２９ ハウジング側のコネクタ
３０ ハーネス
３１ 温度制御部
３２ 金属線
３３ 線ヒータ
３４ 防曇兼封止コート
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ランプレンズが融雪（解氷、防曇）構造をなす車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この種の車両用灯具は、従来からある（たとえば、特許文献１、特許文献２、特許文献３）。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、前面レンズと、前記前面レンズにインサート成形や接着剤により接合一体化された配線板ヒータ（ベースフィルムの上に導電箔パターンが印刷されているもの）と、を備えるものである。また、前記の従来の車両用灯具は、レンズと、前記レンズにプリント（もしくは、インサート、挟み込み、接着）された電熱線と、を備えるものである。さらに、従来の車両用灯具は、光透過カバーと、前記光透過カバーに設けられた加熱体（光透過シートに付着されている）と、を備えるものである。
【０００３】
以下、従来の車両用灯具の作用について説明する。配線板ヒータ（電熱線、加熱体）に給電すると、その配線板ヒータ（電熱線、加熱体）が発熱し、その熱により、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に付着した雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりする。この結果、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）から照射される光の損失を防ぐことができる。特に、光源として、ハロゲンバルブや白熱バルブと比較して、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）から照射される光の温度が低い光源、たとえば、ＬＥＤなどの半導体型光源やＨＩＤなどの放電灯を使用した車両用灯具においては、効果的である。
【０００４】
ところが、従来の車両用灯具は、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に配線板ヒータ（電熱線、加熱体）をただ単に設けたものであるから、配線板ヒータ（電熱線、加熱体）が前面レンズ（レンズ、光透過カバー）をほぼ均一の温度で暖めるものである。一方、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）においては、温度分布、すなわち、高温箇所と低温箇所とが存在する。この結果、従来の車両用灯具では、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）の温度分布の温度差が大きい場合には、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）の低温箇所に付着した雪や氷や曇りを確実に融かしたり除去したりすることができない場合がある。
【０００５】
【特許文献１】特開平１０−１０９５８７号公報
【特許文献２】特開２００２−１５０８１２号公報
【特許文献３】特開２００２−１６６７７８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の車両用灯具では、前面レンズ（レンズ、光透過カバー）に付着した雪や氷や曇りを確実に融かしたり除去したりすることができない場合があるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この発明（請求項１にかかる発明）は、ランプレンズに設けられているヒータが、少なくとも高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、発熱部と無発熱部とを有する、ことを特徴とする。
【０００８】
また、この発明（請求項２にかかる発明）は、ヒータが、電流を供給すると電気抵抗により発熱する電熱部材であって、抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを有する、ことを特徴とする。
【０００９】
さらに、この発明（請求項３にかかる発明）は、ヒータが、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、線パターンの密疎により高温発熱部と低温発熱部とを有する、ことを特徴とする。
【００１０】
さらにまた、この発明（請求項４にかかる発明）は、ヒータが電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、この線ヒータが設けられているランプレンズの表面には、防曇兼封止コートが施されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、ヒータが、少なくとも高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、発熱部と無発熱部とを有するので、ランプレンズの温度分布に対応してランプレンズを暖めることができる。たとえば、ランプレンズの低温箇所を高温発熱部あるいは発熱部により暖め、一方、ランプレンズの高温箇所を低温発熱部により暖めあるいは無発熱部により常温のままとすることができる。この結果、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、ランプレンズの温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズに雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズのほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズに付着した雪や氷や曇りをランプレンズのほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００１２】
また、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、ランプレンズの温度分布に対応してランプレンズを暖めることができるので、灯室内に複数個の光照射部が配置されている車両用灯具やスラント角度が大きいランプレンズを使用する車両用灯具のように、温度分布の温度差が大きいランプレンズにおいて、このランプレンズに雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズに付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズにおいて、このランプレンズのうち必要な箇所たとえば上部を高温発熱部あるいは発熱部で暖めることにより、ランプレンズの上部の雪や氷が滑落してランプレンズの下部の雪や氷を滑落させることができる。
【００１３】
また、この発明（請求項２にかかる発明）の車両用灯具は、ヒータの抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを形成し、あるいは、ヒータの抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを形成するものであるから、ヒータに高温発熱部と低温発熱部とをあるいは発熱部と無発熱部とを設けたにもかかわらず、ヒータの構造や発熱制御が簡単であり、製造コストに貢献することができる。
【００１４】
しかも、この発明（請求項２にかかる発明）の車両用灯具は、ヒータの抵抗値をほぼ０にもしくはほぼ０に近似させて無発熱部を形成するものであるから、省電力に貢献することができる。
【００１５】
さらに、この発明（請求項３にかかる発明）の車両用灯具は、ランプレンズのうち配光性能への影響や光学的影響が少ない箇所を線パターンの密の高温発熱部を配置し、一方、ランプレンズのうち配光性能への影響や光学的影響が大きい箇所を線パターンの疎の低温発熱部を配置することができる。これにより、この発明（請求項３にかかる発明）の車両用灯具は、配光性能への影響や光学的影響を最小限に抑えることができる。
【００１６】
さらに、この発明（請求項４にかかる発明）の車両用灯具は、線ヒータが設けられているランプレンズの表面に防曇兼封止コートを施すものであるから、ランプレンズの防曇効果と、線ヒータの封止（保護）効果とが得られる。また、この発明（請求項４にかかる発明）の車両用灯具は、防曇兼封止コートを施すものであるから、コートを施す工程を１回に削減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの６例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例１】
【００１８】
図１〜図１０は、この発明にかかる車両用灯具の実施例１を示す。以下、この実施例１にかかる車両用灯具の構成について説明する。この実施例１にかかる車両用灯具は、所定の配光パターン、たとえば、すれ違い用の配光パターンを照射する自動車用のヘッドランプ１Ｌ、１Ｒである。前記ヘッドランプ１Ｌ、１Ｒは、図１に示すように、自動車Ｃの前部の左右両側にそれぞれ装備されている。以下、左側のヘッドランプ１Ｌについて説明する。なお、右側のヘッドランプ１Ｒは、左側のヘッドランプ１Ｌの構造とほぼ左右逆である。
【００１９】
前記ヘッドランプ１Ｌは、図２および図４に示すように、５個のランプユニット２と、ランプハウジング３と、ランプレンズ４と、線ヒータ５と、給電部６と、を備えるものである。前記ランプハウジング３と前記ランプレンズ４とにより、灯室７が区画されている。前記灯室７内には、前記５個のランプユニット２が上下２段に（この例では、上段に２個、下段に３個）それぞれ配置されている。
【００２０】
前記ランプユニット２は、光を前記ランプレンズ４を通して外部に照射する光照射部を構成するものである。前記ランプユニット２は、所定の配光パターン、この例では、すれ違い用の配光パターンを照射（放射、出射）するものである。前記ランプユニット２は、図３に示すように、プロジェクタタイプであって、ユニット構造をなす。前記ランプユニット２は、上側リフレクタ８および下側リフレクタ９と、反射面１０およびシェード１１と、半導体型光源１２と、投影レンズ（凸レンズ、集光レンズ）１３と、ヒートシンク部材１４と、から構成されている。
【００２１】
前記ランプユニット２は、ホルダ部材１５を介して前記ランプハウジング３に取り付けられている。前記ランプハウジング３には、ヒートシンク部材１６が設けられている。前記ランプハウジング３側のヒートシンク部材１６と、前記ランプユニット２側のヒートシンク部材１４とは、前記ホルダ部材１５および前記ランプハウジング３を介して接続されている。これにより、前記半導体型光源１２において発生する熱は、前記ヒートシンク部材１４、前記ホルダ部材１５、前記ランプハウジング３、前記ヒートシンク部材１６を介して外部に放出される。
【００２２】
前記半導体型光源１２は、たとえば、ＬＥＤ、ＥＬ（有機ＥＬ）などの自発光半導体型光源（この実施例１ではＬＥＤ）を使用する。このために、前記半導体型光源１２自体においては熱が発生するが、前記半導体型光源１２からの光には熱がほとんど発生しない。これにより、前記ランプレンズ４には、雪や氷や曇りが付着し易い。
【００２３】
前記ランプレンズ４は、ほぼ素通しのレンズであって、いわゆるアウターカバー（アウターレンズ）である。前記ランプレンズ４は、この例では、たとえばＰＣ（ポリカーボネート）などの合成樹脂から成形されている。また、前記ランプレンズ４は、縦断面（垂直断面）において、上から下にかけて後方から前方にスラント（傾斜）している。なお、前記ランプレンズ４の材質がＰＣの場合、前記ランプレンズ４の耐熱温度は約１３０°Ｃである。
【００２４】
前記線ヒータ５は、転写式の線ヒータであって、前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられている。前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられている前記線ヒータ５は、図６に示すように、ベースフィルム１７と、接着剤１８と、導電性ペースト１９と、レジスト２０と、から構成されている。また、前記線ヒータ５は、光透過性のものが好ましい。
【００２５】
前記ベースフィルム１７は、透明なたとえばＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などの合成樹脂製のフィルムからなる。前記ベースフィルム１７の一面には、前記接着剤１８が設けられている。
【００２６】
前記ベースフィルム１７の他面には、前記導電性ペースト１９、１９０が線パターンに形成されている。前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンは、この例では、図４および図１０に示すように、相互にほぼ平行である上下６本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンである。上下２本の横線から縦線が連続して２個の端末部が形成されている。前記導電性ペースト１９、１９０は、導電性インクであって、この例では、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストからなる。前記導電性ペースト１９、１９０は、電流が供給されることにより、前記導電性ペーストの電気抵抗により発熱するものであって、電気抵抗値が高いと発生熱量が高く、電気抵抗値が低いと発生熱量が低い。
【００２７】
前記導電性ペースト１９、１９０は、図４に示すように、高抵抗値の導電性ペースト１９と、低抵抗値の導電性ペースト１９０と、からなる。前記高抵抗値の導電性ペースト１９は、図４中の通常の実線に示すように、前記ランプレンズ４の上部から中間部にかけて設けられている。一方、低抵抗値の導電性ペースト１９０は、図４中の太い実線に示すように、前記ランプレンズ４の中間部から下部にかけて設けられている。前記高抵抗値の導電性ペースト１９と前記低抵抗値の導電性ペースト１９０とは、断面積の大小や材料の違いなどにより、抵抗値の高低が決定される。この結果、前記ランプレンズ４に設けられている前記線ヒータ５は、前記高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部と、前記低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部と、を有する。
【００２８】
前記ベースフィルム１７の他面には、前記レジスト２０が前記導電性ペースト１９、１９０を覆うように設けられている。前記レジスト２０は、前記導電性ペースト１９、１９０を電気的に絶縁すると共に外からの衝撃から保護するものであって、すなわち、前記導電性ペースト１９、１９０の表面保護コートである。前記レジスト２０は、この例では、ウレタン系やアクリル系の接着剤などからなる。
【００２９】
前記ベースフィルム１７（この例では、前記接着剤１８をも含む）は、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンにカットされている。カットされた前記ベースフィルム１７の幅Ｗは、この例では、約０．５ｍｍであって、前記レジスト２０の幅とほぼ同等の幅である。そして、前記ベースフィルム１７がカットされた後において、前記レジスト２０側に配置したセパレータ２１を使用して、前記接着剤１８を前記ランプレンズ４の内面に接着させて線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０を前記ランプレンズ４の内面に転写させる。これにより、前記線ヒータ５は、前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられる。
【００３０】
前記セパレータ２１は、線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０を前記ランプレンズ４の内面に転写させた後前記レジスト２０側から剥がされる。前記セパレータ２１は、図１０に示すように、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターン形状をなす前記線ヒータ５を載置することができ、かつ、前記ランプレンズ４の内面に転写することができる程度の大きさと形状を有しているシート形状をなすものである。また、前記セパレータ２１は、前記ランプレンズ４の内面の曲面に追従し得るように、フレキシブル性の素材、この例では、ウレタンなどのゴム系の素材を使用するものである。
【００３１】
以下、この実施例１にかかる車両用灯具のヘッドランプ１Ｌ、１Ｒの前記ランプレンズ４の製造工程を図９を参照して説明する。まず、前記ベースフィルム１７の一面に前記接着剤（接着層）１８を設け、かつ、前記接着剤１８に剥離フィルムや剥離紙などの剥離シート２２を剥離可能に接着してなるシート部材２３を製造する（図９（Ａ）参照）。なお、前記シート部材２３の大きさは、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターン形状をなす前記線ヒータ５を形成することができる程度の大きさを有している。
【００３２】
つぎに、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７の他面（上面）に前記導電性ペースト１９、１９０を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により印刷して、線パターンに形成する（図９（Ｂ）参照）。
【００３３】
つづいて、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７の他面（上面）に前記レジスト（絶縁層兼保護膜）２０を、たとえば、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により印刷して、前記導電性ペースト１９、１９０を覆うように設ける（図９（Ｃ）参照）。
【００３４】
それから、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８を、たとえば、打ち抜き加工により、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットする（図９（Ｄ）参照）。すなわち、カッタ（図示せず）を前記レジスト２０側から前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８に押し込んで前記接着剤１８と前記剥離シート２２との境で止めて前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８をカットする。なお、図９（Ｃ）中において、実線ＣＬで前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８のカット箇所を示す。前記カッタを前記シート部材２３から離すと共に、カットされた前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８のうち、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンの部分以外の余分な部分を前記剥離シート２２から除く。
【００３５】
これにより、図９（Ｄ）に示すように、カットされなかった前記シート部材２３の前記剥離シート２２と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットされた前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８と、線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンに設けられている前記レジスト２０とが残される。なお、前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８のカット幅Ｗは、この例では、前記レジスト２０の幅とほぼ同等の幅であって、前記レジスト２０が前記導電性ペースト１９、１９０を覆い得る幅、すなわち、前記レジスト２０が前記導電性ペースト１９、１９０を封止して電気的に絶縁し得ると共に外からの衝撃から保護し得る幅である。
【００３６】
そして、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８を前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットした後、前記レジスト２０側に前記セパレータ２１を配置させる（図９（Ｅ）参照）。これにより、図１０に示すように、カットされなかった前記シート部材２３の前記剥離シート２２と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンでカットされた前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８と、線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０と、前記導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンに設けられている前記レジスト２０とが、前記セパレータ２１上に前記レジスト２０側を下にして載置される。この結果、線ヒータユニットが製造される。この線ヒータユニットは、前記ベースフィルム１７および前記接着剤１８および前記導電性ペースト１９、１９０および前記レジスト２０から構成されている前記線ヒータ５と、前記セパレータ２１および前記シート部材２３の前記剥離シート２２と、からなるものである。
【００３７】
つぎに、上記のようにして製造された線ヒータユニットの前記剥離シート２２を剥がす（図９（Ｆ）参照）。それから、前記レジスト２０側に配置した前記セパレータ２１を使用して、前記接着剤１８を前記ランプレンズ４の内面に接着させて線パターンの前記導電性ペースト１９、１９０を前記ランプレンズ４の内面に転写させる（図９（Ｇ）参照）。そして、前記セパレータ２１を前記レジスト２０から剥がす。これにより、図４〜図６に示すように、内面に前記線ヒータ５が転写により設けられている前記ランプレンズ４が製造される。
【００３８】
上記のように、前記ランプレンズ４の内面に転写により設けられている前記線ヒータ５には、図７および図８に示すように、前記給電部６が設けられている。前記給電部６は、前記線ヒータ５に電流を供給するものである。
【００３９】
すなわち、前記線ヒータ５の２個の端末部には、給電用のパターン部２４、２４がそれぞれ設けられている。前記２個の給電パターン部２４、２４は、前記導電性ペースト１９、１９０と一体に設けられている。すなわち、前記２個の給電パターン部２４、２４は、前記シート部材２３の前記ベースフィルム１７の他面に、前記導電性ペースト１９、１９０が印刷などにより形成される際に同時に形成されるものである。このために、前記２個の給電パターン部２４、２４は、前記導電性ペースト１９、１９０と同様に、導電性インクであって、この例では、銀ペースト、金ペースト、銅ペースト、アルミペーストなどの金属ペーストからなる。
【００４０】
前記２個の給電パターン部２４、２４には、前記レジスト２０が設けられていない。これは、絶縁性の前記レジスト２０により、前記２個の給電パターン部２４、２４と表面実装タイプ（ＳＭＴ）のコネクタ２５とが電気的に接続される際の妨げとならないようにするためである。前記２個の給電パターン部２４、２４には、前記表面実装タイプのコネクタ２５が設けられていると共に電気的に接続されている。前記表面実装タイプのコネクタ２５には、ハーネス２６を介してレンズ側のコネクタ２７が電気的に接続されている。前記レンズ側のコネクタ２７は、前記ランプレンズ４の側壁２８に固定されている。
【００４１】
一方、前記ランプハウジング３には、ハウジング側のコネクタ２９が設けられている。前記ハウジング側のコネクタ２９には、ハーネス３０が電気的に接続されている。前記ハーネス３０は、電源（図示せず）側に電気的に接続されている。この結果、前記レンズ側のコネクタ２７と前記ハウジング側のコネクタ２９とを電気的に接続すると、前記線ヒータ５に電流を供給することができる。前記２個の給電パターン部２４、２４と、前記表面実装タイプのコネクタ２５と、前記ハーネス２６と、前記レンズ側のコネクタ２７と、前記ハウジング側のコネクタ２９と、前記ハーネス３０とが、前記給電部６を構成する。なお、前記表面実装タイプのコネクタ２５を使用せずに、前記レンズ側のコネクタ２７のハーネス２６を前記２個の給電パターン部２４、２４に直接電気的に接続しても良い。また、前記給電部６は、前記ランプレンズ４の意匠への影響が小さい箇所に設けられている。
【００４２】
前記線ヒータ５は、前記給電部６を介して、手動スイッチ（図示せず）またはおよび自動スイッチ（図示せず）に接続されている。前記手動スイッチは、手動により、前記線ヒータ５への電流供給をオンしたりオフしたりするものである。前記自動スイッチは、自動的に、前記線ヒータ５への電流供給をオンしたりオフしたりするものである。
【００４３】
前記自動スイッチは、ＥＣＵなどの制御部と、温度センサや光センサなどの検出部と、から構成されている。前記検出部は、自動車Ｃの周囲環境、たとえば、自動車Ｃの外の温度や前記ランプレンズ４から照射される光などを検出してその検出信号を前記制御部に出力する。前記制御部は、前記検出部からの検出信号に基づいて前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着しているか否か、あるいは、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度か否かを判断する。そして、前記制御部は、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着している、あるいは、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度であると判断すると、前記給電部６を介して前記線ヒータ５に電流を供給する。一方、前記制御部は、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着していない、あるいは、前記ランプレンズ４に雪や氷や曇りなどが付着する程度の温度でないと判断すると、前記給電部６を介して前記線ヒータ５への電流供給を遮断する。
【００４４】
前記線ヒータ５の１個の端末部には、温度制御部３１が設けられている。前記温度制御部３１は、前記導電性ペースト１９、１９０の発熱温度を制御するものである。前記温度制御部３１としては、たとえば、ＰＴＣサーミスターを使用する。このＰＴＣサーミスターは、温度が上昇すると抵抗値が高くなって所定の抵抗値に達すると電流が流れなくなる特性を有するものである。たとえば、前記ランプレンズ４の材質がＰＣの場合、前記ランプレンズ４の耐熱温度は約１３０°Ｃであるから、前記導電性ペースト１９、１９０の発熱温度が約６０°Ｃ付近に達した時点で電流が流れなくなる抵抗特性を有するＰＴＣサーミスターを前記温度制御部３１として使用する。
【００４５】
前記ベースフィルム１７もしくは前記レジスト２０のうち少なくともいずれか一方が着色されている。すなわち、前記ベースフィルム１７の一面またはおよび他面に着色層を設ける。あるいは、前記ベースフィルム１７自体もしくは前記レジスト２０自体を着色する。
【００４６】
この実施例１にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【００４７】
５個のランプユニット２の半導体型光源１２をそれぞれ点灯する。すると、５個のランプユニット２の半導体型光源１２からの光が上側リフレクタ８の反射面１０で反射され、その反射光の一部が下側リフレクタ９のシェード１１によりカットオフされ、残りの反射光が投影レンズ１３およびランプレンズ４を透過して外部にカットオフラインを有する所定の配光パターン、すなわち、すれ違い用の配光パターンで照射される。このすれ違い用の配光パターンのカットオフラインは、シェード１１のエッジにより形成される。また、シェード１１に反射面を設けることにより、反射面１０からの反射光であってシェード１１の反射面で反射された反射光を利用することができる。
【００４８】
ここで、ランプレンズ４に転写に設けられている線ヒータ５は、線状のパターンからなるので、光がランプレンズ４を透過する際に、光の損失や配光の影響などを最小限に抑えることができる。しかも、半導体型光源１２を光源とするランプユニット２を使用するので、ランプユニット２から照射される光の幅が小さい。このために、幅が小さい光を線ヒータ５の線状のパターンとパターンとの間に通すことにより、光の損失や配光の影響などをさらに防ぐことができる。
【００４９】
そして、半導体型光源１２からの光には熱がほとんど発生しないので、ランプレンズ４には、雪や氷や曇りが付着し易い。この場合、手動スイッチまたはおよび自動スイッチにより、ランプレンズ４に転写により設けられている線ヒータ５に電流が供給される。
【００５０】
線ヒータ５に電流が供給されると、線ヒータ５の電気抵抗により、線ヒータ５が発熱する。この線ヒータ５の発熱作用により、ランプレンズ４が暖められ、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのが防止され、あるいは、ランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりする。この結果、ランプレンズ４から照射される光の損失を防ぐことができる。
【００５１】
このとき、高抵抗値の導電性ペースト１９の発熱温度は、低抵抗値の導電性ペースト１９０の発熱温度よりも高いので、高抵抗値の導電性ペースト１９が配置されているランプレンズ４の上部から中間部にかけての温度は、低抵抗値の導電性ペースト１９０が配置されているランプレンズ４の中間部から下部にかけての温度より高くなる。このために、ランプレンズ４の上部から中間部かけて付着している雪や氷が集中加熱されて融かされてランプレンズ４の表面上を滑る。この融かされた雪や氷の滑り現象（いわゆる、雪崩現象）により、ランプレンズ４の中間部から下部にかけて付着している雪や氷は、融かされて滑ってきた雪や氷の荷重でランプレンズ４の表面上を滑ったりランプレンズ４の表面上から落とされたりする。この結果、ランプレンズ４の表面から雪や氷が除去されて、ランプレンズ４から照射される光の損失を防ぐことができる。
【００５２】
線ヒータ５の発熱作用中において、この線ヒータ５の発熱温度が所定温度に達すると、温度制御部３１の温度制御作用により、線ヒータ５への電流供給が制御され、線ヒータ５の発熱温度が所定温度付近に保持される。この結果、耐熱温度が比較的低い樹脂製のランプレンズ４を過熱から保護することができる。
【００５３】
ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのが防止され、また、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りが融かされたり除去されたりしたところで、手動スイッチまたはおよび自動スイッチにより、ランプレンズ４に設けられている線ヒータ５への電流供給が遮断される。
【００５４】
５個のランプユニット２の半導体型光源１２がそれぞれ点灯中において、半導体型光源１２において発生する熱は、ランプユニット２のヒートシンク部材１４、ホルダ部材１５、ランプハウジング３、ヒートシンク部材１６を介して外部に放出される。
【００５５】
この実施例１にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【００５６】
この実施例１にかかる車両用灯具は、線ヒータ５が、高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部と、低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。たとえば、ランプレンズ４の低温箇所を高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部により暖め、一方、ランプレンズ４の高温箇所を低抵抗値の導電性ペースト１９０の低温発熱部により暖めることができる。この結果、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００５７】
特に、この実施例１にかかる車両用灯具は、図２および図４に示すように、灯室７内に５個のランプユニット２が配置されていて、かつ、スラント角度が大きいランプレンズ４を使用する車両用灯具であって、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい車両用灯具である。しかしながら、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、温度分布の温度差が大きいランプレンズ４であっても、このランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この実施例１にかかる車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズ４において、ランプレンズ４のうち必要な箇所この例では上部から中間部にかけて高抵抗値の導電性ペースト１９の高温発熱部で暖めるので、ランプレンズ４の上部から中間部にかけての雪や氷が滑落してそのランプレンズ４の中間部から下部にかけての雪や氷を滑落させることができる。
【００５８】
また、この実施例１にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の導電性ペースト１９、１９０の抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを形成するものであるから、線ヒータ５に高温発熱部と低温発熱部とを設けたにもかかわらず、線ヒータ５の構造や発熱制御が簡単であり、製造コストに貢献することができる。
【００５９】
さらに、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７の一面に設けられている接着剤１８をランプレンズ４に接着させて、ベースフィルム１７の他面に形成されている線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものである。このために、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズに導電パターンをインサート成形により一体化する車両用灯具と比較して、特別な金型が不要であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【００６０】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７が導電性ペースト１９、１９０の線パターンに倣ったパターンにカットされていて、レジスト２０側に配置されたセパレータ２１を使用して、導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものである。すなわち、この実施例１にかかる車両用灯具は、線状のベースフィルム１７をランプレンズ４に接着するので、シート状のベースフィルムをランプレンズに接着する車両用灯具のように、線状のベースフィルム１７に歪やしわが発生したりするような虞がない。したがって、この実施例１にかかる車両用灯具は、線状のベースフィルム１７に形成されている線パターンの導電性ペースト１９、１９０において歪やしわが発生したりする場合がなく、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に確実にかつ正確に転写することができる。
【００６１】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものであるから、線パターンを意匠線として兼用することができ、ランプレンズ４の意匠上の効果を向上させることができる。
【００６２】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものであるから、ＩＴＯ膜ヒータ生成と比較して、真空蒸着機などの大型設備やタクトの長い蒸着工程が不要であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【００６３】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４に転写させる導電性ペースト１９、１９０、すなわち、転写式の導電性ペースト１９、１９０の線パターンの形状や寸法を汎用性のあるものとすることにより、種々様々の車両用灯具のランプレンズ４に使用することができる。
【００６４】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９、１９０をランプレンズ４に転写させるものであるから、ヒータ有り無しのランプレンズ４の製造管理において、作り分けが容易であり、製造ラインや在庫管理などを簡素化することができる。
【００６５】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７と、接着剤１８と、線パターンの導電性ペースト１９、１９０と、レジスト２０と、からなる線ヒータ５の製造が簡単であり、また、線ヒータ５を転写させてなるランプレンズ４の製造も簡単である。この結果、種々様々な車両用灯具のランプレンズ４に転写させる種々様々な導電線ペースト１９の線パターンのニーズ（設計やデザイン）に迅速にかつ簡単に対応することができる。
【００６６】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７もしくはレジスト２０のうち少なくともいずれか一方が着色されているものであるから、ランプレンズ４の意匠上の効果をさらに向上させることができ、しかも、ランプレンズ４のデザイン設計の自由度が上がる。その上、この実施例１にかかる車両用灯具は、ベースフィルム１７もしくはレジスト２０のうち少なくともいずれか一方を着色することにより、導電性ペースト１９、１９０を紫外線や熱などの影響から保護することができる。
【００６７】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、導電性ペースト１９、１９０の発熱温度を制御する温度制御部３１が設けられているので、ランプレンズ４を暖める温度を適正に制御することができ、ランプレンズ４として耐熱温度が低い樹脂製レンズを使用してもなんら影響や問題がない。
【００６８】
さらにまた、この実施例１にかかる車両用灯具は、セパレータ２１を使用してランプレンズ４の内面に導電性ペースト１９、１９０を転写するものであって、そのセパレータ２１が、ランプレンズ４の曲面に追従し得るように、フレキシブル性の素材を使用したものであるから、ランプレンズ４に導電性ペースト１９をランプレンズ４の曲面に十分に追従して転写させることができる。これにより、この実施例１にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の曲面や形状や大型サイズに容易に対応することができ、導電性ペースト１９、１９０の線パターンのデザイン設計の自由度が上がる。
【実施例２】
【００６９】
図１１および図１２は、この発明にかかる車両用灯具の実施例２を示す。図中、図１〜図１０と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例２にかかる車両用灯具について説明する。
【００７０】
この実施例２にかかる車両用灯具は、図１１に示すように、上下４本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンからなる線ヒータ５がランプレンズ４に上下に２組転写して設けられているものである。上側の線ヒータ５は、低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部であり、一方、下側の線ヒータ５は、高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部である。そして、高温発熱部の前記線ヒータ５と低温発熱部の前記線ヒータ５とは、給電部６に並列に接続されている。
【００７１】
低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の前記線ヒータ５と高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の前記線ヒータ５とは、図１２に示すように、複数組み合わせ可能なモジュール部品である。すなわち、高温発熱部の前記線ヒータ５と低温発熱部の前記線ヒータ５とは、上下４本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンからなり、この線パターンからなる１組もしくは複数組の高温発熱部の前記線ヒータ５と１組もしくは複数組の低温発熱部の前記線ヒータ５とをセパレータ２１を使用してランプレンズ４に転写により設けるものである。なお、図１１は、１組の高温発熱部の前記線ヒータ５と同じく１組の低温発熱部の前記線ヒータ５とを、セパレータ２１を使用してランプレンズ４に転写によりそれぞれ設けたものを図示するものである。
【００７２】
この実施例２にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の上部に低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の線ヒータ５を設け、かつ、ランプレンズ４の下部に高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の線ヒータ５を設けたものであるから、前記の実施例１の車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例２にかかる車両用灯具は、低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の線ヒータ５と、高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の線ヒータ５と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。この結果、この実施例２にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００７３】
特に、この実施例２にかかる車両用灯具は、図１１に示すように、灯室７内に５個のランプユニット２が配置されていて、かつ、スラント角度が大きいランプレンズ４を使用する車両用灯具であって、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい車両用灯具である。しかしながら、この実施例２にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、温度分布の温度差が大きいランプレンズ４であっても、このランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この実施例２にかかる車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズ４において、ランプレンズ４のうち必要な箇所この例では上部から中間部にかけて低抵抗値の導電性ペースト１９′の高温発熱部で暖めるので、ランプレンズ４の上部から中間部にかけての雪や氷が滑落してそのランプレンズ４の中間部から下部にかけての雪や氷を滑落させることができる。
【００７４】
また、この実施例２にかかる車両用灯具は、低抵抗値の導電性ペースト１９′からなる高温発熱部の線ヒータ５と高抵抗値の導電性ペースト１９０′からなる低温発熱部の線ヒータ５とが複数組み合わせ可能なモジュール部品であるから、１組の高温発熱部の線ヒータ５と１組の低温発熱部の線ヒータ５とをたとえば小型で汎用形状のモジュール化することにより、種々様々なランプレンズ４の形状や寸法に対応して、高温発熱部の線ヒータ５の導電性ペースト１９′と低温発熱部の線ヒータ５の導電性ペースト１９０′とをランプレンズ４に転写させることができる。
【実施例３】
【００７５】
図１３および図１４は、この発明にかかる車両用灯具の実施例３を示す。図中、図１〜図１２と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例３にかかる車両用灯具について説明する。
【００７６】
この実施例３にかかる車両用灯具は、図１３および図１４に示すように、導電性ペースト１９の線パターンが、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下６本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下６本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている。すなわち、ランプレンズ４のほぼ中央部から下部にかけては、疎の線パターン部１９Ａが配置されており、逆に、ランプレンズ４のほぼ上部には、密の線パターン部１９Ｂが配置されている。ランプレンズ４のほぼ中央部から下部にかけて配置されている疎の線パターン部１９Ａは、線ヒータ５の低温発熱部を構成し、逆に、ランプレンズ４のほぼ上部に配置されている密の線パターン部１９Ｂは、線ヒータ５の高温発熱部を構成する。
【００７７】
この実施例３にかかる車両用灯具は、上段に３個のランプユニット２が、下段に２個のランプユニット２が、それぞれ配置されている。前記ランプレンズ４のほぼ上部の密の線パターン部１９Ｂのうち、下側２−３本の横線のパターンが、前記上段の３個のランプユニット２のやや上部に位置する。
【００７８】
この実施例３にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の高温発熱部の密の線パターン部１９Ｂがランプレンズ４のほぼ上部に配置されており、一方、線ヒータ５の低温発熱部の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４のほぼ中央部から下部にかけて配置されているので、前記の実施例１、２の車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例３にかかる車両用灯具は、線ヒータ５が、密の線パターン部１９Ｂからなる高温発熱部と、疎の線パターン部１９Ａからなる低温発熱部と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。この結果、この実施例３にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００７９】
特に、この実施例３にかかる車両用灯具は、図１３および図１４に示すように、灯室７内に５個のランプユニット２が配置されていて、かつ、スラント角度が大きいランプレンズ４を使用する車両用灯具であって、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい車両用灯具である。しかしながら、この実施例３にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができるので、温度分布の温度差が大きいランプレンズ４であっても、このランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのを防止するいわゆる着雪防止効果、あるいは、このランプレンズ４に付着している雪や氷や曇りを融かしたり除去したりするいわゆる融雪効果を向上させることができる。しかも、この実施例３にかかる車両用灯具は、前記のように温度分布の温度差が大きいランプレンズ４において、ランプレンズ４のうち必要な箇所この例では上部から中間部にかけて密の線パターン部１９Ｂからなる高温発熱部で暖めるので、ランプレンズ４の上部から中間部にかけての雪や氷が滑落してそのランプレンズ４の中間部から下部にかけての雪や氷を滑落させることができる。
【００８０】
また、この実施例３にかかる車両用灯具は、導電性ペースト１９の密の線パターン部１９Ｂが配光性能に影響を与えないランプレンズ４のほぼ上部に配置されており、一方、導電性ペースト１９の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４の主発光部のほぼ中央部から下部にかけて配置されているので、配光性能への影響を最小限に抑えることができる。
【００８１】
さらに、この実施例３にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９をランプレンズ４に転写させる転写式の線ヒータ５を使用するものであるから、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下６本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下６本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている線パターンの通電ペースト１９を容易に形成することができる。
【実施例４】
【００８２】
図１５および図１６は、この発明にかかる車両用灯具の実施例４を示す。図中、図１〜図１４と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例４にかかる車両用灯具について説明する。
【００８３】
この実施例４にかかる車両用灯具は、前記の実施例３にかかる車両用灯具の変形例である。この実施例４にかかる車両用灯具は、図１５および図１６に示すように、導電性ペースト１９の線パターンが、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下４本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下８本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている。すなわち、上下４本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、上下２本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、が上下２段に構成されている。
【００８４】
上下４本の横線の密の線パターン部１９Ｂが、ランプレンズ４のうち、上段の３個のランプユニット２のやや上部に対応する箇所と、下段の２個のランプユニット２のやや上部に対応する箇所と、にそれぞれ配置されている。一方、上下２本の横線の疎の線パターン部１９Ａが、ランプレンズ４のうち、上段の３個のランプユニット２の中央部から下部にかけて対応する箇所と、下段の２個のランプユニット２の中央部から下部にかけて対応する箇所と、にそれぞれ配置されている。
【００８５】
この実施例４にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の高温発熱部の密の線パターン部１９Ｂがランプレンズ４のうち上下２段の５個のランプユニット２のやや上部に対応する箇所すなわち上部側に配置されており、一方、線ヒータ５の低温発熱部の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４のうち上下２段の５個のランプユニット２のほぼ中央部から下部にかけて対応する箇所すなわち下部側に配置されている。このために、この実施例４にかかる車両用灯具は、前記の実施例１、２、３の車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例４にかかる車両用灯具は、線ヒータ５が、密の線パターン部１９Ｂからなる高温発熱部と、疎の線パターン部１９Ａからなる低温発熱部と、を有するので、ランプレンズ４の温度分布に対応してランプレンズ４を暖めることができる。この結果、この実施例４にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に雪や氷や曇りが付着するのをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に防止することができ、あるいは、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができる。
【００８６】
また、この実施例４にかかる車両用灯具は、ランプユニット２としてすれ違い用の配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニットを使用するものである。このすれ違い用の配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニット２において、有効発光面（有効照射面）のうち上部は光学的影響が小さく、一方、下部は光学的影響が大きい特徴を有する。この結果、この実施例４にかかる車両用灯具は、導電性ペースト１９の密の線パターン部１９Ｂがランプレンズ４のうち光学的影響が小さいランプユニット２の上部側に配置されており、一方、導電性ペースト１９の疎の線パターン部１９Ａがランプレンズ４のうち光学的影響が大きいランプユニット２の下部側に配置されているので、光学的影響を最小限に抑えることができる。
【００８７】
さらに、この実施例４にかかる車両用灯具は、線パターンの導電性ペースト１９をランプレンズ４に転写させる転写式の線ヒータ５を使用するものであるから、相互にほぼ平行である上下１２本の横線を左右にジグザグに連続する線パターンであって、上下４本の横線の疎の線パターン部１９Ａと、上下８本の横線の密の線パターン部１９Ｂと、から構成されている線パターンの通電ペースト１９を容易に形成することができる。
【実施例５】
【００８８】
図１７は、この発明にかかる車両用灯具の実施例５を示す。図中、図１〜図１６と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例５にかかる車両用灯具について説明する。
【００８９】
この実施例５にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４に転写により設けられている線ヒータ５が、発熱部と無発熱部とを有するものである。前記発熱部は、図１７中の実線で示すように、前記線ヒータ５のうち導電性ペースト１９で形成されている部分である。一方、前記無発熱部は、図１７中の破線で示すように、前記線ヒータ５のうち金属線（もしくは金属箔）３２で形成されている部分である。前記線ヒータ５のうち前記導電性ペースト１９の発熱部は、前記ランプレンズ４のうち低温箇所、もしくは、前記ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りによる配光影響や光学的影響が大きい箇所などに配置されている。一方、前記線ヒータ５のうち前記金属線３２の無発熱部は、前記ランプレンズ４のうち高温箇所、もしくは、前記ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りによる配光影響や光学的影響が小さい箇所などに配置されている。
【００９０】
前記金属線３２は、たとえば、抵抗値がほぼ０もしくはほぼ０に近似する材質のものを使用する。また、前記金属線３２は、前記導電性ペースト１９と共に線パターンを形成するものである。さらに、前記金属線３２は、前記導電性ペースト１９と共に前記ランプレンズ４に転写されて設けられるものであっても良いし、前記導電性ペースト１９が前記ランプレンズ４に転写された後にディスペンサーで前記ランプレンズ４に配線されるものであっても良い。
【００９１】
この実施例５にかかる車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、ランプレンズ４の低温箇所などを線ヒータ５の導電性ペースト１９からなる発熱部により暖め、一方、ランプレンズ４の高温箇所などを線ヒータ５の金属線３２からなる無発熱部により常温のままとすることができる。この結果、この実施例５にかかる車両用灯具は、上記の実施例１〜４にかかる車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例５にかかる車両用灯具は、ランプレンズ４の温度分布の温度差が大きい場合であっても、ランプレンズ４に付着した雪や氷や曇りをランプレンズ４のほぼ全部に亘って確実に融かしたり除去したりすることができ、ランプレンズ４から照射される光の損失を防ぐことができる。
【００９２】
また、この実施例５にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の導電性ペースト１９および金属線３２の抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを形成するものであるから、線ヒータ５に発熱部と無発熱部とを設けたにもかかわらず、線ヒータ５の構造や発熱制御が簡単であり、製造コストに貢献することができる。
【００９３】
さらに、この実施例５にかかる車両用灯具は、線ヒータ５の金属線３２の抵抗値をほぼ０にもしくはほぼ０に近似させて無発熱部を形成するものであるから、省電力に貢献することができる。
【実施例６】
【００９４】
図１８および図１９は、この発明にかかる車両用灯具の実施例６を示す。図中、図１〜図１７と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例６にかかる車両用灯具について説明する。
【００９５】
この実施例６にかかる車両用灯具は、ヒータとして、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータ３３を使用するものである。前記線ヒータ３３は、前記線ヒータ３３の抵抗値の高低差により高温発熱部と低温発熱部とを形成し、あるいは、前記線ヒータ３３の抵抗値の有無により発熱部と無発熱部とを形成し、あるいは、前記線ヒータ３３の線パターンの密疎により高温発熱部と低温発熱部とを形成するものである。
【００９６】
前記線ヒータ３３は、ランプレンズ４の表面に、スクリーン印刷やホットスタンプ印刷などの工法により直接印刷されて設けられており、あるいは、接着剤により直接接着して設けられており、あるいは、フィルムを介して設けられている。前記線ヒータ３３が設けられている前記ランプレンズ４の表面には、防曇兼封止コート３４が施されている。前記防曇兼封止コート３４は、たとえば、アクリル系の材料からなるものであって、前記線ヒータ３３を電気的に絶縁すると共に外からの衝撃から保護するとともに、前記ランプレンズ４の表面の曇りを防ぐものである。
【００９７】
この実施例６にかかる車両用灯具は、上記のごとき構成からなるので、上記の実施例１〜５にかかる車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例６にかかる車両用灯具は、線ヒータ３３が設けられているランプレンズ４の表面に防曇兼封止コート３４を施すものであるから、ランプレンズ４の防曇効果と、線ヒータ３３の封止（保護）効果とが得られる。また、この実施例６にかかる車両用灯具は、防曇兼封止コート３４を施すものであるから、コートを施す工程を１回に削減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【００９８】
以下、前記の実施例１〜６以外の例について説明する。前記の実施例１〜６においては、線ヒータ５、３３をランプレンズ４の内面に設けるものである。ところが、この発明においては、線ヒータ５、３３をランプレンズ４の外面もしくは内外両面に設けても良い。
【００９９】
また、前記の実施例１〜５においては、線ヒータ５を転写によりランプレンズ４の表面に設けるものである。ところが、この発明においては、ヒータをランプレンズ４に、直接印刷、直接接着、フィルムを介して、インサート、挟み込みなどにより、設けても良い。
【０１００】
さらに、前記の実施例１〜６は、線ヒータ５、３３に、高温発熱部と低温発熱部との２つの発熱部を形成し、あるいは、１つの発熱部と無発熱部とを形成するものである。ところが、この発明においては、ヒータに、３つ以上の発熱部を形成し、あるいは、２つ以上の発熱部と無発熱部とを形成するものであっても良い。
【０１０１】
さらにまた、前記の実施例１〜６は、自動車Ｃのヘッドランプ１Ｌ、１Ｒのランプレンズ４に使用した例を説明するものである。ところが、この発明においては、自動車Ｃのヘッドランプ１Ｌ、１Ｒ以外の車両用灯具、たとえば、ストップランプなどの信号灯、カーブランプなどの照明灯、フロントコンビネーションランプ、リアコンビネーションランプなどのランプレンズに使用しても良い。
【０１０２】
さらにまた、前記の実施例１〜６においては、光を前記ランプレンズ４を通して外部に照射する光照射部として、半導体型光源１２を光源とするプロジェクタタイプのランプユニット２について説明するものである。ところが、この発明においては、光照射部として、前記のランプユニット２以外の光照射部、たとえば、光源が半導体型光源やＨＩＤなどの放電灯やハロゲンバルブや白熱バルブであって、プロジェクタタイプや反射タイプや直射タイプのランプユニットであっても良いし、あるいは、プロジェクタタイプや反射タイプや直射タイプの車両用灯具において、半導体型光源やＨＩＤなどの放電灯やハロゲンバルブや白熱バルブの光源、および、その光源と反射面との組み合わせのものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【０１０３】
【図１】この発明にかかる車両用灯具の実施例１を示し、自動車のヘッドランプに使用されている状態の説明図である。
【図２】同じく、ヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図３】同じく、ヘッドランプに使用されているランプユニットの垂直断面図（縦断面図）である。
【図４】同じく、ヘッドランプに使用されているランプレンズを示す斜視図である。
【図５】同じく、図４におけるＶ部の拡大図である。
【図６】同じく、図５におけるＶＩ−ＶＩ線断面図である。
【図７】同じく、図４におけるＶＩＩ部の拡大図である。
【図８】同じく、図７におけるＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線断面図である。
【図９】同じく、ヘッドランプに使用されているランプレンズの製造工程を示す説明図である。
【図１０】同じく、ヘッドランプに使用される線ヒータユニットを示す説明図である。
【図１１】この発明にかかる車両用灯具の実施例２を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１２】同じく、ヘッドランプに使用される線ヒータユニットを示す説明図である。
【図１３】この発明にかかる車両用灯具の実施例３を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１４】同じく、ヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図１５】この発明にかかる車両用灯具の実施例４を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１６】同じく、ヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図１７】この発明にかかる車両用灯具の実施例５を示す自動車のヘッドランプのランプレンズの斜視図である。
【図１８】この発明にかかる車両用灯具の実施例６を示す自動車のヘッドランプの垂直断面図（縦断面図）である。
【図１９】同じく、ランプレンズおよび線ヒータおよび防曇兼封止コートの一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【０１０４】
Ｃ 自動車
ＣＬ カット箇所
１Ｌ、１Ｒ ヘッドランプ（車両用灯具）
２ ランプユニット
３ ランプハウジング
４ ランプレンズ
５ 線ヒータ
６ 給電部
７ 灯室
８ 上側リフレクタ
９ 下側リフレクタ
１０ 反射面
１１ シェード
１２ 半導体型光源（ＬＥＤ）
１３ 投影レンズ
１４ ヒートシンク部材
１５ ホルダ部材
１６ ヒートシンク部材
１７ ベースフィルム
１８ 接着剤
１９、１９０、１９′、１９０′ 導電性ペースト
１９Ａ 疎の線パターン部
１９Ｂ 密の線パターン部
２０ レジスト
２１ セパレータ
２２ 剥離シート
２３ シート部材
２４ 給電パターン部
２５ 表面実装タイプのコネクタ
２６ ハーネス
２７ レンズ側のコネクタ
２８ ランプレンズの側壁
２９ ハウジング側のコネクタ
３０ ハーネス
３１ 温度制御部
３２ 金属線
３３ 線ヒータ
３４ 防曇兼封止コート
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ランプレンズが融雪構造をなす車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよび前記ランプレンズと、
前記灯室内に配置されており、光を前記ランプレンズを通して外部に照射する光照射部と、
前記ランプレンズに設けられているヒータと、
前記ヒータに電流を供給する給電部と、
を備え、
前記ヒータは、少なくとも高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、発熱部と無発熱部とを有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項２】
前記ヒータは、電流を供給すると電気抵抗により発熱する電熱部材であって、抵抗値の高低差により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有し、あるいは、抵抗値の有無により前記発熱部と前記無発熱部とを有する、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
【請求項３】
前記ヒータは、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、前記線ヒータの線パターンの密疎により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有する、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
【請求項４】
前記ヒータは、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、前記線ヒータの抵抗値の高低差により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有し、あるいは、前記線ヒータの抵抗値の有無により前記発熱部と前記無発熱部とを有し、あるいは、前記線ヒータの線パターンの密疎により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有し、前記線ヒータが設けられている前記ランプレンズの表面には、防曇兼封止コートが施されている、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
【請求項１】
ランプレンズが融雪構造をなす車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよび前記ランプレンズと、
前記灯室内に配置されており、光を前記ランプレンズを通して外部に照射する光照射部と、
前記ランプレンズに設けられているヒータと、
前記ヒータに電流を供給する給電部と、
を備え、
前記ヒータは、少なくとも高温発熱部と低温発熱部とを有し、あるいは、発熱部と無発熱部とを有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項２】
前記ヒータは、電流を供給すると電気抵抗により発熱する電熱部材であって、抵抗値の高低差により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有し、あるいは、抵抗値の有無により前記発熱部と前記無発熱部とを有する、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
【請求項３】
前記ヒータは、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、前記線ヒータの線パターンの密疎により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有する、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
【請求項４】
前記ヒータは、電流を供給すると電気抵抗により発熱する線ヒータであって、前記線ヒータの抵抗値の高低差により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有し、あるいは、前記線ヒータの抵抗値の有無により前記発熱部と前記無発熱部とを有し、あるいは、前記線ヒータの線パターンの密疎により前記高温発熱部と前記低温発熱部とを有し、前記線ヒータが設けられている前記ランプレンズの表面には、防曇兼封止コートが施されている、ことを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【公開番号】特開２００７−２４２２９０（Ｐ２００７−２４２２９０Ａ）
【公開日】平成１９年９月２０日（２００７．９．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５９８２９（Ｐ２００６−５９８２９）
【出願日】平成１８年３月６日（２００６．３．６）
【出願人】（００００００１３６）市光工業株式会社 (774)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月２０日（２００７．９．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月６日（２００６．３．６）
【出願人】（００００００１３６）市光工業株式会社 (774)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]