説明

車両用灯具

【課題】 LED消灯時には冷却用ファンを駆動させず、省電力を図ることができ、前記冷却用ファンヘの電流供給の配線が開放した場合でもコストの低減を図ると共にLEDへの電流供給を停止することができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】 直列接続されたLED6,7,8と、LED6,7,8と直列接続され、LED6,7,8を冷却する冷却用ファン5と、電源から供給される電力を受け、LED6,7,8と冷却用ファン5に電流を供給する電流供給回路4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具において半導体発光素子で構成された半導体光源の点灯および該半導体光源の発熱を抑制する冷却用ファンの駆動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体光源としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)と冷却用ファンを備えた照明装置が知られている。前記冷却用ファンは、前記LEDから生じる発熱により該LEDが高温化するのを防止する機能を有する。前記照明装置には前記冷却用ファンを回転駆動制御するファン駆動回路と前記LEDを駆動制御するLED駆動回路が実装されている。
【0003】
ここで、冷却用ファンは、複数のLEDの背面側に設けられており、回転可能なプロペラを備える。この冷却用ファンにおけるプロペラの回転駆動によって生じる風をLED側に送ることにより、LED自体の高温化を防止している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上記照明装置を車両用灯具に適用することは半導体光源の長寿命につながるため、該半導体光源の交換作業回数を減らすことができるという観点から好適である。
【0005】
【特許文献1】特開2001−216803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来技術においては、ファン駆動回路とLED駆動回路が別々に実装されているので、冷却用ファンでLEDを冷却する場合、LEDが点灯しているときのみならず消灯しているときも冷却用ファンは駆動し続ける。
【0007】
しかし、前記LEDが消灯しているときには該LEDは発熱せず前記冷却用ファンを駆動させる必要はない。従って、上記従来技術では本来必要のない電力を消費しているという問題が生じる。すなわち、省電力という観点からみた場合LEDが点灯しているときだけ前記冷却用ファンを駆動させ、LEDが消灯しているときには前記冷却用ファンを駆動させないことが望ましい。上記した従来技術では前記LEDが消灯しているときも前記冷却用ファンは駆動し続けるため、省電力を図ることはできず、前記冷却用ファンの寿命を短くしてしまう。
【0008】
また、例えば、前記冷却用ファンヘの電流供給の配線が開放した場合、前記LEDにのみ電流が供給されるため該LEDは発熱し続ける。この場合には、LEDの耐久性向上のために前記LEDへの電流供給を停止する必要が生じるが、上記した従来技術では前記冷却用ファンが駆動されていないにもかかわらず前記LEDは発熱し続けるため該LEDの寿命を短くしてしまう。
【0009】
上記した問題点を解消するために、前記冷却ファンの駆動状態および前記LEDの点灯状態を監視する部品と共に、その監視結果に応じて前記冷却ファンと前記LEDをコントロールする部品が別途必要となることが考えられる。この場合部品点数が増えてしまい車両用灯具の低コスト化を図ることはできない。
【0010】
そこで、本発明は、前記冷却用ファンヘの電流供給の配線が開放した場合でもコストアップの上昇を来たすことなくLEDへの電流供給を停止することが可能な車両用灯具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様による車両用灯具は、半導体光源と、前記半導体光源と直列接続され、前記半導体光源を冷却するファンと、電源から供給される電力を受け、前記半導体光源および前記ファンに電流を供給する電流供給回路とを備えるようにしたものである。
【0012】
前記電流供給回路は、前記ファンと並列に接続され、オフ動作時に前記半導体光源および前記ファンに電流を供給し、オン動作時に前記ファンにのみバイパスして前記ファンに入力する電流の供給を停止するスイッチ素子と、前記スイッチ素子を駆動するスイッチ駆動回路とを有し、前記スイッチ素子のデューティ比は前記ファンに入力される平均電流の大きさを所定の定格電流以下にするように設定されることが好ましい。
【0013】
前記電流供給回路は該電流供給回路から供給される出力電流を検出する電流検出回路を有し、前記電流検出回路によって検出された出力電流の大きさが予め決められた閾値以下になった状態が所定の基準時間継続した場合に、前記出力電流を停止するように制御し、前記基準時間は前記スイッチ素子のオフ動作時間以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明にあっては、冷却用ファンを駆動する駆動回路と半導体光源を駆動する駆動回路を共用することができ、部品点数の削減を図ることができ、また、半導体光源が消灯しているときには冷却用ファンを駆動させず、省電力を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載した発明にあっては、半導体光源に供給する電流が冷却用ファンに供給される平均電流を該冷却用ファンの定格電流以下に制限することができる。
【0016】
請求項3に記載した発明にあっては、冷却用ファンヘの電流供給の配線が開放した場合でもコストの上昇を来たすことなく半導体光源への電流供給を停止することができ、該半導体光源の温度上昇による故障を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る車両用灯具について説明する。図1は本発明に係る車両用灯具の構成の概略を示した図である。なお、図1は、後述する第1〜第3の実施の形態に係る車両用灯具全てに共通の基本構成を示したものである。
【0018】
図1に示されるように車両用灯具1は、半導体光源として用いられるLED3と、電流を供給して負荷を駆動制御する電流供給回路4と、冷却用ファン5を備えて構成されている。
【0019】
LED3はリフレクター2の内側に実装されている。LED3は電流供給回路4に接続されており、電流供給回路4から供給される定電流(以下、「LED電流」と呼ぶ。)によって駆動される。電流供給回路4は、リフレクター2の背面側に設けられ、リフレクター2の背面側に設けられた冷却用ファン5に接続されている。冷却用ファン5は電流供給回路4から供給される定電流(以下、「ファン電流」と呼ぶ。)によって駆動される。
【0020】
冷却用ファン5は、車両用灯具1の内部において、LED3や電流供給回路4に向けて直接送風することにより、あるいは車両用灯具1内の空気を循環させることにより、車両用灯具1内の温度がLED3または電流供給回路4で生じる発熱により局所的に高くなる事態を防止する。
【0021】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具について説明する。図2は本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具の構成を示した図である。
【0022】
電流供給回路4はLED6,7,8へLED電流を流すように駆動制御する。電流供給回路4の回路形態は、スイッチングレギュレータを含んで構成されてもよいしシリーズレギュレータを含んで構成されてもよく、その形態は問わない。LED6,7,8は3つ直列接続されているが、その数は問わない。冷却用ファン5はLED6,7,8と直列に接続されている。
【0023】
電流供給回路4によってLED6,7,8へLED電流が供給されるとLED6,7,8が駆動して点灯する。LED6,7,8が駆動して点灯すると、冷却用ファン5にもファン電流が流れ、冷却用ファン5はLED6,7,8の駆動と同時に回転駆動する。逆に電流供給回路4によるLED6,7,8へのLED電流の供給が停止するとLED6,7,8の駆動が停止してLED6,7,8は消灯する。LED6,7,8が消灯すると、冷却用ファン5へのファン電流の供給が停止し、冷却用ファン5はLED6,7,8の駆動停止と同時に回転駆動を停止する。
【0024】
LED6,7,8に断線等の開放異常が生じた場合には冷却用ファン5ヘのファン電流の供給が停止し、冷却用ファン5の回転駆動は停止する。上記したような構成によれば、LED6,7,8に開放異常が生じた場合でも依然として冷却用ファン5だけが回転駆動し続けるという事態を避けることができる。
【0025】
冷却用ファン5に断線等の開放異常が生じた場合にはLED6,7,8への電流供給が停止し、LED6,7,8は消灯する。上記したような構成によれば、冷却用ファン5に開放異常が生じた場合でも依然としてLED6,7,8だけが点灯して発熱し続けるという事態を避けることができる。
【0026】
ここで、電流供給回路4の構成について説明する。図3は電流供給回路の構成を示した図である。図4は電流供給回路に設けられるスイッチングレギュレータの構成を説明するための図である。
【0027】
図3に示されるように電流供給回路4は、車両用灯具(発光装置)1の一要素として、スイッチングレギュレータ11と、制御用電源12と、スイッチングレギュレータ11をオンオフ動作させるようにオンオフ信号(スイッチング信号)を送出しLED6,7,8に対する電流の供給を制御する電流供給制御手段として用いられる制御回路13とから構成されている。制御用電源12は制御回路13を動作させる機能を有する。
【0028】
図4に示されるように、各LED6,7,8は、半導体発光素子で構成された半導体光源として、スイッチングレギュレータ11(図3参照)の出力側に直列に接続されている。LED6,7,8は、ヘッドランプ、ストップアンドテールランプ、フォグランプ、ターンシグナルランプ等の各種の車両用灯具の光源として構成することができる。
【0029】
スイッチングレギュレータ11は、図4に示すように、トランスT、コンデンサC1、NMOSトランジスタ16、ダイオードD1、D2、コンデンサC2を備えて構成されている。トランスTの一次側にはコンデンサC1が並列に接続されていると共に、NMOSトランジスタ16が直列に接続されている。コンデンサC1の一端側は、ダイオードD1を介して車載バッテリ(直流電源)15のプラス端子に接続され、他端側は車載バッテリ15のマイナス端子に接続されている。NMOSトランジスタ16はドレインがトランスTの一次側に接続され、ソースが車載バッテリ15のマイナス端子に接続され、ゲートが制御回路13に接続されている。トランスTの二次側にはダイオードD2を介してコンデンサC2が並列に接続されており、ダイオードD2とコンデンサC2との接続点はLED6のアノード側に接続されるようになっている。トランスTの二次側の一端側とコンデンサC2の一端側は、シャント抵抗R1、冷却用ファン5を介してLED8のカソード側に接続されるようになっている。シャント抵抗R1と冷却用ファン5の接続点は制御回路13に接続されている。シャント抵抗R1は、LED6,7,8に供給される電流を検出する電流検出手段として構成されており、シャント抵抗R1の両端に生じる電圧をLED6,7,8の電流として、制御回路13にフィードバックするようになっている。
【0030】
NMOSトランジスタ16は、制御回路13から出力されるオンオフ信号(スイッチング信号)に応答してオンオフ動作するスイッチング素子として構成されている。NMOSトランジスタ16がオン動作したときには、車載バッテリ15からの入力電圧が電磁エネルギーとしてトランスTに蓄積され、NMOSトランジスタ16のオフ動作時に、トランスTに蓄積された電磁エネルギーが発光エネルギーとしてトランスTの二次側からダイオードD2を介してLED6,7,8に放出されるようになっている。
【0031】
すなわち、スイッチングレギュレータ11は、制御回路13と共に車載バッテリ15から電力の供給を受けてLED6,7,8に対する電流の供給を制御する電流供給制御手段として構成されている。この場合、スイッチングレギュレータ11は、シャント抵抗R1におけるドロップ電圧と予め規定された規定電圧(閾値)とを比較し、この比較結果に応じてLED6,7,8に出力する出力電流を制御するように構成されている。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具の構成を示した図である。なお、本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具1はスイッチ手段SW1を冷却用ファン5と並列に接続した構成となっているが、これ以外の構成は上記した第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0033】
ここで、上記した第1の実施の形態に係る車両用灯具1の場合、LED6,7,8へ供給する電流と冷却用ファン5に流れる電流の大きさが一致するので、LED6,7,8および冷却用ファン5のそれぞれの定格電流や光量・風量に制約を受けてしまう場合がある。
【0034】
また、冷却用ファンが必要になるのはLEDへ多大な電流を供給する場合(例えば、ヘッドランプ用途)であり、LEDへ供給したい電流を冷却用ファンにそのまま供給すると、冷却用ファンの定格電流を上回る場合も生じる。この場合定格電流が大きい冷却用ファンを用いてもよいが、コストの低減を図るためには定格電流が小さい冷却用ファンを用いることが望ましい。
【0035】
そこで、本第2の実施の形態によれば後述するスイッチ素子SW1を電流供給回路40に設けることによって上記した第1の実施の形態による車両用灯具にさまざまな定格電流をもつ冷却用ファンを実装することができる。
【0036】
図5に示すようにスイッチ素子SW1は冷却用ファン5と並列に接続される。スイッチ素子SW1は、オフ動作時にLED6,7,8および冷却用ファン5に電流を供給し、オン動作時に冷却用ファン5に対してのみ電流経路を迂回(バイパス)させて冷却用ファン5に対する電流の供給を停止する機能を有する。
【0037】
なお、スイッチ素子は単なるスイッチで示しているが、FET(電界効果トランジスタ:Field effect transistor)やIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体素子が好ましい。
【0038】
制御回路13内のスイッチ駆動回路18は、スイッチ素子SW1のオンオフ動作をさせるためのオンオフ信号(例えば、ハイレベル信号またはローレベル信号)をスイッチ素子SW1に出力し、スイッチ素子SW1の駆動を制御する。図7を例にすると、スイッチ駆動回路18は、オンデューティ(On・Duty)が80%になるようにスイッチ素子SW1をスイッチング制御している。
【0039】
このとき、スイッチ素子SW1のデューティ比は冷却用ファン5に入力される平均電流の大きさを所定の定格電流以下にするよう設定される。
【0040】
例えばLEDへ流したい電流(LED電流)が1Aで、定格電流200mAの冷却用ファン5を使用したいときには、スイッチ素子SW1のオフデューティ(Off・Duty)を20%に設定すれば冷却用ファン5に供給する平均電流(ファン電流)を前記定格電流にまで抑制することができる。前記LED電流が1Aで、定格電流100mAの冷却用ファンを使用したいときには、スイッチ素子SW1のオフデューティを10%に設定すればファン電流を前記定格電流にまで抑制することができる。
【0041】
なお、本実施の形態ではオフデューティの設定とあるがオンデューティの設定をしてもよい。上記例ではオフデューティ20%の設定の場合にはオンデューティ80%の設定でも上記同様の効果が得られる。オフデューティ10%の設定の場合にはオンデューティ90%の設定でもよい。
【0042】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る車両用灯具について説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係る車両用灯具の構成を示した図である。なお、本実施の形態に係る車両用灯具はスイッチ素子SW1を冷却用ファン5と並列に接続し、スイッチ素子SW1の一端に電流検出手段として用いられるシャント抵抗R2を備えた構成となっているが、これ以外の構成については上記した第1及び第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0043】
上記した第2の実施の形態における車両用灯具1の構成では、LED6,7,8の内の少なくとも一つに断線等の開放異常が生じた場合、冷却用ファン5に電流供給する経路が無くなるので、自然に冷却用ファン5は停止する。一方、冷却用ファン5にのみ断線等の開放異常が生じた場合には、LED6,7,8にはLED電流が供給され続け、スイッチ素子SW1のデューティ比(オンデューティとオフデューティの割合)の設定に従ったオン・オフ動作の周期でLED6,7,8は点滅を繰り返すことになる。
【0044】
そこで、冷却用ファン5にのみ断線等の開放異常が生じた場合でも、本実施の形態によれば後述する電流検出回路としてのシャント抵抗R2をスイッチ素子SW1の一端に設けることによって、LED6,7,8の駆動を停止することができる。
【0045】
以下、図7(A)〜(C)を参照して本第3の実施の形態における車両用灯具の動作について説明する。図7(A)はスイッチ素子SW1の動作を示す波形図である。図7(B)は通常時、すなわちLED6,7,8、冷却用ファン5共に異常がない場合における電流供給回路の動作を説明するための波形図である。図7(C)は冷却用ファン5の異常時、すなわち冷却用ファン5にのみ断線等の開放異常が生じた場合における電流供給回路の動作を説明するための波形図である。
【0046】
シャント抵抗R2は、LED6,7,8に供給される電流を検出する電流検出手段として構成されている。シャント抵抗R2による電流検出は、シャント抵抗R2の両端に生じる電圧をLED6,7,8に供給される電流(LED電流またはシャント抵抗電流)として検出される。このようにして検出されたLED電流の大きさを示す監視信号は制御回路13にフィードバックされる。
【0047】
制御回路13は、フィードバックされたシャント抵抗R2で検出されたLED電流の大きさが予め規定された所定の電流値(閾値)以上か否かを判定する比較器(図示せず)を有する。スイッチ駆動回路18は、スイッチ素子SW1のオンオフ動作をさせるためのオンオフ信号(例えば、ハイレベル信号またはローレベル信号)をスイッチ素子SW1に出力し、スイッチ素子SW1の駆動を制御する。
【0048】
LED6,7,8、冷却用ファン5共に異常なく、正常である通常時には、図7(B)の波形図に示すようにLED電流、すなわち電流供給回路から出力される出力電流は一定になる。
【0049】
ここで、前記ファン電流はスイッチ素子SW1がオフ動作のときに流れ、スイッチ素子SW1がオン動作のときには流れない。また、図7(B)の図に示されるようにスイッチ素子SW1のオンデューティが80%であれば、ファン電流はデューティ20%で冷却用ファン5に対して供給される。
【0050】
一方、冷却用ファンが開放(オープン)した場合、前記LED電流はオンデューティ80%の電流となり、スイッチ素子SW1のオフ動作時間の間流れず、前記ファン電流も流れない。この特徴を利用したものが本実施の形態である。なお、図7(B),(C)の波形図は概ねオフデューティ20%の場合を示している。
【0051】
前記LED電流の大きさが所定の電流値(所定の閾値)を下回る場合には前記ファン電流は流れないので、冷却用ファン5に何らかの異常が生じていることがわかる。本実施の形態に係る車両用灯具は、上記した電流検知によってそのような異常な状態を検出し、その後冷却用ファンの駆動を停止する制御を行う。
【0052】
上記制御について詳細に説明する。シャント抵抗R2は常時LED電流を監視し、LED電流の大きさが前記所定の閾値を下回った場合には制御回路13はLED6,7,8の駆動を停止するようスイッチングレギュレータ11を制御する。
【0053】
ここで、前記所定の閾値はLED電流が1Aとした場合には任意の値とすることが可能であるが、LED電流の50%程度以下であることが望ましい。
【0054】
また、スイッチ素子SW1のオフ動作時間はLED電流をシャント抵抗R2で検出する検出時間以上であることが必要となる。これは前記オフ動作時間が前記検出時間以下であれば、LED電流が供給されていないという事実が検出できないからである。
【0055】
例えばスイッチ素子SW1のオン・オフ周期を100Hzと設定した場合、オフデューティー20%におけるオフ動作時間は2ミリ秒(2ms)となる。オフ動作時間が2ミリ秒であると仮定すると、前記検出時間は2ミリ秒以下であることが必要である。
【0056】
前記基準時間として用いられる前記検出時間を例えば1.5ミリ秒、前記予め決められた閾値を例えば0.5Aとした場合、検出時間1.5ミリ秒の間に、シャント抵抗R2によって検出されたLED電流の大きさが0.5Aを下回ったときには制御回路13はLED6,7,8の駆動を停止するようスイッチングレギュレータ11を制御する。
【0057】
なお、検出時間1.5ミリ秒の間、LED電流の大きさが0.5Aを下回った回数が複数回(例えば100回)継続して発生した場合はLED駆動を停止してもよい。一方、前記下回った回数が例えば1回である場合その原因がノイズ等による場合があるので、一回で異常と判定してもよいが、より正確な判定を求める場合には複数回以上、前記異常の判定を行う必要がある。
これにより部品コストの低減が図れ、LED6,7,8と冷却用ファン5のいずれか一方の異常時には、他方を停止させることが可能となる。
【0058】
上記した各実施の形態は、本発明を好適に実施した形態の一例に過ぎず、本発明は、その主旨を逸脱しない限り、種々変形して実施することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る車両用灯具の構成の概略を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用灯具の構成を示した図である。
【図3】電流供給回路の構成を示した図である。
【図4】電流供給回路に設けられるスイッチングレギュレータの構成を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両用灯具の構成を示した図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る車両用灯具の構成を示した図である。
【図7】(A)はスイッチ素子SW1の動作を示す波形図であり、(B)は通常時における電流供給回路の動作を説明するための波形図であり、(C)は冷却用ファンにのみ開放異常が生じた場合における電流供給回路の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0060】
1…車両用灯具、2…リフレクター、3,6,7,8…LED,4,40,50…電流供給回路、5…冷却用ファン、11…スイッチングレギュレータ、12…制御用電源、13…制御回路、15…車載バッテリ、16…NMOSトランジスタ、スイッチ駆動回路18

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体光源と、
前記半導体光源と直列接続され、前記半導体光源を冷却するファンと、
電源から供給される電力を受け、前記半導体光源および前記ファンに電流を供給する電流供給回路とを有する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記電流供給回路は、
前記ファンと並列に接続され、オフ動作時に前記半導体光源および前記ファンに電流を供給し、オン動作時に前記ファンにのみバイパスして前記ファンに入力する電流の供給を停止するスイッチ素子と、
前記スイッチ素子を駆動するスイッチ駆動回路とを有し、
前記スイッチ素子のデューティ比は前記ファンに入力される平均電流の大きさを所定の定格電流以下にするように設定される
ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記電流供給回路は該電流供給回路から供給される出力電流を検出する電流検出回路を有し、
前記電流検出回路によって検出された出力電流の大きさが予め決められた閾値以下になった状態が所定の基準時間継続した場合に、前記出力電流を停止するように制御し、
前記基準時間は前記スイッチ素子のオフ動作時間以下である
ことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−129564(P2009−129564A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300311(P2007−300311)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】