説明

車両用灯具

【課題】 光源ユニットとミリ波レーダの発熱を灯室の外部に放出し、ミリ波レーダの電子部品を熱から保護できる車両用灯具を提供する。
【解決手段】 リアコンビネーションランプ1において、灯具ボディ2と前面カバー3との間に灯室5を形成し、灯室5内に複数の光源ユニット7とミリ波レーダ6を設置する。光源ユニット7の基板7bに複数のLED7aを配列し、基板7bをミリ波レーダ6の金属ケース16の外面に装着する。灯具ボディ2の背面開口部12を金属製のバックカバー13で灯室5の外部から覆い、バックカバー13の隆起部18にケース16を接合して取り付ける。光源ユニット7とミリ波レーダ6の発熱をケース16からバックカバー13に伝え、放熱フィン14によって灯室5の外部に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の物体を検出するミリ波レーダを搭載した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミリ波レーダを光源ユニットと一緒に灯室内に設置した車両用灯具が知られている。例えば、特許文献1には、灯具ボディと前面カバーとの間に灯室を形成し、灯室内に光源ユニットとミリ波レーダとヒートシンクとを設置した車両用灯具が記載されている。
【特許文献1】特開2008−186741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の車両用灯具によると、ヒートシンクが灯室内に設置されているので、光源ユニットおよびミリ波レーダの発熱が灯室内にこもり、ミリ波レーダに内蔵されたマイコン等の電子部品が熱による影響を受け、ミリ波レーダの検知精度が不安定になりやすいという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、光源ユニットとミリ波レーダの発熱を灯室の外部に放出し、ミリ波レーダの電子部品を熱から保護できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の車両用灯具は、灯具ボディと前面カバーとの間に灯室を形成し、灯室内に光源ユニットとミリ波レーダとを設置し、光源ユニットをミリ波レーダ上に装着し、ミリ波レーダを放熱部材に接合し、放熱部材を灯室の外部に配置し、光源ユニットとミリ波レーダの発熱を放熱部材により灯室の外部に放出することを特徴とする。
【0006】
前記車両用灯具において、好ましくは、光源ユニットが基板上に複数のLEDを備え、基板がミリ波レーダの金属ケースの外面に装着される。こうすれば、ミリ波レーダのケースをLEDの設置ベースおよび伝熱部材として兼用できる。
【0007】
また、本発明の車両用灯具は、放熱部材に金属製のバックカバーを使用し、バックカバーで灯具ボディの開口部を覆い、開口部の内側においてミリ波レーダの金属ケースをバックカバーに接合したことを特徴とする。この構成によれば、バックカバーをミリ波レーダの設置ベースおよび放熱部材として兼用できる。
【0008】
特に、車両用灯具の設置スペースを縮小できる点で、バックカバーに灯室側へ突出する隆起部を形成し、隆起部の突端面にミリ波レーダの金属ケースを接合し、隆起部の内側に放熱フィンを設けるのが好ましい。こうすれば、バックカバーの背面から突出する部分をなくすことができる。
【0009】
より好ましくは、ミリ波レーダの金属ケースをバックカバーに取り付け、バックカバーを灯具ボディに対し分解可能に組み付けるとよい。この構成によれば、LED光源とミリ波レーダをバックカバーに一体化し、灯具ボディに簡単に着脱できて、灯室内のメンテナンスが容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両用灯具によれば、光源ユニットとミリ波レーダが発生した熱を放熱部材で灯室の外部に放出し、灯室内の温度を低下させ、ミリ波レーダの電子部品を熱から保護できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をリアコンビネーションランプに具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は、ミリ波レーダが灯室の中央部に設置された実施例1のリアコンビネーションランプを示す。図4および図5は、ミリ波レーダが灯室の下部に設置された実施例2のリアコンビネーションランプを示す。各図において、同一の符号は同一または類似する構成要素を示す。
【実施例1】
【0012】
図1、図2に示すように、このリアコンビネーションランプ1は灯具ボディ2と前面カバー3とを備えている。灯具ボディ2は車体の後部パネル(図示略)に取り付けられ、前面カバー3が灯具ボディ2の周溝4に着脱可能に装着されている。灯具ボディ2と前面カバー3との間には灯室5が形成され、灯室5の中央部に車両後方の物体を検知するミリ波レーダ6が配置されている。
【0013】
ミリ波レーダ6の周面には4つの光源ユニット7が装着され、ミリ波レーダ6の周囲に光源ユニット7の光を反射するリフレクタ8が設けられている。前面カバー3には、リフレクタ8の反射光を灯具前方(車両後方)へ透過させるレンズ部9と、ミリ波レーダ6の前面を覆い隠す不透明部10と、灯室5を仕切るとともに前面カバー3とミリ波レーダ6との間隔を保持する隔壁11とが形成されている。
【0014】
ミリ波レーダ6は、ミリ波Wの送受信回路を内蔵する直方体形状のケース16を備えている。ケース16はアルミニウム等の熱伝導率が高い金属材料で形成され、ケース16の前面側にアンテナ部15が設けられ、ケース16の背面側に取付片16aが形成されている。光源ユニット7は複数のLED7aを基板7b上に備え、4枚の基板7bがケース16の上下左右の外面に装着されている。
【0015】
灯具ボディ2の背面には開口部12が形成され、開口部12の周囲に環状壁19が突設されている。環状壁19には、放熱部材としての金属製のバックカバー13がパッキン17を介して取り外し可能に取り付けられ、バックカバー13によって開口部12が灯室5の外部から覆われている。バックカバー13には、隆起部18が灯室5側へ突出するように形成され、隆起部18の内側に複数の放熱フィン14が設けられている。
【0016】
ミリ波レーダ6のケース16は、背面が開口部12の内側において隆起部18の突端面に接合され、取付片16aがネジ23(図2参照)でバックカバー13に取り付けられている。これにより、ミリ波レーダ6、光源ユニット7およびバックカバー13を一体化し、バックカバー13を灯具ボディ2に分解可能に組み付け、組付状態で光源ユニット7とミリ波レーダ6の発熱をバックカバー13に伝え、放熱フィン14から灯室5の外部に放出するようになっている。
【0017】
図3に示すように、リフレクタ8には、ミリ波レーダ6の周囲に3つの反射面20,21,22が区画されている。例えば、上側の反射面20は、相対的に点灯頻度が高いテール・ストップランプとして使用される。下側の反射面21,22は相対的に点灯頻度が低いターンシグナルランプまたはバックアップランプとして使用される。そして、4つの光源ユニット7は、反射面20〜22に対応するLED7aが点灯するように制御される。
【0018】
上記構成のリアコンビネーションランプ1によれば、光源ユニット7とミリ波レーダ6の発熱がケース16を介してバックカバー13から灯室5の外部に放出されるので、灯室5内の温度を下げ、ミリ波レーダ6の電子部品を熱から保護することができる。また、ケース16を多数のLED7aの設置ベースおよび伝熱部材として兼用し、バックカバー13をミリ波レーダ6の設置ベースおよび放熱部材として兼用し、リアコンビネーションランプ1を少数の部品で構成できる利点もある。
【実施例2】
【0019】
図4に示すように、実施例2のリアコンビネーションランプ1では、ミリ波レーダ6が灯室5の下部に配置され、ミリ波レーダ6のケース16がバックカバー13の隆起部18に取り付けられている。バックカバー13は、灯具ボディ2の下面開口部12を覆う状態で環状壁19に着脱可能に装着され、ミリ波レーダ6と3つの光源ユニット7がバックカバー13と一体に灯具ボディ2に分解可能に組み付けられている。
【0020】
光源ユニット7は、3枚の基板7bがケース16の上面と左右両側面とに装着され、各基板7b上に複数のLED7aが配列されている。リフレクタ8には、光源ユニット7と対応する3つの反射面20,21,22が形成され、上側の反射面20が点灯頻度の高いテール・ストップランプとして用いられる。したがって、このリアコンビネーションランプ1によれば、特に、LED7aの熱を灯室5の上部に集め、ミリ波レーダ6を高熱域から離して設置できるという利点がある。
【0021】
また、図5に示すように、実施例2のリアコンビネーションランプ1では、前面カバー3に、反射面20,21,22に対応するレンズ部9と、ミリ波レーダ6に対応するリフレックスリフレクタ(再帰性反射面)24とが設けられている。そして、リフレックスリフレクタ24によりミリ波レーダ6を隠し、外から見えにくくして、前面カバー3を装飾できるようになっている。その他の作用効果は、実施例1と同じである。
【0022】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)実施例1,2で開示したミリ波レーダ6の取付および放熱構造を車両用前照灯に適用すること。
(2)図1に示す不透明部10にかえ、前面カバー3に再帰性反射面を設け、これでミリ波レーダ6を隠し、前面カバー3を装飾すること。
(3)光源ユニットに白熱バルブや放電バルブを用い、ミリ波レーダ6の外面に装着すること。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1を示すリアコンビネーションランプの断面図である。
【図2】図1のランプの各部を分解して示す斜視図である。
【図3】図1のランプのリフレクタと光源ユニットの配置を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例2を示すリアコンビネーションランプの正面図である。
【図5】図4のランプの前面カバーを示す正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 リアコンビネーションランプ
2 灯具ボディ
3 前面カバー
5 灯室
6 ミリ波レーダ
7 光源ユニット
7a LED
7b 基板
12 開口部
13 バックカバー
14 放熱フィン
16 ケース
18 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ボディと前面カバーとの間に灯室を形成し、灯室内に光源ユニットとミリ波レーダとを設置した車両用灯具において、光源ユニットをミリ波レーダ上に装着し、ミリ波レーダを放熱部材に接合し、放熱部材を灯室の外部に配置し、光源ユニットとミリ波レーダの発熱を放熱部材により灯室の外部に放出することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源ユニットが基板上に複数のLEDを備え、基板がミリ波レーダの金属ケースの外面に装着されている請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記放熱部材に金属製のバックカバーを使用し、バックカバーで灯具ボディの開口部を覆い、開口部の内側においてミリ波レーダの金属ケースをバックカバーに接合した請求項2記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記バックカバーに灯室側へ突出する隆起部を形成し、隆起部の突端面にミリ波レーダの金属ケースを接合し、隆起部の内側に放熱フィンを設けた請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ミリ波レーダの金属ケースをバックカバーに取り付け、バックカバーを灯具ボディに対し分解可能に組み付けた請求項3又は4記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−146807(P2010−146807A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321255(P2008−321255)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】