説明

車両用灯具

【課題】フィルム状のシート部材を真空成形することで形成されるランプハウジングでも、車体との間に設けられたシール部材に対するシール圧を確保できる車両用灯具の提供を課題とする。
【解決手段】フィルム状のシート部材を真空成形することによって形成され、光源23、25、27を収容する灯室40を構成するとともに、光源23、25、27を取り付けるための開口部30C、30Dを有するランプハウジング30と、ランプハウジング30が設けられる車体12側のパネル16とランプハウジング30との間に狭持されたシール部材18と、シール部材18をランプハウジング30の反シール部材側から押圧する押圧部材46と、を備えた車両用灯具20とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプハウジングに設けたリブと車体との間にシール部材を設け、ランプハウジングの車体への取り付けを容易にするとともに、そこからの水の浸入を阻止するようにしたリアコンビネーションランプ等の車両用灯具は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−108780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両用灯具の軽量化を図るために、ランプハウジングを極めて薄く形成した場合には、ランプハウジングがシール部材の反力によって撓んでしまうため、そのシール部材によるシール圧を確保することができない。
【0005】
特に、真空成形によってランプハウジングを形成する場合には、厚さが略均一なフィルム状のシート部材を加熱した後、真空成形用金型に密着させることで、その形状を成形するため、射出成形のように部分的にランプハウジングの厚さを厚くして剛性を確保したり、リブを形成して剛性を確保するといった対策を採ることができない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、フィルム状のシート部材を真空成形することで形成されるランプハウジングでも、車体との間に設けられたシール部材に対するシール圧を確保できる車両用灯具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両用灯具は、フィルム状のシート部材を真空成形することによって形成され、光源を収容する灯室を構成するとともに、該光源を取り付けるための開口部を有するランプハウジングと、前記ランプハウジングが設けられる車体側のパネルと該ランプハウジングとの間に狭持されたシール部材と、前記シール部材を前記ランプハウジングの反シール部材側から押圧する押圧部材と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ランプハウジングと車体側のパネルとの間に狭持されたシール部材のシール圧は、そのシール部材をランプハウジングの反シール部材側から押圧する押圧部材と車体側のパネルとの狭持力で確保できる。したがって、フィルム状のシート部材を真空成形することで形成されるランプハウジングであっても、ランプハウジングと車体側のパネルとの間を確実にシールすることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の車両用灯具は、請求項1に記載の車両用灯具において、前記シール部材が、前記ランプハウジングと前記車体側のパネルの一般面との間に狭持され、前記押圧部材と前記車体側のパネルの一般面とが締結具によって締結されることで、該押圧部材が、前記灯室内側から前記シール部材を押圧することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、押圧部材と車体側のパネルの一般面との間の締結具の個数や締結力などにより、ランプハウジングのシール部材に対するシール圧を調整することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の車両用灯具は、請求項2に記載の車両用灯具において、前記押圧部材が、前記開口部を閉塞するカバー体と一体に構成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、車両用灯具の部品点数を低減することができる。したがって、車両用灯具の軽量化が図れる。
【0013】
また、請求項4に記載の車両用灯具は、請求項1に記載の車両用灯具において、前記シール部材が、前記開口部を構成する前記ランプハウジングの内フランジ部と、該内フランジ部に前記開口部の径方向外側から対向する前記車体側のパネルの外フランジ部との間に狭持され、前記押圧部材が、前記開口部の径方向内側から前記内フランジ部を介して前記シール部材を押圧することを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、車体側のパネルの一般面に沿って押圧部材を延在させる必要がない。したがって、押圧部材のサイズを小さくでき、車両用灯具の軽量化が図れる。また、車体側のパネルにおける剛性の高い外フランジ部でシールするため、そのシール圧を充分に確保することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の車両用灯具は、請求項4に記載の車両用灯具において、前記押圧部材が、前記開口部を閉塞するカバー体と一体に構成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、車両用灯具の部品点数を低減することができる。したがって、車両用灯具の更なる軽量化が図れる。
【0017】
また、請求項6に記載の車両用灯具は、請求項2又は請求項4に記載の車両用灯具において、前記押圧部材が、前記開口部の周方向に連続的に設けられた筒状のリテーナであり、該リテーナの筒内に、前記光源が着脱可能に取り付けられる構成とされていることを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、光源を交換する際に、リテーナを開口部から外す必要がないため、シール部材がずれるなどして、シール性が不良となるのを回避することができる。
【0019】
また、請求項7に記載の車両用灯具は、請求項2又は請求項3又は請求項6に記載の車両用灯具において、前記押圧部材に、リフレクタが固定されていることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、リフレクタの振動を抑えることができる。したがって、走行時等において、配光方向がずれたり、ランプハウジングが破損したりするのを防止することができる。
【0021】
また、請求項8に記載の車両用灯具は、請求項1に記載の車両用灯具において、前記シール部材が、前記開口部を構成する前記ランプハウジングの外フランジ部と、該外フランジ部に前記開口部の径方向内側から対向する前記車体側のパネルの内フランジ部との間に狭持され、前記押圧部材が、前記外フランジ部の径方向外側に嵌着された熱収縮樹脂材であり、加熱されることで、該外フランジ部を介して前記シール部材を押圧することを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、熱収縮樹脂材により、ランプハウジングのシール部材に対するシール圧を確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、フィルム状のシート部材を真空成形することで形成されるランプハウジングでも、車体との間に設けられたシール部材に対するシール圧を確保できる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】車両の車体後部側を示す概略斜視図
【図2】車両用灯具(リアコンビネーションランプ)を示す概略側断面図
【図3】第1実施例に係る車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【図4】第2実施例に係る車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【図5】リテーナを示す概略斜視図
【図6】第2実施例に係る別の車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【図7】第3実施例に係る車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【図8】第4実施例に係る車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【図9】第4実施例に係る別の車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【図10】第5実施例に係る車両用灯具を示す一部拡大概略側断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。図1は車両の車体後部側を示す概略斜視図であり、図2は本実施形態に係る車両用灯具(リアコンビネーションランプ20)を示す概略側断面図である。なお、各図において適宜示す矢印UPは車体上方向を示し、矢印FRは車体前方向を示す。
【0026】
まず、第1実施例について説明する。図1で示すように、車両10の車体後方側端部には、リアバンパ14が車幅方向に配置されている。そして、リアバンパ14の車体上方側で、かつ車幅方向両端部には、本実施形態に係る車両用灯具の一例としてのリアコンビネーションランプ20が左右一対で配置されている。
【0027】
このリアコンビネーションランプ20は、図2で示すように、テールランプ(ブレーキランプ)22、リアターンシグナルランプ24、バックアップランプ26が車体上下方向に並設されている。そして、テールランプ22、リアターンシグナルランプ24、バックアップランプ26は、それぞれの光を照射可能に車体後方側が開口された(以下、その部位を「開口30A」という)ランプハウジング30の車体前方側壁面(以下、「前壁面30B」という)にそれぞれ取り付けられている。
【0028】
すなわち、テールランプ22は、その光源23(例えばバルブやLED(発光ダイオード)等)が装着されたバックカバー(ソケット)28が、ランプハウジング30の前壁面30Bの上部側に形成された開口部30Cに、その光源23を車体後方へ向けた状態で、開口30A側から挿入されて取り付けられるようになっている。そして、これにより、その開口部30Cが、バックカバー28によって閉塞されるようになっている。
【0029】
リアターンシグナルランプ24とバックアップランプ26においては、各光源25、27(例えばバルブやLED(発光ダイオード)等)を装着するバックカバー(ソケット)29が一体に形成されており、各光源25、27が装着されたバックカバー29が、ランプハウジング30の前壁面30Bの下部側(開口部30Cの下方)に形成された開口部30Dに、各光源25、27を車体後方へ向けた状態で、開口30A側から挿入されて取り付けられるようになっている。そして、これにより、その開口部30Dが、バックカバー29によって閉塞されるようになっている。
【0030】
なお、各光源23、25、27のソケットであるバックカバー28、29には、ランプハウジング30の裏面側である車体前方側へ向けて電極が突設されており、この電極に電気配線(図示省略)が接続されて、テールランプ22、リアターンシグナルランプ24、バックアップランプ26の各光源23、25、27へ通電可能とされている。
【0031】
また、ランプハウジング30の車体前方側には、車体12側のパネルであるリアエンドパネル16が配設されている。つまり、リアエンドパネル16に形成された凹状の収容部16Aにランプハウジング30が、後述するスタッドボルト48及びナット49によって取り付けられる(設けられる)ようになっている。そして、そのリアエンドパネル16にも、バックカバー28、29や上記電気配線を挿通させるための開口部16C、16Dが、開口部30C、30Dと同軸的にそれ以上の直径で形成されている。
【0032】
また、このランプハウジング30は、フィルム状のシート部材(図示省略)を真空成形することによって形成されている。すなわち、厚さが略均一とされたフィルム状のシート部材を加熱し、その後、真空成形用金型(図示省略)に密着させることで、図示のような形状のランプハウジング30が形成されるようになっている。
【0033】
なお、ランプハウジング30の板厚D(図3参照)は、例えばD=0.3mm〜1.0mmとされている。ここで、板厚Dの下限を0.3mmとしているのは、板厚Dが0.3mm未満のランプハウジング30を製造するのが困難であり、板厚Dの上限を1.0mmとしているのは、板厚Dが1.0mmより大きいと、フィルム状シート部材の真空成形によってランプハウジング30を成形し難いからである。つまり、板厚Dを0.3mm〜1.0mmとすることにより、ランプハウジング30を真空成形により容易に成形できる構成である。
【0034】
また、テールランプ22、リアターンシグナルランプ24、バックアップランプ26には、各光源23、25、27からの拡散光を反射したり、後方車両のヘッドランプから照射された光を反射する反射板である凹鏡面状のリフレクタ32、34、36が、それぞれの開口32A、34A、36Aを車体後方へ向けた状態で設けられている。そして、各リフレクタ32、34、36の略中央部には、各光源23、25、27を挿通させるための挿通孔32B、34B、36Bがそれぞれ形成されている。
【0035】
また、リアターンシグナルランプ24におけるリフレクタ34の開口34Aの上端部と、テールランプ22におけるリフレクタ32の開口32Aの下端部とが一体に連結されることで遮光壁42が形成されている。同様に、リアターンシグナルランプ24におけるリフレクタ34の開口34Aの下端部と、バックアップランプ26におけるリフレクタ36の開口36Aの上端部とが一体に連結されることで遮光壁44が形成されている。
【0036】
そして、各遮光壁42、44の車体後方を向く先端部42A、44Aが、後述する多色レンズ50の裏面に非接触状態で近接して対向する構成とされている。これにより、テールランプ22、リアターンシグナルランプ24、バックアップランプ26の各灯室40が、各遮光壁42、44によって仕切られる構成である。
【0037】
また、ランプハウジング30の開口30Aを閉塞し、各リフレクタ32、34、36毎に灯室40を形成する樹脂製の多色レンズ50が単一で設けられている。この多色レンズ50は、各光源23、25、27から発せられ、各リフレクタ32、34、36により反射された光を透過させて発光させるようになっており、各灯室40別のランプ機能色に色分けされている。
【0038】
すなわち、この多色レンズ50は、ランプ機能色が裏面の所定位置に印刷された半透明(又は透明)なフィルム状のシート部材(図示省略)を、真空成形することによって形成されており、例えば上側のテールランプ22が赤色とされ、中央のリアターンシグナルランプ24と下側のバックアップランプ26が半透明色(クリア色)とされている。
【0039】
なお、リアターンシグナルランプ24は黄色(アンバー色)で発光される。そのため、中央の光源25には黄色のバルブやLED等が設定され、リアターンシグナルランプ24における多色レンズ50のレンズ色が半透明色とされていても、リアターンシグナルランプ24がランプ機能色である黄色に発光されるようになっている。
【0040】
また、ランプハウジング30とリアエンドパネル16との間には、シール部材としてのパッキン18がバックカバー28、29別に環状に配設されている。すなわち、図2、図3で示すように、ランプハウジング30の前壁面30Bとリアエンドパネル16の一般面16B(開口部16C、16Dを除き、前壁面30Bと対向する車体後方を向く壁面)との間には、弾性体で構成されたパッキン18が介在している。
【0041】
そして、バックカバー28、29と一体に構成された筒状の押圧部材46の(車体前方側先端部が断面円弧状とされた)環状押圧部46Cが、灯室40内側(ランプハウジング30の反シール部材側)から、ランプハウジング30の前壁面30Bの一部を介して、そのパッキン18を所定の圧力で押圧する構成になっている。
【0042】
より詳細に説明すると、この押圧部材46は、バックカバー28、29の径方向外側へ延在するフランジ部28A、29Aから車体後方側へ側断面視略「L」字状に一体に延設されており、そのフランジ部28A、29Aの外周縁部から車体後方側へ延在する環状連結部46Aと、その環状連結部46Aの車体後方側周縁部から径方向外側へ延在する平板状の環状平面部46Bと、その環状平面部46Bの外周縁部から車体前方側へ延在する環状押圧部46Cと、を有している。
【0043】
そして、その押圧部材46の環状平面部46Bとリアエンドパネル16の一般面16Bとが、締結具としての鍔付きのスタッドボルト48及びナット49によって、等間隔に複数箇所で締結されるようになっている。つまり、押圧部材46の環状平面部46Bにおける車体前方側(リアエンドパネル16側)には、スタッドボルト48の鍔部48Aよりも車体後方側(以下、「一端部」という)を埋設(螺合)させる取付部47が等間隔に形成されており、リアエンドパネル16の一般面16Bには、スタッドボルト48の鍔部48Aよりも車体前方側(以下、「他端部」という)を挿通させるための挿通孔が等間隔に形成されている。
【0044】
したがって、各挿通孔に車体後方側から各スタッドボルト48の他端部が挿通され、車体前方側から、各スタッドボルト48の他端部にナット49が螺合されて、そのナット49と鍔部48A(取付部47)とでリアエンドパネル16の一般面16Bを狭持することで、押圧部材46の環状押圧部46Cが、灯室40内側(ランプハウジング30の反シール部材側)から、前壁面30Bの一部を介して、パッキン18を車体前方側へ所定の圧力で相対的に押圧する構成である。
【0045】
つまり、これにより、ランプハウジング30(環状押圧部46C)とリアエンドパネル16との間で狭持したパッキン18に対するランプハウジング30のシール圧が確保される構成である。よって、押圧部材46の取付部47は、スタッドボルト48に螺合されたナット49の締結力に充分に耐え得る程度の剛性を有するように構成され、環状押圧部46Cも、ランプハウジング30の前壁面30Bの一部を介して、パッキン18を充分に押圧できる程度の剛性を有するように構成されている。
【0046】
また、各リフレクタ32、34、36の裏面(車体前方を向く壁面)には、支持突起38が車体前方側へ向かって一体に所定数突設されている。そして、各支持突起38の車体前方側端部が、押圧部材46の環状平面部46Bにおける所定位置に、図示しない取付手段によって取り付けられるようになっている。したがって、走行時等において、各リフレクタ32、34、36の振動を抑制することができる。
【0047】
つまり、各リフレクタ32、34、36における支持突起38がランプハウジング30に直接取り付けられる構成であると、走行時等において、各リフレクタ32、34、36の振動により、ランプハウジング30が変形してしまい、各リフレクタ32、34、36の配光方向がずれたり、ランプハウジング30が破損したりする懸念がある。
【0048】
しかしながら、各リフレクタ32、34、36における支持突起38が押圧部材46(環状平面部46B)に固定される構成であると、各リフレクタ32、34、36の振動を押圧部材46によって抑えることができるので、各リフレクタ32、34、36の配光方向のずれや、ランプハウジング30の破損を防止することができる。
【0049】
以上のような構成のリアコンビネーションランプ(車両用灯具)20において、次にその作用について説明する。なお、説明の便宜上、図3で示すテールランプ22を例に採って説明する。このランプハウジング30は、フィルム状のシート部材を真空成形することによって形成されている。そして、このランプハウジング30の前壁面30Bとリアエンドパネル16の一般面16Bとの間にはパッキン18が配設されている。
【0050】
すなわち、バックカバー28と一体に構成された押圧部材46の環状平面部46Bが、取付部47を介して、リアエンドパネル16の一般面16Bにスタッドボルト48及びナット49によって締結されることにより、押圧部材46の環状押圧部46Cが、ランプハウジング30の前壁面30Bの一部を介して、リアエンドパネル16の一般面16Bに沿って配設されているパッキン18を、車体前方側(リアエンドパネル16側)へ所定の圧力(スタッドボルト48に螺合されたナット49による締結力)で相対的に押圧している。
【0051】
したがって、ランプハウジング30とリアエンドパネル16とでパッキン18を狭持する狭持力を、その環状押圧部46Cによって高めることができ、パッキン18に対するランプハウジング30のシール圧を充分に確保することができる。つまり、これにより、フィルム状のシート部材を真空成形することで形成されたランプハウジング30であっても、ランプハウジング30とリアエンドパネル16との間をパッキン18によって確実にシールすることができるため、光源23の電極及び電気配線へ、水等が浸入するのを防止することができる。
【0052】
しかも、このランプハウジング30は、フィルム状のシート部材で構成されているため、環状押圧部46Cによって車体前方側へ押圧されても柔軟にその車体前方側へ伸張することができ、かつ環状押圧部46Cの車体前方側先端部は断面円弧状とされているので、そのランプハウジング30が破損するおそれもない。
【0053】
更に、このランプハウジング30は、剛性の高い押圧部材46がスタッドボルト48及びナット49によってリアエンドパネル16の一般面16Bに締結されることで、そのリアエンドパネル16に取り付けられる構成になっているため、車体12側への取り付けが容易にできるメリットもある。
【0054】
また、この第1実施例に係る押圧部材46は、バックカバー28と一体に構成されているため、部品点数の低減が図れるメリットもある。つまり、これにより、リアコンビネーションランプ20の軽量化が図れるメリットもある。
【0055】
また、この第1実施例に係るリアコンビネーションランプ20では、押圧部材46とリアエンドパネル16との間のシール圧が調整し易い構造になっている。つまり、スタッドボルト48及びナット49の個数や締結力を調整することにより、パッキン18に対するランプハウジング30のシール圧(環状押圧部46Cによる押圧力)を調整できるようになっている。なお、その締結具としては、図示のスタッドボルト48及びナット49に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0056】
次に、第2実施例について説明する。なお、上記第1実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は省略する。また、バックカバー29も同様であるため、以下においては、バックカバー28(テールランプ22)を例に採って説明する。図4で示すように、この第2実施例に係るリアコンビネーションランプ20は、押圧部材がバックカバー28と別体になっている点が、上記第1実施例と異なっている。
【0057】
すなわち、この押圧部材は、図5で示すようなリテーナ60となっており、バックカバー28(光源23)よりも先に、ランプハウジング30の前壁面30Bに形成された開口部30Cに、上記第1実施例と同様に、鍔付きのスタッドボルト48及びナット49によって取り付けられる構成になっている。そして、そのリテーナ60にバックカバー28が着脱可能に取り付けられる構成になっている。
【0058】
リテーナ60は、図5で示すように、円筒状の本体部62を有し、その本体部62の車体後方を向く周縁部には、径方向外側に向かって平板状の環状平面部64が延設されている。そして、その環状平面部64の外周縁部には、車体前方側へ向かって環状押圧部66が延設されており、その環状押圧部66の車体前方側先端部は断面円弧状とされている。また、このリテーナ60の環状平面部64には、スタッドボルト48の一端部を埋設(螺合)させるための取付部68が等間隔に複数形成されている。
【0059】
したがって、このリテーナ60は、ランプハウジング30の開口30A側から挿入されて開口部30Cに装着され(開口部30Cの周方向に連続的に設けられ)、一端部が取付部68に固定された各スタッドボルト48の他端部が、リアエンドパネル16の一般面16Bに形成された各挿通孔に挿通されて、その他端部にナット49が螺合され、そのナット49と鍔部48A(取付部68)との間に一般面16Bが狭持されることで、リアエンドパネル16に取り付けられるようになっている。
【0060】
そして、これにより、上記第1実施例と同様に、ランプハウジング30(環状押圧部66)とリアエンドパネル16との間でパッキン18を狭持できるようになっている。すなわち、環状平面部64が、取付部68を介して、リアエンドパネル16の一般面16Bにスタッドボルト48及びナット49によって締結されると、環状押圧部66が、ランプハウジング30の前壁面30Bの一部を灯室40内側(ランプハウジング30の反シール部材側)から車体前方側へ所定の圧力(スタッドボルト48に螺合されたナット49の締結力)で相対的に押圧する。
【0061】
すると、その前壁面30Bの一部が車体前方側へ伸張し、リアエンドパネル16の一般面16Bに沿って配設されているパッキン18が、その環状押圧部66によって(前壁面30Bの一部を介して)車体前方側(リアエンドパネル16側)へ向かって押圧される。これにより、ランプハウジング30のパッキン18に対するシール圧が充分に確保されるようになっている。
【0062】
一方、バックカバー28には、そのフランジ部28Aの外周縁部から車体後方へ向かって、所定高さの係合部52が延設されている。この係合部52は、軸方向(車体前後方向)に沿ったスリット(図示省略)が少なくとも1つ形成された略環状に形成されており、その係合部52の外周面における所定位置には、断面円弧状の凸部53が周方向に所定高さで形成されている。また、リテーナ60の本体部62の内周面には、凸部53が嵌合可能な所定深さの環状凹部63が周方向に形成されている(図5参照)。
【0063】
したがって、バックカバー28が、リテーナ60の本体部62内(円筒内)に車体前方側から挿入される際には、凸部53が本体部62の内周面に径方向内側へ押圧されつつ、即ち係合部52がスリットの許容範囲内で径方向内側へ撓み変形しつつ挿入される。そして、凸部53が環状凹部63に達すると、係合部52の復元力により、その凸部53が環状凹部63に嵌合され、これによって、リテーナ60に対してバックカバー28が固定される。
【0064】
なお、リテーナ60からバックカバー28を取り外すときには、凸部53が断面円弧状とされていることから、バックカバー28を車体前方側へ引き抜くだけで、簡単に環状凹部63に対する凸部53の嵌合を解除できるので、バックカバー28は容易にリテーナ60から取り外すことができる。また、この場合、リテーナ60に環状凸部(図示省略)を形成し、係合部52に凹部(図示省略)を形成しても同様であることは言うまでもない。
【0065】
また、リテーナ60に対してバックカバー28を着脱可能に固定する方法は、上記構成に限定されるものではなく、例えば図6で示すような構成としてもよい。すなわち、バックカバー28の係合部52の車体後方側端部に、径方向外側に向かって所定高さで突出する爪部51を等間隔に複数形成するとともに、リテーナ60の内周面に、その爪部51の幅よりも若干幅広で、かつ爪部51の突出高さとほぼ同じ深さとされた、軸方向(車体前後方向)に沿った凹溝(図示省略)を等間隔に複数形成してもよい。
【0066】
この場合、バックカバー28を、リテーナ60の本体部62内(円筒内)に車体前方側から挿入する際には、爪部51を凹溝に沿わせて挿入する。そして、爪部51が本体部62の内周面を越えたら、そのバックカバー28を周方向に回転させ、爪部51を凹溝の位置からずらす。これにより、爪部51が、凹溝を除く環状平面部64の径方向内側周縁部に係止されるので、リテーナ60に対してバックカバー28が固定される。
【0067】
なお、リテーナ60からバックカバー28を取り外すときには、バックカバー28を周方向に逆回転させ、爪部51を凹溝に合致させる。すると、その爪部51の環状平面部64に対する係止状態が解除されるので、そのままバックカバー28を引き出すことにより、リテーナ60から取り外すことができる。このように、リテーナ60に対するバックカバー28の固定方法は任意の構成を採用できる。
【0068】
また、この第2実施例においては、バックカバー28はリテーナ60に対して着脱可能とされているため、光源23を交換する際には、リテーナ60からバックカバー28を取り外せばよく、リテーナ60を開口部30Cから取り外す必要がない。したがって、光源23の交換作業が容易にできるとともに、パッキン18の位置がずれるなどして、そのシール性が不良となるのを回避することができる。
【0069】
次に、第3実施例について説明する。なお、上記第1実施例及び第2実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は省略する。この第3実施例に係るリアコンビネーションランプ20においては、図7で示すように、ランプハウジング30の前壁面30Bにおける開口部30Cの周縁部に、車体前方側へ向かって内フランジ部56が環状に形成されている(内フランジ部56で開口部30Cが構成されている)。
【0070】
そして、リアエンドパネル16の開口部16Cの周縁部にも、車体前方側へ向かって外フランジ部17が環状に形成されている。この外フランジ部17は、内フランジ部56に開口部30Cの径方向外側から所定間隔を隔てて対向するようになっており、後述するように、その内フランジ部56と外フランジ部17との間でパッキン18が所定の圧力で狭持されるようになっている。
【0071】
また、ランプハウジング30の内フランジ部56よりも径方向外側の所定位置には、凹むことで車体前方側へ向かって突出された半球状の凸部58が、周方向に沿って等間隔に複数形成されている。この凸部58は、リアエンドパネル16の一般面16Bに当接する構成になっており、これによって、ランプハウジング30がリアエンドパネル16の一般面16Bに対して位置決めされるようになっている。
【0072】
更に、ランプハウジング30の内フランジ部56の車体前方側端部近傍における内周面には、環状凹部57が周方向に形成されている。この環状凹部57には、バックカバー28の係合部52に形成された環状凸部54(後述)が嵌合するようになっており、これによって、バックカバー28が、ランプハウジング30に固定されるようになっている。
【0073】
なお、この環状凹部57よりも車体後方側にリアエンドパネル16の外フランジ部17の車体前方側端部が配置されるようになっており、外フランジ部17と内フランジ部56とで狭持されているパッキン18が、その環状凹部57を形成することによって径方向外側へ凸状とされた環状凸部59により、車体前方側へ突出しないように押さえられる構成になっている。
【0074】
一方、バックカバー28のフランジ部28Aの外周縁部には、車体前後方向へ延在する係合部52の軸方向(車体前後方向)における略中央部分が一体に連設されている。そして、この係合部52の略中央部分(フランジ部28Aが連設されている部位)における外径は、内フランジ部56で構成された開口部30Cの内径よりも若干大きく形成され、その略中央部分よりも車体後方側の外周面は、開口部30Cへの挿入がし易いように、その外径を小さくするようなテーパー面52Aとされている。
【0075】
また、バックカバー28の係合部52のフランジ部28Aとの連設部位(略中央部分)よりも車体前方側には、径方向外側に向かって突出する環状凸部54が周方向に形成されている。したがって、ランプハウジング30にバックカバー28を取り付ける際には、内フランジ部56の内周面に係合部52の外周面(テーパー面52A)を摺接させつつ、バックカバー28を開口部30Cに車体前方側から挿入する。
【0076】
すると、内フランジ部56に形成された環状凹部57に、係合部52に形成された環状凸部54が嵌合し、ランプハウジング30にバックカバー28が取り付けられる。なお、ランプハウジング30からバックカバー28を取り外すときには、バックカバー28を車体前方側へ引き抜くことにより、環状凸部54が環状凹部57から外れるので、容易に取り外すことができる。つまり、これにより、光源23の交換等が容易にできる構成である。
【0077】
また、バックカバー28のフランジ部28Aの径方向外側への延在方向に、リアエンドパネル16の外フランジ部17が配置され、その外フランジ部17と内フランジ部56との間にパッキン18が配置されている。したがって、パッキン18は、内フランジ部56と外フランジ部17との間に所定の圧力(係合部52が内フランジ部56を径方向外側へ押圧する押圧力)で狭持される構成である。
【0078】
つまり、係合部52の略中央部分(フランジ部28Aが連設されている部位)の外径は、ランプハウジング30の内フランジ部56で構成された開口部30Cの内径よりも若干大きく形成され、かつリアエンドパネル16の外フランジ部17の剛性は高いことから、バックカバー28の係合部52が内フランジ部56を径方向内側から所定の圧力で押圧することにより、内フランジ部56と外フランジ部17とで狭持されているパッキン18に対する狭持力を高めることができる。
【0079】
このように、この第3実施例においては、バックカバー28の係合部52が押圧部材を構成するようになっており、この係合部52(押圧部材)により、開口部30Cの径方向内側(ランプハウジング30の反シール部材側)から内フランジ部56を介してパッキン18を押圧することにより、ランプハウジング30とリアエンドパネル16との間のシール圧が充分に確保されるようになっている。
【0080】
よって、各リフレクタ32、34、36における支持突起38の車体前方側端部は、パッキン18を狭持しているランプハウジング30の内フランジ部56近傍(凸部58よりも径方向内側)に取り付けられている。つまり、リアエンドパネル16の外フランジ部17とバックカバー28の係合部52との間は、上記構成により剛性が高くなるため、その部分に支持突起38の車体前方側端部を取り付けることにより、各リフレクタ32、34、36の振動を抑制することができる。
【0081】
また、この第3実施例においては、バックカバー28の係合部52が押圧部材となって、開口部30Cの径方向内側から径方向外側へ向かって押圧するため、上記第1実施例及び第2実施例のようにリアエンドパネル16の一般面16Bに沿うような環状平面部46B、64を延在させる必要がない。
【0082】
したがって、押圧部材のサイズを小さくすることができ、リアコンビネーションランプ20の軽量化を図ることができる。また、その押圧部材としての係合部52は、バックカバー28と一体に構成されているため、リアコンビネーションランプ20の部品点数を低減することができる。つまり、これにより、リアコンビネーションランプ20自体の更なる軽量化が可能となっている。
【0083】
次に、第4実施例について説明する。なお、上記第1実施例〜第3実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は省略する。図8で示すように、この第4実施例に係るリアコンビネーションランプ20は、押圧部材がバックカバー28と別体になっている点が、上記第3実施例と異なっている。
【0084】
すなわち、この押圧部材は、上記第2実施例と同様なリテーナ70であり、バックカバー28(光源23)よりも先に、ランプハウジング30の前壁面30Bに形成された開口部30Cに、上記第3実施例と同様の凹凸嵌合によって取り付けられる構成になっている。そして、そのリテーナ70にバックカバー28が着脱可能に取り付けられる構成になっている。
【0085】
この第4実施例に係るリテーナ70は、外径が開口部30Cの内径よりも若干大きく形成された円筒状の本体部72を有しており、その本体部72の車体後方側における外周面は、開口部30Cへの挿入がし易いように、その外径を小さくするようなテーパー面72Aとされている。
【0086】
また、本体部72の車体前方側端部近傍の外周面には、径方向外側に向かって突出する環状凸部74が周方向に形成されている。そして、その本体部72の内周面における略中央部分には、バックカバー28の係合部52に形成された凸部53が嵌合可能な環状凹部76が周方向に形成されている。
【0087】
したがって、このリテーナ70をランプハウジング30に取り付ける際には、内フランジ部56の内周面に本体部72の外周面(テーパー面72A)を摺接させつつ、リテーナ70を開口部30Cに車体前方側から挿入する。すると、内フランジ部56に形成された環状凹部57に、本体部72に形成された環状凸部74が嵌合し、ランプハウジング30にリテーナ70が取り付けられる。
【0088】
そして、これにより、ランプハウジング30(リテーナ70)とリアエンドパネル16との間でパッキン18を狭持できるようになっている。すなわち、リテーナ70の本体部72の外径は、ランプハウジング30の内フランジ部56で構成された開口部30Cの内径よりも若干大きく形成され、かつリアエンドパネル16の外フランジ部17の剛性は高い。
【0089】
したがって、リテーナ70は、内フランジ部56を径方向内側(ランプハウジング30の反シール部材側)から所定の圧力で押圧することになり、これによって、内フランジ部56と外フランジ部17とで狭持されているパッキン18に対する狭持力が高められる(ランプハウジング30とリアエンドパネル16との間のシール圧が充分に確保される)ようになっている。
【0090】
一方、バックカバー28には、そのフランジ部28Aの外周縁部から車体後方へ向かって、所定高さの係合部52が延設されている。この係合部52は、軸方向(車体前後方向)に沿ったスリット(図示省略)が少なくとも1つ形成された略環状に形成されており、その係合部52の外周面における所定位置には、環状凹部76に嵌合可能な凸部53が周方向に所定高さで形成されている。
【0091】
したがって、バックカバー28が、リテーナ70の本体部72内(円筒内)に車体前方側から挿入される際には、凸部53が本体部72の内周面に径方向内側へ押圧されつつ、即ち係合部52がスリットの許容範囲内で径方向内側へ撓み変形しつつ挿入される。そして、凸部53が環状凹部76に達すると、係合部52の復元力により、その凸部53が環状凹部76に嵌合され、これによって、リテーナ70に対してバックカバー28が固定される。
【0092】
なお、リテーナ70からバックカバー28を取り外すときには、上記第2実施例と同様に、バックカバー28を車体前方側へ引き抜くだけで、簡単に環状凹部76に対する凸部53の嵌合を解除できるので、バックカバー28は容易にリテーナ70から取り外すことができる。また、この場合、リテーナ70に環状凸部(図示省略)を形成し、係合部52に凹部(図示省略)を形成しても同様であることは言うまでもない。
【0093】
また、この第4実施例においても、バックカバー28はリテーナ70に対して着脱可能とされているため、光源23を交換する際には、リテーナ70からバックカバー28を取り外せばよく、リテーナ70を開口部30Cから取り外す必要がない。したがって、光源23の交換作業が容易にできるとともに、パッキン18の位置がずれるなどして、そのシール性が不良となるのを回避することができる。
【0094】
また、この第4実施例では、各リフレクタ32、34、36における支持突起38の車体前方側端部を、ランプハウジング30の内フランジ部56近傍(凸部58よりも径方向内側)に取り付けるのではなく、リテーナ70に取り付ける構成としてもよい(図示省略)。リテーナ70は高剛性な部材であるため、支持突起38の車体前方側端部を取り付けることにより、各リフレクタ32、34、36の振動を抑制することができる。
【0095】
また、この第4実施例の場合は、例えば図9で示すように、リテーナ70を車体12側(トランクルーム内)のトリムキャップ80と一体に構成することが可能となる。すなわち、このトリムキャップ80は、トランクルームトリム84に形成された開口部84Aを閉塞可能に構成されており、その外周縁部には、開口部84Aの周縁部に嵌合係止される係止爪82が形成されている。そして、このトリムキャップ80の車体後方を向く壁面に、リテーナ70が一体に突設されている。
【0096】
このような構成とした場合には、バックカバー28はリテーナ70に先に取り付けられ、その後、バックカバー28が取り付けられたリテーナ70がランプハウジング30の開口部30Cに取り付けられる。つまり、バックカバー28が取り付けられたトリムキャップ80がトランクルームトリム84の開口部84Aに取り付けられる。したがって、この場合は、車体12側の部品点数を低減できるメリットがある。
【0097】
次に、第5実施例について説明する。なお、上記第1実施例〜第4実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は省略する。この第5実施例に係るリアコンビネーションランプ20においては、図10で示すように、ランプハウジング30の前壁面30Bにおける開口部30Cの周縁部に、車体前方側へ向かって外フランジ部55が環状に形成されている。
【0098】
そして、リアエンドパネル16の開口部16Cの周縁部には、車体後方側へ向かって内フランジ部19が環状に形成されている。この内フランジ部19は、外フランジ部55に開口部30Cの径方向内側から所定間隔を隔てて対向するようになっており、後述するように、その内フランジ部19と外フランジ部55との間でパッキン18が所定の圧力で狭持されるようになっている。なお、内フランジ部19の車体後方側端部19Aは、径方向外側へ屈曲され、パッキン18が車体後方側へ突出しないように押さえられる構成になっている。
【0099】
また、ランプハウジング30の外フランジ部55よりも径方向外側には、熱収縮樹脂材で構成された押圧部材としての樹脂リング78が嵌着されている。この樹脂リング78は、加熱されることで径方向内側へ収縮し、後述するように、外フランジ部55を介してパッキン18を径方向外側(ランプハウジング30の反シール部材側)から押圧できるようになっている。
【0100】
一方、バックカバー28のフランジ部28Aの車体後方を向く壁面における所定位置(外周縁部近傍)には、車体後方向へ延在する係合部52が環状に形成されている。つまり、係合部52の外周面よりも径方向外側へ、フランジ部28Aの外周縁部28Bが突出する構成とされている。
【0101】
また、この第5実施例の場合は、ランプハウジング30の外フランジ部55の径方向内側にリアエンドパネル16の内フランジ部19が配置されているので、ランプハウジング30の開口部30Cにバックカバー28を取り付けるのではなく、リアエンドパネル16の開口部16Cにバックカバー28を取り付ける構成になっている。
【0102】
したがって、この係合部52の車体後方側における外周面は、開口部16Cへの挿入がし易いように、その外径を小さくするようなテーパー面52Aとされている。そして、係合部52の車体前方側(フランジ部28A側)における外周面の外径は、内フランジ部19の内径より若干大きく形成されている。
【0103】
よって、バックカバー28をリアエンドパネル16の開口部16Cに取り付ける際には、内フランジ部19の内周面に係合部52の外周面(テーパー面52A)を摺接させつつ、バックカバー28を開口部16Cに車体前方側から挿入する。そして、その内フランジ部19近傍の車体前方を向く壁面19Bに、フランジ部28Aの係合部52よりも径方向外側の外周縁部28Bを当接させる。これにより、リアエンドパネル16の内フランジ部19は、係合部52により、径方向内側から径方向外側へ向けて押圧される構成である。
【0104】
その後、樹脂リング78を所定の温度で加熱する。これにより、樹脂リング78が、その径方向内側へ収縮するので、外フランジ部55を介してパッキン18が径方向内側へ押圧される。つまり、これにより、パッキン18は、リアエンドパネル16の内フランジ部19と、ランプハウジング30の外フランジ部55との間に所定の圧力で狭持され、ランプハウジング30とリアエンドパネル16との間のシール性が確保される。
【0105】
このように、この第5実施例においては、加熱されることで収縮する樹脂リング78によって、外フランジ部55と内フランジ部19とで狭持されているパッキン18に対する狭持力を高めることができる(シール圧を充分に確保することができる)。したがって、リテーナ60、70を設ける構成よりも、リアコンビネーションランプ20の軽量化が図れるメリットがある。
【0106】
また、この第5実施例においては、各リフレクタ32、34、36における支持突起38の車体前方側端部は、剛性の高いリアエンドパネル16の内フランジ部19に取り付けることができる。したがって、この第5実施例の構成でも、上記第1実施例〜第4実施例と同様に、各リフレクタ32、34、36の振動を抑制することができる。
【0107】
以上、本実施形態に係る車両用灯具をリアコンビネーションランプ20に適用した場合について説明したが、本実施形態に係る車両用灯具は、図示の各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、車両10に配設されるヘッドランプやフォグランプ等にも、本発明を適用することが可能である。
【0108】
また、例えば図2で示した実施例では、リアターンシグナルランプ24とバックアップランプ26における多色レンズ50のレンズ色を共に半透明色とし、ランプ機能色の違いは、光源25の色を変えることで対応した。すなわち、リアターンシグナルランプ24の光源25は黄色のバルブやLED等で構成し、バックアップランプ26の光源27は白色のバルブやLED等で構成した。
【0109】
しかしながら、リアターンシグナルランプ24とバックアップランプ26のランプ機能色の違いは、多色レンズ50のレンズ色の違いによって対応する構成にしてもよい。すなわち、リアターンシグナルランプ24のレンズ色を黄色とし、バックアップランプ26のレンズ色を半透明色としてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 車両
12 車体
16 リアエンドパネル(車体側のパネル)
17 外フランジ部
18 パッキン(シール部材)
19 内フランジ部
20 リアコンビネーションランプ(車両用灯具)
22 テールランプ
23 光源
24 リアターンシグナルランプ
25 光源
26 バックアップランプ
27 光源
28 バックカバー(カバー体)
29 バックカバー(カバー体)
30 ランプハウジング
30A 開口
30B 前壁面
30C 開口部
30D 開口部
32 リフレクタ
34 リフレクタ
36 リフレクタ
38 支持突起
40 灯室
46 押圧部材
48 スタッドボルト(締結具)
49 ナット(締結具)
50 多色レンズ
52 係合部
55 外フランジ部
56 内フランジ部
60 リテーナ(押圧部材)
70 リテーナ(押圧部材)
78 樹脂リング(押圧部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状のシート部材を真空成形することによって形成され、光源を収容する灯室を構成するとともに、該光源を取り付けるための開口部を有するランプハウジングと、
前記ランプハウジングが設けられる車体側のパネルと該ランプハウジングとの間に狭持されたシール部材と、
前記シール部材を前記ランプハウジングの反シール部材側から押圧する押圧部材と、
を備えたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記シール部材は、前記ランプハウジングと前記車体側のパネルの一般面との間に狭持され、
前記押圧部材と前記車体側のパネルの一般面とが締結具によって締結されることで、該押圧部材が、前記灯室内側から前記シール部材を押圧することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記開口部を閉塞するカバー体と一体に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記シール部材は、前記開口部を構成する前記ランプハウジングの内フランジ部と、該内フランジ部に前記開口部の径方向外側から対向する前記車体側のパネルの外フランジ部との間に狭持され、
前記押圧部材は、前記開口部の径方向内側から前記内フランジ部を介して前記シール部材を押圧することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記開口部を閉塞するカバー体と一体に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記開口部の周方向に連続的に設けられた筒状のリテーナであり、該リテーナの筒内に、前記光源が着脱可能に取り付けられる構成とされていることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記押圧部材に、リフレクタが固定されていることを特徴とする請求項2又は請求項3又は請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記シール部材は、前記開口部を構成する前記ランプハウジングの外フランジ部と、該外フランジ部に前記開口部の径方向内側から対向する前記車体側のパネルの内フランジ部との間に狭持され、
前記押圧部材は、前記外フランジ部の径方向外側に嵌着された熱収縮樹脂材であり、加熱されることで、該外フランジ部を介して前記シール部材を押圧することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−257892(P2010−257892A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109503(P2009−109503)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】