説明

車両用灯具

【課題】光源であるLEDからの発光を効率良く利用する固定構造を備えた車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源であるLED21と光学部材(52等)を備えた光源ユニット50(60)がヒートシンク10に取着され、給電基板22にLED21を搭載したLEDモジュール20が、アタッチメント30を介してヒートシンク10の基板載置面13aに押圧固定された車両用灯具1で、基板載置面13aの周りに給電基板22外側縁に当接する複数の位置決め用突起14を設け、突起14付根の少なくとも基板載置面13aに臨む側に突起14の外周面14xに沿って延びる凹溝102を設けた。突起14外周面14xと凹溝102の側面102aが連続し、給電基板22外側縁に当接する突起14外周面14xは、基板載置面13aに対し略直交し、給電基板22の側縁角部22aが突起14外周面14xに確実に当接して正確な位置決めができ、かつ給電基板22の底面が基板載置面13aに確実に密着して、ヒートシンク10への伝熱効率も優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、少なくとも光源であるLEDと前記光源光を所定方向に反射するリフレクタとを備えた光源ユニットがヒートシンクに取着されて灯室内に収容された車両用灯具に係り、特に、LEDチップを搭載した給電基板がヒートシンク所定位置にアタッチメントを介して取着された車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDを光源とする車両用前照灯の開発が盛んに行われている。この種の前照灯は、光源であるLEDおよびLEDの発光を所定方向に制御する光学部材(リフレクタや投影レンズ等)からなる光源ユニットが、その支持部材であるヒートシンクに取着一体化されて灯室内に収容されている。
【0003】
前記LEDは、一般には、LEDチップを搭載した給電基板(以下、LEDモジュールという)として構成されるが、LEDチップの発光効率を長期間安定して維持するためには、LEDモジュール(の給電基板)がヒートシンクに密着した形態に取着されて、ヒートシンクへの伝熱(ヒートシンクを介しての放熱)の確保が望まれる。また、車両用前照灯(光源ユニット)において適正な配光が形成されるためには、LEDモジュールがヒートシンク所定位置に正確に位置決めされていることが望まれる。
【0004】
下記特許文献1では、LEDモジュールの上方から、その中央部に開口部を備えた枠状平板アタッチメントを被せて、LEDチップの周りをアタッチメントで囲った状態で、該アタッチメントをヒートシンクにねじ止めすることで、LEDモジュールは、ヒートシンク所定位置に位置決めされて密着した形態に取着される。
【0005】
また、下記特許文献2では、LEDモジュールは、ヒートシンクに設けた台座のモジュール載置面にねじ固定されているが、モジュール載置面を取り囲むように突設した複数のピンによって正確に位置決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−153080号公報(段落番号0006、0010、図2)
【特許文献2】特開2010−20917号公報(段落番号0013、0018、図3,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、LEDモジュールと該モジュールを囲む枠状平板アタッチメント間には、僅かではあるが隙があるため、LEDモジュールの正確な位置決めには限界がある。
【0008】
また、モジュール載置面を取り囲むように突設したピンによってLEDモジュールを位置決めするという構造(特許文献2)では、理論的には確かに正確な位置決めが可能である。しかし、ピンを突設したモジュール載置面をもつヒートシンクはアルミニウムやマグネシウム等の金属のダイキャスト製品やプレス加工品で構成されているため、図10に拡大して示すように、ピン4の付け根(基端部)にはR部4aが形成されている。即ち、ピン4は、その付け根(基端部)においてモジュール載置面2からR部4aを介して上方に立ち上がっている。
【0009】
このため、矩形状断面に形成されている給電基板6の周縁角部6aがピン4の付け根(基端部)のR部4aと干渉して、正確な位置決めができない。
【0010】
特に、給電基板6の周縁角部6aがピン付け根(基端部)のR部4aに乗り上げた形態では、給電基板6がモジュール載置面2に密着できず、モジュール載置面2側への十分な伝熱ができない(伝熱効率が悪い)という問題もある。
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、LEDモジュールをヒートシンクの基板載置面に正確に位置決めして固定することで、光源であるLEDの発光により適正な配光が形成できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用灯具においては、少なくとも光源であるLEDと前記光源光を所定方向に配光制御する光学部材を備えた光源ユニットがヒートシンクに取着されて灯室内に収容された車両用灯具において、
前記LEDは給電基板にLEDチップを搭載したLEDモジュールで構成され、
前記LEDモジュールは、該LEDモジュールよりも一回り大きい枠形状のアタッチメントを介して、前記ヒートシンクの所定位置に設けられた基板載置面に密着するように押圧固定された車両用灯具であって、
前記基板載置面の周りに、前記LEDモジュールの給電基板外側縁に当接する複数の位置決め用突起を設けるとともに、
前記突起付根の少なくとも前記基板載置面に臨む側に、該突起の外周面に沿って延びる凹溝を設けるように構成した。
【0013】
(作用)位置決め用突起の基板載置面に臨む側の外周面が凹溝の側面として基板載置面よりも下方まで延びているため、即ち、位置決め用突起の外周面が凹溝の側面に連続するので、給電基板外側縁に当接する位置決め用突起の外周面は、図8に示すように、基板載置面を越えた位置まで基板載置面に対し略直交する形態となる。
【0014】
このため、LEDモジュールは、断面矩形状の給電基板外側縁の角部が位置決め用突起の外周面(基板載置面に略直交する外周面)に確実に当接して位置決めされるので、基板載置面に対しLEDモジュールを正確に位置決めできるとともに、給電基板の底面が基板載置面に確実に密着するので、光源であるLEDモジュールで発生する熱のヒートシンクへの伝熱効率も優れる。
【0015】
なお、給電基板と基板載置面との接触面積が凹溝の面積相当減少して、ヒートシンクへの伝熱効率が低下するおそれがあるが、凹溝は基板載置面の周縁側に設けられており、しかも、LEDモジュールでは、LEDチップが搭載されている給電基板の中央部付近での発熱量が多いものの、その周縁側では発熱量が少ないので、ヒートシンクへの伝熱効率の低下は非常に僅かである。即ち、伝熱効率低下の影響は、発熱量が少ない給電基板の周縁側に対応する基板載置面周縁側だけに限られるので、基板載置面全体としての伝熱効率の低下は僅かで、光源であるLEDモジュールで発生する熱のヒートシンクへの伝熱効率への影響はほとんどない。
【0016】
請求項2においては、請求項1に記載の車両用灯具において、前記給電基板と前記基板載置面間に伝熱グリスを装填するとともに、前記凹溝を、前記LEDモジュールを前記基板載置面に押圧固定する際の余剰グリスを溜めるグリス溜めとして機能するように構成した。
【0017】
(作用)基板載置面にLEDモジュールを取着するには、まず、伝熱グリス(ゲル状)を基板載置面に供給し、次にLEDモジュールを基板載置面に載せ、最後に、LEDモジュールを覆うようにアタッチメントをヒートシンクに固定することで、LEDモジュールを基板載置面に押圧固定する。
【0018】
基板載置面略中央部に供給された伝熱グリスは、アタッチメントを介してLEDモジュールを基板載置面に押圧固定する際に、基板載置面に沿って外方に押し拡げられることで、給電基板が薄膜状の伝熱グリス層を介して基板載置面に密着した形態となる。
【0019】
即ち、給電基板と基板載置面間に装填されている伝熱グリスは、給電基板の基板載置面との密着性を高めて、LEDモジュール側に発生した熱の基板載置面側への伝達を促進するので、光源であるLEDモジュールで発生する熱のヒートシンクへの伝熱効率が高められる。
【0020】
なお、給電基板と基板載置面間に装填された伝熱グリスの余剰分(以下、余剰グリスという)は、LEDモジュールを基板載置面に押圧固定する際に、給電基板の外方に溢れ出ることなくグリス溜めに導かれて、ここに溜まった状態に保持されるので、LEDモジュール周辺領域に余剰グリスが付着して汚れやLEDモジュール通電路短絡の原因となることもない。
【0021】
請求項3においては、請求項1または請求項2に記載の車両用灯具において、前記給電基板を平面視矩形状に形成し、前記位置決め用突起を前記給電基板の外形に整合する平面視矩形状の前記基板載置面の四隅に設けるように構成した。
(作用) LEDモジュールでは、給電基板に搭載した非常に小さいLEDチップが発光部であり、二次元方向のみならず周方向にその位置が僅かにずれただけでも、光源ユニットによって形成される配光が異なってくるので、LEDモジュールは基板載置面に対し二次元方向にも周方向にも位置決めできることが望ましい。
【0022】
そして、給電基板は、平面視矩形状に構成されることが一般的であり、平面視矩形状の基板載置面のできるだけ互いに離間する位置である四隅近傍に位置決め突起を設け、給電基板の四隅近傍をそれぞれ位置決め用突起に当接させることで、LEDモジュールの基板載置面に対する位置決め精度が高められている。
【0023】
また、給電基板と基板載置面との接触面積が凹溝(グリス溜め)の面積相当減少して、ヒートシンクへの伝熱効率が低下するおそれがあるが、凹溝(グリス溜め)は平面視矩形状の基板載置面の四隅近傍に設けられており、しかも、LEDモジュールでは、LEDチップが搭載されている平面視矩形状の給電基板の中央部付近での発熱量が多いものの、その四隅側では発熱量が少ない。即ち、伝熱効率低下の影響は、発熱量が少ない給電基板の四隅側に対応する基板載置面の四隅側だけに限られるので、基板載置面全体としての伝熱効率の低下は僅かで、光源であるLEDモジュールで発生する熱のヒートシンクへの伝熱効率への影響はほとんどない。
【0024】
即ち、LEDモジュールでは、LEDチップが搭載されている平面視矩形状の給電基板の中央部ほど発熱量が多く、その周縁部近傍ほど少なく、特に給電基板の四隅近傍では発熱量が最も少ない。そこで、請求項3では、給電基板全体を伝熱グリスを介して基板載置面に密着させることで、LEDモジュールから基板載置面側への伝熱作用を確保するとともに、発熱量が最も少ないため伝熱作用が妨げられたとしても給電基板から基板載置面全体への総伝熱量としてはほとんど影響がない、基板載置面の四隅近傍に凹溝(グリス溜め)を設けるようにしたものである。
【0025】
請求項4においては、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具において、前記位置決め用突起先端部の少なくとも前記基板載置面に臨む側に、前記LEDモジュールを前記基板載置面に案内するテーパ部を形成するように構成した。
(作用) LEDモジュールを基板載置面に載置するには、基板載置面の上方位置から、LEDモジュールを平行に保持したまま、複数の位置決め用突起で囲まれた領域に係合するように下降させて基板載置面に載置するが、位置決め用突起の先端部で囲まれた面積(大きさ)は、位置決め用突起先端部にテーパ部が形成されている分、基板載置面の面積(大きさ)よりも1回り大きくなって、LEDモジュールを位置決め用突起の先端部で囲まれた領域に係合させ易い。なお、LEDモジュール(の給電基板)を下降させる際、給電基板の側縁部が位置決め用突起先端部のテーパ部に沿って滑動できるので、LEDモジュール(の給電基板)の基板載置面への載置作業がスムーズとなる。
【0026】
請求項5においては、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具において、前記光学部材は、前記光源光を所定方向に反射するリフレクタを含み、前記リフレクタは、直接又は他の部材を介して前記ヒートシンクに固定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具。
【0027】
(作用)LEDモジュールはヒートシンクに固定され、リフレクタは直接又は他の部材を介してヒートシンクに固定されているので、光源(LEDチップ)とリフレクタが同一部材(ヒートシンク)に固定されて、光源(LEDチップ)とリフレクタの相対位置精度が良好となる。
【発明の効果】
【0028】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明によれば、LEDモジュールがヒートシンクの基板載置面に正確に位置決めされかつ確実に密着した形態に取着されるので、光源であるLEDにより適正な配光が長期にわたり得られる車両用前照灯を提供できる。
【0029】
請求項2に係る発明によれば、LEDモジュール周辺領域に余剰グリスが付着しない、光源であるLEDによる適正な配光がいっそう長期にわたり得られる車両用前照灯を提供できる。
【0030】
請求項3に係る発明によれば、LEDモジュールを基板載置面に二次元方向にも周方向にも確実に位置決めできるとともに、光源であるLEDによるより適正な配光が長期にわたり得られる車両用前照灯を提供できる。
【0031】
請求項4に係る発明によれば、LEDモジュールの基板載置面への載置作業をスムーズに遂行できるので、LEDモジュールの取着工程に要す時間を短縮できる。
【0032】
請求項5に係る発明によれば、光源(LEDチップ)とリフレクタの相対位置精度が良い分、光源(LEDチップ)からの発光はリフレクタを介して精度良く反射されるので、車両前方に高精度の配光パターンを形成することができ、車両用灯具の配光性能が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施例に係る自動車用前照灯の縦断面図。
【図2】光源ユニットをヒートシンクに取着した状態の縦断面図。
【図3】本実施例に係るLEDモジュールの固定構造を示す分解斜視図。
【図4】本実施例に係るLEDモジュールの固定構造を示す平面図。
【図5】本実施例に係るLEDモジュールの固定構造を示す縦断面図(図4示す線V−Vに沿う断面図)。
【図6】基板載置面周辺の拡大平面図。
【図7】基板載置面周辺の拡大斜視図。
【図8】LEDモジュール位置決め用突起および余剰グリス溜めである凹溝の拡大縦断面図(図6に示す線VIII−VIIIに沿う断面図)。
【図9】アタッチメント位置決め用突起の拡大縦断面図(図6に示す線IX−IXに沿う断面図)。
【図10】従来のLEDモジュール位置決めピンの拡大縦断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0035】
図1〜図9は、本発明を車両用前照灯に適用した実施例を示し、車両用前照灯1は、特に図1及び図2に示すように、ランプボディ2とその前端開口部に取り付けられた前面カバー(アウターレンズ)4とによって形成される灯室S内に、後述するLEDを光源とする投射型の光源ユニット50と反射型(パラボラ型)の光源ユニット60が収容されている。投射型光源ユニット50と反射型光源ユニット60は、後述するヒートシンク10の正面側に上下に取着一体化される構造になっており、投射型光源ユニット50の鉛直下側に反射型光源ユニット60が略接するように配置され、各光源ユニット50,60の照射パターンが合成されて所定の精巧なロービーム用配光パターンが形成される。
【0036】
また、光源ユニット50,60が取着一体化されているヒートシンク10は、正面視矩形フレーム状のアルミダイカスト製ランプハウジング6に対し水平方向に回転可能に支承されており、ランプハウジング6の下面壁にジョイントアッシー8を介して設けられたスイブルモータMによって、スイブル軸Lz周りにスイブル(揺動)できるようになっている。
【0037】
以下、各構成を詳細に説明する。
【0038】
光源であるLED(半導体発光素子)は、具体的には、図3〜5、7に示すように、放熱性の良い平面視矩形状の伝熱性絶縁給電基板(例えば、セラミックス)22上中央部にLEDチップ21が接着剤25によって接着されて搭載された、白色光を出射するLEDモジュール20であり、給電基板22の上面の長手方向両側にはカソード及びアノード用の給電部24が形成されている。
【0039】
光源ユニット50,60が取着(固定)されるヒートシンク10は、アルミを主成分とした正面視矩形状のアルミダイカストであり、図2に示すように、光源ユニット50,60をねじ固定するための鉛直パネル部11と、投射型光源ユニット50の光源となるLEDモジュール20が固定される上段部12aと、反射型光源ユニット60の光源となるLEDモジュール20が固定される下段部12bとを備えている。鉛直パネル部11の正面側所定位置(投射型光源ユニット50を鉛直パネル部11に固定することを妨げない位置)と鉛直パネル部11の背面側全体には、光源ユニット50,60の放熱を促すための放熱フィン18が一体に成形されている。また、ヒートシンク10の上方には、前記スイブル軸Lzを通り光源ユニット50,60を揺動させるためのシャフト7が取着されている。
【0040】
また、上段部12a・下段部12b間の鉛直パネル部11の略中央部には、投射型光源ユニット50をヒートシンク10にねじ固定するためのねじ挿通孔11aが、一方、下段部12bより下方の鉛直パネル部11の略中央部には、反射型光源ユニット60をヒートシンク10にねじ固定するためのねじ挿通孔11bが設けられている。
【0041】
そして、ヒートシンク10の上段部12aの上面12aの車両幅方向(左右方向)中央部には、投射型光源ユニット50用のLEDモジュール20の基板載置部である光源用台座13が一体に形成されており、この光源用台座13周囲の上面12aが、後述するアタッチメント30のヒートシンク10への取付面35と当接する面(アタッチメント取付面15)となる(図3,5参照)。
【0042】
また、アタッチメント取付面15の所定位置には、アタッチメント30に設けられた位置決め孔33cと係合するアタッチメント位置決め用突起16と、アタッチメントの固定部材であるアタッチメント取付ねじ70を螺合するためのアタッチメント取付用ねじ孔17が隣接して設けられている。また、上段部12aの所定位置には、アタッチメント30のソケット部31を収容するための凹部12aが設けられている。
【0043】
一方、ヒートシンク10の下段部12bの下面12bの車両幅方向中央部には、上段部12aと同様に、反射型光源ユニット60用のLEDモジュール20を設置するための光源用台座13、アタッチメント位置決め用突起16、アタッチメント取付用ねじ孔17が、下段部12b所定位置にはアタッチメント30のソケット部31を収容するための凹部12bが、車両幅方向(左右方向)を基準として10°傾けた形態で設けられている。
【0044】
基板載置部である光源用台座13は、図3〜図8に示すように、LEDモジュール20の給電基板22よりも一回り大きい矩形台であって、その上面には、四隅に設けられたLED位置決め用突起14によって、LEDモジュール20の給電基板22の外形に整合する平面視矩形状の基板載置面13aが規定されており、この基板載置面13aにLEDモジュール20が載置される。
【0045】
基板載置面13aを取り囲む略四隅に設けられたLED位置決め用突起14は、LEDモジュール20の給電基板22を基板載置面13aに精度良く載置するために、給電基板22を前後左右方向に位置決めする合計8個の突起で構成されている。
【0046】
具体的には、LED位置決め用突起14は、いずれも水平断面楕円形状で、楕円の長径方向が前後方向に一致する突起14aで給電基板22の前後方向を、楕円の長径方向が左右方向に一致する突起14bで給電基板22の左右方向(長手方向)を位置決めするとともに、全8個の突起14が協働して給電基板22を周方向にも位置決めする(図3、4、6、7参照)。
【0047】
基板載置面13aを規定するLED位置決め用突起14は、平面視矩形状の基板載置面13aのできるだけ互いに離間する位置である四隅近傍に設けられて、給電基板22の四隅が位置決めされることで、LEDモジュール20の基板載置面13aに対する位置決め精度が高められている。
【0048】
また、LED位置決め用突起14a、14bの給電基板22側縁部との当接部は、突起の水平断面楕円の長径方向端面で構成されており、平面視矩形状の給電基板22の四隅近傍の全8箇所が突起14a、14bの付け根位置の外周面と当接することで、LEDモジュール20の給電基板22を突起14で規定された所定の基板載置面13aに精度良く載置することができる。
【0049】
また、LEDモジュール20の給電基板22と基板載置面13a間には、図8に示すように、給電基板22の基板載置面13aとの密着性を高めるための伝熱グリス100が装填されているが、LED位置決め用突起14付根の基板載置面13aに臨む側には、余剰グリス溜めとして機能する凹溝102が突起14の外周面に沿って延びている。
【0050】
即ち、凹溝102は、基板載置面13a四隅の突起14a、14bの付け根にまたがって形成されており、LEDモジュール20が後述するアタッチメント30を介して基板載置面13aに押圧固定される際に、給電基板22と基板載置面13a間から押し出された伝熱グリス100の余剰分がこの凹溝102に溜まる。
【0051】
また、突起14の外周面に沿って凹溝102が設けられることで、位置決め用突起14の基板載置面13aに臨む側の外周面14xは、図8に示すように、凹溝102の側面102aとして基板載置面13aよりも下方まで延びて、凹溝102の側面102aを構成している。即ち、給電基板22の外側縁に当接する位置決め用突起14の外周面14xは、凹溝102の側面102aに連続して、基板載置面13aに対し略直交する形態となる。
【0052】
このため、LEDモジュール20は、断面矩形状の給電基板22外側縁の角部22aが位置決め用突起14の外周面(基板載置面13aと交差して延びる外周面)14xに確実に当接して位置決めされるので、基板載置面13aに対しLEDモジュール20を正確に位置決めできるとともに、給電基板22の底面が基板載置面13aに確実に密着する。
【0053】
なお、凹溝102を設けることで、給電基板22と基板載置面13aとの接触面積が凹溝102の面積相当減少して、ヒートシンク10への伝熱効率が低下するおそれがあるが、凹溝102は基板載置面13aの四隅に設けられており、しかも、LEDモジュール20では、LEDチップ21が搭載されている給電基板22の中央部付近での発熱量が多いものの、基板22の四隅を含む周縁側では発熱量が少ないので、ヒートシンク10への伝熱効率の低下は非常に僅かである。即ち、伝熱効率低下の影響は、発熱量が少ない給電基板22の四隅に対応する基板載置面13aの四隅だけに限られるので、基板載置面13a全体としての伝熱効率の低下は僅かで、光源であるLEDモジュール20で発生する熱のヒートシンク10への伝熱効率への影響はほとんどない。
【0054】
また、位置決め用突起14a、14bには、金型抜きテーパ角θ1(例えば3°)が付けられており、成形されたヒートシンク10の金型からの分離が容易である。さらに、位置決め用突起14a、14b先端部の基板載置面13aに臨む側には、LEDモジュール20を基板載置面13aに案内する、矩形状基板載置面13aの各辺と平行に形成されたテーパ角θ2(例えば20°)の傾斜面14a1、14b1が形成されて、LEDモジュール20の基板載置面13aへの載置をスムーズに遂行できる(図8参照)。
【0055】
即ち、LEDモジュール20を基板載置面13aに載置するには、基板載置面13aの上方位置から、LEDモジュール20を平行に保持したまま、8個の位置決め用突起14で囲まれた領域に係合するように下降させて基板載置面13aに載置するが、位置決め用突起14の先端部で囲まれた面積(大きさ)は、突起14先端部に傾斜面14a1,14b1が形成されている分、基板載置面13aの面積(大きさ)よりも幾分大きくなって、LEDモジュール20を位置決め用突起14先端部で囲まれた領域に係合させ易いし、LEDモジュール20を下降させる際、給電基板22の側縁部が位置決め用突起14先端部のテーパ部14a1,14b1に沿って滑動できるので、LEDモジュール20(の給電基板22)の基板載置面13aへの載置作業をスムーズに遂行できる。
【0056】
なお、図6,7における符号13b,13cは、光源用台座13の側縁部に設けられた傾斜面で、基板載置面13aを画像処理により検出する場合に利用される。
【0057】
次に、車両用前照灯の光源として採用するLEDモジュール20を、ヒートシンク10に設けた基板載置面13aに位置決め固定するという本実施例に特有の構造について説明する。
【0058】
LEDモジュール20の発光部は、給電基板22に搭載した非常に小さいLEDチップ21で、LEDモジュール20の基板載置面13aに対する取り付け位置が二次元方向のみならず周方向に僅かにずれただけでも、光源ユニット50によって形成される配光が異なってくるので、LEDモジュール20を基板載置面13aに対し二次元方向および周方向に正確に位置決めすることが望ましい。
【0059】
さらに、LEDチップ21の発光効率を長期間安定して維持するためには、LEDモジュール20(の給電基板22)が基板載置面13aに確実に密着した形態に取着されて、基板載置面13aからヒートシンク10への伝熱(LEDモジュール20側の発熱のヒートシンクを介した放熱)を確保することが望ましい。
【0060】
そのために、第1には、平面視矩形状の基板載置面13aを取り囲む位置で、できるだけ互いに離間した位置である四隅近傍8箇所にLED位置決め用突起14を設け、平面視矩形状の給電基板22の四隅近傍8箇所をそれぞれ位置決め用突起14に当接させることで、LEDモジュールの基板載置面13aに対する二次元方向および周方向における位置決め精度が高められている。
【0061】
第2には、位置決め用突起14の基板載置面13aに臨む側に該突起14の外周面14x(図8参照)に沿って円弧状に延びる凹溝102を設けて、位置決め用突起14の外周面14xを基板載置面13aより下方にまで延ばして、LEDモジュール20の基板載置面13aに対する二次元方向および周方向における位置決め精度がいっそう高められている。
【0062】
即ち、給電基板22の外側縁に当接する位置決め用突起14の外周面14xが凹溝102の側面102aに連続して、基板載置面13aに対し略直交する。このため、LEDモジュール20は、給電基板22の断面矩形状外側縁の角部22aが位置決め用突起14の外周面14x(基板載置面13aと交差して延びる外周面)14xに確実に当接して位置決めされるので、基板載置面13aに対しLEDモジュール20を正確に位置決めできるとともに、給電基板22の底面が基板載置面13aに確実に密着する。
【0063】
第3には、給電基板22と基板載置面13a間に伝熱グリス100を装填するとともに、位置決め用突起14の外周面に沿って設けた凹溝102を余剰グリス溜めとして利用したので、光源であるLEDモジュール20で発生する熱のヒートシンク10への伝熱効率が高められるとともに、LEDモジュール20周辺に余剰グリスが付着するという不具合もない。
【0064】
即ち、基板載置面13aにLEDモジュール20を取着するには、まず、伝熱グリス(ゲル状)100を基板載置面13aに供給し、次にLEDモジュール20を基板載置面13aに載せ、最後に、LEDモジュール20を覆うようにアタッチメントをヒートシンク10に固定することで、LEDモジュール20を基板載置面13aに押圧固定するが、基板載置面略中央部に供給された伝熱グリス100は、アタッチメント30を介してLEDモジュール20を基板載置面13aに押圧固定する際に、基板載置面13aに沿って外方に押し拡げられることで、給電基板22が薄膜状の伝熱グリス層を介して基板載置面13aに密着した形態となる。
【0065】
給電基板22と基板載置面13a間に装填されている伝熱グリスは、給電基板22の基板載置面13aとの密着性を高めて、LEDモジュール20側に発生した熱の基板載置面13a側への伝達を促進するので、光源であるLEDモジュール20で発生する熱のヒートシンク10への伝熱効率が高められる。
【0066】
また、給電基板22と基板載置面13a間に装填された伝熱グリス100の余剰グリスは、LEDモジュール20を基板載置面13aに押圧固定する際に、給電基板22の外方に溢れ出ることなくグリス溜めである凹溝102に導かれて、ここに溜まった状態に保持されるので、LEDモジュール20周辺領域に余剰グリスが付着して汚れたり、余剰グリスによってLEDモジュール20の通電路が短絡する等の不具合もない。
【0067】
次に、アタッチメント30の構造を説明する。
【0068】
アタッチメント30は、図3〜図5に示すように、LEDモジュール20の外形よりも一回り大きい、所定の厚みを有する略枠形状平板部材であって、その略中央部にLEDモジュール20の給電基板22及びLED固定用突起14の外形に合致する略矩形状の開口部32aが設けられたフレーム部32と、フレーム部32の長手方向両端に設けられたねじ締結部33と、ねじ締結部33の片側下方に形成された、電源側給電端子42が収容された開口部31aを備えるソケット部31とが一体形成された樹脂製品である。
【0069】
また、アタッチメント30(フレーム部32及びソケット部31が設けられた側のねじ締結部33)の内部には、金属製の配線体40がインサート成形されており、ソケット部31(開口部31a)内に設けられた電源側給電端子42に電気的に接続されている。なお、配線体40は電流が適切に流れるよう適宜絶縁されている。
【0070】
また、アタッチメント30のねじ締結部33には、図3,4に示すように、アタッチメント30をヒートシンク10に取付(固定)するためのねじ取付孔33aと、アタッチメント30をヒートシンク10に位置決めするための位置決め孔33c(図4、9参照)が設けられている。そして、アタッチメント位置決め用突起16と位置決め孔33cを係合し、アタッチメント取付ねじ70を、アタッチメント30の前面(ヒートシンク10への取付面35と反対側の面)側からねじ取付孔33aに挿入し、ヒートシンク10に設けられたアタッチメント取付用ねじ孔17に螺合させることで、アタッチメント取付ねじ70の頭部70aはねじ締結部33の前面(以下、ねじ取付座面という)33bに取り付けられる。
【0071】
また、アタッチメント取付面15(12a1)に突設されているアタッチメント位置決め用突起16の付け根側には、図9に拡大して示すように、突起16の外周面に沿って凹溝104が周設されて、突起16の外周面がアタッチメント取付面15(12a1)の下方まで延びて、凹溝104の側面を構成している。即ち、突起16の外周面と凹溝104の側面104aが連続して、突起16の外周面がアタッチメント取付面15(12a1)に対し略直交する形態となっている。このため、アタッチメント30側の位置決め孔33cの周縁角部33c1が突起16の付け根外周面に確実に係合し、かつアタッチメント30の底面がアタッチメント取付面15(12a1)に確実に当接した形態で位置決めされるので、アタッチメント取付面15(12a1)に対しアタッチメント30を正確に位置決めできる。
【0072】
また、アタッチメント取付面15(12a1)に突設されているアタッチメント位置決め用突起16の付け根側には、金型抜きテーパ角θ3(例えば5°)が付けられ、突起16の先端側には、テーパ角θ4(例えば20°)が付けられて、アタッチメント30の位置決め孔33cとの係合がスムーズとなっている。
【0073】
また、アタッチメント30のフレーム部32とねじ締結部33の間は、段差34が設けられて座繰りされている。
【0074】
即ち、アタッチメント30を介してLEDモジュール20をヒートシンク10に固定した際に、アタッチメント取付ねじ70の頭部70aが、LEDチップ21からリフレクタ52又は投影レンズ56へ向かう光を遮光しないように、アタッチメント30のねじ取付座面33bはフレーム部32の前面32bよりも低い位置に形成されるように、ねじ頭部70aの厚みよりも大きくヒートシンク10への取付面35側にオフセットされて、一段下げられている(図5参照)。
【0075】
また、アタッチメント30をヒートシンク10にねじ固定した際に、LEDモジュール20が露呈する開口部32aの短辺側両壁面からは、配線体40の一部が、その先端が下側に湾曲して二股形状に延出したLED用通電端子(第1通電端子)40aが相対するように形成されている。また、開口部32aの長辺側両壁面からは、配線体40の一部が板ばね形状に延出した基板押さえ部41が相対するように4箇所形成されている。
【0076】
即ち、アタッチメント30の開口部32aには、LEDモジュール20の給電部24と電気的に接触するLED用通電端子40a(第1通電端子)が、一方、アタッチメント30のソケット部31内には、電源側給電端子42(第2通電端子)が一体成形されたことで、LEDモジュール20に給電するための給電部材(LED用通電端子40a,電源側給電端子42に相当する部材)をアタッチメント30と別途に設けなくて良いので、その分部品点数が減り、それだけLEDモジュール20(光源)周りの構造が簡潔となる。
【0077】
そして、ヒートシンク10の上段部12aに、投射型光源ユニット50の光源であるLEDモジュール20を固定するには、まず、ヒートシンク10に設けられた基板載置面13a略中央部に伝熱グリス100を所定量供給し、上方からLEDモジュール20を下降させてLED位置決め用突起14(14a,14b)で規定される領域に係合させ、さらにLEDモジュール20を下降させて、基板載置面13aに給電基板22を載置する。これにより、LEDモジュール20は、基板載置面13aに対し精度良く位置決めされるので、光源であるLEDチップ21が、後述する投射型光源ユニット50のリフレクタ52及び投射レンズ56の光軸Ax上に配置される形態となる。
【0078】
次に、アタッチメント30を、位置決めされたLEDモジュール20の上方側から、アタッチメント30の位置決め孔33cがヒートシンク10のアタッチメント位置決め用突起16に係合するように被せる。すると、アタッチメント30の開口部32aにLEDモジュール20の給電基板22及びLED位置決め用突起14が係合して、LEDモジュール20の周囲をアタッチメント30(フレーム部32)が取り囲み、開口部32aの中央にLEDチップ21が配置された形態となるとともに、アタッチメント30のLED用通電端子40aがLEDモジュール20の給電部24と接触し、アタッチメント30の基板押さえ部41もLEDモジュール20の給電基板22上面と接触した状態となる。また、アタッチメント30のねじ取付孔33aとヒートシンク10のアタッチメント取付用ねじ孔17とが合致し、アタッチメント30のソケット部31はヒートシンク10のソケット収容用凹部12aに収容される形態となる。
【0079】
ただし、この状態では、基板押さえ部41の付勢力により、アタッチメント30(のヒートシンクへの取付面35)はヒートシンク10(のアタッチメント取付面15)に完全に面接触する形態となっていない。
次に、この状態のまま、アタッチメント取付ねじ70を、アタッチメント30前面側から挿入して、ヒートシンク10のアタッチメント取付用ねじ孔17に締結する。すると、アタッチメント30は、アタッチメント取付ねじ70の締結力により、ヒートシンクへの取付面35側へ押圧されて、アタッチメント30側のヒートシンクへの取付面35とヒートシンク10側のアタッチメント取付面15が面接触固定される。
【0080】
これにより、LEDモジュール20は、アタッチメント30(LED用通電端子40a及び基板押さえ部41)とヒートシンク10(基板載置面13a)に挟持される形態で、前後左右方向および周方向に加えて、上下方向にも固定状態となる。即ち、LEDモジュール20は、アタッチメント30(LED用通電端子40a及び基板押さえ部41)を介してヒートシンク10の基板載置面13aに押圧固定された形態となる。
【0081】
そして、アタッチメント30が(ヒートシンク10に)ねじ固定されることで、アタッチメント30の開口部32aのLED用通電端子40aの変形による弾性力により、LEDモジュール20の給電部24が押圧されて、LED用給電端子40aと給電部24との接触状態が確実となる。この状態で、アタッチメント30のソケット部31内の電源側給電端子42に所定の給電コネクタを挿着することで、電源側給電端子42及びLED用通電端子40aを介してLEDモジュール20(の給電部24)に確実に給電される。
【0082】
また、LED用通電端子40a及び基板押さえ部41の変形による弾性力によって、LEDモジュール20の給電基板22の下面(裏面)が伝熱グリス100を介してヒートシンク10側の基板載置面13aに押圧されて確実に密着するので、ヒートシンク10による放熱性能が高まり、LEDチップ21の発光効率が低下するのを防止できる。
【0083】
そして、この固定状態において、給電基板22に搭載されているLEDチップ21の発光中心は、アタッチメント30のフレーム部32の前面32b及びLED用通電端子40a,基板押さえ部41(の最頂部)よりも高い位置に載置された形態となるとともに、アタッチメント取付ねじ70の頭部70aは、アタッチメント30のねじ締結部33とフレーム部32間の段差34により、ヒートシンクへの取付面35側にオフセットされているため、フレーム部32の前面32bより上方に突出しない形態となっている。
【0084】
一方、反射型光源ユニット60側では、ヒートシンク10の下段部12bの下面12bに設けられた光源台座13に対して下向きに載置されたLEDモジュール20に対して、下方側からアタッチメント30を被せ、投射型光源ユニット50と同様に固定する。すると、アタッチメント取付ねじ70の頭部70aは、段差34により、ヒートシンクへの取付面35側にオフセットされているため、フレーム部32の前面32bより下方に突出しない形態となっている。
【0085】
次に、投射型光源ユニット50および反射型光源ユニット60について説明する。
【0086】
投射型光源ユニット50は、樹脂製のリフレクタ52と、樹脂製の投影レンズ56と、樹脂製のシェード54で構成されている。
【0087】
リフレクタ52は、略楕円面状の反射面を備えており、投射型光源ユニット50をヒートシンク10にねじ固定した際にLEDモジュール20の上方に配置される。そして、この反射面の鉛直断面を形成する楕円の第1焦点F1にLEDチップ21が配置されることにより、LEDチップ21からの光を楕円の第2焦点F2に略収束させるようになっており、さらに、光源(LEDチップ21)の前方に配置される投影レンズ56によって、焦点F2面上に形成された光源像が反転像として前方に照射されるようになっている。また、リフレクタ52の左右両側には、後述するシェード54のフック部54cと係合する開口部が設けられた一対の固定用脚52aが設けられている。
【0088】
シェード54は、リフレクタ52の反射面からの反射光の一部を遮光してカットオフラインを形成する部材であって、その先端に投影レンズ56取着用のレンズホルダー54aと、その背面に、内周に雌ねじ部を設けたボス54bが延出して一体形成されている。また、シェード54の上面の後方両外側面には、リフレクタ52の固定用脚52aと凹凸ランス係合できる固定用フック部54cが設けられている。
【0089】
そして、投影レンズ56をシェード54のレンズホルダー54aに嵌合させてシェード54に取着固定し、リフレクタ52を固定用脚52a(の開口部)をフック部54cに凹凸ランス係合させてシェード54に取着固定することで、投影レンズ56及びリフレクタ52がシェード54に精度良く固定保持された投射型光源ユニット50となる。
【0090】
そして、投射型光源ユニット50をヒートシンク10に固定するには、投影レンズ56及びリフレクタ52がシェード54に一体化された投射型光源ユニット50を、シェード54背面のボス54bとヒートシンク10の鉛直パネル部11に設けられたねじ挿通孔11aとを合わせて、光源ユニット固定用ねじ71を、ヒートシンク10の背面側からねじ挿通孔11aに挿入して、シェード54のボス54b内周に設けられた雌ねじ部に螺着することにより、投射型光源ユニット50はシェード54を介してヒートシンク10に確実に固定される。
【0091】
一方、反射型光源ユニット60は、樹脂製のパラボラ型のリフレクタ62として、反射型光源ユニット60用のLEDモジュール20の下方に配置される。このリフレクタ62は、LEDモジュール20の近傍に焦点を有する放物面を基準面とした反射面が形成されており、LEDチップ21からの光を前方に向けて反射させて略並行光として照射(水平方向は拡散照射)する。また、リフレクタ62の背面側略中央部にも、その内周に雌ねじ部を設けたボス62bが延出形成されており、このボス62bとねじ挿通孔11bとを合わせて、光源ユニット固定用ねじ71をヒートシンク10の背面側からねじ挿通孔11bに挿入してボス62bの雌ねじ部に螺着する。これにより、反射型光源ユニット60は直接ヒートシンク10に確実に固定される。
【0092】
以上の構成により、LEDモジュール20及び配光部材である投射型光源ユニット50,反射型光源ユニット60は、いずれも同一部材(ヒートシンク10)に精度良く固定された形態となる。
【0093】
即ち、投射型光源ユニット50においては、光源であるLEDチップ21(LEDモジュール20)はヒートシンク10の光源台座13に直接位置決め固定されているため固定位置精度が高く、また、投射型光源ユニット50もリフレクタ52及び投影レンズ56が(シェード54を介して)光源台座13に対して精度良く位置決めされた状態に固定されているので、光源であるLEDチップ21に対するリフレクタ52及び投影レンズ56の相対位置精度が良い。
【0094】
これにより、それぞれの光軸が揃っているため、LEDチップ21からの発光は、精度良くリフレクタ52及び投影レンズ56に入射する。そして、LEDチップ21とリフレクタ52や投影レンズ56の相対位置精度が良い分、リフレクタ52に入射した光はリフレクタ52で精度良く反射されて、投影レンズ56によって車両前方に精度良く照射される。
【0095】
一方、反射型光源ユニット60では、LEDチップ21の固定位置精度が高いことは勿論、リフレクタ62が直接ヒートシンク10にねじ固定されている分、さらにLEDチップ21とリフレクタ62の相対位置精度が良い。これにより、LEDチップ21からの光は精度良くリフレクタ62に入射して、リフレクタ62で高精度で車両前方に反射される。
【0096】
よって、車両用前照灯1では配光性能が良い分、車両前方に精巧な配光パターンが形成される。
【0097】
さらに、このとき、光源であるLEDチップ21の発光中心は、アタッチメント30のフレーム部32の前面32b及びLED用通電端子40a,基板押さえ部41(の最頂部)よりも、投射型光源ユニット50では上に,反射型光源ユニット60では下に位置しているとともに、ねじ取付座面33b上のアタッチメント取付ねじ70の頭部70aは、フレーム部32の前面32bよりも、投射型光源ユニット50では上方に,反射型光源ユニット60では下方に突出しないので、アタッチメント取付ねじ70の頭部70aが、LED(LEDチップ21)の発光中心から光学部材(リフレクタ52,62及び投影レンズ56)へ向かう光の光路上に顕れない。
【0098】
即ち、光源であるLEDチップ21からリフレクタ52(62)に向かう光又は投影レンズ56に直接向かう光が、アタッチメント取付ねじ70の頭部70aで遮光され(蹴られ)ることがない。
【0099】
これにより、LEDチップ21からの発光全てが配光制御部材であるリフレクタ52(62)又は投影レンズ56に向かうので、LEDチップ21からの発光は無駄なく有効に利用されて、車両用前照灯1における光束利用率が低下することがない。
【0100】
なお、上記実施例において、LED位置決め用突起14が四隅に合計8個設けられているが、前後左右方向(二次元方向)および周方向に位置決めできるものであれば、LED位置決め用突起14を設ける位置は四隅に限定されるものではなく、また8個に限定されるものでもない。
【0101】
また、上記実施例では、LED位置決め用突起14が水平断面楕円形状に構成されているが、水平断面円形状や矩形状であってもよい。
【0102】
また、上記実施例では、LED位置決め用突起14先端部の基板載置面13aに臨む側には、テーパ部である傾斜面(平面)14a1,14b1が設けられているが、テーパ部14a1,14b1は水平断面円弧状のテーパ面であってもよい。
【0103】
また、アタッチメント固定部材として締結ねじを用いて説明しているが、アタッチメント固定部材としては、締結ねじの他にリベットや板ばね等も考えられる。
【0104】
なお、投射型光源ユニット50としては、投影レンズ56を備えていない構成としてもよい。この場合には、車両用前照灯1を組み付ける際に、投影レンズ56を投射型光源ユニット50に対してその光軸Ax方向前方の所定位置に配置すればよい。
【0105】
なお、上記において、リフレクタ52(62)及び投影レンズ56は、本発明の光学部材の一例である。
【0106】
なお、車両用灯具は、車両用前照灯に限定されるものではなく、例えば、ヘッドランプ、フォグランプ、ベンディングランプ等を用いることができる。
なお、本願発明は白色LEDの他に赤外線LEDに用いても好適である。また、光源にはLEDの他に半導体レーザを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 車両用前照灯
S 灯室
10 ヒートシンク
13 光源用台座
13a 基板載置面
14(14a,14b) LED位置決め用突起
14x LED位置決め用突起の基板載置面に臨む側の外周面
14a1,14b1 テーパ部(傾斜面)
16 アタッチメント位置決め用突起
17 アタッチメント取付用ねじ孔
20 LEDであるLEDモジュール
21 LEDチップ
22 給電基板
22a 給電基板の側縁角部
30 アタッチメント
31 ソケット部
32 フレーム部
32a 開口部
33 ねじ締結部
33a ねじ取付孔
33b ねじ取付座面
35 アタッチメントのヒートシンクへの取付面
40a LED用通電端子
41 基板押さえ部
42 電源側給電端子
50 投射型光源ユニット
52 光学部材であるリフレクタ
54 シェード
56 投影レンズ
60 反射型光源ユニット
62 光学部材であるリフレクタ
70 アタッチメント取付ねじ
71 光源ユニット固定用ねじ
100 伝熱グリス
101 余剰伝熱グリス
102 余剰グリス溜めである凹溝
102a 凹溝側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光源であるLEDと前記光源光を所定方向に配光制御する光学部材を備えた光源ユニットがヒートシンクに取着されて灯室内に収容された車両用灯具において、
前記LEDは給電基板にLEDチップを搭載したLEDモジュールで構成され、
前記LEDモジュールは、該LEDモジュールよりも一回り大きい枠形状のアタッチメントを介して、前記ヒートシンクの所定位置に設けられた基板載置面に密着するように押圧固定された車両用灯具であって、
前記基板載置面の周りには、前記LEDモジュールの給電基板外側縁に当接する複数の位置決め用突起が設けられるとともに、
前記突起付根の少なくとも前記基板載置面に臨む側には、該突起の外周面に沿って延びる凹溝が設けられたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記給電基板と前記基板載置面間には伝熱グリスが装填されるとともに、前記凹溝は、前記LEDモジュールを前記基板載置面に押圧固定する際の余剰グリスを溜めるグリス溜めとして機能することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記給電基板は、平面視矩形状に形成され、前記位置決め用突起は、前記給電基板の外形に整合する平面視矩形状の前記基板載置面の四隅に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記位置決め用突起先端部の少なくとも前記基板載置面に臨む側には、前記LEDモジュールを前記基板載置面に案内するテーパ部が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光学部材は、前記光源光を所定方向に反射するリフレクタを含み、前記リフレクタは、直接又は他の部材を介して前記ヒートシンクに固定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45601(P2013−45601A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182097(P2011−182097)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】