説明

車両用灯具

【課題】灯具背後からの光源の交換が容易な車両用灯具を提供する。
【解決手段】ソケット22に光源本体24を一体化した光源21を灯室S内に配置し、灯室内給電線63がコネクタ50を介して光源21のソケット22に接続された車両用灯具で、光源21は、ランプボディ12に設けた開口部13aに灯具外方から挿着されて灯室S内に延出し、コネクタ50を挿着(給電線63を接続)した形態で灯具外方に脱着可能に構成した。光源21と開口部13aとの係合部を視認しながら、光源21の開口部13aへの挿脱着ができるので、光源21の交換作業が簡単になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯室内に光源を配置した車両用灯具に係り、特に灯室内に延びる外部電力供給用の給電線が光源用コネクタを介して光源に接続された車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、下記特許文献1に示すように、ランプボディと前面カバーによって画成された灯室内に複数の光源が配置され、ランプボディ背面壁の所定位置には、外部電源から延びる給電線が接続された集約コネクタが設けられ、該集約コネクタから灯室内に延びる複数の給電線がそれぞれのバルブハウジングを構成する光源用コネクタを介して、光源であるウェッジベースバルブ(無口金電球)にそれぞれ接続されることで、外部電力が複数の光源(ウェッジベースバルブ)にそれぞれ供給されるように構成されている。
【0003】
灯室内に複数の光源が配置されているが、外部電源から灯具に延びる給電線は集約コネクタに集約されているので、集約コネクタをランプボディの所定位置(例えば、灯具の車幅方向内側)に設けることで、外部電源から灯具に延びる給電線がまとまるので、車体に組み付けた灯具の背後空間を有効に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−220433号公報(図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この種の車両用灯具において、光源を交換したい場合があるが、前記した特許文献1の灯具では、ランプボディの背面壁にバルブ交換用の開口部が設けられていないことから、簡単には光源を交換することはできない。
【0006】
そこで、発明者は、ランプボディ背面壁の光源に対応する位置に、取り外し自在なバックカバーを装着した所定の大きさの開口部を設け、この開口部を介して、電球を一体化したバルブハウジング(光源用コネクタ)を灯具後方に抜き出したり挿入したりすること、即ち、この種の灯具で広く知られているバックカバー方式の採用を考えた。
【0007】
しかし、光源を交換するには、バックカバーを取り外した開口部から指を灯室内に挿入し、バルブハウジングのリフレクター側挿着孔との係止を外し、バルブハウジングをつかんで該開口部から一旦後方に抜き出し、新たな電球に取替え、再び、開口部を介してバルブハウジングをリフレクター側挿着孔に挿入して、係止させる必要がある。
【0008】
詳しくは、光源の交換作業は、自動車のボンネットを開けた状態で、自動車前部上方から灯具背後の狭い空間に手を差し入れた無理な姿勢で行うため、光源交換用の開口部の内側に位置する、バルブハウジングとリフレクター側挿着孔との係止部は、当然のことながら作業者からは全く見えない。したがって、バルブハウジングを灯室内に固定保持したり、固定保持を解除する作業は手探りとなり、経験と熟練を要す非常に面倒な作業となるという問題が発生する。
【0009】
そこで発明者は、バルブハウジングにバックカバーとしての機能(ランプボディ背面壁に設けた開口部に取り外し可能に設けられて、該開口部を閉塞する機能)を持たせれば、バルブハウジングと開口部との係合部が作業者から見えるので、バルブの交換作業が簡単になると考えた。
【0010】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて、また発明者の前記した知見に基づいてなされたもので、その目的は、灯具背後からの光源の交換が容易な車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、請求項1に係る車両用灯具においては、ランプボディと前面カバーによって画成された灯室内に、ソケットに光源本体を一体化した光源が配置されるとともに、灯室内に延びる外部電力供給用の給電線が光源用コネクタを介して前記光源のソケットに接続された車両用灯具であって、
前記ランプボディに開口部を設け、前記光源を、該光源のソケットを灯具外方から前記開口部に挿着して灯室内に延出するように構成するとともに、前記給電線を接続した形態で灯具外方に脱着できるように構成した。
【0012】
(作用)光源を交換するには、まず、光源を灯具外方に脱着する。詳しくは、光源(のソケット)の開口部との係合を外し、光源用コネクタを挿着(コネクタ雌部とコネクタ雄部を連結)した形態、即ち、光源用コネクタを介して給電線を光源のソケットに接続した形態のまま、光源を該開口部から灯具外方に抜き出す。
【0013】
次いで、光源用コネクタを脱着(コネクタ雌部とコネクタ雄部を分離)すれば、灯室内から導出している給電線の光源(のソケット)との接続が外れて、光源が灯具から確実に分離された状態となる。即ち、光源用コネクタとともに光源全体を開口部から抜き出した状態で、コネクタを脱着して、灯室内から延びる給電線の光源との接続を外すことで、光源を灯具から確実に分離できる。
【0014】
ここで、光源を新たなものに取り替える。詳しくは、白熱バルブのように、ソケットから光源本体(白熱電球)を分離できるタイプの光源の場合は、光源本体だけを新たなものに取り替え、ディスチャージバルブのように、ソケットから光源本体(アークチューブ)を分離できないタイプの光源の場合は、光源ごと新たなものに取り替える。
【0015】
そして、光源用コネクタを挿着(コネクタ雌部とコネクタ雄部を連結)することで、室内から導出している給電線を新たな光源のソケットに接続した後、この新たな光源をコネクタとともに灯具外方から開口部に挿着する。
【0016】
この光源の交換作業では、一般には、自動車のボンネットを開けた状態で、自動車前部上方から灯具背後の狭い空間に手を差し入れるという無理な姿勢が作業者に強いられて、それだけ作業がし難い。しかし、光源と開口部との係合部が作業者から見える位置にあるため、作業者は、灯具背後の狭い空間の上方から、光源と開口部との係合部を視認しながら、光源の開口部への挿脱着を行うことができる。
【0017】
請求項2においては、請求項1に記載の車両用灯具において、前記灯室内に複数の前記光源を配置し、前記光源用コネクタを介して前記複数の光源のソケットにそれぞれ接続した複数の灯室内給電線を、前記ランプボディの所定位置に設けた集約コネクタを介して灯室外給電線に接続するように構成した。
【0018】
(作用)灯室外給電線(外部電源から灯具まで延びる給電線)は、ランプボディに設けた集約コネクタに集約されているので、集約コネクタを設ける位置によって、灯室外給電線を配回す位置を変えることができる。
【0019】
また、たとえ複数の光源が灯室内上下に配置されて、ランプボディ背面壁に設けられた複数の開口部が上下に重なる場合であっても、光源と開口部との係合部はそれぞれ灯具背面側に露呈しているので、灯具上方からの作業者の目線を、開口部が重なる上下方向に対し左右いずれかに傾けることで、下方側の光源と開口部との係合部の少なくとも一部が見えることから、作業者は、灯具背後の狭い空間の上方斜め方向から、下方側の光源と開口部との係合部を視認しながら、光源の開口部への挿脱着を行うことができる。
【0020】
請求項3においては、請求項1または2に記載の車両用灯具において、前記光源のソケット外周と前記開口部間に、前記光源のソケットを抜け止め保持するバヨネット係合手段を介装するとともに、前記開口部を封止し、かつ前記バヨネット係合手段のバヨネット係合部を圧接状態に保持するOリングを装填するように構成した。
【0021】
(作用)例えば、開口部が円形に構成され、光源のソケットにおける円形開口部が係合する領域も横断面円形に構成されている。ソケット外周には、円形開口部の周縁部の内外側面に沿って摺動可能な係合突起(バヨネット部)とフランジ部とが形成され、一方、円形開口部には係合突起(バヨネット部)と軸方向に係合する切欠が形成されて、係合突起の開口部への出し入れ、および光源(のソケット)の開口部周方向への回動ができるバヨネット係合手段が構成されている。
【0022】
即ち、光源のソケット外周に設けられた、周方向複数のバヨネット部である係合突起と、ソケット側の係合突起と軸方向にそれぞれ係合可能な複数の切欠が設けられた円形開口部によって、光源のソケットを抜け止め保持するバヨネット係合部が構成されている。
【0023】
また、光源のソケット側のフランジ部と円形開口部の周縁部間に装填されたOリングは、円形開口部を封止するとともに、バヨネット係合部(係合突起と円形開口部)を圧接状態に保持するので、光源のソケットは円形開口部の周方向所定位置に固定保持される。
【0024】
したがって、光源を円形開口部に挿着する場合は、係合突起が円形開口部の切欠に軸方向に一致するようにして、Oリングが圧縮されるように光源のソケットを円形開口部に挿入して回動すれば、バヨネット係合部(係合突起と円形開口部)が係合し、該バヨネット係合部がOリングの弾発力で圧接した形態に保持されて、光源のソケットが円形開口部の周方向所定位置に固定保持される。一方、この状態から、光源のソケットを係合突起が円形開口部の切欠と軸方向に一致する位置まで回動すると、バヨネット係合部の係合が外れ、光源のソケットを円形開口部から抜き出す(光源を脱着する)ことができる。
【0025】
請求項4においては、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具において、前記光源用コネクタを前記ソケットの延出方向に沿って挿脱着できるように構成した。
【0026】
(作用)光源用コネクタを挿着したまま、即ち、光源用コネクタを介して給電線を光源のソケットに接続した形態のまま、光源を灯具外方から光源交換用の開口部に挿脱着するためには、コネクタを含む灯室内に延出する光源全体の外周の大きさが、光源交換用の開口部の大きさよりも小さいことが不可欠である。
【0027】
そして、光源用コネクタは、コネクタ雌部とコネクタ雄部で構成されて、コネクタの挿脱着方向(コネクタ雌部とコネクタ雄部の連結・分離方向)にはある程度の大きさを必要とするが、コネクタの挿脱着方向と直交する方向には、それほどの大きさを必要としない。
【0028】
このため、コネクタの挿脱着方向がソケットの延出方向に沿っている請求項4では、コネクタを含む灯室内に延出する光源全体の外周の大きさはそれほど大きくはならず、それだけ開口部の大きさを小さくできる。
【0029】
請求項5においては、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具において、前記光源用コネクタを前記ソケットの延出方向と略直交する方向に挿脱着できるように構成した。
【0030】
(作用)光源本体の発光を有効に利用するために、灯室内における光源の近傍に光源本体の発光を灯室前方所定方向に反射するリフレクターを配置する場合があるが、光源用コネクタがソケットの延出方向に沿って着脱できる請求項4では、ある程度の大きさでソケットと平行に延出している光源用コネクタとの干渉を避けるためには、リフレクターをソケットに接近する位置まで十分延出することができず、リフレクターの有効反射面積を拡大できない。
【0031】
然るに、ソケットの延出方向と略直交する方向にある程度の大きさで延出している光源用コネクタを備えた請求項5では、光源用コネクタを光源交換用の開口部の近傍(ソケットの基端部寄り)となるように設計することで、リフレクターをコネクタと干渉させることなくソケットに接近する位置まで延出することができ、リフレクターの有効反射面積を拡大できる。
【発明の効果】
【0032】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る車両用灯具によれば、作業者は、光源と開口部との係合部を視認しながら、光源の開口部への挿脱着を行うことができるので、たとえ経験と熟練が少ない初心者であっても光源の交換作業を簡単に遂行できる。
【0033】
特に、光源用コネクタを挿着した形態の光源(給電線が接続された形態の光源)を灯具外に抜き出した状態で、光源用コネクタの挿脱着(灯室内から延びる給電線と光源との接続および接続解除)ができるので、光源の交換作業をいっそうスムーズに遂行できる。
【0034】
請求項2によれば、集約コネクタをランプボディの所定位置(例えば、灯室外給電線が灯具の背後空間を狭めることがない所定位置)に設けることで、灯具の背後空間を有効に利用することができる等、灯室外給電線を配回しするための設計の自由度が増す。
【0035】
また、たとえ複数の光源が灯室内上下に配置されていたとしても、作業者は、それぞれの光源と開口部との係合部を視認しながら、光源の開口部への挿脱着を行うことができるので、たとえ経験と熟練が少ない初心者であっても光源の交換作業を簡単に遂行できる。
【0036】
請求項3によれば、光源のソケットを開口部周方向に回動操作するだけで、バヨネット係合部の係合および係合解除ができるので、光源の開口部への挿脱着が容易な分、光源の交換作業がさらに簡単になる。
【0037】
また、光源を挿着した開口部はOリングによって封止されているので、灯室内の防水が保証される。
【0038】
請求項4によれば、光源用コネクタを含む灯室内に延出する光源全体の外周の大きさをコンパクトに構成できる分、開口部の大きさを小さくできるので、光源交換のための灯具後方の占有スペースを小さくできる。
【0039】
また、開口部を小さくできる分、開口部封止手段がコンパクトになるとともに、開口部における防水機能も向上する。
【0040】
請求項5によれば、光源近傍に配光形成用のリフレクターを配置して光源本体の発光を有効利用する場合、リフレクターを光源用コネクタと干渉させることなくソケットに接近する位置まで延出できるので、それだけリフレクターの有効反射面積が拡大されて、灯具の配光量をいっそう高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施例である自動車用前照灯の縦断面図である。
【図2】同前照灯の要部である標識灯ユニットの拡大縦断面図である。
【図3】標識灯ユニットの光源を交換する作業の手順を説明する説明図で、(a)は開口部から光源を抜き出す状態を示す図、(b)は灯具から分離した光源の光源本体を取り替える状態を示す図、(c)は開口部に光源を挿入する状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例である自動車用前照灯の要部である標識灯ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明に係る車両用灯具を自動車用前照灯に適用した第1の実施例を、図1〜3に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例である自動車用前照灯の縦断面図、図2は同前照灯の要部である標識灯ユニットの縦断面図、図3は標識灯ユニットの光源を交換する作業の手順を説明する説明図である。
【0043】
図1において、自動車用前照灯(灯具)10は、前面側が開口する容器状のランプボディ12と、ランプボディ12の前面開口部に組み付けられた前面カバー18を備え、両者12,18によって画成された灯室S内には、標識灯ユニット20と前照灯ユニット40が配置されている。
【0044】
灯室S内上方に配置された標識灯ユニット20は、図1,2に示すように、ランプボディ12の背面壁に設けた光源交換用の円形開口部13aに挿着された光源(白熱バルブ)21と、ランプボディ12の背面壁から前方に延出する延出部12aに支持されて、光源21の発光を灯室前方に反射する配光形成用の放物面形状のリフレクター26とを備えている。
【0045】
光源(白熱バルブ)21は、灯具10の後方から円形開口部13aに挿着されて前方に延出する樹脂製のソケット22と、ソケット22前端のバルブ挿着穴22aに挿着された光源本体である白熱電球24で構成され、白熱電球24を挿着一体化したソケット22は、リフレクター26の中央円穴26aを貫通して前方に延出し、白熱電球24の発光中心がリフレクター26の焦点位置にほぼ一致している。
【0046】
また、ソケット22の基端部には、円形開口部13aに係合する横断面円形の前面部22b、および円形開口部13aの外側周縁部に係合するフランジ部23が一体に形成されるとともに、前面部22bの外周には、周方向略等分3箇所にバヨネット部である係合突起34が形成されている。符号22cは、ソケット22の後端部に一体に形成された回動操作部である。
【0047】
一方、ランプボディ12の円形開口部13aには、ソケット22側の3個の係合突起34と軸方向にそれぞれ係合する大きさの3箇所の切欠14が設けられて、切欠14を介して係合突起34が円形開口部13aの内外に移動(挿入・脱出)できる。そして、円形開口部13aの外側周縁部とソケット22外周のフランジ部23間には、円形開口部13aを封止し、かつ係合突起34と円形開口部13aで構成されたバヨネット係合部30を圧接状態に保持するOリング36が装填されている。
【0048】
また、ランプボディ12の円形開口部13aの外側周縁部には、円形開口部13aを取り囲むように円筒形状に延在する、フランジ部23係合用の立壁16が形成されて、光源21(のソケット21)は軸周り(円形開口部13a周方向)にスムーズに回動することができる。
【0049】
また、灯室S内下方に配置された前照灯ユニット40は、図1に示すように、投射凸レンズ42と、配光形成用シェード44と、楕円反射鏡46と、光源(ディスチャージバルブ)48で構成されている。
【0050】
投射凸レンズ42,配光形成用シェード44および楕円反射鏡46は、投射ユニット41として一体化されて、ランプボディ12の背面壁から延出するランプブラケット12bに支持されている。
【0051】
一方、光源(ディスチャージバルブ)48は、ランプボディ12の背面壁所定位置に設けた光源交換用の円形開口部13bに灯具10後方から挿着されて灯室内前方に延出するソケット(円筒形状絶縁性ベース)48aと、ソケット48aに一体化されて前方に延出する光源本体(アークチューブ)48bで構成され、両者48a,48bは分離できないように一体化されている。
【0052】
そして、ソケット48aから前方に延出する光源本体48bは、投射ユニット41を構成する楕円反射鏡46の円孔46aを貫通し、楕円反射鏡46の第2焦点位置に光源本体48bの発光中心がほぼ一致している。
【0053】
また、ソケット48aの基端部には、円形開口部13bに係合する横断面円形の前面部22b、円形開口部13bの外側周縁部に係合するフランジ部23、および回動操作部22cが一体に形成されるとともに、前面部22bの外周には、周方向略等分3箇所にバヨネット部である係合突起34が形成されている。
【0054】
一方、円形開口部13bには、係合突起34に対応する切欠14が形成され、円形開口部13bと係合突起34によってバヨネット係合部30が構成されている。そして、円形開口部13bとフランジ部23間の相対摺動部には、Oリング36が装填されて、円形開口部13bが封止されるとともに、円形開口部13bと係合突起34間が圧接状態に保持されている。
【0055】
この前照灯ユニット40の光源48と円形開口部13a間に介装されたバヨネット係合手段は、標識灯ユニット20の光源21と円形開口部13a間に介装されたバヨネット係合手段と同様であるので、その図示および重複した説明は省略する。
【0056】
また、光源21(48)には、コネクタ雄部52とコネクタ雌部54で構成されたコネクタ50を介して、外部電力を供給する灯室内給電線63(64)が接続されている。詳しくは、光源のソケット22の側面には、図1,2に示すように、ソケット延出方向と直交する方向に一対の雄端子を露出させたコネクタ雄部52が一体に形成されており、コネクタ雄部52に挿着されたコネクタ雌部54から延びる灯室内給電線63(64)は、ランプボディ12に設けたクランプ部材63a(64a)によって、開口部13a(13b)近傍において弛むように保持されている。このため、後述するように、光源21(48)を灯室内給電線63(64)を接続した形態で灯具外に抜き出すことができるし、灯具外に抜き出した後で、コネクタ50を脱着(ソケット22側のコネクタ雄部52からコネクタ雌部54を分離)することで、光源21(48)と給電線63(64)との接続を外すことができる。
【0057】
また、外部電源(図示せず)から光源21,48に延びる給電線は、図1に示すように、外部電源から灯具まで延びる灯室外給電線61,62と、灯室内を光源21,48まで延びる灯室内給電線63,64で構成され、灯室外給電線61,62と灯室内給電線63,64は、ランプボディ12の背面壁に設けた集約コネクタ70を介して接続されている。
【0058】
即ち、ランプボディ12の背面壁に設けた集約コネクタ70のコネクタ雄部72から灯室S内に延びる灯室内給電線63,64は、光源用コネクタ50のコネクタ雌部54に接続され、外部電源から灯具まで延びる灯室外給電線61,62は、集約コネクタ70のコネクタ雌部74に接続されており、集約コネクタ70が挿着(コネクタ雄部72とコネクタ雌部74が連結)されるとともに、光源用コネクタ50が挿着(コネクタ雄部52とコネクタ雌部54が連結)されることで、標識灯ユニット20の光源21および前照灯ユニット40の光源48それぞれに外部電力が供給されるように構成されている。
【0059】
このように、本実施例では、灯室外給電線61,62を集約する集約コネクタ70がランプボディ12の背面壁の下方位置に設けられているので、灯室外給電線61,62が後述する光源の交換作業の邪魔にならない等、灯具10の背後空間を有効に利用することができる。
【0060】
次に、標識灯ユニット20の光源21を交換する作業の手順を、図3に基づいて説明する。
【0061】
まず、灯具10の後方から光源21を脱着する。詳しくは、光源(のソケット22)の回動操作部24を指でつかんで反時計方向に回動してバヨネット係合部30の係合を解除することで、光源(のソケット22)と開口部13aとのバヨネット係合を外す。そして、図3(a)矢印Aに示すように、光源用コネクタ50を挿着(コネクタ雌部54とコネクタ雄部52を連結)した形態、即ち、コネクタ50を介して給電線63を光源21(のソケット22)に接続した形態のまま、光源21を開口部13aから灯具10外方に抜き出す。
【0062】
次いで、図3(a)矢印Bに示すように、コネクタ50を脱着(コネクタ雌部54をコネクタ雄部52から分離)すれば、灯室S内から導出している給電線63の光源21(のソケット22)との接続が外れて、光源21が灯具10から確実に分離された状態となる。
【0063】
即ち、図3(a)に示すように、コネクタ50とともに光源21全体を開口部13aから抜き出した状態で、コネクタ50を脱着して、灯室S内から延びる給電線63の光源21との接続を外すことで、光源21を灯具10から確実に分離する。
【0064】
ここで、図3(b)矢印C,Dに示すように、ソケット22に挿着されている光源本体(白熱電球)24を新たなものに取り替えた後、図3(b)矢印Eに示すように、分離されているコネクタ50を挿着(コネクタ雌部54をコネクタ雄部52に連結)して、灯室S内から導出している給電線63を新たな光源21(のソケット22)に接続する。
【0065】
そして、図3(C)に示すように、この新たな光源21をコネクタ50とともに灯具10外方から開口部13aに挿入し、反時計方向に回動してバヨネット係合部30を係合することで、光源21を開口部13aに挿着する。
【0066】
この光源21を交換する作業では、自動車のボンネットを開けた状態で、作業者は、自動車前部上方から灯具背後の狭い空間に手を差し入れるという無理な姿勢が強いられて、それだけ作業がし難い。しかし、光源21と光源交換用の開口部13aとの係合部が作業者から見える位置にあるため、作業者は、灯具10背後の狭い空間の上方から、光源21と光源交換用の開口部13aとの係合部を視認しながら、光源21の開口部13aへの挿脱着を行うことができる。
【0067】
なお、前照灯ユニット40の光源48を交換する場合も、標識灯ユニット20の光源21を交換する作業の手順と同様で、作業者は、灯具10背後の狭い空間の上方から、光源48と光源交換用の開口部13bとの係合部を視認しながら、光源48の開口部13bへの挿脱着を行うことができる。
【0068】
このように、作業者は、光源21,48と光源交換用の開口部13a,13bとの係合部を視認しながら、光源の開口部13a,13bへの挿脱着を行うことができるので、たとえ経験と熟練が少ない初心者であっても光源21,48の交換作業を簡単に遂行できる。
【0069】
特に、コネクタ50を装着した形態の光源21,48を灯具10外に抜き出した状態で、コネクタ50の挿脱着ができるので、光源21,48の交換作業をいっそうスムーズに遂行できる。
【0070】
また、コネクタ50は、ソケット22の延出方向と略直交する方向に挿脱着(コネクタ雌部54とコネクタ雄部52を連結・分離)できるように構成されているが、本実施例では、リフレクター26との干渉を避けるために、コネクタ50をソケット22の基端部寄り(光源交換用の開口部13aの近傍)に配置することで、リフレクター26をソケット22近傍位置まで延出形成して、リフレクター26の有効反射面の拡大による光源光の有効利用が図られている。
【0071】
即ち、ソケット22の先端寄りにコネクタ50を設けた方が、コネクタ50の挿脱着の操作がし易いが、ソケット22に対し直交する方向に大きく延出するコネクタ50がリフレクター26と干渉するため、リフレクター26をソケット22近傍まで延出形成できない。そこで、リフレクター26と干渉しないように、コネクタ50をソケット22の基端部寄り(光源交換用の開口部13aの近傍)となるように設計することで、リフレクター26をソケット22近傍位置まで延出形成でき、リフレクター26の有効反射面積が大きくなって、標識灯ユニット20の配光量が高められている。
【0072】
次に、本発明の第2の実施例を図4に基づいて説明する。図4は本発明の第2の実施例である自動車用前照灯の要部である標識灯ユニットの縦断面図である。
【0073】
前記した第1実施例では、灯室内給電線63と光源21とを接続するコネクタ50の挿脱着方向がソケット22の延出する方向と直交する方向に構成されているため、コネクタ50を含む灯室内に延出する光源21全体の外周の大きさ(ソケット22の基端部前面部22bの外径)がある程度大きくなって、それだけ光源交換用の開口部13aも大きくなるのに対し、この第2の実施例では、給電線63と光源21とを接続するコネクタ50の挿脱着方向が、ソケット22の延出する方向に沿って構成されているため、コネクタ50を含む灯室内に延出する光源21全体の外周の大きさ(ソケット22の基端部前面部22bの外径)はそれほど大きくはならず、それだけ光源交換用の開口部13aを小さくできる点に特徴がある。
【0074】
その他は、前記した第1の実施例と同一であるので、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
【0075】
この第2の実施例では、第1の実施例よりも、光源交換用の開口部13aの大きさDを小さくできるので、光源交換のための灯具10後方の占有スペースを小さくできる。
【0076】
また、光源交換用の開口部13aの大きさが小さくなる分、封止部材であるOリング36がコンパクトになるとともに、開口部13aにおける防水機能も向上する。
【0077】
なお、前記した第1,第2実施例において、標識灯ユニット20は、光源本体24の発光を灯室前方に反射するリフレクター26を光源本体24の周囲に設けて、光源本体24の発光を有効に利用する構造であるが、リフレクター26を設けることなく、主として光源本体24の発光により配光を形成する直射タイプの標識灯ユニットであってもよい。
【0078】
また、前記した実施例では、光源21(のソケット22)は、バヨネット係合により光源交換用の開口部13aに挿着されているが、光源21(のソケット22)を開口部13aに取り外し可能に固定する手段としては、バヨネット係合による固定に限るものではなく、ねじ止めその他の取り外し可能な公知の固定手段であってもよい。
【0079】
また、前記した実施例では、光源交換用の開口部13a,13bは、ランプボディ12の背面壁における光源21,48にそれぞれ対応する位置に設けられているが、開口部13a,13bを設ける位置は、ランプボディ12の背面壁に限るものではなく、ランプボディ12における光源21,48にそれぞれ対応する位置であればよい。
【0080】
また、前記した実施例では、灯室S内に光源21,48が配置され、光源用コネクタ50を介して光源21,48のソケット22,48aにそれぞれ接続された灯室内給電線63,64が、ランプボディ12の所定位置に設けた集約コネクタ70を介して灯室外給電線61,62に接続されているが、灯室S内に2個以上の光源が配置され、光源用コネクタを介して各光源のソケットにそれぞれ接続された灯室内給電線が、ランプボディ12の所定位置に設けた集約コネクタ70を介して灯室外給電線に接続された構造であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 自動車用前照灯(灯具)
12 ランプボディ
S 灯室
13a,13b 光源交換用の開口部(バヨネット係合部を構成する円形開口部)
14 切欠
18 前面カバー
20 標識灯ユニット
21 光源(白熱バルブ)
22 ソケット
22b ソケット基端部の前面部
23 フランジ部
24 光源本体(白熱電球)
30 バヨネット係合部
34 バヨネット部である係合突起
36 開口部封止部材であるOリング
40 前照灯ユニット
41 投射ユニット
48 光源(ディスチャージバルブ)
48a ソケット(絶縁性ベース)
48b 光源本体(アークチューブ)
50 光源用コネクタ
52 コネクタ雄部
54 コネクタ雌部
61,62 灯室外給電線
63,64 灯室内給電線
70 集約コネクタ
72 コネクタ雄部
74 コネクタ雌部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと前面カバーによって画成された灯室内に、ソケットに光源本体を一体化した光源が配置されるとともに、灯室内に延びる外部電力供給用の給電線が光源用コネクタを介して前記光源のソケットに接続された車両用灯具であって、
前記ランプボディに開口部が設けられ、前記光源は、該光源のソケットが灯具外方から前記開口部に挿着されて灯室内に延出するとともに、前記給電線を接続した形態で灯具外方に脱着できることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記灯室内には、複数の前記光源が配置され、前記光源用コネクタを介して前記複数の光源のソケットにそれぞれ接続された複数の前記灯室内給電線は、前記ランプボディの所定位置に設けた集約コネクタを介して灯室外給電線に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源のソケット外周と前記開口部間には、前記光源のソケットを抜け止め保持するバヨネット係合手段が介装されるとともに、前記開口部を封止し、かつ前記バヨネット係合手段のバヨネット係合部を圧接状態に保持するOリングが装填されたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源用コネクタは、前記ソケットの延出方向に沿って挿脱着できることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化車両用灯具。
【請求項5】
前記光源用コネクタは、前記ソケットの延出方向と略直交する方向に挿脱着できることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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