説明

車両用照明装置

【課題】光源の光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両用照明装置1は、ハウジング2と、前記ハウジング2内に設けた反射部18に出射光軸を指向させたLED40とを備え、前記LED40の出射光を前記反射部18に反射させた反射光をハウジング2外に照射する。LED40の出射光を前記反射部18に反射させた反射光をハウジング2外に照射することにより、LED40の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特に車室のピラー部等に設置される車両用照明装置に適用して好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室の例えばピラー部に設置される車両用照明装置としては、ハウジングと、ハウジング内に設けた蛍光灯とを備え、該ハウジングには、光線を平行方向に放射する透過窓と、光線を下方向に放射する透過窓を上下に互いに離して設け、透過窓の内端同士及び外端同士の間にそれぞれリフレクターを形成し、リフレクターは、蛍光灯から放射された光束を前記透過窓へ案内するように構成された車内照明装置が開示されている(例えば、特許文献1)。これにより、上記特許文献1では、蛍光灯から出た光を2つの直交する方向に伝搬し、その第1の光線は、車内の天井へ水平方向に放射され、第2の光線は、車内の活動空間へ垂直に向けて、シートに着座した乗員を避けるようにして光を照射するので、乗員をまぶしくさせないようにできるという効果がある。
【特許文献1】特開平7−164962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1では、シートに着座した乗員を避けるようにして光を照射しているものの、光の一部は透過窓から直接車内へ放射されるので、乗員の位置や角度によっては、乗員の視界に蛍光灯の光が直接入ってしまうという懸念があった。
【0004】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、光源の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けた反射部に出射光軸を指向させた光源とを備え、前記光源の出射光を前記反射部に反射させた反射光をハウジング外に照射することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1において、前記ハウジングは、車両の室内のピラー部に設置され、前記車両の天井に前記反射光を照射することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記ハウジングは、前記反射光を外部に放出する透過部を有し、前記透過部に放出される反射光を透過させるフィルタを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の車両用照明装置によれば、光源の出射光を前記反射部に反射させた反射光をハウジング外に照射することにより、光源の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の車両用照明装置によれば、やわらかくムラの少ない反射光によって車室の天井を明るく照らすことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の車両用照明装置によれば、フィルタによって出射光を種々変化させることができるので、演出効果を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1に示す車両用照明装置1は、ハウジング2と、該ハウジング2に内蔵された後述する光源ユニットとを備え、車室3の天井4に向かって反射光を照射し得るように車室3のピラー部5に固定されている。ハウジング2は、プラスチック製、例えばポリプロピレンの逆三角形状の部材からなり、表面側から裏面側へ向かって外縁が緩やかに湾曲し、上端に開口が形成されている。ここで、ピラー部5とは、車両の側面に設けられたウィンドウを支える両端の支柱をいう。
【0012】
これにより、車両用照明装置1は、薄型の平板状に形成され、車室3の天井4に向かって反射光を照射することにより、車室3内を広範囲にわたって明るくすることができるように構成されている。
【0013】
図2に示すように、車両用照明装置1は、ハウジング2、光源ユニット10、及びレンズ25を備える。ハウジング2の裏面2aには、保持部7,7、固定用雌ネジ部8、及び、取付用雌ネジ部9が設けられており、前述した光源ユニット10を保持し得るように構成されている。
【0014】
保持部7,7は、ハウジング2の裏面2aに左右一対として突設されており、鉛直方向に穿設された係止穴12がそれぞれ形成されている。また、一対の保持部7,7の鉛直方向下側に、取付用雌ネジ部9がそれぞれ設けられており、該取付用雌ネジ部9の相対向する面に突条13がそれぞれ設けられている。
【0015】
また、ハウジング2の上端には、縁部14が形成されており、ハウジング2裏面2aの中央には前記縁部14から下方に離れた位置に係合凹部15が形成されている。さらにハウジング2の裏面2aには、下方の中央部にレンズ25を固定する固定用雌ネジ部8が形成されている。ここで、所定高さとは、車両用照明装置1をピラー部5に設置した場合、透過部26がハウジング2の陰になってユーザの視界に入らないようにできる高さである。
【0016】
光源ユニット10は、反射部18を有するブラケット19と、該ブラケット19に保持される基板20とを有する。ブラケット19は、反射部18のほかに、ハウジング2の裏面2aに係止する係止部21,21と、前記基板20を挟持する挟持部22と、基板20に電気的に接続されたワイヤーハーネス(図示しない)を係回する軸部23とを備える。この光源ユニット10は、ハウジング2の裏面2aに係止された後、レンズ25によって覆われる。
【0017】
レンズ25は、水平に形成された透過部26と、該透過部26の一端26aの外縁から垂下してなる舌部27とを有し、一定の厚さからなる板状部材からなる。透過部26は、他端26bが湾曲状に突出してなり、中央の外縁に係合凹部15に係合する突起28が設けられている。舌部27は、取付用雌ネジ部9に螺合するビスBを挿通する2個の取付用挿通穴29,29と、固定用雌ネジ部8に螺合するビスBを挿通する1個の固定用挿通穴30と、ワイヤーハーネスを外部へ引き出すワイヤ用挿通穴31とが形成されている。前記舌部27には、表面に遮光部材32が設けられている。遮光部材32は、クッション性を有する柔らかい板状部材、例えばスポンジで構成され、舌部27と略同じ外形を有し、取付用挿通穴29,29及びワイヤ用挿通穴31に対応して設けられた穴33,33,33が形成されている。
【0018】
図3に示すように、基板20の一側表面20aには、光源としてのLED(Light Emitting Diode)40が2個設けられており、他側表面20bにおいて接続端子41を介してワイヤーハーネスが電気的に接続されている。これにより、基板20は、ワイヤーハーネスから供給された電源によりLED40を発光し得るように構成されている。また、基板20は、略矩形状からなり、下端縁20cが略中央まで切り欠かれている。
【0019】
反射部18はLED40から出射された出射光を受光して反射する第1反射板42と、第1反射板42によって反射された反射光を受光しさらに反射する第2反射板43とを有する。
【0020】
第1反射板42と第2反射板43とは、共に略矩形状の部材からなり、それぞれ一側表面に形成された反射面42a,43aを対向させ、第1反射板42と第2反射板43とを上下方向にずらした状態で座部44によって下端で接合され、V字状に配置されてなる。
【0021】
このようにして、第1反射板42は、LED40と対向した位置に設けられ、出射光を受光して斜め上方へ反射し得るように構成されている。第2反射板43は、第1反射板42と対向した位置、すなわちLED40と平行に設けられ、第1反射板42によって反射された反射光を斜め上方へ反射し得るように構成されている。また、第1反射板42の反射面42aと、第2反射板43の反射面43aとは、略同じ表面積を有するように形成されている。
【0022】
第2反射板43は、下半分の中央部分に矩形穴45が形成されている。第2反射部18の他側表面43bには、挟持部22が設けられている。該挟持部22は、矩形穴45の四隅にそれぞれ設けられた係止爪22a,22b,22c,22dでなり、前記基板20を挟持し得るように形成されている。係止爪22a,22b,22c,22dは、第2反射部18の他側表面43bから矩形穴45の内側に向かって突設された鍵状の部材でなる。このように構成された挟持部22は、LED40を装填した一側表面20aを矩形穴45に臨ませた前記基板20を挟持することにより、ブラケット19と基板20とを一体化する。
【0023】
係止部21,21は、第2反射板43の両側に突設されている。この係止部21,21は、ハウジング2の裏面2aに設けられた保持部7,7の係止穴12に係合するように形成された凸部48と、取付用雌ネジ部9の相対向する面に設けられた突条13が挿入する凹部49とからなる。凸部48は、上方に突出するように形成されており、凹部49は、第2反射板43の側面を内側へ凹ませるように形成されている。
【0024】
軸部23は、前記座部44の下端に突設された帯片50に設けられている。この軸部23は、基板20のLED40が設けられていない他側表面20b側へ帯片50から垂直に突設されてなり、鉛直方向に2個併設されている。
【0025】
このように構成された光源ユニット10は、第1反射板42の他側表面42bをハウジング2の裏面2aに対向させ、係止部21,21の凹部49に突条13を挿入しながら凸部48を係止穴12に係止させることにより、ハウジング2に取付けられる。
【0026】
次いで、レンズ25の透過部26の他端26bの外縁に形成された突起28を、ハウジング2の裏面2aに設けられた係合凹部15に差し込む。このとき、基板20の他側表面20bに端子41を介して電気的に接続されたワイヤーハーネスは、ワイヤ用挿通穴31を挿通して外部に引き出される。
【0027】
次いで、固定用挿通穴30にビスBを挿入し、該ビスBを固定用雌ネジ部8に螺合して、ハウジング2にレンズ25を固定する。このハウジング2に固定されたレンズ25の舌部27の表面に、両面粘着テープ(図示しない)等によって遮光部材32を貼り付ける。
【0028】
ここで、車両用照明装置1は、ハウジング2の裏面2aに形成された係合凹部15が前記縁部14から下方に離れた位置に形成されていることにより、透過部26がハウジング2の縁部14から下方へ離れた位置に固定される。
【0029】
次に上記のように構成された車両用照明装置1の各部の作用及び効果について説明する。車両用照明装置1は、図示しないスイッチをオンすることにより電源が投入されると、図4に示すように、基板20に設けられたLED40がハウジング2側に設置された第1反射板42に向かって出射光を出射する。この出射光は、第1反射板42によって反射される。第1反射板42は、上方へ傾斜していることにより、レンズ25側に配置されている第2反射板43に向かって受光した出射光を反射する。この第1反射板42によって反射される反射光を1次反射光と呼ぶ。
【0030】
1次反射光は、第2反射板43によって反射される。第2反射板43は、上方に向かって傾斜していることにより、受光した1次反射光を透過部26に向かって反射する。この第2反射板43によって反射される反射光を2次反射光と呼ぶ。
【0031】
このようにして、車両用照明装置1は、2次反射光をレンズ25の透過部26から外部へ照射する。従って、車両用照明装置1は、LED40の出射光をハウジング2から直接ハウジング2の外部へ漏らさないように構成したことにより、LED40の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる。
【0032】
この車両用照明装置1は、遮光部材32を車室3のピラー部5の表面に当接させて、ピラー部5の裏面からビスBを取付用挿通穴29に挿通し、取付用雌ネジ部9に螺合させることにより、ピラー部5に取付けられる(図5)。このように、遮光部材32を介してピラー部5に設置されることにより、車両用照明装置1は、ハウジング2の裏面2aを閉塞するレンズ25の舌部27とピラー部5の表面との間からLED40の出射光や、反射部18の反射光が漏れるのを防いでより明るい光を照射できると共に、LED40の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止できる。
【0033】
また、遮光部材32は、クッション性を有する柔らかい板状部材で構成したことにより、ピラー部5の表面と密着するので、透過部26以外から出射光や反射が漏れるのをより確実に防止できると共に、車両の振動を遮光部材32で吸収して光源ユニット10が振動するのを防ぐことができる。従って、車両用照明装置1は、透過部26のみからLED40の出射光を外部へ照射させることができるので、LED40の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる。
【0034】
車両用照明装置1は、LED40から出射された出射光を第1反射板42で1次反射光として反射し、さらに1次反射光を第2反射板43で反射した2次反射光を透過部26から出射することにより、より確実に、反射光のみをハウジング外に照射することができる。従って、車両用照明装置1は、LED40の出射光が直接乗員の視界に入ることを防止することができる。
【0035】
2次反射光は、第1反射板42で反射された1次反射光をさらに第2反射板43で反射したものであるから、車両用照明装置1では、従来に比べよりやわらかい光を広範囲に照射することができる。
【0036】
車両用照明装置1は、透過部26がハウジング2の縁部14から下方へ離れた位置に固定されていることにより、ユーザの視界に透過部26が入ることをより確実に防止することができる。
【0037】
また、基板20は、下端縁20cが略中央まで切り欠かれていることにより、外気との接触面積を増やして冷却効果を向上することができるように構成されている。
【0038】
また、レンズ25は水平に形成された透過部26と、該透過部26の一端26aの外縁から垂下してなる舌部27とを有し、該舌部27において車室3のピラー部5に取付ける構成とした。従って、車両用照明装置1では、レンズ25が、2次反射光を透過させる透過部26と、ピラー部5に取付ける舌部27とを一体化した構成としたことにより、部品点数を低減し、製造工数を削減することができる。
【0039】
さらに、車両用照明装置1では、反射部18と基板20とを一体化し、第1反射板42と第2反射板43とを上下方向にずらした状態でV字状に設けたことにより、薄型とすることができ、全体として小型化することができる。
【0040】
また、図6に示すように、透過部26にフィルタ53を着脱自在に設けることとしてもよい。このフィルタ53は、色付きのもの、文字等の打ち抜きがあるものや、図柄が描かれたもの等、ユーザが車室3の天井4部分に照射したい形態を適宜選択することができる。
【0041】
例えば、図柄を描いたフィルタ53を選択した場合、透過部26から出射された反射光によって、車室3の天井4部分に図柄Pを照射することができる(図7)。この場合、上記したように、本実施形態に係る車両用照明装置1は、やわらかい光を広範囲に照射することができるので、2次反射光によって天井4部分に図柄を大きく描くことができる。
【0042】
また、透過部26に前記フィルタ53に替えて黒色のゴム材からなるカバー(図示しない)を被せることにより、2次反射光を遮ることができる。これにより、車室3内に複数の車両用照明装置1を設けた場合、各車両用照明装置1毎に電源をオンオフするスイッチを設けずに、消灯させることができる。
【0043】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記した実施形態では、車両用照明装置1は、車室3の天井4へ反射光を照射するように設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、車室3の床面に向かって照射するように設けてもよい。
【0044】
また、上記した実施形態では、車両用照明装置1は、ピラー部5に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えばドアの内側に設けることとしてもよい。
【0045】
また、上記した実施形態では、遮光部材32は、スポンジで構成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、LED40の出射光や、反射部18の反射光が透過部26以外からハウジング2の外部へ漏れるのを防ぐことができれば足り、例えば、ゴムで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る車両用照明装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る車両用照明装置の全体構成を示す分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係る車両用照明装置の光源ユニットの構成を示す図であり、(a)基板側から見た斜視図、(b)反射部側から見た斜視図である。
【図4】本実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】本実施形態に係る車両用照明装置の使用状態を示す縦断面図である。
【図6】本実施形態に係る変形例の車両用照明装置の構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る変形例の車両用照明装置の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用照明装置
2 ハウジング
3 車室
4 天井
5 ピラー部
18 反射部
26 透過部
40 ランプ(光源)
53 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に設けた反射部に出射光軸を指向させた光源とを備え、前記光源の出射光を前記反射部に反射させた反射光をハウジング外に照射することを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、車両の室内のピラー部に設置され、前記車両の天井に前記反射光を照射することを特徴とする請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記反射光を外部に放出する透過部を有し、
前記透過部に放出される反射光を透過させるフィルタを設けた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−280151(P2009−280151A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136058(P2008−136058)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】