説明

車両用照明装置

【課題】車両ドアの下縁に設けられる車両用照明装置において、見栄えが良く、意匠性の高い構成を提供すること。
【解決手段】車両ドアの下縁に設けられ、該車両ドアが開放された状態において点灯し、路面を照明する車両用照明装置であって、LEDランプと、下面が前記車両ドアの下縁に平行となるように配置される平板状の導光板であって、端面が前記LEDランプに対向して入射部となり、下面と対向する上面において前記入射部から離れる方向に連続的に並ぶ溝が形成され、下面が光放出面となる導光板と、を備え、前記溝の前記端面側の壁面における界面が、前記入射部から入射した光を全反射して前記下面方向の光を生成し、前記溝は、前記入射部から遠いものほど深い、車両用照明装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の車両照明装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の車両は、ドアの内側に設けられてドアの開閉に連動して点灯し、乗降者の足元を照明するカーテシランプを備える。また、ドア開放時に点灯して車両後方へドアが開放していることを示すランプを備える車両もある。例えば特許文献1には、足元用LEDランプと後方表示用LEDランプをそれぞれ用いて乗降者の足元と車両の後方とを照らす照明装置が開示されている。一方、特許文献2にはカーテシランプの機能と後方表示ランプの機能を併せ持つ照明装置が開示されている。特許文献2の照明装置はドア内側の端部に設けられて、乗降者の足元、車両後方及び車両内側の三方向を照明する。このように複数の機能を一体化することでコスト低下、デザイン性向上を図っている。本発明に直接関連するものではないが、導光体の全反射面を利用した車両用灯具が特許文献3に開示されている。特許文献3の車両用灯具では、導光体の側端面の界面で外光を全反射することにより、当該側端面に対向して配置されるLEDランプが外部から直接視認されることを防止している。
【特許文献1】特開2007−22365号公報
【特許文献2】特開2005−280657号公報
【特許文献3】特開2007−227356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のカーテシランプでは、足元用LEDランプはその光軸が地面方向に向くように配置され、アウターレンズを介して足元用LEDランプの光が車両ドア開放時にドア近傍の地面を照射する。このような構成では、車両ドアの下縁をのぞき込むと、外部からアウターレンズ越しに足元用LEDランプが視認されるため、見栄えが悪い。カーテシランプはいわゆる高級車に搭載されることが多く、このように見栄えが悪いことは特に好ましくないものである。見栄えを向上させるために、特許文献2のカーテシランプのようにアウターレンズにレンズカットやシボ加工など光拡散処理を施して、光源が視認されることを防止することが考えられる。しかし、かかる効果を十分に発揮させるにはアウターレンズと光源との距離をある程度確保しなければならないため、装置が大型化する。
ところで、車両ドアにはカーテシランプやドア開放時の後方表示用ランプの他に、ドアポケット、ドアハンドル、ドアロック機構、ドアウィンドウ、スイッチ類など、様々な部材が設けられる。ドアポケット等は使用者の使い勝手を考慮して所望の大きさで所望の位置に設けることが好ましい。しかし、カーテシランプを備える車両では、カーテシランプの設置領域を確保するためにドアポケットの形状を調整する必要があり、ドアポケットの設計自由度が低下していた。具体的には、ドアポケットの底部に凸部を設けて、その内板側にカーテシランプを収容したりしていた。このように調整されたドアポケットによると、収納容量が低下し、使い勝手が低下していた。そこで、ドアポケットの設計自由度を高め、ドアポケットの容量を確保して使い勝手を向上するために、カーテシランプの小型化が要請されている。
そこで、本発明は、車両ドアの下縁に設けられる車両用照明装置において、見栄えが良く、意匠性の高い構成を提供することを目的の一つとする。さらに、車両ドアの下縁に設けられる車両用照明装置において、小型化を達成することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明における第1の局面は次の構成からなる。即ち、
車両ドアの下縁に設けられ、該車両ドアが開放された状態において点灯し、路面を照明する車両用照明装置であって、
LEDランプと、
下面が前記車両ドアの下縁に平行となるように配置される平板状の導光板であって、端面が前記LEDランプに対向して入射部となり、下面と対向する上面において前記入射部から離れる方向に連続的に並ぶ溝が形成され、下面が光放出面となる導光板と、
を備え、
前記溝の前記端面側の壁面における界面が、前記入射部から入射した光を全反射して前記下面方向の光を生成し、
前記溝は、前記入射部から遠いものほど深い、車両用照明装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明における第1の局面の構成では、導光板の端面が入射部となってLEDランプの光が導光板に入射する。入射光は導光板の上面に形成された溝に到達する。当該溝の、入射部となる端面側の界面は入射光を導光板の下面方向に全反射する面となっており、当該溝は入射部から遠いものほど深く形成されている。これにより、すべての溝の端部側の壁面における界面で入射部から入射したLEDランプの光を全反射して下面方向の光が生成される。最終的に、溝の端面側の界面による全反射で生じた光は下面から外部へ放出される。以上のように、車両ドア開放時に、当該下面の放出光が車両ドア下方の地面を照明することにより、乗降者の足元の視認性が高まって安全性が向上する。
本発明の車両用照明装置を車両ドアの下縁側から観察すると、すべての溝の端面側の壁面にLEDランプが映り込むため、複数の擬似発光点として観察される。これにより、見栄えが良くなり、意匠性が向上する。また、透明体である導光板を介して、その一部で反射された光が観察されることから、特有のクリスタル感と奥行き感が生じる。従来の技術では、アウターレンズにレンズカット等を施してLEDランプが直接視認されることを防止するためには、アウターレンズとLEDランプとの間に十分な距離を設ける必要がある。これに対して、本発明の構成では、導光板に設けた溝による全反射を利用することで、上記のように複数の擬似発光点を生じ、光源が直接観察されない。従って、アウターレンズ(導光板)にレンズカット等を施す必要がない。また、LEDランプとアウターレンズ(導光板)との距離を十分に設ける必要もないため、装置を小型化できる。
【0006】
本発明における第2の局面の車両用照明装置の構成は、次の通りである。即ち、
車両ドアの下縁に設けられ、該車両ドアが開放された状態において点灯し、路面を照明する車両用照明装置であって、
LEDランプと、
下面が前記車両ドアの下縁に平行となるように配置される平板状の導光板であって、上面の一部が前記LEDランプに対向して入射部となり、前記入射部から入射した光を反射して前記下面に平行な光を生成する反射面を備え、前記入射部を除く上面には前記入射部から離れる方向に連続的に並ぶ溝が形成され、下面が光放出面となる導光板と、
を備え、
前記溝の前記反射面側の壁面における界面が、前記反射面が反射した光を全反射して前記下面方向の光を生成し、
前記溝は、前記入射部から遠いものほど深い、車両用照明装置である。
【0007】
本発明における第2の局面の構成によれば、LEDランプの光は上面から導光板に入射して、一旦反射面により下面に略平行な光に変換される。その後、第1の局面の車両用照明装置と同等の効果を奏する。導光板の上面を入射部とすれば、LEDランプが導光板の上面に対向するため、LEDランプの実装基板を導光板の板面方向に平行に配置することができる。これにより、LEDランプの実装基板を導光板の端面に対向させた配置に比べて装置が薄型となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(LEDランプ)
本発明の車両用照明装置では光源としてLEDランプを使用する。LEDランプは小型であること、駆動電力が小さいこと、発熱量が少ないこと、長寿命であることなど様々な利点を有する。LEDランプの種類は特に限定されず、表面実装(SMD)タイプ、砲弾タイプ(レンズタイプ)、チップオンボード(COB)タイプ等、種々のタイプのLEDランプを採用できる。中でもSMDタイプを採用することが好ましい。SMDタイプは小型であるため、装置の薄型化、小型化に寄与するからである。また、砲弾タイプ、COBタイプ等では、その表面が凸状に形成されて放出光が集光するため、光源の指向性が高くなりすぎる。一方、SMDタイプでは、通常、パッケージ内の反射部が白色樹脂又は白色のセラミックで形成されており、放出光が当該反射部で拡散反射されるため、光源の指向性が低い。本発明ではLEDランプの光が広範囲に照射されることが好ましいため、光源の指向性が低いことが好ましい。この観点からもSMDタイプのLEDランプを採用することが好ましい。さらにLEDランプは、SMDタイプの中でも、光放出面が平面、又は、封止樹脂の表面張力で凹む程度の凹状面であるものがさらに好ましい。指向性が一層低くなるからである。SMDタイプのLEDランプを使用する場合、上面発光型(トップビュー型)及び側面発光型(サイドビュー型)の内、トップビュー型であることが好ましい。トップビュー型のLEDランプを使用すれば、LEDランプの光を後述の導光板に好適に入射させることができるからである。
LEDランプの発光色は任意に選択できる。例えば、白、赤、アンバー、緑、青等の可視領域の発光波長を有するLEDランプを採用できる。LEDチップの光の一部を蛍光体で波長変換し、LEDチップの光と蛍光とが混合した光を放射するLEDランプを使用することもできる。蛍光体は例えばLEDランプの封止樹脂に含有させることができる。封止樹脂の表面に蛍光体を含む層を設けてもよい。
【0009】
同種又は異種のLEDチップが複数個内蔵されたLEDランプを光源として使用することもできる。例えば、赤、緑、青の各色のLEDチップを一つの基板上にマウントしたLEDランプ(3in1LEDランプ)を用い、各LEDチップの発光態様を制御すれば、所望の色を発光させることができる。これにより、所望の発光色を発光する照明装置が構成される。なお、同種又は異種のLEDランプを複数個使用してもよい。
【0010】
LEDランプの光放出側には平板状の導光板が設けられる。導光板は車両ドアの下縁に略平行に配置される。導光板の材質は透明性を有する材質であれば特に限定されない。例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ガラス等を例示できる。中でも、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂製とすることが好ましい。ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂は高光透過率を有し、成形が容易で強度に優れるため、取り扱い易いからである。導光板は車両ドアの下縁に露出し、乗降者の足等の接触又は衝突による衝撃を受けやすいため、耐衝撃性の高いポリカーボネート樹脂製であることが特に好ましい。導光板は端面にLEDランプが対向して当該端面を入射部とすることができる。LEDランプの光は当該端面から導光板に入射して、導光板の下面に略平行な方向(即ち、導光板の延在方向)に進行する。
一方、導光板の上面にLEDランプを対向させて上面の一部を入射部とすることもできる。この場合はさらに、入射部から入射して光を反射して導光板の下面に略平行な方向に進行する光を生成する反射面を設ける。かかる反射面は導光板の端面を傾斜させて当該反射面として利用することができる。また、別途金属板などを使用して反射面を形成してもよい。
以上のように、いずれの場合も入射部から入射したLEDランプの光は導光板の延在方向に進行する。
【0011】
導光板の上面には入射部から離れる方向に連続的に並ぶ溝が形成されている。ここでいう「連続的に並ぶ」とは、実質的に隙間なく隣接して並ぶことはもちろん、所定間隔をおいて並ぶことも含むこととする。例えば、溝を格子状に並べて互い違いの位置に形成することができる。当該溝は入射部から遠いものほど深く形成されている。即ち、入射部から遠い溝ほどその最深部が導光板の下面に近い。当該溝の、入射部となる端面側の壁面における界面(以下、本明細書では「溝の入射端面側の界面」ともいう)は、入射部から入射した光を全反射して下面方向の光を生成する。ここでいう全反射が生じるために、導光板を構成する材質の屈折率をnとしたとき、溝の入射端面側の界面と下面(放出面)とのなす角θが所定の条件、即ち、以下の関係式を満たす。
【数2】

以上の条件を満たすように溝を形成することにより、LEDランプの光が全反射され、外部から観察すると、各溝の入射端面側の界面にLEDランプが写り込むように見える。つまり、複数の擬似発光点が生じることとなる。これによって、見栄えが良くなり、意匠性が向上する。
一方、当該溝の、入射部となる端面と反対側の壁面は、下面に対して垂直であることが好ましい。迷光を再入射し、光のロスが減少するからである。
【0012】
上面に設ける溝の数(溝の入射端面側の界面の数)は特に限定されないが、例えば2〜50個とすることができる。溝の入射端面側の界面は導光板の端面に垂直な方向に沿って並ぶように形成することが好ましい。LEDランプの光の進行方向に沿って連続的に配置されることとなるため、溝により形成される溝の入射端面側の界面でのLEDランプの光の受光率が高まるからである。溝の入射端面側の界面は、複数の列状や格子状に形成することがさらに好ましい。意匠性がさらに向上するからである。
【0013】
導光板の下面が光放出面となる。光放出面の形状は特に限定されない。光放出面が車両ドアの下縁に露出するように導光板を配置すると、乗降者の足等の接触により光放出面に傷がつくことがある。この場合には、かかる傷等が目立たないように予め光放出面に、シボ加工やブラスト処理などの表面処理を施すことができる。
【0014】
導光板に入射した光の内、全反射面により反射されなかった光を外部に放出する拡散放出部をさらに設けても良い。当該拡散放出部を車両ドアの側面又は側端面に露出するように設けることにより、当該拡散放出部の放出光によってドア開放時に車両後方へ車両ドアが開放していることを示す、後方表示ランプとしての機能を奏する。これにより、後続車両等に対する安全性が向上する。拡散放出部に色変換層を設けてLEDランプの色を異なる色の光に変換することができる。例えば、拡散放出部に赤色以外の光をフィルタする色変換層を設けて赤色光のみを取り出すことができる。拡散放出部にシボ加工やブラスト処理の他、プリズム処理等の光拡散処理を施してもよい。以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例である車両用照明装置1を備える車両ドア100の斜視図を図1に示し、車両用照明装置1の斜視図を図2A、図3Aに示す。さらに図2A、図3Aに示した車両用照明装置1の分解斜視図を図2B、図3Bにそれぞれ示す。図1に示すように、車両ドア100の下縁に車両用照明装置1が設けられる。車両用照明装置1の上方の車両内側にはドアポケット101が設けられている。図2A、図3Aに示すように、車両用照明装置1は、LEDランプ2、導光板3、ホルダー4、固定部材5を備える。LEDランプ2は表面実装型(SMD型)の白色LEDランプであって上面から光を放出するトップビュータイプである。2個のLEDランプ2が基板21に実装される。なお、2個のLEDランプ2は基板21の中央よりも下縁寄りに実装されている。
【0016】
図2B及び図3Bに示すように、ホルダー4の下部には、導光板3の上面と側面に沿う凹部41が形成されている。凹部41の両壁面には溝42が設けられている。凹部41の壁面の内、導光板3の端面(入射部)31に対向する領域はスリット状にくり抜かれた開口部43が形成されている。導光板3の両側面には係合用の突起35がそれぞれ設けられており、この突起35が溝42に係合することにより導光板3がホルダー4に嵌合した状態で係止される。この状態において、開口部43を介して導光板3の端面31がホルダー4の背面のLEDランプ収納部44に露出している。基板21はLEDランプ2が開口部43から露出した端面31に対向するように、LEDランプ収納部44に収納される。さらにその背後に固定部材5が取り付けられる。固定部材5の両側部にはリブ51が設けられており、リブ51がLEDランプ収納部44の側壁の突起(図示せず)に係合することにより、基板21がLEDランプ収納部44に固定される。
ホルダー4は車両ドア100への取り付け用の係止ヅメ45を二個と、リブ46を一個備える。車両用照明装置1を車両ドア100に取り付ける際は、まずリブ46を車両ドア100の下縁に設けられる溝(図示せず)に嵌入した後、リブ46が当接する部位を回転軸として回動させて、係止ヅメ45を車両ドア100の下縁に設けられる係止孔(図示せず)に係止する。これにより、車両用照明装置1を車両ドア100に簡便に取り付けることができる。
【0017】
図4に導光板3の上面図を示し、図4のA?A線断面図を図5Aに示し、B?B線断面図を図5Bに示す。導光板3はポリカーボネート樹脂製である。図4に示すように導光板3の形状は平面視で、上底約40mm、下底約45mm、高さ約25mmの台形であって厚さ約5mmの平板状である。導光板3の端面31にLEDランプ2が対向して、当該端面31が入射部となる。導光板3の上面には複数(31個)の溝36が設けられている。図4に示すように、溝36は入射部31から離れる方向に所定間隔で連続的に配置され、平面視で格子状となっている。A?A線位置では隣接するB?B線位置の配置をずらしたように配置されている。即ち、溝36は互い違いに配列している。図5Aに示すように、溝36の入射部31側壁面の界面は入射部31に近い側から順に界面36a、36b、36cとなっている。図5Aの界面36aの拡大図を図5Cに示す。図5Cに示すように、界面36aは、入射部31から遠いものほど、導光板3の下面33側に近づくようにテーパーしている。界面36aの幅Waは約2.4mm、最深部の深さHaは約1.0mmであって、界面36aと下面33とのなす角(傾斜角)θaは約20°である。界面36aよりも入射部31から遠くに位置する界面36bは、界面36aよりも最深部が深くなっており下面33にさらに近い。また界面36bの傾斜角は約30°であって、界面36aの傾斜角θaよりも大きい。界面36bの幅は約3.2mmであって、界面36aの幅Waよりも大きい。続いて、界面36bよりも入射部31から遠くに位置する界面36cは、界面36bよりも下面33に近い。界面36cの幅は約4.0mmであり、その傾斜角が約45°であって、いずれも界面36bより大きい。このように、溝36は入射部31から遠いものほど深く形成されている。これにより、界面36a、36b、36cは入射部31から遠いものほど、下面33に近く、かつ、傾斜角が大きい。さらに、界面36a、36b、36cはいずれも以下の関係式を満たす。即ち、界面36a〜36nと放出面33とのなす角θa〜θnと、導光板3の屈折率nとしたとき、
【数3】

を満たすものであって、全反射面となっている。
同様に、図5Bに示すB?B線位置においても、界面36d、36e、36fは入射部31から遠いものほど、下面33に近く、かつ、傾斜角が大きい。また、界面36d、36e、36fは上記関係式を満たすものであって、全反射面となっている。
なお、導光板3の下面33の入射部31近傍には導光板に略垂直にリブ37が立設されている。リブ37は導光板3をホルダー4に嵌合させた状態に置いてホルダー4の凹部41の壁面に当接する。これにより、防水効果が奏される。
【0018】
導光板3の下面33は放出面33となっている。放出面33は平滑な面である。放出面33は車両ドア100の下縁に露出している。導光板3の入射部31と反対側の端面は拡散放出面34となっている。図4に示すように、拡散放出面34にはレンズカットが施されている。また、図5Aに示すように、拡散放出面34は縦断面において放出面33に連続するように緩やかに湾曲した曲面となっている。
【0019】
次に車両用照明装置1の図4のA?A線断面における断面図を図6に示し、発光態様を説明する。車両ドア1が開放されるとLEDランプ2が点灯する。LEDランプ2の光は導光板3の入射部31から導光板3に入射する。入射光の一部は導光板3を導光して上面32の複数の界面36a、36b、36c…(以下、「複数の界面36a〜36n」ともいう)に到達する。複数の界面36a〜36nは当該入射光を反射して下面33方向の光を生成する。当該反射光は導光板3の放出面33から外部に放出される(図6においてaで示す光を参照)。b、cで示す光はそれぞれ界面36b、36cにより反射されて放出面33から外部放出される。入射部31から遠いものほど界面の傾斜角が大きいため、放出面33から放出された放出光は、車両ドア100と車両本体(図示せず)の間の所定領域6を照射する。これにより、乗降時の足元の視認性が増し、安全性が向上する。また、乗降者に安心感を与える。さらに、ドア下面を車両側に向ける(路面に対して傾斜させる)ことで、放出光によりがドアと車両の間を効果的に照明することができる。
一方、入射光の内、複数の界面36a〜36nによって反射されなかった光(dで示す光)は拡散放出面34に到達する。拡散放出面34に到達した光は、拡散放出面34に形成されたレンズカットにより拡散されて外部に放出される。この光は車両ドアが開放されていることを示す光となる。即ち、車両用照明装置1はドア開放表示ランプとしての機能も併せもつ。これにより、後続車両等に対する安全性が向上する。
【0020】
車両用照明装置1の下面図を図7に示す。車両ドア100の下面を覗き込むと図7に示すように、観察者は車両用照明装置1の放出面33を介して上面反射部36を視認する。このとき、複数の界面36a〜36nにはそれぞれ、導光板3の入射部31に対向して配置されるLEDランプ2が映り込むことになる。その結果、観察者は複数の疑似発光点を視認することとなる。これにより、見栄えが良くなり、意匠性が向上する。さらに、放出面33及び拡散放出面34によって屈折された光が観察されること、及び透明体である導光板3を介して、光が観察されることから、特有のクリスタル感と奥行き感が生ずる。また、路面が濡れているときには、疑似発光点が路面に映り込むことで月明かりや街路灯の映り込みとは異なる照明態様を演出でき、高級感の演出が可能となる。さらに、単一の発光点や面光源では、濡れた路面に映り込んだ場合と街路灯が映り込んだ場合との区別がつきにくいが、複数の疑似発光点とすることで区別がつきやすくなる。
【0021】
導光板3の形状は図4に示すように平面視で台形となっている。これに沿ってホルダー4の凹部41も台形となっているため、ホルダー4を型成形する際の型抜きが容易となるとともに成形精度が高まり歩留まりが向上する。車両用照明装置1は平板状の導光板3と表面実装型のLEDランプ2により、従来のバルブ型ランプを使用する場合に比べて小型化されている。これにより、車両ドアという限られた空間をより効率的に利用することができ、設計自由度が向上する。さらに車両用照明装置1は部材数が少なく、簡易な構成であることから、組み付け作業性が高い。また、組み付け時にネジ等の固定部材を必要としないことも組み付け作業性の向上に寄与する。加えて、車両用照明装置1はホルダー4の係止ツメ45とリブ46により車両ドア100に取り付ける構造であるため、取り付け部位の形状が異なる場合であってもホルダー4を取り替えることにより、他の部材を共用化することができる。これにより製造コストが低減する。
車両用照明装置1はカーテシランプとしての機能と、車両ドアが開放されていることを車両の後方に表示するランプとしての機能とを併せ持つ。これにより、別個に照明装置を設ける場合に比べて、省スペース化、部品点数の削減、取付行程の簡略化、コストの低減が実現される。
車両用照明装置1は運転席側の車両ドア100に設けたが、助手席側、左右の後部座席側の車両ドアに対しても同様の構成の車両用照明装置を設けることができる。LEDランプ2の点灯状態は車両ドア100の開閉と連動するようにしたが、これに限定されない。例えば、車両ドア100のドアハンドル操作と連動させて、車両ドアが開放される直前から点灯するようにしてもよい。また、車両ドアを閉じた後、所定時間点灯させてから消灯することとしてもよい。
【実施例2】
【0022】
本発明の変形例である車両用照明装置10の断面図を図8に示す。なお、車両用照明装置1と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
車両用照明装置10は車両用照明装置1と同様に車両ドア100の下縁に設けられる。図8に示すように、車両用照明装置10はLEDランプ2、導光板30、ホルダー40、固定部材50を備える。導光板30は略平板状であって、端部の上面に位置する入射部310と、上面に入射部310を除く領域に複数の溝360と、溝360の端面側の壁面の界面360a〜360nと、放出面330と、拡散放出面340を備える。複数のLEDランプ2が実装される基板21は、LEDランプ2が入射部310に対向するように導光板30の上面と略平行に配置される。導光板3の入射部310近傍の端面(符号380で示す)は上面から下面に向かって拡散放出面340方向に傾斜しており、LEDランプ2の光軸2aとの交点を有する。かかる端面380は全反射面となっており、導光板3に入射したLEDランプ2の光を積極的に受光して導光板30の延在方向(即ち、放出面330に略平行な方向)に反射する反射面380となる。なお、反射面380の外側には、車両ドア100の外板の一部が延出して延出部101が形成されている。溝360は導光板3の溝36と同様の構成である。界面360a〜360nは導光板3の界面36a〜36nと同様の構成である。放出面330は導光板3の放出面33と同様に平坦面である。拡散放出面340は導光板3の拡散放出面34と同様の構成である。
【0023】
車両用照明装置10によれば、図8に示すように、LEDランプ2の光は入射部310から導光板30に入射し、導光板30を導光する。導光する光の内、反射面380に到達した光は導光板30の延在方向に反射される。反射光の一部は界面360aに到達してさらに反射されて放出面330から外部へ放出される(a’で示す光を参照)。b’、c’で示す光は反射面380に反射されたのち、それぞれ界面360b、360cにより再度反射されて放出面330から外部放出される。車両用照明装置1と同様に放出面330から放出された放出光は拡散せずに、所定領域6を照射する。一方、入射光の内の界面360a、360b、360cで反射されなかった光(d’で示す光)は拡散放出面340に到達する。拡散放出面340に到達した光は、拡散放出面340に形成されたレンズカットにより拡散されて外部に放出され、車両ドア100が開放されていることを示す光となる。
【0024】
車両用照明装置10は、車両用照明装置1と同等の効果を奏する。加えて、基板21が導光板3の延在方向と略平行に設けられるため、装置全体が薄型化される。なお、延出部101が反射面380の外側を覆っているため、LEDランプ2が外部から直接視認されることが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の車両用照明装置は様々な車両のドアに使用することができる。
【0026】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は本発明の実施例である車両用照明装置1を備える車両ドア100の斜視図である。
【図2】図2Aは車両用照明装置1の斜視図であり、図2Bは図2Aに示した車両用照明装置の分解斜視図である。
【図3】図3Aは車両用照明装置1の斜視図であり、図3Bは図3Aに示した車両用照明装置の分解斜視図である。
【図4】図4は導光板3の上面図である。
【図5】図5Aは図4のA?A線断面図であり、図5Bは図4のB?B線断面図であり、図5Cは図5Aの全反射面36aの拡大図である。
【図6】車両用照明装置1の発光態様を説明するための縦断面図である。
【図7】車両用照明装置1の下面図である。
【図8】本発明の変形例である車両用照明装置10の縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
100 車両
1、10 車両用照明装置
2 LEDランプ
21 基板
3、30 導光板
31、310 入射部
36、360 溝
36a、36b、36c、36d、36e、36f、360a、360b、360c 界面
33 放出面
34、340 拡散放出面
380 反射部
4、40 ホルダー
5、50 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアの下縁に設けられ、該車両ドアが開放された状態において点灯し、路面を照明する車両用照明装置であって、
LEDランプと、
下面が前記車両ドアの下縁に平行となるように配置される平板状の導光板であって、端面が前記LEDランプに対向して入射部となり、下面と対向する上面において前記入射部から離れる方向に連続的に並ぶ溝が形成され、下面が光放出面となる導光板と、
を備え、
前記溝の前記端面側の壁面における界面が、前記入射部から入射した光を全反射して前記下面方向の光を生成し、
前記溝は、前記入射部から遠いものほど深い、車両用照明装置。
【請求項2】
前記界面と前記下面とのなす角が、前記入射部から遠いものほど大きい、請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記溝の連続する方向が前記入射部に垂直な方向である、請求項1又は2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記溝が複数の列状に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記溝が格子状に配置される、請求項1〜3のいずれか一項に車両用照明装置。
【請求項6】
前記界面と前記下面とのなす角θと、前記導光板の屈折率nとが以下の関係式を満たすことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【数1】

【請求項7】
前記導光板が、前記入射部から入射した光のうち、前記界面により反射されなかった光を外部に拡散放射する拡散放射部を、前記入射部と対向する端部にさらに備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【請求項8】
前記LEDランプがSMDタイプであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−30336(P2010−30336A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191819(P2008−191819)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】