説明

車両用生体認証装置

【課題】利便性を担保しつつ、利用者毎に実行可能な操作を限定することが可能な車両用生体認証装置を提供すること。
【解決手段】この車両用生体認証装置は、照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する個人に許可する車両の操作を表す操作許可情報とを記憶する記憶部と、利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、取得された生体情報と、前記記憶部に記憶された照合用の生体情報とを照合して、利用者を識別する識別部と、前記操作許可情報を参照して、識別された利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にする操作許可部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め登録された利用者の生体情報(指紋、静脈パターン)と、検出された生体情報とを比較し、それらが一致したときに、自動車のドアロックの解除やエンジン始動を許可する自動車の利用者認証システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体認証を用いて自動車の操作を行う場合、運転者のみを登録すると、登録していない同乗者はドアロックを解除することができない。一方、自動車に乗る可能性のある全ての利用者を登録すると、運転を許可しない子供なども運転操作を行うことができ、安全性に問題がある。また、上記の自動車の利用者認証システムでは、ドアロックの解除やエンジン始動といった操作を行う度に認証を行う必要があり認証手順が煩雑になる。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、利便性を担保しつつ、利用者毎に実行可能な操作を限定することが可能な車両用生体認証装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本形態に係る車両用生体認証装置は、利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する個人に許可する車両の操作を表す操作許可情報とを関連付けて記憶する記憶部と、取得された生体情報と、前記照合用の生体情報とを照合して、前記利用者を識別する識別部と、識別された利用者に対応する照合用の生体情報に関連付けられている操作許可情報を参照して、前記識別された利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にする操作許可部とを含む。
【0007】
本形態によれば、利用者の生体情報とともに、利用者に許可する操作を表す情報を予め記憶しておき、識別された利用者に許可する車両の操作について操作可能な状態にすることで、識別された利用者に許可する車両の操作を制限なく実行させることができ、また、車両の運転操作などの特定の操作を実行できる利用者を限定することができる。
【0008】
(2)この車両用生体認証装置は、前記記憶部は、複数の照合用の生体情報と操作許可情報とを関連付けて記憶し、前記識別部は、複数の利用者を識別し、前記操作許可部は、識別された複数の利用者のうち、いずれかの利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にしてもよい。
【0009】
本形態によれば、識別されたいずれかの利用者に許可する操作について操作可能な状態にすることで、利便性を向上させることができる。
【0010】
(3)この車両用生体認証装置は、所定の操作が行われた場合に、前記操作可能な状態を解除する解除部を更に含んでもよい。
【0011】
本形態によれば、所定の操作が行われるまでは、前記操作可能な状態を維持することができるため、操作を行う度に識別を行う必要がなく利便性を向上させることができる。
【0012】
(4)この車両用生体認証装置は、前記車両の操作は、前記車両を開錠する操作、前記車両の原動機始動の操作、及び前記車両を加速させる操作の少なくとも1つであってもよい。
【0013】
(5)本形態に係る車両用生体認証装置は、利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する個人に許可する車両の操作を表す操作許可情報とを関連付けて記憶する記憶媒体を用いて、取得された生体情報と、前記照合用の生体情報とを照合し、前記利用者を識別する識別部と、識別された利用者に対応する照合用の生体情報に関連付けられている操作許可情報を参照して、前記識別された利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にする操作許可部とを含む。
【0014】
本形態によれば、利用者の生体情報とともに、利用者に許可する操作を表す情報を予め記憶媒体に記憶しておき、識別された利用者に許可する車両の操作について操作可能な状態にすることで、識別された利用者に許可する車両の操作を制限なく実行させることができ、また、車両の運転操作などの特定の操作を実行できる利用者を限定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る生体認証装置の機能ブロック図の一例を示す図。
【図2】登録処理の一例を示すフローチャート図。
【図3】記憶部に記憶された静脈パターンの一例を示す図。
【図4】記憶部に記憶された操作許可情報の一例を示す図。
【図5】認証処理の一例を示すフローチャート図。
【図6】操作許可フラグについて説明するための図。
【図7】識別後の処理の一例を示すフローチャート図。
【図8】解除処理の一例を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
1.構成
図1に、本実施形態に係る生体認証装置(車両用生体認証装置)の機能ブロック図の一例を示す。なお本実施形態の生体認証装置は図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0018】
図1に示す生体認証装置1は、生体情報取得部10、処理部20、記憶部30を含む。
【0019】
生体情報取得部10は、利用者の生体情報(例えば、利用者の静脈パターン、指紋、虹彩画像、顔画像)を取得するものであり、その機能は、利用者の静脈パターンを検出する静脈センサー、利用者の指紋を検出する指紋センサー、利用者の虹彩画像或いは顔画像を取得するイメージセンサーなどにより実現できる。
【0020】
記憶部30は、照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する個人に許可する自動車の操作(例えば、ドアロックの操作、エンジン始動の操作、アクセル操作、利用者の登録操作)を表す操作許可情報とを関連付けて登録データとして記憶する。なお、記憶部30は、複数の照合用の生体情報と操作許可情報とを関連付けて記憶する。また、記憶部30には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムが記憶される。記憶部30の機能は、ROMなどの不揮発性メモリー、RAM、ハードディスクなどにより実現できる。
【0021】
処理部20は、記憶部30をワーク領域として、生体情報の特徴量を抽出する処理、照合用の生体情報及び操作許可情報とを登録する処理、認証処理、操作許可処理などの処理を行う。処理部20の機能はCPUなどのプロセッサーや、プログラムにより実現できる。
【0022】
処理部20は、特徴抽出部22、識別部24、操作許可部26、解除部27、登録部28を含む。
【0023】
特徴抽出部22は、生体情報取得部10によって取得された生体情報の特徴量を抽出する処理を行う。例えば、生体情報として画像データを取得した場合には、画像データに対してエッジ強調フィルター等を用いて畳み込み演算を行うことで特徴量を抽出してもよいし、画像データを複数のブロックに分割し、各ブロックの輝度値の平均値と分散値を特徴量として抽出してもよい。
【0024】
識別部24は、生体情報取得部10によって取得された生体情報(又は、生体情報から抽出された特徴量)と、記憶部30に記憶された照合用の生体情報(又は、生体情報から抽出された特徴量)とを照合することで、利用者を識別する処理を行う。例えば、識別部24は、生体情報取得部10によって取得された生体情報と記憶部30に記憶された照合用の生体情報の差分を算出し、算出した差分の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合に両生体情報が一致すると判断して、利用者を識別してもよい。なお、識別部24は、複数の利用者を識別する処理を行う。
【0025】
操作許可部26は、識別部24での識別が成功した場合に、識別された利用者に対応する照合用の生体情報に関連付けられている操作許可情報(記憶部30に記憶された操作許可情報)を参照して、識別された利用者に許可する自動車の操作を特定し、特定した操作を操作可能な状態にする処理を行う。
【0026】
例えば、操作許可部26は、操作可能状態にした操作がドアロック操作(車両を開錠する操作)である場合には、自動車に備わるドアロック機構40に対してドアロックを解除するための制御信号を出力する。また、操作許可部26は、操作可能状態にした操作がエンジン始動操作(車両の原動機始動の操作)である場合には、エンジン始動操作が行われたときに、自動車に備わるエンジン制御装置42に対して、エンジンを始動するための制御信号を出力する。なお、自動車が電気自動車の場合はエンジン始動操作に替えてモーター始動操作であってもよい。この場合は、電気自動車に備わるモーター制御装置に対して、モーターを始動するための制御信号を出力することとなる。また、操作許可部26は、操作可能状態にした操作がアクセル操作(車両を加速させる操作)である場合には、アクセル操作が行われたときに、エンジン制御装置42に対してエンジンに動力源(燃料、或いは電力)を供給するための制御信号を出力する。なお、自動車が電気自動車の場合は、アクセル操作が行われたときに、電気自動車に備わるモーター制御装置に対して、電力を供給するための制御信号を出力することとなる。
【0027】
また、操作許可部26は、操作可能状態にした操作以外の操作が行われた場合には、ドアロック機構40やエンジン制御装置42に対して制御信号を出力しない。また、操作許可部26は、操作可能状態にした操作以外の操作が行われた場合に、不正な操作が行われた旨の情報や当該操作が行われた時刻等を記憶部30に記録してもよい。
【0028】
また、操作許可部26は、識別された利用者が複数人いる場合に、識別された複数の利用者のうち、いずれかの利用者に許可する自動車の操作を操作可能な状態にしてもよい。
【0029】
解除部27は、所定の操作(例えば、エンジンを停止する操作、又は登録を解除するための操作)が行われた場合に、前記操作可能な状態を解除する処理を行う。
【0030】
登録部28は、照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する利用者に許可する自動車の操作を表す操作許可情報と関連付けてを登録する処理を行う。すなわち、登録部28は、生体情報取得部10によって取得された利用者の生体情報(又は、生体情報から抽出された特徴量)と、前記操作許可情報とを記憶部30に記憶させる処理を行う。前記操作許可情報の内容は、利用者による図示しない操作部への操作入力に基づき設定される。
【0031】
2.動作
次に、本実施形態に係る生体認証装置1の動作について図面を用いて説明する。なお以下では、生体情報として静脈パターンを用いた場合について説明する。
【0032】
2−1.登録処理
本実施形態では、利用者は、自動車の車内或いはドアノブに設けられた静脈センサー(生体情報取得部の一例)を用いて、登録対象となる利用者の静脈パターン(照合用の生体情報の一例)と操作許可情報とを登録することができる。
【0033】
図2は、登録処理の一例を示すフローチャート図である。
【0034】
まず、静脈センサーは、登録対象となる利用者の静脈画像を取得する(ステップS10)。次に、特徴抽出部22は、取得した静脈画像の特徴量を抽出して静脈パターンを取得する処理を行う(ステップS12)。
【0035】
次に、登録部28は、操作部への操作入力に基づき、登録対象となる利用者に許可する操作内容を設定する(ステップS14)。利用者は、静脈センサーの付近に設けられたボタンやタッチパネル等の操作部を用いて、登録対象となる利用者に許可する1又は複数の操作を指定する操作を行うことができる。
【0036】
次に、登録部28は、ステップS12の処理で取得された照合用の静脈パターンと、ステップS14の処理で設定された操作内容とを、記憶部30に保存する処理を行う(ステップS16)。
【0037】
図3に示すように、記憶部30には、各利用者の照合用の静脈パターンが記憶される。図3に示す例では、利用者ID「1」〜「3」の各利用者の静脈パターンが記憶されている。
【0038】
また、図4(A)に示すように、記憶部30には、各利用者に許可する操作を特定するための操作許可情報が記憶される。図3に示す照合用の静脈パターンと図4(A)に示す操作許可情報は、利用者IDによって関連付けられている。
【0039】
図4(A)に示す例では、自動車の所有者であるID「1」の利用者には、全ての操作(ドアロック操作、エンジン始動操作、アクセル操作及びユーザ登録)が許可されている。また、所有者の配偶者であるID「2」の利用者には、ユーザ登録以外の全ての操作が許可されている。また、所有者の子供であるID「3」の利用者には、ドアロック操作とエンジン始動操作のみが許可されている。
【0040】
また、登録時に利用者に許可する操作を個別に指定せずに、利用者に許可する操作を一括して指定するようにしてもよい。例えば、図4(B)に示すように、予め複数のグループを定義して、グループ毎に許可する操作を設定しておき、図4(C)に示すように、登録時に、登録対象となる利用者が所属するグループを指定するようにしてもよい。
【0041】
2−2.認証処理
本実施形態では、登録された利用者は、自動車のドアノブに設けられた静脈センサーを用いて生体認証を行うことで、ドアロックを解除することができ、また、当該利用者に許可された操作について操作可能な状態にすることができる。
【0042】
図5は、認証処理の一例を示すフローチャート図である。
【0043】
まず、静脈センサーは、利用者の静脈画像を取得する(ステップS20)。次に、特徴抽出部22は、取得した静脈画像の特徴量を抽出して静脈パターンを取得する処理を行う(ステップS22)。
【0044】
次に、識別部24は、取得された静脈パターンと、図3に示すような登録された照合用の静脈パターンとを照合し(ステップS24)、登録された静脈パターンのうち、取得された静脈パターンと一致するものがあるか否かを判断する(ステップS26)。ここで、取得された静脈パターンと登録された静脈パターンとの差分の絶対値が所定の閾値未満である場合に、両静脈パターンが一致すると判断してもよい。
【0045】
ステップS26において、一致すると判断された場合(ステップS26:Yes)には、操作許可部26は、操作許可情報を参照して(ステップS28)、識別された利用者に許可された操作の操作許可フラグを「1」にして当該操作を操作可能な状態にする(ステップS30)。次に、操作許可部26は、ドアロック機構40に制御信号を送信してドアロックを解除させる(ステップS32)。一方、ステップS26において、一致しないと判断された場合(ステップS26:No)には、認証処理を終了する。
【0046】
ここで、ステップS30の処理において、例えば、操作許可情報が図4(A)に示す状態である場合に、取得された静脈パターンが利用者ID「3」の静脈パターンと一致した場合には、図6(A)に示すように、識別された利用者IDの情報として利用者ID「3」を保持し、当該利用者ID「3」に許可された「ドアロック操作」と「エンジン始動操作」の操作許可フラグを「1」にしてこれらの操作を操作可能な状態にする。
【0047】
また、図6(A)に示す状態において、取得された静脈パターンが利用者ID「1」の静脈パターンと一致した場合には、図6(B)に示すように、識別された利用者IDの情報として利用者ID「1」を追加し、当該利用者ID「1」に許可された全ての操作の操作許可フラグを「1」にする。その結果、「アクセル操作」と「ユーザ登録」の操作許可フラグが、「0」から「1」に変更され、これらの操作が操作可能な状態になる。すなわち、子供である利用者のみが識別された場合には、「アクセル操作」については操作可能な状態にはならず、所有者である利用者が識別された場合になって初めて、「アクセル操作」についても操作可能な状態となる。このように、運転を許可しない子供等の利用者が先に識別を行って自動車に乗車した場合であっても、運転者である利用者が識別を行って乗車するまでは、アクセル操作等の運転操作については操作不能な状態にすることができる。
【0048】
図7は、識別後の処理の一例を示すフローチャート図である。
【0049】
まず、操作許可部26は、アクセル操作が行われたか否かを判断し(ステップS40)、当該操作が行われたと判断した場合(ステップS40:Yes)には、操作許可フラグを参照して(ステップS42)、アクセル操作を許可するか否かを判断する(ステップS44)。例えば、図6(A)に示すように、アクセル操作の操作許可フラグが「0」である場合(ステップS44:No)には許可せず、図6(B)に示すように、アクセル操作の操作許可フラグが「1」である場合(ステップS44:Yes)には許可する。
【0050】
ステップS44において、アクセル操作を許可する場合(ステップS44:Yes)には、操作許可部26は、エンジン制御装置42に対してエンジンに動力源を供給するための制御信号を出力する(ステップS46)。一方、ステップS40でアクセル操作が行われていないと判断した場合(ステップS40:No)、及び、ステップS44でアクセル操作を許可しない場合(ステップS44:No)には、識別後の処理を終了する。
【0051】
同様に、操作許可部26は、エンジン始動操作(イグニッションONにする操作)が行われた場合には、エンジン始動操作の操作許可フラグを参照して当該操作を許可するか否かを判断して、許可する場合には、エンジン制御装置42に対して制御信号を出力してエンジンを始動させる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、利用者に許可する操作を特定するための操作許可情報に基づき、識別された利用者に許可された操作のみを操作可能な状態にすることで、エンジン始動操作やアクセル操作等の特定の操作を実行できる利用者を限定することができ、安全性を確保することができる。また、識別後、操作許可フラグを用いてエンジン始動操作やアクセル操作等の操作可能状態を維持することで、エンジン始動操作やアクセル操作等を行う度に識別を行う必要がなくなるため、利便性を向上させることができる。すなわち本実施形態によれば、利便性と安全性を両立させた車両用生体認証装置を提供することができる。
【0053】
2−3.解除処理
本実施形態では、利用者はエンジン停止操作(イグニッションOFFにする操作)やボタン操作等の所定の操作を行うことで、全ての操作について操作可能な状態を解除することができる。例えば、解除部27は、エンジン停止操作が行われてから一定時間経過した場合に、全ての操作の操作許可フラグを「0」にする処理を行う。
【0054】
また、本実施形態では、識別済みの利用者は、自動車の車内やドアノブに設けられた静脈センサーを用いて生体認証を行うことで、自身に許可された操作について個別に操作可能な状態を解除することができる。
【0055】
図8は、解除処理の一例を示すフローチャート図である。
【0056】
まず、静脈センサーは、利用者の静脈画像を取得する(ステップS50)。次に、特徴抽出部22は、取得した静脈画像の特徴量を抽出して静脈パターンを取得する処理を行う(ステップS52)。
【0057】
次に、識別部24は、取得された静脈パターンと、図3に示すような登録された照合用の静脈パターンとを照合し(ステップS54)、登録された静脈パターンのうち、取得された静脈パターンと一致するものがあるか否かを判断する(ステップS56)。
【0058】
ステップS56において、一致すると判断された場合(ステップS56:Yes)には、解除部27は、操作許可情報を参照して(ステップS58)、識別された利用者に許可された操作の操作許可フラグを0にする(ステップS60)。一方、ステップS56で一致しないと判断された場合(ステップS56:No)には、解除処理を終了する。
【0059】
次に、解除部27は、他の識別済みの利用者に許可された操作の操作許可フラグを1にする。
【0060】
例えば、図6(B)に示す場合において、取得された静脈パターンが利用者ID「1」の静脈パターンと一致した場合(ステップS56:Yes)には、識別された利用者IDの情報として保持されている利用者ID「1」を削除し、当該利用者ID「1」に許可された全ての操作の操作許可フラグを「0」にする。このとき、識別済みの利用者IDとして、利用者ID「3」が残っているため、当該利用者ID「3」に許可された「アクセル操作」と「ユーザ登録」の操作許可フラグを「1」にする。その結果、識別された利用者IDの情報と操作許可フラグは、図6(A)に示す状態となる。このように、運転者である利用者が自動車を離れ、子供等の利用者が車内にとどまるような場合であっても、運転者である利用者が生体認証を行って解除操作を行うことで、子供等の利用者に許可された操作のみを操作可能な状態にして、運転操作等の他の操作については操作可能な状態を解除することができ、安全性を担保することができる。
【0061】
3.変形例
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0062】
例えば、前記実施形態では、生体認証装置1に備わる記憶部30に照合用の生体情報と操作許可情報とを記憶する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、利用者が携帯可能なICカード等の情報記憶媒体に、照合用の生体情報と操作許可情報とを記憶しておき、識別部24が、利用者が携帯する前記情報記憶媒体から送信された照合用の生体情報と生体情報取得部10により取得された生体情報とを照合することで利用者を識別し、操作許可部26が、前記情報記憶媒体から送信された操作許可情報を参照して、識別された利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にしてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、識別時にドアロック機構40に制御信号を送信してドアロックを解除させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、識別後、利用者によってドアロックを解除する操作が行われた場合に、ドアロック機構40に制御信号を送信してもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、自動車用の生体認証装置として説明したが、自動車に限らず、他の車両用の生体認証装置でもよい。例えば、自動二輪車、船舶、飛行機、ヘリコプター等に用いる生体認証装置でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 生体認証装置、10 生体情報取得部、20 処理部、22 特徴抽出部、24 識別部、26 操作許可部、27 解除部、28 登録部、30 記憶部、40 ドアロック機構、42 エンジン制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する個人に許可する車両の操作を表す操作許可情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
取得された生体情報と、前記照合用の生体情報とを照合して、前記利用者を識別する識別部と、
識別された利用者に対応する照合用の生体情報に関連付けられている操作許可情報を参照して、前記識別された利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にする操作許可部とを含む、車両用生体認証装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記記憶部は、複数の照合用の生体情報と操作許可情報とを関連付けて記憶し、
前記識別部は、複数の利用者を識別し、
前記操作許可部は、識別された複数の利用者のうち、いずれかの利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にする、車両用生体認証装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、さらに、
所定の操作が行われた場合に、前記操作可能な状態を解除する解除部、
を含む、車両用生態認証装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記車両の操作は、前記車両を開錠する操作、前記車両の原動機始動の操作、及び前記車両を加速させる操作の少なくとも1つである、車両用生体認証装置。
【請求項5】
利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
照合用の生体情報と、前記照合用の生体情報を有する個人に許可する車両の操作を表す操作許可情報とを関連付けて記憶する記憶媒体を用いて、取得された生体情報と、前記照合用の生体情報とを照合し、前記利用者を識別する識別部と、
識別された利用者に対応する照合用の生体情報に関連付けられている操作許可情報を参照して、前記識別された利用者に許可する車両の操作を操作可能な状態にする操作許可部とを含む、車両用生体認証装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate