車両用空調制御装置
【課題】 駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる車両用空調制御装置を提供すること。
【解決手段】 電動コンプレッサ2の電動モータを回転速度制御するコントローラ1において、電動モータの目標回転速度を設定する加算器12及び目標回転速度設定部13と、目標回転速度へ電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御部15を備え、目標回転速度設定部13は、起動が指令されてから所定期間は、目標回転速度を所定回転速度に保持した。
【解決手段】 電動コンプレッサ2の電動モータを回転速度制御するコントローラ1において、電動モータの目標回転速度を設定する加算器12及び目標回転速度設定部13と、目標回転速度へ電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御部15を備え、目標回転速度設定部13は、起動が指令されてから所定期間は、目標回転速度を所定回転速度に保持した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置を制御する車両用空調制御装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車室内温度が高ければ、コンプレッサを高速運転し、車室内温度が低ければ、コンプレッサを低速運転し、目標温度より所定値以上低くなれば、運転を停止している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭63−57316号公報(第1−4頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、目標室内温度を維持するための電動コンプレッサの駆動と駆動停止を繰り返す際に、温度偏差で回転数が高くなることにより駆動音が大きくなっていた。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる車両用空調制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、電動コンプレッサの電動モータを回転速度制御する車両用空調制御装置において、エバポレータ通過後の空気の目標温度を設定する目標温度設定手段と、エバポレータ通過後の空気の実温度を検出する温度検出手段と、前記目標温度と前記実温度の温度差が小さくなるように、前記電動モータの目標回転速度を設定する目標回転速度設定手段と、前記目標回転速度へ前記電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御手段と、空調のオンオフを操作入力するスイッチ手段と、前記スイッチ手段の入力及び前記温度差から前記電動モータの起動と停止を前記電動モータ制御手段へ指令する起動停止指令手段と、を備え、前記目標回転速度設定手段は、起動が指令されてから所定期間は、前記目標回転速度を所定回転速度に保持する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の車両用空調制御装置を実現する実施の形態を、請求項1に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,2に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,3,4に係る発明に対応する実施例3と、請求項1,5に係る発明に対応する実施例4とに基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1に示すのは、実施例1の車両用空調制御装置を用いた空調システムの概略説明図である。
実施例1における空調システムは、コントローラ1、電動コンプレッサ2、リキッドタンク3、ファン4、コンデンサ5、エバポレータ6、電磁弁7、温度センサ8、エアコンスイッチ9を主要な構成としている。
コントローラ1は、車室内の温度が目標温度に保たれるように、電動コンプレッサ2や電磁弁7を制御する。電動コンプレッサ2の制御については、後述する。
【0009】
電動コンプレッサ2は、エバポレータ6からの冷媒を圧縮して高圧冷媒をコンデンサ5へ送る。
リキッドタンク3は、一時的に液化した冷媒を溜めるようにし、水分やゴミを除去し、液化冷媒を電磁弁7へ送る。
ファン4は、車室内を空調する冷却風を発生させ、車室内へ送る。
コンデンサ5は、電動コンプレッサ2からの高圧冷媒を放熱冷却させ液化させる。
エバポレータ6は、冷媒を蒸発させてファン4が車室内に送る空気を冷却する。
【0010】
電磁弁7は、コントローラ1からの指令により冷媒量を制御する。なお、エキスパンションバルブとしての機能を備えるようにしてもよく、別に設けるようにしてもよい。
温度センサ8は、エバポレータ通過直後の空気温を検出する。
エアコンスイッチ9は、車室内に設けられ、乗員の操作により空調システムのオンオフを入力する操作スイッチである。
【0011】
図2に示すのは、実施例1のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
コントローラに組み込まれた車両用空調制御装置は、目標温度設定部11、加算器12、目標回転速度設定部13、起動停止指令部14、電動モータ制御部15を主要な構成としている。
目標温度設定部11は、日射量、車室内温度、エアコンの目標温度設定などの情報を用いてエバポレータ通過直後の空気の目標温度を設定し、加算器12へ出力する。
加算器12は、目標温度設定部11からの空気の目標温度と、温度センサ8からの実際の温度(実温度)の偏差を演算し、目標回転速度設定部13、及び起動停止指令部14へ出力する。
【0012】
目標回転速度設定部13は、目標温度に対し、実温度が高い場合は、目標回転速度を上げて、温度を下げようとする。例としてPI制御を挙げておく。但し、起動指令を受けてから所定期間は、目標回転速度を所定値に保持する。
起動停止指令部14は、エアコンスイッチ9による操作入力と、温度偏差から起動、停止を判断して指令を、目標回転速度設定部13及び電動モータ制御部15へ出力する。具体的には、目標温度に対して実温度が所定温度差以上、下回った場合に、モータを停止し、モータ停止中に目標温度まで実温度が上昇したら起動する指令を出力する。
電動モータ制御部15は、目標回転速度が実現するように、電動コンプレッサ2の電動モータを制御する。ただし、停止指令中は、目標回転速度に関係なく、電動モータを停止する。
【0013】
次に作用を説明する。
[停止状態と駆動状態の切替処理]
図3に示すのは、起動停止指令部における制御状態の遷移を示す図である。
状態S1は、電動コンプレッサ2の電動モータの停止状態であり、状態S2は、電動コンプレッサ2の電動モータの駆動状態である。
【0014】
初期状態は、モータ停止の状態S1とする。
停止の状態S1から駆動の状態S2へ移行する条件としては、エアコンスイッチ9によるオフからオンへの切り替わり、または、エバポレータ6を通過直後の実温度が目標温度より高い状態(エバ直温度>エバ直目標温度)から、実温度が目標温度以下の状態(エバ直温度≦エバ直目標温度)に変わったことを条件とする。
【0015】
次に、駆動の状態S2から停止の状態S1へ移行する条件としては、エアコンスイッチ9によりオンからオフへの切り替わり、または、エバポレータ6を通過直後の実温度が、目標温度から所定値Thysを減算した温度より低い状態(エバ直温度<エバ直目標温度−Thys)から、実温度が、目標温度から所定値Thysを減算した温度以上となった状態(エバ直温度≧エバ直目標温度−Thys)に変わったことを条件とする。
所定値Thysは、例えば2℃程度の定数とする。停止、駆動状態の切り替わりが頻繁にならないようにするためにヒステリシスを設けている。
【0016】
[駆動状態への切替り時の動作処理]
図4に示すのは、目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0017】
ステップS11では、エアコンスイッチ9の操作入力によるものではなく、実温度が目標温度より高い状態から、実温度が目標温度以下の状態に変わったことによる停止状態から駆動状態への切り替わりかどうかを判断する。条件成立の場合には、ステップS12へ進み、条件不成立の場合には、ステップS15へ進む。
【0018】
ステップS12では、保持動作モードとして、目標回転速度設定部13が設定する電動コンプレッサ2の電動モータの目標回転速度の最大値を通常の温度制御モードの状態よりも低い値に制限する。
【0019】
ステップS13では、保持動作モードの時間のカウントをスタートする。
【0020】
ステップS14では、保持動作モードの時間が所定時間に達したかどうかを判断し、所定時間に達したならばステップS15へ進み、所定時間に達していないならばステップS16へ進む。
【0021】
ステップS15では、温度制御モードとして、目標回転速度設定部13が設定する電動コンプレッサ2の電動モータの目標回転速度の最大値を保持動作モードの制限を解除した大きい通常値にして、目標温度に実温度を近づける通常の制御を行う。
【0022】
ステップS16では、保持動作モードを維持する。
【0023】
ステップS17では、保持動作モードの時間のカウントをインクリメント(増加)する。
【0024】
[停止状態から駆動状態切り替わる際に保持動作モードとなる作用]
図5は、実施例1の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。図6は、空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、目標回転速度のタイムチャートである。
【0025】
実施例1の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムでは、目標温度設定部11により、日射量、車室内温度、エアコンの目標温度設定などの情報を用いてエバポレータ通過直後の空気の目標温度を設定する。
そして、温度センサ8でエバポレータ6の直後の空気温度を検出して実温度とする。この目標温度と実温度の偏差を加算器12で演算し、偏差の値に比例した制御量(P制御)、偏差の値を積分した制御量(I制御)の例えばPI制御により、目標回転速度を設定する。これにより電動モータ制御部15は、目標回転速度が実現するようモータ制御を行う。
【0026】
このように制御されたことにより、目標温度から所定値Thys(例として2℃)を減算した温度以下に実温度が下がると、起動停止指令部14の指令により、電動コンプレッサ2の電動モータが停止している状態になる(状態S2→S1)。
【0027】
そして、電動コンプレッサ2の停止により、温度センサ8で検出するエバポレータ6の直後の冷却風が徐々に上昇し、目標温度に達すると、起動停止指令部14の指令により、電動コンプレッサ2の電動モータを駆動させる状態になる(状態S1→S2、図5の符号101〜103参照)。
この際には、起動停止指令部14の指令が目標回転速度設定部13へ入力される。その際に、目標温度と実温度の関係による起動であることを示す入力を行うか、または目標回転速度設定部13が、加算器12からの入力により判断するかにより、温度による停止状態から駆動状態への切り替わりか、エアコンスイッチ9の入力によるものかを判断する(ステップS11)。
【0028】
エアコンスイッチ9によるものの場合には、作動音を乗員に聞かせるほうが、操作者の意に応じた動作を行っていることを伝達することができるため、通常の温度制御モードへ移行する(ステップS11→S15)。
【0029】
温度による停止状態から駆動状態への切り替わりの場合には、保持動作モードでの動作を行う(図5の符号104、ステップS12、図5(a),(b)参照)。この保持動作モードでは、目標回転速度設定部13における電動コンプレッサ2の電動モータの目標回転速度が、例えば、図5(a)に示すように目標温度と実温度との偏差が拡がるようになっても、以下の動作を行う。つまり、ステップS12〜S14でカウントする所定時間の経過(図5(c)参照)までは、目標温度と実温度との偏差に関わらず、電動モータの目標回転速度の最大値を通常の最大値よりも低い値に抑制する(図5の符号104、105、図5(d)参照)。
【0030】
すると、所定時間経過後(例として10sec後)に保持動作モードから通常の温度制御モードになり、目標回転速度の最大値の制限が解除されても、図5(a)に示すように、目標回転速度の変化が少ないために、実温度のアンダーシュートが抑制され、その結果、モータが停止せず、動作が安定する。つまり、モータの停止、駆動が頻繁に切り替えられることが抑制され、その分、動作が安定する。
【0031】
さらに説明する。
例えば、車両用の空調システムにおいて、電動コンプレッサ2の電動モータの回転速度制御を行う場合、目標温度より実温度が低くなれば、電動モータを停止することになる。
すると、モータ停止後、実温度が目標温度まで上昇すると、再び電動モータをオンにするが10秒程度は、反応せずに実温度が上昇していくことになる(図6の符号201〜203参照)。
【0032】
電動モータの回転速度制御に積分制御が含まれていると、その分、温度差が蓄積し、電動モータの目標回転数が上昇する(図6の符号204参照)。
そして、電動モータの再駆動の開始による電動コンプレッサの作動の開始により、遅れて温度が下がり始めると、それまでの分の積分制御の影響で、目標回転数は高くなっているので、温度の下がり方が速くなり、すぐに、再度目標温度より実温度が低くなり、電動モータが停止する(図6の符号203、204参照)。
【0033】
そして、上記のことが繰りかえすことになる(図6参照)。この動作において、電動モータが起動して以降、温度偏差で回転数が高くなることにより駆動音が大きくなってしまう。
【0034】
実施例1では、保持動作モードを設けることにより、図5(d)に示すように、回転数速度の最大値が抑制される。また、回転数が大きく落ち込むことを生じないようにできる。このように目標回転速度の変化を少なくすると、実温度のアンダーシュートが抑制され、その結果、モータが停止せず、動作が安定する。つまり、頻繁な駆動と停止の繰り返しが抑制される。
そのため、モータの駆動音が低く抑えられる。
【0035】
高速な回転数が抑制されることにより定常的な駆動音が抑制され、且つ回転数の大きな変動の抑制は、駆動音の変化を抑制し、乗員が不快な音と気付くことを抑制することになる。
【0036】
また、一時的な高回転化の抑制は、効率低下を防ぐ、つまり鉄損の増加を防ぐことになる。
【0037】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用空調制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0038】
(1)電動コンプレッサ2の電動モータを回転速度制御するコントローラ1において、エバポレータ6を通過後の空気の目標温度を設定する目標温度設定部11と、エバポレータ6を通過後の空気の実温度を検出する温度センサ8と、目標温度と実温度の温度差が小さくなるように、電動モータの目標回転速度を設定する加算器12及び目標回転速度設定部13と、目標回転速度へ電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御部15と、空調のオンオフを操作入力するエアコンスイッチ9と、エアコンスイッチ9の入力及び温度差から電動モータの起動と停止を電動モータ制御部15へ指令する起動停止指令部14を備え、目標回転速度設定部13は、起動が指令されてから所定期間は、目標回転速度を所定回転速度に保持するため、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、所定期間の終了タイミングを実温度が低下し始めるタイミングに基づいて設定する例である。
構成を説明する。
図7は実施例2のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
目標回転速度設定部16は、実温度が低下し始めるタイミングに基づいて、保持期間の終了時期を設定する。例えば、温度低下直後に終了してもよいし、温度低下開始から所定期間後としてもよい。
その他構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0040】
作用を説明する。
[駆動状態への切替り時の動作処理]
図8に示すのは、目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。なお、図4と同様の処理を行うステップについては、同じ符号を示し説明を省略する。
【0041】
ステップS21では、実温度が低下し始めたかどうかを判断し、低下し始めたならばステップS22へ進み、低下し始めていないならばステップS23へ進む。
【0042】
ステップS22では、実温度が低下し始めた現時点に所定時間値を加算することにより、カウントされている所定時間の終了時間(終期)を設定する。
【0043】
ステップS23では、保持動作モードを維持する。
【0044】
ステップS24では、保持動作モードの時間のカウントをインクリメント(増加)する。
【0045】
[停止状態から駆動状態切り替わる際に保持動作モードとなる作用]
図9は、実施例2の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。
実施例2では、モータ停止後、実温度が目標温度を超えたことにより、モータを保持動作モードで駆動開始した場合(図9、符号301〜305参照)、実温度が低下し始めるかどうかを判断する(ステップS21)。
【0046】
実温度が上昇を続けるか、または定温状態ならば、時間カウントを行いつつ、保持動作モードを継続する(ステップS23、S24)。
その後、実温度が低下し始めたならば(図9(a)のA点参照)、その時点に所定時間値を加えるようにして、所定時間の終了タイミングを設定する(ステップS21→S22)。
そして、設定された所定時間に達したならば、通常の温度制御モードに切り替える(図9参照)。
【0047】
このように実施例2では、実温度が低下し始める時点を考慮して、保持動作モードの終了タイミングを決める。そのため、車両への日射の状況、運転状況としての路面温度や周囲温度などの状況により、実温度が目標温度を超えて上がり始めてから、冷却作用により低下するまでが長くなるような場合であっても、保持動作モードの終了タイミングを適確なものにする。
【0048】
もし、実温度が下がり始める前に保持動作モードが終了すれば、上記説明したように、目標回転速度が上昇し、駆動音が問題になる。
実施例2では、実温度が下がり始めてから、所定時間を設定するため、保持動作モードの終了タイミングが早すぎて、目標回転速度が上昇し、駆動音が問題になるようなことを防止する。
【0049】
効果を説明する。
実施例2の車両用空調制御装置にあっては、上記(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(2)目標回転速度設定部13は、実温度が上昇から下降に変わる時点に基づいて、所定期間の終了時期を設定するステップS21、S22の処理を備えたため、実温度の上昇が長い時間となるような場合であっても、適確な保持動作モードの所定期間とすることができ、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、保持動作モードで抑制される目標回転速度を、入力情報から設定する例である。
構成を説明する。
図10は、実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。図11は、実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置の目標回転速度設定部が備えるマップデータである。
実施例3では、目標回転速度設定部19は、ステップS12、16の保持動作モードを行う際、日射外気温入力部17から、日射量、外気温データを入力する。そして、保持動作モードから温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度の収束値を推測し、その収束値から目標回転速度を設定する。(その他は、目標回転速度設定部13と同様である。)
日射外気温入力部17は、車両用空調システムが備える日射センサ(図示せず)、外気温センサ(図示せず)の検出結果が得られるコントローラ1の内部で得る。そのため、日射外気温入力部17は入力を示す矢印としてのみ図10に示すものとする。
なお、収束値の推定には、図11に示す推定マップ18を用いる。
その他構成は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
作用を説明する。
[停止状態から駆動状態切り替わる際に保持動作モードとなる作用]
実施例3では、目標回転速度設定部19が保持動作モードを行う際に、通常の温度制御モードの目標回転速度の最大値より低い最大値に制限する。その目標回転数は、保持動作モードの所定期間後に、温度制御モードに戻した際の目標回転速度の収束値を推定し、その推定値によって決める。
さらに、その推定値は、日射外気温入力部17から得る、日射量、外気温データから、図11に示す推定マップ18を参照して求める。
【0052】
つまり、日射量が多い場合には、目標回転速度の推定値を高い回転数と推定し、且つ外気温が高い(大きい)場合には、目標回転速度の推定値を高い回転数と推定する。
そして、推定値にある程度比例した目標回転速度を設定する。
すると、例えば、外気温度が非常に高い場合、保持動作モードから通常の温度制御モードに切り替えた時点以降において、目標温度と実温度の偏差により、目標回転速度が大きく上昇し、モータ駆動音が大きくなることを適度に抑制することができる。
言い換えて説明する。例えば、図5(a)の実温度(符号101)の特性の山の高さは、外気温や日射の関係により、より早く高くなろうとするであろう。これに対して、保持動作モードにより目標回転数を低く抑制すれば、温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度が、外気温や日射の関係により、やはりより早く高くなろうとする。すると、目標温度と実温度の差が大きくなり、温度制御モードに切り替えた後の駆動音が大きくなる。
【0053】
そのため、実施例3では、この温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度の動きを推定する。その推定値は、日射量、外気温との関係から、図11に示す推定マップ18により決定する。
そして、この推定値に基づいて、保持動作モードの目標回転速度を設定する。
【0054】
すると、日射量が強い場合、外気温が高い場合には、保持動作モードの目標回転速度を、やや高くする。駆動音抑制の効果はやや少なくなるものの、車室内冷却の作用をやや高めることにより、温度制御モードに切り替えた後に駆動音が大きくなることを抑制し、総じて駆動音を抑制することになる。
【0055】
次に、効果を説明する。
実施例3の車両用空調制御装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(3)目標回転速度設定部19が所定期間保持する所定回転速度は、所定期間経過後に行われる通常の温度制御モードによる回転速度の収束値の推定値に基づいて設定するため、保持動作モード後に通常の温度制御モードに切り替わった後に、回転速度が高い値に収束するような場合には、保持動作モードにおける目標回転速度をやや高くすることにより保持動作モードから温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度の変動を少なくし、駆動音を抑制することができる。
つまり、温度制御モードに切り替えた際に、車両の環境の影響により実温度が早く高くなろうとし、実温度と目標温度との偏差が大きくなるような場合には、保持動作モードにより目標回転速度を低く抑制しすぎると、そのずれにより、結果的に、通常の温度制御モードに戻した場合に、目標回転速度は早く高くするよう制御されることになる。そのため、このような場合を回転速度の収束値の推定値で得た場合には、保持動作モードの目標回転速度をやや高くすることにより、その後の目標回転速度の変動を抑制し、結果的に総合的な駆動音を抑制することができる。
【0056】
(4)日射量情報と外気温の情報を得る日射外気温入力部17を設け、収束値の推定値は、日射外気温入力部17からの日射量及び外気温と目標回転数の推定マップ18から求められるため、車両の環境の影響により実温度が早く高くなろうとし、実温度と目標温度との偏差が大きくなることにより駆動音が保持動作モード後の温度制御モードで大きくなることを防止することが、推定マップ18の参照により、制御に負担少なく達成することができる。
【実施例4】
【0057】
実施例4は、車室内温度と目標車室内温度との差が所定値以上高い場合には、保持動作モードに入らず、すぐに温度制御モードに入るようにした例である。
図12は実施例4のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
車室内温センサ20は、空調システムのために車室内の温度を検出するよう車室内に設けられる。実施例4では、その情報だけをコントローラ1内で得ることになるため、図12のように示す。
目標車室内温度21は、空調システムの操作入力として車内に設けられる操作入力部からの入力である。実施例4では、その情報だけをコントローラ1内で得ることになるため、図12のように示す。
目標回転速度設定部22は、目標車室内温度と車室内温度の検出値との差が所定値より高い場合には、保持動作モードを行わず、温度制御モードを行うようにする。(その他は、目標回転速度設定部13に同様である)
なお、目標車室内温度及び車室内温度、又はその温度差は、目標温度設定部11から目標回転速度設定部22へ入力するブロック構成であってもよい。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
作用を説明する。
[駆動状態への切替り時の動作処理]
図13に示すのは、目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。なお、図4と同様の処理を行うステップについては、同じ符号を示し説明を省略する。
【0059】
ステップS31では、目標車室内温度と車室内温度との差が所定温度以内かどうかを判断し、所定温度以内であるならば、ステップS11へ進み、所定温度を超えているならばステップS15へ進む。
【0060】
[保持モードを行わず温度制御モードを行う作用]
実施例4では、駆動停止状態から起動状態になる際に、目標回転速度設定部21が目標車室内温度21の入力から得る目標車室内温度と、車室内温センサ20から得る車室温との温度差が所定値内ならば、保持動作モードを行うようにする。
もし、その温度差が所定値を超えるならば、保持動作モードを行わず、温度制御モードへ移行する(ステップS31→S15)。
【0061】
車両用空調システムでは、エバポレータ6を通過直後の空気温度の実温度が、エバポレータ6を通過直後の空気温度の目標温度に近づくように制御される。
目標温度設定部11がエバポレータ6を通過直後の空気温度の目標温度を設定する際には、車室内温度が考慮されている。その上で、より直接的に、車室内温度が、乗員により操作入力で設定される目標車室内温度を大きく上回っていて、非常に高い温度になっている場合には、モータ駆動音の低減よりも、車室内温度をより早く冷却することを優先したほうが、車両の快適性を向上することができる。
そのため、実施例4では、駆動停止状態から起動状態になる際に、目標車室内温度と車室内温度との差が所定値を超えるならば、直ぐに温度制御モードへ移行し、目標回転速度に最大値の低い制限を設けない制御を行い早期に車室内を冷却する。
【0062】
次に、効果を説明する。
実施例4の車両用空調制御装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(5)操作により入力された目標車室内温度21と、車室内の温度を検出する車室内温センサ20を備え、目標回転速度設定部22は、起動が指令された際に、目標車室内温度と車室内温度の差が所定値以上である場合には、所定期間の経過にかかわらず、直ちに目標回転速度を所定回転速度に保持しない通常の温度制御モードを行うステップS31の処理を行うため、車室内温度が非常に高い場合、駆動音の抑制より車室内の冷却を優先するため、車両の快適性を高めることができる。
【0063】
以上、本発明の車両用空調制御装置を実施例1〜実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
例えば、実施例では、エアコンスイッチ9に入力のある場合には、操作入力を優先したが、エアコンスイッチ9による起動の場合も保持動作モードを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例1の車両用空調制御装置を用いた空調システムの概略説明図である。
【図2】実施例1のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図3】起動停止指令部における制御状態の遷移を示す図である。
【図4】目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。
【図6】空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、目標回転速度のタイムチャートである。
【図7】実施例2のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図8】目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。
【図10】実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図11】実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置の目標回転速度設定部が備えるマップデータである。
【図12】実施例4のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図13】目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 コントローラ
11 目標温度設定部
12 加算器
13 目標回転速度設定部
14 起動停止指令部
15 電動モータ制御部
16 目標回転速度設定部
17 日射外気温入力部
18 推定マップ
19 目標回転速度設定部
20 車室内温センサ
21 目標車室内温度
22 目標回転速度設定部
2 電動コンプレッサ
3 リキッドタンク
4 ファン
5 コンデンサ
6 エバポレータ
7 電磁弁
8 温度センサ
9 エアコンスイッチ
Thys 所定値
101〜105 (信号を示す)線
201〜204 (信号を示す)線
301〜305 (信号を示す)線
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置を制御する車両用空調制御装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車室内温度が高ければ、コンプレッサを高速運転し、車室内温度が低ければ、コンプレッサを低速運転し、目標温度より所定値以上低くなれば、運転を停止している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭63−57316号公報(第1−4頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、目標室内温度を維持するための電動コンプレッサの駆動と駆動停止を繰り返す際に、温度偏差で回転数が高くなることにより駆動音が大きくなっていた。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる車両用空調制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、電動コンプレッサの電動モータを回転速度制御する車両用空調制御装置において、エバポレータ通過後の空気の目標温度を設定する目標温度設定手段と、エバポレータ通過後の空気の実温度を検出する温度検出手段と、前記目標温度と前記実温度の温度差が小さくなるように、前記電動モータの目標回転速度を設定する目標回転速度設定手段と、前記目標回転速度へ前記電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御手段と、空調のオンオフを操作入力するスイッチ手段と、前記スイッチ手段の入力及び前記温度差から前記電動モータの起動と停止を前記電動モータ制御手段へ指令する起動停止指令手段と、を備え、前記目標回転速度設定手段は、起動が指令されてから所定期間は、前記目標回転速度を所定回転速度に保持する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の車両用空調制御装置を実現する実施の形態を、請求項1に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,2に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,3,4に係る発明に対応する実施例3と、請求項1,5に係る発明に対応する実施例4とに基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1に示すのは、実施例1の車両用空調制御装置を用いた空調システムの概略説明図である。
実施例1における空調システムは、コントローラ1、電動コンプレッサ2、リキッドタンク3、ファン4、コンデンサ5、エバポレータ6、電磁弁7、温度センサ8、エアコンスイッチ9を主要な構成としている。
コントローラ1は、車室内の温度が目標温度に保たれるように、電動コンプレッサ2や電磁弁7を制御する。電動コンプレッサ2の制御については、後述する。
【0009】
電動コンプレッサ2は、エバポレータ6からの冷媒を圧縮して高圧冷媒をコンデンサ5へ送る。
リキッドタンク3は、一時的に液化した冷媒を溜めるようにし、水分やゴミを除去し、液化冷媒を電磁弁7へ送る。
ファン4は、車室内を空調する冷却風を発生させ、車室内へ送る。
コンデンサ5は、電動コンプレッサ2からの高圧冷媒を放熱冷却させ液化させる。
エバポレータ6は、冷媒を蒸発させてファン4が車室内に送る空気を冷却する。
【0010】
電磁弁7は、コントローラ1からの指令により冷媒量を制御する。なお、エキスパンションバルブとしての機能を備えるようにしてもよく、別に設けるようにしてもよい。
温度センサ8は、エバポレータ通過直後の空気温を検出する。
エアコンスイッチ9は、車室内に設けられ、乗員の操作により空調システムのオンオフを入力する操作スイッチである。
【0011】
図2に示すのは、実施例1のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
コントローラに組み込まれた車両用空調制御装置は、目標温度設定部11、加算器12、目標回転速度設定部13、起動停止指令部14、電動モータ制御部15を主要な構成としている。
目標温度設定部11は、日射量、車室内温度、エアコンの目標温度設定などの情報を用いてエバポレータ通過直後の空気の目標温度を設定し、加算器12へ出力する。
加算器12は、目標温度設定部11からの空気の目標温度と、温度センサ8からの実際の温度(実温度)の偏差を演算し、目標回転速度設定部13、及び起動停止指令部14へ出力する。
【0012】
目標回転速度設定部13は、目標温度に対し、実温度が高い場合は、目標回転速度を上げて、温度を下げようとする。例としてPI制御を挙げておく。但し、起動指令を受けてから所定期間は、目標回転速度を所定値に保持する。
起動停止指令部14は、エアコンスイッチ9による操作入力と、温度偏差から起動、停止を判断して指令を、目標回転速度設定部13及び電動モータ制御部15へ出力する。具体的には、目標温度に対して実温度が所定温度差以上、下回った場合に、モータを停止し、モータ停止中に目標温度まで実温度が上昇したら起動する指令を出力する。
電動モータ制御部15は、目標回転速度が実現するように、電動コンプレッサ2の電動モータを制御する。ただし、停止指令中は、目標回転速度に関係なく、電動モータを停止する。
【0013】
次に作用を説明する。
[停止状態と駆動状態の切替処理]
図3に示すのは、起動停止指令部における制御状態の遷移を示す図である。
状態S1は、電動コンプレッサ2の電動モータの停止状態であり、状態S2は、電動コンプレッサ2の電動モータの駆動状態である。
【0014】
初期状態は、モータ停止の状態S1とする。
停止の状態S1から駆動の状態S2へ移行する条件としては、エアコンスイッチ9によるオフからオンへの切り替わり、または、エバポレータ6を通過直後の実温度が目標温度より高い状態(エバ直温度>エバ直目標温度)から、実温度が目標温度以下の状態(エバ直温度≦エバ直目標温度)に変わったことを条件とする。
【0015】
次に、駆動の状態S2から停止の状態S1へ移行する条件としては、エアコンスイッチ9によりオンからオフへの切り替わり、または、エバポレータ6を通過直後の実温度が、目標温度から所定値Thysを減算した温度より低い状態(エバ直温度<エバ直目標温度−Thys)から、実温度が、目標温度から所定値Thysを減算した温度以上となった状態(エバ直温度≧エバ直目標温度−Thys)に変わったことを条件とする。
所定値Thysは、例えば2℃程度の定数とする。停止、駆動状態の切り替わりが頻繁にならないようにするためにヒステリシスを設けている。
【0016】
[駆動状態への切替り時の動作処理]
図4に示すのは、目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0017】
ステップS11では、エアコンスイッチ9の操作入力によるものではなく、実温度が目標温度より高い状態から、実温度が目標温度以下の状態に変わったことによる停止状態から駆動状態への切り替わりかどうかを判断する。条件成立の場合には、ステップS12へ進み、条件不成立の場合には、ステップS15へ進む。
【0018】
ステップS12では、保持動作モードとして、目標回転速度設定部13が設定する電動コンプレッサ2の電動モータの目標回転速度の最大値を通常の温度制御モードの状態よりも低い値に制限する。
【0019】
ステップS13では、保持動作モードの時間のカウントをスタートする。
【0020】
ステップS14では、保持動作モードの時間が所定時間に達したかどうかを判断し、所定時間に達したならばステップS15へ進み、所定時間に達していないならばステップS16へ進む。
【0021】
ステップS15では、温度制御モードとして、目標回転速度設定部13が設定する電動コンプレッサ2の電動モータの目標回転速度の最大値を保持動作モードの制限を解除した大きい通常値にして、目標温度に実温度を近づける通常の制御を行う。
【0022】
ステップS16では、保持動作モードを維持する。
【0023】
ステップS17では、保持動作モードの時間のカウントをインクリメント(増加)する。
【0024】
[停止状態から駆動状態切り替わる際に保持動作モードとなる作用]
図5は、実施例1の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。図6は、空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、目標回転速度のタイムチャートである。
【0025】
実施例1の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムでは、目標温度設定部11により、日射量、車室内温度、エアコンの目標温度設定などの情報を用いてエバポレータ通過直後の空気の目標温度を設定する。
そして、温度センサ8でエバポレータ6の直後の空気温度を検出して実温度とする。この目標温度と実温度の偏差を加算器12で演算し、偏差の値に比例した制御量(P制御)、偏差の値を積分した制御量(I制御)の例えばPI制御により、目標回転速度を設定する。これにより電動モータ制御部15は、目標回転速度が実現するようモータ制御を行う。
【0026】
このように制御されたことにより、目標温度から所定値Thys(例として2℃)を減算した温度以下に実温度が下がると、起動停止指令部14の指令により、電動コンプレッサ2の電動モータが停止している状態になる(状態S2→S1)。
【0027】
そして、電動コンプレッサ2の停止により、温度センサ8で検出するエバポレータ6の直後の冷却風が徐々に上昇し、目標温度に達すると、起動停止指令部14の指令により、電動コンプレッサ2の電動モータを駆動させる状態になる(状態S1→S2、図5の符号101〜103参照)。
この際には、起動停止指令部14の指令が目標回転速度設定部13へ入力される。その際に、目標温度と実温度の関係による起動であることを示す入力を行うか、または目標回転速度設定部13が、加算器12からの入力により判断するかにより、温度による停止状態から駆動状態への切り替わりか、エアコンスイッチ9の入力によるものかを判断する(ステップS11)。
【0028】
エアコンスイッチ9によるものの場合には、作動音を乗員に聞かせるほうが、操作者の意に応じた動作を行っていることを伝達することができるため、通常の温度制御モードへ移行する(ステップS11→S15)。
【0029】
温度による停止状態から駆動状態への切り替わりの場合には、保持動作モードでの動作を行う(図5の符号104、ステップS12、図5(a),(b)参照)。この保持動作モードでは、目標回転速度設定部13における電動コンプレッサ2の電動モータの目標回転速度が、例えば、図5(a)に示すように目標温度と実温度との偏差が拡がるようになっても、以下の動作を行う。つまり、ステップS12〜S14でカウントする所定時間の経過(図5(c)参照)までは、目標温度と実温度との偏差に関わらず、電動モータの目標回転速度の最大値を通常の最大値よりも低い値に抑制する(図5の符号104、105、図5(d)参照)。
【0030】
すると、所定時間経過後(例として10sec後)に保持動作モードから通常の温度制御モードになり、目標回転速度の最大値の制限が解除されても、図5(a)に示すように、目標回転速度の変化が少ないために、実温度のアンダーシュートが抑制され、その結果、モータが停止せず、動作が安定する。つまり、モータの停止、駆動が頻繁に切り替えられることが抑制され、その分、動作が安定する。
【0031】
さらに説明する。
例えば、車両用の空調システムにおいて、電動コンプレッサ2の電動モータの回転速度制御を行う場合、目標温度より実温度が低くなれば、電動モータを停止することになる。
すると、モータ停止後、実温度が目標温度まで上昇すると、再び電動モータをオンにするが10秒程度は、反応せずに実温度が上昇していくことになる(図6の符号201〜203参照)。
【0032】
電動モータの回転速度制御に積分制御が含まれていると、その分、温度差が蓄積し、電動モータの目標回転数が上昇する(図6の符号204参照)。
そして、電動モータの再駆動の開始による電動コンプレッサの作動の開始により、遅れて温度が下がり始めると、それまでの分の積分制御の影響で、目標回転数は高くなっているので、温度の下がり方が速くなり、すぐに、再度目標温度より実温度が低くなり、電動モータが停止する(図6の符号203、204参照)。
【0033】
そして、上記のことが繰りかえすことになる(図6参照)。この動作において、電動モータが起動して以降、温度偏差で回転数が高くなることにより駆動音が大きくなってしまう。
【0034】
実施例1では、保持動作モードを設けることにより、図5(d)に示すように、回転数速度の最大値が抑制される。また、回転数が大きく落ち込むことを生じないようにできる。このように目標回転速度の変化を少なくすると、実温度のアンダーシュートが抑制され、その結果、モータが停止せず、動作が安定する。つまり、頻繁な駆動と停止の繰り返しが抑制される。
そのため、モータの駆動音が低く抑えられる。
【0035】
高速な回転数が抑制されることにより定常的な駆動音が抑制され、且つ回転数の大きな変動の抑制は、駆動音の変化を抑制し、乗員が不快な音と気付くことを抑制することになる。
【0036】
また、一時的な高回転化の抑制は、効率低下を防ぐ、つまり鉄損の増加を防ぐことになる。
【0037】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用空調制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0038】
(1)電動コンプレッサ2の電動モータを回転速度制御するコントローラ1において、エバポレータ6を通過後の空気の目標温度を設定する目標温度設定部11と、エバポレータ6を通過後の空気の実温度を検出する温度センサ8と、目標温度と実温度の温度差が小さくなるように、電動モータの目標回転速度を設定する加算器12及び目標回転速度設定部13と、目標回転速度へ電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御部15と、空調のオンオフを操作入力するエアコンスイッチ9と、エアコンスイッチ9の入力及び温度差から電動モータの起動と停止を電動モータ制御部15へ指令する起動停止指令部14を備え、目標回転速度設定部13は、起動が指令されてから所定期間は、目標回転速度を所定回転速度に保持するため、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、所定期間の終了タイミングを実温度が低下し始めるタイミングに基づいて設定する例である。
構成を説明する。
図7は実施例2のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
目標回転速度設定部16は、実温度が低下し始めるタイミングに基づいて、保持期間の終了時期を設定する。例えば、温度低下直後に終了してもよいし、温度低下開始から所定期間後としてもよい。
その他構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0040】
作用を説明する。
[駆動状態への切替り時の動作処理]
図8に示すのは、目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。なお、図4と同様の処理を行うステップについては、同じ符号を示し説明を省略する。
【0041】
ステップS21では、実温度が低下し始めたかどうかを判断し、低下し始めたならばステップS22へ進み、低下し始めていないならばステップS23へ進む。
【0042】
ステップS22では、実温度が低下し始めた現時点に所定時間値を加算することにより、カウントされている所定時間の終了時間(終期)を設定する。
【0043】
ステップS23では、保持動作モードを維持する。
【0044】
ステップS24では、保持動作モードの時間のカウントをインクリメント(増加)する。
【0045】
[停止状態から駆動状態切り替わる際に保持動作モードとなる作用]
図9は、実施例2の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。
実施例2では、モータ停止後、実温度が目標温度を超えたことにより、モータを保持動作モードで駆動開始した場合(図9、符号301〜305参照)、実温度が低下し始めるかどうかを判断する(ステップS21)。
【0046】
実温度が上昇を続けるか、または定温状態ならば、時間カウントを行いつつ、保持動作モードを継続する(ステップS23、S24)。
その後、実温度が低下し始めたならば(図9(a)のA点参照)、その時点に所定時間値を加えるようにして、所定時間の終了タイミングを設定する(ステップS21→S22)。
そして、設定された所定時間に達したならば、通常の温度制御モードに切り替える(図9参照)。
【0047】
このように実施例2では、実温度が低下し始める時点を考慮して、保持動作モードの終了タイミングを決める。そのため、車両への日射の状況、運転状況としての路面温度や周囲温度などの状況により、実温度が目標温度を超えて上がり始めてから、冷却作用により低下するまでが長くなるような場合であっても、保持動作モードの終了タイミングを適確なものにする。
【0048】
もし、実温度が下がり始める前に保持動作モードが終了すれば、上記説明したように、目標回転速度が上昇し、駆動音が問題になる。
実施例2では、実温度が下がり始めてから、所定時間を設定するため、保持動作モードの終了タイミングが早すぎて、目標回転速度が上昇し、駆動音が問題になるようなことを防止する。
【0049】
効果を説明する。
実施例2の車両用空調制御装置にあっては、上記(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(2)目標回転速度設定部13は、実温度が上昇から下降に変わる時点に基づいて、所定期間の終了時期を設定するステップS21、S22の処理を備えたため、実温度の上昇が長い時間となるような場合であっても、適確な保持動作モードの所定期間とすることができ、駆動音を抑制することができ、また効率低下を抑制することができる。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、保持動作モードで抑制される目標回転速度を、入力情報から設定する例である。
構成を説明する。
図10は、実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。図11は、実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置の目標回転速度設定部が備えるマップデータである。
実施例3では、目標回転速度設定部19は、ステップS12、16の保持動作モードを行う際、日射外気温入力部17から、日射量、外気温データを入力する。そして、保持動作モードから温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度の収束値を推測し、その収束値から目標回転速度を設定する。(その他は、目標回転速度設定部13と同様である。)
日射外気温入力部17は、車両用空調システムが備える日射センサ(図示せず)、外気温センサ(図示せず)の検出結果が得られるコントローラ1の内部で得る。そのため、日射外気温入力部17は入力を示す矢印としてのみ図10に示すものとする。
なお、収束値の推定には、図11に示す推定マップ18を用いる。
その他構成は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
作用を説明する。
[停止状態から駆動状態切り替わる際に保持動作モードとなる作用]
実施例3では、目標回転速度設定部19が保持動作モードを行う際に、通常の温度制御モードの目標回転速度の最大値より低い最大値に制限する。その目標回転数は、保持動作モードの所定期間後に、温度制御モードに戻した際の目標回転速度の収束値を推定し、その推定値によって決める。
さらに、その推定値は、日射外気温入力部17から得る、日射量、外気温データから、図11に示す推定マップ18を参照して求める。
【0052】
つまり、日射量が多い場合には、目標回転速度の推定値を高い回転数と推定し、且つ外気温が高い(大きい)場合には、目標回転速度の推定値を高い回転数と推定する。
そして、推定値にある程度比例した目標回転速度を設定する。
すると、例えば、外気温度が非常に高い場合、保持動作モードから通常の温度制御モードに切り替えた時点以降において、目標温度と実温度の偏差により、目標回転速度が大きく上昇し、モータ駆動音が大きくなることを適度に抑制することができる。
言い換えて説明する。例えば、図5(a)の実温度(符号101)の特性の山の高さは、外気温や日射の関係により、より早く高くなろうとするであろう。これに対して、保持動作モードにより目標回転数を低く抑制すれば、温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度が、外気温や日射の関係により、やはりより早く高くなろうとする。すると、目標温度と実温度の差が大きくなり、温度制御モードに切り替えた後の駆動音が大きくなる。
【0053】
そのため、実施例3では、この温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度の動きを推定する。その推定値は、日射量、外気温との関係から、図11に示す推定マップ18により決定する。
そして、この推定値に基づいて、保持動作モードの目標回転速度を設定する。
【0054】
すると、日射量が強い場合、外気温が高い場合には、保持動作モードの目標回転速度を、やや高くする。駆動音抑制の効果はやや少なくなるものの、車室内冷却の作用をやや高めることにより、温度制御モードに切り替えた後に駆動音が大きくなることを抑制し、総じて駆動音を抑制することになる。
【0055】
次に、効果を説明する。
実施例3の車両用空調制御装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(3)目標回転速度設定部19が所定期間保持する所定回転速度は、所定期間経過後に行われる通常の温度制御モードによる回転速度の収束値の推定値に基づいて設定するため、保持動作モード後に通常の温度制御モードに切り替わった後に、回転速度が高い値に収束するような場合には、保持動作モードにおける目標回転速度をやや高くすることにより保持動作モードから温度制御モードに切り替えた後の目標回転速度の変動を少なくし、駆動音を抑制することができる。
つまり、温度制御モードに切り替えた際に、車両の環境の影響により実温度が早く高くなろうとし、実温度と目標温度との偏差が大きくなるような場合には、保持動作モードにより目標回転速度を低く抑制しすぎると、そのずれにより、結果的に、通常の温度制御モードに戻した場合に、目標回転速度は早く高くするよう制御されることになる。そのため、このような場合を回転速度の収束値の推定値で得た場合には、保持動作モードの目標回転速度をやや高くすることにより、その後の目標回転速度の変動を抑制し、結果的に総合的な駆動音を抑制することができる。
【0056】
(4)日射量情報と外気温の情報を得る日射外気温入力部17を設け、収束値の推定値は、日射外気温入力部17からの日射量及び外気温と目標回転数の推定マップ18から求められるため、車両の環境の影響により実温度が早く高くなろうとし、実温度と目標温度との偏差が大きくなることにより駆動音が保持動作モード後の温度制御モードで大きくなることを防止することが、推定マップ18の参照により、制御に負担少なく達成することができる。
【実施例4】
【0057】
実施例4は、車室内温度と目標車室内温度との差が所定値以上高い場合には、保持動作モードに入らず、すぐに温度制御モードに入るようにした例である。
図12は実施例4のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
車室内温センサ20は、空調システムのために車室内の温度を検出するよう車室内に設けられる。実施例4では、その情報だけをコントローラ1内で得ることになるため、図12のように示す。
目標車室内温度21は、空調システムの操作入力として車内に設けられる操作入力部からの入力である。実施例4では、その情報だけをコントローラ1内で得ることになるため、図12のように示す。
目標回転速度設定部22は、目標車室内温度と車室内温度の検出値との差が所定値より高い場合には、保持動作モードを行わず、温度制御モードを行うようにする。(その他は、目標回転速度設定部13に同様である)
なお、目標車室内温度及び車室内温度、又はその温度差は、目標温度設定部11から目標回転速度設定部22へ入力するブロック構成であってもよい。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
作用を説明する。
[駆動状態への切替り時の動作処理]
図13に示すのは、目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。なお、図4と同様の処理を行うステップについては、同じ符号を示し説明を省略する。
【0059】
ステップS31では、目標車室内温度と車室内温度との差が所定温度以内かどうかを判断し、所定温度以内であるならば、ステップS11へ進み、所定温度を超えているならばステップS15へ進む。
【0060】
[保持モードを行わず温度制御モードを行う作用]
実施例4では、駆動停止状態から起動状態になる際に、目標回転速度設定部21が目標車室内温度21の入力から得る目標車室内温度と、車室内温センサ20から得る車室温との温度差が所定値内ならば、保持動作モードを行うようにする。
もし、その温度差が所定値を超えるならば、保持動作モードを行わず、温度制御モードへ移行する(ステップS31→S15)。
【0061】
車両用空調システムでは、エバポレータ6を通過直後の空気温度の実温度が、エバポレータ6を通過直後の空気温度の目標温度に近づくように制御される。
目標温度設定部11がエバポレータ6を通過直後の空気温度の目標温度を設定する際には、車室内温度が考慮されている。その上で、より直接的に、車室内温度が、乗員により操作入力で設定される目標車室内温度を大きく上回っていて、非常に高い温度になっている場合には、モータ駆動音の低減よりも、車室内温度をより早く冷却することを優先したほうが、車両の快適性を向上することができる。
そのため、実施例4では、駆動停止状態から起動状態になる際に、目標車室内温度と車室内温度との差が所定値を超えるならば、直ぐに温度制御モードへ移行し、目標回転速度に最大値の低い制限を設けない制御を行い早期に車室内を冷却する。
【0062】
次に、効果を説明する。
実施例4の車両用空調制御装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(5)操作により入力された目標車室内温度21と、車室内の温度を検出する車室内温センサ20を備え、目標回転速度設定部22は、起動が指令された際に、目標車室内温度と車室内温度の差が所定値以上である場合には、所定期間の経過にかかわらず、直ちに目標回転速度を所定回転速度に保持しない通常の温度制御モードを行うステップS31の処理を行うため、車室内温度が非常に高い場合、駆動音の抑制より車室内の冷却を優先するため、車両の快適性を高めることができる。
【0063】
以上、本発明の車両用空調制御装置を実施例1〜実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
例えば、実施例では、エアコンスイッチ9に入力のある場合には、操作入力を優先したが、エアコンスイッチ9による起動の場合も保持動作モードを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例1の車両用空調制御装置を用いた空調システムの概略説明図である。
【図2】実施例1のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図3】起動停止指令部における制御状態の遷移を示す図である。
【図4】目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。
【図6】空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、目標回転速度のタイムチャートである。
【図7】実施例2のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図8】目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2の車両用空調制御装置を用いた車両用の空調システムの目標温度、実温度、起動停止指令、動作モード、目標回転速度のタイムチャートである。
【図10】実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図11】実施例3のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置の目標回転速度設定部が備えるマップデータである。
【図12】実施例4のコントローラに組み込まれた車両用空調制御装置のブロック構成を示す図である。
【図13】目標回転速度設定部における停止状態から駆動状態へ切り替わる際の動作処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 コントローラ
11 目標温度設定部
12 加算器
13 目標回転速度設定部
14 起動停止指令部
15 電動モータ制御部
16 目標回転速度設定部
17 日射外気温入力部
18 推定マップ
19 目標回転速度設定部
20 車室内温センサ
21 目標車室内温度
22 目標回転速度設定部
2 電動コンプレッサ
3 リキッドタンク
4 ファン
5 コンデンサ
6 エバポレータ
7 電磁弁
8 温度センサ
9 エアコンスイッチ
Thys 所定値
101〜105 (信号を示す)線
201〜204 (信号を示す)線
301〜305 (信号を示す)線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動コンプレッサの電動モータを回転速度制御する車両用空調制御装置において、
エバポレータ通過後の空気の目標温度を設定する目標温度設定手段と、
エバポレータ通過後の空気の実温度を検出する温度検出手段と、
前記目標温度と前記実温度の温度差が小さくなるように、前記電動モータの目標回転速度を設定する目標回転速度設定手段と、
前記目標回転速度へ前記電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御手段と、
空調のオンオフを操作入力するスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の入力及び前記温度差から前記電動モータの起動と停止を前記電動モータ制御手段へ指令する起動停止指令手段と、
を備え、
前記目標回転速度設定手段は、起動が指令されてから所定期間は、前記目標回転速度を所定回転速度に保持する、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調制御装置において、
前記目標回転速度設定手段は、前記実温度が上昇から下降に変わる時点に基づいて、前記所定期間の終了時期を設定する、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用空調制御装置において、
前記目標回転速度設定手段が所定期間保持する前記所定回転速度は、所定期間経過後に行われる通常制御による回転速度の収束値の推定値に基づいて設定する、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用空調制御装置において、
日射量情報と外気温の情報を得る情報入力手段を設け、
前記収束値の推定値は、日射量及び外気温と目標回転数のマップデータから求められることを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用空調制御装置において、
操作により目標車室内温度を入力する目標車室内温度入力手段と、
車室内の温度を検出する車室内温度検出手段と、
を備え、
前記目標回転速度設定手段は、起動が指令された際に、目標車室内温度と車室内温度の差が所定値以上である場合には、所定期間の経過にかかわらず、直ちに前記目標回転速度を所定回転速度に保持しない通常の温度制御を行う、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項1】
電動コンプレッサの電動モータを回転速度制御する車両用空調制御装置において、
エバポレータ通過後の空気の目標温度を設定する目標温度設定手段と、
エバポレータ通過後の空気の実温度を検出する温度検出手段と、
前記目標温度と前記実温度の温度差が小さくなるように、前記電動モータの目標回転速度を設定する目標回転速度設定手段と、
前記目標回転速度へ前記電動モータの回転速度を制御する電動モータ制御手段と、
空調のオンオフを操作入力するスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の入力及び前記温度差から前記電動モータの起動と停止を前記電動モータ制御手段へ指令する起動停止指令手段と、
を備え、
前記目標回転速度設定手段は、起動が指令されてから所定期間は、前記目標回転速度を所定回転速度に保持する、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調制御装置において、
前記目標回転速度設定手段は、前記実温度が上昇から下降に変わる時点に基づいて、前記所定期間の終了時期を設定する、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用空調制御装置において、
前記目標回転速度設定手段が所定期間保持する前記所定回転速度は、所定期間経過後に行われる通常制御による回転速度の収束値の推定値に基づいて設定する、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用空調制御装置において、
日射量情報と外気温の情報を得る情報入力手段を設け、
前記収束値の推定値は、日射量及び外気温と目標回転数のマップデータから求められることを特徴とする車両用空調制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用空調制御装置において、
操作により目標車室内温度を入力する目標車室内温度入力手段と、
車室内の温度を検出する車室内温度検出手段と、
を備え、
前記目標回転速度設定手段は、起動が指令された際に、目標車室内温度と車室内温度の差が所定値以上である場合には、所定期間の経過にかかわらず、直ちに前記目標回転速度を所定回転速度に保持しない通常の温度制御を行う、
ことを特徴とする車両用空調制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−96432(P2009−96432A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272523(P2007−272523)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]