説明

車両用空調装置

【課題】無駄な空調風を吹き出すことなく効率的に車室内を空調することを目的とする。
【解決手段】シートアレンジを検出し(100)、検出したシートアレンジが通常シートアレンジの場合は、助手席側後席足下吹出し口、運転席側後席足下吹出し口、天井吹出し口、及び後席リヤ側足下吹出し口を開放し(102、104)、格納シートアレンジの場合は、助手席側後席足下吹出し口、運転席側後席足下吹出し口、天井吹出し口、及び後席リヤ側足下吹出し口を閉鎖し(106、108)、フラットシートアレンジの場合は、助手席側後席足下吹出し口、運転席側後席足下吹出し口、後席リヤ側足下吹出し口を閉鎖かつ天井吹出し口を開放する(110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置にかかり、特に、吹出し口の制御が可能な車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吹出し口の制御が可能な車両用空調装置としては、例えば、特許文献1〜4に記載の技術が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、空調風の揺動範囲、吹出範囲、吹出位置、吹出方向、吹出角度、吹出領域、吹出風速、吹出風量または配風量のうちいずれか1つ以上の吹出状態を変更可能な車両用空調装置が提案されている。
【0004】
特許文献2に記載の技術では、座席に加わる荷重を検出する乗員検知センサからの検知出力によって座席への着座状況を判別し、判別結果に基づいて、乗員のいない座席への風の吹出しなどを行なわないようにして空調することが提案されている。
【0005】
特許文献3に記載の技術では、非接触温度センサを用いて、車室内の温度分布を検出することで、車室内の乗員の顔の位置を判別して、この顔の位置情報に該当する空調領域だけを空調することが提案されている。
【0006】
特許文献4に記載の技術では、車室内の検出対象の表面温度を非接触で検出する非接触検出センサを用いて、表面温度に応じて空調状態(吹出口モードや、吹出空気温度、送風量など)を自動的に制御することが提案されている。
【特許文献1】特開2000−233639号公報
【特許文献2】特開2003−011639号公報
【特許文献3】特開2004−189174号公報
【特許文献4】特開2005−059677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の各特許文献では様々な空調制御を行なうようにしているが、近年では、後席などのシートアレンジを様々な状態に変更可能とされた車両があり、このようにシートアレンジが変更可能な車両では、シートアレンジによっては吹出し口が機能を果たさず、無駄な空調風を吹き出すことがある。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、無駄な空調風を吹き出すことなく効率的に車室内を空調することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、乗員が着座可能な状態とされた通常シートアレンジ、予め定められた位置に格納された状態とされた格納シートアレンジ、及びフラット状態とされたフラットシートアレンジの少なくとも2以上のシートアレンジに変更可能な後席の前記シートアレンジを検出する検出手段から検出結果を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記シートアレンジに基づいて、前記シートアレンジに応じて予め定めた位置から空調風を吹き出すように、車室内を空調するための空調風を吹き出す複数の吹出し口の状態を切換える切換手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、後席のシートアレンジが、通常シートアレンジ、格納シートアレンジ、及びフラットシートアレンジの少なくとも2以上のシートアレンジに変更可能とされており、該シートアレンジが検出手段によって検出され、取得手段によって検出手段の検出結果が取得される。
【0011】
そして、切換手段では、取得手段によって取得されたシートアレンジに基づいて、シートアレンジに応じて予め定めた位置から空調風を吹き出すように、複数の吹出し口の状態が切換えられる。すなわち、シートアレンジによって機能しなくなる吹出し口からの空調風を停止し、機能する吹出し口からのみ空調風を吹き出すことができるので、無駄な空調風を吹き出すことなく効率的に車室内を空調することができる。
【0012】
切換手段は、例えば、請求項2に記載の発明のように、通常シートアレンジの場合に、後席の足下へ空調風吹き出す後席足下吹出し口、及び天井から空調風を吹き出す天井吹出し口を開放し、格納シートアレンジの場合に、後席足下吹出し口、及び天井吹出し口を閉鎖し、フラットシートアレンジの場合に、後席足下吹出し口を閉鎖しかつ天井吹出し口を開放するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、シートアレンジに応じて吹出し口を切換えるようにしたので、無駄な空調風を吹き出すことなく効率的に車室内を空調することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置のフロント側の吹出し口位置を示す図であり、図3は、リヤ側の吹出し口位置を示す図である。
【0015】
本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置10は、車室内を空調するための各種制御を行うためのエアコンECU(Electronic Control Unit)12を備えていると共に、コンプレッサ14、コンデンサ16、エキスパンションバルブ18、及びエバポレータ20を含む冷媒の循環路によって冷凍サイクルを備えている。
【0016】
すなわち、エアコンECU12の制御によってコンプレッサ14がオンされると、コンプレッサ14によって冷媒が圧縮されて冷凍サイクルを循環される。これにより、冷媒の熱がコンデンサ16で放熱されて、エバポレータ20の上流側に設けられたエキスパンションバルブ18によって液化している冷媒が急激に減圧されることで、冷媒が霧状になってエバポレータ20へ供給される。エバポレータ20では、圧縮されて液化している冷媒が気化されることで、このエバポレータ20を通過する空気(以下、エバポレータ後の空気という)が冷却される。このとき、エバポレータ20では、通過する空気が冷却されることにより、空気中の水分が結露され、エバポレータ後の空気が除湿される。
【0017】
車両用空調装置10のエバポレータ20は、図示しない空調ダクト内に設けられている。この空調ダクトは、両端が開口しており、一方の開口端には、図示しない空気取入口が形成されている。また他方の開口端には、車室内へ向けて開口された複数の吹出し口(図2のA〜Kや図3のA〜E)が形成されている。また、空調ダクト内には、エンジン冷却水が循環するヒータコアが設けられており、エバポレータ後の空気の、ヒータコアを通過する量とヒータコアをバイパスする量を図示しないエアミックスダンパによって調整して各吹出し口から空調風を吹き出す。
【0018】
なお、空気取入口は、車両外部と連通し、空調ダクト内に外気を導入可能となっている。また、空気取入口は、車室内と連通しており車室内の空気(内気)を空調ダクト内に導入可能となっている。また、フロント側の吹出し口(図2のA〜K)とリヤ側の吹出し口(図3のA〜E)に対応する空気取入口は、それぞれに対応する空気取入口を備えて別ユニットとしてもよい。
【0019】
本実施の形態では、車室内フロント側の吹出し口(図2のA〜K)から空調風を吹き出すためのフロントブロアモータ22と、車室内リヤ側の吹出し口(図3のA〜E)から空調風を吹き出すためのリヤブロアモータ24と、を備えており、それぞれ別々に駆動可能とされている。
【0020】
フロント側の吹出し口としては、運転席サイドレジスタ(図2のA)、運転席センターレジスタ(図2のB)、助手席センターレジスタ(図2のC)、助手席サイドレジスタ(図2のD)、運転席足下吹出し口(図2のE)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、助手席足下吹出し口(図2のG)、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側サイドデフロスタ(図2のI)、フロントデフロスタ(図2のJ)、助手席側サイドデフロスタ(図2のK)、天井吹出し口(図3のA〜D)、後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)等が設けられている。
【0021】
エアコンECU12には、フロントブロアモータ22、リヤブロアモータ24、モード切換ダンパ用モータ26、エアミックスダンパ用モータ28、フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ30、リヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ32、コンプレッサ14、外気温センサ14、内気温センサ34、日射センサ38、及びエバポレータ後温度センサ40が接続されている。
【0022】
フロントブロアモータ22は、フロント側の吹出し口(図2のA〜K)から空調風を吹き出すためのブロアファンを駆動し、リヤブロアモータ24は、リヤ側の吹出し口(図3のA〜E)から空調風を吹き出すためのブロアファンを駆動する。
【0023】
モード切換ダンパ用モータ26は、上述した空気取入口を切換えるためのモード切換ダンパを駆動して、車室内の空気を循環する内気循環モードと、車室外の空気を取入れる外気導入モードとを切換える。
【0024】
エアミックスダンパ用モータ28は、ヒータコアを通過する空気量とヒータコアをバイパスする空気量を調整するためのエアミックスダンパを駆動する。
【0025】
フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ30は、フロント側の吹出し口(図2のA〜K)の状態を切換えるための吹出し口用ダンパを駆動し、リヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ32は、リヤ側の吹出し口(図3のA〜E)の状態を切換えるための吹出し口用ダンパを駆動する。
【0026】
そして、エアコンECU12には、車両用空調装置10の温度設定や吹出し口の選択等の車両用空調装置10の各種操作を行うための操作部42が接続されており、外気温センサ34、内気温センサ36、日射センサ38、及びエバポレータ後温度センサ40の検出値がエアコンECU12に入力され、各センサの検出結果に基づいて操作部42の設定等に応じて車室内の空調制御を行うようになっている。
【0027】
なお、フロント側の吹出し口の状態の切換としては、例えば、運転席サイドレジスタ(図2のA)、運転席センターレジスタ(図2のB)、助手席センターレジスタ(図2のC)、及び助手席サイドレジスタ(図2のD)から空調風を吹き出すFACEモード、運転席サイドレジスタ(図2のA)、運転席センターレジスタ(図2のB)、助手席センターレジスタ(図2のC)、助手席サイドレジスタ(図2のD)、運転席足下吹出し口(図2のE)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、助手席足下吹出し口(図2のG)、及び助手席側後席足下吹出し口(図2H)から空調風を吹き出すB/L(バイレベル)モード、運転席サイドレジスタ(図2のA)、助手席サイドレジスタ(図2のD)、運転席足下吹出し口(図2のE)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、助手席足下吹出し口(図2のG)、及び助手席側後席足下吹出し口(図2のH)から空調風を吹き出すFOOTモード、運転席サイドレジスタ(図2のA)、助手席サイドレジスタ(図2のD)、運転席足下吹出し口(図2のE)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、助手席足下吹出し口(図2のG)、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側サイドデフロスタ(図2のI)、フロントデフロスタ(図2のJ)、及び助手席側サイドデフロスタ(図2のK)から空調風を吹き出すF/Dモード、運転席サイドレジスタ(図2のA)、助手席サイドレジスタ(図2のD)、運転席側サイドデフロスタ(図2のI)、フロントデフロスタ(図2のJ)、及び助手席側サイドデフロスタ(図2のK)から空調風を吹き出すDEFモードなどがある。
【0028】
また、リヤ側の吹出し口の状態の切換としては、天井吹出し口(図3のA〜D)から空調風を吹き出すFACE、天井吹出し口(図3のA〜E)及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)から空調風を吹き出すB/L(バイレベル)モード、後席リヤ側足下吹出し口(図2のE)から空調風を吹き出すFOOTモードなどがある。
【0029】
また、各モードにおいて各吹出し口から吹き出される風量としては、図4、5の矢印の大きさで示すような風量の空調風を吹き出す。なお、図4はフロントブロアモータ22を駆動することによって空調風を吹き出す吹出し口の吹き出しモードとその風量を示す図であり、図5はリヤブロアモータ24を駆動することによって空調風を吹き出す吹き出し口の吹き出しモードとその風量を表す図である。また、図4、5の示す矢印の大きさが相対的な風量を表し、大きい矢印ほど風量が多いことを表す。
【0030】
ところで、本実施の形態に係わる車両用空調装置10は、上述したように、フロント側(運転席及び助手席)へ空調風を吹き出す吹出し口(図2のA〜K)と、リヤ側(後席(2、3席))へ空調風を吹き出す吹出し口(図3のA〜E)とを備えているが、後席のシートアレンジによっては吹出し口が機能せず、無駄な空調風を吹き出すことなってしまうことがある。
【0031】
そこで、本実施の形態では、エアコンECU12が、シートアレンジに応じて各吹出し口の状態を切換える制御を行なうようになっており、エアコンECU12には、シートアレンジを検出するシートアレンジ検出センサ44が接続されている。
【0032】
シートアレンジ検出センサ44は、後席に乗員が着座可能な状態か否か、格納状態か否か、或いはフラット状態か否か等のシートアレンジを検出する。例えば、シートアレンジ検出センサ44は、シートの状態毎にオンオフするスイッチ等を適用するようにしてもよいし、あるいは、シートアレンジの変更を制御するシート制御装置等からシートの状態を表す信号を受信することによってシートアレンジを検出するようにしてもよい。
【0033】
シートアレンジとしては、本実施の形態では前席(運転席及び助手席)、2列目後席、及び3列目後席のそれぞれ乗員が着座可能な状態とされた通常シートアレンジ(図6(A))、前席(運転席及び助手席)が乗員が着座可能な状態、2列目後席がシートクッションが持ち上げられて格納された状態、かつ3列目後席がフロアへ格納された状態とされた格納シートアレンジ(図6(B))、前席(運転席及び助手席)が乗員が着座可能な状態、2列目後席のシートバックが倒されてフラット化された状態、かつ3列目後席が乗員が着座可能な状態とされたフラットシートアレンジ(図6(C))などに変更可能とされおり、シートアレンジ検出センサ44によってこれらのシートアレンジを検出する。
【0034】
また、エアコンECU12には、シートアレンジに応じて吹出し口を切換える制御を行なうために、シートアレンジ応じて使用するリヤ側の吹出し口を予め定めた吹出し口切換マップが記憶されている。
【0035】
吹出し切換マップは、図7に示すように、通常シートアレンジの場合は、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、天井吹出し口(図3のA〜D)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)が開(空調風を吹き出す)に設定され、格納シートアレンジの場合は、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、天井吹出し口(図3のA〜D)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)が閉(空調風を吹き出さない)に設定され、フラットシートアレンジの場合は、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)が閉、かつ天井吹出し口(図3のA〜D)が開に設定されている。
【0036】
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置のエアコンECU12で行なわれる処理について説明する。
【0037】
操作部42によってエアコン開始が指示されると、エアコンECU12では、外気温センサ34、内気温センサ36、日射センサ38、及びエバポレータ後温度センサ40の検出結果が取得されると共に、乗員が操作部42を操作することによって設定された内容が取得される。
【0038】
そして、操作部42に設定された内容に応じて、各センサの検出結果から目標吹出し温度が算出されて、目標吹出し温度となるように、コンプレッサ14、フロントブロアモータ22、リヤブロアモータ24、及びエアミックスダンパ用モータ28が制御されることで、各吹出し口から空調風が吹き出されて車室内が空調される。また、操作部42に設定された内容に応じて、モード切換ダンパ用モータ26が制御されて空気取入口が切換られると共に、フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ30及びリヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ32が制御されて各吹出し口が切換えられる。
【0039】
また、本実施の形態では、上述したように、シートアレンジに応じた各吹出し口の状態の切換制御を行なうが、ここで、シートアレンジに応じた各吹出し口の切換制御について詳細に説明する。図8は、本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置10のエアコンECU12で行なわれる吹出し口切換処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図8の処理は、エアコン開始が指示され、操作部42によってシートアレンジに応じて吹出し口を自動的に切換える指示が行なわれた場合や自動的に空調するオートエアコンモード等が指示された場合に開始するものとする。
【0040】
まず、ステップ100では、シート状態が検出されてステップ102へ移行する。すなわち、シートアレンジ検出センサ44の検出結果が取得され、シートアレンジ検出センサ44の検出結果からシートアレンジが、図6(A)〜(C)に示す何れの状態かを確認する。
【0041】
ステップ102では、シートアレンジ検出センサ44の検出結果からフラットシートアレンジか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ106へ移行する。
【0042】
ステップ104では、フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ30が駆動されて、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、及び運転席側後席足下吹出し口(図2のF)が閉鎖されると共に、リヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ32が駆動されて、天井吹出し口(図3のA〜D)が開放、かつ後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)が閉鎖され、ステップ112へ移行する。
【0043】
ステップ106では、シートアレンジ検出センサ44の検出結果から格納シートアレンジか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合には、本実施の形態では、通常シートアレンジであるものとしてステップ110へ移行する。なお、他のシートアレンジがある場合にはシートアレンジに応じた処理を行なう。
【0044】
ステップ108では、フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ30が駆動されて、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、及び運転席側後席足下吹出し口(図2のF)が閉鎖されると共に、リヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ32が駆動されて、天井吹出し口(図3のA〜D)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)が閉鎖され、リヤブロアモータ24が停止されてステップ112へ移行する。
【0045】
ステップ110では、フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ30が駆動されて、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、及び運転席側後席足下吹出し口(図2のF)が開放されると共に、リヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ32が駆動されて、天井吹出し口(図3のA〜D)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)が開放され、ステップ112へ移行する。
【0046】
そして、ステップ112では、エアコンがオフか否か判定される。該判定は、乗員によって操作部42が操作されてエアコンオフが指示されたか否か等を判定し、該判定が否定された場合にはステップ100へ戻って上述の処理が繰り返され、ステップ112の判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、図7に示したマップのように、シートアレンジが通常シートアレンジの場合には、乗員が着座可能であり、かつ各吹出し口から吹き出される空調風が有効であるので、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、天井吹出し口(図3のA〜D)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)を開放して各吹出し口から空調風を吹き出す。
【0048】
一方、シートアレンジが格納シートアレンジの場合には、2、3列目のシートが格納されているので乗員が乗っていないと判断でき、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、天井吹出し口(図3のA〜D)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)を閉鎖して空調風を止める。これによってフロントブロアモータ22の風量を低下させることができると共に、リヤブロアモータ24を停止するので、省電力効果を得ることができる。
【0049】
また、シートアレンジがフラットシートアレンジの場合には、2列目後席がフラット状態とされることによって、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)からの空調風が2列目後席によって遮られて必要な空調風を提供できないので、助手席側後席足下吹出し口(図2のH)、運転席側後席足下吹出し口(図2のF)、及び後席リヤ側足下吹出し口(図3のE)を閉鎖して空調風を止める。これによって後席については、天井吹出し口(図3のA〜D)からのみ空調風を吹き出すことで効率的に後席を空調することができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態では、シートアレンジの例として、通常シートアレンジ、格納シートアレンジ、及びフラットシートアレンジの何れかに変更可能な例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、他のシートアレンジが可能な車両に適用してもよい。この場合には、吹出し口の位置とシートアレンジに応じて、吹出し口の状態の切換制御を行なうようにすれば、上記の実施の形態と同様に、効率的に空調することが可能となる。
【0051】
また、上記の実施の形態では、説明を簡単にするため、格納シートアレンジやフラットシートアレンジについて運転席側後席と助手席側後席を特に区別せずに説明したが、運転席側後席と助手席側後席とで異なるシートアレンジの場合には、それぞれシートアレンジに応じて吹出し口を切換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置のフロント側の吹出し口位置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置のリヤ側の吹出し口位置を示す図である。
【図4】フロントブロアモータを駆動することによって空調風を吹き出す吹出し口の吹き出しモードとその風量を示す図である。
【図5】リヤブロアモータを駆動することによって空調風を吹き出す吹き出し口の吹き出しモードとその風量を表す図である。
【図6】シートアレンジの一例を示す図であり、(A)は通常シートアレンジを示し、(B)は格納シートアレンジを示し、(C)はフラットシートアレンジを示す。
【図7】シートアレンジ応じて使用するリヤ側の吹出し口を予め定めた吹出し口切換マップの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係わる車両用空調装置のエアコンECUで行なわれる吹出し口切換処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
10 車両用空調装置
12 エアコンECU
22 フロントブロアモータ
24 リヤブロアモータ
30 フロント側吹出し口切換ダンパ用モータ
32 リヤ側吹出し口切換ダンパ用モータ
44 シートアレンジ検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座可能な状態とされた通常シートアレンジ、予め定められた位置に格納された状態とされた格納シートアレンジ、及びフラット状態とされたフラットシートアレンジの少なくとも2以上のシートアレンジに変更可能な後席の前記シートアレンジを検出する検出手段から検出結果を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記シートアレンジに基づいて、前記シートアレンジに応じて予め定めた位置から空調風を吹き出すように、車室内を空調するための空調風を吹き出す複数の吹出し口の状態を切換える切換手段と、
を備えた車両用空調装置。
【請求項2】
前記切換手段は、前記通常シートアレンジの場合に、後席の足下へ空調風吹き出す後席足下吹出し口、及び天井から空調風を吹き出す天井吹出し口を開放し、前記格納シートアレンジの場合に、前記後席足下吹出し口、及び前記天井吹出し口を閉鎖し、前記フラットシートアレンジの場合に、前記後席足下吹出し口を閉鎖しかつ前記天井吹出し口を開放する請求項1に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−89717(P2010−89717A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263681(P2008−263681)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】