説明

車両用空調装置

【課題】冷却効果を高めることができ、かつ、コストを抑えることができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置10は、第1エバポレータ25に第1供給配管31を通して冷媒を導き、第1エバポレータで空気34中の水分を除去し、除去した水分を第1ドレーン通路27で外部に導くものである。この車両用空調装置10は、第1ドレーン通路に連通され、かつ、第1供給配管を覆うことにより空気中から除去した水分を第1供給配管に沿って案内可能とした第1ガイド通路26を備える。第1ガイド通路は、第1供給配管を覆うように閉じることで筒体を形成可能な第1、第2の半円弧体55,61を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エバポレータに冷媒を導いてエバポレータを冷却し、冷却したエバポレータで空気中から水分を除去してエバポレータの外部に排出する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置は、一般に、コンプレッサ、コンデンサ、エキスパンションバルブ(膨張弁)およびエバポレータを備えている。
この車両用空調装置によれば、コンプレッサで冷媒ガスを圧縮してコンデンサに導き、圧縮した冷媒ガスをコンデンサで凝縮して液化する。そして、液化した冷媒を供給配管(高圧配管)を経て膨張弁に導き、導いた冷媒をエキスパンションバルブで減圧・膨張(気化)してエバポレータに導く。
エバポレータに導かれた気化した冷媒でエバポレータ周りの熱を奪い(エバポレータを冷却し)、熱を奪った冷媒を吸入配管(低圧配管)を経てコンプレッサに戻す。
【0003】
冷却したエバポレータに空気を送風してエバポレータを通過させる。エバポレータを通過させる際に、通過した空気をエバポレータで冷却するとともに、空気中の水分をエバポレータの表面に水滴として付着させて除湿をおこない車室内に冷風として導く。
付着した水滴はドレーンホース(ドレーン通路)を経て車外に排出される。
【0004】
ここで、車両用空調装置のドレーン通路を供給配管に被せることにより、エバポレータの表面に付着した水滴がドレーン通路内を流れる際に、水滴を供給配管に沿って導くことができる。
これにより、エバポレータの表面に付着した水滴を利用して供給配管内の冷媒を冷やすことができ、車両用空調装置の冷却効果を高めることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−130722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の車両用空調装置はドレーン通路を供給配管に被せるために、ドレーンホースおよび供給配管で二重構造の配管を形成する必要がある。
しかし、二重構造の配管は構成が複雑であり、そのことが車両用空調装置のコストを抑える妨げになっていた。
【0007】
本発明は、冷却効果を高めることができ、かつ、コストを抑えることができる車両用空調装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車両のエアコンディショナユニットにエバポレータを備え、前記エバポレータに供給配管を通して冷媒を導き、前記エバポレータで空気中の水分を凝縮して空気中から除去し、前記空気中から除去した水分をエバポレータの外部にドレーン通路で導く車両用空調装置において、前記ドレーン通路に連通され、かつ、前記供給配管を覆うことにより前記エバポレータで空気中から除去した水分を前記供給配管に沿って案内可能としたガイド通路を備え、前記ガイド通路は、前記供給配管を覆うように閉じることにより筒体を形成可能な一対の半円弧体を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、ガイド通路を一対の半円弧体で構成し、一対の半円弧体を閉じて供給配管(高圧配管)を覆うようにした。
このガイド通路にエバポレータで(空気中から)除去した水分(水滴)を導くことにより、導いた水分(水滴)を供給配管の外周壁に沿って案内することができる。
これにより、エバポレータで空気中から除去した水分(水滴)を利用して供給配管内の冷媒を冷やすことができるので、車両用空調装置の冷却効果を高めることができる。
【0010】
また、ガイド通路を一対の半円弧体で構成し、一対の半円弧体を閉じて供給配管を覆うようにすることで、ガイド通路を供給配管と個別に形成することができる。
これにより、ガイド通路を容易に作成することができ、車両用空調装置のコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る車両用空調装置を示す概略図である。
【図2】本発明に係るフロントエアコンユニットを示す正面図である。
【図3】図2の第1ガイド通路を示す断面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】図4の第1ガイド通路を開いた状態を示す断面図である。
【図8】本発明に係るフロントエアコンユニットで冷媒を冷却する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る車両用空調装置10について説明する。
図1に示すように、車両用空調装置10は、車両11の前部11aに設けられて車室12内の前空間12aを空調するフロントエアコンユニット(エアコンディショナユニット)15と、車両11の後部11bに設けられて車室12内の後空間12bを空調するリヤエアコンユニット(エアコンディショナユニット)16とを備えた、いわゆるデュアルエアコンである。
【0014】
フロントエアコンユニット15は、コンプレッサ21、コンデンサ22、レシーバタンク23、第1エキスパンションバルブ(膨張弁)24、第1エバポレータ(エバポレータ)25および第1ガイド通路(ガイド通路)26を備えている。
【0015】
フロントエアコンユニット15によれば、エンジン28を駆動することによりコンプレッサ21が回転する。回転するコンプレッサ21で冷媒ガスを圧縮してコンデンサ22に導き、圧縮された冷媒ガスをコンデンサ22で冷却して液化する。
【0016】
コンデンサ22で液化された冷媒をレシーバタンク23および第1供給配管(供給配管)31を経て第1エキスパンションバルブ24に導き、導いた冷媒を第1エキスパンションバルブ24で気化する。第1エキスパンションバルブ24で気化された冷媒を第1エバポレータ25に導き、気化された冷媒で第1エバポレータ25のフィン25a(図2参照)を冷却する。
【0017】
冷却したフィン25aで、フィン25aを通過する空気34の熱を奪って空気34を冷却する。空気34から奪われた熱がフィン25aを経て冷媒に伝わる。
空気34の熱を奪った冷媒を第1エバポレータ25から第1吸入配管(低圧配管)32を経てコンプレッサ21に戻す。
【0018】
図2に示すように、第1エバポレータ25のフィン25aを空気34が通過する際に、通過する空気34を第1エバポレータ25で冷却するとともに、空気34中の水分をフィン25aの表面に水滴35として付着させて除湿をおこない冷風34a(図1参照)として車室12内の前空間12aに導く。
付着した水滴35は第1ドレーン通路(ドレーン通路)27を経て第1エバポレータ25の外部に排出される。
【0019】
第1ドレーン通路27に第1ガイド通路26が連通されている。
第1ガイド通路26は、第1供給配管31の一部31a(図3も参照)を覆うように設けられている。
ここで、第1供給配管31は、コンデンサ22で液化された冷媒をレシーバタンク23から第1エキスパンションバルブ24に導く高圧配管である。
【0020】
図1に示すように、リヤエアコンユニット16は、第2エキスパンションバルブ(膨張弁)41、第2エバポレータ(エバポレータ)42および第2ガイド通路(ガイド通路)43を備えている。
【0021】
リヤエアコンユニット16によれば、エンジン28を駆動することによりコンプレッサ21が回転する。回転するコンプレッサ21で冷媒ガスを圧縮してコンデンサ22に導き、圧縮された冷媒ガスをコンデンサ22で冷却して液化する。
コンデンサ22で液化された冷媒をレシーバタンク23を経て第1供給配管31の一部および第2供給配管(供給配管)45に導く。第2供給配管45に導かれた冷媒を第2エキスパンションバルブ41に導き、導いた冷媒を第2エキスパンションバルブ41で気化する。
【0022】
第2エキスパンションバルブ41で気化された冷媒を第2エバポレータ42に導き、気化された冷媒で第2エバポレータ42のフィン(図示せず)を冷却する。
冷却したフィンで、フィンを通過する空気37の熱を奪って空気37を冷却する。空気37から奪われた熱がフィンを経て冷媒に伝わる。
空気37の熱を奪った冷媒を第2エバポレータ42から第2吸入配管(低圧配管)46および第1吸入配管32の一部を経てコンプレッサ21に戻す。
【0023】
ここで、第2エバポレータ42のフィンを空気37が通過する際に、通過する空気37を第2エバポレータ42で冷却するとともに、空気37中の水分をフィンの表面に水滴として付着させて除湿をおこない冷風37aとして車室12内の後空間12bに導く。
付着した水滴は第2ドレーン通路(ドレーン通路)47を経て第2エバポレータ42の外部に排出される。
【0024】
第2ドレーン通路47に第2ガイド通路43が連通されている。
第2ガイド通路43は、第2供給配管45の一部45aを覆うように設けられている。
ここで、第2供給配管45は、コンデンサ22で液化された冷媒をレシーバタンク23から第2エキスパンションバルブ41に導く高圧配管である。
【0025】
つぎに、フロントエアコンユニット15の第1ガイド通路26について詳しく説明する。
図2に示すように、第1エバポレータ25は、エバポレータ本体53を収納するケース51を備えている。ケース51は、底部51aに導出口52が設けられ、導出口52に向けて底部51aが下り勾配になるように傾斜されている。
よって、第1エバポレータ25のフィン25aの表面に付着した水滴35が底部51aに滴下し、滴下した水滴35が傾斜状の底部51aに沿って導出口52まで導かれる。
【0026】
導出口52に第1ドレーン通路27の上端部27aが連通されている。
第1ドレーン通路27は、上端部27aが導出口52に連通されるとともに、下端部27bが第1ガイド通路26の導入口58に連通されたゴム(ラバー)製のホースである。
この第1ドレーン通路27でケース51の導出口52が第1ガイド通路26の導入口58に連通されている。
これにより、導出口52まで導かれた水滴35が第1ドレーン通路27を経て第1ガイド通路26の導入口58まで導かれる。
【0027】
図2、図3に示すように、第1ガイド通路26は、第1供給配管31の一部31aを覆うように設けられた樹脂製の通路である。
ここで、第1供給配管31の一部31aは、第1エキスパンションバルブ24側からレシーバタンク23側(すなわち、上流側)に向かうにつれて下り勾配になるように設けられている。
【0028】
図3、図4に示すように、第1ガイド通路26は、第1供給配管31の上半部31bに沿って設けられた第1半円弧体(一対の半円弧体の一方)55と、第1供給配管31の下半部31cに沿って設けられた第2半円弧体(一対の半円弧体の他方)61と、第1半円弧体55および第2半円弧体61の一方の側縁55a,61aを連結するヒンジ部67と、第1半円弧体55および第2半円弧体61を閉じた状態に係止する複数の係止手段71(図2も参照)とを有する。
【0029】
ヒンジ部67は、第1半円弧体55や第2半円弧体61の厚さ寸法に比べて厚さ寸法が小さく抑えられている。
ヒンジ部67の厚さ寸法を小さく抑えることで、ヒンジ部67が弾性変形可能に形成されている。
このヒンジ部67は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【0030】
第1半円弧体55は、第1供給配管31の上半部31bに沿って配置可能に断面略半円弧状に形成されている。
さらに、第1半円弧体55は、一方の側縁55aが第2半円弧体61の一方の側縁61aにヒンジ部67を介して矢印方向に開閉自在に連結されている。
【0031】
図3、図5、図6に示すように、第1半円弧体55は、上流側の端部55cに設けられた湾曲状の第1上壁部56と、下流側の端部55dに設けられた湾曲状の第1下壁部57と、他方の側縁55bに設けられた一対の係止爪72と、上流側の端部55cに設けられた導入口58とを有している。
【0032】
第1上壁部56および第1下壁部57は、第1供給配管31の上半部31bに当接可能に湾曲状に形成されている。
導入口58は、第1半円弧体55の上流側の端部55cから上方に向けて(図2に示すケース51側に向けて)突出され、水滴35を第1ガイド通路26内に導く通路である。
【0033】
図3、図4に示すように、第2半円弧体61は、第1供給配管31の下半部31cに沿って配置可能に断面略半円弧状に形成されている。
さらに、第2半円弧体61は、一方の側縁61aが第1半円弧体55の一方の側縁55aにヒンジ部67を介して矢印方向に開閉自在に連結されている。
【0034】
図3、図5、図6に示すように、第2半円弧体61は、上流側の端部61cに設けられた湾曲状の第2上壁部62と、下流側の端部61dに設けられた湾曲状の第2下壁部63と、他方の側縁61bに設けられた一対の差込部73と、下流側の端部61dに設けられた排出口64とを有している。
【0035】
第2上壁部62および第2下壁部63は、第1供給配管31の下半部31cに当接可能に湾曲状に形成されている。
排出口64は、第2半円弧体61から下方に向けて(ケース51から離れる方向に向けて)突出され、水滴35を第1ガイド通路26から排出する通路である。
【0036】
図4、図7に示すように、第1ガイド通路26は、第1半円弧体55および第2半円弧体61の一方の側縁55a,61aがヒンジ部67で連結されることで、第1半円弧体55および第2半円弧体61がヒンジ部67を中心にして矢印方向に開閉可能に連結されている。
このように、第1半円弧体55および第2半円弧体61をヒンジ部67で連結することで、第1、第2の半円弧体55,61を閉じた状態(図4の状態)と、第1、第2の半円弧体55,61を開いた状態(図7の状態)とに配置することができる。
【0037】
第1、第2の半円弧体55,61を開くことにより、第1、第2の半円弧体55,61に開口部75を確保することができる。この開口部75から第1供給配管31の一部31aに第1ガイド通路26を簡単に嵌め込むことができる。
【0038】
第1供給配管31の一部31aに第1ガイド通路26を嵌め込んだ後、第1、第2の半円弧体55,61を閉じることにより、係止爪72が弾性変形して差込部73に係止する。
係止爪72を差込部73に係止することで第1、第2の半円弧体55,61を閉じた状態に保持できる。
係止爪72および差込部73で係止手段71が構成されている。
【0039】
このように、第1、第2の半円弧体55,61で第1供給配管31を覆うように閉じることにより、第1、第2の半円弧体55,61で筒体が形成される。
この状態において、第1半円弧体55で第1供給配管31(一部31a)の上半部31bを覆うとともに、第2半円弧体61で第1供給配管31(一部31a)の下半部31cを覆うことができる。
すなわち、第1ガイド通路26を筒体とすることにより、第1ガイド通路26で第1供給配管31を覆うことができる。
【0040】
第1、第2の半円弧体55,61を閉じた状態において、第1上壁部56および第1下壁部57が第1供給配管31の上半部31bに当接される(図3参照)。
同様に、第1、第2の半円弧体55,61を閉じた状態において、第2上壁部62および第2下壁部63が第1供給配管31の下半部31cに当接される(図3参照)。
【0041】
よって、第1ガイド通路26が第1供給配管31の一部31aに対して同軸上に取り付けられる。
この状態において、第1ガイド通路26および第1供給配管31(一部31a)間に空間Sが確保される。
【0042】
ここで、前述したように、第1供給配管31の一部31aが、第1エキスパンションバルブ24側からレシーバタンク23側(すなわち、上流側)に向かうにつれて下り勾配になるように設けられている。
よって、第1供給配管31(一部31a)を覆う第1ガイド通路26は、導入口58から排出口64に向けて下り勾配に配置されている(設けられている)。
【0043】
これにより、第1ガイド通路26の導入口58まで導かれた水滴35が第1ガイド通路26内に導かれる。
第1ガイド通路26内に導かれた水滴35は、第1ガイド通路26および第1供給配管31(一部31a)間の空間Sを経て第1供給配管31の外周壁31dに沿って排出口64まで案内され、排出口64から外部に排出される。
【0044】
以上説明したように、第1ガイド通路26を第1、第2の半円弧体55,61で開閉自在に構成した。そして、第1ガイド通路26を開いて第1供給配管31の一部31aに嵌め込み、嵌め込んだ後、第1ガイド通路26を閉じて第1供給配管31の一部31aを覆うようにした。
よって、第1ガイド通路26を第1供給配管31と個別に形成することができる。これにより、第1ガイド通路26を容易に作成することができ、車両用空調装置10のコストを抑えることができる。
【0045】
加えて、開閉自在に形成した第1、第2の半円弧体55,61を開くことにより、第1ガイド通路26を第1供給配管31に簡単に嵌め込むことができる。
そして、第1供給配管31に第1ガイド通路26を嵌め込んだ後、第1、第2の半円弧体55,61を閉じることにより、第1ガイド通路26で第1供給配管31を覆うことができる。
これにより、第1ガイド通路26で第1供給配管31を覆う二重構造の配管を手間をかけないで簡単に得ることができる。
【0046】
第1ガイド通路26を用いて第1供給配管31内の冷媒を冷却する例を図8に基づいて説明する。
図8(a)に示すように、第1エバポレータ25のフィン25aの表面に付着した水滴35が底部51aに滴下する。滴下した水滴35が傾斜状の底部51aに沿って導出口52まで矢印Aの如く導かれる。
導出口52まで導かれた水滴35が第1ドレーン通路27を経て第1ガイド通路26の導入口58まで矢印Bの如く導かれる。
【0047】
図8(b)に示すように、第1ガイド通路26の導入口58まで導かれた水滴35が第1ガイド通路26内に矢印Cの如く導かれる。
第1ガイド通路26内に導かれた水滴35は、第1ガイド通路26および第1供給配管31間の空間Sを経て排出口64まで矢印Dの如く導かれる。
空間Sを経て排出口64まで導かれた水滴は、排出口64から外部に矢印Eの如く排出される。
【0048】
ここで、コンデンサ22(図1参照)で液化された冷媒が第1供給配管31を経て第1エキスパンションバルブ24(図8(a)参照)に矢印Fの如く導かれている。
この状態において、水滴35が空間Sを経て排出口64まで矢印Dの如く導かれることにより、水滴35を第1供給配管31(一部31a)の外周壁31dに沿って案内することができる。
ところで、水滴35の温度は0〜10℃であり、第1供給配管31の一部31a内を流れる冷媒の温度より十分に低い。
【0049】
このように、第1ガイド通路26で第1供給配管31の一部31aを覆うことにより、第1ガイド通路26に第1エバポレータ25(図8(a)参照)から導かれた水滴35を第1供給配管31(一部31a)の外周壁31dに沿って案内することができる。
これにより、第1エバポレータ25から導かれた水滴35を利用して第1供給配管31(一部31a)内の冷媒を冷やすことができるので、フロントエアコンユニット15の冷却効果を高めることができる。
【0050】
ここで、図1に示すリヤエアコンユニット16の第2ガイド通路43は、フロントエアコンユニット15の第1ガイド通路26と同様に形成された類似部材であり、第1ガイド通路26の説明で第2ガイド通路43の説明を兼ねることにする。
【0051】
第2ガイド通路43によれば、第1ガイド通路26と同様に、第1、第2の円弧体(図示せず)で開閉自在に構成することで、第2ガイド通路43を第2供給配管45と個別に形成することができる。
これにより、第2ガイド通路43を容易に作成することができ、車両用空調装置10のコストを抑えることができる。
【0052】
さらに、第2ガイド通路43で第2供給配管45の一部45aを覆うことにより、第2ガイド通路43に第2エバポレータ42から導かれた水滴を第2供給配管45(一部45a)の外周壁45bに沿って案内することができる。
これにより、第2エバポレータ42から導かれた水滴を利用して第2供給配管45(一部45a)内の冷媒を冷やすことができるので、リヤエアコンユニット16の冷却効果を高めることができる。
【0053】
ここで、リヤエアコンユニット16は車両11の後部11bに設けられているので、レシーバタンク23から第2エキスパンションバルブ41に導く第2供給配管45の全長は、フロントエアコンユニット15の第1供給配管31と比べて長くなる。
このため、第2供給配管45内を流れる冷媒は、第1供給配管31内を流れる冷媒より外気温を長い時間受熱することが考えられる。
よって、第2エバポレータ42から導かれた水滴を利用して第2供給配管45(一部45a)内の冷媒を冷やすことで、リヤエアコンユニット16の冷却効果を特に高めることができる。
【0054】
なお、本発明に係る車両用空調装置10は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、第1、第2のガイド通路26,43を樹脂で形成した例について説明したが、これに限らないで、鋼材などの他の材質で形成することも可能である。
【0055】
また、前記実施例では、第1半円弧体55および第2半円弧体61をヒンジ部67で開閉自在に連結した例について説明したが、これに限らないで、第1半円弧体55および第2半円弧体61をヒンジ部67を用いないで2分割することも可能である。
第1半円弧体55および第2半円弧体61を2分割することで実施例と同様の効果を得ることができる。
【0056】
さらに、前記実施例で示した車両用空調装置10、車両11、フロントエアコンユニット15、リヤエアコンユニット16、第1エバポレータ25、第1ガイド通路26、第1ドレーン通路27、第1供給配管31、第2エバポレータ42、第2ガイド通路43、第2供給配管45、第2ドレーン通路47、第1半円弧体55および第2半円弧体61などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、エバポレータに冷媒を導いてエバポレータを冷却し、冷却したエバポレータで空気中から水分を除去する車両用空調装置を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0058】
10…車両用空調装置、11…車両、15…フロントエアコンユニット(エアコンディショナユニット)、16…リヤエアコンユニット(エアコンディショナユニット)、25…第1エバポレータ(エバポレータ)、26…第1ガイド通路(ガイド通路)、27…第1ドレーン通路(ドレーン通路)、31…第1供給配管(供給配管)、34,37…空気、35…水滴、42…第2エバポレータ(エバポレータ)、43…第2ガイド通路(ガイド通路)、45…第2供給配管(供給配管)、47…第2ドレーン通路(ドレーン通路)、55…第1半円弧体(一対の半円弧体の一方)、61…第2半円弧体(一対の半円弧体の他方)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエアコンディショナユニットにエバポレータを備え、前記エバポレータに供給配管を通して冷媒を導き、前記エバポレータで空気中の水分を凝縮して空気中から除去し、前記空気中から除去した水分をエバポレータの外部にドレーン通路で導く車両用空調装置において、
前記ドレーン通路に連通され、かつ、前記供給配管を覆うことにより前記エバポレータで空気中から除去した水分を前記供給配管に沿って案内可能としたガイド通路を備え、
前記ガイド通路は、
前記供給配管を覆うように閉じることにより筒体を形成可能な一対の半円弧体を有することを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−235782(P2011−235782A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109493(P2010−109493)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】