車両用空調装置
【課題】ケース内部へ加熱用熱交換器を装着する際の組立て性の向上と、加熱用熱交換器とケース内壁面のシール性の確保との両立を図る車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調ユニット10は、ケース11の内部でヒータコア1の挿入方向に延びるように挿入口100側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部101と、ガイド部101よりも挿入方向側で、ケース11の内部で内方に突出するとともに挿入方向に延設される凸条部103,104と、を備えている。ヒータコア1の挿入の際に、ガイド部101は、ヒータコア1の上部及び下部のそれぞれを包むように支持してヒータコア1の姿勢を保持し、凸条部103,104は、その頂面がガイド部101によって包まれている部分以外のヒータコア1の上面及び下面を挿入方向の端部に至るまで支持する。
【解決手段】車両用空調ユニット10は、ケース11の内部でヒータコア1の挿入方向に延びるように挿入口100側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部101と、ガイド部101よりも挿入方向側で、ケース11の内部で内方に突出するとともに挿入方向に延設される凸条部103,104と、を備えている。ヒータコア1の挿入の際に、ガイド部101は、ヒータコア1の上部及び下部のそれぞれを包むように支持してヒータコア1の姿勢を保持し、凸条部103,104は、その頂面がガイド部101によって包まれている部分以外のヒータコア1の上面及び下面を挿入方向の端部に至るまで支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に送風される空気を暖める加熱用熱交換器を内蔵する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置において、樹脂成形品であるケースの内部に加熱用熱交換器を備える技術として、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に記載の装置では、ヒータコア(加熱用熱交換器)は、ケースに形成された挿入口から挿入されてケース内部の通路を横断するように奥深く配置される。このように挿入設置されたヒータコアにおいては、特許文献1の図7に図示されるように、少なくとも挿入方向長さのヒータコアの両端部、つまり、挿入口側端部及び挿入奥側端部において貼着されたパッキンがケース内壁面との間で圧縮されることにより、シール性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3353428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒータコアを備える車両用空調装置としての暖房能力を確保するためには、ケース内を流れる空気が他部へ漏れることなくヒータコアで熱交換されるように、加熱用熱交換器とケースとの間を確実にシールすることが求められる。さらに、製品の競争力向上のためには、組立て工数の低減を図ることも求められる。組立て工数低減のためには、加熱用熱交換器とケースとの組立て性の向上が必要であり、この組立て性向上にとっては加熱用熱交換器をケース内部に挿入するときの挿入し易さが良好であることが望ましい。
【0005】
特許文献1に記載の従来技術では、樹脂成形品であるケースには、金型から成形品を取り出すために抜き勾配の設定が必要なため、ヒータコア挿入方向の長さが長くなるほど、当該挿入方向の両端部においてパッキンの圧縮率の差が大きくなる。このため、当該挿入方向の両端部のいずれかにおいて、パッキンが大きく圧縮されるので、ヒータコアの組立て工程において、ヒータコアの挿入がし辛いという問題が発生し得る。なお、当該ケースが2つの分割ケース部材を組み合わせて構成されている場合にも、個々の分割ケースにおいて、2つの分割ケース部材の合わせ部と他端との間に抜き勾配が設定されるため、同様に、パッキンの圧縮率の差が大きくなる現象が起こる。
【0006】
また、空気漏れ防止のためのシール性確保、及びヒータコアの挿入し易さの両方の要求を満たすために、ヒータコアに貼着されてケースとヒータコアとのシールを行うパッキンについてその板厚を厚くすることにより、ヒータコアを挿入するために必要な力を低下させるという方法がある。しかしながら、この方法では、パッキンの厚みやそのシール代が増加するため、空気が実際に流れる通路断面積を小さくしてしまうので、ヒータコアによる暖房能力を十分に確保できないという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ケース内部へ加熱用熱交換器を装着する際の組立て性の向上と、加熱用熱交換器とケース内壁面のシール性の確保との両立を図る車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1は、樹脂成形品であり、車室内に向かう空気が流れる空気通路(12)が内部に形成されるケース(11)と、ケースに形成された挿入口(100)から挿入されてケースの内部に空気通路を横断するように設けられ、空気通路を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器(1)と、を備える車両用空調装置に係る発明であって、
ケースの内部で加熱用熱交換器の挿入方向に延びるように挿入口(100)側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部(101)と、ガイド部(101)の挿入方向側で、ケースの内部で内方に突出するとともに挿入方向に延設される凸条部(103,104)と、を備え、
加熱用熱交換器の挿入の際に、ガイド部(101)は、加熱用熱交換器の上部及び下部のそれぞれを包むように支持して加熱用熱交換器の姿勢を保持し、凸条部(103,104)の頂面は、ガイド部(101)によって包まれている部分以外の加熱用熱交換器の上面及び下面のそれぞれを挿入方向の端部に至るまで支持することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ケースにおける挿入口側の上下両端部のそれぞれで椀状のガイド部によって、加熱用熱交換器の上下両端部を包むように支持しながら、適正な姿勢で加熱用熱交換器をケース内部の奥側へ挿入することができる。これにより、加熱用熱交換器の挿入工程の過程で加熱用熱交換器が傾くことを抑制し、加熱用熱交換器の上面及び下面を上下の凸条部で適切に支持させて、加熱用熱交換器の上面及び下面とケース側とのシール性を確保することができる。さらに、凸条部は、その頂面で加熱用熱交換器の上面及び下面を支持するため、加熱用熱交換器を支持するために接触する面積を小さくできる。この接触面積の低減により、加熱用熱交換器をケース内部の奥深くに挿入するときの抵抗を低下させることができ、加熱用熱交換器の挿入作業をスムーズに実施することができる。したがって、ケース内部へ加熱用熱交換器を装着する際の組立て性の向上と、加熱用熱交換器とケース内壁面のシール性の確保との両立が図れる車両用空調装置を提供できる。
【0010】
請求項2の発明によると、上下両端部それぞれのガイド部(101a,101b)を連絡するように上下方向に延設され、加熱用熱交換器の一部を支持する板状の連絡部(102)を備え、連絡部(102)は、挿入口(100)の縁部から挿入方向に延びる幅がガイド部(101a,101b)の挿入方向長さよりも短いことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、連絡部の挿入方向の幅をガイド部の挿入方向長さよりも短くすることにより、加熱用熱交換器の上下方向の中ほどに位置し熱交換に関わるコア部において、連絡部によって支持される面積を小さくし、その分、ガイド部によって上部及び下部を支持することで、挿入時の加熱用熱交換器の姿勢を整える機能を発揮することができる。したがって、シール性及び挿入操作性を確保するとともに、通風抵抗になり得る面積を低減して熱交換性能を確保することができる。
【0012】
請求項3の発明によると、凸条部(103,104,103A,104A)は、空気流れ方向に複数個並んで配置されており、加熱用熱交換器の上面及び下面を支持していることを特徴とする。この発明によれば、空気通路に形成する風漏れ防止のためのシール構造を、空気流れ方向に複数段に設定することができる。これにより、ケース側と加熱用熱交換器との間のシール性を強化でき、適切な暖房性能を確保することができる。
【0013】
請求項4の発明によると、加熱用熱交換器(1)が挿入される挿入口(202)と、挿入口(202)の上下両端部それぞれに設けられるガイド部(203)と、ガイド部(203)の挿入方向側で挿入方向に延びる凸条部(206,208)とを有し、ケース(11A)と別体に構成される部材であって、ケース(11A)に形成された取付け口(102A)に装着される熱交換器支持部材(200)を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ケースに対して別体の熱交換器支持部材を装着することにより、加熱用熱交換器を上記の作用効果を奏するように支持することが可能になる。これにより、適用する車の大きさに応じた暖房能力の違い、寒冷地向け等の使用地域の違い、車種による仕様の違い等に柔軟に対応可能な車両用空調装置を適用することができる。
【0015】
請求項5の発明によると、熱交換器支持部材(200)は、加熱用熱交換器の上面を支持する凸条部(206)を有する上部プレート部(205)と、加熱用熱交換器の下面を支持する前記凸条部(208)を有する下部プレート部(207)と、上部プレート部(205)及び下部プレート部(207)のそれぞれとガイド部(203a,203b)とを連結するヒンジ部(211,212)とを備え、
上部プレート部(205)及び下部プレート部(207)は、熱交換器支持部材(200)をケース(11A)に装着した状態で、加熱用熱交換器(1)を挿入口(202)からケース(11A)内部に挿入していくに伴って、それぞれのヒンジ部(211,212)を支点として外側に押し広げられることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、加熱用熱交換器をケース内に挿入するときに凸条部が押し広げられるヒンジ部構造を備えることにより、装着前の別体の部品の状態では折りたたまれているので、部品の体格を小さくすることができる。これにより、部品管理用のスペースの低減や運送費用の低減が図れ、樹脂成形品の場合には金型の小型化により、製品コストの低減に多大な効果を奏する。
【0017】
請求項6の発明によると、上部プレート部(205)及び下部プレート部(207)は、完全に前記押し広げられたときに、ガイド部(203a,203b)に対して係合する爪部(213,214)をそれぞれ備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、上記のヒンジ構造によって完全に押し広げられたときに、爪部の係合によるロック機構によって上部プレート部及び下部プレート部の位置が固定されるため、凸条部をガイド部に対して所望の位置に設定することができる。これにより、上記の作用効果を確実に奏するように支持することが可能になる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示す一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る車両用空調ユニットにおいて、ケース内にヒータコアを挿入して設置することを説明するための斜視図である。
【図2】ヒータコアが挿入設置される部位におけるケースの構成を説明するための断面図である。
【図3】ヒータコアがケース内部に挿入設置された状態におけるヒータコアとケースの関係を説明するための断面図である。
【図4】ケース内部に設けられた凸条部がヒータコアの下面に貼着されたパッキンを圧縮する状態を示した断面図である。
【図5】ケース内部に設けられた凸条部がヒータコアの下面に当接する実施形態を示した断面図である。
【図6】ケース内部に設けられた2本の凸条部がヒータコアの下面に当接する実施形態を示した断面図である。
【図7】本発明を適用した第2実施形態において、ケースに装着される熱交換器支持部材を説明するための斜視図である。
【図8】図7の熱交換器支持部材をケースに装着した状態を示す正面図である。
【図9】第2実施形態に係る熱交換器支持部材について、ヒータコアを支持する部分の開放動作を説明するための側断面である
【図10】図9におけるX−X切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。
【図11】図9におけるXI−XI切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0022】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用空調ユニット10において、ケース11内にヒータコア1を挿入して設置することを説明するための斜視図である。
【0023】
車両用空調ユニット10は、その外殻をケース11で構成されており、例えば、大別して送風部と空調部を備えている。ケース11は、複数のケース部材、例えば、第1のケース部材11aと第2のケース部材11bからなり、例えばポリプロピレンなどの樹脂成形品である。これらのケース部材11a,11bは、金属ばね、ねじ等の締結手段によって一体的に結合されて一つのケース11を構成している。また、このケース11は、車室内に向かう空気が流れる空気通路12を内部に形成し、内部にヒータコア1を有する空調部を形成する空調ユニットケース、あるいはヒータユニットケースでもある。
【0024】
また、車両用空調ユニット10は、車室内に向けて左右の吹出し口からそれぞれに温調された空気を供給する車両用空調装置であってもよい。この場合、車両用空調ユニット10は、運転席側と助手席側において独立に空調設定を可変できる、いわゆる左右独立温度コントロールを実現する。そして、車両用空調ユニット10のケース11内部には、左右別々に温調された通風が混ざらないように中間仕切り板(図示せず)が設けられ、中間仕切り板によってケース11内部は、車両左右方向に二つの通風路に区画されている。
【0025】
車両用空調ユニット10の送風部は、車室内または車室外の空気を空調部に送風するための送風機を備え、送風機の吹出口は空調部の入口に至る送風通路と接続されている。送風機は、例えば遠心多翼ファンとこれを駆動するモータとからなり、遠心多翼ファンの周囲はスクロールケーシングで囲まれ、遠心多翼ファンの遠心方向に伸びるダクトによって送風通路と連通している。
【0026】
空調部は、送風通路の全体を横断的に塞いで設けられたエバポレータと、エバポレータを通過してきた空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア1と、エバポレータを通過する空気が流れる冷風通路、温風と冷風の混合風量を調節するエアミックスドアと、ヒータコア1を通過する空気が流れる温風通路と、温風と冷風が混合空間であるエアミックスチャンバと、デフロスタ用ドアと、フェイス用ドアと、フット用ドアと、をケース11の内部に備えている。さらにケース11には、冷風通路および温風通路の下流側に複数個の吹出口が形成されており、ここでは、ケース吹出口の一例であるデフロスタ吹出口、フェイス吹出口およびフット吹出口が設けられている。
【0027】
デフロスタ吹出口はケース11の車両前方側の上部に位置する。インストルメントパネルのフロントウィンドウガラス付近の車両前方部には、室内吹出口の一つであるデフロスタ室内吹出口が設けられている。デフロスタ吹出口とデフロスタ室内吹出口は、曇り度合いを低減するために空調風がフロントウィンドウガラス等の室内側面に沿うように、デフロスタ用ダクトによって接続されている。デフロスタ吹出口はデフロスタ用ドアによって開閉制御される。
【0028】
フェイス吹出口はケース11上部のデフロスタ吹出口よりも車両後方側に位置する。インストルメントパネルの車両後方側の前面には、車室内に露出する室内吹出口の一つであるフェイス室内吹出口が設けられている。フェイス吹出口とフェイス室内吹出口は、運転席及び助手席の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すために、フェイス用ダクトによって接続されている。フェイス吹出口はフェイス用ドアによって開閉制御される。
【0029】
フット吹出口はケース11下部の車両後方側に位置する。乗員の足元には、室内吹出口の一つであるフット室内吹出口が設けられている。フット吹出口とフェイス室内吹出口は、運転席及び助手席の乗員の足元に向けて空調風を吹き出すために、フット用ダクトによって接続されている。フット吹出口はその開口断面積がフット用ドアによって開閉制御される。
【0030】
エバポレータは、例えば、ケース11の車両前方側に位置し、冷凍サイクル内の膨張弁で減圧された低温低圧の冷媒を送風機の送風を受けて内部で蒸発させる冷却用熱交換器である。そして、冷媒が流れるチューブの周囲を通過する送風空気を冷却して下流の冷風通路に冷風を供給する。ヒータコア1は、エバポレータよりも車両後方側の下部に位置し、走行用エンジンの高温の冷却水を熱源として送風空気と熱交換させ、周囲を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器であり、エバポレータよりも空気流れ方向の下流側の通路を部分的に塞ぐように配置されている。エアミックスドアは、その開度位置により、ヒータコア1を通る温風の風量とヒータコア1を通過しない冷風の風量との比率を調節して、空調風の温度調節を行う。
【0031】
温風通路は、車両前方側に傾いた形態で、ケース11の下部から上方のエアミックスチャンバに向けて延びるように形成されている。温風通路は、ケース11の車両左右方向全体に亘る幅寸法を有し、その幅寸法は車両前後方向の寸法よりも大きくなっている。つまり、温風通路は、前後方向に薄く、横長で上下方向に長い扁平状の通路を呈している。フェイス吹出口及びデフロスタ吹出口はエアミックスチャンバに臨む開口である。フット吹出口は温風通路に臨む開口である。各吹出口から吹き出される空調風は、接続された各ダクト内を通って車室内の所定の室内吹き出し部位に供給されることになる。送風機、エアミックスドア、デフロスタ用ドア、フェイス用ドア及びフット用ドアの作動は、制御装置によって制御される。
【0032】
(本実施形態の特徴部の説明)
図1に示すように、ヒータコア1は、第1のケース部材11aに形成された挿入口100から挿入され、奥側に位置する第2のケース部材11bの内壁に形成された連絡部105及び各支持部106,107,108,109に当接するまで押し込まれ、空気通路12を横断するように設置される。
【0033】
図2は、ヒータコア1が挿入設置される部位におけるケース11の構成を説明するための断面図である。図1及び図2に示すように、ケース11は、第1のケース部材11aの開口端部と第2のケース部材11bの開口端部とを、ヒータコア1の挿入方向長さの中央部分で組み合わせ、固定接合して一体に構成されている。すなわち、ケース11の当該挿入方向長さの中央には、第1のケース部材11aと第2のケース部材11bの合わせ面が位置している。
【0034】
両方のケース部材11a,11bは、例えば、ポリプロピレン等からなる樹脂成形品であり、金型を用いて成形されるため、それぞれのケース内壁面に金型から成形品を取り出すための抜き勾配を必要とする。第1のケース部材11aは、この抜き勾配により、例えば、ヒータコア1を挿入する挿入方向(以下、単に「挿入方向」ともいう)の端部に位置する開口部が、その反対側の端部の開口である挿入口100よりも大きくなるように形成されている。つまり、挿入口100は、挿入方向端部の開口部よりも抜き勾配のために必要な角度の設定分、小さくなっている。
【0035】
一方、第2のケース部材11bは、この抜き勾配により、第1のケース部材11aとの合わせ面を構成する、挿入方向の反対側の開口端部が、挿入方向端部の上下方向に延びる内壁面の大きさよりも大きくなるように形成されている。つまり、挿入方向端部の当該内壁面の大きさは、第2のケース部材11bの合わせ部である挿入方向の反対側の開口部よりも抜き勾配のために必要な角度の設定分、小さくなっている。また、第1のケース部材11aにおける挿入方向端部の開口部は、第2のケース部材11bにおける反挿入方向端部の開口部と合わせ部を構成するため、同等の大きさとなっている。抜き勾配設定のための構成により、図2に示すように、ケース11においてヒータコア1が挿入設置される部位の内壁面は、挿入方向について、中央部側が両端部よりも大きくなり、換言すれば、上下方向の長さが長くなっている。
【0036】
ヒータコア1の挿入入り口側に位置する第1のケース部材11aには、ヒータコア1の上下部を包むように支持する椀状のガイド部101が形成されている。椀状のガイド部101は、挿入口100の上端部側に設けられるガイド部101aと、挿入口100の下端部側に設けられるガイド部101bとで、構成されている。両方のガイド部101a,101bは、横断面形状が椀状であって、ケース11の内部でヒータコア1の挿入方向に延びるように形成されている。
【0037】
上部のガイド部101aと下部のガイド部101bとは、挿入口100の縁部から挿入方向に起立する連絡部102によって連絡されている。連絡部102は、ガイド部101aとガイド部101bを接続する上下に延びるリブであり、空気流れ方向に並ぶ二つのリブで構成されている。また、連絡部102の挿入方向長さは、ガイド部101a,101bの挿入方向長さよりも短く形成されている。以上の構成により、挿入口100の縁部全周は、上部のガイド部101a及び下部のガイド部101bと、空気流れ方向両サイドの二つの連絡部102と、で囲まれるような形態で連続的につながっている。
【0038】
この構成により、ケース11内部に挿入設置されるヒータコア1は、その挿入方向反対側の端部全周がこれらの連続的につながる部分によって取り囲まれて、包まれるように支持されている。また、ガイド部101a、ガイド部101b及び連絡部102は、第1のケース部材11aに一体に成形されている。
【0039】
ケース11には、ガイド部101よりも挿入方向側(ケース11の奥側)で、ケース11の内部で内方に突出するとともに挿入方向に延びる凸条部103,104が形成されている。凸条部103は、第1のケース部材11aにおける上下両方の内壁面にそれぞれ内方に向かって突出している。凸条部103aは、上部のガイド部101aにおける挿入方向側端部に隣接する位置から、第1のケース部材11aの挿入方向端部(第2のケース部材11bとの合わせ部)に至るまで連続して、第1のケース部材11a上部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。凸条部103bは、下部のガイド部101bにおける挿入方向側端部に隣接する位置から、第1のケース部材11aの挿入方向端部(第2のケース部材11bとの合わせ部)に至るまで連続して、第1のケース部材11a下部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。
【0040】
凸条部104は、第2のケース部材11bにおける上下両方の内壁面にそれぞれ内方に向かって突出している。凸条部104aは、第2のケース部材11bにおける第1のケース部材11aとの合わせ部の上部で凸条部103aに接触するように隣接し、第2のケース部材11bにおける挿入方向端部の内壁面に至るまで直線状につながっており、第2のケース部材11b上部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。凸条部104bは、第2のケース部材11bにおける第1のケース部材11aとの合わせ部の下部で凸条部103bに接触するように隣接し、第2のケース部材11bにおける挿入方向端部の内壁面に至るまで直線状につながっており、第2のケース部材11b下部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。
【0041】
凸条部103aと凸条部104aは、内方に突出する頂面の上下方向位置が一致する同じ高さのリブである。凸条部103bと凸条部104bは、内方に突出する頂面の上下方向位置が一致する同じ高さのリブである。また、凸条部103aと凸条部103bは、第1のケース部材11aに一体に成形されている。凸条部104aと凸条部104bは、第2のケース部材11bに一体に成形されている。
【0042】
ガイド部101aまたは101bの挿入方向長さL1は、凸条部103aまたは103bの挿入方向長さL2よりもかなり短い長さであり、例えば、L2の半分以下に設定している。特に、ガイド部101aまたは101bの挿入方向長さL1は、凸条部103aまたは103bの挿入方向長さL2と挿入方向長さL1の和の20〜30%の長さになるように設定することが好ましい。このような長さでも、ヒータコア1をケース内部に挿入する際に、ヒータコア1の上部タンク4及び下部タンク5を支持して、ヒータコア1の姿勢を適切に保持することができるのである。
【0043】
第2のケース部材11bの挿入方向端部に位置する内壁面には、複数の支持部106,107,108,109が上下方向に並ぶように所定の位置に形成されている。これらの支持部106〜109は、上下方向に延び、内方に突出するリブである連絡部105を間に介してつながっている。支持部106は、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1の挿入方向端部における空気流れ方向側の側部を支持する側部支持片106aと、を備える略L字状の部材である。
【0044】
支持部107は、支持部106よりも下方の所定の位置に設けられ、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部を支持する一対の側部支持片107aと、を備えるコの字状の部材である。支持部108は、支持部107よりも下方の所定の位置に設けられ、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部を支持する一対の側部支持片108aと、を備えるコの字状の部材である。支持部109は、支持部108よりも下方の所定の位置に設けられ、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1における空気流れ方向の反対側の側部を支持する側部支持片109aと、を備える略L字状の部材である。
【0045】
ヒータコア1は、エンジンの冷却水が流通するチューブ及びアウターフィンを交互に積層配置して構成されるコア部2と、各チューブの端部と接続されてチューブ内部と内部空間が連通する上部タンク4および下部タンク5と、エンジン側からのエンジン冷却水が上部タンク4の内部に流入する流入用パイプ3と、エンジン冷却水が下部タンク5の内部から外部に流出する流出用パイプ7と、を備えている。ヒータコア1には、所定の箇所に複数のパッキン6が貼着されている。複数のパッキン6a〜6dは、外力により変形する弾性を有する部材であり、例えばエラストマー、ウレタン等で形成されている。
【0046】
パッキン6aは、ヒータコア1における挿入方向反対側の端部の外周を取り囲むように設けられている。すなわち、パッキン6aは、ヒータコア1の挿入方向反対側の端部において、上部タンク4と、コア部2における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部と、下部タンク5と、に亘って覆う環状のシール部材である。パッキン6bは、ヒータコア1における挿入方向端部の外周を取り囲むように設けられている。すなわち、パッキン6bは、ヒータコア1の挿入方向端部において、上部タンク4と、コア部2における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部と、下部タンク5と、に亘って覆う環状のシール部材である。
【0047】
パッキン6cは、上部タンク4の上面に貼着される棒状のシール部材である。パッキン6cは、その挿入方向長さがパッキン6a及び6bを除くヒータコア1の挿入方向長さと同等であり、空気流れ方向の幅が上部タンク4の幅よりもかなり小さく、凸条部103a,104aの頂面で圧接され得る程度の幅に形成されている。パッキン6dは、下部タンク5の上面に貼着される棒状のシール部材である。パッキン6dは、その挿入方向長さがパッキン6a及び6bを除くヒータコア1の挿入方向長さと同等であり、空気流れ方向の幅が下部タンク5の幅よりもかなり小さく、凸条部103b,104bの頂面で圧接され得る程度の幅に形成されている。
【0048】
次に、ヒータコア1をケース11の内部に挿入設置する組み付け作業について説明する。図3は、ヒータコア1がケース11内部に挿入設置された状態におけるヒータコア1とケース11の関係を説明するための断面図である。
【0049】
ヒータコア1をケース11の内部に挿入設置するときには、ヒータコア1の流入用パイプ3及び流出用パイプ7を後尾にしてその反対側のヒータコア1の側部を先頭にした姿勢で挿入口100からケース11内部に挿入する。このとき、まず、ヒータコア1の挿入方向端部がガイド部101a,101b及び連絡部102で保持されるため、ヒータコア1が挿入方向へ進むときの傾きが抑制される。したがって、仮にヒータコア1を傾いた状態で挿入し始めても、ガイド部101a,101b及び連絡部102の保持機構により、ヒータコアの挿入時の姿勢は適正に補正され得る。
【0050】
この適正な姿勢に保つ保持機能は、さらにヒータコア1を奥側に挿入し進めても効果を発揮しつづけ、この機能に伴い、上部タンク4の上面及び下部タンク5の下面において、所定の位置でパッキン6c,6dを圧接させることに寄与する。図4は、ケース11内部に設けられた凸条部103,104がヒータコア1の下面に貼着されたパッキン6dに当接して圧縮する状態を示した断面図である。図4に図示するように、凸条部103,104は、パッキン6c,6dにおける空気流れ方向の中央部に確実に押し当てられ、パッキン6c,6dに所望の圧縮力を提供することができる。
【0051】
そして、図3は、ヒータコア1の挿入方向端部の端面が支持部106〜109の基台部及び連絡部105に突き当たるまでヒータコア1をケース11内部に挿入した状態である。この状態までヒータコア1を押し込むと、ヒータコア1の挿入方向端部の端面は支持部106〜109の基台部及び連絡部105に支持されるとともにシール構造を構成し、当該挿入方向端部における空気流れ方向の側部は一方の側部支持片106a、107a及び108aに支持され、当該挿入方向端部における反空気流れ方向の側部は他方の側部支持片107a、108a及び109aに支持されることになる。
【0052】
さらに、上部タンク4の上面は、凸条部103a及び104aに支持されるとともに挿入方向に延びる線状のシール構造を構成し、下部タンク5の下面は、凸条部103b及び104bに支持されるとともに挿入方向に延びる線状のシール構造を構成する。さらに挿入方向端部の反対側の端部においては、上部タンク4における流入用パイプ3側の端部をガイド部101aが上部タンク4を上から抱えるように支持し、下部タンク5における流出用パイプ7側の端部をガイド部101bが下部タンク5を下から抱えるように支持するとともに、コア部の両側面を連絡部102が挟むように支持する。
【0053】
このように、ヒータコア1における挿入方向反対側の端部は、上部タンク4及び下部タンク5を支持してヒータコア1の姿勢を適正に保つ機能を発揮するとともに、風漏れ防止の機能を奏する。さらに、この部分よりも挿入方向奥側では長い部分に亘って、幅の広い面による面シール構造ではなく、リブの頂面による非常に幅の狭い部分でのシール構造を構成することにより、確実なシール部の構成によって確実なシール性を発揮するとともに、ヒータコア1をケース11の内部に挿入する際の抵抗力を小さくし、挿入性を良好な状態にすることができる。
【0054】
図5はケース11内部に設けられた凸条部103,104がヒータコア1の下面に当接する実施形態を示した断面図である。図5に図示するように、ヒータコア1の上面及び下面と凸条部103,104との間の寸法関係を調整することにより、凸条部103,104の頂面がヒータコア1の外面との間に隙間を生じることなく適正に圧接し、本実施形態で用いているパッキン6c,6dを不要とすることもできる。
【0055】
図6はケース11内部に設けられた2本の凸条部103,104,103A,104Aがヒータコア1の下面に当接する実施形態を示した断面図である。図6に図示するように、ヒータコア1の上面及び下面と接触する凸条部は、空気流れ方向に所定間隔をあけて並ぶ2個以上のリブからなる。このように空気流れ方向に並ぶ複数個の凸条部が上部タンク4の上面や下部タンク5の下面に直接圧力を加えるように当接することにより、空気流れ方向のシール部が複数段に構成されて、シール性を強化でき、適切な暖房性能を確保することができる。したがって、この構成によってもヒータコア1を支持するために接触面積の低減の効果を奏し、また本実施形態で用いているパッキン6c,6dを不要とする構成もとり得る。
【0056】
本実施形態の車両用空調ユニット10がもたらす作用効果について以下に述べる。車両用空調ユニット10は、ケース11の内部でヒータコア1の挿入方向に延びるように挿入口100側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部101と、ガイド部101よりも挿入方向側で、ケース11の内部で内方に突出するとともに挿入方向に延設される凸条部103,104と、を備えている。ヒータコア1の挿入の際に、ガイド部101は、ヒータコア1の上部及び下部のそれぞれを包むように支持してヒータコア1の姿勢を保持し、凸条部103,104は、その頂面が、ガイド部101によって包まれている部分以外のヒータコア1の上面及び下面を挿入方向の端部に至るまで支持する。
【0057】
従来のヒータコアを内蔵する空調ユニットでは、暖房性能を確保するために、ヒータコアの上面及び下面とケース側とのシール性を確保して風漏れ等を防止する必要がある一方、シール性の確保を重視してパッキンを大きく圧縮させると、ヒータコアをケース内に挿入設置する組立て工程において、ヒータコアの挿入がし辛いという問題が発生し得る。
【0058】
そこで、本実施形態の構成によれば、ケース11における挿入口側の上下両端部のそれぞれで椀状のガイド部101a,101bによって、ヒータコア1の上下両端部を包むように支持しながら、ヒータコア1をケース11内部の奥側へ挿入することができる。これにより、ヒータコア1の挿入工程の過程でヒータコア1の傾きを抑制して、ヒータコア1の上面及び下面を上下の凸条部103,104で適切に支持させ、ヒータコア1の上面及び下面とケース側とのシール性を確保することができる。また、このようにヒータコア1の傾きを抑制することにより、ヒータコア1の挿入設置工程の際に、ヒータコア1が傾くことによって、シール性向上のために貼着されているパッキンが破れてしまう事態を回避することができる。
【0059】
さらに、凸条部103,104は、いわゆるリブであり、その頂面でヒータコア1の上面及び下面を支持することにより、ヒータコア1を支持するために接触する面積を小さくできる。この接触面積の低減により、ヒータコア1をケース11内部の奥深くに挿入するときの抵抗を低下させることができ、ヒータコア1の挿入作業をスムーズに実施することができる。したがって、ケース11内部へヒータコア1を装着する際の組立て性(挿入性を含む)の向上と、ヒータコア1とケース11側との間のシール性の確保との両立を図る製品を提供することができる。
【0060】
また、ヒータコア1における反挿入方向の端部を支持するガイド部101は、その挿入方向長さが凸条部103,104の半分以下である。これによれば、ヒータコア1の挿入設置工程時にヒータコア1の姿勢を適正にする機能を確保し、凸条部103,104の適切な支持によるシール構造をできるとともに、面接触によるパッキン等を圧縮する面積を低減できることでヒータコア1の挿入性の向上が図れる。
【0061】
また、車両用空調ユニット10は、上下両端部それぞれのガイド部101a,101bを連絡するように上下方向に延設されてヒータコア1の一部を支持する板状の連絡部102を備える。この連絡部102は、挿入口100の縁部から挿入方向に延びる幅がガイド部101a,101bの挿入方向長さよりも短く形成されている。
【0062】
この構成によれば、連絡部102の挿入方向幅をガイド部101a,101bの挿入方向長さよりも短くすることにより、ヒータコア1の上下方向の中ほどに位置し熱交換に関わるコア部2において、連絡部102によって支持される面積を小さくし、その分、ガイド部101a,101bによって上部タンク4及び下部タンク5を支持することで、挿入時のヒータコア1の姿勢を整える機能を発揮させることができる。これにより、上記のシール性及び挿入操作性の確保の効果を奏しつつ、通風抵抗になり得る面積を低減して熱交換性能を発揮させることができる。
【0063】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ガイド部、連絡部及び凸条部を備えるケース11Aとは別体の熱交換器支持部材200を用いる例について図7〜図11を参照して説明する。
【0064】
図7は、第2実施形態において、ケース11Aに装着される熱交換器支持部材200を説明するための斜視図である。図8は図7の熱交換器支持部材200をケース11に装着した状態を示す正面図である。
【0065】
図7に示すように、熱交換器支持部材200は、挿入口202が開口された平板状の取付けフレーム201と、挿入口202の上端部側に設けられるガイド部203aと、挿入口202の下端部側に設けられるガイド部203bと、ガイド部203aとガイド部203bを接続し上下に延びる連絡部204と、凸条部206を有する上部プレート部205と、凸条部208を有する下部プレート部207と、を一体に備えて構成されている。
【0066】
ガイド部203a,203bは、第1実施形態のガイド部101a,101bに対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。連絡部204は、第1実施形態の連絡部102に対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。凸条部206は、第1実施形態の凸条部103aに対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。凸条部208は、第1実施形態の凸条部103bに対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。上部プレート部205は、ガイド部203aの挿入方向端部から挿入方向に延びる部分であり、その長さは、第1実施形態の凸条部103aと同等である。下部プレート部207は、ガイド部203bの挿入方向端部から挿入方向に延びる部分であり、その長さは、第1実施形態の凸条部103bと同等である。したがって、熱交換器支持部材200を装着するケース11Aには、凸条部104a及び104bが形成されている。
【0067】
図8に示すように、熱交換器支持部材200は、取っ手210を持って、取付けフレーム201に形成された複数の爪部21をケース11A側の嵌合部に嵌め込むとともに、ケース11Aに開口した取付け口102Aに取付けフレーム201を嵌め込む。そして、固定部209にねじを差し込んで締結することにより、熱交換器支持部材200はケース11Aに装着完了する。
【0068】
熱交換器支持部材200は、ヒータコア1を支持する部分である上部プレート部205及び下部プレート部207がそれぞれ開閉する機構を備えている。図9は、熱交換器支持部材200についてヒータコア1を支持する部分の開放動作を説明するための側断面である。図9に示すように、上部プレート部205及び下部プレート部207は、二点鎖線で示す位置から、実線で示す位置まで、外側に向けて開く構造となっている。図8に示すように、熱交換器支持部材200をケース11Aに装着し、ヒータコア1を挿入する前の状態では、上部プレート部205及び下部プレート部207は、二点鎖線で示す閉じた位置にある。
【0069】
上部プレート部205は、椀状のガイド部203aとヒンジ部211によって連結されている。下部プレート部207は、椀状のガイド部203bとヒンジ部212によって連結されている。挿入口202からヒータコア1の挿入方向端部が挿入されると、当該挿入方向端部の端面が上部プレート部205及び下部プレート部207を押し広げようとし、ヒンジ部211及び212のそれぞれを支点として上部プレート部205と下部プレート部207が図9の如く開放し、ヒータコア1に進入に伴い、第1のケース部材11aの内壁面に当接する。
【0070】
図10は、上部プレート部205が完全に開放してロックされた状態であり、図9におけるX−X切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。図11は、下部プレート部207が完全に開放してロックされた状態であり、図9におけるXI−XI切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。
【0071】
図10に示すように、上部プレート部205における空気流れ方向の端部及びその反対側端部に爪部213が形成されている。この爪部213は、ガイド部203aの嵌合部に嵌め込まれることにより、上部プレート部205が完全に開放した状態でロック機構を構成する。
【0072】
図11に示すように、下部プレート部207における空気流れ方向の端部及びその反対側端部に第1のケース部材11aに向けて突出する爪部214が形成されている。この爪部214は、ガイド部203bの嵌合部に嵌め込まれることにより、下部プレート部207が完全に開放した状態でロック機構を構成する。
【0073】
また、ガイド部203aの内壁面には、上部タンク4の側面に当接して押圧する挿入方向に延びるリブ203a1が左右に形成されている。また、ガイド部203bの内壁面には、下部タンク5の側面に当接して押圧する挿入方向に延びるリブ203b1が左右に形成されている。
【0074】
第2実施形態によれば、車両用空調ユニット10は、ケース11Aと別体に構成される部材であって、ケース11Aに形成された取付け口102Aに装着される熱交換器支持部材(200)を備える。
【0075】
この構成によれば、ケース11Aに対して別体の熱交換器支持部材200を装着することにより、ヒータコア1を前述した様々な作用効果を奏するように支持することができる。これにより、適用する車の大きさ(小型車、大型車等)に応じた暖房能力の違い、一般地向けや寒冷地向け等の使用地域の違い、車種による必要性能や仕様の違い等に柔軟に対応可能な車両用空調装置を適用することができる。また、ヒータコア1のサイズ違いに対して、サイズの異なる熱交換器支持部材200を適宜選択することにより、各種のケースに装着可能となり、部品の共用化や管理部品の低減を図ることができる。
【0076】
また、熱交換器支持部材200は、ヒータコア1の上面を支持する凸条部206を有する上部プレート部205と、ヒータコア1の下面を支持する凸条部208を有する下部プレート部207と、上部プレート部205及び下部プレート部207のそれぞれとガイド部203a,203bとを連結するヒンジ部211,212とを備えて構成されている。上部プレート部205及び下部プレート部207は、熱交換器支持部材200をケース11Aに装着した状態で、ヒータコア1を挿入口202からケース11A内部に挿入していくに伴い、それぞれのヒンジ部211,212を支点として外側に押し広げられるようになる。
【0077】
本実施形態では、ヒータコア1をケース11A内に挿入するときに凸条部206,208が押し広げられるヒンジ部構造を備えることにより、熱交換器支持部材200は装着前の別体の部品状態では折りたたまれているので、部品体格の小型化が可能である。これにより、部品管理用のスペースの低減や運送費用の低減が図れ、さらに熱交換器支持部材200が樹脂成形品の場合には金型の小型化により、製品コストの低減が期待でき製品競争力の向上が図れる。
【0078】
また、ヒータコア1の挿入時に上記のヒンジ部構造によって完全に押し広げられたときに、爪部213,214の係合によるロック機構によって上部プレート部205及び下部プレート部207の位置が固定されるため、凸条部206,208をガイド部203a,203bに対して所望の位置に設定することができる。これにより、上記した作用効果を確実に奏するようにヒータコア1を支持することが可能になる。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0080】
上記実施形態では、ヒータコア1が内蔵されるケース11は、複数の分割ケース部材を組み合わせて形成される形態であるが、このような形態に限定されるものではなく、挿入方向長さの途中において合わせ部を有さない一つのケースであってもよい。このようなケースである場合でも、樹脂成形品である以上、抜き勾配の設定はもちろん必要である。
【0081】
上記実施形態において、図2及び図3に図示するように、ガイド部101aの内壁面と凸条部103aが設けられている部位のケース11の内壁面との間に、段差が設定されているが、両者のつなぎ部をこのような段差がなく斜面等の滑らかな連続面でつなぐようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態において車両用空調ユニット10は、車室内に向けて左右の吹出し口からそれぞれに温調された空気を供給する左右独立温度コントロールを提供する装置以外にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0083】
1…ヒータコア(加熱用熱交換器)
11,11A…ケース
12…空気通路
100,202…挿入口
101,101a,101b,203,203a,203b…ガイド部
102…連絡部
103,104,103A,104A,206,208…凸条部
200…熱交換器支持部材
205…上部プレート部
207…下部プレート部
211,212…ヒンジ部
213,214…爪部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に送風される空気を暖める加熱用熱交換器を内蔵する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置において、樹脂成形品であるケースの内部に加熱用熱交換器を備える技術として、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に記載の装置では、ヒータコア(加熱用熱交換器)は、ケースに形成された挿入口から挿入されてケース内部の通路を横断するように奥深く配置される。このように挿入設置されたヒータコアにおいては、特許文献1の図7に図示されるように、少なくとも挿入方向長さのヒータコアの両端部、つまり、挿入口側端部及び挿入奥側端部において貼着されたパッキンがケース内壁面との間で圧縮されることにより、シール性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3353428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒータコアを備える車両用空調装置としての暖房能力を確保するためには、ケース内を流れる空気が他部へ漏れることなくヒータコアで熱交換されるように、加熱用熱交換器とケースとの間を確実にシールすることが求められる。さらに、製品の競争力向上のためには、組立て工数の低減を図ることも求められる。組立て工数低減のためには、加熱用熱交換器とケースとの組立て性の向上が必要であり、この組立て性向上にとっては加熱用熱交換器をケース内部に挿入するときの挿入し易さが良好であることが望ましい。
【0005】
特許文献1に記載の従来技術では、樹脂成形品であるケースには、金型から成形品を取り出すために抜き勾配の設定が必要なため、ヒータコア挿入方向の長さが長くなるほど、当該挿入方向の両端部においてパッキンの圧縮率の差が大きくなる。このため、当該挿入方向の両端部のいずれかにおいて、パッキンが大きく圧縮されるので、ヒータコアの組立て工程において、ヒータコアの挿入がし辛いという問題が発生し得る。なお、当該ケースが2つの分割ケース部材を組み合わせて構成されている場合にも、個々の分割ケースにおいて、2つの分割ケース部材の合わせ部と他端との間に抜き勾配が設定されるため、同様に、パッキンの圧縮率の差が大きくなる現象が起こる。
【0006】
また、空気漏れ防止のためのシール性確保、及びヒータコアの挿入し易さの両方の要求を満たすために、ヒータコアに貼着されてケースとヒータコアとのシールを行うパッキンについてその板厚を厚くすることにより、ヒータコアを挿入するために必要な力を低下させるという方法がある。しかしながら、この方法では、パッキンの厚みやそのシール代が増加するため、空気が実際に流れる通路断面積を小さくしてしまうので、ヒータコアによる暖房能力を十分に確保できないという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ケース内部へ加熱用熱交換器を装着する際の組立て性の向上と、加熱用熱交換器とケース内壁面のシール性の確保との両立を図る車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1は、樹脂成形品であり、車室内に向かう空気が流れる空気通路(12)が内部に形成されるケース(11)と、ケースに形成された挿入口(100)から挿入されてケースの内部に空気通路を横断するように設けられ、空気通路を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器(1)と、を備える車両用空調装置に係る発明であって、
ケースの内部で加熱用熱交換器の挿入方向に延びるように挿入口(100)側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部(101)と、ガイド部(101)の挿入方向側で、ケースの内部で内方に突出するとともに挿入方向に延設される凸条部(103,104)と、を備え、
加熱用熱交換器の挿入の際に、ガイド部(101)は、加熱用熱交換器の上部及び下部のそれぞれを包むように支持して加熱用熱交換器の姿勢を保持し、凸条部(103,104)の頂面は、ガイド部(101)によって包まれている部分以外の加熱用熱交換器の上面及び下面のそれぞれを挿入方向の端部に至るまで支持することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ケースにおける挿入口側の上下両端部のそれぞれで椀状のガイド部によって、加熱用熱交換器の上下両端部を包むように支持しながら、適正な姿勢で加熱用熱交換器をケース内部の奥側へ挿入することができる。これにより、加熱用熱交換器の挿入工程の過程で加熱用熱交換器が傾くことを抑制し、加熱用熱交換器の上面及び下面を上下の凸条部で適切に支持させて、加熱用熱交換器の上面及び下面とケース側とのシール性を確保することができる。さらに、凸条部は、その頂面で加熱用熱交換器の上面及び下面を支持するため、加熱用熱交換器を支持するために接触する面積を小さくできる。この接触面積の低減により、加熱用熱交換器をケース内部の奥深くに挿入するときの抵抗を低下させることができ、加熱用熱交換器の挿入作業をスムーズに実施することができる。したがって、ケース内部へ加熱用熱交換器を装着する際の組立て性の向上と、加熱用熱交換器とケース内壁面のシール性の確保との両立が図れる車両用空調装置を提供できる。
【0010】
請求項2の発明によると、上下両端部それぞれのガイド部(101a,101b)を連絡するように上下方向に延設され、加熱用熱交換器の一部を支持する板状の連絡部(102)を備え、連絡部(102)は、挿入口(100)の縁部から挿入方向に延びる幅がガイド部(101a,101b)の挿入方向長さよりも短いことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、連絡部の挿入方向の幅をガイド部の挿入方向長さよりも短くすることにより、加熱用熱交換器の上下方向の中ほどに位置し熱交換に関わるコア部において、連絡部によって支持される面積を小さくし、その分、ガイド部によって上部及び下部を支持することで、挿入時の加熱用熱交換器の姿勢を整える機能を発揮することができる。したがって、シール性及び挿入操作性を確保するとともに、通風抵抗になり得る面積を低減して熱交換性能を確保することができる。
【0012】
請求項3の発明によると、凸条部(103,104,103A,104A)は、空気流れ方向に複数個並んで配置されており、加熱用熱交換器の上面及び下面を支持していることを特徴とする。この発明によれば、空気通路に形成する風漏れ防止のためのシール構造を、空気流れ方向に複数段に設定することができる。これにより、ケース側と加熱用熱交換器との間のシール性を強化でき、適切な暖房性能を確保することができる。
【0013】
請求項4の発明によると、加熱用熱交換器(1)が挿入される挿入口(202)と、挿入口(202)の上下両端部それぞれに設けられるガイド部(203)と、ガイド部(203)の挿入方向側で挿入方向に延びる凸条部(206,208)とを有し、ケース(11A)と別体に構成される部材であって、ケース(11A)に形成された取付け口(102A)に装着される熱交換器支持部材(200)を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ケースに対して別体の熱交換器支持部材を装着することにより、加熱用熱交換器を上記の作用効果を奏するように支持することが可能になる。これにより、適用する車の大きさに応じた暖房能力の違い、寒冷地向け等の使用地域の違い、車種による仕様の違い等に柔軟に対応可能な車両用空調装置を適用することができる。
【0015】
請求項5の発明によると、熱交換器支持部材(200)は、加熱用熱交換器の上面を支持する凸条部(206)を有する上部プレート部(205)と、加熱用熱交換器の下面を支持する前記凸条部(208)を有する下部プレート部(207)と、上部プレート部(205)及び下部プレート部(207)のそれぞれとガイド部(203a,203b)とを連結するヒンジ部(211,212)とを備え、
上部プレート部(205)及び下部プレート部(207)は、熱交換器支持部材(200)をケース(11A)に装着した状態で、加熱用熱交換器(1)を挿入口(202)からケース(11A)内部に挿入していくに伴って、それぞれのヒンジ部(211,212)を支点として外側に押し広げられることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、加熱用熱交換器をケース内に挿入するときに凸条部が押し広げられるヒンジ部構造を備えることにより、装着前の別体の部品の状態では折りたたまれているので、部品の体格を小さくすることができる。これにより、部品管理用のスペースの低減や運送費用の低減が図れ、樹脂成形品の場合には金型の小型化により、製品コストの低減に多大な効果を奏する。
【0017】
請求項6の発明によると、上部プレート部(205)及び下部プレート部(207)は、完全に前記押し広げられたときに、ガイド部(203a,203b)に対して係合する爪部(213,214)をそれぞれ備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、上記のヒンジ構造によって完全に押し広げられたときに、爪部の係合によるロック機構によって上部プレート部及び下部プレート部の位置が固定されるため、凸条部をガイド部に対して所望の位置に設定することができる。これにより、上記の作用効果を確実に奏するように支持することが可能になる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示す一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る車両用空調ユニットにおいて、ケース内にヒータコアを挿入して設置することを説明するための斜視図である。
【図2】ヒータコアが挿入設置される部位におけるケースの構成を説明するための断面図である。
【図3】ヒータコアがケース内部に挿入設置された状態におけるヒータコアとケースの関係を説明するための断面図である。
【図4】ケース内部に設けられた凸条部がヒータコアの下面に貼着されたパッキンを圧縮する状態を示した断面図である。
【図5】ケース内部に設けられた凸条部がヒータコアの下面に当接する実施形態を示した断面図である。
【図6】ケース内部に設けられた2本の凸条部がヒータコアの下面に当接する実施形態を示した断面図である。
【図7】本発明を適用した第2実施形態において、ケースに装着される熱交換器支持部材を説明するための斜視図である。
【図8】図7の熱交換器支持部材をケースに装着した状態を示す正面図である。
【図9】第2実施形態に係る熱交換器支持部材について、ヒータコアを支持する部分の開放動作を説明するための側断面である
【図10】図9におけるX−X切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。
【図11】図9におけるXI−XI切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0022】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用空調ユニット10において、ケース11内にヒータコア1を挿入して設置することを説明するための斜視図である。
【0023】
車両用空調ユニット10は、その外殻をケース11で構成されており、例えば、大別して送風部と空調部を備えている。ケース11は、複数のケース部材、例えば、第1のケース部材11aと第2のケース部材11bからなり、例えばポリプロピレンなどの樹脂成形品である。これらのケース部材11a,11bは、金属ばね、ねじ等の締結手段によって一体的に結合されて一つのケース11を構成している。また、このケース11は、車室内に向かう空気が流れる空気通路12を内部に形成し、内部にヒータコア1を有する空調部を形成する空調ユニットケース、あるいはヒータユニットケースでもある。
【0024】
また、車両用空調ユニット10は、車室内に向けて左右の吹出し口からそれぞれに温調された空気を供給する車両用空調装置であってもよい。この場合、車両用空調ユニット10は、運転席側と助手席側において独立に空調設定を可変できる、いわゆる左右独立温度コントロールを実現する。そして、車両用空調ユニット10のケース11内部には、左右別々に温調された通風が混ざらないように中間仕切り板(図示せず)が設けられ、中間仕切り板によってケース11内部は、車両左右方向に二つの通風路に区画されている。
【0025】
車両用空調ユニット10の送風部は、車室内または車室外の空気を空調部に送風するための送風機を備え、送風機の吹出口は空調部の入口に至る送風通路と接続されている。送風機は、例えば遠心多翼ファンとこれを駆動するモータとからなり、遠心多翼ファンの周囲はスクロールケーシングで囲まれ、遠心多翼ファンの遠心方向に伸びるダクトによって送風通路と連通している。
【0026】
空調部は、送風通路の全体を横断的に塞いで設けられたエバポレータと、エバポレータを通過してきた空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア1と、エバポレータを通過する空気が流れる冷風通路、温風と冷風の混合風量を調節するエアミックスドアと、ヒータコア1を通過する空気が流れる温風通路と、温風と冷風が混合空間であるエアミックスチャンバと、デフロスタ用ドアと、フェイス用ドアと、フット用ドアと、をケース11の内部に備えている。さらにケース11には、冷風通路および温風通路の下流側に複数個の吹出口が形成されており、ここでは、ケース吹出口の一例であるデフロスタ吹出口、フェイス吹出口およびフット吹出口が設けられている。
【0027】
デフロスタ吹出口はケース11の車両前方側の上部に位置する。インストルメントパネルのフロントウィンドウガラス付近の車両前方部には、室内吹出口の一つであるデフロスタ室内吹出口が設けられている。デフロスタ吹出口とデフロスタ室内吹出口は、曇り度合いを低減するために空調風がフロントウィンドウガラス等の室内側面に沿うように、デフロスタ用ダクトによって接続されている。デフロスタ吹出口はデフロスタ用ドアによって開閉制御される。
【0028】
フェイス吹出口はケース11上部のデフロスタ吹出口よりも車両後方側に位置する。インストルメントパネルの車両後方側の前面には、車室内に露出する室内吹出口の一つであるフェイス室内吹出口が設けられている。フェイス吹出口とフェイス室内吹出口は、運転席及び助手席の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すために、フェイス用ダクトによって接続されている。フェイス吹出口はフェイス用ドアによって開閉制御される。
【0029】
フット吹出口はケース11下部の車両後方側に位置する。乗員の足元には、室内吹出口の一つであるフット室内吹出口が設けられている。フット吹出口とフェイス室内吹出口は、運転席及び助手席の乗員の足元に向けて空調風を吹き出すために、フット用ダクトによって接続されている。フット吹出口はその開口断面積がフット用ドアによって開閉制御される。
【0030】
エバポレータは、例えば、ケース11の車両前方側に位置し、冷凍サイクル内の膨張弁で減圧された低温低圧の冷媒を送風機の送風を受けて内部で蒸発させる冷却用熱交換器である。そして、冷媒が流れるチューブの周囲を通過する送風空気を冷却して下流の冷風通路に冷風を供給する。ヒータコア1は、エバポレータよりも車両後方側の下部に位置し、走行用エンジンの高温の冷却水を熱源として送風空気と熱交換させ、周囲を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器であり、エバポレータよりも空気流れ方向の下流側の通路を部分的に塞ぐように配置されている。エアミックスドアは、その開度位置により、ヒータコア1を通る温風の風量とヒータコア1を通過しない冷風の風量との比率を調節して、空調風の温度調節を行う。
【0031】
温風通路は、車両前方側に傾いた形態で、ケース11の下部から上方のエアミックスチャンバに向けて延びるように形成されている。温風通路は、ケース11の車両左右方向全体に亘る幅寸法を有し、その幅寸法は車両前後方向の寸法よりも大きくなっている。つまり、温風通路は、前後方向に薄く、横長で上下方向に長い扁平状の通路を呈している。フェイス吹出口及びデフロスタ吹出口はエアミックスチャンバに臨む開口である。フット吹出口は温風通路に臨む開口である。各吹出口から吹き出される空調風は、接続された各ダクト内を通って車室内の所定の室内吹き出し部位に供給されることになる。送風機、エアミックスドア、デフロスタ用ドア、フェイス用ドア及びフット用ドアの作動は、制御装置によって制御される。
【0032】
(本実施形態の特徴部の説明)
図1に示すように、ヒータコア1は、第1のケース部材11aに形成された挿入口100から挿入され、奥側に位置する第2のケース部材11bの内壁に形成された連絡部105及び各支持部106,107,108,109に当接するまで押し込まれ、空気通路12を横断するように設置される。
【0033】
図2は、ヒータコア1が挿入設置される部位におけるケース11の構成を説明するための断面図である。図1及び図2に示すように、ケース11は、第1のケース部材11aの開口端部と第2のケース部材11bの開口端部とを、ヒータコア1の挿入方向長さの中央部分で組み合わせ、固定接合して一体に構成されている。すなわち、ケース11の当該挿入方向長さの中央には、第1のケース部材11aと第2のケース部材11bの合わせ面が位置している。
【0034】
両方のケース部材11a,11bは、例えば、ポリプロピレン等からなる樹脂成形品であり、金型を用いて成形されるため、それぞれのケース内壁面に金型から成形品を取り出すための抜き勾配を必要とする。第1のケース部材11aは、この抜き勾配により、例えば、ヒータコア1を挿入する挿入方向(以下、単に「挿入方向」ともいう)の端部に位置する開口部が、その反対側の端部の開口である挿入口100よりも大きくなるように形成されている。つまり、挿入口100は、挿入方向端部の開口部よりも抜き勾配のために必要な角度の設定分、小さくなっている。
【0035】
一方、第2のケース部材11bは、この抜き勾配により、第1のケース部材11aとの合わせ面を構成する、挿入方向の反対側の開口端部が、挿入方向端部の上下方向に延びる内壁面の大きさよりも大きくなるように形成されている。つまり、挿入方向端部の当該内壁面の大きさは、第2のケース部材11bの合わせ部である挿入方向の反対側の開口部よりも抜き勾配のために必要な角度の設定分、小さくなっている。また、第1のケース部材11aにおける挿入方向端部の開口部は、第2のケース部材11bにおける反挿入方向端部の開口部と合わせ部を構成するため、同等の大きさとなっている。抜き勾配設定のための構成により、図2に示すように、ケース11においてヒータコア1が挿入設置される部位の内壁面は、挿入方向について、中央部側が両端部よりも大きくなり、換言すれば、上下方向の長さが長くなっている。
【0036】
ヒータコア1の挿入入り口側に位置する第1のケース部材11aには、ヒータコア1の上下部を包むように支持する椀状のガイド部101が形成されている。椀状のガイド部101は、挿入口100の上端部側に設けられるガイド部101aと、挿入口100の下端部側に設けられるガイド部101bとで、構成されている。両方のガイド部101a,101bは、横断面形状が椀状であって、ケース11の内部でヒータコア1の挿入方向に延びるように形成されている。
【0037】
上部のガイド部101aと下部のガイド部101bとは、挿入口100の縁部から挿入方向に起立する連絡部102によって連絡されている。連絡部102は、ガイド部101aとガイド部101bを接続する上下に延びるリブであり、空気流れ方向に並ぶ二つのリブで構成されている。また、連絡部102の挿入方向長さは、ガイド部101a,101bの挿入方向長さよりも短く形成されている。以上の構成により、挿入口100の縁部全周は、上部のガイド部101a及び下部のガイド部101bと、空気流れ方向両サイドの二つの連絡部102と、で囲まれるような形態で連続的につながっている。
【0038】
この構成により、ケース11内部に挿入設置されるヒータコア1は、その挿入方向反対側の端部全周がこれらの連続的につながる部分によって取り囲まれて、包まれるように支持されている。また、ガイド部101a、ガイド部101b及び連絡部102は、第1のケース部材11aに一体に成形されている。
【0039】
ケース11には、ガイド部101よりも挿入方向側(ケース11の奥側)で、ケース11の内部で内方に突出するとともに挿入方向に延びる凸条部103,104が形成されている。凸条部103は、第1のケース部材11aにおける上下両方の内壁面にそれぞれ内方に向かって突出している。凸条部103aは、上部のガイド部101aにおける挿入方向側端部に隣接する位置から、第1のケース部材11aの挿入方向端部(第2のケース部材11bとの合わせ部)に至るまで連続して、第1のケース部材11a上部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。凸条部103bは、下部のガイド部101bにおける挿入方向側端部に隣接する位置から、第1のケース部材11aの挿入方向端部(第2のケース部材11bとの合わせ部)に至るまで連続して、第1のケース部材11a下部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。
【0040】
凸条部104は、第2のケース部材11bにおける上下両方の内壁面にそれぞれ内方に向かって突出している。凸条部104aは、第2のケース部材11bにおける第1のケース部材11aとの合わせ部の上部で凸条部103aに接触するように隣接し、第2のケース部材11bにおける挿入方向端部の内壁面に至るまで直線状につながっており、第2のケース部材11b上部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。凸条部104bは、第2のケース部材11bにおける第1のケース部材11aとの合わせ部の下部で凸条部103bに接触するように隣接し、第2のケース部材11bにおける挿入方向端部の内壁面に至るまで直線状につながっており、第2のケース部材11b下部の内壁面から内方に向かって突出する板状のリブである。
【0041】
凸条部103aと凸条部104aは、内方に突出する頂面の上下方向位置が一致する同じ高さのリブである。凸条部103bと凸条部104bは、内方に突出する頂面の上下方向位置が一致する同じ高さのリブである。また、凸条部103aと凸条部103bは、第1のケース部材11aに一体に成形されている。凸条部104aと凸条部104bは、第2のケース部材11bに一体に成形されている。
【0042】
ガイド部101aまたは101bの挿入方向長さL1は、凸条部103aまたは103bの挿入方向長さL2よりもかなり短い長さであり、例えば、L2の半分以下に設定している。特に、ガイド部101aまたは101bの挿入方向長さL1は、凸条部103aまたは103bの挿入方向長さL2と挿入方向長さL1の和の20〜30%の長さになるように設定することが好ましい。このような長さでも、ヒータコア1をケース内部に挿入する際に、ヒータコア1の上部タンク4及び下部タンク5を支持して、ヒータコア1の姿勢を適切に保持することができるのである。
【0043】
第2のケース部材11bの挿入方向端部に位置する内壁面には、複数の支持部106,107,108,109が上下方向に並ぶように所定の位置に形成されている。これらの支持部106〜109は、上下方向に延び、内方に突出するリブである連絡部105を間に介してつながっている。支持部106は、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1の挿入方向端部における空気流れ方向側の側部を支持する側部支持片106aと、を備える略L字状の部材である。
【0044】
支持部107は、支持部106よりも下方の所定の位置に設けられ、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部を支持する一対の側部支持片107aと、を備えるコの字状の部材である。支持部108は、支持部107よりも下方の所定の位置に設けられ、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部を支持する一対の側部支持片108aと、を備えるコの字状の部材である。支持部109は、支持部108よりも下方の所定の位置に設けられ、ヒータコア1がケース11内に挿入設置された状態で、ヒータコア1における挿入方向端面を支持する基台部と、基台部から反挿入方向に延びる形状でヒータコア1における空気流れ方向の反対側の側部を支持する側部支持片109aと、を備える略L字状の部材である。
【0045】
ヒータコア1は、エンジンの冷却水が流通するチューブ及びアウターフィンを交互に積層配置して構成されるコア部2と、各チューブの端部と接続されてチューブ内部と内部空間が連通する上部タンク4および下部タンク5と、エンジン側からのエンジン冷却水が上部タンク4の内部に流入する流入用パイプ3と、エンジン冷却水が下部タンク5の内部から外部に流出する流出用パイプ7と、を備えている。ヒータコア1には、所定の箇所に複数のパッキン6が貼着されている。複数のパッキン6a〜6dは、外力により変形する弾性を有する部材であり、例えばエラストマー、ウレタン等で形成されている。
【0046】
パッキン6aは、ヒータコア1における挿入方向反対側の端部の外周を取り囲むように設けられている。すなわち、パッキン6aは、ヒータコア1の挿入方向反対側の端部において、上部タンク4と、コア部2における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部と、下部タンク5と、に亘って覆う環状のシール部材である。パッキン6bは、ヒータコア1における挿入方向端部の外周を取り囲むように設けられている。すなわち、パッキン6bは、ヒータコア1の挿入方向端部において、上部タンク4と、コア部2における空気流れ方向の側部及びその反対側の側部と、下部タンク5と、に亘って覆う環状のシール部材である。
【0047】
パッキン6cは、上部タンク4の上面に貼着される棒状のシール部材である。パッキン6cは、その挿入方向長さがパッキン6a及び6bを除くヒータコア1の挿入方向長さと同等であり、空気流れ方向の幅が上部タンク4の幅よりもかなり小さく、凸条部103a,104aの頂面で圧接され得る程度の幅に形成されている。パッキン6dは、下部タンク5の上面に貼着される棒状のシール部材である。パッキン6dは、その挿入方向長さがパッキン6a及び6bを除くヒータコア1の挿入方向長さと同等であり、空気流れ方向の幅が下部タンク5の幅よりもかなり小さく、凸条部103b,104bの頂面で圧接され得る程度の幅に形成されている。
【0048】
次に、ヒータコア1をケース11の内部に挿入設置する組み付け作業について説明する。図3は、ヒータコア1がケース11内部に挿入設置された状態におけるヒータコア1とケース11の関係を説明するための断面図である。
【0049】
ヒータコア1をケース11の内部に挿入設置するときには、ヒータコア1の流入用パイプ3及び流出用パイプ7を後尾にしてその反対側のヒータコア1の側部を先頭にした姿勢で挿入口100からケース11内部に挿入する。このとき、まず、ヒータコア1の挿入方向端部がガイド部101a,101b及び連絡部102で保持されるため、ヒータコア1が挿入方向へ進むときの傾きが抑制される。したがって、仮にヒータコア1を傾いた状態で挿入し始めても、ガイド部101a,101b及び連絡部102の保持機構により、ヒータコアの挿入時の姿勢は適正に補正され得る。
【0050】
この適正な姿勢に保つ保持機能は、さらにヒータコア1を奥側に挿入し進めても効果を発揮しつづけ、この機能に伴い、上部タンク4の上面及び下部タンク5の下面において、所定の位置でパッキン6c,6dを圧接させることに寄与する。図4は、ケース11内部に設けられた凸条部103,104がヒータコア1の下面に貼着されたパッキン6dに当接して圧縮する状態を示した断面図である。図4に図示するように、凸条部103,104は、パッキン6c,6dにおける空気流れ方向の中央部に確実に押し当てられ、パッキン6c,6dに所望の圧縮力を提供することができる。
【0051】
そして、図3は、ヒータコア1の挿入方向端部の端面が支持部106〜109の基台部及び連絡部105に突き当たるまでヒータコア1をケース11内部に挿入した状態である。この状態までヒータコア1を押し込むと、ヒータコア1の挿入方向端部の端面は支持部106〜109の基台部及び連絡部105に支持されるとともにシール構造を構成し、当該挿入方向端部における空気流れ方向の側部は一方の側部支持片106a、107a及び108aに支持され、当該挿入方向端部における反空気流れ方向の側部は他方の側部支持片107a、108a及び109aに支持されることになる。
【0052】
さらに、上部タンク4の上面は、凸条部103a及び104aに支持されるとともに挿入方向に延びる線状のシール構造を構成し、下部タンク5の下面は、凸条部103b及び104bに支持されるとともに挿入方向に延びる線状のシール構造を構成する。さらに挿入方向端部の反対側の端部においては、上部タンク4における流入用パイプ3側の端部をガイド部101aが上部タンク4を上から抱えるように支持し、下部タンク5における流出用パイプ7側の端部をガイド部101bが下部タンク5を下から抱えるように支持するとともに、コア部の両側面を連絡部102が挟むように支持する。
【0053】
このように、ヒータコア1における挿入方向反対側の端部は、上部タンク4及び下部タンク5を支持してヒータコア1の姿勢を適正に保つ機能を発揮するとともに、風漏れ防止の機能を奏する。さらに、この部分よりも挿入方向奥側では長い部分に亘って、幅の広い面による面シール構造ではなく、リブの頂面による非常に幅の狭い部分でのシール構造を構成することにより、確実なシール部の構成によって確実なシール性を発揮するとともに、ヒータコア1をケース11の内部に挿入する際の抵抗力を小さくし、挿入性を良好な状態にすることができる。
【0054】
図5はケース11内部に設けられた凸条部103,104がヒータコア1の下面に当接する実施形態を示した断面図である。図5に図示するように、ヒータコア1の上面及び下面と凸条部103,104との間の寸法関係を調整することにより、凸条部103,104の頂面がヒータコア1の外面との間に隙間を生じることなく適正に圧接し、本実施形態で用いているパッキン6c,6dを不要とすることもできる。
【0055】
図6はケース11内部に設けられた2本の凸条部103,104,103A,104Aがヒータコア1の下面に当接する実施形態を示した断面図である。図6に図示するように、ヒータコア1の上面及び下面と接触する凸条部は、空気流れ方向に所定間隔をあけて並ぶ2個以上のリブからなる。このように空気流れ方向に並ぶ複数個の凸条部が上部タンク4の上面や下部タンク5の下面に直接圧力を加えるように当接することにより、空気流れ方向のシール部が複数段に構成されて、シール性を強化でき、適切な暖房性能を確保することができる。したがって、この構成によってもヒータコア1を支持するために接触面積の低減の効果を奏し、また本実施形態で用いているパッキン6c,6dを不要とする構成もとり得る。
【0056】
本実施形態の車両用空調ユニット10がもたらす作用効果について以下に述べる。車両用空調ユニット10は、ケース11の内部でヒータコア1の挿入方向に延びるように挿入口100側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部101と、ガイド部101よりも挿入方向側で、ケース11の内部で内方に突出するとともに挿入方向に延設される凸条部103,104と、を備えている。ヒータコア1の挿入の際に、ガイド部101は、ヒータコア1の上部及び下部のそれぞれを包むように支持してヒータコア1の姿勢を保持し、凸条部103,104は、その頂面が、ガイド部101によって包まれている部分以外のヒータコア1の上面及び下面を挿入方向の端部に至るまで支持する。
【0057】
従来のヒータコアを内蔵する空調ユニットでは、暖房性能を確保するために、ヒータコアの上面及び下面とケース側とのシール性を確保して風漏れ等を防止する必要がある一方、シール性の確保を重視してパッキンを大きく圧縮させると、ヒータコアをケース内に挿入設置する組立て工程において、ヒータコアの挿入がし辛いという問題が発生し得る。
【0058】
そこで、本実施形態の構成によれば、ケース11における挿入口側の上下両端部のそれぞれで椀状のガイド部101a,101bによって、ヒータコア1の上下両端部を包むように支持しながら、ヒータコア1をケース11内部の奥側へ挿入することができる。これにより、ヒータコア1の挿入工程の過程でヒータコア1の傾きを抑制して、ヒータコア1の上面及び下面を上下の凸条部103,104で適切に支持させ、ヒータコア1の上面及び下面とケース側とのシール性を確保することができる。また、このようにヒータコア1の傾きを抑制することにより、ヒータコア1の挿入設置工程の際に、ヒータコア1が傾くことによって、シール性向上のために貼着されているパッキンが破れてしまう事態を回避することができる。
【0059】
さらに、凸条部103,104は、いわゆるリブであり、その頂面でヒータコア1の上面及び下面を支持することにより、ヒータコア1を支持するために接触する面積を小さくできる。この接触面積の低減により、ヒータコア1をケース11内部の奥深くに挿入するときの抵抗を低下させることができ、ヒータコア1の挿入作業をスムーズに実施することができる。したがって、ケース11内部へヒータコア1を装着する際の組立て性(挿入性を含む)の向上と、ヒータコア1とケース11側との間のシール性の確保との両立を図る製品を提供することができる。
【0060】
また、ヒータコア1における反挿入方向の端部を支持するガイド部101は、その挿入方向長さが凸条部103,104の半分以下である。これによれば、ヒータコア1の挿入設置工程時にヒータコア1の姿勢を適正にする機能を確保し、凸条部103,104の適切な支持によるシール構造をできるとともに、面接触によるパッキン等を圧縮する面積を低減できることでヒータコア1の挿入性の向上が図れる。
【0061】
また、車両用空調ユニット10は、上下両端部それぞれのガイド部101a,101bを連絡するように上下方向に延設されてヒータコア1の一部を支持する板状の連絡部102を備える。この連絡部102は、挿入口100の縁部から挿入方向に延びる幅がガイド部101a,101bの挿入方向長さよりも短く形成されている。
【0062】
この構成によれば、連絡部102の挿入方向幅をガイド部101a,101bの挿入方向長さよりも短くすることにより、ヒータコア1の上下方向の中ほどに位置し熱交換に関わるコア部2において、連絡部102によって支持される面積を小さくし、その分、ガイド部101a,101bによって上部タンク4及び下部タンク5を支持することで、挿入時のヒータコア1の姿勢を整える機能を発揮させることができる。これにより、上記のシール性及び挿入操作性の確保の効果を奏しつつ、通風抵抗になり得る面積を低減して熱交換性能を発揮させることができる。
【0063】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ガイド部、連絡部及び凸条部を備えるケース11Aとは別体の熱交換器支持部材200を用いる例について図7〜図11を参照して説明する。
【0064】
図7は、第2実施形態において、ケース11Aに装着される熱交換器支持部材200を説明するための斜視図である。図8は図7の熱交換器支持部材200をケース11に装着した状態を示す正面図である。
【0065】
図7に示すように、熱交換器支持部材200は、挿入口202が開口された平板状の取付けフレーム201と、挿入口202の上端部側に設けられるガイド部203aと、挿入口202の下端部側に設けられるガイド部203bと、ガイド部203aとガイド部203bを接続し上下に延びる連絡部204と、凸条部206を有する上部プレート部205と、凸条部208を有する下部プレート部207と、を一体に備えて構成されている。
【0066】
ガイド部203a,203bは、第1実施形態のガイド部101a,101bに対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。連絡部204は、第1実施形態の連絡部102に対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。凸条部206は、第1実施形態の凸条部103aに対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。凸条部208は、第1実施形態の凸条部103bに対応し、同様の形状であり同様の作用効果を奏する。上部プレート部205は、ガイド部203aの挿入方向端部から挿入方向に延びる部分であり、その長さは、第1実施形態の凸条部103aと同等である。下部プレート部207は、ガイド部203bの挿入方向端部から挿入方向に延びる部分であり、その長さは、第1実施形態の凸条部103bと同等である。したがって、熱交換器支持部材200を装着するケース11Aには、凸条部104a及び104bが形成されている。
【0067】
図8に示すように、熱交換器支持部材200は、取っ手210を持って、取付けフレーム201に形成された複数の爪部21をケース11A側の嵌合部に嵌め込むとともに、ケース11Aに開口した取付け口102Aに取付けフレーム201を嵌め込む。そして、固定部209にねじを差し込んで締結することにより、熱交換器支持部材200はケース11Aに装着完了する。
【0068】
熱交換器支持部材200は、ヒータコア1を支持する部分である上部プレート部205及び下部プレート部207がそれぞれ開閉する機構を備えている。図9は、熱交換器支持部材200についてヒータコア1を支持する部分の開放動作を説明するための側断面である。図9に示すように、上部プレート部205及び下部プレート部207は、二点鎖線で示す位置から、実線で示す位置まで、外側に向けて開く構造となっている。図8に示すように、熱交換器支持部材200をケース11Aに装着し、ヒータコア1を挿入する前の状態では、上部プレート部205及び下部プレート部207は、二点鎖線で示す閉じた位置にある。
【0069】
上部プレート部205は、椀状のガイド部203aとヒンジ部211によって連結されている。下部プレート部207は、椀状のガイド部203bとヒンジ部212によって連結されている。挿入口202からヒータコア1の挿入方向端部が挿入されると、当該挿入方向端部の端面が上部プレート部205及び下部プレート部207を押し広げようとし、ヒンジ部211及び212のそれぞれを支点として上部プレート部205と下部プレート部207が図9の如く開放し、ヒータコア1に進入に伴い、第1のケース部材11aの内壁面に当接する。
【0070】
図10は、上部プレート部205が完全に開放してロックされた状態であり、図9におけるX−X切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。図11は、下部プレート部207が完全に開放してロックされた状態であり、図9におけるXI−XI切断面を矢視したときの状態を示す部分断面図である。
【0071】
図10に示すように、上部プレート部205における空気流れ方向の端部及びその反対側端部に爪部213が形成されている。この爪部213は、ガイド部203aの嵌合部に嵌め込まれることにより、上部プレート部205が完全に開放した状態でロック機構を構成する。
【0072】
図11に示すように、下部プレート部207における空気流れ方向の端部及びその反対側端部に第1のケース部材11aに向けて突出する爪部214が形成されている。この爪部214は、ガイド部203bの嵌合部に嵌め込まれることにより、下部プレート部207が完全に開放した状態でロック機構を構成する。
【0073】
また、ガイド部203aの内壁面には、上部タンク4の側面に当接して押圧する挿入方向に延びるリブ203a1が左右に形成されている。また、ガイド部203bの内壁面には、下部タンク5の側面に当接して押圧する挿入方向に延びるリブ203b1が左右に形成されている。
【0074】
第2実施形態によれば、車両用空調ユニット10は、ケース11Aと別体に構成される部材であって、ケース11Aに形成された取付け口102Aに装着される熱交換器支持部材(200)を備える。
【0075】
この構成によれば、ケース11Aに対して別体の熱交換器支持部材200を装着することにより、ヒータコア1を前述した様々な作用効果を奏するように支持することができる。これにより、適用する車の大きさ(小型車、大型車等)に応じた暖房能力の違い、一般地向けや寒冷地向け等の使用地域の違い、車種による必要性能や仕様の違い等に柔軟に対応可能な車両用空調装置を適用することができる。また、ヒータコア1のサイズ違いに対して、サイズの異なる熱交換器支持部材200を適宜選択することにより、各種のケースに装着可能となり、部品の共用化や管理部品の低減を図ることができる。
【0076】
また、熱交換器支持部材200は、ヒータコア1の上面を支持する凸条部206を有する上部プレート部205と、ヒータコア1の下面を支持する凸条部208を有する下部プレート部207と、上部プレート部205及び下部プレート部207のそれぞれとガイド部203a,203bとを連結するヒンジ部211,212とを備えて構成されている。上部プレート部205及び下部プレート部207は、熱交換器支持部材200をケース11Aに装着した状態で、ヒータコア1を挿入口202からケース11A内部に挿入していくに伴い、それぞれのヒンジ部211,212を支点として外側に押し広げられるようになる。
【0077】
本実施形態では、ヒータコア1をケース11A内に挿入するときに凸条部206,208が押し広げられるヒンジ部構造を備えることにより、熱交換器支持部材200は装着前の別体の部品状態では折りたたまれているので、部品体格の小型化が可能である。これにより、部品管理用のスペースの低減や運送費用の低減が図れ、さらに熱交換器支持部材200が樹脂成形品の場合には金型の小型化により、製品コストの低減が期待でき製品競争力の向上が図れる。
【0078】
また、ヒータコア1の挿入時に上記のヒンジ部構造によって完全に押し広げられたときに、爪部213,214の係合によるロック機構によって上部プレート部205及び下部プレート部207の位置が固定されるため、凸条部206,208をガイド部203a,203bに対して所望の位置に設定することができる。これにより、上記した作用効果を確実に奏するようにヒータコア1を支持することが可能になる。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0080】
上記実施形態では、ヒータコア1が内蔵されるケース11は、複数の分割ケース部材を組み合わせて形成される形態であるが、このような形態に限定されるものではなく、挿入方向長さの途中において合わせ部を有さない一つのケースであってもよい。このようなケースである場合でも、樹脂成形品である以上、抜き勾配の設定はもちろん必要である。
【0081】
上記実施形態において、図2及び図3に図示するように、ガイド部101aの内壁面と凸条部103aが設けられている部位のケース11の内壁面との間に、段差が設定されているが、両者のつなぎ部をこのような段差がなく斜面等の滑らかな連続面でつなぐようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態において車両用空調ユニット10は、車室内に向けて左右の吹出し口からそれぞれに温調された空気を供給する左右独立温度コントロールを提供する装置以外にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0083】
1…ヒータコア(加熱用熱交換器)
11,11A…ケース
12…空気通路
100,202…挿入口
101,101a,101b,203,203a,203b…ガイド部
102…連絡部
103,104,103A,104A,206,208…凸条部
200…熱交換器支持部材
205…上部プレート部
207…下部プレート部
211,212…ヒンジ部
213,214…爪部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品であり、車室内に向かう空気が流れる空気通路(12)が内部に形成されるケース(11)と、前記ケースに形成された挿入口(100)から挿入されて前記ケースの内部に前記空気通路を横断するように設けられ、前記空気通路を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器(1)と、を備える車両用空調装置であって、
前記ケースの内部で前記加熱用熱交換器の挿入方向に延びるように前記挿入口(100)側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部(101)と、
前記ガイド部(101)の前記挿入方向側で、前記ケースの内部で内方に突出するとともに前記挿入方向に延びる凸条部(103,104)と、
を備え、
前記加熱用熱交換器の前記挿入の際に、前記ガイド部(101)は、前記加熱用熱交換器の上部及び下部のそれぞれを包むように支持して前記加熱用熱交換器の姿勢を保持し、前記凸条部(103,104)の頂面は、前記ガイド部(101)によって包まれている部分以外の前記加熱用熱交換器の上面及び下面のそれぞれを前記挿入方向の端部に至るまで支持することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記上下両端部それぞれに設けられる前記ガイド部(101a,101b)を連絡するように上下方向に延設され前記加熱用熱交換器の一部を支持する板状の連絡部(102)を備え、
前記連絡部(102)は、前記挿入口(100)の縁部から挿入方向に延びる幅が、前記ガイド部(101a,101b)の挿入方向長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記凸条部(103,104,103A,104A)は、空気流れ方向に複数個並んで配置されており、前記加熱用熱交換器の上面及び下面を支持していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記加熱用熱交換器(1)が挿入される前記挿入口(202)と、前記挿入口(202)の前記上下両端部それぞれに設けられる前記ガイド部(203)と、前記ガイド部(203)の前記挿入方向側で、前記挿入方向に延びる前記凸条部(206,208)とを有し、前記ケース(11A)と別体に構成される部材であって、前記ケース(11A)に形成された取付け口(102A)に装着される熱交換器支持部材(200)を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記熱交換器支持部材(200)は、前記加熱用熱交換器の上面を支持する前記凸条部(206)を有する上部プレート部(205)と、前記加熱用熱交換器の下面を支持する前記凸条部(208)を有する下部プレート部(207)と、前記上部プレート部(205)及び前記下部プレート部(207)のそれぞれと前記ガイド部(203a,203b)とを連結するヒンジ部(211,212)とを備え、
前記上部プレート部(205)及び前記下部プレート部(207)は、前記熱交換器支持部材(200)を前記ケース(11A)に装着した状態で、前記加熱用熱交換器(1)を前記挿入口(202)から前記ケース(11A)内部に挿入するに伴って、前記それぞれのヒンジ部(211,212)を支点として外側に押し広げられることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記上部プレート部(205)及び前記下部プレート部(207)は、完全に前記押し広げられたときに、前記ガイド部(203a,203b)に対して係合する爪部(213,214)をそれぞれ備えることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【請求項1】
樹脂成形品であり、車室内に向かう空気が流れる空気通路(12)が内部に形成されるケース(11)と、前記ケースに形成された挿入口(100)から挿入されて前記ケースの内部に前記空気通路を横断するように設けられ、前記空気通路を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器(1)と、を備える車両用空調装置であって、
前記ケースの内部で前記加熱用熱交換器の挿入方向に延びるように前記挿入口(100)側の上下両端部それぞれに設けられる椀状のガイド部(101)と、
前記ガイド部(101)の前記挿入方向側で、前記ケースの内部で内方に突出するとともに前記挿入方向に延びる凸条部(103,104)と、
を備え、
前記加熱用熱交換器の前記挿入の際に、前記ガイド部(101)は、前記加熱用熱交換器の上部及び下部のそれぞれを包むように支持して前記加熱用熱交換器の姿勢を保持し、前記凸条部(103,104)の頂面は、前記ガイド部(101)によって包まれている部分以外の前記加熱用熱交換器の上面及び下面のそれぞれを前記挿入方向の端部に至るまで支持することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記上下両端部それぞれに設けられる前記ガイド部(101a,101b)を連絡するように上下方向に延設され前記加熱用熱交換器の一部を支持する板状の連絡部(102)を備え、
前記連絡部(102)は、前記挿入口(100)の縁部から挿入方向に延びる幅が、前記ガイド部(101a,101b)の挿入方向長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記凸条部(103,104,103A,104A)は、空気流れ方向に複数個並んで配置されており、前記加熱用熱交換器の上面及び下面を支持していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記加熱用熱交換器(1)が挿入される前記挿入口(202)と、前記挿入口(202)の前記上下両端部それぞれに設けられる前記ガイド部(203)と、前記ガイド部(203)の前記挿入方向側で、前記挿入方向に延びる前記凸条部(206,208)とを有し、前記ケース(11A)と別体に構成される部材であって、前記ケース(11A)に形成された取付け口(102A)に装着される熱交換器支持部材(200)を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記熱交換器支持部材(200)は、前記加熱用熱交換器の上面を支持する前記凸条部(206)を有する上部プレート部(205)と、前記加熱用熱交換器の下面を支持する前記凸条部(208)を有する下部プレート部(207)と、前記上部プレート部(205)及び前記下部プレート部(207)のそれぞれと前記ガイド部(203a,203b)とを連結するヒンジ部(211,212)とを備え、
前記上部プレート部(205)及び前記下部プレート部(207)は、前記熱交換器支持部材(200)を前記ケース(11A)に装着した状態で、前記加熱用熱交換器(1)を前記挿入口(202)から前記ケース(11A)内部に挿入するに伴って、前記それぞれのヒンジ部(211,212)を支点として外側に押し広げられることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記上部プレート部(205)及び前記下部プレート部(207)は、完全に前記押し広げられたときに、前記ガイド部(203a,203b)に対して係合する爪部(213,214)をそれぞれ備えることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−144081(P2012−144081A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2320(P2011−2320)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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