説明

車両用荷箱

【課題】車両用荷箱の天蓋全閉時に内側端部を確実に押さえることにより、天蓋があおられて浮き上がることを防ぐ。
【解決手段】各天蓋5R,5Lの左右内側端部の前端及び後端にローラ部材31を設ける。荷箱1開口部1aの前方及び後方の左右中央上方に左右中間部32aが揺動自在に支持された左右二組のレール部材32を設ける。このレール部材32の左右外側端部側32bからローラ部材31が脱着され、ローラ部材31をレール部材32でスライド移動可能に支持する。向かい合うレール部材32の左右内側端部側32cを下方へ引っ張ることにより、レール部材32に嵌合するローラ部材31を引き寄せて一対の天蓋5R,5Lを密閉状に閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用荷箱の上方に開口する開口部を左右一対の板状の天蓋で開閉自在に覆う車両用荷箱に関し、特にその天蓋の浮き上がり防止の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用荷箱の上方に開口する開口部を開閉自在に覆う左右一対の板状の天蓋と、左右内側端部側が上記荷箱開口部の前方及び後方の左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が上記天蓋の左右内側又は外側端部に回動自在に連結された左右二組の開閉アームとを備えた車両用荷箱は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の車両用荷箱では、上方の左右一対の天蓋を上部に形成された開口部に対して開閉可能にしたコンテナの上部であって開口部よりも前方及び後方の位置に一端を天蓋の端部に軸支して天蓋を開閉させうる前後一対のアームを左右に設け、コンテナ側面上部に天蓋の側壁側端部をコンテナ側方へスライド可能にするために離反可能に下から受け止めるガイド装置を設け、開口部に対して閉鎖位置にある天蓋の側壁側端部が開くのを防止しうる係合装置を設けている。
【0004】
また、特許文献2では、積載物を収容する積載部に設けられた天蓋となる左右一対の天部ハッチ扉を開閉する車両の天蓋開閉機構において、各天部ハッチ扉の前端側と後端側に、それぞれその左右方向に延びるラックが取り付けられると共に、積載部の前部側と後部側に、それぞれラックと咬合するピニオン歯車を正逆回転させて各天部ハッチ扉を開閉方向に往復移動させる扉駆動装置と、各天部ハッチ扉の外端部を開閉方向に移動可能に支持するリンクとが設けられ、扉駆動装置は、ピニオン歯車との間にラックを挟持して両者の咬合状態を保持するピンチローラを設けたブラケットが、ピニオン歯車の駆動軸に対して回動自在に枢支されている。
【特許文献1】特許第3811466号公報
【特許文献2】特開2004−268824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の係合装置は、全閉時、天蓋の側壁側端部の係合部のみを係止する構造である。同様に特許文献2でも、ピニオン歯車とピンチローラとが天蓋の側壁側端部に設けられ、側壁側端部のみで保持されている。このため、従来の車両用荷箱では、全閉時、天蓋の内側端部の押さえが不十分となり、荷箱を載せた車両の走行時に風が天蓋と開口部との間に吹き込むと、天蓋が、浮き上がってがたついたり、損傷したりするおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、天蓋全閉時に内側端部を確実に押さえることにより、天蓋があおられて浮き上がることを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、天蓋の内側端部に設けたローラを荷箱開口部上面の左右中央に設けたレール部材に離脱可能かつスライド移動可能に支持した。
【0008】
具体的には、第1の発明では、
車両用荷箱の上方に開口する開口部を開閉自在に覆う左右一対の板状の天蓋と、基端が上記荷箱開口部の左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が上記天蓋の左右外側端部に回動自在に連結された複数の開閉アームとを備えた車車両用荷箱を前提とする。
【0009】
そして、上記車両用荷箱は、
上記各天蓋の左右内側端部の前端及び後端に設けられたローラ部材と、
上記荷箱開口部の前方及び後方の左右中央上方に左右中間部が揺動自在に支持され、左右外側端部側から上記ローラ部材が脱着され、該ローラ部材をスライド移動可能に支持する左右二組のレール部材と、
向かい合う上記レール部材の左右内側端部側を下方へ引っ張ることにより、該レール部材に嵌合するローラ部材を引き寄せて上記一対の天蓋を密閉状に閉じるロック装置とを備えている。
【0010】
上記の構成によると、天蓋を閉じるときに、天蓋の左右内側端部のローラ部材がレール部材に嵌合し、レール部材上をスライド移動する。そして、左右の天蓋が閉じたときに、さらにロック装置によって、レール部材の左右内側端部側が下方へ引き寄せられ、レール部材に嵌合するローラ部材が下方に引っ張られるので、一対の板状の天蓋が密閉状に閉じられる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ロック装置は、上記レール部材の左右内側端部側を下方へ引っ張る際に、先端が該レール部材の下方から挿入され、上記天蓋が閉じられたときに、上記ローラ部材を左右外側から押さえるフック部材を備えている。
【0012】
上記の構成によると、レール部材の左右内側端部側の引き寄せ動作と同時にフック部材の先端をレール部材の下方から挿入させることによりローラ部材を左右外側から確実に押さえるので、ローラ部材が動いて天蓋の密閉度が低下することはない。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記レール部材の左右内側端部側下面には、該左右内側端部側を下方へ引っ張るためのロック用ブラケットが連設され、
上記フック部材は、上記ロック用ブラケットに設けられて前後方向に伸びるフック用回動軸に回動自在に支持されている。
【0014】
上記の構成によると、ロック用ブラケットを引き下げて天蓋を閉じるときに、フック部材もロック用ブラケットに設けたフック用回動軸を中心に回動されるので、フック部材の先端がローラ部材を確実に押さえ込む。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記フック部材は、先端が二股に分かれ、二又の一方が上記フック用回動軸に回動自在に支持され、基端側が、上記レール部材の左右内側端部側を下方へ引っ張るのに伴って、ガイドに摺接することにより移動規制され、上記二又の他方が上記レール部材の下方から徐々に挿入されるように構成されている。
【0016】
上記の構成によると、レール部材の下方への動きに伴ってフック部材がガイドに移動規制されるので、確実に先端がレール部材の下方から挿入される。
【0017】
第5の発明では、第4の発明において、
上記フック部材の基端側には、上記ガイドに摺接するガイドローラが回転自在に支持されている。
【0018】
上記の構成によると、ガイドローラがガイドを転がるので、フック部材が滑らかに誘導される。
【0019】
第6の発明では、第5の発明において、
上記ガイドは、上記レール部材の下方に設けたガイド板に形成されたガイド孔の周縁よりなり、
上記周縁は、少なくとも垂直な辺と、該垂直な辺に連続し、左右外側に向かって上方に傾斜する斜辺とを有する。
【0020】
上記の構成によると、ガイドローラは、ガイド孔の周縁に当接しながら容易に移動規制される。また、レール部材が下方に移動するのに伴ってガイドローラも垂直な辺に沿って移動し、その後、斜辺に沿ってガイドローラがレール部材と別の動きをすることで、フック部材の二又の他方がレール部材の下方から徐々に挿入されるように誘導される。
【0021】
第7の発明では、第2乃至第6のいずれか1つの発明において、
上記レール部材の下面には、上記フック部材の先端が挿入されるスリットが形成されている。
【0022】
上記の構成によると、簡単な構成でフック部材の回動を許容するスペースを確保することができる。
【0023】
第8の発明では、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、
上記レール部材は、左右中間部から内側が上記天蓋側に開放する断面コ字状であり、左右外側端部側が上方も開口した断面L字状である。
【0024】
上記の構成によると、レール部材の先端側が断面L字状で上方が開放しているので、ローラ部材が容易に脱着される。また、レール部材の左右中間部から内側は、上方が閉じた断面コ字状であるので、レール部材上のローラ部材が確実に嵌合する。
【0025】
第9の発明では、第1乃至8のいずれか1つの発明において、
上記ロック装置は、上記荷箱の一方の側方に設けたハンドルを操作することにより、ロック及びロック解除可能に構成されている。
【0026】
上記の構成によると、荷箱の一方の側面に設けたハンドルを操作することにより、荷箱に昇ることなく、容易に荷箱開口部が密閉される。
【0027】
第10の発明では、第9の発明において、
前後の上記ロック装置は、1つの上記ハンドルを操作することで連動するように構成されている。
【0028】
上記の構成によると、1つのハンドルを操作すると、前後のロック装置が連動して容易に天蓋のロック及びロック解除が行われる。
【0029】
第11の発明では、第1乃至第10のいずれか1つの発明において、
上記開閉アームは、少なくとも上記荷箱開口部の左右側壁における前後及び前後中間に設けられている。
【0030】
上記の構成によると、前後だけでなく、前後中間にも開閉アームを設けることで、前後方向中間部においても天蓋の左右外側端部が開閉アームによって押さえられるので、天蓋の全閉時のあおりが確実に防止される。
【0031】
第12の発明では、第11の発明において、
上記車両用荷箱の左右側壁の上下中間には、トルクシャフトが回動自在に支持され、該左右のトルクシャフトには、上記前後及び前後中間の開閉アームの基端が回動一体に取り付けられている。
【0032】
上記の構成によると、トルクシャフトによって複数の開閉アームが連動するので、構造が簡単になると共に、トルクシャフトの位置が上下中間にあるので、上端にある場合よりも回転トルクが小さくてすむ。
【0033】
第13の発明では、
車両用荷箱の上方に開口する開口部を開閉自在に覆う左右一対の板状の天蓋と、基端が上記荷箱開口部の左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が上記天蓋の左右外側端部に回動自在に連結された複数の開閉アームとを備えた車両用荷箱を対象とする。
【0034】
そして、上記開閉アームは、少なくとも上記荷箱開口部の左右側壁における前後及び前後中間に設けられ、
上記車両用荷箱の左右側壁の上下中間には、トルクシャフトが回動自在に支持され、該左右のトルクシャフトには、上記前後及び前後中間の開閉アームの基端が回動一体に取り付けられている。
【0035】
上記の構成によると、前後だけでなく、前後中間にも開閉アームを設けることで、前後方向中間部においても天蓋の左右外側端部が開閉アームによって押さえられるので、天蓋の全閉時のあおりが確実に防止される。トルクシャフトによって複数の開閉アームが連動するので、構造が簡単になると共に、トルクシャフトの位置が上下中間にあるので、上端にある場合よりも回転トルクが小さくてすむ。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、荷箱開口部に左右中間部が揺動自在に支持されたレール部材の左右外側端部側からローラ部材を載せてスライド移動可能に支持し、向かい合うレール部材の左右内側端部側を下方へ引き寄せて一対の天蓋を密閉状に閉じるようにしたことにより、ロック装置天蓋全閉時に内側端部を確実に押さえ、天蓋があおられて浮き上がることを防ぐことができる。
【0037】
上記第2の発明によれば、天蓋が閉じられたときに、レール部材の下方から挿入されたフック部材の先端がローラ部材を左右外側から押さえるようにしたことにより、天蓋の密閉度を格段に向上させることができる。
【0038】
上記第3の発明によれば、フック部材を、レール部材の左右内側端部側下面のロック用ブラケットに設けたフック用回動軸を中心に回動させるようにしたことにより、レール部材の左右内側端部側を下方へ引き寄せる動作に合わせてフック部材を回動させ、フック部材でローラ部材を確実に押さえ込むことができる。
【0039】
上記第4の発明によれば、フック部材の二又の一方をフック用回動軸に回動自在に支持し、基端側をレール部材の動きに合わせてガイドに摺接させ、フック部材を移動規制するようにしたことにより、フック部材の二又の他方をレール部材の下方から挿入させて確実にローラ部材を押さえることができる。
【0040】
上記第5の発明によれば、フック部材の基端側のガイドローラをガイドに摺接させるようにしたことにより、フック部材が滑らかに所定の軌跡に誘導されるので、ロック装置によるロック動作を極めて容易かつ確実に行うことができる。
【0041】
上記第6の発明によれば、ガイドをレール部材の下方に設けたガイド板に形成されたガイド孔の周縁で構成したことより、フック部材の誘導を容易かつ確実に行うことができる。また、ガイドローラを垂直な辺と斜辺とに摺動させることで、フック部材がレール部材と異なる動きをしてローラ部材を確実に押さえ付けることができる。
【0042】
上記第7の発明によれば、レール部材の下面に設けたスリットにフック部材の先端を挿入させるようにしたので、簡単な構成により、天蓋の密閉度を向上させることができる。
【0043】
上記第8の発明によれば、レール部材の左右中間部から内側を断面コ字状とし、その外側は上方も開口した断面L字状としたことにより、簡単な構成で容易にローラ部材を着脱及び嵌合させることができる。
【0044】
上記第9の発明によれば、荷箱の一方の側方に設けたハンドルを操作することにより、ロック及びロック解除可能としたことにより、容易に天蓋があおられて浮き上がることを防ぐことができる。
【0045】
上記第10の発明によれば、前後のロック装置は、1つのハンドルを操作することで連動するように構成したことにより、前後のロック装置を連動させて容易に天蓋のロック及びロック解除を行うことができる。
【0046】
上記第11の発明によれば、開閉アームを荷箱開口部の左右側壁における前後だけでなく、前後中間にも設けたことにより、天蓋の左右外側端部も確実に押さえることができるので、天蓋の全閉時のあおりを防止する効果をより増大させることができる。
【0047】
上記第12の発明によれば、車両用荷箱の左右側壁の上下中間に設けたトルクシャフトにより、前後及び前後中間の開閉アームを回動させるようにしたことにより、簡単かつ効率のよい開閉アームの駆動構造が得られる。
【0048】
上記第13の発明によれば、開閉アームを荷箱開口部の左右側壁における前後だけでなく、前後中間にも設け、車両用荷箱の左右側壁の上下中間に設けたトルクシャフトにより、前後及び前後中間の開閉アームを回動させるようにしたことにより、天蓋の左右外側端部を確実に押さえることができるので、天蓋の全閉時のあおりを防止する効果をより増大させることができると共に、簡単かつ効率のよい開閉アームの駆動構造が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0050】
(実施形態1)
図1及び図2は本発明の実施形態1にかかる実施形態1の天蓋固定装置30を備えた車両用荷箱1及びこの車両用荷箱1を搭載する車体2を示し、この車両用荷箱1は、例えば土砂を運搬するためのものである。車体2に搭載された積み卸し装置3は、図2に示すように、車体2上に積載した車両用荷箱1を地面に降ろすことができ、また、地面上にある車両用荷箱1を車体2上に積載することもできる。さらに、図示しないが、積み卸し装置3は車体2上にある車両用荷箱1を傾動させてダンプ作動させることもできる。
【0051】
図3〜図6に示すように、車両用荷箱1は、前壁1A、後壁1B、左右側壁1R,1L及び底壁1Cで囲まれ、上方が開口した上側開口部1aを有する箱形状のもので、上側開口部1aは、左右一対の天蓋5R,5Lで閉鎖されるようになっている。
【0052】
図5及び図15に示すように、左右一対の天蓋5R,5Lを開閉する天蓋開閉装置は、天蓋5R,5Lの開閉移動と連動する左右一対の開閉アーム6(同図に左側のみ示す)を前後及び前後中間に(合計6本)備えている。この開閉アーム6は、基端が上記荷箱1開口部1aの前方、後方及び前後中間の左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が天蓋5R,5Lの左右外側端部に回動自在に連結され、正逆方向へ回動することにより両天蓋5R,5Lを車幅方向に対して傾動しながら相反する方向へ開閉させるように構成されている。天蓋開閉装置は、車両用荷箱1の前側に各開閉アーム6を手動で回動させる駆動手段7を備えている。
【0053】
図3及び図5に示すように、両天蓋5R,5Lは略同一矩形状に形成されている。これら天蓋5R,5Lは、閉鎖位置にあるとき、内側に向かってなだらかに上方傾斜しかつ内側縁部同士が近接した状態で車両用荷箱1の上側開口部1aを閉塞するように配置されている。車両用荷箱1の上側開口部1aの周縁の後部から車両用荷箱1の後壁1Bにかけて平坦な上壁1bが形成されている。また、車両用荷箱1の上側開口部1aの周縁の前後部からそれぞれ上方に立ち上がった前後方向に見て山型状の支持壁1cが形成されている。荷箱の四角には、主柱部材4が設けられている。
【0054】
図3及び図4に示すように、車両用荷箱1の側壁1R,1Lの上下中間部に固定された左右三対のベースブラケット15aには、前後方向に延びるトルクシャフト15が回動自在に支持されている。図5及び図15に左側の開閉アーム6の動きのみを示すように、この開閉アーム6は、基端が上記トルクシャフト15回りに回動自在に連結されている。一方、その先端は、天蓋5R,5Lの前後端面の外側端部の連結軸16に対してそれぞれ回動自在に連結されている。
【0055】
駆動手段7は、脱着可能な天蓋開閉用ハンドル8と、この天蓋開閉用ハンドル8に駆動される第1駆動スプロケット9と、この第1駆動スプロケット9に噛み合う第1チェーン10と、この第1チェーン10に駆動される第1従動スプロケット11と、この第1従動スプロケット11と回転一体かつ第1従動スプロケット11よりも小径の第2駆動スプロケット12と、この第2駆動スプロケット12に噛み合う左右一対の第2チェーン13と、各第2チェーン13に駆動される第2従動スプロケット14とを備えている。この第2従動スプロケット14は、上記トルクシャフト15に回動一体に連結されている。このことで、荷箱1の前側の天蓋開閉用ハンドル8を回転させると、前後三対の開閉アーム6が揺動するようになっている。駆動手段7のトルクシャフト15以外の部分は、前側の左右の主柱部材4間の前側カバー4aで覆われている。
【0056】
図6に示すように、後壁1Bは、上方の支持軸20を中心に揺動することで開閉可能に構成されている。後壁1Bは、後壁開閉ハンドル21で密閉状態と開放状態とを切換可能に構成されている。また、図4に示すように、後壁1Bを密閉状態に保つレリージング装置25が設けられ、レリージング用ハンドル26を操作することで、後壁1Bのロック及びロック解除可能となっている。レリージング用ハンドル26でロックを解除し、後壁開閉ハンドル21を開放状態として車両用荷箱1を傾動させてダンプ作動させると、後壁1Bが開いて荷箱1内の収納物をダンプ可能となっている。
【0057】
図7及び図8に示すように、上側開口部1a周縁、詳しくは左右側壁1R,1L及び前後の支持壁1cの上端に枠状に箱側パッキン22(図中に断面を強調してハッチングで示す)が接着されている。この箱側パッキン22により、天蓋5R,5Lが閉鎖位置にあるときに天蓋5R,5Lと上側開口部1aとの間の隙間を覆って雨水等の浸入を防止するように構成されている。また、天蓋5R,5Lの内側端部にも前後に延びる蓋側パッキン53(図10等に示す)が設けられ、天蓋5R,5Lが閉鎖位置にあるときに両天蓋5R,5L間の隙間を覆って雨水等の浸入を防止するように構成されている。
【0058】
また、車両用荷箱1は、天蓋5R,5Lが閉じた状態を保つために、そのロック及びロック解除を行う天蓋係止装置23を備えている。この天蓋係止装置23は、く字状の係止アーム23aと、この係止アーム23aを左右の側壁1R,1Lの前後に回転自在に支持する回転軸23bと、係止アーム23aの反対側に回転自在に設けられた狭持ローラ23cとを備えている。また、天蓋係止装置23は、天蓋5R,5Lの全閉位置へのスライド移動に応じて係止アーム23aに外側から接触するように天蓋5R,5Lに固定された係止ロッド23dを備えている。天蓋5R,5Lの閉じ操作時に、係止ロッド23dが係止アーム23aを押し付け、狭持ローラ23cで左右の天蓋5R,5Lを押さえることで、全閉時の天蓋5R,5Lの左右外側端部が動かないように係止されている。なお、回転軸23bには、摺接ローラ24が設けられ、左右の天蓋5R,5Lが開閉されるときに左右側壁1R,1Lに接触するのを防ぐようになっている。
【0059】
そして、本発明の特徴として、図9〜図12に示すように、車両用荷箱1は、天蓋5R,5Lの全閉時にその左右内側端部を固定する天蓋固定装置30を備えている。この天蓋固定装置30は、各天蓋5R,5Lの左右内側端部の前端及び後端に設けられたローラ部材31を備えている。
【0060】
また、天蓋固定装置30は、前後に左右一対、合計二組のレール部材32を備えている。このレール部材32は、その左右中間部32aが開口部1aの前方及び後方の左右中央上方に揺動自在に支持されている。レール部材32は、その先端側の左右外側端部側32bからローラ部材31が脱着されると共に、ローラ部材31をスライド移動可能に支持するように構成されている。図13及び図14に示すように、レール部材32の左右内側端部側32cは、天蓋5R,5L側に開放する断面コ字状であり、図13に示すように、左右中間部32aから左右外側端部側32bが上方も開口した断面L字状となっている。レール部材32は、下方に延びる支持部32dを有し、この支持部32dが上壁1bの左右中央側に設けたレール取付ブラケット33の回転軸33aを中心に回転自在に支持され、シーソーのように左右に揺動可能となっている。レール部材32の左右内側端部側32cには、ロック用ブラケット34が下方に延びている。
【0061】
さらに、天蓋固定装置30は、向かい合うレール部材32の左右内側端部側32cを下方へ引っ張ることにより、レール部材32に嵌合するローラ部材31を引き寄せて一対の天蓋5R,5Lを密閉状に閉じるロック装置40を備えている。つまり、左右のロック用ブラケット34は、1本の連動軸41で連結され、この連動軸41には、第1リンク部材42も回動自在に連結されている。第1リンク部材42は、回転軸42aにより第2リンク部材43に回動自在に連結されている。第2リンク部材43の他端は、上壁1b上のブラケット43aに設けた回転軸43bを中心に軸支され、この回転軸43bには、第3リンク部材44も回動可能に軸支されている。第3リンク部材44の他端側は、回転軸45aを中心に第1連結棒45の一端に回動自在に連結されている。第1連結棒45には、レール取付ブラケット33に一端46aが接続された引っ張りコイルバネ46の他端46bが取り付けられている。第1連結棒45の先端45bは、上壁1bの左右外側端部に設けたブラケット47に回動可能に支持された三角形状の第4リンク部材48の一角に連結され、この第4リンク部材48の他の一角に第2連結棒49が回動可能に連結されている。図12に示すように、第2連結棒49の下端は、左右側壁1R,1Lの後方下端部に回動自在に支持されたV字状の二又部材50の一端50aに回動可能に連結されている。前後の二又部材50の他端50bには、前後に延びる第3連結棒51の前後端部がそれぞれ回動自在に連結されている。このように構成することで、図4に示すように、前後のロック装置40は、1つのロック用ハンドル52で二又部材50の中心を回動操作することで連動し、前後の第2連結棒49を同時に下方へ下げることにより、天蓋5R,5Lをロック可能に構成されている。
【0062】
−実施形態1の作動−
次に、本実施形態にかかる車両用荷箱の天蓋固定装置30の作動について説明する。
【0063】
天蓋5R,5Lの全開状態から全閉状態にするには、図5及び図15に示すように、天蓋開閉用ハンドル8を反時計回りに回す。そして、破線の状態にある下方に向いた状態で収納された前後及び前後中間に配置した左右の開閉アーム6を順次上方へ回動させて天蓋5R,5Lを閉じる。
【0064】
このとき、図10に示すように、左右のレール部材32は、左右内側端部側32cが上方にあり、前後方向から見て互いにハの字状に開いている。
【0065】
そして、天蓋5R,5Lの左右内側端部のローラ部材31がレール部材32の左右外側端部側32bに乗り上げる。このとき、レール部材32の左右外側端部側32bが断面L字状で上方が開放しているので、ローラ部材31が容易にレール部材32上に乗り上げ、その上をスライド移動する。ローラ部材31は、レール部材32に沿って移動し、天蓋5R,5Lが開口部1aの箱側パッキン22との間に適度に隙間を保つので、箱側パッキン22が擦れず、傷みにくい。
【0066】
さらにローラ部材31がスライド移動すると、レール部材32の左右内側端部側32cは、上方が閉じた断面コ字状であるので、レール部材32上のローラ部材31が確実に嵌合し、図10の状態となる。この状態では、左右の天蓋5R,5Lの左右内側端部の蓋側パッキン53の間に隙間があり、完全には密閉されていない。
【0067】
そこで、前後いずれかのロック用ハンドル52をロック側へ操作する。すると、第3連結棒51によって前後のロック装置40が連動し、前後の第2連結棒49が同時に下方に引っ張られることにより、図9に示すように、レール部材32の左右内側端部側32cが下方へ引っ張られる。すると、レール部材32に嵌合するローラ部材31が下方に引っ張られながら引き寄せられるので、一対の板状の天蓋5R,5Lも引っ張られ、その内側端部の蓋側パッキン53が密着して密閉状に確実に閉じられる。
【0068】
このように、左側の側壁1Lにある1つのロック用ハンドル52を操作すると、前後のロック装置40が連動して容易に天蓋のロック及びロック解除が行われるので、荷箱1に昇ることなく、容易に開口部1aが密閉される。その上、前後だけでなく前後中間にも開閉アーム6を設けることで、前後方向中間部においても天蓋5R,5Lの左右外側端部が開閉アーム6によって押さえられるので、天蓋5R,5Lの全閉時のあおりがさらに確実に防止される。
【0069】
一方、閉じた状態の天蓋5R,5Lを開く場合には、上記と逆の動作をするとよい。
【0070】
また、荷箱1をダンプ操作するときには、図10に示すように、ロック装置40をロック解除状態としておけば、左右の天蓋5R,5Lの左右内側端部間に適度の隙間が生じているので、後壁1Bを開いたときに、その隙間から空気が入って荷箱1内の収納物を排出しやすい。
【0071】
−天蓋開閉に必要な軸トルクの比較−
(1)開閉アームのない従来の天蓋
図16及び図19の一点鎖線で示すように、開閉アームのない従来の車両用荷箱の天蓋105Lは、荷箱の左右側壁101L上端に設けたトルクシャフト115に天蓋105Lの左右外側端部を回転一体に連結している。天蓋105Lの左右幅をLとし、天蓋105Lにかかる重力をWとすれば、図16(a)に示すような全閉状態から開くときにトルクシャフト115にかかるトルクT1は、最大およそLW/2となる。その後トルクT1は、徐々に減少し重力で開いていく。逆に図16(c)に示す全開状態から重力に逆らって天蓋105Lを閉じるときには、図16(b)に示すトルクシャフト115が約180°回動したときの最大トルクT1およそLW/2まで徐々に増加し、その後減少していく。
(2)開閉アームが荷箱上側にある従来の天蓋
図17及び図19の破線で示すように、開閉アーム206は、基端が荷箱開口部1aの上側にそれぞれ回動自在に支持され、先端が天蓋205Lの左右内側端部に回動自在に連結されている。この場合、図17(a)に示すような全閉状態から開くとき、開閉アーム206の先端にかかる重力は、全体の半分のW/2であるから、トルクシャフト215にかかるトルクT2は、およそLW/4となる。その後、天蓋205Lは滑りながら降りていきトルクT2は減少する。逆に、図17(c)に示すような全開時から重力に逆らって天蓋205Lを閉じるときには、開閉アーム206の先端にかかる重力は、全体のWであるから、トルクシャフト215にかかるトルクT1は、最大およそLW/2となる。トルクT1は図17(b)に示す回動角度90°に到るまで徐々に小さくなり、その後、重力で閉じていく。
(3)本実施形態の開閉アーム
図18及び図19の実線で示すように、開閉アーム206は、基端が荷箱開口部1aの左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が天蓋5Lの左右外側端部に回動自在に連結されている。この場合、図18(a)に示すような全閉状態から開くときには、天蓋は、重力によりスライドするので、トルクシャフト15にかかるトルクT3は、最初に一定の力を加えれば、後は0以下となり、重力で降りていく。逆に図17(c)に示すような全開状態から閉じるときには、天蓋5Lの重力に逆らってスライドさせるので、トルクシャフト15にかかるトルクT3は、徐々に増加する。図18(b)に示すようなトルクシャフト15が約90°回動したときにおいて、開閉アーム6の先端にかかる天蓋5Lの重力は、W/2であるから、トルクシャフトに15かかるトルクT3は、最大でもおよそLW/4となる。その後は、徐々に減少する。
【0072】
このように、本実施形態では、開閉アーム6の基端を荷箱1の側壁1R,1Lに支持したことにより、従来に比べて最も小さい駆動トルクで天蓋5R,5Lの開閉操作を行うことができる。
【0073】
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態にかかる車両用荷箱の天蓋固定装置によると、開口部1aに左右中間部32aが揺動自在に支持されたレール部材32の左右外側端部側32bからローラ部材31を載せてスライド移動可能に支持し、向かい合うレール部材32の左右内側端部側32cを下方へ引き寄せて一対の天蓋5R,5Lを密閉状に閉じるようにしたことにより、ロック装置40天蓋5R,5L全閉時に内側端部を確実に押さえ、天蓋5R,5Lがあおられて浮き上がることを防ぐことができる。
【0074】
また、レール部材32の左右中間部32aから左右内側端部側32cを断面コ字状とし、外側の左右外側端部側32bは上方も開口した断面L字状としたことにより、簡単な構成で容易にローラ部材31を着脱及び嵌合させることができる。
【0075】
また、荷箱1の側方に設けた1つのロック用ハンドル52を操作し、前後のロック装置40を連動させて天蓋のロック及びロック解除を行うようにしたことにより、天蓋5R,5Lのロック及びロック解除を極めて容易かつ確実に行うことができる。
【0076】
また、開閉アーム6を開口部1aの左右側壁1R,1Lにおける前後だけでなく、前後中間にも設けたことにより、天蓋5R,5Lの左右外側端部も確実に押さえることができるので、天蓋5R,5Lの全閉時のあおりを防止する効果をより増大させることができる。
【0077】
また、車両用荷箱1の左右側壁1R,1Lの上下中間に設けたトルクシャフト15により、前後及び前後中間の開閉アーム6を回動させるようにしたことにより、簡単かつ効率のよい開閉アームの駆動構造が得られる。
【0078】
(実施形態2)
図20乃至図24は本発明の実施形態2を示し、ロック装置140の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各実施形態では、図1乃至図19と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0079】
図22に拡大して示すように、本実施形態の天蓋固定装置130における各レール部材32の左右内側端部側32cの下面には、左右方向に伸びる長細いスリット101が形成されている。なお、このスリット101は、天蓋5R,5L側が解放され、左右方向の長さが同等の切り欠き状に形成してもよい。
【0080】
本実施形態の各ロック用ブラケット34には、フック部材100が回動自在に支持されている。このフック部材100は、略V字状の板部材で構成され、図23及び図24にも示すように、二股に分かれる一方の先端が、ロック用ブラケット34の連動軸41の近傍で前後方向に伸びるフック用回動軸102に回動可能に支持されている。フック部材100の突出する基端側には、鍔付ピン103が挿入され、この鍔付ピン103には、ガイドローラ104が回転自在に挿入されている。ガイドローラ104は、図示しない割りピンで抜け止めされたワッシャ105で抜け出さないように、その中心に鍔付ピン103が挿入されている。ガイドローラ104は、金属や樹脂成形品で構成することができる。ガイドローラ104のワッシャ105側は、段差が生じるように一部が小径に形成された摺接部104aが形成されている。
【0081】
図20に示すように、本実施形態のレール取付ブラケット33(上壁1b)には、この摺接部104aが摺接することでフック部材100の軌跡を規制するガイド板106が設けられている。ガイド板106には、略三角形状のガイド孔106aが開口され、その周縁が、摺接部104aが摺接するガイドとして機能するようになっている。ガイド孔106aは、直角三角形の各角部が丸められた形状を有し、左右のガイド孔106aは、直角部分が互いに向き合ってガイド孔106aの一辺を形成する斜辺が左右外側に向かって上方へ傾斜するように配置されている。このガイド孔106aの形状は、これに限定されず、その形状を調整することで、フック用回動軸102及び鍔付ピン103によって支持されたフック部材100の他方の先端(ローラ押圧部100a)が、その軌跡を規制され、上記スリット101内を出入りするように構成されている。そして、天蓋5R,5Lが閉じられたときに、ローラ押圧部100aがローラ部材31を左右外側から押さえるようになっている。
【0082】
なお、フック部材100の形状は、これに限定されず、要は基端側にガイドローラ104が回動自在に支持され、先端側の一端がフック用回動軸102に回動可能に支持され、他端がガイド孔106aに挿入される形状であればよい。
【0083】
−実施形態2の作動−
次に、本実施形態にかかる車両用荷箱の天蓋固定装置130の作動について上記実施形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0084】
まず、図20に示すように、上記実施形態1と同様に、左右の天蓋5R,5Lの左右内側端部の蓋側パッキン53の間に隙間があり、完全には密閉されていない状態にある。このとき、第1リンク部材42は、回転軸43bよりも上方にあり、フック部材100は、基端側が下方にある起立した状態にあり、ガイドローラ104は、ガイド孔106aの一辺を形成する水平な辺に接している。
【0085】
次いで、前後いずれかのロック用ハンドル52をロック側へ操作する。すると、第3連結棒51によって前後のロック装置40が連動し、前後の第2連結棒49が同時に下方に引っ張られる。これに伴って、図21に拡大して示すように、各第1連結棒45が左方に引っ張られ、第3リンク部材44、第2リンク部材43及び第1リンク部材42が連動し、結果として第1リンク部材42が下方へ移動する。
【0086】
このとき、第1リンク部材42の下方への移動に伴って左右のロック用ブラケット34が連動軸41を中心に互いに近付くように回動される。図25に示すように、フック部材100は、ガイドローラ104とガイド孔106aによる移動規制によりレール部材32に対して回動する。まず、ガイドローラ104がガイド孔106aの一辺を形成する垂直な辺に沿って下降するときには、ロック用ブラケット34とフック部材100とは同時に下降するので、実線位置から一点鎖線の位置まで相対的にほとんど動かない。
【0087】
そして、さらにロック用ブラケット34が下降すると、ガイドローラ104がガイド孔106aの一辺を形成する斜辺上を移動するのに伴って、一点鎖線の位置からフック部材100が矢印の方向へ回動され、ローラ押圧部100aが徐々にスリット101の左右外側から内側へ入り込み、一対の板状の天蓋5R,5Lが完全に閉じられるときには、二点鎖線で示すように、ローラ部材31をしっかりと左右内側へ押圧する。このため、ローラ部材31は、レール部材32上でロックされて動くことはない。
【0088】
一方、閉じた状態の天蓋5R,5Lを開く場合には、上記と逆の動作をすれば、ガイドローラ104がガイド孔106aの周縁に沿って反対方向に移動し、ローラ押圧部100aによるロックが解除される。
【0089】
したがって、本実施形態にかかる車両用荷箱の天蓋固定装置130によると、天蓋5R,5Lが閉じられたときに、フック部材100を、レール部材32の左右内側端部側下面のロック用ブラケット34に設けたフック用回動軸102を中心に回動させ、レール部材32の下方から先端100aを挿入し、ローラ部材31を左右外側から押さえるようにしたことにより、天蓋5R,5Lの密閉度を格段に向上させることができる。
【0090】
また、フック部材100の基端側のガイドローラ104をガイド孔106aの周縁に摺接させ、周縁のうち垂直な辺と斜辺とに沿って移動規制させるようにしたことにより、フック部材100が滑らかに誘導されるので、ロック装置140によるロック動作を極めて容易かつ確実に行うことができる。
【0091】
−実施形態2の変形例−
本変形例では、図26に示すように、ガイドがガイド板106に形成されたガイド孔106aの周縁ではなく、ガイドレール306よりなり、ガイドローラ304の形状が異なる点で上記実施形態2と相違する。
【0092】
すなわち、本変形例では、支持壁1cにガイドレール306が設けられている。例えば、このガイドレール306は、水平に配置され、上記実施形態2よりも大径のガイドローラ104の外周面全体が、このガイドレール306上を摺動するように構成されている。本変形例においても、レール部材32の動きに伴ってフック部材100が誘導される。フック部材100の動きは、ガイドレール306の形状で制御可能であり、例えば、ガイドレール306を左右外側に向かって上方へ傾斜するように配置することにより、フック部材100の動きは大きくなる。
【0093】
(その他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0094】
すなわち、上記各実施形態では、駆動手段7は手動式のものとしたが、モータを使用した自動式としてもよい。
【0095】
上記各実施形態では、左右一対の開閉アーム6を前後及び前後中間に合計6本設けたが、これに限定されない。前後二対でもよく、前後四対以上でもよい。それに合わせて少なくとも開閉アーム6の近傍にベースブラケット15aを設け、これらのベースブラケット15aに回動自在に支持されたトルクシャフト15に開閉アーム6の基端を連結すればよい。
【0096】
上記各実施形態では、荷箱1は、車体2に対して脱着かつダンプ可能なものとしたが、脱着不能であったり、ダンプ不能なものでもよい。
【0097】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態1にかかる車両用荷箱の天蓋固定装置を備えた荷箱を搭載した車両の側面図である。
【図2】車両用荷箱を地面に降ろした状態を示す側面図である。
【図3】車両用荷箱の平面図である。
【図4】車両用荷箱の側面図である。
【図5】天蓋を開く動きを示す車両用荷箱の正面図である。
【図6】天蓋を閉じた状態の車両用荷箱の背面図である。
【図7】天蓋係止装置及びその周辺を拡大して示す正面図である。
【図8】天蓋係止装置及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図9】ロック状態の天蓋固定装置及びロック装置を拡大して示す背面図である。
【図10】ロック前の天蓋固定装置及びロック装置を拡大して示す背面図である。
【図11】ロック装置を拡大して示す平面図である。
【図12】ロック装置を拡大して示す側面図である。
【図13】図9のXIII−XIII線拡大断面図である。
【図14】図9のXIV−XIV線拡大断面図である。
【図15】天蓋を開く動きを示す開閉アーム及びその周辺の拡大正面図である。
【図16】開閉アームのない従来の天蓋のトルクシャフトにかかる軸トルクを説明するための正面図であり、(a)が全閉状態、(b)がトルクシャフトを約180°回動させたとき、(c)が全開状態を示す。
【図17】開閉アームが荷箱上側にある従来の天蓋にかかる軸トルクを説明するための正面図であり、(a)が全閉状態、(b)がトルクシャフトを約90°回動させたとき、(c)が全開状態を示す。
【図18】本実施形態の天蓋のトルクシャフトにかかる軸トルクを説明するための正面図であり、(a)が全閉状態、(b)がトルクシャフトを約90°回動させたとき、(c)が全開状態を示す。
【図19】軸トルクを比較するためのグラフである。
【図20】本発明の実施形態2にかかる車両用荷箱の天蓋固定装置を拡大して示す背面図である。
【図21】天蓋を閉じた状態の図20相当図である。
【図22】フック部材及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
【図23】図21のXXIII−XXIII線断面図である。
【図24】図21のXXIV−XXIV線断面図である。
【図25】フック部材及びローラ部材がレール部材に対して動く様子を拡大して示す背面図である。
【図26】実施形態2の変形例にかかるガイドレール及びその周辺を示す背面図である。
【図27】図26のXXVII−XXVII線断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 車両用荷箱
1a 上側開口部
5R,5L 天蓋
6 開閉アーム
30 天蓋固定装置
31 ローラ部材
32 レール部材
32a 左右中間部
32b 左右外側端部側(先端側)
32c 左右内側端部側(基端側)
40 ロック装置
52 ロック用ハンドル
100 フック部材
100a ローラ押圧部(先端)
101 スリット
102 フック用回動軸
104 ガイドローラ
106a ガイド孔
130 天蓋固定装置
140 ロック装置
304 ガイドローラ
306 ガイドレール(ガイド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用荷箱の上方に開口する開口部を開閉自在に覆う左右一対の板状の天蓋と、基端が上記荷箱開口部の左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が上記天蓋の左右外側端部に回動自在に連結された複数の開閉アームとを備えた車両用荷箱であって、
上記各天蓋の左右内側端部の前端及び後端に設けられたローラ部材と、
上記荷箱開口部の前方及び後方の左右中央上方に左右中間部が揺動自在に支持され、左右外側端部側から上記ローラ部材が脱着され、該ローラ部材をスライド移動可能に支持する左右二組のレール部材と、
向かい合う上記レール部材の左右内側端部側を下方へ引っ張ることにより、該レール部材に嵌合するローラ部材を引き寄せて上記一対の天蓋を密閉状に閉じるロック装置とを備えている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用荷箱において、
上記ロック装置は、上記レール部材の左右内側端部側を下方へ引っ張る際に、先端が該レール部材の下方から挿入され、上記天蓋が閉じられたときに、上記ローラ部材を左右外側から押さえるフック部材を備えている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用荷箱において、
上記レール部材の左右内側端部側下面には、該左右内側端部側を下方へ引っ張るためのロック用ブラケットが連設され、
上記フック部材は、上記ロック用ブラケットに設けられて前後方向に伸びるフック用回動軸に回動自在に支持されている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用荷箱において、
上記フック部材は、先端が二股に分かれ、二又の一方が上記フック用回動軸に回動自在に支持され、基端側が、上記レール部材の左右内側端部側を下方へ引っ張るのに伴って、ガイドに摺接することにより移動規制され、上記二又の他方が上記レール部材の下方から徐々に挿入されるように構成されている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用荷箱において、
上記フック部材の基端側には、上記ガイドに摺接するガイドローラが回転自在に支持されている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用荷箱において、
上記ガイドは、上記レール部材の下方に設けたガイド板に形成されたガイド孔の周縁よりなり、
上記周縁は、少なくとも垂直な辺と、該垂直な辺に連続し、左右外側に向かって上方に傾斜する斜辺とを有する
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1つに記載の車両用荷箱において、
上記レール部材の下面には、上記フック部材の先端が挿入されるスリットが形成されている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の車両用荷箱において、
上記レール部材は、左右中間部から内側が上記天蓋側に開放する断面コ字状であり、左右外側端部側が上方も開口した断面L字状である
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の車両用荷箱において、
上記ロック装置は、上記荷箱の一方の側方に設けたハンドルを操作することにより、ロック及びロック解除可能に構成されている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用荷箱において、
前後の上記ロック装置は、1つの上記ハンドルを操作することで連動するように構成されている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載の車両用荷箱において、
上記開閉アームは、少なくとも上記荷箱開口部の左右側壁における前後及び前後中間に設けられている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項12】
請求項11に記載の車両用荷箱において、
上記車両用荷箱の左右側壁の上下中間には、トルクシャフトが回動自在に支持され、該左右のトルクシャフトには、上記前後及び前後中間の開閉アームの基端が回動一体に取り付けられている
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項13】
車両用荷箱の上方に開口する開口部を開閉自在に覆う左右一対の板状の天蓋と、基端が上記荷箱開口部の左右にそれぞれ回動自在に支持され、先端が上記天蓋の左右外側端部に回動自在に連結された複数の開閉アームとを備えた車両用荷箱であって、
上記開閉アームは、少なくとも上記荷箱開口部の左右側壁における前後及び前後中間に設けられ、
上記車両用荷箱の左右側壁の上下中間には、トルクシャフトが回動自在に支持され、該左右のトルクシャフトには、上記前後及び前後中間の開閉アームの基端が回動一体に取り付けられている
ことを特徴とする車両用荷箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−255978(P2009−255978A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328614(P2008−328614)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】