車両用衝突検知装置
【課題】圧力チャンバ式の車両用衝突検知装置において、車両バンパの車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができると共に、圧力検出の応答性とチャンバ部材の変形量を確保可能な車両用衝突検知装置を提供する。
【解決手段】車両バンパ内でバンパレインフォースメント4の前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体71を有するチャンバ部材7は、チャンバ本体71が車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されている。また、アブソーバ部材6が、アブソーバ本体61の上方であってバンパカバー3背面とチャンバ部材7前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部62を備えている。
【解決手段】車両バンパ内でバンパレインフォースメント4の前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体71を有するチャンバ部材7は、チャンバ本体71が車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されている。また、アブソーバ部材6が、アブソーバ本体61の上方であってバンパカバー3背面とチャンバ部材7前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部62を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への歩行者等の衝突を検知する車両用衝突検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の安全性に関して、事故時に車両の搭乗者の安全性を確保するだけでなく、車両に歩行者が衝突したときに歩行者へのダメージを軽減することも求められている。そこで、歩行者の車両への衝突を検知して、例えばアクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置を作動させて、車両に衝突してボンネットに倒れ込んできた歩行者が受ける傷害値(歩行者が受ける衝撃)を低減するシステムが提案されている。
【0003】
例えば特開2006−117157号公報(特許文献1)には、衝突を検知するために車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面にチャンバ部材が配設され、チャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより車両バンパへの歩行者などの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したチャンバ部材と圧力センサとを用いた車両用衝突検知装置において、アブソーバの上面且つバンパレインフォースメント前面にチャンバ部材を配置する構成が考えられる。図12は、従来の車両用衝突検知装置101を平面視にて示す全体構成図である。車両バンパ102内でバンパレインフォースメント104の前面にチャンバ部材107が配設されている。歩行者等が車両バンパ102に衝突すると、バンパカバー103を介して、チャンバ部材107は、押圧されて変形し、チャンバ部材107内部の圧力が上昇する。この圧力変化を圧力センサ108によって検出することによって衝突物が歩行者か否かを判別することができる。
【0006】
ところで、チャンバ部材107を、前端面がバンパカバー103に沿い且つ後端面がバンパレインフォースメント104に沿った形状とすると、チャンバ部材107の車両前後方向の長さが車幅方向中央部付近では大きくなり、車幅方向両端部付近では小さくなる。このようにチャンバ部材107における車両前後方向の長さや断面の縦横比が車幅方向において一定でない場合、歩行者等が車両バンパ102に衝突してチャンバ部材107が押圧変形にされることにより生じる圧力変化は、衝撃の大きさが同一でチャンバ部材107の変形量が同一であるにも拘わらず車両バンパ102の車幅方向の位置によって異なってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、例えば、図13に示すように、チャンバ部材107の断面形状を車幅方向全体に亘って一定とする構成が考えられる。この構成では、歩行者等が車両バンパ102に衝突してチャンバ部材107が押圧変形にされることにより生じる圧力変化は、衝撃の大きさが同一である場合は車両バンパ102の車幅方向において常に一定となる。しかしながら、この構成では、バンパカバー103とチャンバ部材107との間に大きな隙間が形成されるため、衝突の際に、バンパカバー103が変形してチャンバ部材107を押圧するまでに時間がかかり、圧力検出の応答が遅延し、チャンバ部材107の変形量自体も少なくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、圧力チャンバ式の車両用衝突検知装置において、車両バンパの車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができると共に、圧力検出の応答性とチャンバ部材の変形量を確保可能な車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体を有するチャンバ部材と、前記バンパレインフォースメントの前方且つ前記チャンバ部材の下方又は上方に配設されて衝撃を吸収するアブソーバ本体を有するアブソーバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、前記バンパレインフォースメント、前記チャンバ部材及び前記アブソーバ部材を車両外側から覆うバンパカバーとを備え、前記圧力センサによる圧力検出結果に基づいて前記車両バンパへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記チャンバ本体は、車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成され、
前記アブソーバ部材は、前記アブソーバ本体の上方又は下方であって前記バンパカバー背面と前記チャンバ部材前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体を有するチャンバ部材は、チャンバ本体が車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されているので、車両バンパの車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができ、チャンバ部材の変形量を確保することができる。また、アブソーバ部材が、アブソーバ本体の上方又は下方であってバンパカバー背面とチャンバ部材前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部を備えているので、衝突の際の衝撃によってバンパカバーが変形すると、スペーサ部が衝撃を吸収しつつチャンバ部材を押圧して変形させ、直ちにチャンバ空間内に圧力変化が生じる。従って、圧力検出の応答性とチャンバ部材の変形量を確保することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、前記アブソーバ本体よりも剛性が低いことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、スペーサ部は、アブソーバ本体よりも剛性が低いので、スペーサ部によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、スペーサ部は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片を備えているので、簡単な形状で確実にスペーサ部の剛性をアブソーバ本体よりも低くすることができる。よって、スペーサ部によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、前記複数のスペーサ片を車幅方向に連結する連結部を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、スペーサ部は、複数のスペーサ片を車幅方向に連結する連結部を備えているので、スペーサ部の強度を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、前記各スペーサ片の車幅方向の幅を20mm以上120mm以下としたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、各スペーサ片の車幅方向の幅を20mm以上120mm以下としたので、歩行者の脚部が衝突した際に、衝撃が分散することなくスペーサ部が確実にチャンバ部材を押圧することにより、チャンバ空間において衝撃の大きさに応じた圧力変化を生じさせることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置において、前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、一体的に形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、アブソーバ本体とスペーサ部とは一体的に形成されているので、アブソーバ部材の部品点数が低減され、車両への取り付けにかかる工数を低減できると共に、コスト低減を図ることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両用衝突検知装置において、前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、発泡樹脂材料の一体成型によって形成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、アブソーバ本体とスペーサ部とは発泡樹脂材料の一体成型によって形成されているので、アブソーバ部材の部品点数が低減され、車両への取り付けにかかる工数を低減できると共に、コスト低減を図ることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝突検知装置において、前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、前記アブソーバ本体を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりも前記スペーサ部を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、アブソーバ本体とスペーサ部とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、アブソーバ本体を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりもスペーサ部を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いので、スペーサ部の剛性をアブソーバ本体よりも確実に低くすることができる。よって、スペーサ部によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一実施形態の車両用衝突検知装置を平面視にて示す全体構成図である。
【図2】第一実施形態の車両用衝突検知装置の横から見た要部断面図(図1のA−A線断面)である。
【図3】第一実施形態におけるアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図(図1のB−B線断面)である。
【図4】第一実施形態におけるアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図5】第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図である。
【図6】第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図7】第一実施形態の第2変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図である。
【図8】第二実施形態においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図9】第二実施形態の変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図10】実施形態の応用例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図である。
【図11】実施形態の応用例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図12】参考例の車両用衝突検知装置を平面視にて示す全体構成図である。
【図13】参考例の車両用衝突検知装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の車両用衝突検知装置を具体化した各実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第一実施形態である車両用衝突検知装置1を平面視にて示す全体構成図である。図2は、車両用衝突検知装置1を横から見た要部断面図(図1のA−A線断面)である。図3は、アブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を横から見た断面図(図1のB−B線断面)である。図4は、アブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【0027】
車両用衝突検知装置1は、図1に示すように、車両バンパ2内に配設されたバンパカバー3と、アブソーバ部材6と、チャンバ部材7と、圧力センサ8と、歩行者保護装置ECU10とを主体として構成されている。
【0028】
車両バンパ2は、図1、図2に示すように、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ部材6及びチャンバ部材7を主体として構成されている。尚、図2では、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、アブソーバ部材6及びチャンバ部材7をそれぞれ断面で示している。
【0029】
バンパカバー3は、車両前端にて車幅方向(左右方向)に延び、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ部材6、及びチャンバ部材7を車両外側から覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
【0030】
バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車幅方向に延びる金属製の構造部材であって、図2に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。
【0031】
サイドメンバ5は、車両の左右両側面近傍に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられる。
【0032】
アブソーバ部材6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの前方に配設されて車幅方向に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。より詳細には、アブソーバ部材6は、下方部位を構成するアブソーバ本体61と、上方部位を構成するスペーサ部62とからなる。
【0033】
アブソーバ本体61は、バンパレインフォースメント4下部前方且つチャンバ部材7の下方に配置されて衝撃吸収作用を発揮する部分であって、前端はバンパカバー3背面(車両内側の面)近傍に位置し、後端はバンパレインフォースメント4の下部前面から下面に至る領域に当接している。より詳細には、アブソーバ本体61は、車両後方側に開口する断面コ字状に形成され、隙間を挟んで上下に対向する板状部611と板状部612とを有し、板状部611、612の各後端部がバンパレインフォースメント4の下部前面から下面に至る領域に当接している。
【0034】
スペーサ部62は、図3、図4に示すように、アブソーバ本体61上面の前方寄り位置から立設されてバンパカバー3背面とチャンバ部材7前面との間に設けられ、衝撃吸収作用を発揮すると共にチャンバ部材7への衝撃伝達作用を発揮する部分であって、発泡樹脂材料の一体成型によってアブソーバ本体61と一体的に形成されている。より詳細には、スペーサ部62は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片622と、複数のスペーサ片622を各々の前部において車幅方向に連結する連結部621とを備えている。つまり、複数のスペーサ片622は、連結部621から車両後方へ向けて櫛歯状に突出し、チャンバ部材7の前面に対向している。各スペーサ片622は、車幅方向から見て矩形状を呈する板状片であって、上下高さは後述するチャンバ本体71と略同一であり、その後端面がチャンバ本体71の前端面と5mm程度の隙間を隔てて対向している。また、スペーサ部62(本実施形態では連結部621)の上部前端は、バンパカバー3のべこつきを防止するため、前方側へ突状に形成されてバンパカバー3背面に近接している。尚、スペーサ片622の車幅方向の幅Lは、歩行者の脚部が衝突した際に衝撃が分散することを防止するために、20mm以上120mm以下とすることが好ましい。
【0035】
チャンバ部材7は、車両バンパ2内でアブソーバ部材6の上方且つバンパレインフォースメント前面4aに配置されて車幅方向に延びる略箱状の中空部材である。チャンバ部材7は、例えば、ポリエチレンなどの軟質性樹脂のブロー成形によって製造される。より詳細には、チャンバ部材7は、チャンバ本体71と、延設部72とを備えている。
【0036】
チャンバ本体71は、チャンバ部材7の大部分を占めており、厚さ数mmの壁面によって囲まれた略密閉状のチャンバ空間7aを内部に形成してなる軟質樹脂製部材である。そして、チャンバ本体71は、車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されている。尚、本実施形態では、チャンバ本体71の車幅方向から見た断面形状が略矩形状に形成されている。例えば、チャンバ本体71の車幅方向から見た断面形状において、車両前後方向の長さを50mm程度とし、上下高さを50mm程度の略正方形状としてもよい。車両前後方向の長さを50mm程度に設定することで、歩行者が衝突した際の歩行者の脚部を保護し、傷害値を低減することができる。尚、チャンバ部材7の断面形状は、車両前後方向の横幅よりも車両の垂直方向の縦幅が大きい縦長形状としてもよい。縦長形状とすることで、車両バンパ2内の空間をより有効利用することができる。
【0037】
延設部72は、軟質樹脂によってチャンバ本体71と一体的に成形され、チャンバ本体71の車幅方向の略中央部分からバンパレインフォースメント上面4bに延び、車体前方側から車体後方側へ延設された部位である。延設部72の内部空間は、チャンバ本体71の内部空間と連通しており、チャンバ空間7aの一部分を形成している。そして延設部72に圧力センサ8が配設されている。
【0038】
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、圧力センサ8の本体と、圧力導入管81とで構成され、圧力センサ8の本体には圧力検出用のセンサ素子が設けられている。そして、圧力導入管81は、延設部72の上方から挿入され、圧力を検出する。圧力センサ8は、圧力信号を出力し、信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10へ信号を送信する。尚、圧力センサ8は、ブラケット9を介して固定される。
【0039】
ブラケット9は、延設部72を跨ぐブリッジ状に形成され且つバンパレインフォースメント4の上面に固定され、ブラケット9上方に圧力センサ8が取り付け固定される。
【0040】
歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8と接続され、車両本体に配置されている。図示しない歩行者保護装置(たとえば公知の歩行者保護用のエアバッグやフード跳ね上げ装置など)の起動制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される信号が信号線10aを介して入力されるように構成されている。歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8における圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行する。
【0041】
次に、本実施形態の車両用衝突検知装置1による衝突の検知について説明する。本実施形態の衝突検知装置が組み付けられた車両バンパ2は、図1に示したように、バンパカバー3がチャンバ部材7とアブソーバ部材6を被覆し、車両バンパ2の外表面を形成している。
【0042】
この車両バンパ2に歩行者が衝突すると、衝突の際の衝撃によってバンパカバー3が変形し、アブソーバ部材6のスペーサ部62が衝撃を吸収しつつチャンバ本体71を押圧して変形させ、直ちにチャンバ空間7a内に圧力変化が生じる。すなわち、チャンバ部材7は、押圧されて変形し、チャンバ空間7aにおける気体圧力が増大する。この圧力の増大が圧力導入管81を経て圧力センサ8により検出され、出力される信号が信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10に送られて圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行することになる。
【0043】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、車両バンパ2内でバンパレインフォースメント4の前面に配設されチャンバ空間7aを内部に形成してなるチャンバ本体71を有するチャンバ部材7は、チャンバ本体71が車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されているので、車両バンパ2の車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができ、チャンバ部材の変形量を確保することができる。また、アブソーバ部材6が、アブソーバ本体61の上方又は下方(本実施形態では上方)であってバンパカバー3背面とチャンバ部材7前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部62を備えているので、衝突の際の衝撃によってバンパカバー3が変形すると、スペーサ部62が衝撃を吸収しつつチャンバ部材7を押圧して変形させ、直ちにチャンバ空間7a内に圧力変化が生じる。従って、圧力検出の応答性とチャンバ部材7の変形量を確保することができる。
【0044】
さらに、スペーサ部62は、アブソーバ本体61よりも剛性が低いので、スペーサ部62によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材7の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0045】
また、スペーサ部62は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片622を備えているので、簡単な形状で確実にスペーサ部62の剛性をアブソーバ本体61よりも低くすることができる。よって、スペーサ部62によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材7の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0046】
特に、スペーサ部62は、複数のスペーサ片622を車幅方向に連結する連結部621を備えているので、スペーサ部62の強度を向上させることができる。
【0047】
また、各スペーサ片622の車幅方向の幅Lを20mm以上120mm以下としたので、歩行者の脚部が衝突した際に、衝撃が分散することなくスペーサ部62が確実にチャンバ部材7を押圧することにより、チャンバ空間7aにおいて衝撃の大きさに応じた圧力変化を生じさせることができる。
【0048】
特に、アブソーバ本体61とスペーサ部62は発泡樹脂材料の一体成型により、一体的に形成されているので、アブソーバ部材6の部品点数が減り、車両への取り付けにかかる工数を低減できるため、コストの低減につながる。
【0049】
次に、第一実施形態の各変形例について説明する。まず、第一実施形態の第1変形例について、図5、図6を参照しつつ説明する。図5は、第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を横から見た断面図である。図6は、第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。尚、上述した実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明を省略する(以下の実施形態及び変形例においても同様)。
【0050】
本変形例では、図5、図6に示すように、アブソーバ部材6のスペーサ部62(具体的には連結部621及び各スペーサ片622)に、車両前方側へ開口し車幅方向へ延びるスリット部62aを設けたことを特徴とする。
【0051】
本変形例によれば、スペーサ部62にスリット部62aを設けたことによって、軽量化を図り、スペーサ部62の剛性を下げることができる。
【0052】
次に、第一実施形態の第2変形例について、図7を参照しつつ説明する。本変形例では、図7に示すように、アブソーバ部材6のスペーサ部62(具体的には連結部621及び各スペーサ片622)に、車両後方側へ開口し車幅方向へ延びるスリット部62aを設けたことを特徴とする。本変形例においても、上述した第1変形例と同様の効果が奏される。
【0053】
次に、第二実施形態について、図8を参照しつつ説明する。図8は、第二実施形態においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【0054】
上記第一実施形態では、スペーサ部62において複数のスペーサ片622を車幅方向に連結する連結部621を設ける構成としたが、本実施形態では、連結部621を設けることなく、各スペーサ片622がアブソーバ本体61からそれぞれ独立して立設される構成としたことを特徴とする。
【0055】
本実施形態においても、第一実施形態と同様の効果が奏される。
【0056】
次に、第二実施形態の変形例について図9を参照しつつ説明する。図9は、第二実施形態の変形例においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【0057】
本変形例では、図9に示すように、アブソーバ部材6のスペーサ部62における各スペーサ片622に、車両前方側へ開口し車幅方向へ延びるスリット部62aを設けたことを特徴とする。
【0058】
本変形例によれば、スペーサ部62にスリット部62aを設けたことによって、軽量化を図り、スペーサ部62の剛性を下げることができる。尚、スリット部62aを、車両後方側へ開口する形状としてもよい。
【0059】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。
【0060】
例えば、上記各実施形態では、アブソーバ本体61とスペーサ部62とを、同じ発泡樹脂材料によって一体成型する構成としたが、両部材を異なる発泡樹脂材料によって形成する構成としてもよい。具体的には、アブソーバ本体61を、第1の発泡樹脂材料(例えば20倍発泡の発泡樹脂)により形成し、スペーサ部62を、第1の発泡樹脂材料よりも剛性の低い第2の発泡樹脂材料(例えば30倍発泡の発泡樹脂)により形成する構成としてもよい。また、上記各実施形態では、スペーサ部62が車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片622からなる構成としたが、本変形例では発泡樹脂材料自体の剛性を低くしたので、例えば、スペーサ部62を車幅方向へ連続的に延びる一体的形状とすることも可能である。
【0061】
本変形例によれば、アブソーバ本体61とスペーサ部62とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、アブソーバ本体61を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりもスペーサ部62を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いので、スペーサ部62の剛性をアブソーバ本体61よりも確実に低くすることができる。よって、スペーサ部62によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材7の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0062】
また、図3に示したアブソーバ部材6は、アブソーバ本体61が、隙間を挟んで上下に対向する板状部611と板状部612とを有した形状としたが、図10、図11に示すように、アブソーバ部材6は、アブソーバ本体61の板状部611と板状部612との間に隙間を設けない形状としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:車両用衝突検知装置 2:車両バンパ 3:バンパカバー
4:バンパレインフォースメント 4a:バンパレインフォースメント前面 4b:バンパレインフォースメント上面 5:サイドメンバ
6:アブソーバ部材 61:アブソーバ本体 62:スペーサ部 621:連結部 622:スペーサ片 62a:スリット部
7:チャンバ部材 71:チャンバ本体 72:延設部 7a:チャンバ空間
8:圧力センサ 81:圧力導入管 9:ブラケット
10:歩行者保護装置ECU 10a:信号線
101:参考例の車両用衝突検知装置 104:バンパレインフォースメント
106:アブソーバ 107:チャンバ部材 107a:チャンバ空間 108:圧力センサ 100:歩行者保護装置ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への歩行者等の衝突を検知する車両用衝突検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の安全性に関して、事故時に車両の搭乗者の安全性を確保するだけでなく、車両に歩行者が衝突したときに歩行者へのダメージを軽減することも求められている。そこで、歩行者の車両への衝突を検知して、例えばアクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置を作動させて、車両に衝突してボンネットに倒れ込んできた歩行者が受ける傷害値(歩行者が受ける衝撃)を低減するシステムが提案されている。
【0003】
例えば特開2006−117157号公報(特許文献1)には、衝突を検知するために車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面にチャンバ部材が配設され、チャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより車両バンパへの歩行者などの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したチャンバ部材と圧力センサとを用いた車両用衝突検知装置において、アブソーバの上面且つバンパレインフォースメント前面にチャンバ部材を配置する構成が考えられる。図12は、従来の車両用衝突検知装置101を平面視にて示す全体構成図である。車両バンパ102内でバンパレインフォースメント104の前面にチャンバ部材107が配設されている。歩行者等が車両バンパ102に衝突すると、バンパカバー103を介して、チャンバ部材107は、押圧されて変形し、チャンバ部材107内部の圧力が上昇する。この圧力変化を圧力センサ108によって検出することによって衝突物が歩行者か否かを判別することができる。
【0006】
ところで、チャンバ部材107を、前端面がバンパカバー103に沿い且つ後端面がバンパレインフォースメント104に沿った形状とすると、チャンバ部材107の車両前後方向の長さが車幅方向中央部付近では大きくなり、車幅方向両端部付近では小さくなる。このようにチャンバ部材107における車両前後方向の長さや断面の縦横比が車幅方向において一定でない場合、歩行者等が車両バンパ102に衝突してチャンバ部材107が押圧変形にされることにより生じる圧力変化は、衝撃の大きさが同一でチャンバ部材107の変形量が同一であるにも拘わらず車両バンパ102の車幅方向の位置によって異なってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、例えば、図13に示すように、チャンバ部材107の断面形状を車幅方向全体に亘って一定とする構成が考えられる。この構成では、歩行者等が車両バンパ102に衝突してチャンバ部材107が押圧変形にされることにより生じる圧力変化は、衝撃の大きさが同一である場合は車両バンパ102の車幅方向において常に一定となる。しかしながら、この構成では、バンパカバー103とチャンバ部材107との間に大きな隙間が形成されるため、衝突の際に、バンパカバー103が変形してチャンバ部材107を押圧するまでに時間がかかり、圧力検出の応答が遅延し、チャンバ部材107の変形量自体も少なくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、圧力チャンバ式の車両用衝突検知装置において、車両バンパの車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができると共に、圧力検出の応答性とチャンバ部材の変形量を確保可能な車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体を有するチャンバ部材と、前記バンパレインフォースメントの前方且つ前記チャンバ部材の下方又は上方に配設されて衝撃を吸収するアブソーバ本体を有するアブソーバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、前記バンパレインフォースメント、前記チャンバ部材及び前記アブソーバ部材を車両外側から覆うバンパカバーとを備え、前記圧力センサによる圧力検出結果に基づいて前記車両バンパへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記チャンバ本体は、車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成され、
前記アブソーバ部材は、前記アブソーバ本体の上方又は下方であって前記バンパカバー背面と前記チャンバ部材前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体を有するチャンバ部材は、チャンバ本体が車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されているので、車両バンパの車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができ、チャンバ部材の変形量を確保することができる。また、アブソーバ部材が、アブソーバ本体の上方又は下方であってバンパカバー背面とチャンバ部材前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部を備えているので、衝突の際の衝撃によってバンパカバーが変形すると、スペーサ部が衝撃を吸収しつつチャンバ部材を押圧して変形させ、直ちにチャンバ空間内に圧力変化が生じる。従って、圧力検出の応答性とチャンバ部材の変形量を確保することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、前記アブソーバ本体よりも剛性が低いことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、スペーサ部は、アブソーバ本体よりも剛性が低いので、スペーサ部によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、スペーサ部は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片を備えているので、簡単な形状で確実にスペーサ部の剛性をアブソーバ本体よりも低くすることができる。よって、スペーサ部によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、前記複数のスペーサ片を車幅方向に連結する連結部を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、スペーサ部は、複数のスペーサ片を車幅方向に連結する連結部を備えているので、スペーサ部の強度を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の車両用衝突検知装置において、前記スペーサ部は、前記各スペーサ片の車幅方向の幅を20mm以上120mm以下としたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、各スペーサ片の車幅方向の幅を20mm以上120mm以下としたので、歩行者の脚部が衝突した際に、衝撃が分散することなくスペーサ部が確実にチャンバ部材を押圧することにより、チャンバ空間において衝撃の大きさに応じた圧力変化を生じさせることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置において、前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、一体的に形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、アブソーバ本体とスペーサ部とは一体的に形成されているので、アブソーバ部材の部品点数が低減され、車両への取り付けにかかる工数を低減できると共に、コスト低減を図ることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の車両用衝突検知装置において、前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、発泡樹脂材料の一体成型によって形成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、アブソーバ本体とスペーサ部とは発泡樹脂材料の一体成型によって形成されているので、アブソーバ部材の部品点数が低減され、車両への取り付けにかかる工数を低減できると共に、コスト低減を図ることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝突検知装置において、前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、前記アブソーバ本体を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりも前記スペーサ部を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、アブソーバ本体とスペーサ部とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、アブソーバ本体を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりもスペーサ部を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いので、スペーサ部の剛性をアブソーバ本体よりも確実に低くすることができる。よって、スペーサ部によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一実施形態の車両用衝突検知装置を平面視にて示す全体構成図である。
【図2】第一実施形態の車両用衝突検知装置の横から見た要部断面図(図1のA−A線断面)である。
【図3】第一実施形態におけるアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図(図1のB−B線断面)である。
【図4】第一実施形態におけるアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図5】第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図である。
【図6】第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図7】第一実施形態の第2変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図である。
【図8】第二実施形態においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図9】第二実施形態の変形例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図10】実施形態の応用例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を横から見た断面図である。
【図11】実施形態の応用例においてアブソーバ部材とチャンバ部材とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【図12】参考例の車両用衝突検知装置を平面視にて示す全体構成図である。
【図13】参考例の車両用衝突検知装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の車両用衝突検知装置を具体化した各実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第一実施形態である車両用衝突検知装置1を平面視にて示す全体構成図である。図2は、車両用衝突検知装置1を横から見た要部断面図(図1のA−A線断面)である。図3は、アブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を横から見た断面図(図1のB−B線断面)である。図4は、アブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【0027】
車両用衝突検知装置1は、図1に示すように、車両バンパ2内に配設されたバンパカバー3と、アブソーバ部材6と、チャンバ部材7と、圧力センサ8と、歩行者保護装置ECU10とを主体として構成されている。
【0028】
車両バンパ2は、図1、図2に示すように、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ部材6及びチャンバ部材7を主体として構成されている。尚、図2では、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、アブソーバ部材6及びチャンバ部材7をそれぞれ断面で示している。
【0029】
バンパカバー3は、車両前端にて車幅方向(左右方向)に延び、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ部材6、及びチャンバ部材7を車両外側から覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
【0030】
バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車幅方向に延びる金属製の構造部材であって、図2に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。
【0031】
サイドメンバ5は、車両の左右両側面近傍に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられる。
【0032】
アブソーバ部材6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの前方に配設されて車幅方向に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。より詳細には、アブソーバ部材6は、下方部位を構成するアブソーバ本体61と、上方部位を構成するスペーサ部62とからなる。
【0033】
アブソーバ本体61は、バンパレインフォースメント4下部前方且つチャンバ部材7の下方に配置されて衝撃吸収作用を発揮する部分であって、前端はバンパカバー3背面(車両内側の面)近傍に位置し、後端はバンパレインフォースメント4の下部前面から下面に至る領域に当接している。より詳細には、アブソーバ本体61は、車両後方側に開口する断面コ字状に形成され、隙間を挟んで上下に対向する板状部611と板状部612とを有し、板状部611、612の各後端部がバンパレインフォースメント4の下部前面から下面に至る領域に当接している。
【0034】
スペーサ部62は、図3、図4に示すように、アブソーバ本体61上面の前方寄り位置から立設されてバンパカバー3背面とチャンバ部材7前面との間に設けられ、衝撃吸収作用を発揮すると共にチャンバ部材7への衝撃伝達作用を発揮する部分であって、発泡樹脂材料の一体成型によってアブソーバ本体61と一体的に形成されている。より詳細には、スペーサ部62は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片622と、複数のスペーサ片622を各々の前部において車幅方向に連結する連結部621とを備えている。つまり、複数のスペーサ片622は、連結部621から車両後方へ向けて櫛歯状に突出し、チャンバ部材7の前面に対向している。各スペーサ片622は、車幅方向から見て矩形状を呈する板状片であって、上下高さは後述するチャンバ本体71と略同一であり、その後端面がチャンバ本体71の前端面と5mm程度の隙間を隔てて対向している。また、スペーサ部62(本実施形態では連結部621)の上部前端は、バンパカバー3のべこつきを防止するため、前方側へ突状に形成されてバンパカバー3背面に近接している。尚、スペーサ片622の車幅方向の幅Lは、歩行者の脚部が衝突した際に衝撃が分散することを防止するために、20mm以上120mm以下とすることが好ましい。
【0035】
チャンバ部材7は、車両バンパ2内でアブソーバ部材6の上方且つバンパレインフォースメント前面4aに配置されて車幅方向に延びる略箱状の中空部材である。チャンバ部材7は、例えば、ポリエチレンなどの軟質性樹脂のブロー成形によって製造される。より詳細には、チャンバ部材7は、チャンバ本体71と、延設部72とを備えている。
【0036】
チャンバ本体71は、チャンバ部材7の大部分を占めており、厚さ数mmの壁面によって囲まれた略密閉状のチャンバ空間7aを内部に形成してなる軟質樹脂製部材である。そして、チャンバ本体71は、車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されている。尚、本実施形態では、チャンバ本体71の車幅方向から見た断面形状が略矩形状に形成されている。例えば、チャンバ本体71の車幅方向から見た断面形状において、車両前後方向の長さを50mm程度とし、上下高さを50mm程度の略正方形状としてもよい。車両前後方向の長さを50mm程度に設定することで、歩行者が衝突した際の歩行者の脚部を保護し、傷害値を低減することができる。尚、チャンバ部材7の断面形状は、車両前後方向の横幅よりも車両の垂直方向の縦幅が大きい縦長形状としてもよい。縦長形状とすることで、車両バンパ2内の空間をより有効利用することができる。
【0037】
延設部72は、軟質樹脂によってチャンバ本体71と一体的に成形され、チャンバ本体71の車幅方向の略中央部分からバンパレインフォースメント上面4bに延び、車体前方側から車体後方側へ延設された部位である。延設部72の内部空間は、チャンバ本体71の内部空間と連通しており、チャンバ空間7aの一部分を形成している。そして延設部72に圧力センサ8が配設されている。
【0038】
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、圧力センサ8の本体と、圧力導入管81とで構成され、圧力センサ8の本体には圧力検出用のセンサ素子が設けられている。そして、圧力導入管81は、延設部72の上方から挿入され、圧力を検出する。圧力センサ8は、圧力信号を出力し、信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10へ信号を送信する。尚、圧力センサ8は、ブラケット9を介して固定される。
【0039】
ブラケット9は、延設部72を跨ぐブリッジ状に形成され且つバンパレインフォースメント4の上面に固定され、ブラケット9上方に圧力センサ8が取り付け固定される。
【0040】
歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8と接続され、車両本体に配置されている。図示しない歩行者保護装置(たとえば公知の歩行者保護用のエアバッグやフード跳ね上げ装置など)の起動制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される信号が信号線10aを介して入力されるように構成されている。歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8における圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行する。
【0041】
次に、本実施形態の車両用衝突検知装置1による衝突の検知について説明する。本実施形態の衝突検知装置が組み付けられた車両バンパ2は、図1に示したように、バンパカバー3がチャンバ部材7とアブソーバ部材6を被覆し、車両バンパ2の外表面を形成している。
【0042】
この車両バンパ2に歩行者が衝突すると、衝突の際の衝撃によってバンパカバー3が変形し、アブソーバ部材6のスペーサ部62が衝撃を吸収しつつチャンバ本体71を押圧して変形させ、直ちにチャンバ空間7a内に圧力変化が生じる。すなわち、チャンバ部材7は、押圧されて変形し、チャンバ空間7aにおける気体圧力が増大する。この圧力の増大が圧力導入管81を経て圧力センサ8により検出され、出力される信号が信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10に送られて圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行することになる。
【0043】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、車両バンパ2内でバンパレインフォースメント4の前面に配設されチャンバ空間7aを内部に形成してなるチャンバ本体71を有するチャンバ部材7は、チャンバ本体71が車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成されているので、車両バンパ2の車幅方向全体に亘って同一の大きさの衝撃に対して一定の検出圧力を得ることができ、チャンバ部材の変形量を確保することができる。また、アブソーバ部材6が、アブソーバ本体61の上方又は下方(本実施形態では上方)であってバンパカバー3背面とチャンバ部材7前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部62を備えているので、衝突の際の衝撃によってバンパカバー3が変形すると、スペーサ部62が衝撃を吸収しつつチャンバ部材7を押圧して変形させ、直ちにチャンバ空間7a内に圧力変化が生じる。従って、圧力検出の応答性とチャンバ部材7の変形量を確保することができる。
【0044】
さらに、スペーサ部62は、アブソーバ本体61よりも剛性が低いので、スペーサ部62によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材7の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0045】
また、スペーサ部62は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片622を備えているので、簡単な形状で確実にスペーサ部62の剛性をアブソーバ本体61よりも低くすることができる。よって、スペーサ部62によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材7の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0046】
特に、スペーサ部62は、複数のスペーサ片622を車幅方向に連結する連結部621を備えているので、スペーサ部62の強度を向上させることができる。
【0047】
また、各スペーサ片622の車幅方向の幅Lを20mm以上120mm以下としたので、歩行者の脚部が衝突した際に、衝撃が分散することなくスペーサ部62が確実にチャンバ部材7を押圧することにより、チャンバ空間7aにおいて衝撃の大きさに応じた圧力変化を生じさせることができる。
【0048】
特に、アブソーバ本体61とスペーサ部62は発泡樹脂材料の一体成型により、一体的に形成されているので、アブソーバ部材6の部品点数が減り、車両への取り付けにかかる工数を低減できるため、コストの低減につながる。
【0049】
次に、第一実施形態の各変形例について説明する。まず、第一実施形態の第1変形例について、図5、図6を参照しつつ説明する。図5は、第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を横から見た断面図である。図6は、第一実施形態の第1変形例においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。尚、上述した実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、それらについての詳細な説明を省略する(以下の実施形態及び変形例においても同様)。
【0050】
本変形例では、図5、図6に示すように、アブソーバ部材6のスペーサ部62(具体的には連結部621及び各スペーサ片622)に、車両前方側へ開口し車幅方向へ延びるスリット部62aを設けたことを特徴とする。
【0051】
本変形例によれば、スペーサ部62にスリット部62aを設けたことによって、軽量化を図り、スペーサ部62の剛性を下げることができる。
【0052】
次に、第一実施形態の第2変形例について、図7を参照しつつ説明する。本変形例では、図7に示すように、アブソーバ部材6のスペーサ部62(具体的には連結部621及び各スペーサ片622)に、車両後方側へ開口し車幅方向へ延びるスリット部62aを設けたことを特徴とする。本変形例においても、上述した第1変形例と同様の効果が奏される。
【0053】
次に、第二実施形態について、図8を参照しつつ説明する。図8は、第二実施形態においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【0054】
上記第一実施形態では、スペーサ部62において複数のスペーサ片622を車幅方向に連結する連結部621を設ける構成としたが、本実施形態では、連結部621を設けることなく、各スペーサ片622がアブソーバ本体61からそれぞれ独立して立設される構成としたことを特徴とする。
【0055】
本実施形態においても、第一実施形態と同様の効果が奏される。
【0056】
次に、第二実施形態の変形例について図9を参照しつつ説明する。図9は、第二実施形態の変形例においてアブソーバ部材6とチャンバ部材7とを取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図である。
【0057】
本変形例では、図9に示すように、アブソーバ部材6のスペーサ部62における各スペーサ片622に、車両前方側へ開口し車幅方向へ延びるスリット部62aを設けたことを特徴とする。
【0058】
本変形例によれば、スペーサ部62にスリット部62aを設けたことによって、軽量化を図り、スペーサ部62の剛性を下げることができる。尚、スリット部62aを、車両後方側へ開口する形状としてもよい。
【0059】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。
【0060】
例えば、上記各実施形態では、アブソーバ本体61とスペーサ部62とを、同じ発泡樹脂材料によって一体成型する構成としたが、両部材を異なる発泡樹脂材料によって形成する構成としてもよい。具体的には、アブソーバ本体61を、第1の発泡樹脂材料(例えば20倍発泡の発泡樹脂)により形成し、スペーサ部62を、第1の発泡樹脂材料よりも剛性の低い第2の発泡樹脂材料(例えば30倍発泡の発泡樹脂)により形成する構成としてもよい。また、上記各実施形態では、スペーサ部62が車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片622からなる構成としたが、本変形例では発泡樹脂材料自体の剛性を低くしたので、例えば、スペーサ部62を車幅方向へ連続的に延びる一体的形状とすることも可能である。
【0061】
本変形例によれば、アブソーバ本体61とスペーサ部62とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、アブソーバ本体61を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりもスペーサ部62を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いので、スペーサ部62の剛性をアブソーバ本体61よりも確実に低くすることができる。よって、スペーサ部62によって衝撃が過剰に吸収されることが防止され、チャンバ部材7の押圧変形に伴う検出圧力を確保することができる。
【0062】
また、図3に示したアブソーバ部材6は、アブソーバ本体61が、隙間を挟んで上下に対向する板状部611と板状部612とを有した形状としたが、図10、図11に示すように、アブソーバ部材6は、アブソーバ本体61の板状部611と板状部612との間に隙間を設けない形状としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:車両用衝突検知装置 2:車両バンパ 3:バンパカバー
4:バンパレインフォースメント 4a:バンパレインフォースメント前面 4b:バンパレインフォースメント上面 5:サイドメンバ
6:アブソーバ部材 61:アブソーバ本体 62:スペーサ部 621:連結部 622:スペーサ片 62a:スリット部
7:チャンバ部材 71:チャンバ本体 72:延設部 7a:チャンバ空間
8:圧力センサ 81:圧力導入管 9:ブラケット
10:歩行者保護装置ECU 10a:信号線
101:参考例の車両用衝突検知装置 104:バンパレインフォースメント
106:アブソーバ 107:チャンバ部材 107a:チャンバ空間 108:圧力センサ 100:歩行者保護装置ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体を有するチャンバ部材と、前記バンパレインフォースメントの前方且つ前記チャンバ部材の下方又は上方に配設されて衝撃を吸収するアブソーバ本体を有するアブソーバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、前記バンパレインフォースメント、前記チャンバ部材及び前記アブソーバ部材を車両外側から覆うバンパカバーとを備え、前記圧力センサによる圧力検出結果に基づいて前記車両バンパへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記チャンバ本体は、車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成され、
前記アブソーバ部材は、前記アブソーバ本体の上方又は下方であって前記バンパカバー背面と前記チャンバ部材前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部を備えたことを特徴とする車両用衝突検知装置。
【請求項2】
前記スペーサ部は、前記アブソーバ本体よりも剛性が低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項3】
前記スペーサ部は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項4】
前記スペーサ部は、前記複数のスペーサ片を車幅方向に連結する連結部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項5】
前記スペーサ部は、前記各スペーサ片の車幅方向の幅を20mm以上120mm以下としたことを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項6】
前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置。
【請求項7】
前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、発泡樹脂材料の一体成型によって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項8】
前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、前記アブソーバ本体を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりも前記スペーサ部を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項1】
車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面に配設されチャンバ空間を内部に形成してなるチャンバ本体を有するチャンバ部材と、前記バンパレインフォースメントの前方且つ前記チャンバ部材の下方又は上方に配設されて衝撃を吸収するアブソーバ本体を有するアブソーバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、前記バンパレインフォースメント、前記チャンバ部材及び前記アブソーバ部材を車両外側から覆うバンパカバーとを備え、前記圧力センサによる圧力検出結果に基づいて前記車両バンパへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記チャンバ本体は、車幅方向全体に亘って一定の断面形状に形成され、
前記アブソーバ部材は、前記アブソーバ本体の上方又は下方であって前記バンパカバー背面と前記チャンバ部材前面との間に設けられて衝撃を吸収するスペーサ部を備えたことを特徴とする車両用衝突検知装置。
【請求項2】
前記スペーサ部は、前記アブソーバ本体よりも剛性が低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項3】
前記スペーサ部は、車幅方向に一定の間隔で配置された複数のスペーサ片を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項4】
前記スペーサ部は、前記複数のスペーサ片を車幅方向に連結する連結部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項5】
前記スペーサ部は、前記各スペーサ片の車幅方向の幅を20mm以上120mm以下としたことを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項6】
前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の車両用衝突検知装置。
【請求項7】
前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、発泡樹脂材料の一体成型によって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項8】
前記アブソーバ本体と前記スペーサ部とは、異なる発泡樹脂材料によって形成されると共に、前記アブソーバ本体を形成する第1の発泡樹脂材料の剛性よりも前記スペーサ部を形成する第2の発泡樹脂材料の剛性の方が低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【公開番号】特開2010−179668(P2010−179668A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22165(P2009−22165)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
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