説明

車両用表示装置および情報表示システム

【課題】携帯端末と車両用表示装置とを接続して車両用表示装置側で携帯端末の機能を利用可能とする場合のユーザにとっての使い勝手を、より向上させることを可能にする。
【解決手段】車両用タッチパネル部24に対してスライド操作が行われた場合に、車両用表示装置2の車両側制御部25において、当該スライド操作を検知するとともに当該スライド操作の終点の位置を検知し、検知した終点の位置をもとに、表示の座標変換の種類および方向を決定する。そして、決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が携帯タッチパネル部14に行われたと仮定した場合の携帯タッチパネル部14での操作位置の変化を示す情報である擬似操作情報を生成し、その擬似操作情報をスマートフォン1に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置および情報表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルへのジェスチャー入力によって各種の操作を行うことができるタッチパネル式携帯電話機やタブレット型端末等の携帯端末が知られている。ジェスチャー入力の一例としては、指をタッチパネル上でスライドさせることによる入力があり、この入力により画面上の表示が平行移動する。一般的に表示の移動量は、指をタッチパネル上でスライドさせた操作量に応じたものとなっている。
【0003】
また、近年では、タッチ位置を複数点検知できるタッチパネル(以下、マルチタッチパネル)を備えた携帯端末も知られてきている。マルチタッチパネルでは、ユーザの複数の指によるジェスチャー入力が認識可能となるため、例えば特許文献1に開示されているように、複数の指によるジェスチャー入力によって画面上の表示の拡大・縮小、回転といった指示を与えることが可能となっている。一般的に表示の拡大・縮小の量は、2本の指の各タッチ位置を変化させた操作量に応じたものとなる。また、表示の回転量は、2本の指の各タッチ位置のうちの固定した指のタッチ位置を中心に他方の指のタッチ位置を画面上に回転させた操作量に応じたものとなる。
【0004】
さらに、近年では、タッチパネルを備えた車両用表示装置とタッチパネルを備えた携帯端末とを接続し、これらの機器を連携させることによって車両用表示装置側で携帯端末の機能を利用可能とするターミナルモードと呼ばれる技術が知られている。ターミナルモードでは、車両用表示装置のタッチパネル(以下、車両用タッチパネル)に携帯端末のタッチパネル(以下、携帯タッチパネル)の画面を表示させるとともに、車両用タッチパネルに対するタッチ操作によって、携帯タッチパネルをタッチ操作したのと同様の処理を携帯端末で行わせることが可能となる。
【0005】
詳しくは、ターミナルモードでは、携帯端末からは画素毎の色情報(以下、画素情報)を車両用表示装置に送信し、車両用表示装置がこの画素情報をもとに、車両用タッチパネルに携帯タッチパネルの画面を表示する。また、車両用表示装置からは車両用タッチパネルのタッチ位置についての位置情報を携帯端末に送信し、携帯端末は、この位置情報をもとに、携帯タッチパネルがタッチ操作されたのと同様の処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−290585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、ターミナルモードにおいて、平行移動、拡大・縮小、回転等の座標変換を行わせるためのジェスチャー入力(以下、座標変換ジェスチャー入力)を行って画面上の表示の座標変換を行うことが可能な携帯端末の機能を車両用表示装置で利用しようとした場合に、ユーザにとっての使い勝手が悪くなるという問題点があった。詳しくは、以下に述べる通りである。
【0008】
車両用タッチパネルに表示される携帯端末の画面上の表示の座標変換を行わせようとする場合には、車両用タッチパネルに対しての座標変換ジェスチャー入力時のタッチ位置の変化に応じた位置情報を車両用表示装置から携帯端末に送信し、携帯タッチパネルに対して座標変換ジェスチャー入力が行われたのと同様の座標変換を携帯端末側で行わせる必要がある。
【0009】
前述したように、従来、携帯タッチパネルの画面上の表示の座標変換の量は、ジェスチャー入力時のタッチ位置の変化量(つまり、タッチ操作の操作量)に応じたものとなっている。よって、車両用タッチパネルに表示される携帯端末の画面上の表示をユーザが目的とする量だけ座標変換させるためには、車両用タッチパネルの画面上の表示の変化を確認しながらタッチ操作の操作量を調整しなければならないことになる。しかしながら、車両の運転への集中を妨げないようにするためには車両用タッチパネルを注視し続ける訳にはいかないので、目的とする量だけ座標変換を行うのが容易でなく、ユーザにとっての使い勝手が悪くなる。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、携帯端末と車両用表示装置とを接続して車両用表示装置側で携帯端末の機能を利用可能とする場合のユーザにとっての使い勝手を、より向上させることを可能にする車両用表示装置および情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の車両用表示装置においては、車両用タッチパネルに対して、スライド操作が行われた場合に、当該スライド操作を検知するとともに当該スライド操作により変化した操作位置を検知する変化検知手段と、変化検知手段で検知したスライド操作をもとに、表示の座標変換の種類を決定するとともに、変化検知手段で検知した操作位置をもとに、表示の座標変換の方向を決定する変換態様決定手段と、変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す情報(以下、擬似操作情報)を生成する擬似操作情報生成手段とを備え、擬似操作情報生成手段で生成した擬似操作情報を携帯端末に送信することになる。
【0012】
これによれば、スライド操作を1回行うごとに、表示の座標変換の種類および方向を変換態様決定手段で決定するとともに、擬似操作情報を擬似操作情報生成手段で生成して携帯端末に送信することになる。擬似操作情報は、前述したように、変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す情報である。よって、擬似操作情報を受信した携帯端末では、この擬似操作情報を受信するごとに、携帯端末のタッチパネルに表示させる画面の表示に当該座標変換を一定量行うことができる。
【0013】
また、車両用表示装置では、携帯端末の画面を車両用タッチパネルに表示するので、スライド操作を1回行うごとに、車両用タッチパネルの画面上の表示に対して、当該スライド操作に応じて決定される種類および方向で、一定量の座標変換を行う。スライド操作の操作量に関わらず座標変換の量は一定となるので、ユーザは1回ごとのスライド操作の操作量を調整することなしに、スライド操作の回数を調整することで、目的とする量の座標変換が行われることになる。スライド操作の操作量を調整するためには車両用タッチパネルをユーザが注視する必要があるのに対し、スライド操作の回数の調整は車両用タッチパネルをユーザが注視する必要がない。従って、請求項1の構成によれば、携帯端末と車両用表示装置とを接続して車両用表示装置側で携帯端末の機能を利用可能とする場合のユーザにとって、使い勝手をより向上させることが可能になる。
【0014】
請求項2のように、車両用タッチパネルとして、複数の操作位置を同時に検知可能なタッチパネルを用いる態様としてもよい。
【0015】
請求項3のように、変換態様決定手段が、タッチ操作の操作位置を1箇所だけ検知していた場合であって、且つ、スライド操作を検知した場合に、座標変換の種類を平行移動と決定するとともに、当該スライド操作により変化した操作位置をもとに、当該スライド操作により操作位置が変化した方向をその平行移動の方向と決定する態様としてもよい。これによれば、車両用タッチパネルに対してスライド操作を繰り返すことで、スライド操作を行った方向へユーザが目的とする量だけ車両用タッチパネルの画面上の表示を平行移動させることが可能になる。
【0016】
請求項4のように、変換態様決定手段が、タッチ操作の操作位置を同時に2箇所検知していた場合であって、且つ、その2箇所の操作位置の両方についてスライド操作を検知した場合であって、当該スライド操作による各操作位置間の距離の変化を検知した場合に、座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、当該スライド操作による各操作位置間の距離の変化に応じて当該スケール変換の方向を拡大もしくは縮小と決定する態様としてもよい。これによれば、車両用タッチパネルに対して2箇所の操作位置のスライド操作を繰り返すことで、ユーザが目的とする量だけ車両用タッチパネルの画面上の表示を拡大や縮小させることが可能になる。
【0017】
請求項5の構成によれば、変換態様決定手段が、タッチ操作の操作位置を同時に2箇所検知していた場合であって、且つ、その2箇所の操作位置の一方のみについてスライド操作を検知した場合に、座標変換の種類を回転と決定するとともに、当該スライド操作により変化した操作位置をもとに、当該回転の方向を決定する態様としてもよい。これによれば、車両用タッチパネルに対して2箇所の操作位置の一方のみのスライド操作を繰り返すことで、ユーザが目的とする量だけ車両用タッチパネルの画面上の表示を回転させることが可能になる。
【0018】
請求項6の車両用表示装置においては、擬似操作情報生成手段は、擬似操作情報として、画面上の表示に一定量の座標変換を行うための操作が携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の操作開始点および仮想的な操作終点の座標を生成するとともに、操作開始点から当該操作終点までの間の仮想的な操作中間点の座標も生成する。そして、擬似操作情報生成手段で生成した擬似操作情報を携帯端末に送信する場合に、操作開始点の座標を送信した後に、操作開始点に近い操作中間点の座標から順番に操作終点の座標まで逐次送信する。
【0019】
これによれば、操作開始点に近い操作中間点の座標から順番に操作終点の座標までを逐次受信する携帯端末では、上記座標を受信するごとに、携帯端末のタッチパネルに表示させる画面の表示に座標変換を行って、最終的には一定量の座標変換を行うことになる。従って、擬似操作情報をもとに行われる携帯端末の画面変化が滑らかになる。
【0020】
請求項7の車両用表示装置においては、タッチ操作後の再度のタッチ操作を検知するとともに、先行するタッチ操作の操作位置からその再度のタッチ操作により変化した操作位置を検知する変化検知手段と、1回目のタッチ操作が行われた場合に、表示の座標変換の種類および方向をユーザが指定するためのアイコンを車両用タッチパネルの画面に重畳表示させる第1重畳表示手段と、変化検知手段で検知した操作位置をもとに、ユーザに選択されたアイコンに対応する座標変換の種類および方向を、表示の座標変換の種類および方向として決定する変換態様決定手段とを備えることになる。
【0021】
これによれば、タッチ操作を行って、表示の座標変換の種類および方向をユーザが指定するためのアイコンを車両用タッチパネルの画面に重畳表示させた後は、そのアイコンの表示位置をタッチ操作することで、ユーザが目的とする種類および方向の座標変換を当該画面の表示に一定量だけ行わせることが可能となる。よって、携帯端末においては画面に対して2箇所を同時に操作することで可能となる座標変換についても、車両用タッチパネルでは、当該アイコンの表示位置の1箇所をタッチ操作することで実行可能とすることができる。従って、車両用タッチパネルが複数の操作位置を同時に検知可能なタッチパネルでなくても、携帯端末においては画面に対して2箇所を同時に操作することで可能となる座標変換を当該車両用タッチパネルの操作で実行可能とすることが可能となり、汎用性が向上する。
【0022】
請求項7のようにする場合には、請求項8のように、第1重畳表示手段は、1回目のタッチ操作が行われた場合に、当該タッチ操作の操作位置を中心としてアイコンを配置し、車両用タッチパネルの画面に重畳表示させるものであって、車両用タッチパネルの画面上でのアイコンの表示位置と当該アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を格納する格納手段と、当該中心に対するアイコンの配置位置と当該アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を予め規定して記憶している規定記憶手段とをさらに備え、格納手段は、規定記憶手段に記憶している対応関係をもとに、車両用タッチパネルの画面上でのアイコンの表示位置と当該アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を格納する態様としてもよい。これによれば、タッチ操作を行った操作位置を中心に、表示の座標変換の種類および方向をユーザが指定するためのアイコンが表示されるため、その後のアイコンの選択が行いやすく、使い勝手がさらに向上する。
【0023】
請求項9のように、第1重畳表示手段は、表示の平行移動の方向をユーザが指定するためのアイコン、表示の拡大縮小をユーザが指定するためのアイコン、および表示の回転方向をユーザが指定するためのアイコンの少なくともいずれかを車両用タッチパネルの画面に重畳表示させる態様としてもよい。これによれば、表示の平行移動や拡大縮小や回転をアイコンの表示位置に対するタッチ操作で行うことが可能になる。
【0024】
請求項10の車両用表示装置においては、タッチ操作後の再度のタッチ操作を検知するとともに、1回目のタッチ操作の操作位置から再度のタッチ操作により変化した操作位置を検知する変化検知手段と、1回目のタッチ操作が行われた場合に、当該タッチ操作の操作位置を包囲する所定の枠を車両用タッチパネルの画面に重畳表示させる第2重畳表示手段と、変化検知手段で検知した操作位置および枠の配置位置をもとに、変化検知手段で検知した操作位置の枠に対する位置関係を判断し、その判断結果に応じて、表示の座標変換の種類および方向を決定する変換態様決定手段とを備えることになる。
【0025】
これによれば、タッチ操作を行って、当該タッチ操作の操作位置を中心とする所定の枠を車両用タッチパネルの画面に重畳表示させた後は、その枠が表示後の画面に対してタッチ操作を行うことで、ユーザが目的とする種類および方向の座標変換を当該画面の表示に一定量だけ行わせることが可能となる。よって、携帯端末においては画面上の2箇所に対して同時に操作することで可能となる座標変換についても、車両用タッチパネルでは、所定の枠が表示後の画面に対して1箇所をタッチ操作することで実行可能とすることができる。従って、車両用タッチパネルが複数の操作位置を同時に検知可能なタッチパネルでなくても、携帯端末においては画面に対して2箇所を同時に操作することで可能となる座標変換を当該車両用タッチパネルの操作で実行可能とすることが可能となり、汎用性が向上する。
【0026】
請求項10のようにする場合に、請求項11のように、変換態様決定手段が、操作位置が枠上であると判断した場合には、座標変換の種類を平行移動と決定するとともに、先行するタッチ操作の操作位置に対する変化検知手段で検知した操作位置の方向をその平行移動の方向と決定し、当該操作位置が枠よりも内側であると判断した場合には、座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、当該スケール変換の方向を縮小と決定し、当該操作位置が枠よりも外側であると判断した場合には、座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、当該スケール変換の方向を拡大と決定する態様としてもよい。
【0027】
請求項12のように、変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す擬似操作情報を、前記擬似操作情報生成手段で生成する場合の当該一定量の値を、ユーザの操作によって設定する態様としてもよい。これによれば、当該一定量の値をユーザの所望の値に変更することが可能になる。
【0028】
請求項13の情報表示システムによれば、タッチパネルを備えた携帯端末と、前記のいずれかの車両用表示装置とを含み、車両用表示装置から送信される擬似操作情報を携帯端末で受信して、擬似操作情報に従って、変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を携帯端末のタッチパネルの画面上の表示に一定量行うことになるので、携帯端末と車両用表示装置とを接続して車両用表示装置側で携帯端末の機能を利用可能とする場合のユーザにとっての使い勝手をより向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】情報表示システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】スマートフォン1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】車両用表示装置2の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、車両用タッチパネル部24の画面上のスマホ表示エリアと携帯タッチパネル部14の画面との比率を説明するための模式図であり、(b)は、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標と携帯タッチパネル部14の画面上の座標との対応関係を説明するための模式図である。
【図5】操作対象位置の特定を可能にするための初期設定の処理の一例を示すシーケンス図である。
【図6】通常操作モードにおける車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図7】車両側制御部25での通常操作モードと簡易操作モードとの切り替えの処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図8】車両側制御部25での簡易操作モードにおける各種設定処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図9】ターミナルモード使用中における車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図10】(a)は、拡大時用のスライド操作が行われた場合について説明するための模式図であり、(b)は、簡易入力用の終点座標の算出についての説明を行うための模式図であり、(c)は、拡大時用の処理における操作対象位置の特定について説明を行うための模式図である。
【図11】(a)は、縮小時用のスライド操作が行われた場合について説明するための模式図であり、(b)は、簡易入力用の終点座標の算出についての説明を行うための模式図であり、(c)は、縮小時用の処理における操作対象位置の特定について説明を行うための模式図である。
【図12】ターミナルモード使用中における車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図13】ターミナルモード使用中における携帯側制御部15でのフローの一例を示すフローチャートである。
【図14】(a)は、車両用タッチパネル部24に操作量の比較的小さいピンチアウトの操作を行う場合の操作位置の変化を示す模式図であり、(b)は、車両用タッチパネル部24に操作量の比較的大きいピンチアウトの操作を行う場合の操作位置の変化を示す模式図であり、(c)は、車両用表示装置2から送信される位置情報および擬似操作情報をもとにスマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化を示す模式図である。
【図15】変形例1におけるターミナルモード使用中の車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図16】座標変換指定アイコンの一例を示すための模式図である。
【図17】(a)〜(c)は、座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合のスマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化を示す模式図である。
【図18】変形例2におけるターミナルモード使用中の車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図19】座標変換指定用枠の一例を示すための模式図である。
【図20】(a)〜(c)は、座標変換指定用枠の配置位置に対する後続タッチ操作の操作位置の位置関係に応じてスマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された情報表示システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す情報表示システム100は、スマートフォン1および車両用表示装置2を含んでいる。情報表示システム100では、スマートフォン1の画面に表示させるためにスマートフォン1で生成した画面データを車両用表示装置2に送信し、車両用表示装置2でその画面データが示す画面を表示したり、車両用表示装置2への操作入力によってスマートフォン1を操作したりする。
【0031】
スマートフォン1は、タッチパネルを用いて操作入力を行う所謂タッチパネル式携帯電話機(つまり、操作部分を画面に集約したタッチパネルを搭載したスマートフォン)であって、一般的なタッチパネル式携帯電話機と同様に通話機能やメール機能や音楽機能や地図機能等を有しているものである。スマートフォン1は、請求項の携帯端末に相当する。
【0032】
本実施形態では、請求項の携帯端末としてタッチパネル式携帯電話機を用いる場合を例に挙げて説明を行うが、必ずしもこれに限らない。請求項の携帯端末としては、車両用表示装置2との通信機能を有するとともにタッチパネルを備えているものであれば他のものを用いる構成としてもよい。例えば、PDA(Personal Digital Assistants)やタブレット型コンピュータ等を用いる構成としてもよい。
【0033】
ここで、図2を用いてスマートフォン1の概略的な構成について説明を行う。なお、便宜上、一般的なタッチパネル式携帯電話機が有している機能に関する構成のうち、本発明の説明に不要なものについては説明を省略する。図2は、スマートフォン1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにスマートフォン1は、携帯側通信部11、携帯側表示部12と携帯側操作検知部13とからなる携帯タッチパネル部14、および携帯側制御部15を備えている。
【0034】
携帯側通信部11は、車両用表示装置2との間で例えばBluetooth(登録商標)に従った通信(以下BT通信)を行う。スマートフォン1と車両用表示装置2との間での通信は、例えばBluetooth(登録商標)に従って行う他にも、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格やIEEE802.11等の無線LAN規格などに従って行う構成としてもよい。また、スマートフォン1と車両用表示装置2との間の通信は、必ずしも無線通信で行う構成に限らず、USB接続等による有線通信によって行う構成としてもよい。
【0035】
携帯側表示部12は、スマートフォン1の各種アプリケーションプログラム(以下、アプリケーション)に応じた画面等を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。
【0036】
携帯側操作検知部13は、携帯側表示部12と一体になったタッチセンサが用いられ、携帯側表示部12の画面上のどの位置に対して押下操作(以下、タッチ操作)が行われたかを検知し、その操作位置の座標を携帯側制御部15に入力する。
【0037】
携帯タッチパネル部14は、携帯側表示部12と携帯側操作検知部13とが一体化したものであって、携帯側制御部15の指示に従って画面を携帯側表示部12に表示させる。また、携帯タッチパネル部14は、画面に対する操作が行われた場合には、画面上の操作位置を携帯側操作検知部13で検知し、その操作位置の座標を携帯側制御部15に入力する。携帯タッチパネル部14が請求項の携帯端末のタッチパネルに相当する。
【0038】
携帯タッチパネル部14は、画面上の複数の操作位置を同時に検知可能な所謂マルチタッチパネルであっても、画面上の複数の操作位置を同時に検知することができないタッチパネルであってもよいが、本実施形態ではマルチタッチパネルであるものとして以降の説明を続ける。また、携帯タッチパネル部14は、静電容量方式によるものであってもよいし、抵抗膜方式によるものであってもよいし、光学式によるものであってもよいし、他の方式によるものであってもよいが、本実施形態では静電容量方式によるものであるとする。
【0039】
携帯側制御部15は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には例えば周知のCPU、ROM、EEPROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)等が備えられている。携帯側制御部15は、携帯側通信部11、携帯タッチパネル部14から入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。
【0040】
例えば、携帯側制御部15は、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーション)を実行し、アプリケーションに従った画面を携帯タッチパネル部14に表示させるための画面データを生成し、その画面データに従った画面を携帯タッチパネル部14に表示させる。アプリケーションについては、ROMに予め記憶されている構成としてもよいし、図示しない通信手段によって携帯電話網等の通信網を介してサーバからダウンロードする構成としてもよい。
【0041】
また、携帯側制御部15は、携帯タッチパネル部14から入力される座標をもとに、携帯タッチパネル部14に表示中の画面上のどの位置に対して操作が行われたかを判断し、操作が行われた位置(以下、操作位置)に応じた処理を実行する。例えば、操作位置にボタン表示がされている場合には、そのボタン表示に応じた処理を実行する。
【0042】
他にも、携帯側制御部15は、携帯タッチパネル部14から入力される座標をもとに、操作位置の数やユーザからのスライド操作を検知し、画面上の地図や写真等の画像やボタン表示以外のオブジェクトの表示の平行移動やスケール変換(つまり、拡大縮小)や回転等の座標変換を行う処理を実行する。例えば、操作位置に画像やボタン表示以外のオブジェクトの表示がされている場合には、その画像やオブジェクトの座標変換を行う処理を実行する構成とする。
【0043】
以下では、検知される操作位置の数や検知されるスライド操作をもとに、画面上の画像の表示の平行移動やスケール変換や回転といった座標変換を行う処理(以下、座標変換処理)について説明を行う。まず、操作位置の検知とスライド操作の検知についての説明を行う。
【0044】
携帯タッチパネル部14にタッチ操作が行われた場合に、タッチ操作が行われた操作位置の座標が携帯タッチパネル部14から入力されてくる。例えば、タッチ操作が1箇所のみに行われた場合には1箇所についての座標が入力され、タッチ操作が同時に2箇所で行われた場合には2箇所についての座標が入力されることになる。携帯側制御部15では、入力されてくる座標の数をもとに、操作位置の数を検知するものとする。
【0045】
携帯側制御部15は、携帯側操作検知部13から継続的に座標の入力が行われている場合には、タッチ操作が継続しているものと判断する。一例としては、座標の入力のない状態が一定時間以上続かない限りはタッチ操作が継続しているものと判断する構成とすればよい。ここで言うところの一定時間とは、任意に設定可能な時間である。
【0046】
また、携帯側制御部15は、タッチ操作が継続していると判断している状態、且つ、操作位置の数の増加を検知していない状態において、所定時間内に逐次異なる座標が入力されてくる場合には、携帯タッチパネル部14にスライド操作が行われているものと検知する。ここで言うところのスライド操作とは、携帯タッチパネル部14にタッチ操作を行ったまま操作位置をスライドさせる入力方法を示している。また、所定時間とは、任意の設定可能な時間であって、例えば1秒等とすればよい。
【0047】
さらに、携帯側制御部15は、タッチ操作が開始された操作位置の座標を始点とし、例えば最も距離の近い座標同士を組み合わせていくことで操作位置の移動の軌跡を検知するとともに、スライド操作の終点を検知する。例えば、タッチ操作が解除されて座標の入力が一定時間以上続かなくなる直前まで検知していた軌跡の終点をスライド操作の終点として検知する構成とすればよい。他にも、軌跡の終点の位置が一定時間以上変化しなかった場合に、その終点をスライド操作の終点として検知する構成としてもよい。なお、操作位置の数が複数であった場合には、最も距離の近い座標同士を組み合わせていくことで複数の操作位置の各々について、操作位置の移動の軌跡を検知することになる。
【0048】
続いて、座標変換処理について一例を挙げて説明を行う。携帯側制御部15では、検知した操作位置の数が1箇所だけであって、その操作位置を始点とするスライド操作を検知した場合に、スライド操作の操作方向および操作量に応じた平行移動を画面上の画像の表示に行う。詳しくは、スライド操作の始点の座標を終点の座標へ変換させるのと同様の変換を当該画像の表示に行う。
【0049】
また、携帯側制御部15では、検知した操作位置の数が2箇所であって、その両方の操作位置をそれぞれ始点とするスライド操作を検知した場合に、スライド操作による両操作位置の接近離間およびその接近離間による両操作位置間の距離の変化の度合いに応じたスケール変換を画面上の画像の表示に行う。詳しくは、各スライド操作の始点の座標をもとに始点間の距離を算出するとともに、各スライド操作の終点の座標をもとに終点間の距離を算出する。続いて、始点間の距離に対する終点間の距離の比率を算出し、その比率だけ画面上の画像の表示を拡大や縮小する変換を行う。具体的には、当該比率が1よりも大きい場合には画面上の画像の表示を拡大する変換を行うことになり、当該比率が1よりも小さい場合には画面上の画像の表示を縮小する変換を行うことになる。
【0050】
なお、スケール変換時において、各スライド操作の終点間の中心の座標を画面の中心の座標へ変換するのと同様の変換を画面上の画像の表示に行い、スライド操作の終点間の中心を画面上の中心に平行移動させる構成としてもよい。以下では、携帯側制御部15において、スケール変換時にこの平行移動も行わせるものとして説明を続ける。
【0051】
また、携帯側制御部15では、検知した操作位置の数が2箇所であって、一方の操作位置のみを始点とするスライド操作を検知した場合に、固定されている操作位置に対するスライド操作による操作位置の操作方向および操作量に応じた回転を画面上の画像の表示に行う。詳しくは、固定されている操作位置の座標を中心として、スライド操作の始点の座標を終点の座標へ変換させるのと同様の変換を当該画像の表示に行う。
【0052】
さらに、携帯側制御部15は、車両用表示装置2と携帯側通信部11を介してBT通信を行うことができるように、ペアリング処理を行う。そして、スマートフォン1と車両用表示装置2とのBT通信が確立し、ターミナルモードが使用されることになった場合には、携帯タッチパネル部14に表示させるために生成した画面データや表示領域情報を携帯側通信部11から車両用表示装置2へ送信させる。
【0053】
ここで言うところの画面データは、例えば画素毎の色情報であるものとする。表示領域情報は画面サイズ=幅(Wピクセル)×高さ(Hピクセル)や解像度などであるものとする。また、ここで言うところのターミナルモードとは、スマートフォン1の画面を車両用表示装置2で表示させるとともに、車両用表示装置2への操作入力によってスマートフォン1を操作するモードである。ターミナルモードは、例えば携帯タッチパネル部14へのユーザからの操作入力によって使用の可否を選択可能な構成となっていてもよいし、スマートフォン1と車両用表示装置2とのBT通信が確立してスマートフォン1と車両用表示装置2とが接続された場合に自動的に使用される構成となっていてもよい。
【0054】
後に詳述するが、前述のターミナルモードを選択中の場合には、携帯側制御部15は、携帯側通信部11を介して車両用表示装置2から入力される位置情報や擬似操作情報に従って、携帯タッチパネル部14に表示中の画面上のどの位置に対して操作が行われたかを判断し、操作が行われた位置に応じた処理を実行する。
【0055】
図1に戻って、車両用表示装置2は、自動車等の車両に固定、或いは、持ち運び可能に搭載され、車両内で使用されるものであって、画像を表示するものである。車両用表示装置2としては、例えば車両用のディスプレイ装置や車両用ナビゲーション装置や所謂ディスプレイオーディオ等を利用することができる。ディスプレイオーディオとは、表示機能やオーディオ再生機能、スマートフォン1との通信機能といった基礎的な機能のみを実装し、スマートフォン1と連携することで多機能化する車両用表示装置を指している。なお、車両用ナビゲーション装置を利用する場合には、ディスプレイと一体となった車両用ナビゲーション装置を車両用表示装置2として用いてもよいし、ディスプレイを含まない車両用ナビゲーション装置とディスプレイとの組を車両用表示装置2として用いてもよいものとする。本実施形態では、一例として車両用表示装置2はディスプレイオーディオであるものとして以降の説明を行う。
【0056】
ここで、図3を用いて車両用表示装置2の概略的な構成について説明を行う。なお、便宜上、車両用表示装置2が有している機能に関する構成のうち、本発明の説明に不要なものについては説明を省略する。図3は、車両用表示装置2の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示すように車両用表示装置2は、車両側通信部21、車両側表示部22と車両側操作検知部23とからなる車両用タッチパネル部24、および車両側制御部25を備えている。
【0057】
車両側通信部21は、スマートフォン1との間で例えばBT通信を行う。なお、車両用表示装置2とスマートフォン1との間での通信は、前述したように無線通信によるものであってもよいし、有線通信によるものであってもよい。車両側通信部21は、携帯側通信部11から送信された表示領域情報や画面データを受信して車両側制御部25に入力する。また、車両側通信部21は、車両側制御部25からの指示に従って、車両側制御部25から出力される位置情報や擬似操作情報を携帯側通信部11に送信する。
【0058】
車両側表示部22は、車両側制御部25の指示に従った画面等を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。車両側操作検知部23は、車両側表示部22と一体になったタッチセンサが用いられ、車両側表示部22の画面上のどの位置にタッチ操作が行われたかを検知し、その操作位置の座標を車両側制御部25に入力する。
【0059】
車両用タッチパネル部24は、車両側表示部22と車両側操作検知部23とが一体化したものであって、車両側制御部25の指示に従って画面を車両側表示部22に表示させる。また、車両用タッチパネル部24は、画面に対する操作が行われた場合には、画面上の操作位置を車両側操作検知部23で検知し、その操作位置の座標を車両側制御部25に入力する。車両用タッチパネル部24が請求項の車両用タッチパネルに相当する。
【0060】
車両用タッチパネル部24は、画面上の複数の操作位置を同時に検知可能な所謂マルチタッチパネルであるものとして以降の説明を続ける。また、車両用タッチパネル部24は、例えば静電容量方式によるものであるとする。
【0061】
車両側制御部25は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には例えば周知のCPU、ROM、EEPROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)等が備えられている。車両側制御部25は、車両側通信部21、車両側操作検知部23から入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。
【0062】
車両側制御部25は、車両側通信部21を介してスマートフォン1から送信された画面データ(以下、携帯由来画面データ)の入力を受け付けた場合に、その携帯由来画面データに従った画像(以下、車両側生成画像)を生成して車両側表示部22に出力し、その携帯由来画面データが示す画面を車両側表示部22で表示させる。車両側制御部25は、例えばスマートフォン1から送信された表示領域情報をもとに、携帯由来画面データのサイズや解像度を、車両側表示部22の画面のサイズや解像度に変換した車両側生成画像を生成するものとする。
【0063】
なお、本実施形態では、スマートフォン1から送信された表示領域情報をもとに、携帯由来画面データのサイズや解像度を、車両側表示部22の画面のサイズや解像度に変換する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、携帯由来画面データのサイズや解像度の変換の比率を固定値として予め車両側制御部25のROM等の不揮発性メモリで保持しておき、この固定値に従って変換を行う構成としてもよい。この場合には、スマートフォン1から表示領域情報を送信する構成としなくてもよい。
【0064】
車両側制御部25は、車両用タッチパネル部24から入力される座標をもとに、車両用タッチパネル部24に表示中の画面上のどの位置に対して操作が行われたかを判断し、操作位置に応じた処理を実行する。車両側制御部25は、車両用タッチパネル部24から入力される座標をもとに、操作位置の数の検知やスライド操作の検知やスライド操作の終点の検知を行う。操作位置の数の検知やスライド操作の検知やスライド操作の終点の検知については、携帯側制御部15と同様にして行うものとする。よって、車両側制御部25が請求項の変化検知手段に相当する。
【0065】
また、車両側制御部25は、ターミナルモードを選択中の場合には、操作位置の数やスライド操作の検知結果に応じた位置情報や擬似操作情報を、車両側通信部21を介してスマートフォン1に送信する。
【0066】
例えば、タッチ操作の検知時には、そのタッチ操作の操作位置の座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標を操作対象位置として特定する。操作対象位置の特定方法としては、携帯由来画面データのサイズを変換して車両側生成画像を生成したときの変換と逆の変換を行うことで特定する構成とすればよい。
【0067】
ここで、図4(a)および図4(b)を用いて、操作対象位置の特定の詳細について説明を行う。図4(a)は、車両用タッチパネル部24の画面上のスマホ表示エリアと携帯タッチパネル部14の画面との比率を説明するための模式図である。なお、スマホ表示エリアとは、車両用タッチパネル部24の画面上に、携帯タッチパネル部14の画面に表示する画像を表示するための領域を示している。図4(b)は、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標と携帯タッチパネル部14の画面上の座標との対応関係を説明するための模式図である。
【0068】
ここでは、車両用タッチパネル部24の画面上のスマホ表示エリアと携帯タッチパネル部14の画面とのアスペクト比を同一とする場合を例に挙げて説明を行う。例えば、図4(a)に示すように、車両用タッチパネル部24の画面(図中のA)上の矩形のスマホ表示エリア(図中の破線の四角)の縦幅(図中のαy)は、携帯タッチパネル部14の矩形の画面(図中のB)の縦幅(図中のy)のα倍であるものとする。また、車両用タッチパネル部24の画面上のスマホ表示エリアの横幅(図中のαx)は、携帯タッチパネル部14の画面の横幅(図中のx)のα倍であるものとする。αは、携帯タッチパネル部14の画面の実際の縦幅および横幅に対する車両用タッチパネル部24のスマホ表示エリアの実際の縦幅および横幅の比率である。
【0069】
続いて、携帯タッチパネル部14の画面に対する車両用タッチパネル部24のスマホ表示エリアの比率が図4(a)に示すような比率である場合における、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標と携帯タッチパネル部14の画面上の座標との対応関係について図4(b)を用いて説明を行う。
【0070】
本実施形態では、車両用タッチパネル部24の矩形の画面の左下隅の座標を(0,0)、左上隅の座標を(0,m2)、右上隅の座標を(m1,m2)、右下隅の座標を(m1,0)として以降の説明を行う。また、車両用タッチパネル部24の矩形のスマホ表示エリアの左下隅の座標を(β,γ)、右上隅の座標を(Q,S)とする。βは、スマホ表示エリアの左端線の車両用タッチパネル部24の画面の左端線からのオフセット値であり、γは、スマホ表示エリアの下端線の車両用タッチパネル部24の画面の下端線からのオフセット値である。また、携帯タッチパネル部14の矩形の画面の左下隅の座標を(0,0)、左上隅の座標を(0,s2)、右上隅の座標を(s1,s2)、右下隅の座標を(s1,0)とする。
【0071】
例えば、車両用タッチパネル部24のスマホ表示エリア上の点(ma,mb)がタッチ操作されたことを検知した場合には、前述の操作対象位置の座標を((ma−β)/α,(mb−γ)/α)と特定する。つまり、スマホ表示エリア上の点を、スマホ表示エリアの車両用タッチパネル部24の画面に対するオフセット値分だけずらすとともに、携帯タッチパネル部14の画面に対するスマホ表示エリアの比率分だけ縮小した点を操作対象位置として特定する。
【0072】
続いて、図5を用いて、操作対象位置の特定を可能にするための初期設定の処理についての説明を行う。図5は、操作対象位置の特定を可能にするための初期設定の処理の一例を示すシーケンス図である。上記初期設定の処理は、例えばスマートフォン1と車両用表示装置2とが接続され、ターミナルモードの使用が開始されたときに開始されるものとする。
【0073】
まず、スマートフォン1から車両用表示装置2に表示領域情報を送信する(t1)。例えば、携帯タッチパネル部14の画面の解像度が800×480ドットであった場合には、表示領域情報として、解像度800×480ドットの情報を送信する。なお、携帯タッチパネル部14の画面の解像度が800×480ドットの場合には、画面上の(800、0)の座標は図4(b)の(s1,0)の座標に対応し、(0,480)の座標は図4(b)の(0,s2)の座標に対応する。
【0074】
表示領域情報を受信した車両用表示装置2(詳しくは車両側制御部25)では、車両用タッチパネル部24のスマホ表示エリアを設定する(t2)。スマホ表示エリアは、スマホ表示エリアに表示されるスマートフォン1の画面をなるべく見易く、且つ、操作し易くなるサイズとなるように設定する。例えば、スマートフォン1の解像度ごとに上記サイズが予め定められており、スマートフォン1の解像度に応じて設定する構成としてもよい。なお、車両用表示装置2とスマートフォン1との解像度が同一(例えば、WVGA:800×480)であり、携帯タッチパネル部14の画面を車両用タッチパネル部24の画面全体で表示するという場合であっても、ドットピッチサイズが異なる場合には、表示サイズは異なる。
【0075】
続いて、スマートフォン1から車両用表示装置2に、スマートフォン1の画面の座標情報を送信する(t3)。スマートフォン1の画面の座標情報は、携帯タッチパネル部14の画面の4隅の座標を推定可能な情報であればよく、例えば携帯タッチパネル部14の画面の左下隅の座標(0,0)および右上隅の座標(s1,s2)であってもよいし、右上隅の座標(s1,s2)のみであってもよい。
【0076】
スマートフォン1の画面の座標情報を受信した車両用表示装置2(詳しくは車両側制御部25)では、操作対象位置の特定を行うための換算係数α、β、γを算出する(t4)。換算係数α、β、γを算出するために、車両側制御部25は、スマホ表示エリアの左下隅と右上隅とに対応する車両用タッチパネル部24の画面上の座標を取得する。本実施形態の例では、左下隅の座標(β,γ)及び右上隅の座標(Q,S)を取得する。
【0077】
本実施形態の例では、左下隅の座標(β,γ)のx座標の値βを換算係数βと算出し、左下隅の座標(β,γ)のy座標の値γを換算係数γと算出する。また、スマホ表示エリアの右上隅の座標(Q,S)とスマートフォン1の画面の右上隅の座標(s1,s2)とをもとに、(Q−β)/s1=(S−γ)/s2=αの式を演算することで換算係数αを算出する。換算係数α、β、γを算出したところで初期設定の処理は終了する(t5)。
【0078】
なお、初期設定の処理が終了した後は、スマートフォン1から車両用表示装置2に、携帯タッチパネル部14に表示させるために生成した画面データを送信する(t6)。上記画面データ(つまり、前述の携帯由来画面データ)を受信した車両用表示装置2では、その携帯由来画面データに従った車両側生成画像を生成して、その携帯由来画面データが示す画面をスマホ表示エリアに表示させることになる。
【0079】
ターミナルモードを選択中の場合には、通常操作モードと簡易操作モードとの2種類の操作モードがあるものとする。通常操作モードは、車両用タッチパネル部24の画面に対する操作量の大小に応じた量だけ、携帯タッチパネル部14の画面上の画像の表示の座標変換を行うモードである。これは、車両用表示装置2側で特定した前述の操作対象位置(つまり、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標に対応する携帯タッチパネル部14の画面上の座標)をスマートフォン1に逐次送信することで実現する。
【0080】
なお、通常操作モードでは、操作位置が車両用タッチパネル部24のスマホ表示エリア内である限り、特定した操作対象位置をスマートフォン1へ送信するものとする。つまり、本実施形態の例では、0≦ma≦m1、および0≦mb≦m2であって、且つ、β≦ma≦Q、およびγ≦mb≦Sである場合に、特定した操作対象位置をスマートフォン1へ送信する。
【0081】
また、操作位置が車両用タッチパネル部24の画面上の、スマホ表示エリア外の領域であった場合には、スマホ表示エリア外処理を行う。スマホ表示エリア外処理では、例えばスマホ表示エリア外の領域に割り当てられている車両用表示装置2側の動作を行わせる構成とすればよい。また、上記領域がスマートフォン1のハードスイッチの動作指示に対して割り当てられている場合は、その領域を操作したことを示す位置情報をスマートフォン1に送信する構成とすればよい。
【0082】
ここで、図6を用いて、通常操作モードにおける車両用表示装置2での処理の流れについての説明を行う。図6は、通常操作モードにおける車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。図6のフローは、通常操作モードが開始されたときに開始されるものとする。なお、前述の初期設定の処理は完了しているものとして説明を行う。
【0083】
まず、ステップS101では、車両用タッチパネル部24の画面に対するタッチ操作の検知を行うとともに、タッチ操作の操作位置の数の検知を行う。そして、当該タッチ操作を検知した場合(ステップS101でYES)には、ステップS102に移る。本実施形態の例では、座標(ma,mb)で示される1箇所がタッチ操作されたものとして以降の説明を続ける。また、当該タッチ操作を検知しなかった場合(ステップS101でNO)には、ステップS101に戻ってフローを繰り返す。
【0084】
ステップS102では、タッチ操作の操作位置がスマホ表示エリア内であるか否かを判定する。本実施形態の例では、検知した操作位置の座標が、0≦ma≦m1、および0≦mb≦m2であって、且つ、β≦ma≦Q、およびγ≦mb≦Sである場合に、スマホ表示エリア内であると判定する。そして、スマホ表示エリア内であると判定した場合(ステップS102でYES)には、ステップS103に移る。また、スマホ表示エリア内でないと判定した場合(ステップS102でNO)には、ステップS107に移る。
【0085】
ステップS103では、操作対象位置(つまり、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標に対応する携帯タッチパネル部14の画面上の座標)を特定する。操作対象位置の特定は、前述の初期設定で算出した換算係数α、β、γを用いて、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標を携帯タッチパネル部14の画面上の座標位置に換算することで特定する。詳しくは、座標(ma,mb)を座標((ma−β)/α,(mb−γ)/α)に換算することで操作対象位置を特定する。
【0086】
ステップS104では、操作対象位置として特定した座標の情報を位置情報として、車両側通信部21からスマートフォン1に送信し、ステップS105に移る。なお、操作位置を複数箇所(例えば2箇所とする)検知していた場合には、この2箇所の操作位置の座標にそれぞれ対応する操作対象位置の座標が位置情報として送信されることになる。
【0087】
ステップS105では、タッチ操作が終了した(つまり、タッチオフ)か否かを判定する。例えば、車両用タッチパネル部24でタッチ操作を検知しなくなったときにタッチオフと判定する構成とすればよい。そして、タッチオフと判定した場合(ステップS105でYES)には、ステップS106に移る。また、タッチオフでないと判定した場合(ステップS105でNO)には、ステップS102に戻ってフローを繰り返す。
【0088】
なお、タッチ操作が継続していると車両側制御部25で判断される場合、つまり、タッチ操作が終了されることなく、タッチ操作に継続して車両用タッチパネル部24にスライド操作が行われたことを車両側制御部25が検知した場合には、継続しているタッチ操作の操作位置についての操作対象位置を定期的に特定する。そして、特定した操作対象位置の座標をスマートフォン1に逐次送信する。スライド操作時に定期的に行われる操作対象位置の特定の時間間隔は、任意に設定可能な値である。例えば、上記時間間隔は、表示や反応速度の自然さと処理能力とを考慮して予め設定される構成とすればよい。時間間隔は、例えば100msや15fps(Frames Per Second)とすればよい。
【0089】
ステップS106では、タッチオフした操作位置についての操作対象位置を特定し、特定した操作対象位置の座標をタッチ操作の終点の位置情報(つまり、オフデータ)として、タッチ操作が終了したことを示すオフ信号とともに、車両側通信部21からスマートフォン1に送信する。そして、ステップS101に戻ってフローを繰り返す。スライド操作が行われていた場合には、タッチオフした操作位置がスライド操作の終点にあたる。また、ステップS107では、前述のスマホ表示エリア外処理を行い、ステップS101に戻ってフローを繰り返す。
【0090】
一方、簡易操作モードは、車両用タッチパネル部24の画面に対する操作量の大小に関わらず、設定された定量分だけ、携帯タッチパネル部14の画面上の画像の表示の座標変換を行うモードである。
【0091】
例えば、車両用表示装置2を搭載した車両が停車中である場合には通常操作モードとする一方、当該車両が走行中である場合には自動的に簡易操作モードに切り替える構成としてもよい。車両が停車中か走行中かについては、図示しない車速センサの信号をもとに、車両が所定の速度以上である場合に走行中、車両が所定の速度以上でない場合に停車中と車両側制御部25で判定する構成とすればよい。ここで言うところの所定の速度としては、車速センサで検出可能な最低速度(例えば5km/hなど)を設定する構成とすればよい。また、ターミナルモードを選択中は、常に簡易操作モードとする構成としてもよい。
【0092】
また、ユーザによる通常操作モードと簡易操作モードとの切り替え設定に応じて、通常操作モードと簡易操作モードとを切り替える構成としてもよい。ここで、図7を用いて、通常操作モードと簡易操作モードとの切り替えの処理の一例についての説明を行う。図7は、車両側制御部25での通常操作モードと簡易操作モードとの切り替えの処理のフローの一例を示すフローチャートである。図7のフローは、例えばターミナルモードの使用が開始されたときに開始され、ターミナルモードの使用が終了したときに終了するものとする。
【0093】
まず、ステップS201では、車両用表示装置2を搭載した車両が停車中か走行中かを判定する。車両が停車中か走行中かについては、前述したように、車両が所定の速度以上である場合に走行中と判定し、車両が所定の速度以上でない場合に停車中であると判定する構成とすればよい。そして、車両が停車中と判定した場合(ステップS201でYES)には、ステップS202に移る。また、車両が走行中と判定した場合(ステップS201でNO)には、ステップS204に移る。
【0094】
ステップS202では、簡易操作モード設定がオンになっているか否かを判定する。停車時の簡易操作モード設定は、例えば車両用タッチパネル部24を介してユーザによりオンとオフとの設定が行われるものとし、オンの設定が予め行われていた場合に、簡易操作モード設定がオンになっていると判定する構成とすればよい。また、オフの設定が予め行われていた場合には、簡易操作モード設定がオフになっていると判定する構成とすればよい。
【0095】
そして、簡易操作モード設定がオンになっていると判定した場合(ステップS202でYES)には、ステップS204に移る。また、簡易操作モード設定がオフになっていると判定した場合(ステップS202でNO)には、ステップS203に移る。ステップS203では、通常操作モードを採用し、ステップS201に戻ってフローを繰り返す。また、ステップS204では、簡易操作モードを採用し、ステップS201に戻ってフローを繰り返す。
【0096】
また、簡易操作モードでは、タッチ操作に継続して車両用タッチパネル部24にスライド操作が行われたことを車両側制御部25が検知した場合には、操作位置の数およびスライド操作の始点・終点の座標をもとに、画面上の表示の座標変換の種類および方向を決定する。よって、車両側制御部25が請求項の変換態様決定手段に相当する。なお、スライド操作の始点については、スライド操作の開始時点の操作位置を始点とすればよい。座標変換の種類および方向の決定の詳細については後述する。
【0097】
車両側制御部25は、座標変換の種類および方向の決定を行った場合には、決定した種類および方向の座標変換をスライド操作の始点の座標に定量分(つまり、一定量)行った座標(以下、変換後座標)を特定する。ここで言うところの一定量とは、固定値であって任意に設定可能な量である。そして、変換後座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標を特定し、特定した座標の情報を生成して、車両側通信部21からスマートフォン1に送信する。本実施形態では、特定した座標の情報を擬似操作情報と呼ぶものとする。よって、車両側制御部25が請求項の擬似操作情報生成手段に相当する。なお、上述の一定量は、座標変換の種類ごとにそれぞれ異なった固定値が設定されている構成としてもよいし、座標変換の種類ごとにそれぞれ異なった固定値をユーザが設定可能な構成としてもよい。
【0098】
ここで、図8を用いて、簡易操作モードにおける座標変換量の設定についての説明を行う。図8は、車両側制御部25での簡易操作モードにおける各種設定処理のフローの一例を示すフローチャートである。図8のフローは、例えば車両用タッチパネル部24を介してユーザにより、簡易操作モード時の設定を行うメニューが選択された場合に開始されるものとする。
【0099】
まず、ステップS301では、停車時の簡易操作モード設定(以下、単に簡易操作モード設定)を行うための設定画面を車両用タッチパネル部24に表示させ、車両用タッチパネル部24を介してユーザから行われる入力に応じて、簡易操作モード設定を行う。例えば、簡易操作モード設定をオンにすることを選択する入力が行われた場合には、簡易操作モード設定をオンにし、簡易操作モード設定をオフにすることを選択する入力が行われた場合には、簡易操作モード設定をオフにする。そして、ステップS302に移る。
【0100】
ステップS302では、座標変換として拡大や縮小を行う場合の変換量(以下、拡大縮小量)Z1の設定を行うための設定画面を車両用タッチパネル部24に表示させ、車両用タッチパネル部24を介してユーザから行われる入力に応じて、拡大縮小量Z1の設定を行う。そして、ステップS303に移る。例えば、拡大縮小量Z1は0.1〜1.0までの値を設定可能であるものとする。
【0101】
ステップS302では、座標変換として平行移動を行う場合の変換量(以下、移動量)M1の設定を行うための設定画面を車両用タッチパネル部24に表示させ、車両用タッチパネル部24を介してユーザから行われる入力に応じて、移動量M1の設定を行う。そして、フローを終了する。例えば、移動量M1は0.1〜1.0までの値を設定可能であるものとする。よって、車両側制御部25が請求項の設定手段に相当する。
【0102】
なお、本実施形態では、簡易操作モード設定、拡大縮小量Z1の設定、移動量M1の設定の順に処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らず、これ以外の順番で処理を行う構成としてもよい。さらに、座標変換として回転を行う場合の変換量(以下、回転量)の設定を行うための設定画面を車両用タッチパネル部24に表示させ、車両用タッチパネル部24を介してユーザから行われる入力に応じて、回転量の設定も行う構成としてもよい。
【0103】
また、変換後座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標の特定は、操作対象位置の特定と同様にして、携帯由来画面データのサイズを変換して車両側生成画像を生成したときの変換と逆の変換を行うことで特定する構成とすればよい。つまり、前述の換算係数α、β、γを用いて、車両用タッチパネル部24の画面上の変換後座標を携帯タッチパネル部14の画面上の座標位置に換算することで操作対象位置を特定すればよい。詳しくは、変換後座標が(ma4,mb4)であった場合には、座標((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)に換算する。
【0104】
例えば2箇所の操作位置の両方についてスライド操作を検知していた場合には、各スライド操作の終点の座標に対応する擬似操作情報が送信される。また、2箇所の操作位置の一方のみについてスライド操作を検知していた場合には、スライド操作の終点の座標に対応する擬似操作情報だけでなく、固定されている操作位置の座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標の情報も擬似操作情報として送信されるものとする。
【0105】
本実施形態の擬似操作情報は、車両側制御部25で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うためのスライド操作が携帯タッチパネル部14に行われたと仮定した場合の携帯タッチパネル部14でのスライド操作の終点の座標の情報に相当する。従って、擬似操作情報を受信したスマートフォン1の携帯側制御部15では、擬似操作情報が示す座標を終点とするスライド操作が行われたものと判断して、そのスライド操作に応じた座標変換を一定量だけ携帯タッチパネル部14の画面上の画像の表示に行うことになる。そして、一定量だけの座標変換が行われた画面が車両用タッチパネル部24の画面にも反映されることになる。
【0106】
次に、図9を用いて、ターミナルモード使用中における車両用表示装置2およびスマートフォン1での画面上の画像の表示の座標変換の処理の流れの一例についての説明を行う。図9は、ターミナルモード使用中における車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。図9のフローは、スマートフォン1から送信された携帯由来画面データの入力を、車両側通信部21を介して受け付け、この携帯由来画面データが示す画面を車両側表示部22に表示させたときに開始されるものとする。
【0107】
まず、ステップS1では、前述のステップS101と同様にして、車両用タッチパネル部24の画面に対するタッチ操作の検知を行うとともに、タッチ操作の操作位置の数の検知を行う。そして、当該タッチ操作を検知した場合(ステップS1でYES)には、ステップS2に移る。また、当該タッチ操作を検知しなかった場合(ステップS1でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0108】
ステップS2では、前述のステップS102と同様にして、タッチ操作の操作位置がスマホ表示エリア内であるか否かを判定する。そして、スマホ表示エリア内であると判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、スマホ表示エリア内でないと判定した場合(ステップS2でNO)には、ステップS18に移る。ステップS3では、前述のステップS103と同様にして、換算係数α、β、γを用いて座標(ma,mb)を座標((ma−β)/α,(mb−γ)/α)に換算することで操作対象位置を特定する。そして、ステップS4に移る。
【0109】
ステップS4では、ステップS104と同様にして、操作対象位置として特定した座標の情報を車両側通信部21からスマートフォン1に送信する。そして、ステップS5に移る。ステップS4では、タッチ操作の操作位置を1箇所だけ検知していた場合には、その1箇所に対応する位置情報を送信し、タッチ操作の操作位置を2箇所検知していた場合には、その2箇所に対応する位置情報をそれぞれ送信することになる。
【0110】
ステップS5では、前述のステップS105と同様にして、タッチ操作が終了した(つまり、タッチオフ)か否かを判定する。そして、タッチオフと判定した場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に移る。また、タッチオフでないと判定した場合(ステップS5でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0111】
ステップS6では、マルチタッチか否かを判定する。詳しくは、ステップS1で検知したタッチ操作の操作位置の数が複数であった場合には、マルチタッチと判定する。一方、ステップS1で検知したタッチ操作の操作位置の数が1箇所であった場合には、シングルタッチと判定する。
【0112】
本実施形態では、一例として、ステップS1で検知したタッチ操作の操作位置の数が2箇所であった場合にマルチタッチと判定するものとして以降の説明を続ける。そして、マルチタッチであると判定した場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。また、シングルタッチであると判定した場合(ステップS6でNO)には、ステップS12に移る。
【0113】
ステップS7では、ステップS1で検知したタッチ操作後にタッチ操作が終了されることなく継続したスライド操作の検知を行う。そして、当該スライド操作を検知した場合(ステップS7でYES)には、ステップS8に移る。また、当該スライド操作を検知しなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS3に戻って操作位置についての操作対象位置を特定し、フローを繰り返す。
【0114】
ステップS8では、拡大縮小時座標点算出処理を行って、ステップS9に移る。拡大縮小時座標点算出処理では、検知したスライド操作のスライド方向をまず決定する。スライド方向は、ステップS1で検知した各タッチ操作の操作位置(以下、初期ポイント)の座標と、各タッチ操作に続くスライド操作によって変化した操作位置の座標とから決定する構成とすればよい。スライド操作によって変化した操作位置の座標は、タッチ操作の操作位置により近い座標を選択して用いる構成とすればよい。
【0115】
なお、スライド操作によって変化した操作位置の座標は、タッチオフ直前の操作位置の座標ではなく、初期ポイントからスライド操作によって最初に変化した操作位置の座標を用いるものとする。以降についても同様とする。
【0116】
続いて、拡大縮小時座標点算出処理では、決定したスライド方向をもとに、2箇所の初期ポイントからお互いに離れる方向にそれぞれスライド操作が行われたと判定した場合に、拡大時用の処理を行う。なお、2箇所の初期ポイントからお互いに離れる方向にそれぞれスライド操作が行われたことは、例えば2箇所の初期ポイント間の距離よりもスライド操作によって変化した2種類の操作位置間の距離の方が大きいことから判定する構成とすればよい。以下では図10(a)および図10(b)を用いて、拡大時用の処理についての説明を行う。
【0117】
図10(a)は、拡大時用のスライド操作が行われた場合について説明するための模式図である。なお、図中の破線の四角で示した領域がスマホ表示エリアを表しており、図中の矢印が実際のスライド操作のスライド方向を示している。また、図中のC、Dが初期ポイントを表しており、E、Fがスライド操作によって変化した操作位置を表している。なお、図中に示した初期ポイント等の座標点は、説明のために便宜的に示すものであって、実際には表示されない。図10(a)に示すように、2箇所の初期ポイント(図10(a)のC、D参照)からお互いに離れる方向にそれぞれスライド操作が行われたと判定した場合に、拡大時用の処理を行う。
【0118】
まず、拡大時用の処理では、初期ポイントからスマホ表示エリアの端部までの距離(以下、表示エリア端距離)を算出する。詳しくは、決定したスライド方向に向けて、初期ポイントの座標からスマホ表示エリアの端部まで直線を引いた場合の当該直線の距離を算出する。2箇所のマルチタッチの場合には、2箇所の初期ポイントのそれぞれについて、表示エリア端距離を算出する。
【0119】
そして、算出した表示エリア端距離のうちの長い方の距離に対して、予め設定しておいた拡大縮小量Z1を乗算し、簡易操作モードにおける変換量を算出する。例えば、Z1=0.5の場合には、表示エリア端距離に0.5を乗算することで変換量を算出する。
【0120】
変換量を算出した後は、算出した変換量と決定したスライド方向と初期ポイントの座標とから、簡易入力用の終点座標(つまり、前述の変換後座標)を算出する。ここで、簡易入力用の終点座標の算出について図10(b)を用いて説明を行う。図10(b)は、簡易入力用の終点座標の算出についての説明を行うための模式図である。なお、図中の破線の四角で示した領域がスマホ表示エリアを表しており、図中の矢印が表示エリア端距離を表している。また、初期ポイントはCstart、Dstartの2箇所であり、Cstartについての表示エリア端距離の方がDstartについての表示エリア端距離よりも長いものとする。
【0121】
Cstartについての表示エリア端距離の方が、Dstartについての表示エリア端距離よりも長いので、Cstartについての表示エリア端距離にZ1(例えば0.5とする)を乗算した値を変換量として算出する。そして、Cstartについて決定したスライド方向に向けて、Cstartの座標から上記変換量にあたる距離だけ直線を延ばした位置の座標を算出することで、Cstartについての簡易入力用の終点座標(Cendとする)を算出する。また、Dstartについて決定したスライド方向に向けて、Dstartの座標から上記変換量にあたる距離だけ直線を延ばした位置の座標を算出することで、Dstartについての簡易入力用の終点座標(Dendとする)を算出する。
【0122】
また、拡大縮小時座標点算出処理では、決定したスライド方向をもとに、2箇所の初期ポイントからお互いに近付く方向にそれぞれスライド操作が行われたと判定した場合には、縮小時用の処理を行う。以下では縮小時用の処理についての説明を行う。なお、2箇所の初期ポイントからお互いに近付く方向にそれぞれスライド操作が行われたことは、例えば2箇所の初期ポイント間の距離よりもスライド操作によって変化した2種類の操作位置間の距離の方が小さいことから判定する構成とすればよい。以下では図11(a)および図11(b)を用いて、縮小時用の処理についての説明を行う。
【0123】
図11(a)は、縮小時用のスライド操作が行われた場合について説明するための模式図である。なお、図中の破線の四角で示した領域がスマホ表示エリアを表しており、図中の矢印が実際のスライド操作のスライド方向を示している。また、図中のC、Dが初期ポイントを表しており、E、Fがスライド操作によって変化した操作位置を表している。なお、図中に示した初期ポイント等の座標点は、説明のために便宜的に示すものであって、実際には表示されない。図11(a)に示すように、2箇所の初期ポイント(図11(a)のC、D参照)からお互いに近付く方向にそれぞれスライド操作が行われたと判定した場合に、縮小時用の処理を行う。
【0124】
まず、縮小時用の処理では、2箇所の初期ポイントの座標をもとに両初期ポイント間の距離(以下、初期ポイント間距離)を算出する。そして、算出した初期ポイント間距離の半分の距離に対して、予め設定しておいた拡大縮小量Z1を乗算し、簡易操作モードにおける変換量を算出する。例えば、Z1=0.5の場合には、初期ポイント間距離の半分量に0.5を乗算することで変換量を算出する。
【0125】
変換量を算出した後は、算出した変換量と決定したスライド方向と初期ポイントの座標とから、簡易入力用の終点座標(つまり、前述の変換後座標)を算出する。ここで、簡易入力用の終点座標の算出について図11(b)を用いて説明を行う。図11(b)は、簡易入力用の終点座標の算出についての説明を行うための模式図である。なお、図中の破線の四角で示した領域がスマホ表示エリアを表しており、図中の矢印が初期ポイント間距離を表している。また、初期ポイントはCstart、Dstartの2箇所であるものとする。
【0126】
CstartおよびDstartのいずれについても、初期ポイント間距離にZ1(例えば0.5とする)を乗算した値が変換量として算出される。そして、Cstartについての決定したスライド方向に向けて、Cstartの座標から上記変換量にあたる距離だけ直線を延ばした位置の座標を算出することで、Cstartについての簡易入力用の終点座標(Cendとする)を算出する。また、Dstartについての決定したスライド方向に向けて、Dstartの座標から上記変換量にあたる距離だけ直線を延ばした位置の座標を算出することで、Dstartについての簡易入力用の終点座標(Dendとする)を算出する。
【0127】
図9に戻って、ステップS9では、拡大縮小時操作対象位置特定処理を行って、ステップS10に移る。拡大縮小時操作対象位置特定処理では、まず初期ポイントから簡易入力用の終点座標までの擬似スライドデータを生成する。ここで言うところの擬似スライドデータとは、初期ポイントと簡易入力用の終点座標とを結ぶ線上に挿入される仮想的な操作位置(以下、仮想変化座標点)の座標である。擬似スライドデータは、例えば初期ポイントと仮想変化座標点と簡易入力用の終点座標とが等間隔に並ぶように生成する。
【0128】
擬似スライドデータは、仮想変化座標点がスマホ表示エリアを越えることになる場合には生成しないものとする。また、仮想変化座標点がスマホ表示エリアを越えることになる場合には、例えば初期ポイントと簡易入力用の終点座標とを結ぶ線がスマホ表示エリアの端部に交わる点の座標を新たな簡易入力用の終点座標に決定し直す構成としてもよい。
【0129】
なお、擬似スライドデータの数は、拡大縮小量Z1の値が大きいほど多い数に決定される構成とすればよい。他にも、例えば初期ポイントから簡易入力用の終点座標まで距離が大きくなるほど多い数に決定される構成としてもよいし、予め設定された固定数に決定される構成としてもよい。本実施形態では、擬似スライドデータは各初期ポイントに対して2つずつであるものとして以降の説明を続ける。
【0130】
続いて、拡大縮小時操作対象位置特定処理では、初期ポイント、擬似スライドデータ、および簡易入力用の終点座標について、操作対象位置(つまり、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標に対応する携帯タッチパネル部14の画面上の座標)を特定する。詳しくは、前述の初期設定で算出した換算係数α、β、γを用いて、初期ポイント、擬似スライドデータ、および簡易入力用の終点座標を換算することで特定する。
【0131】
ここで、図10(c)および図11(c)を用いて、拡大時用の処理と縮小時用の処理とのそれぞれにおける操作対象位置の特定についての説明を行う。まず、図10(c)を用いて、拡大時用の処理における操作対象位置の特定について説明を行う。図10(c)は、拡大時用の処理における操作対象位置の特定について説明を行うための模式図である。
【0132】
なお、図10(c)中のC1、D1が初期ポイント(つまり、前述のCstart、Dstartに該当)を表しており、C4、D4が簡易入力用の終点座標(つまり、前述のCend、Dendに該当)を表している。また、C2、C3、D2、D3が仮想変化座標点を表している。さらに、C1については、スライド方向(図中の破線で示す矢印参照)にC1、C2、C3、C4の順に並んでおり、D1については、スライド方向(図中の破線で示す矢印参照)にD1、D2、D3、D4の順に並んでいるものとする。
【0133】
またC1の座標が(ma1,mb1)、以下、C2(ma2,mb2)、C3(ma3,mb3)、C4(ma4,mb4)、D1(ma5,mb5)、D2(ma6,mb6)、D3(ma7,mb7)、D4(ma8,mb8)であるとして説明を行う。
【0134】
この場合、C1〜C4の操作対象位置は、前述したように換算係数α、β、γを用いて換算を行うことで、((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)、((ma2−β)/α,(mb2−γ)/α)、((ma3−β)/α,(mb3−γ)/α)、((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と特定される。また、D1〜D4の操作対象位置は、((ma5−β)/α,(mb5−γ)/α)、((ma6−β)/α,(mb6−γ)/α)、((ma7−β)/α,(mb7−γ)/α)、((ma8−β)/α,(mb8−γ)/α)と特定される。
【0135】
続いて、図11(c)を用いて、縮小時用の処理における操作対象位置の特定について説明を行う。図11(c)は、縮小時用の処理における操作対象位置の特定について説明を行うための模式図である。なお、図11(c)中のC4、D4が初期ポイント(つまり、前述のCstart、Dstartに該当)を表しており、C1、D1が簡易入力用の終点座標(つまり、前述のCend、Dendに該当)を表している。また、C3、C2、D3、D2が仮想変化座標点を表している。さらに、C4については、スライド方向(図中の破線で示す矢印参照)にC4、C3、C2、C1の順に並んでおり、D4については、スライド方向(図中の破線で示す矢印参照)にD4、D3、D2、D1の順に並んでいるものとする。
【0136】
またC4の座標が(ma4,mb4)、以下、C3(ma3,mb3)、C2(ma2,mb2)、C1(ma1,mb1)、D4(ma8,mb8)、D3(ma7,mb7)、D2(ma6,mb6)、D1(ma5,mb5)であるとして説明を行う。
【0137】
この場合、C4〜C1の操作対象位置は、前述したように換算係数α、β、γを用いて換算を行うことで、((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)、((ma3−β)/α,(mb3−γ)/α)、((ma2−β)/α,(mb2−γ)/α)、((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)と特定される。また、D4〜D1の操作対象位置は、((ma8−β)/α,(mb8−γ)/α)、((ma7−β)/α,(mb7−γ)/α)、((ma6−β)/α,(mb6−γ)/α)、((ma5−β)/α,(mb5−γ)/α)と特定される。
【0138】
図9に戻って、ステップS10では、拡大縮小時操作対象位置特定処理で特定した座標を擬似操作情報として、車両側通信部21からスマートフォン1に送信し、ステップS11に移る。詳しくは、初期ポイントについての擬似操作情報、仮想変化座標点についての擬似操作情報、簡易入力用の終点座標についての擬似操作情報の順に所定の時間間隔をおいて逐次送信する。ここで言うところの所定の時間間隔とは、任意に設定可能な時間間隔であって、例えばスマートフォン1での表示や反応速度の自然さと処理能力とを考慮して予め設定される構成とすればよい。時間間隔は、例えば100msや15fps(Frames Per Second)とすればよい。
【0139】
なお、初期ポイントについての操作対象位置が請求項の操作開始点に相当し、仮想変化座標点についての擬似操作情報が請求項の操作中間点の座標に相当し、簡易入力用の終点座標についての擬似操作情報が請求項の操作終点の座標に相当する。
【0140】
前述した拡大時用の処理における例では、C1についての擬似操作情報である((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)と、D1についての擬似操作情報である((ma5−β)/α,(mb5−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とを最初にスマートフォン1に送信する。続いて、所定の時間間隔をおいて、C2についての擬似操作情報である((ma2−β)/α,(mb2−γ)/α)と、D2についての擬似操作情報である((ma6−β)/α,(mb6−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。
【0141】
さらに、所定の時間間隔をおいて、C3についての擬似操作情報である((ma3−β)/α,(mb3−γ)/α)と、D3についての擬似操作情報である((ma7−β)/α,(mb7−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。そして最後に、所定の時間間隔をおいて、C4についての擬似操作情報である((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と、D4についての擬似操作情報である((ma8−β)/α,(mb8−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。
【0142】
一方、前述した縮小時用の処理における例では、C4についての擬似操作情報である((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と、D4についての擬似操作情報である((ma8−β)/α,(mb8−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とを最初にスマートフォン1に送信する。続いて、所定の時間間隔をおいて、C3についての擬似操作情報である((ma3−β)/α,(mb3−γ)/α)と、D3についての擬似操作情報である((ma7−β)/α,(mb7−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。
【0143】
さらに、所定の時間間隔をおいて、C2についての擬似操作情報である((ma2−β)/α,(mb2−γ)/α)と、D2についての擬似操作情報である((ma6−β)/α,(mb6−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。そして最後に、所定の時間間隔をおいて、C1についての擬似操作情報である((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)と、D1についての擬似操作情報である((ma5−β)/α,(mb5−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。
【0144】
ステップS11では、オフ信号を車両側通信部21からスマートフォン1に送信してステップS1に戻り、フローを繰り返す。詳しくは、前述した拡大時用の処理における例では、C4についての擬似操作情報である((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と、D4についての擬似操作情報である((ma8−β)/α,(mb8−γ)/α)と、タッチ操作が終了したことを示すオフ信号とをスマートフォン1に送信する。一方、前述した縮小時用の処理における例では、C1についての擬似操作情報である((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)と、D1についての擬似操作情報である((ma5−β)/α,(mb5−γ)/α)と、タッチ操作が終了したことを示すオフ信号とをスマートフォン1に送信する。
【0145】
ステップS12では、ステップS1で検知したタッチ操作に継続したスライド操作の検知を行う。そして、当該スライド操作を検知した場合(ステップS12でYES)には、ステップS13に移る。また、当該スライド操作を検知しなかった場合(ステップS12でNO)には、ステップS3に戻って操作位置についての操作対象位置を特定し、フローを繰り返す。
【0146】
ステップS14では、平行移動時座標点算出処理を行って、ステップS15に移る。平行移動時座標点算出処理では、拡大縮小時座標点算出処理の場合と同様にして、検知したスライド操作のスライド方向を決定する。また、平行移動時座標点算出処理では、初期ポイントからスマホ表示エリアの端部までの距離(つまり、表示エリア端距離)を算出する。詳しくは、決定したスライド方向に向けて、初期ポイントの座標からスマホ表示エリアの端部まで直線を引いた場合の当該直線の距離を算出する。そして、算出した表示エリア端距離に対して、予め設定しておいた平行移動量M1を乗算し、簡易操作モードにおける変換量を算出する。例えば、M1=0.5の場合には、表示エリア端距離に0.5を乗算することで変換量を算出する。
【0147】
変換量を算出した後は、前述した拡大時用の処理の場合と同様にして、算出した変換量と決定したスライド方向と初期ポイントの座標とから、簡易入力用の終点座標(つまり、前述の変換後座標)を算出する。
【0148】
なお、スライド操作によって変化した操作位置の座標は、タッチオフ直前の操作位置の座標ではなく、初期ポイントからスライド操作によって最初に変化した操作位置の座標を用いるものとする。以降についても同様とする。
【0149】
ステップS15では、平行移動時操作対象位置特定処理を行って、ステップS16に移る。平行移動時操作対象位置特定処理では、平行移動時操作対象位置特定処理の場合と同様にして、初期ポイントから簡易入力用の終点座標までの擬似スライドデータを生成する。なお、擬似スライドデータの数は、平行移動量M1の値が大きいほど多い数に決定される構成とすればよい。他にも、例えば初期ポイントから簡易入力用の終点座標まで距離が大きくなるほど多い数に決定される構成としてもよいし、予め設定された固定数に決定される構成としてもよい。
【0150】
続いて、平行移動時操作対象位置特定処理では、平行移動時操作対象位置特定処理の場合と同様にして、初期ポイント、擬似スライドデータ、および簡易入力用の終点座標について、操作対象位置(つまり、車両用タッチパネル部24の画面上の操作位置の座標に対応する携帯タッチパネル部14の画面上の座標)を特定する。詳しくは、前述の初期設定で算出した換算係数α、β、γを用いて、初期ポイント、擬似スライドデータ、および簡易入力用の終点座標を換算することで特定する。
【0151】
例えば、C1が初期ポイント、C2、C3が仮想変化座標点、C4が簡易入力用の終点座標であって、各座標がC1(ma1,mb1)、C2(ma2,mb2)、C3(ma3,mb3)、C4(ma4,mb4)であるとした場合には、以下のように特定される。C1については((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)、C2については((ma2−β)/α,(mb2−γ)/α)、C3については((ma3−β)/α,(mb3−γ)/α)、C4については((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と特定される。
【0152】
ステップS16では、平行移動時操作対象位置特定処理で特定した座標を擬似操作情報として、車両側通信部21からスマートフォン1に送信し、ステップS17に移る。詳しくは、初期ポイントについての擬似操作情報、仮想変化座標点についての擬似操作情報、簡易入力用の終点座標についての擬似操作情報の順に所定の時間間隔をおいて逐次送信する。ここで言うところの所定の時間間隔とは、任意に設定可能な時間間隔であって、例えばスマートフォン1での表示や反応速度の自然さと処理能力とを考慮して予め設定される構成とすればよい。
【0153】
例えば上述した例では、C1についての擬似操作情報である((ma1−β)/α,(mb1−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とを最初にスマートフォン1に送信する。続いて、所定の時間間隔をおいて、C2についての擬似操作情報である((ma2−β)/α,(mb2−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。さらに、所定の時間間隔をおいて、C3についての擬似操作情報である((ma3−β)/α,(mb3−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。そして最後に、所定の時間間隔をおいて、C4についての擬似操作情報である((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と、タッチ操作が継続されていることを示すオン信号とをスマートフォン1に送信する。
【0154】
ステップS17では、オフ信号を車両側通信部21からスマートフォン1に送信してステップS1に戻り、フローを繰り返す。詳しくは、上述した例では、C4についての擬似操作情報である((ma4−β)/α,(mb4−γ)/α)と、タッチ操作が終了したことを示すオフ信号とをスマートフォン1に送信する。また、ステップS18では、前述のスマホ表示エリア外処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0155】
なお、図9のフローでは、表示の座標変換として拡大縮小や平行移動を行う場合についての説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、表示の回転を行う場合についても同様にして行う構成としてもよい。例えば、表示の回転を行う場合には、2箇所のタッチ操作を検知し、一方のみのスライド操作を検知した場合に表示の回転を行うための処理を行うものとすればよい。この場合、固定されているタッチ操作位置(以下固定点)を中心にしてスライド操作の初期ポイントを予め設定された設定量(例えば角度)だけ回転させた位置の座標を、簡易入力用の終点座標とすればよい。そして、初期ポイントから簡易入力用の終点座標までの擬似スライドデータを生成する構成とすればよい。この場合の擬似スライドデータとしては、固定点を中心とした弧によって初期ポイントと簡易入力用の終点座標とを結んだ曲線上に挿入される仮想的な操作位置の座標を用いる構成とすればよい。
【0156】
また、図9のフローに示したようにして送信される擬似操作情報をスマートフォン1で受信した場合、スマートフォン1の携帯側制御部15では、擬似操作情報に従って、携帯タッチパネル部14に表示中の画面上のどの位置に対して操作が行われたかを判断し、操作が行われた位置に応じた処理を実行する。詳しくは、上述のオン信号とともに送信されてきた擬似操作情報については、擬似操作情報が示す座標がタッチ操作されているとして処理を行い、上述のオフ信号とともに送信されてきた擬似操作情報については、擬似操作情報が示す座標においてタッチオフされたとして処理を行う。
【0157】
これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14に対して操作が行われているのと同様にして、擬似操作情報をもとに拡大縮小や平行移動等の表示の座標変換を行うことが可能になる。また、本実施形態によれば、初期ポイントや簡易入力用の終点座標だけでなく、擬似スライドデータについての擬似操作情報もスマートフォン1で受信される。よって、スマートフォン1では、初期ポイントや簡易入力用の終点座標に対応する位置がタッチ操作されたとして処理を行うだけでなく、初期ポイントから簡易入力用の終点座標までの間の点でもタッチ操作がされたとして処理を行うことが可能になる。従って、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14に対してスライド操作が行われているかのように、表示の滑らかな拡大縮小や平行移動を行うことが可能になる。
【0158】
以上、ターミナルモード使用中における車両用表示装置2およびスマートフォン1での画面上の画像の表示の座標変換の処理の流れの一例について説明を行ったが、次のような処理としてもよい。以下では、ターミナルモード使用中における車両用表示装置2およびスマートフォン1での画面上の画像の表示の座標変換の処理の流れの他の例について、図12および図13を用いて説明を行う。まず、図12を用いて、ターミナルモード使用中における車両用表示装置2での処理の流れの一例についての説明を行う。図12は、ターミナルモード使用中における車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。図12のフローは、スマートフォン1から送信された携帯由来画面データの入力を、車両側通信部21を介して受け付け、この携帯由来画面データが示す画面を車両側表示部22に表示させたときに開始されるものとする。
【0159】
まず、ステップS21では、車両用タッチパネル部24に表示中の画面に対するタッチ操作の検知を行うとともに、タッチ操作の操作位置の数の検知を行う。そして、当該タッチ操作を検知した場合(ステップS21でYES)には、ステップS22に移る。また、当該タッチ操作を検知しなかった場合(ステップS21でNO)には、ステップS21に戻ってフローを繰り返す。
【0160】
ステップS22では、検知したタッチ操作の操作位置の座標に対応する前述の操作対象位置を特定し、ステップS23に移る。操作対象位置は、タッチ操作の操作位置の座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標である。
【0161】
ステップS23では、ステップS22で操作対象位置として特定した座標の情報(つまり、前述の位置情報)を車両側通信部21からスマートフォン1に送信させ、ステップS24に移る。ステップS23では、タッチ操作の操作位置を1箇所だけ検知していた場合には、その1箇所に対応する位置情報を送信し、タッチ操作の操作位置を2箇所検知していた場合には、その2箇所に対応する位置情報をそれぞれ送信することになる。
【0162】
ステップS24では、ステップS21で検知したタッチ操作に継続したスライド操作の検知を行う。そして、当該スライド操作を検知した場合(ステップS24でYES)には、ステップS25に移る。タッチ操作の操作位置を2箇所検知していた場合には、2箇所の操作位置のいずれかについてスライド操作を検知した場合に、ステップS25に移るものとする。また、当該スライド操作を検知しなかった場合(ステップS24でNO)には、フローを終了する。
【0163】
ステップS25では、スライド操作の終点の検知を行う。そして、スライド操作の終点を検知した場合(ステップS25でYES)には、ステップS26に移る。また、スライド操作の終点を検知しなかった場合(ステップS25でNO)には、ステップS25のフローを繰り返す。2箇所の操作位置についてのスライド操作をそれぞれ検知していた場合には、それぞれのスライド操作の終点の検知を行うまでは、ステップS25のフローを繰り返すものとする。
【0164】
ステップS26では、操作位置の数およびスライド操作の始点・終点の座標をもとに、座標変換の種類および方向を決定し、ステップS27に移る。車両側制御部25では、座標変換の種類および方向の決定を例えば以下のようにして行うものとする。
【0165】
まず、操作位置の数を1箇所だけ検知していた場合には、座標変換の種類を平行移動と決定し、スライド操作の始点に対するスライド操作の終点の位置する方向をその平行移動の方向と決定する。
【0166】
続いて、操作位置の数を2箇所検知していた場合であって、且つ、その2箇所の操作位置の両方についてスライド操作を検知した場合には、座標変換の種類をスケール変換と決定する。そして、各スライド操作の始点間の距離に対する終点間の距離の比率が1よりも大きい場合にはスケール変換の方向を拡大と決定し、比率が1よりも小さい場合にはスケール変換の方向を縮小と決定する。
【0167】
また、操作位置の数を2箇所検知していた場合であって、且つ、その2箇所の操作位置の一方のみについてスライド操作を検知した場合には、座標変換の種類を回転と決定する。そして、固定されている操作位置(以下、固定操作位置)とスライド操作の始点とを結ぶ線の角度(以下、変化前角度)に対する固定操作位置とスライド操作の終点とを結ぶ線の角度(以下、変化後角度)の変化に応じて回転方向を決定する。例えば、固定操作位置を通る横軸に対する角度を用いるとした場合には、変化前角度よりも変化後角度が小さくなったときに回転方向を右回りと決定し、変化前角度よりも変化後角度が大きくなったときに回転方向を左回りと決定する。
【0168】
ステップS27では、車両側制御部25で決定した種類および方向に応じた前述の擬似操作情報を生成し、ステップS28に移る。ステップS28では、ステップS27で生成した擬似操作情報を車両側通信部21からスマートフォン1に送信させ、フローを終了する。
【0169】
前述したように、2箇所の操作位置の両方についてスライド操作を検知していた場合には、各スライド操作の終点の座標に対応する擬似操作情報が送信される。また、2箇所の操作位置の一方のみについてスライド操作を検知していた場合には、スライド操作の終点の座標に対応する擬似操作情報だけでなく、固定されている操作位置の座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標の情報も送信される。
【0170】
なお、図12のフローにおいても、図9のフローと同様に、初期ポイント、スライド操作の終点の座標(つまり、簡易入力用の終点座標)、擬似スライドデータについての操作対象位置を特定し、特定した操作対象位置を擬似操作情報としスマートフォン1に送信する構成としてもよい。
【0171】
続いて、図13を用いて、ターミナルモード使用中におけるスマートフォン1での、車両用表示装置2から送信されてくる情報に応じた、画面上の画像の表示の座標変換に関する処理の流れについての説明を行う。図13は、ターミナルモード使用中における携帯側制御部15でのフローの一例を示すフローチャートである。図13のフローは、携帯タッチパネル部14に表示させるために生成した画面データや表示領域情報を車両用表示装置2に送信したときに開始され、ターミナルモードの使用が終了したときに終了されるものとする。
【0172】
まず、ステップS31では、車両用表示装置2から送信される位置情報を受信したか否かを判定する。車両用表示装置2から送信される位置情報を受信したか否かは、携帯側通信部11から位置情報の入力が行われたか否かに応じて判定する構成とすればよい。そして、位置情報を受信したと判定した場合(ステップS31でYES)には、ステップS32に移る。また、位置情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS31でNO)には、ステップS31のフローを繰り返す。
【0173】
ステップS32では、車両用表示装置2から送信される擬似操作情報を受信したか否かを判定する。車両用表示装置2から送信される擬似操作情報を受信したか否かは、携帯側通信部11から擬似操作情報の入力が行われたか否かに応じて判定する構成とすればよい。そして、擬似操作情報を受信したと判定した場合(ステップS32でYES)には、ステップS33に移る。また、擬似操作情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS32でNO)には、ステップS34に移る。
【0174】
ステップS33では、スライド操作時処理を実行し、ステップS31に戻ってフローを繰り返す。スライド操作時処理では、車両用表示装置2から受信した位置情報と擬似操作情報とに従って、携帯タッチパネル部14の画面上に表示させる画像に平行移動やスケール変換や回転といった座標変換を行う。
【0175】
ここで、スライド操作時処理の詳細について説明を行う。スライド操作時処理では、車両用表示装置2から受信した位置情報が示す座標を始点の座標として用いるとともに、車両用表示装置2から受信した擬似操作情報が示す座標を終点の座標として用いる。また、スライド操作時処理では、位置情報が示す座標の数から操作位置の数を検知し、位置情報が示す座標と擬似操作情報が示す座標とからスライド操作を検知する。操作位置の数およびスライド操作の検知については、携帯タッチパネル部14にタッチ操作が行われた場合の操作位置の数およびスライド操作の検知と同様にして行うものとする。
【0176】
さらに、スライド操作時処理では、検知される操作位置の数や検知されるスライド操作をもとに、前述した座標変換処理と同様にして、携帯タッチパネル部14の画面上に表示させる画像の表示の平行移動やスケール変換や回転といった一定量の座標変換を行う。ここで言うところの一定量の座標変換では、スライド操作の始点の座標については、車両用タッチパネル部24の画面に対する実際の操作位置に対応する位置の座標を用いる一方、スライド操作の終点の座標については、車両用タッチパネル部24の画面に対する実際の操作位置に対応する位置の座標から変更した座標(始点から一定量の座標変換を行った位置の座標)を用いる。つまり、操作の始点の座標は変更せず、操作の終点の座標について、座標を変更することを指している。また、スライド操作時処理では、画像の表示に座標変換を行った後、当該座標変換後の画面を表示させるための画面データを携帯側通信部11から車両用表示装置2へ送信させる。
【0177】
ステップS34では、ステップS11で位置情報を受信したと判断してからの経過時間が所定の時間を越えた(つまり、タイムアウト)か否かを判定する。ここで言うところの所定の時間とは、任意に設定可能な時間であって、例えば数秒とすればよい。また、当該経過時間は、図示しないタイマ回路等によってカウントする構成とすればよい。そして、タイムアウトと判定した場合(ステップS34でYES)には、ステップS35に移る。また、タイムアウトと判定しなかった場合(ステップS34でNO)には、ステップS32に戻ってフローを繰り返す。
【0178】
ステップS35では、非スライド操作時処理を実行し、ステップS31に戻ってフローを繰り返す。非スライド操作時処理では、車両用表示装置2から受信した位置情報に従って、携帯タッチパネル部14に表示中の画面上のどの位置に対して操作が行われたかを判断し、操作が行われた位置に応じた処理を実行する。例えばボタン表示がされている場合には、そのボタン表示に応じた処理を実行する。非スライド操作時処理では、処理に応じて新たな画面を表示させることになった場合には、その画面を表示させるための画面データを携帯側通信部11から車両用表示装置2へ送信させる。
【0179】
また、前述の実施形態では、画面上の画像の表示の座標変換を行う構成を示したが、画面上のオブジェクトの表示の座標変換を行う場合も同様にして行う構成とすればよい。
【0180】
以上の構成によれば、擬似操作情報を受信したスマートフォン1では、この擬似操作情報を受信するごとに、携帯タッチパネル部14に表示させる画面上の表示に、車両用タッチパネル部24へのスライド操作に応じて車両側制御部25で決定した種類および方向の座標変換を、当該スライド操作の操作量に関わらず一定量行うことができる。
【0181】
例えば、2箇所の操作位置の両方を離間させる方向にスライド操作(以下、ピンチアウトの操作)を行って画面上の表示の拡大を行わせる場合について、図14(a)〜図14(c)を用いて説明を行う。図14(a)は、車両用タッチパネル部24に操作量の比較的小さいピンチアウトの操作を行う場合の操作位置の変化を示す模式図である。図14(b)は、車両用タッチパネル部24に操作量の比較的大きいピンチアウトの操作を行う場合の操作位置の変化を示す模式図である。図14(c)は、車両用表示装置2から送信される位置情報および擬似操作情報をもとにスマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化を示す模式図である。図14(a)および図14(b)中の破線の円が車両用表示装置2側で検知される操作位置を示しており、図14(c)中の破線の円がスマートフォン1側で検知される操作位置を示している。なお、図14(a)および図14(b)のいずれの例でも始点となる操作位置は同じであるものとする。
【0182】
本実施形態の構成によれば、車両用タッチパネル部24に操作量の比較的小さいピンチアウトの操作を行った場合(図14(a)参照)であっても、操作量の比較的大きいピンチアウトの操作を行った場合(図14(b)参照)であっても、車両用表示装置2からは同じ擬似操作情報が送信されるので、スマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化はピンチアウトの操作の操作量に関わらず一定となる(図14(c)参照)。従って、画像の拡大率はピンチアウトの操作量に関わらず固定倍率となる。このように、本実施形態の構成では、スライド操作の操作量に関わらず一定量の座標変換が行われることになる。
【0183】
また、車両用表示装置2では、ターミナルモード使用中においては、スマートフォン1の画面を車両用タッチパネル部24に表示するので、車両用タッチパネル部24にスライド操作を1回行うごとに、当該スライド操作に応じて決定される種類および方向の座標変換を当該スライド操作の操作量に関わらずに一定量行うことができることになる。
【0184】
スライド操作の操作量に関わらず座標変換の量は一定となるので、ユーザは1回ごとのスライド操作の操作量を調整することなしに、スライド操作の回数の調整だけで、目的とする量の座標変換を行うことができる。スライド操作の操作量を調整するためには車両用タッチパネル部24の画面をユーザが注視する必要があるのに対し、スライド操作の回数の調整については当該画面をユーザが注視する必要がない。従って、以上の構成によれば、スマートフォン1と車両用表示装置2とを接続して車両用表示装置2側でスマートフォン1の機能を利用可能とする場合のユーザにとっての使い勝手をより向上させることが可能になる。
【0185】
なお、前述の実施形態では、携帯タッチパネル部14と車両用タッチパネル部24とのいずれもがマルチタッチパネルである構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車両用タッチパネル部24が、画面上の複数の操作位置を同時に検知することができないタッチパネル(以下、シングルタッチパネル)である構成としてもよい。以下では、この次の実施形態(以下、変形例1)について図面を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0186】
車両用タッチパネル部24としてシングルタッチパネルを用いる構成とする場合には、車両用タッチパネル部24に平行移動の方向や拡大や縮小や回転を指定するためのアイコンを表示させ、そのアイコンに対するタッチ操作に応じた擬似操作情報をスマートフォン1に送信することで、平行移動やスケール変換や回転といった座標変換を画像に行うようにする。
【0187】
ここで、図15を用いて、変形例1におけるターミナルモード使用中の車両用表示装置2での処理の流れについての説明を行う。図15は、変形例1におけるターミナルモード使用中の車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。図15のフローは、スマートフォン1から送信された携帯由来画面データの入力を、車両側通信部21を介して受け付け、この携帯由来画面データが示す画面を車両側表示部22に表示させたときに開始されるものとする。
【0188】
まず、ステップS41では、車両用タッチパネル部24に表示中の画面に対するタッチ操作の検知を行う。そして、当該タッチ操作を検知した場合(ステップS41でYES)には、ステップS42に移る。また、当該タッチ操作を検知しなかった場合(ステップS41でNO)には、ステップS41に戻ってフローを繰り返す。
【0189】
ステップS42では、ステップS41で検知したタッチ操作の操作位置の座標に対応する前述の操作対象位置を特定し、ステップS43に移る。操作対象位置は、タッチ操作の操作位置の座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標である。ステップS43では、ステップS42で操作対象位置として特定した座標の情報(つまり、前述の位置情報)を車両側通信部21からスマートフォン1に送信させ、ステップS44に移る。
【0190】
ステップS44では、スマートフォン1から新規の画面データを受信したか否かを判定する。スマートフォン1から送信される新規の画面データを受信したか否かは、車両側通信部21から新規の画面データの入力が行われたか否かに応じて判定する構成とすればよい。そして、新規の画面データを受信したと判定した場合(ステップS44でYES)には、画面上のボタン表示に対してタッチ操作が行われたことによって画面が遷移したものとして、ステップS41に戻ってフローを繰り返す。また、新規の画面データを受信したと判定しなかった場合(ステップS44でNO)には、画面上のボタン表示以外のオブジェクトや画像に対してタッチ操作が行われたものとして、ステップS45に移る。
【0191】
ステップS45では、ステップS41で検知したタッチ操作の操作位置の座標を中心として、画面上の画像の表示の座標変換の種類および方向をユーザが指定するためのアイコン(以下、座標変換指定アイコン)を、車両用タッチパネル部24の画面に重畳表示させ、ステップS46に移る。よって、車両側制御部25が請求項の第1重畳表示手段に相当する。また、この場合のステップS41で検知したタッチ操作が請求項の1回目のタッチ操作に相当する。ここで言うところの1回目のタッチ操作とは、後述する座標変換指定アイコンへのタッチ操作に先行するタッチ操作であって、座標変換指定アイコンが重畳表示されていない状態において、画面上のボタン表示以外のオブジェクトや画像に対して行われるタッチ操作を示している。
【0192】
座標変換指定アイコンは、例えば平行移動の方向や拡大や縮小や回転方向ごとに表示されるものとする。なお、重畳表示した座標変換指定アイコンの下層の表示が見えなくならないように、座標変換指定アイコンは透過表示させることが好ましい。
【0193】
また、各座標変換指定アイコンの中心に対する各座標変換指定アイコンの配置位置と各座標変換指定アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係は予め規定されており、その対応関係(以下、配置位置決定用対応関係)は例えば車両側制御部25のEEPROM等の不揮発性メモリに格納されているものとする。よって、車両側制御部25が請求項の規定記憶手段に相当する。
【0194】
車両側制御部25では、上述の配置位置決定用対応関係をもとに、検知したタッチ操作の操作位置の座標を中心とした場合の各座標変換指定アイコンの配置位置を決定し、各座標変換指定アイコンを表示させる。また、車両側制御部25では、この配置位置決定用対応関係をもとに、決定した各座標変換指定アイコンの配置位置と各座標変換指定アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を求め、この対応関係(以下、選択アイコン特定用対応関係)をRAM等の一時保存メモリに格納する。よって、車両側制御部25が請求項の格納手段に相当する。
【0195】
本実施形態では、座標変換指定アイコンとして、図16に示すように、平行移動の方向を指定する上方向、右上方向、右方向、右下方向、下方向、左下方向、左方向、左上方向の8種類の方向についての座標変換指定アイコンと、拡大および縮小をそれぞれ指定するための2種類の座標変換指定アイコンとを重畳表示させるものとして以降の説明を続ける。なお、図16中の矢印の表示が平行移動の方向を指定する座標変換指定アイコンを示しており、図16中の「+」マークが拡大、「−」マークが縮小を指定する座標変換指定アイコンを示している。
【0196】
図15に戻って、ステップS46では、座標変換指定アイコンへのタッチ操作(つまり、選択)が行われたか否かを判定する。座標変換指定アイコンの選択が行われたか否かは、ステップS41で検知したタッチ操作後の再度の(タッチ操作が終了されることは必須ではない)タッチ操作の操作位置が、前述の選択アイコン特定用対応関係で対応付けられている座標変換指定アイコンの配置位置に相当するか否かに応じて判定する。そして、座標変換指定アイコンの選択が行われたと判定した場合(ステップS46でYES)には、ステップS47に移る。また、座標変換指定アイコンの選択が行われたと判定しなかった場合(ステップS46でNO)には、ステップS52に移る。なお、タッチ操作の操作位置が、座標変換指定アイコンの配置位置の所定範囲内である近傍にある場合も、タッチ操作の操作位置が、座標変換指定アイコンの配置位置に相当すると判定しても良い。この場合、座標変換指定アイコンの表示サイズを大きくすることなく(換言すると、座標変換指定アイコン後方の情報表示を見難くすることなく)、座標変換指定アイコンの選択操作を容易にすることが出来る。
【0197】
ステップS47では、座標変換の種類および方向の決定を行って、ステップS48に移る。座標変換の種類および方向の決定は、タッチ操作の操作位置をもとに、選択アイコン特定用対応関係を参照することで行う。詳しくは、タッチ操作の操作位置に相当する配置位置に対応付けられている座標変換の種類および方向に決定する。
【0198】
一例としては、右方向を指定する座標変換指定アイコンが選択された場合には、座標変換の種類は平行移動と決定され、方向は右方向と決定される。また、拡大を指定する座標変換指定アイコンが選択された場合には、座標変換の種類はスケール変換と決定され、方向は拡大と決定される。さらに、縮小を指定する座標変換指定アイコンが選択された場合には、座標変換の種類はスケール変換と決定され、方向は縮小と決定される。
【0199】
ステップS48では、ステップS47で決定した座標変換の種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うためのスライド操作が携帯タッチパネル部14に行われたと仮定した場合の携帯タッチパネル部14でのスライド操作の始点・終点の座標の情報を生成し、ステップS49に移る。変形例1では、この始点・終点の座標の情報を擬似操作情報と呼ぶものとする。ここで言うところの一定量も、固定値であって任意に設定可能な量である。また、ここで言うところの一定量として、座標変換の種類ごとにそれぞれ異なった固定値が設定されている構成としてもよい。
【0200】
例えば、座標変換の種類が平行移動、且つ、座標変換の方向が右方向と決定された場合には、ステップS41で検知したタッチ操作の操作位置座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標を始点の座標として擬似操作情報を生成する。また、当該始点の座標から右方向に一定量移動した座標を終点の座標として擬似操作情報を生成する。座標変換の方向が右方向以外の場合についても同様にして擬似操作情報を生成するものとする。座標変換の種類が平行移動の場合には、擬似操作情報として始点の座標の情報と終点の座標の情報とをそれぞれ1種類ずつ生成することになる。
【0201】
座標変換の種類がスケール変換、且つ、座標変換の方向が拡大と決定された場合には、ステップS41で検知したタッチ操作の操作位置座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標(以下、基準座標)を中心としてお互いが第1の距離だけ離れた2点の座標を始点の座標として擬似操作情報を生成する。ここで言うところの第1の距離とは、後述する第2の距離より短い距離であって任意に設定可能な値である。また、基準座標を中心としてお互いが第2の距離だけ離れた2点の座標を終点の座標として擬似操作情報を生成する。ここで言うところの第2の距離とは、第1の距離より短い距離であって任意に設定可能な値であり、第1の距離と第2の距離との比率は、固定値となっている。
【0202】
座標変換の種類がスケール変換、且つ、座標変換の方向が縮小と決定された場合には、基準座標を中心としてお互いが第2の距離だけ離れた2点の座標を始点の座標として擬似操作情報を生成する。また、基準座標を中心としてお互いが第1の距離だけ離れた2点の座標を終点の座標として擬似操作情報を生成する。座標変換の種類がスケール変換の場合には、擬似操作情報として始点の座標の情報と終点の座標の情報とをそれぞれ2種類ずつ生成することになる。
【0203】
なお、本実施形態では、詳細な説明を省くが、座標変換の種類が回転と決定された場合には、基準座標を1つの始点の座標とするとともに、基準座標から例えば右方向に所定の距離だけ離れた座標をもう1つの始点の座標として擬似操作情報を生成する。また、基準座標を1つの終点の座標とするとともに、基準座標から例えば右上方向(方向が左回転の場合)もしくは右下方向(方向が右回転の場合)に所定の距離だけ離れた座標をもう1つの終点の座標として擬似操作情報を生成する。
【0204】
ステップS49では、ステップS48で生成した擬似操作情報を車両側通信部21からスマートフォン1に送信させ、ステップS50に移る。ステップS49では、擬似操作情報を送信する場合に、始点の座標の情報を先に送信した後に、所定の時間間隔をおいて終点の座標の情報を送信するものとする。ここで言うところの所定の時間間隔とは、任意に設定可能な時間間隔であって、例えば1秒以下の時間間隔を設定するなどすればよい。
【0205】
また、変形例1においても、前述の実施形態と同様に、始点の座標(つまり、初期ポイント)、終点の座標(つまり、簡易入力用の終点座標)、擬似スライドデータについての操作対象位置を特定し、特定した操作対象位置を擬似操作情報としスマートフォン1に送信する構成としてもよい。この場合には、視点の座標についての擬似操作情報、擬似スライドデータについての擬似操作情報、終点の座標についての擬似操作情報の順番に、所定の時間間隔をおいて送信することになる。なお、所定の時間間隔とは、任意に設定可能な時間間隔であって、例えばスマートフォン1での表示や反応速度の自然さと処理能力とを考慮して予め設定される構成とすればよい。
【0206】
ステップS50では、スマートフォン1から新規の画面データを受信したか否かを判定する。スマートフォン1から送信される新規の画面データを受信したか否かは、車両側通信部21から新規の画面データの入力が行われたか否かに応じて判定する構成とすればよい。そして、新規の画面データを受信したと判定した場合(ステップS50でYES)には、新規の画面データに従った画面を車両用タッチパネル部24の画面に表示させ、ステップS51に移る。また、新規の画面データを受信したと判定しなかった場合(ステップS50でNO)には、ステップS50のフローを繰り返す。
【0207】
ステップS51では、車両用タッチパネル部24に新たに表示された画面に対しても、ステップS45で重畳表示を行ったのと同じ位置に座標変換指定アイコンを重畳表示させ、座標変換指定アイコンの重畳表示を維持する。そして、ステップS46に戻ってフローを繰り返す。
【0208】
ステップS52では、座標変換指定アイコンを車両用タッチパネル部24の画面に表示させてからの経過時間が所定の時間を越えた(つまり、タイムアウト)か否かを判定する。座標変換指定アイコンを車両用タッチパネル部24の画面に表示させてからの経過時間とは、ステップS51で座標変換指定アイコンを重畳表示し直した場合には、重畳表示をし直してからの経過時間となる。ここで言うところの所定の時間とは、任意に設定可能な時間であって、例えば数秒とすればよい。また、当該経過時間は、図示しないタイマ回路等によってカウントする構成とすればよい。そして、タイムアウトと判定した場合(ステップS52でYES)には、フローを終了する。また、タイムアウトと判定しなかった場合(ステップS52でNO)には、ステップS46に戻ってフローを繰り返す。
【0209】
スマートフォン1では、擬似操作情報を受信した場合には、擬似操作情報が示す始点の座標の数から操作位置の数を検知し、当該始点の座標と擬似操作情報が示す終点の座標とからスライド操作を検知する。操作位置の数およびスライド操作の検知については、携帯タッチパネル部14にタッチ操作が行われた場合の操作位置の数およびスライド操作の検知と同様にして行うものとする。そして、スマートフォン1では、検知した操作位置の数およびスライド操作に応じて、前述した座標変換処理と同様にして、携帯タッチパネル部14の画面上に表示させる画像の表示の平行移動やスケール変換や回転といった座標変換を行う。
【0210】
以上の構成によれば、擬似操作情報を受信したスマートフォン1では、この擬似操作情報を受信するごとに、携帯タッチパネル部14に表示させる画面上の表示に、車両用タッチパネル部24の画面に重畳表示させた座標変換指定アイコンの表示位置へのタッチ操作に応じて車両側制御部25で決定した種類および方向の座標変換を一定量行うことができる。
【0211】
ここで、座標変換指定アイコンの表示位置へのタッチ操作を行って携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像の座標変換を行わせる場合について、図16および図17(a)〜図17(c)を用いて説明を行う。図16は、座標変換指定アイコンの一例を示すための模式図である。図17(a)〜図17(c)は、座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合のスマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化を示す模式図である。
【0212】
図17(a)は、右方向への平行移動を指定する座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合の一例である。また、図17(b)は、拡大を指定する座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合の一例であって、図17(c)は、縮小を指定する座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合の一例である。なお、図17(a)〜図17(c)中の破線の円がスマートフォン1側で検知される操作位置を示している。また、図17(a)〜図17(c)中の破線の矢印が画面上の画像の移動方向を示している。
【0213】
なお、拡大縮小といったスケール変換時において、検知される各スライド操作の終点間の中心の座標を画面の中心の座標へ変換するのと同様の変換を画面上の画像の表示に行い、スライド操作の終点間の中心を画面上の中心に平行移動させる処理も行われるものとして以下の説明を行う。
【0214】
変形例1の構成によれば、右方向への平行移動を指定する座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合、スマートフォン1側では、画面の右方向への一定量のスライド操作が検知されることになる(図17(a)参照)。これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像の位置を右方向に移動させることになる。
【0215】
また、拡大を指定する座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合、2箇所の操作位置の両方を離間させる方向への一定量のスライド操作が検知されることになる(図17(b)参照)。これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像を拡大させるとともに、スライド操作の終点間の中心が画面の中心となるように画像を移動させることになる。
【0216】
さらに、縮小を指定する座標変換指定アイコンへのタッチ操作が行われた場合、2箇所の操作位置の両方を接近させる方向への一定量のスライド操作が検知されることになる(図17(c)参照)。これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像を縮小させるとともに、スライド操作の終点間の中心が画面の中心となるように画像を移動させることになる。よって、平行移動の移動量や画像の拡大縮小率は、座標変換指定アイコンへの1回のタッチ操作につき一定値となる。
【0217】
このように、変形例1の構成では、座標変換指定アイコンへの1回のタッチ操作につき一定量の座標変換が行われることになるので、座標変換指定アイコンへのタッチ操作の回数の調整だけで、目的とする量の座標変換を行うことができる。座標変換指定アイコンへのタッチ操作の回数の調整については、車両用タッチパネル部24の画面をユーザが注視しなくても行うことができる。従って、以上の構成によっても、スマートフォン1と車両用表示装置2とを接続して車両用表示装置2側でスマートフォン1の機能を利用可能とする場合のユーザにとっての使い勝手をより向上させることが可能になる。
【0218】
また、以上の構成によれば、スマートフォン1においては画面上の2箇所に対して同時にスライド操作することで可能となる座標変換についても、車両用タッチパネル部24では、座標変換指定アイコンの表示位置の1箇所をタッチ操作することで実行可能とすることができる。従って、車両用タッチパネル部24がシングルタッチパネルであっても、スマートフォン1においては画面上の2箇所に対して同時に操作することで可能となる座標変換を当該車両用タッチパネル部24の操作で実行可能とすることが可能となり、汎用性が向上する。
【0219】
さらに、以上の構成によれば、座標変換指定アイコンの選択を行ってから所定の時間以上の間隔が空かない場合には、座標変換指定アイコンを画面上の同じ位置に重畳表示させ続けることになる。よって、座標変換指定アイコンへのタッチ操作を繰り返すことで目的とする量の座標変換を行う場合に、タッチ操作が行い易くなり、ユーザにとっての使い勝手がさらに向上する。
【0220】
なお、変形例1では、車両用タッチパネル部24の画面上のタッチ操作を検知した位置を中心として座標変換指定アイコンを重畳表示させる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、タッチ操作の操作位置に関わらず、車両用タッチパネル部24の画面上の所定の位置に座標変換指定アイコンを配置させる構成としてもよい。この場合には、前述の配置位置決定用対応関係を用いない構成とすればよい。
【0221】
また、車両用タッチパネル部24としてシングルタッチパネルを用いる構成とする場合には、車両用タッチパネル部24に所定の枠を表示させ、その枠に対するタッチ操作の操作位置の位置関係に応じた擬似操作情報をスマートフォン1に送信することで、平行移動やスケール変換といった座標変換を画像に行う構成としてもよい。以下では、この実施形態(以下、変形例2)について図面を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0222】
ここで、図18を用いて、変形例2におけるターミナルモード使用中の車両用表示装置2での処理の流れについての説明を行う。図18は、変形例2におけるターミナルモード使用中の車両側制御部25での処理のフローの一例を示すフローチャートである。図180のフローは、スマートフォン1から送信された携帯由来画面データの入力を、車両側通信部21を介して受け付け、この携帯由来画面データが示す画面を車両側表示部22に表示させたときに開始されるものとする。
【0223】
まず、ステップS61では、車両用タッチパネル部24に対するタッチ操作の検知を行う。そして、当該タッチ操作を検知した場合(ステップS61でYES)には、ステップS62に移る。また、当該タッチ操作を検知しなかった場合(ステップS61でNO)には、ステップS61に戻ってフローを繰り返す。
【0224】
ステップS62では、検知したタッチ操作の操作位置の座標に対応する前述の操作対象位置を特定し、ステップS63に移る。操作対象位置は、タッチ操作の操作位置の座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標である。ステップS63では、ステップS62で操作対象位置として特定した座標の情報(つまり、前述の位置情報)を車両側通信部21からスマートフォン1に送信させ、ステップS64に移る。
【0225】
ステップS64では、スマートフォン1から新規の画面データを受信したか否かを判定する。そして、新規の画面データを受信したと判定した場合(ステップS64でYES)には、画面上のボタン表示に対してタッチ操作が行われたことによって画面が遷移したものとして、ステップS61に戻ってフローを繰り返す。また、新規の画面データを受信したと判定しなかった場合(ステップS64でNO)には、画面上のボタン表示以外のオブジェクトや画像に対してタッチ操作が行われたものとして、ステップS65に移る。
【0226】
ステップS65では、検知したタッチ操作の操作位置の座標を中心として、所定の枠を車両用タッチパネル部24の画面に重畳表示させ、ステップS66に移る。よって、車両側制御部25が請求項の第2重畳表示手段に相当する。以下では所定の枠を座標変換指定用枠と呼ぶものとする。
【0227】
また、座標変換指定用枠の中心に対する座標変換指定用枠の配置位置(つまり、枠を構成する線の描画位置)は予め規定されており、座標変換指定用枠の中心に対する座標変換指定用枠の配置位置の情報(以下、枠配置位置情報)は、例えば車両側制御部25のEEPROM等の不揮発性メモリに格納されているものとする。車両側制御部25では、この枠配置位置情報をもとに、検知したタッチ操作の操作位置の座標を中心とした場合の座標変換指定用枠の配置位置を決定し、座標変換指定用枠を表示させる。
【0228】
本実施形態では、座標変換指定用枠として、図19に示すように、破線で示される矩形の枠を重畳表示させるものとして以降の説明を続ける。なお、図19中の破線で示す円がタッチ操作の操作位置を示している。なお、座標変換指定用枠は、矩形以外にも円形であっても、他の形状であってもよいが、本実施形態では矩形であるものとして説明を続ける。
【0229】
図18に戻って、ステップS66では、ステップS61で検知したタッチ操作(以下、先行タッチ操作)に続く再度のタッチ操作(以下、後続タッチ操作)が行われたか否かを判定する。そして、後続タッチ操作が行われたと判定した場合(ステップS66でYES)には、ステップS67に移る。また、後続タッチ操作が行われたと判定しなかった場合(ステップS66でNO)には、ステップS72に移る。
【0230】
また、先行タッチ操作は、請求項の1回目のタッチ操作に相当する。ここで言うところの1回目とは、後続タッチ操作に先行するタッチ操作であって、座標変換指定用枠が重畳表示されていない状態において、画面上のボタン表示以外のオブジェクトや画像に対して行われるタッチ操作を示している。
【0231】
ステップS67では、座標変換の種類および方向の決定を行って、ステップS68に移る。座標変換の種類および方向の決定は、後続タッチ操作の操作位置と枠配置位置情報とをもとに、後続タッチ操作の操作位置の座標変換指定用枠の配置位置に対する位置関係を判断することで行う。詳しくは、後続タッチ操作の操作位置が座標変換指定用枠の枠上であると判断した場合には、座標変換の種類を平行移動と決定するとともに、先行タッチ操作の操作位置に対する後続タッチ操作の操作位置の方向をその平行移動の方向と決定する。また、後続タッチ操作の操作位置が座標変換指定用枠の枠よりも内側であると判断した場合には、座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、スケール変換の方向を縮小と決定する。さらに、後続タッチ操作の操作位置が座標変換指定用枠の枠よりも外側であると判断した場合には、座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、スケール変換の方向を拡大と決定する。なお、タッチ操作の操作位置が、座標変換指定用枠の枠上の所定範囲内である近傍にある場合も、タッチ操作の操作位置が、座標変換指定用枠の枠上に位置すると判定しても良い。この場合、座標変換指定用枠の枠線のサイズを大きく(太く)することなく(換言すると、枠線後方の情報表示を見難くすることなく)、座標変換指定用枠に対するタッチ操作(詳しくは位置決め操作)を容易にすることが出来る。
【0232】
ステップS68では、ステップS67で決定した座標変換の種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うためのスライド操作が携帯タッチパネル部14に行われたと仮定した場合の携帯タッチパネル部14でのスライド操作の始点・終点の座標の情報を生成し、ステップS69に移る。変形例2でも、この始点・終点の座標の情報を擬似操作情報と呼ぶものとする。ここで言うところの一定量も、固定値であって任意に設定可能な量である。また、ここで言うところの一定量として、座標変換の種類ごとにそれぞれ異なった固定値が設定されている構成としてもよい。
【0233】
例えば、座標変換の種類が平行移動、且つ、座標変換の方向が上下方向への移動を含まない右方向のみへの移動と決定された場合には、ステップS61で検知したタッチ操作の操作位置座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標を始点の座標として擬似操作情報を生成する。また、当該始点の座標から上下方向への移動を含まない右方向のみに一定量移動した座標を終点の座標として擬似操作情報を生成する。座標変換の種類が平行移動であって、座標変換の方向が他の方向であった場合についても、同様にして擬似操作情報を生成するものとする。座標変換の種類が平行移動の場合には、擬似操作情報として始点の座標の情報と終点の座標の情報とをそれぞれ1種類ずつ生成することになる。
【0234】
座標変換の種類がスケール変換、且つ、座標変換の方向が拡大と決定された場合には、先行タッチ操作の操作位置座標に対応するスマートフォン1の携帯タッチパネル部14の画面上の座標(以下、基準座標)を中心としてお互いが第1の距離だけ離れた2点の座標を始点の座標として擬似操作情報を生成する。ここで言うところの第1の距離とは、後述する第2の距離より短い距離であって任意に設定可能な値である。また、基準座標を中心としてお互いが第2の距離だけ離れた2点の座標を終点の座標として擬似操作情報を生成する。ここで言うところの第2の距離とは、第1の距離より短い距離であって任意に設定可能な値であり、第1の距離と第2の距離との比率は、固定値となっている。
【0235】
座標変換の種類がスケール変換、且つ、座標変換の方向が縮小と決定された場合には、基準座標を中心としてお互いが第2の距離だけ離れた2点の座標を始点の座標として擬似操作情報を生成する。また、基準座標を中心としてお互いが第1の距離だけ離れた2点の座標を終点の座標として擬似操作情報を生成する。座標変換の種類がスケール変換の場合には、擬似操作情報として始点の座標の情報と終点の座標の情報とをそれぞれ2種類ずつ生成することになる。
【0236】
ステップS69では、ステップS58で生成した擬似操作情報を車両側通信部21からスマートフォン1に送信させ、ステップS70に移る。ステップS69では、擬似操作情報を送信する場合に、始点の座標の情報を先に送信した後に、所定の時間間隔をおいて終点の座標の情報を送信するものとする。ここで言うところの所定の時間間隔とは、任意に設定可能な時間間隔であって、例えば1秒以下の時間間隔を設定するなどすればよい。
【0237】
また、変形例2においても、前述の実施形態と同様に、始点の座標(つまり、初期ポイント)、終点の座標(つまり、簡易入力用の終点座標)、擬似スライドデータについての操作対象位置を特定し、特定した操作対象位置を擬似操作情報としスマートフォン1に送信する構成としてもよい。この場合には、視点の座標についての擬似操作情報、擬似スライドデータについての擬似操作情報、終点の座標についての擬似操作情報の順番に、所定の時間間隔をおいて送信することになる。なお、所定の時間間隔とは、任意に設定可能な時間間隔であって、例えばスマートフォン1での表示や反応速度の自然さと処理能力とを考慮して予め設定される構成とすればよい。
【0238】
ステップS70では、スマートフォン1から新規の画面データを受信したか否かを判定する。そして、新規の画面データを受信したと判定した場合(ステップS70でYES)には、新規の画面データに従った画面を車両用タッチパネル部24の画面に表示させ、ステップS71に移る。また、新規の画面データを受信したと判定しなかった場合(ステップS70でNO)には、ステップS70のフローを繰り返す。
【0239】
ステップS71では、車両用タッチパネル部24に新たに表示された画面に対しても、ステップS65で重畳表示を行ったのと同じ位置に座標変換指定用枠を重畳表示させ、座標変換指定用枠の重畳表示を維持する。そして、ステップS66に戻ってフローを繰り返す。
【0240】
ステップS72では、座標変換指定用枠を車両用タッチパネル部24の画面に表示させてからの経過時間が所定の時間を越えた(つまり、タイムアウト)か否かを判定する。座標変換指定用枠を車両用タッチパネル部24の画面に表示させてからの経過時間とは、ステップS71で座標変換指定用枠を重畳表示し直した場合には、重畳表示をし直してからの経過時間となる。ここで言うところの所定の時間とは、任意に設定可能な時間であって、例えば数秒とすればよい。また、当該経過時間は、図示しないタイマ回路等によってカウントする構成とすればよい。そして、タイムアウトと判定した場合(ステップS72でYES)には、フローを終了する。また、タイムアウトと判定しなかった場合(ステップS72でNO)には、ステップS66に戻ってフローを繰り返す。
【0241】
スマートフォン1では、擬似操作情報を受信した場合には、擬似操作情報が示す始点の座標の数から操作位置の数を検知し、当該始点の座標と擬似操作情報が示す終点の座標とからスライド操作を検知する。操作位置の数およびスライド操作の検知については、携帯タッチパネル部14にタッチ操作が行われた場合の操作位置の数およびスライド操作の検知と同様にして行うものとする。そして、スマートフォン1では、検知した操作位置の数およびスライド操作に応じて、前述した座標変換処理と同様にして、携帯タッチパネル部14の画面上に表示させる画像の表示の平行移動やスケール変換や回転といった座標変換を行う。
【0242】
以上の構成によれば、擬似操作情報を受信したスマートフォン1では、この擬似操作情報を受信するごとに、携帯タッチパネル部14に表示させる画面上の表示に、車両用タッチパネル部24の画面に重畳表示させた座標変換指定用枠の配置位置に対する後続タッチ操作の操作位置の位置関係に応じて車両側制御部25で決定した種類および方向の座標変換を一定量行うことができる。
【0243】
ここで、座標変換指定用枠の配置位置に対する後続タッチ操作の操作位置の位置関係に応じて携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像の座標変換を行わせる場合について、図19および図20(a)〜図20(c)を用いて説明を行う。図19は、座標変換指定用枠の一例を示すための模式図である。図20(a)〜図20(c)は、座標変換指定用枠の配置位置に対する後続タッチ操作の操作位置の位置関係に応じてスマートフォン1側で検知されるスライド操作の操作位置の変化を示す模式図である。
【0244】
図20(a)は、座標変換指定用枠の枠上で後続タッチ操作が行われた場合の一例である。また、図20(b)は、座標変換指定用枠の枠外で後続タッチ操作が行われた場合の一例であって、図20(c)は、座標変換指定用枠の枠内で後続タッチ操作が行われた場合の一例である。なお、図20(a)〜図20(c)中の破線の円がスマートフォン1側で検知される操作位置を示している。また、図20(a)〜図20(c)中の破線の矢印が画面上の画像の移動方向を示している。
【0245】
なお、拡大縮小といったスケール変換時において、検知される各スライド操作の終点間の中心の座標を画面の中心の座標へ変換するのと同様の変換を画面上の画像の表示に行い、スライド操作の終点間の中心を画面上の中心に平行移動させる処理も行われるものとして以下の説明を行う。
【0246】
変形例2の構成によれば、座標変換指定用枠の枠上、且つ、先行タッチ操作の操作位置の右方向であって上下方向において同じ位置で後続タッチ操作が行われた場合、スマートフォン1側では、画面の上下方向への移動のない右方向のみへの一定量のスライド操作が検知されることになる(図20(a)参照)。これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像の位置を上下方向への移動のない右方向のみに移動させることになる。
【0247】
また、座標変換指定用枠の枠外で後続タッチ操作が行われた場合、2箇所の操作位置の両方を離間させる方向への一定量のスライド操作が検知されることになる(図20(b)参照)。これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像を拡大させるとともに、スライド操作の終点間の中心が画面の中心となるように画像を移動させることになる。
【0248】
さらに、座標変換指定用枠の枠内でタッチ操作が行われた場合、2箇所の操作位置の両方を接近させる方向への一定量のスライド操作が検知されることになる(図20(c)参照)。これにより、スマートフォン1では、携帯タッチパネル部14の画面に表示させる画像を縮小させるとともに、スライド操作の終点間の中心が画面の中心となるように画像を移動させることになる。よって、平行移動の移動量や画像の拡大縮小率は、1回の後続タッチ操作につき一定値となる。
【0249】
このように、変形例2の構成では、1回の後続タッチ操作につき一定量の座標変換が行われることになるので、後続タッチ操作の回数の調整だけで、目的とする量の座標変換を行うことができる。後続タッチ操作の回数の調整については、車両用タッチパネル部24の画面をユーザが注視しなくても行うことができる。従って、以上の構成によっても、スマートフォン1と車両用表示装置2とを接続して車両用表示装置2側でスマートフォン1の機能を利用可能とする場合のユーザにとっての使い勝手をより向上させることが可能になる。
【0250】
また、以上の構成によれば、スマートフォン1においては画面上の2箇所を同時にスライド操作することで可能となる座標変換についても、車両用タッチパネル部24では、座標変換指定用枠の重畳表示後に画面上の1箇所をタッチ操作することで実行可能とすることができる。従って、車両用タッチパネル部24がシングルタッチパネルであっても、スマートフォン1においては画面上の2箇所を同時に操作することで可能となる座標変換を当該車両用タッチパネル部24の操作で実行可能とすることが可能となり、汎用性が向上する。
【0251】
さらに、以上の構成によれば、座標変換指定用枠の重畳表示後のタッチ操作を行ってから所定の時間以上の間隔が空かない場合には、座標変換指定用枠を画面上の同じ位置に重畳表示させ続けることになる。よって、例えば座標変換指定用枠の枠上でタッチ操作を繰り返すことで目的とする量の座標変換を行う場合に、タッチ操作が行い易くなり、ユーザにとっての使い勝手がさらに向上する。
【0252】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0253】
1 スマートフォン(携帯端末)、2 車両用表示装置、11 携帯側通信部、12 携帯側表示部、13 携帯側操作検知部、14 携帯タッチパネル部(携帯端末のタッチパネル)、15 携帯側制御部、21 車両側通信部、22 車両側表示部、23 車両側操作検知部、24 車両用タッチパネル部(車両用タッチパネル)、25 車両側制御部(変化検知手段、変換態様決定手段、擬似操作情報生成手段、第1重畳表示手段、規定記憶手段、格納手段、第2重畳表示手段、設定手段)、100 情報表示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた携帯端末と通信によって接続されるとともに、車両内で使用される車両用タッチパネルを備え、
前記携帯端末の画面に表示させるために前記携帯端末で生成された画面データを前記携帯端末から受信し、受信した画面データが示す画面を前記車両用タッチパネルに表示するとともに、当該車両用タッチパネルに対してユーザからのタッチ操作が行われた場合に、タッチ操作が行われた当該車両用タッチパネルの画面上の位置に対応する前記携帯端末のタッチパネルの画面上での位置を特定して、特定した位置を示す情報を前記携帯端末に送信する車両用表示装置であって、
前記車両用タッチパネルに対して、前記タッチ操作を行ったまま操作位置をスライドさせるスライド操作が行われた場合に、当該スライド操作を検知するとともに当該スライド操作により変化した操作位置を検知する変化検知手段と、
前記変化検知手段で検知したスライド操作をもとに、表示の座標変換の種類を決定するとともに、前記変化検知手段で検知した操作位置をもとに、表示の座標変換の方向を決定する変換態様決定手段と、
前記変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が前記携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す情報である擬似操作情報を生成する擬似操作情報生成手段とを備え、
前記擬似操作情報生成手段で生成した擬似操作情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記車両用タッチパネルは、複数の操作位置を同時に検知可能なタッチパネルであることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記変換態様決定手段は、前記タッチ操作の操作位置を1箇所だけ検知していた場合であって、且つ、前記スライド操作を検知した場合に、前記座標変換の種類を平行移動と決定するとともに、当該スライド操作により変化した操作位置をもとに、当該スライド操作により操作位置が変化した方向をその平行移動の方向と決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記変換態様決定手段は、前記タッチ操作の操作位置を同時に2箇所検知していた場合であって、且つ、その2箇所の操作位置の両方について前記スライド操作を検知した場合であって、当該スライド操作による各操作位置間の距離の変化を検知した場合に、前記座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、当該スライド操作による各操作位置間の距離の変化に応じて当該スケール変換の方向を拡大もしくは縮小と決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記変換態様決定手段は、前記タッチ操作の操作位置を同時に2箇所検知していた場合であって、且つ、その2箇所の操作位置の一方のみについて前記スライド操作を検知した場合に、前記座標変換の種類を回転と決定するとともに、当該スライド操作により変化した操作位置をもとに、当該回転の方向を決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記擬似操作情報生成手段は、前記擬似操作情報として、前記画面上の表示に一定量の座標変換を行うための操作が前記携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の操作開始点および仮想的な操作終点の座標を生成するとともに、操作開始点から当該操作終点までの間の仮想的な操作中間点の座標も生成するものであって、
前記擬似操作情報生成手段で生成した擬似操作情報を前記携帯端末に送信する場合に、前記操作開始点の座標を送信した後に、前記操作開始点に近い前記操作中間点の座標から順番に前記操作終点の座標まで逐次送信することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項7】
タッチパネルを備えた携帯端末と通信によって接続されるとともに、車両内で使用される車両用タッチパネルを備え、
前記携帯端末の画面に表示させるために前記携帯端末で生成された画面データを前記携帯端末から受信し、受信した画面データが示す画面を前記車両用タッチパネルに表示するとともに、当該車両用タッチパネルに対してユーザからのタッチ操作が行われた場合に、タッチ操作が行われた当該車両用タッチパネルの画面上の位置に対応する前記携帯端末のタッチパネルの画面上での位置を特定して、特定した位置を示す情報を前記携帯端末に送信する車両用表示装置であって、
前記車両用タッチパネルに対して、前記タッチ操作後の再度のタッチ操作が行われた場合に、当該再度のタッチ操作を検知するとともに、1回目のタッチ操作の操作位置から当該再度のタッチ操作により変化した操作位置を検知する変化検知手段と、
前記1回目のタッチ操作が行われた場合に、表示の座標変換の種類および方向をユーザが指定するためのアイコンを前記車両用タッチパネルの画面に重畳表示させる第1重畳表示手段と、
前記変化検知手段で検知した操作位置をもとに、前記アイコンがユーザに選択されたか否かを判断し、アイコンが選択されたと判断した場合、ユーザに選択された前記アイコンに対応する座標変換の種類および方向を、表示の座標変換の種類および方向として決定する変換態様決定手段と、
前記変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が前記携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す情報である擬似操作情報を生成する擬似操作情報生成手段とを備え、
前記擬似操作情報生成手段で生成した擬似操作情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1重畳表示手段は、前記1回目のタッチ操作が行われた場合に、当該タッチ操作の操作位置を中心として前記アイコンを、前記車両用タッチパネルの画面に重畳表示させるものであって、
前記車両用タッチパネルの画面上での前記アイコンの表示位置と当該アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を格納する格納手段と、
前記中心に対する前記アイコンの配置位置と当該アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を予め規定して記憶している規定記憶手段とをさらに備え、
前記格納手段は、前記規定記憶手段で規定している対応関係をもとに、前記車両用タッチパネルの画面上での前記アイコンの表示位置と当該アイコンの示す座標変換の種類および方向との対応関係を格納し、
前記変換態様決定手段は、前記格納手段に格納されている対応関係を参照し、前記表示の座標変換の種類および方向を決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記第1重畳表示手段は、表示の平行移動の方向をユーザが指定するためのアイコン、表示の拡大縮小をユーザが指定するためのアイコン、および表示の回転方向をユーザが指定するためのアイコンの少なくともいずれかを前記車両用タッチパネルの画面に重畳表示させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項10】
タッチパネルを備えた携帯端末と通信によって接続されるとともに、車両内で使用される車両用タッチパネルを備え、
前記携帯端末の画面に表示させるために前記携帯端末で生成された画面データを前記携帯端末から受信し、受信した画面データが示す画面を前記車両用タッチパネルに表示するとともに、当該車両用タッチパネルに対してユーザからのタッチ操作が行われた場合に、タッチ操作が行われた当該車両用タッチパネルの画面上の位置に対応する前記携帯端末のタッチパネルの画面上での位置を特定して、特定した位置を示す情報を前記携帯端末に送信する車両用表示装置であって、
前記車両用タッチパネルに対して、前記タッチ操作後の再度のタッチ操作が行われた場合に、当該再度のタッチ操作を検知するとともに、1回目のタッチ操作の操作位置から当該再度のタッチ操作により変化した操作位置を検知する変化検知手段と、
前記1回目のタッチ操作が行われた場合に、当該タッチ操作の操作位置を包囲する所定の枠を前記車両用タッチパネルの画面に重畳表示させる第2重畳表示手段と、
前記変化検知手段で検知した操作位置および前記枠の配置位置をもとに、前記変化検知手段で検知した操作位置の前記枠に対する位置関係を判断し、その判断結果に応じて、表示の座標変換の種類および方向を決定する変換態様決定手段と、
前記変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が前記携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す情報である擬似操作情報を生成する擬似操作情報生成手段とを備え、
前記擬似操作情報生成手段で生成した擬似操作情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記変換態様決定手段は、
当該操作位置が枠上であると判断した場合には、前記座標変換の種類を平行移動と決定するとともに、前記先行するタッチ操作の操作位置に対する前記変化検知手段で検知した操作位置の方向をその平行移動の方向と決定し、
当該操作位置が枠よりも内側であると判断した場合には、前記座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、当該スケール変換の方向を縮小と決定し、
当該操作位置が枠よりも外側であると判断した場合には、前記座標変換の種類をスケール変換と決定するとともに、当該スケール変換の方向を拡大と決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項において、
前記変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を画面上の表示に一定量行うための操作が前記携帯端末のタッチパネルに行われたと仮定した場合の当該タッチパネルでの操作位置の変化を示す擬似操作情報を、前記擬似操作情報生成手段で生成する場合の当該一定量の値を、ユーザの操作によって設定する設定手段を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項13】
タッチパネルを備えた携帯端末と、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の車両用表示装置とを含み、
前記車両用表示装置から送信される前記擬似操作情報を前記携帯端末で受信して、前記擬似操作情報に従って、前記変換態様決定手段で決定した種類および方向の座標変換を前記携帯端末のタッチパネルの画面上の表示に一定量行うことを特徴とする情報表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−253736(P2012−253736A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234391(P2011−234391)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】