説明

車両用警報装置

【課題】車両の周囲にいる者の安全性がより高まり、運転者の周囲への安全確認がより行い易くなる車両用警報装置を提供する。
【解決手段】車両用警報装置100は、車両の移動状態を検出する車両移動状態検出手段としてのバックギヤスイッチ101と、音を発生するスピーカ10、及び光を発生するLED19を有するスピーカ装置1と、バックギヤスイッチ101が車両の後退状態を検出したとき、スピーカ装置1を制御してスピーカ10から音を発生させ、LED19から光を発生させるスピーカコントローラ103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用警報装置として、運転者がシフトレバーを操作してバックギヤをバックの位置に入れると、バックギヤスイッチがオンとなり、このスイッチと直列接続されているバックランプを点灯させるとともに、スピーカから警報音を発生させるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−117560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用警報装置によれば、警報音の発生箇所とバックランプの光の発生箇所が異なるため、車両の後方にいる者にとって車両が後退状態にあることが認識しずらい。また、バックランプは後方を明るく照らすものではないため、バックランプの光のみでは運転者が車両の後方にいる者や後方の障害物等を視認するのは難しい。
【0005】
したがって、本発明の目的は、車両の周囲にいる者の安全性がより高まり、運転者の周囲への安全確認がより行い易くなる車両用警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、車両の移動状態が検出されたとき、音を発生するとともに、光を発生するスピーカ装置と、前記スピーカ装置を前記車両に取り付ける取付部材とを備えた車両用警報装置を提供する。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記目的を達成するため、車両の移動状態を検出する車両移動状態検出手段と、音を発生するスピーカ、及び光を発生するLEDを有するスピーカ装置と、前記スピーカ装置を前記車両に取り付ける取付部材と、前記車両移動状態検出手段が前記車両の移動状態を検出したとき、前記スピーカ装置を制御して前記スピーカから音を発生させ、前記LEDから光を発生させるスピーカコントローラとを備えた車両用警報装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の周囲にいる者の安全性がより高まり、運転者の周囲への安全確認がより行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る車両用警報装置の概略の構成例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係るスピーカ装置の取り付け位置の一例を示し、(a)は、中型トラック車の平面図、(b)は、大型トラック車の側面図、(c)は、大型トラック車の平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係るスピーカ装置の外観を示し、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係るスピーカ装置の内部構造を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用警報装置の概略の構成例を示す図である。この車両用警報装置100は、車両の移動状態、例えばバックギヤがバックの位置に入れられたことを検出(オン)する車両移動状態検出手段としてのバックギヤスイッチ101と、バックギヤスイッチ101がオンすると、車両の後部の左右に設けられ、電源(DC12V)Vbが印加されて点灯する一対のバックランプ102と、バックギヤスイッチ101のオンに基づいてスピーカ装置1を駆動するスピーカコントローラ103とを備える。
【0012】
なお、本明細書において「車両の移動状態」は、車両が後退又は前進可能な状態だけでなく、車両が後退中又は前進中も含むが、車両が後退又は前進可能な状態のみ、又は車両が後退中又は前進中のみを意味するものとしてもよい。
【0013】
本実施の形態のスピーカ装置1は、スピーカ10による音発生機能を有するとともに、白色LED19による光発生機能を有する。スピーカ装置1は、例えば直径40〜80mmの大きさを有する。
【0014】
スピーカコントローラ103は、定格DC12Vでスピーカを駆動して警報音としての断続音を発生するように構成されている。断続音としては、例えば毎分60〜110回が好ましく、70〜100回がより好ましい。本実施の形態は、毎分85回の断続音を発生する。断続音の周波数は、例えば850Hzである。なお、警報音は、連続音でもよい。また、車両が後退する旨の音声を音声合成によって警報音として出力してもよい。
【0015】
スピーカコントローラ103は、白色LED19から警報光として連続光又は断続光を発生させてもよい。また、白色LED19の数は4つに限られない。また、LEDとして他の色を用いてもよく、複数の色を用いてもよい。また、スピーカコントローラ103は、スピーカ10から発生する断続音に同期して白色LED19から断続光を発生させてもよい。また、スピーカコントローラ103は、運転席201に居る運転者の操作に基づいて、白色LED19から連続光又は断続光を発生させてもよく、白色LED19から光量を調整できるようにしてもよい。
【0016】
図2は、スピーカ装置1の取り付け位置の一例を示し、(a)は、中型トラック車の平面図、(b)は、大型トラック車の側面図、(c)は、大型トラック車の平面図である。
【0017】
車両200が中型トラック車200Aの場合は、図2(a)に示すように、スピーカ装置1は、運転席201から後方の視認し難い位置、例えば運転席201から見て後方Yaに向けて配置される。
【0018】
車両200が大型トラック車200Bの場合は、図2(b)、(c)に示すように、スピーカ装置1は、運転席201から後方の視認し難い位置、例えば運転席201から見て斜め後方Ybに向けて配置される。
【0019】
なお、車両200は、中型トラック車200A、大型トラック車200Bに限られず、普通乗用車、バス、二輪自動車、自転車、電車等の車両に適用することができる。また、スピーカ装置1は、車両200の両側の後部にそれぞれ取り付けてもよい。また、スピーカ装置1の取り付け位置は、車両200の後部に限られず、車両200の前部や側部等の他の箇所でもよい。
【0020】
図3は、スピーカ装置1の外観を示し、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。スピーカ装置1は、前方が開口されたケース2と、ケース2の開口部を覆うカバー3と、カバー3をケース2に固定するコネクションリング4と、カバー3の内側に配置された保護金網5と、ケース2の側面に取り付けられてスピーカ装置1を車両200に取り付ける取付部材としての取付バンド6とを備える。
【0021】
スピーカ装置1は、ケース2の後面からコード8を導出しており、そのコード8の端部には、コネクタ9が取り付けられている。コネクタ9は、スピーカコントローラ103に接続される。
【0022】
ケース2の材料として、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂や、鋼、アルミニウム、マグネシウム等の金属を用いることができる。本実施の形態では、ABSを用いる。
【0023】
カバー3は、リング部30と、水平方向に配置された複数の散乱部31とを備える。カバー3の材料として、例えば、ABS、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透光性を有する合成樹脂を用いることができる。本実施の形態では、ABSを用いる。
【0024】
コネクションリング4は、鋼、アルミニウム、マグネシウム等の金属から形成される。本実施の形態は、鋼板を用いる。
【0025】
取付バンド6は、鋼板等の金属板から形成され、ケース2の周面に巻き付けられる巻き付け部60と、巻き付け部60に締め付け力を付与する締め付け部61A、61Bと、車両200の被取付部202に取り付けられる取付部62A、62Bとを備える。取付部62A、締め付け部61A、巻き付け部60、締め付け部61B及び取付部62Bは、1枚の金属板として形成される。
【0026】
取付部62A、62Bには、それぞれ穴63a、63bが形成されており、それらの穴にネジ7Aを通し、ナット7Bで締め付けることにより、巻き付け部60がケース2の周面に強固に巻き付けられる。取付部62A、62Bには、金属板の長手方向に沿ってそれぞれ長穴620が形成されており、それらの長穴620にボルト7Cを通して被取付部202に設けたネジ穴202aに締め付けることにより、スピーカ装置1が車両200の被取付部202に取り付けられる。
【0027】
図4は、スピーカ装置1の内部構造を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。スピーカ装置1は、図4に示すように、スピーカ10を有する。スピーカ10は、骨格となるフレーム11と、フレーム11の裏面側に取り付けられたボトムプレート12と、ボイスコイル13が巻かれたボビン14と、ボビン14の外周側に設けられたプレート15と、ボトムプレート12とプレート15との間に配置されたマグネット16と、ボビン14を支持するダンパ17と、フレーム11の底面に取り付けられた環状のプリント基板18と、プリント基板18上に等間隔で実装された複数(本実施の形態では4つ)の白色LED19と、コーン状の振動板20と、ボビン14の開口を覆うダストキャップ21と、ガスケット22とを備える。
【0028】
振動板20は、例えば厚さ0.5mm以下の透光性を有する合成樹脂から形成することができる。合成樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等を用いることができる。本実施の形態では、白色LED19からの光を拡散する拡散材を含有した厚さ0.1mm程度のポリエチレンテレフタレートを用いる。
【0029】
なお、振動板20は、表側の面に、光を拡散するための凹凸形状をプレス加工等によって設けてもよい。凹凸形状としては、例えば高さ0.2mm以下の三角錐、四角錐、円錐、ドーム状等が例示される。
【0030】
(実施の形態の動作)
次に、本実施の形態の動作を説明する。運転者がシフトレバーを操作してバックギヤをバックの位置に入れると、バックギヤスイッチ101がそれを検出してオンとなり、電源Vbが印加されてバックランプ102が点灯する。バックギヤスイッチ101がオンすると、スピーカコントローラ103は、ボイスコイル13に電流を流し、ボイスコイル13に巻かれたボビン14を介して振動板20を振動させて、音を発生させる。
【0031】
一方、スピーカコントローラ103は、バックギヤスイッチ101がオンすると、白色LED19に電流を流し、白色LED19から白色光を発生させる。白色LED19から発生した白色光は振動板20を透過する。白色LED19からの白色光が振動板20を透過する際、振動板20に含まれる拡散材によって白色光は放射状に拡散され、白色LED19の数が少なくても、振動板20の全面を光らせることができる。
【0032】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両200が後退する状態にあるとき、スピーカ10から音を発生するとともに、白色光を発生するので、車両200が後退状態にあることが認識し易くなり、車両200の後方にいる者の安全性がより高まる。
(2)運転者から死角になる方向に光を発生するので、運転者が後方にいる者や後方の障害物等を容易に視認することができ、運転者の後方の安全確認がより行い易くなる。
(3)コネクタ9と取付バンド6によってスピーカ装置1を既存の車両に容易に取り付けることができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に実施可能である。上記実施の形態では、LEDを振動板の裏面側に配置したが、表面側に配置してもよい。この場合、振動板は透光性を有しないものを使用することができる。本実施の形態では、車両が後退するときにスピーカ装置から音及び光を発生する場合について説明したが、車両が前進するときにスピーカ装置から音及び光を発生するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…スピーカ装置、2…ケース、3…カバー、4…コネクションリング、5…保護金網、6…取付バンド、7A…ネジ、7B…ナット、7C…ボルト、8…コード、9…コネクタ、10…スピーカ、11…フレーム、12…ボトムプレート、13…ボイスコイル、14…ボビン、15…プレート、16…マグネット、17…ダンパ、18…プリント基板、19…白色LED、20…振動板、21…ダストキャップ、22…ガスケット、30…リング部、31…散乱部、60…巻き付け部、61A、61B…締め付け部、62A、62B…取付部、63a、63b…穴、100…車両用警報装置、101…バックギヤスイッチ、102…バックランプ、103…スピーカコントローラ、200…車両、200A…中型トラック車、200B…大型トラック車、201…運転席、202…被取付部、202a…ネジ穴、620…長穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の移動状態が検出されたとき、音を発生するとともに、光を発生するスピーカ装置と、
前記スピーカ装置を前記車両に取り付ける取付部材とを備えた車両用警報装置。
【請求項2】
前記車両の移動状態は、車両の後退状態であり、
前記スピーカ装置を前記取付部材は、前記車両の後部に取り付けるものである請求項1記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記スピーカ装置は、断続音を発生するとともに、断続光を発生する請求項1記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記スピーカ装置は、断続音を発生するとともに、前記断続音に同期して断続光を発生する請求項1記載の車両用警報装置。
【請求項5】
前記スピーカ装置は、操作により連続光又は断続光を発生する請求項3記載の車両用警報装置。
【請求項6】
前記スピーカ装置は、操作により光量が調整された光を発生する請求項3記載の車両用警報装置。
【請求項7】
前記スピーカ装置は、移動する旨の音声を発生する請求項1記載の車両用警報装置。
【請求項8】
前記スピーカ装置は、振動して前記音を発生する透光性を有する振動板と、
前記振動板の裏面側に配置され、前記光を発生するLEDとを備えた請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項9】
前記振動板は、光を拡散する拡散材を含む透光性を有する合成樹脂から形成された請求項8記載の車両用警報装置。
【請求項10】
車両の移動状態を検出する車両移動状態検出手段と、
音を発生するスピーカ、及び光を発生するLEDを有するスピーカ装置と、
前記スピーカ装置を前記車両に取り付ける取付部材と、
前記車両移動状態検出手段が前記車両の移動退状態を検出したとき、前記スピーカ装置を制御して前記スピーカから音を発生させ、前記LEDから光を発生させるスピーカコントローラとを備えた車両用警報装置。
【請求項11】
前記車両移動状態検出手段は、前記車両の後退状態を検出する請求項10に記載の車両用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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