説明

車両管理システムおよび車両管理方法

【課題】車両の利用率を向上させることのできる車両管理システムを提供する。
【解決手段】車両を利用するユーザの評価を含むユーザ情報を、ユーザごとに記憶する記憶手段と、ユーザが車両を利用することにより、該車両の利用機会損失要因を発生させたか否かを判断し、該判断結果に基づいて、車両を利用したユーザの評価を行う第1評価手段と、車両を利用する後続ユーザに、該車両を直前に利用した先行ユーザの該車両の使用態様に関する評価を行わせ、後続ユーザによる評価に基づいて、先行ユーザの評価を行う第2評価手段と、第1評価手段による評価結果、および第2評価手段による評価結果に基づいて、車両を利用する各ユーザの評価を、ユーザごとに決定し、決定した各ユーザの評価を記憶手段に記憶させる評価更新手段と、記憶手段に記憶された各ユーザの評価に基づいて、ユーザごとに車両を利用する際の利用料金を設定する利用料金設定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザに利用される車両を管理するための車両管理システムおよび車両管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザにより車両を共有して貸し与えるカーシェアリングサービスにおいて、利用頻度に応じて、車両の利用料金を設定するとともに、利用頻度の高いユーザには優先的に車両の利用予約を許可する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、利用頻度の高いユーザを優遇するようなシステムであり、利用頻度が余り高くない他のユーザにとって必ずしも公平なシステムとはいえないものであるため、結果として、車両の利用率が向上しないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数のユーザに利用される車両の利用率を適切に向上させることのできる車両管理システムおよび車両管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のユーザに利用される車両を管理する際に、車両の利用機会損失要因を発生させたか否か、および後続ユーザによる評価が高いか否かに基づいて、車両を利用したユーザの評価を行い、該評価結果に基づいて、車両を利用する際の利用料金を、ユーザごとに設定することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の利用機会損失要因の有無および後続ユーザによる評価結果により、ユーザごとに車両を利用する際の利用料金を設定するため、ユーザによる車両の使用態様を向上させることができ、これにより、車両を利用するユーザの満足度を向上させることが可能となり、結果として、車両の利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係るカーシェアリングシステムの構成図である。
【図2】図2は、本実施形態における利用機会損失要因発生情報を収集するための処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本実施形態における後続ユーザによる評価情報を収集するための処理を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態におけるシェアリングカーを利用する際の利用料金を設定するための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るカーシェアリングシステムのブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態のカーシェアリングシステムは、管理サーバ100と、カーシェアリングに供される車両に備えられた車載装置200と、インターネット300を介して車両管理サーバ100と通信可能な複数のユーザ端末400とから構成される。本実施形態のカーシェアリングシステムは、カーシェアリングに供される車両(以下、シェアリングカーとする。)を、特定多数のユーザに対して貸与するためのシステムである。なお、図1中においては、シェアリングカー(すなわち、シェアリングカーに搭載される車載装置200)が3台である場合を例示して示したが、本実施形態のカーシェアリングシステムは、シェアリングカーが3台の場合に特に限定されるものではなく、2台以下でも、また4台以上でももちろんよい。
【0011】
車載装置200は、シェアリングカーに備えられ、シェアリングカーを利用するユーザを認識し、シェアリングカーを利用したユーザの情報、利用開始時間および利用終了時間の情報、走行距離の情報、ならびに、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの情報を、無線通信により管理サーバ100に備えられた通信装置120に送信する。なお、車載装置200により、シェアリングカーを利用するユーザを識別する方法としては、各ユーザが所有するIDカードの情報に基づいて識別する方法などが挙げられる。
【0012】
ユーザ端末400は、本実施形態のカーシェアリングシステムを利用する特定多数のユーザが所有する端末であり、インターネット300を介して、管理サーバ100に備えられた通信装置120と通信可能となっている。本実施形態のカーシェアリングシステムにおいては、各ユーザは、ユーザ端末400により、シェアリングカーの利用予約や、直前にシェアリングカーを利用したユーザの評価を行うことできるようになっている。なお、ユーザ端末400としては、たとえば、パソコンの他、携帯電話などの移動端末などが挙げられる。また、図1中においては、ユーザ端末400として4つの端末を例示して示したが、ユーザ端末400および本実施形態のカーシェアリングシステムを利用するユーザの数は、特に限定されるものではない。
【0013】
また、管理サーバ100は、制御装置110と、通信装置120と、データベース130とを備えている。
【0014】
通信装置120は、無線通信により、シェアリングカーに備えられた車載装置200と、また、インターネット300を介して、各ユーザの所有するユーザ端末400と通信するための装置である。通信装置120は、無線通信により、車載装置200から、シェアリングカーを利用したユーザの情報、利用開始時間および利用終了時間の情報、走行距離の情報、ならびに、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの情報を、また、ユーザ端末400から、シェアリングカーの利用予約の情報、および直前にシェアリングカーを利用したユーザの評価の情報を取得する。
【0015】
データベース130は、本実施形態のカーシェアリングシステムを利用する各ユーザの情報をデータベース化して記憶するための記憶装置である。データベース130に記憶させるユーザの情報としては、各ユーザのシェアリングカーの利用実績の情報(たとえば、利用日時、利用時間、走行距離、利用回数の情報や、利用したシェアリングカーの識別情報)、各ユーザのシェアリングカーの予約情報、各ユーザの評価情報などが挙げられる。
【0016】
これらのうち、利用実績の情報は、シェアリングカーに搭載された車載装置200から通信装置120に送信された、シェアリングカーを利用したユーザの情報、利用開始時間および利用終了時間の情報、および走行距離の情報に基づいて、各ユーザごとに生成される情報である。また、予約情報は、ユーザによって、ユーザ端末400を介してシェアリングカーの利用予約がされた場合に、該利用予約に基づいて、各ユーザごとに生成される利用予約に関する情報(たとえば、予約日時、予約時間の情報)である。また、各ユーザの評価情報は、各ユーザの利用機会損失要因発生情報、各ユーザの後続ユーザによる評価情報および各ユーザの総合評価情報からなるものであり、これらについては後述する。
【0017】
管理サーバ100の制御装置110は、図1に示すように、各種プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)112と、このROM112に格納されたプログラムを実行する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)111と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)113と、を備えている。
【0018】
そして、制御装置110は、本実施形態に係るカーシェアリングシステムを管理するために、利用機会損失要因判定機能と、後続ユーザ判定機能と、ユーザ評価機能と、利用料金設定機能と、を備えている。制御装置110は、上記各機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。
【0019】
以下に、管理サーバ100の制御装置110が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
【0020】
まず、制御装置110の利用機会損失要因判定機能について説明する。制御装置110は、ユーザによりシェアリングカーが利用された場合に、シェアリングカーに搭載された車載装置200から通信装置120に送信された、シェアリングカーを利用したユーザの情報、利用開始時間および利用終了時間の情報と、データベース130に記憶された該当するユーザの予約情報とに基づき、シェアリングカーを利用したユーザにより、返却遅延による利用機会損失要因が発生したか否かの判断を行なう。また、御装置110は、シェアリングカーに搭載された車載装置200から通信装置120に送信された、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの情報に基づいて、使用不能による利用機会損失要因が発生したか否かの判断も併せて行なう。
【0021】
具体的には、制御装置110は、ユーザによるシェアリングカーの実際の利用開始時間および利用終了時間と、予約時間とを比較し、シェアリングカーを利用したユーザが予約時間内にシェアリングカーを所定の駐車位置に返却したか否か、さらには、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの判定を行なう。そして、該判定の結果、ユーザが予約時間内に使用可能な状態でシェアリングカーを返却した場合には、返却遅延および使用不能によるシェアリングカーの利用機会損失要因が発生しなかったものと判断する。一方、ユーザが予約時間内にシェアリングカーを返却しなかった場合や、シェアリングカーが使用不能な状態で返却された場合には、返却遅延や使用不能による利用機会損失要因が発生したと判断する。
【0022】
そして、制御装置110は、このような返却遅延や使用不能による利用機会損失要因の発生の有無を、シェアリングカーを利用する各ユーザごとに判断し、データベース130にユーザの利用機会損失要因発生情報として記憶させる。また、返却遅延による利用機会損失要因が発生した場合には、利用機会損失要因の発生の有無の情報とともに、返却遅延時間の情報も併せて、データベース130に記憶させる。
【0023】
次いで、制御装置110の後続ユーザ判定機能について説明する。制御装置110は、シェエアリングカーを利用した後続ユーザに、直前に同じシェアリングカーを利用した先行ユーザの当該シェアリングカーの使用態様についての評価を行わせて、該後続ユーザによる判定結果を、先行ユーザのシェアリングカーの使用態様の後続ユーザによる評価情報として、データベース130に記憶させる。なお、後続ユーザに行わせる先行ユーザの使用態様の評価項目としては、たとえば、シェアリングカーの備品等の破損の有無や破損の程度の項目や、車体のキズの有無や破損の程度の項目、車室内の汚れやゴミの有無や程度についての項目などが挙げられる。
【0024】
また、後続ユーザに、直前に同じシェアリングカーを利用した先行ユーザの当該シェアリングカーの使用態様についての評価を行わせる方法としては、たとえば、シェアリングカーを利用し終わった後に、アンケート形式により、ユーザ端末400を用いて先行ユーザの評価を入力させる方法などが挙げられる。なお、この場合においては、先行ユーザの評価の入力を行うための動機付けとなるように、先行ユーザの評価を行った場合には、評価を行った後続ユーザに、ポイントを付与して、ポイント数に応じて利用料金を割り引くなどの特典を与えるような構成としてもよい。
【0025】
あるいは、後続ユーザに、直前に同じシェアリングカーを利用した先行ユーザの当該シェアリングカーの使用態様についての評価を行わせる方法としては、シェアリングカーの利用を開始する際に、シェアリングカーの利用開始操作の一環として、車載機200を介して、先行ユーザの評価を入力させる方法を採用してもよい。さらには、シェアリングカーを利用するたびに、後続ユーザに、先行ユーザの評価を入力させる方法に代えて、シェアリングカーの備品等の破損がある場合、車体にキズがある場合、あるいは、車室内に汚れやゴミがある場合に、後続ユーザが、車載機200を介して対応する操作を行なうことで、先行ユーザの評価を入力させるような方法を採用してもよい。
【0026】
次いで、制御装置110のユーザ評価機能について説明する。制御装置110は、データベース130に記憶された各ユーザの利用機会損失要因発生情報、および各ユーザの後続ユーザによる評価情報に基づいて、本実施形態に係るカーシェアリングシステムを利用する各ユーザの評価を行う。
【0027】
たとえば、ある特定のユーザを、ユーザAとした場合に、制御装置110は、ユーザAの利用機会損失要因発生情報に基づいて、ユーザAがシェアリングカーを利用した結果、返却遅延や使用不能による利用機会損失要因をどの程度発生させたかの判定を行ない、該判定結果に基づいて、利用機会損失要因に基づくユーザAの評価を行う。具体的には、制御装置110は、返却遅延や使用不能による利用機会損失要因の発生頻度が低い場合には、利用機会損失要因に基づくユーザAの評価を高く設定し、一方で、返却遅延や使用不能による利用機会損失要因の発生頻度が高い場合や、返却遅延時間が長い場合には、ユーザAの評価を低く設定する。なお、本実施形態においては、予め利用機会損失要因の発生頻度と、利用機会損失要因に基づく評価との関係を示すマップを予め備え、該マップを用いて、利用機会損失要因に基づく評価を点数化して算出するような構成としてもよい。
【0028】
加えて、制御装置110は、同じユーザAの後続ユーザによる評価情報に基づいて、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価を行う。具体的には、制御装置110は、ユーザAの次に利用した後続ユーザから、シェアリングカーの備品等の破損無しと評価された頻度が高い場合や、車体のキズ無しと評価された頻度が高い場合、さらには、車室内の汚れがなく、シェアリングカーがきれいに利用されていたと評価された頻度が高い場合には、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価を高く設定する。
【0029】
一方、ユーザAの次に利用した後続ユーザから、シェアリングカーの備品等の破損有りと評価された頻度が高い場合や破損の程度が大きい場合、車体のキズ有りと評価された頻度が高い場合やキズの程度が大きい場合、さらには、車室内に汚れやゴミがあり、シェアリングカーがきれいに利用されていなかったと評価された頻度が高い場合には、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価を低く設定する。なお、本実施形態においては、予め備品等の破損の程度、キズの程度および車室内の汚れの程度と、シェアリングカーの使用態様に基づく評価との関係を示すマップを予め備え、該マップを用いて、シェアリングカーの使用態様に基づく評価を点数化して算出するような構成としてもよい。
【0030】
なお、利用機会損失要因に基づく評価およびシェアリングカーの使用態様に基づく評価、さらには、後述する総合評価は、たとえば、所定期間(たとえば、1ヶ月)内におけるシェアリングカーの利用時における、ユーザAの利用機会損失要因発生情報および後続ユーザによる評価情報に基づいて算出するような構成としてもよいし、あるいは、直近所定回(たとえば、直近10回)の利用時における、ユーザAの利用機会損失要因発生情報および後続ユーザによる評価情報に基づいて算出するような構成としてもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、ユーザAの後続ユーザによる評価情報に基づいて、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価を行う際には、たとえば、他のユーザと明らかに異なる評価を行うユーザによる評価が含まれている場合には、該ユーザによる評価を除外して、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価を行うこととする。具体的には、ユーザAの他のユーザからの総じて評価が良好であると判断できるような範囲に分布している場合に、明らかに悪い評価があるユーザからされた場合に、本実施形態では、そのような評価を除外する。あるいは、ある特定のユーザをユーザBとした場合に、他のユーザからの評価が総じて良好である複数のユーザに対し、ユーザBが評価すると必ず悪い評価である場合に、該ユーザBは、先行ユーザに対する評価を適正に行わないユーザであると判断し、本実施形態では、ユーザBによる評価を除外する。
【0032】
そして、制御装置110は、上記のようにして設定した利用機会損失要因に基づくユーザAの評価と、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価とに基づいて、ユーザAの総合評価を行う。具体的には、利用機会損失要因に基づくユーザAの評価が高い場合、およびシェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価が高い場合には、ユーザAの総合評価を高く設定し、一方、利用機会損失要因に基づくユーザAの評価が低い場合、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価が低い場合には、ユーザAの総合評価を低く設定する。なお、ユーザAの総合評価を行う際には、利用機会損失要因に基づくユーザAの評価と、シェアリングカーの使用態様に基づくユーザAの評価とを均等に反映させることにより、ユーザAの総合評価を行うような構成としてもよいし、あるいは、何れか一方の評価の重要度を高く設定し、重要度を加味して、ユーザAの総合評価を行うような構成としてもよい。さらに、利用機会損失要因に基づく評価と、シェアリングカーの使用態様に基づく評価とを点数化して算出する場合には、これらを加算することにより、総合評価を点数化して算出するような構成としてもよい。
【0033】
そして、制御装置110は、上述したユーザA以外のシェアリングカーを利用する全てのユーザについても、同様に、利用機会損失要因に基づく評価と、シェアリングカーの使用態様に基づく評価とを行い、さらにこれらの各評価に基づいて、総合評価を行い、各ユーザの総合評価を、データベース130に記憶させる。
【0034】
次いで、制御装置110の利用料金設定機能について説明する。制御装置110は、上記のようにして設定された各ユーザの総合評価をデータベース130から読み出し、各ユーザの総合評価に基づいて、各ユーザのシェアリングカーを利用する際の利用料金を設定する。具体的には、制御装置110は、総合評価の高いユーザについては、シェアリングカーを利用する際の利用料金を低く設定し、一方、総合評価の低いユーザについては、シェアリングカーを利用する際の利用料金を高く設定する。また、各ユーザの総合評価が点数化されて算出された場合には、点数に応じた各ユーザの利用料金を総合評価の点数に応じて設定するような構成とすることができる。
【0035】
このように各ユーザの総合評価に基づいて、シェアリングカーを利用する際の利用料金を設定することで、各ユーザが、シェアリングカーの返却遅延を避けたり、さらには、シェアリングカーを使用不能な状態としたり、備品を破損させたり、車体にキズをつけたりしないように、各備品や車両の操作を丁寧に行なったり、さらには、車室内をきれいに利用することに対する動機付けとすることができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、シェアリングカーを利用する際の利用料金を設定する際には、ユーザの総合評価が低い場合に、予め定められた基本料金に料金を加算していくような構成としてもよいし、あるいは、ユーザの総合評価が高い場合に、予め定められた基本料金から料金を減額していくような構成としてもよいし、さらにはこれらの組み合わせとしてもよい。
【0037】
本実施形態においては、各ユーザのシェアリングカーを利用する際の利用料金は、たとえば、該当するユーザがシェアリングカーを予約するたびに設定することができる。この場合には、ユーザがユーザ端末400を介して、シェアリングカーの予約操作が行なわれた場合に、該当するユーザの利用機会損失要因に基づく評価、シェアリングカーの使用態様に基づく評価、および総合評価を行い、これに基づき、該当するユーザのシェアリングカーを利用する際の利用料金を設定する。そして、シェアリングカーの予約操作が行なわれている際に、設定された利用料金を、ユーザ端末400に備えられたディスプレイ等に表示させることで、ユーザに利用料金を通知することができる。この場合においては、たとえば、前回利用時と比較して、シェアリングカーの利用料金が○○円安くなったという情報や、あるいは、△△円高くなったという情報も併せて、ユーザに通知することが好ましい。このような情報を併せて通知することにより、各ユーザは、自己の評価が上がったのか、あるいは下がったのかを容易に把握させることができる。
【0038】
あるいは、各ユーザのシェアリングカーを利用する際の利用料金は、予め定められた期間ごと(たとえば、1ヶ月ごと)に設定することができる。そして、この場合には、予め定められた期間ごとに、全てのユーザの利用機会損失要因に基づく評価、シェアリングカーの使用態様に基づく評価、および総合評価を行い、これに基づき、全てのユーザのシェアリングカーを利用する際の利用料金を設定し、設定した利用料金を全てのユーザにユーザ端末400を介して、ユーザごとに通知するような構成とすることができる。たとえば、予め定められた期間を1ヶ月とする場合には、前月にシェアリングカーを利用した際における各ユーザの評価により、次の月に各ユーザがシェアリングカーを利用する際における利用料金を設定し、これを全てのユーザに対してユーザ端末400を介して通知するような構成とすることができる。この場合においても、上記と同様に、前月と比較して、シェアリングカーの利用料金が○○円安くなったという情報や、あるいは、△△円高くなったという情報も併せて、ユーザに通知することが好ましい。
【0039】
次いで、本実施形態における動作を説明する。図2は、本実施形態における利用機会損失要因発生情報を収集するための処理を示すフローチャートである。
【0040】
まず、ステップS101では、車載装置200により、車載装置200が備えられたシェアリングカーの利用が開始されたか否かの判断が行なわれる。シェアリングカーの利用が開始されたと判断された場合には、ステップS102に進み、一方、シェアリングカーの利用が開始されていないと判断された場合には、ステップS101で待機する。なお、シェアリングカーの利用が開始されたか否かは、たとえば、ユーザが所有するIDカードを用いて、ユーザにより所定の利用開始操作が行なわれたか否かに基づいて判断される。
【0041】
ステップS102では、車載装置200により、シェアリングカーに乗車したユーザを識別するための処理が行なわれる。ユーザを識別するための方法としては、各ユーザが所有するIDカードの情報に基づいて識別する方法などが挙げられる。
【0042】
ステップS103では、車載装置200により、シェアリングカーの利用が開始された時間を利用開始時間として、車載装置200に備えられたメモリ(不図示)に記憶するための処理が行なわれる。
【0043】
ステップS104では、車載装置200により、ユーザによるシェアリングカーの利用が終了したか否かの判定が行なわれる。シェアリングカーの利用が終了した場合には、ステップS105に進み、一方、シェアリングカーの利用が終了していない場合には、ステップS104で待機する。なお、シェアリングカーの利用が終了したか否かは、たとえば、シェアリングカーが所定の返却位置に返却され、かつ、ユーザが所有するIDカードを用いて、ユーザにより所定の利用終了操作が行なわれたか否かに基づいて判断される。
【0044】
ステップS105では、車載装置200により、シェアリングカーの利用が終了した時間を利用終了時間として、車載装置200に備えられたメモリ(不図示)に記憶するための処理が行なわれる。
【0045】
ステップS106では、車載装置200により、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かについての判断が行なわれる。たとえば、今回利用したユーザにより、当該シェアリングカーの安全運行上支障が出るような破損や不具合が発生した場合には、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されなかったと判断し、それ以外の場合には、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたと判断することができる。
【0046】
ステップS107では、車載装置200から、ユーザ識別情報、利用開始時間、利用終了時間の情報、さらには、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの情報を、管理サーバ100に備えられている通信装置120に送信する処理が実行される。
【0047】
ステップS108では、管理サーバ100の制御装置110により、車載装置200から送信されたユーザ識別情報に基づいて、データベース130に記憶されたカーシェアリングシステムを利用する全ユーザから、該当するユーザを検出し、該当するユーザの予約情報を抽出する処理が行なわれる。
【0048】
ステップS109では、管理サーバ100の制御装置110により、ステップS108で抽出した該当するユーザの予約情報と、ステップS107において車載装置200から送信された利用開始時間および利用終了時間の情報に基づいて、シェアリングカーを利用したユーザが予約時間内にシェアリングカーを所定の駐車位置に返却したか否かの判定が行なわれる。そして、該判定の結果に基づいて、今回シェアリングカーを利用したユーザの利用機会損失要因発生情報を生成し、生成した利用機会損失要因発生情報をデータベース130に記憶させる。
【0049】
次いで、ステップS110では、管理サーバ100の制御装置110により、ステップS107において車載装置200から送信されたシェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの情報に基づいて、使用不能による利用機会損失要因発生情報を生成し、生成した利用機会損失要因発生情報をデータベース130に記憶させる。
【0050】
以上のようにして、利用機会損失要因発生情報を収集するための処理は実行される。なお、上述したステップS101〜S107の処理は、図1に示す3つの全ての車載装置200により同様に実行される。
【0051】
次いで、本実施形態における後続ユーザによる評価情報を収集するための処理を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
まず、ステップS201では、管理サーバ100の制御装置110により、ユーザから、ユーザ端末400によって、直前に同じシェアリングカーを利用した先行ユーザの評価情報を受信したか否かの判定が行なわれる。先行ユーザの評価情報を受信した場合には、ステップS202に進み、一方、先行ユーザの評価情報を受信していない場合には、ステップS201で待機する。
【0053】
ステップS202では、管理サーバ100の制御装置110により、データベース130に記憶された各ユーザの利用実績情報から、先行ユーザの評価情報を送信した後続ユーザの利用実績情報の取得が行なわれる。
【0054】
次いで、ステップS203では、管理サーバ100の制御装置110により、ステップS202で取得した先行ユーザの評価情報を送信した後続ユーザの利用実績情報に基づいて、データベース130に記憶された各ユーザの利用実績情報から、ステップS201で受信した評価情報に係る先行ユーザを特定する処理が行なわれる。具体的には、データベース130に記憶された各ユーザの利用実績情報から、先行ユーザの評価情報を送信した後続ユーザと同じシェアリングカーを、直前に利用したユーザを検索することで、評価情報に係る先行ユーザの特定が行われる。
【0055】
ステップS204では、管理サーバ100の制御装置110により、ステップS201で受信した評価情報を、ステップS203で特定された先行ユーザの後続ユーザによる評価情報として、データベース130に記憶させる処理が行なわれる。
【0056】
以上のようにして、後続ユーザによる評価情報を収集するための処理は実行される。
【0057】
次いで、本実施形態におけるシェアリングカーを利用する際の利用料金を設定するための処理を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下に説明する処理は、特定のユーザの利用料金を設定する場合、および全てのユーザの利用料金を設定する場合のいずれにも適用することができるが、以下の説明では、ある特定のユーザAの利用料金を設定する場合を例示して説明する。
【0058】
まず、ステップS301では、データベース130に記憶されたユーザごとの利用機会損失要因発生情報に基づいて、ユーザAがシェアリングカーを利用した結果、返却遅延や使用不能による利用機会損失要因をどの程度発生させたかの判定を行ない、該判定結果に基づいて、利用機会損失要因に基づく評価が行われる。
【0059】
次いで、ステップS302では、データベース130に記憶されたユーザAの後続ユーザによる評価情報に基づいて、ユーザAのシェアリングカーの使用態様に基づく評価が行われる。シェアリングカーの使用態様に基づく評価は、後続ユーザによる、シェアリングカーの備品等の破損の有無や破損の程度や、車体のキズの有無や破損の程度、車室内の汚れやゴミの有無や程度の評価結果に基づいて行なわれる。
【0060】
ステップS303では、ステップS301、S302にて算出されたユーザAの利用機会損失要因に基づく評価、およびシェアリングカーの使用態様に基づく評価に基づいて、ユーザAの総合評価が行われる。
【0061】
次いで、ステップS304では、ステップS303にて算出されたユーザAの総合評価に基づいて、ユーザAのシェアリングカーを利用する際の利用料金を設定する処理が行なわれる。
【0062】
そして、ステップS305では、ステップS304にて設定された利用料金を、ユーザAの所有するユーザ端末400に通知する処理が行なわれる。
【0063】
以上のようにして、シェアリングカーを利用する際の利用料金を設定するための処理は実行される。
【0064】
本実施形態においては、カーシェアリングシステムを利用する各ユーザごとに、返却遅延や使用不能による利用機会損失要因に基づく評価、および後続ユーザによるシェアリングカーの使用態様に基づく評価を、それぞれ求め、これらの評価に基づいて、各ユーザごとにシェエアリングカーを利用する際の利用料金を設定するものである。すなわち、本実施形態では、シェアリングカーを利用したユーザが予約時間内にシェアリングカーを所定の駐車位置に返却したか否か、さらには、シェアリングカーが使用可能な状態で返却されたか否かの判定を行ない、これらの判定結果に基づいて、利用機会損失要因に基づく評価を行う。これに加え、本実施形態では、シェエアリングカーを利用した後続ユーザに、直前に同じシェアリングカーを利用した先行ユーザの当該シェアリングカーの使用態様についての評価を行わせることで、シェアリングカーの使用態様に基づく評価を行う。そして、これらの評価の評価が高い場合には、シェエアリングカーを利用する際の利用料金を低く設定し、これらの評価の評価が低い場合には、シェエアリングカーを利用する際の利用料金を高く設定するものである。
【0065】
そのため、本実施形態によれば、各ユーザが、シェアリングカーの返却遅延を避けたり、さらには、シェアリングカーを使用不能な状態としたり、備品を破損させたり、車体にキズをつけたりしないように、各備品や車両の操作を丁寧に行なったり、さらには、車室内をきれいに利用することに対する動機付けとすることができる。そして、これにより、シェアリングカーの返却遅延や使用不能による利用機会の損失や、シェアリングカーの備品の破損や車体のキズ、さらには車室内の汚れなどの次に利用するユーザの満足度の低下を引き起こすような事項の発生を有効に防止することができ、結果として、シェアリングカーの利用率の向上を図ることが可能となる。特に、返却遅延や返却不能などにより、次に利用するユーザがシェアリングカーを利用できない場合や、シェアリングカーの備品の破損や車体のキズ、さらには車室内の汚れなどにより、次に利用するユーザがシェアリングカーを利用できた場合でも不快に感じる結果となってしまった場合には、ユーザの満足度が低下してしまい、結果として、シェアリングカーの利用率が低下してしまうおそれがある。これ対して、本実施形態によれば、上記構成を採用することによりこのような問題を有効に解決できるものである。また、車室内の汚れやゴミを減少させることにより、清掃に係るメンテナンスコストを低減することも可能となり、さらには、返却遅延が減少することにより、返却遅延による車両再配分に係るコストを削減することも可能となる。
【0066】
加えて、本実施形態によれば、後続ユーザによる評価結果に基づいて、先行ユーザのシェアリングカーの使用態様に基づく評価を行う際に、他のユーザと明らかに異なる評価を行うユーザによる評価が含まれている場合には、該ユーザによる評価を除外して、シェアリングカーの使用態様に基づく評価を行うため、適切に、先行ユーザのシェアリングカーの使用態様に基づく評価を行うことができる。特に、後続ユーザによる先行ユーザの評価は、主観的な側面があるため、評価レベルに個人差が現れる場合がある一方で、本実施形態によれば、他のユーザと明らかに異なる評価を行うユーザによる評価が含まれている場合には、該ユーザによる評価を除外して、シェアリングカーの使用態様に基づく評価を行うことにより、このような問題を有効に解決することができる。
【0067】
なお、上述した実施形態において、データベース130は本発明の記憶手段に、制御装置110の利用機会損失要因判定機能およびユーザ評価機能は本発明の第1評価手段に、制御装置110の後続ユーザ判定機能およびユーザ評価機能は本発明の第2評価手段に、制御装置110のユーザ評価機能は本発明の評価更新手段に、制御装置110の利用料金設定機能は本発明の利用料金設定手段に、それぞれ相当する。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0069】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る車両管理システムの一例としてカーシェアリングシステムを例示して説明したが、本発明の車両管理システムは、レンタカーシステムや、車両リースシステムなどにももちろん適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
100…管理サーバ
110…制御装置
120…通信装置
130…データベース
200…車載装置
300…インターネット
400…ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザに利用される車両を管理するための車両管理システムであって、
車両を利用するユーザの評価を含むユーザ情報を、ユーザごとに記憶する記憶手段と、
ユーザが車両を利用することにより、該車両の利用機会損失要因を発生させたか否かを判断し、該判断結果に基づいて、車両を利用したユーザの評価を行う第1評価手段と、
車両を利用する後続ユーザに、該車両を直前に利用した先行ユーザの該車両の使用態様に関する評価を行わせ、後続ユーザによる評価に基づいて、先行ユーザの評価を行う第2評価手段と、
前記第1評価手段による評価結果、および前記第2評価手段による評価結果に基づいて、車両を利用する各ユーザの評価を、ユーザごとに決定し、決定した各ユーザの評価を前記記憶手段に記憶させる評価更新手段と、
前記記憶手段に記憶された各ユーザの評価に基づいて、ユーザごとに車両を利用する際の利用料金を設定する利用料金設定手段と、
を備えることを特徴とする車両管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両管理システムにおいて、
前記第2評価手段は、車両を利用する後続ユーザによる評価が、他のユーザによる評価の分布から外れるものである場合には、該評価については考慮しないことを特徴とする車両管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両管理システムにおいて、
前記第1評価手段は、車両の利用機会損失要因を発生させる頻度が低いほど、ユーザの評価を高く設定することを特徴とする車両管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両管理システムにおいて、
前記第2評価手段は、後続ユーザによる評価が高いほど、先行ユーザの評価を高く設定することを特徴とする車両管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両管理システムにおいて、
前記利用料金設定手段は、評価が高いユーザほど、車両を利用する際の利用料金を低く設定することを特徴とする車両管理システム。
【請求項6】
複数のユーザに利用される車両を管理するための車両管理方法であって、
車両の利用機会損失要因を発生させたか否か、および後続ユーザによる評価が高いか否かに基づいて、車両を利用したユーザの評価を行い、
該評価結果に基づいて、車両を利用する際の利用料金を、ユーザごとに設定することを特徴とする車両管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−54538(P2013−54538A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192302(P2011−192302)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】