説明

車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造

【課題】平床の荷台にも走行輪を具備するコンテナー、即ち多くの場合、産業廃棄物や一般廃棄物等を収容する為に使用されているコンテナーを載せることのできるようにした車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造を提供すること。
【解決手段】 トレーラーを含む車両の荷台に載せ置かれる車載用コンテナーであって、底面における長手方向の少なくとも何れかに、当該長手方向に回動自在な走行輪が設けられており、当該走行輪の近傍には、当該走行輪の下端よりも短く突出すると共に、長手方向の中心方向に徐々に突出幅を狭めたサポート部材を設けた車載用コンテナーとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造に関し、特に平床の荷台であっても走行輪が設けられたコンテナーを積載可能であって、更にトレーラにあっては、牽引される側から積載可能にした車両荷台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物、一般廃棄物、その他各種物品等の物流システムにおいて、脱着装置付コンテナー専用車が複数個のコンテナーと組合せて使用されている。空のコンテナーを廃棄物等の発生場所に配置しておき、該コンテナーが満杯になると、この廃棄物等を収容したコンテナーをコンテナー専用車に積載して搬出するようになっている。
【0003】
そして従来の脱着装置付コンテナー専用車は、フレームで構成された専用ボディー上にコンテナーを積み込んだり下ろしたりするための脱着装置がトラック側に設けられている。かかる脱着装置としては油圧などで動作するアームでコンテナーの一端を持ち上げて強制的に積降ろしを行うものが存在する。また、ラックに備えたリフトアームでコンテナー等を吊り上げて積降ろしする方式の水平脱着ボデー車と呼ばれるものがあるが、これもコンテナーを対象とするときはコンテナー専用車であり、フレームで構成された専用ボディーが使用されている。
【0004】
そして従前において、コンテナー専用車については特許文献1が提案されている。この特許文献1は、1回の積降ろし作業で、充コンテナーが置かれていた位置に空コンテナーを置く事を目的として、積載された空コンテナーを降ろし、収容物の入った充コンテナーを積載して運搬するコンテナー専用車において、荷台に積載された前記空コンテナーを上昇させる機能および該空コンテナーを地上に降ろす機能を有する荷降ろし用リフターを前記荷台または車体の後部に備え、地上に置かれた前記充コンテナーを水平状態で昇降させるための動力源を前記荷台または車体に備え、かつ上昇させた該充コンテナーを前記荷台に積載するための牽引治具を前記荷台または車体の前部に備えたコンテナー専用車が提案されている。
【0005】
また従来では、コンテナーを車両に搭載して移送する場合の移送能率を高めるべく、2台のコンテナーを同時に移送するようにしたコンテナーの移送手段が知られており、特許文献2では、2台のコンテナーを縦列して積載できるようにしたコンテナー積載用セミトレーラおよびそのセミトレーラへのコンテナーの積載方法が提案されている。この特許文献2では、2台のコンテナーを縦列して積載し得る前、後部荷台を有する台車と、この台車の後半部に懸架される走行装置と、前記台車の前半部に設けられて該台車の前部を、地上に支持すると共に昇降調節し得る前部ジャッキと、前記台車の後半部に設けられて該台車の後部を地上に支持する後部ジャッキと、前記台車の前端にトラクタの連結器を着脱可能に連結し得る被連結部とを備えているコンテナー積載用セミトレーラが提案されている。
【0006】
更に、特許文献3には、車台上にコンテナー等を積込むコンテナー荷役車両の後方に、車台フレーム上に搭載した後側コンテナーが牽引されるようにしたフルトレーラ式コンテナー荷役車両が提案されており、特に後側コンテナーは、テールゲートが前側に位置するように車台フレーム上に搭載され、そのテールゲートの前面に位置する車台フレームには、車台フレーム上でのテールゲートの開放を禁止するストッパが設けられているフルトレーラ式コンテナー荷役車両が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−326783号公報
【特許文献2】特開2005−178619号公報
【特許文献3】実開平6−36976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従前より、産業廃棄物、一般廃棄物、その他各種物品等を収容する為に提供されている車両積載用のコンテナーは、台車の底面に回転可能な走行輪が設けられている。そしてこのようなコンテナーを積載する為の車両荷台は、角筒体よりなる左右一対の縦フレームと、それらの縦フレーム間を一体に連結する複数のクロスフレームとより梯子状に形成されており、この一対の縦フレーム上には、それらの全長にわたって一対の案内レールがそれぞれ固定されている。そして各案内レールは、その上面にコンテナーの主桁がスライドし得る支持面を有し、またその内・外側面にコンテナーを正規の左右方向に誘導する案内部材が突起して形成されている。
【0009】
即ち、従前において底面に走行輪が設けられている車両積載用のコンテナーを載せる為の荷台は、コンテナーの底面に設けられた主桁を指示する案内レールが必要であり、平床の荷台に積載することができなかった。
【0010】
しかしながら、物流の実際の場面を考慮すれば、運搬する荷物が上記のような底面に走行輪が設けられたコンテナーの時もあれば、平床で運ぶべき一般の荷物の時もあるのが実情である。そして係るコンテナーを運搬する為には、従前の通り専用の荷台を備える車両が必要であり、これは他の用途に使用しにくいものであったことから、経済的に好ましいものではなかった。
【0011】
そこで本発明は、平床の荷台にも車輪(走行輪)を具備するコンテナー、即ち多くの場合、産業廃棄物や一般廃棄物等を収容する為に使用されているコンテナーを載せることのできるようにした車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造を提供することを第一の課題とする。
【0012】
またトレーラーにコンテナーを積み込む場合には、牽引してきたトレーラーの前から積み込むことができれば、積み込み作業の為に牽引車となるトラックをトレーラーのリヤ側に移動させる必要が無くなる。
【0013】
そこで本発明は、トレーラーの牽引方向からコンテナーを積み込むことができるようにした車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造を提供することを第二の課題とする。

【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明ではトレーラーを含む車両の荷台に載せ置かれる車載用コンテナーであって、底面における長手方向の少なくとも何れかに、当該長手方向に回動自在な走行輪が設けられており、当該走行輪の近傍には、当該走行輪の下端よりも短く突出すると共に、長手方向の中心方向に徐々に突出幅を狭めたサポート部材を設けた車載用コンテナーを提供する。
【0015】
上記サポート部材は、走行輪に対峙するようにしてコンテナーの底面に突出して形成され、走行輪から離れるに従って緩やかに突出幅を減じるように形成されている。特にこのサポート部材は金属板などを用いて形成することができ、この場合は恰も側板として走行輪に対向するように設けられる。なお、このサポート部材は必ずしも金属板で形成される必要は無く、鋼材を曲折させて形成することもできる。
【0016】
かかるサポート部材は、当該コンテナーにおける走行輪を荷台の外に落とすときに、当該コンテナーに対して衝撃を与えないように機能するものであり、また荷台の外に落とした走行輪を荷台上に引き上げるときに、引っかかりが無いように機能する。
【0017】
即ち、本発明に係る車載用コンテナーでは、このサポート部材を形成していることにより、何ら問題なく走行輪を荷台の外に落としこむことができ、その結果、車載用コンテナーの底面が荷台上に載って、平床の荷台上であっても安定して移送することが可能になる。この点、仮に走行輪を荷台の外に落としこまないで平床上に載せた場合には、コンテナーとその中の積載物の重量がそのまま走行輪の車軸に作用し、当該車軸を破損させるおそれがある。また走行輪の突出分だけ後端側が高くなることから、水平にコンテナーを載せ置くこともできなくなる。よって、本発明に係る車載用コンテナーでは、この様な問題を解決しながらも、平床の荷台に載せて搬送することのできるものとなっている。
【0018】
また、本発明では前記課題の少なくとも何れかの課題を解決する為、少なくとも車載用コンテナーを、車両(トレーラーを含む)の荷台に積むための荷台用補助架台であって、車両の車幅と実質同一となってトレーラに載置して固定可能な架台本体と、架台本体の長手方向における少なくとも何れかに、当該長手方向に回動自在な車輪(走行輪)が設けられており、当該車輪(走行輪)の近傍には、当該車輪(走行輪)の下端よりも短く突出すると共に、長手方向の中心方向に徐々に突出幅を狭めたサポート部材が設けられている荷台用補助架台を提供する。
【0019】
かかる荷台用補助架台も前記した本発明の車載用コンテナーと同じように、走行輪を具備しながらも、これを荷台の外に落とし込むことにより平床の荷台でも載せて搬送できるように構成している。特に係る荷台用補助架台は、従前における車載用コンテナーやその他の荷物を載せた状態で、これを車両の荷台に載せる為に使用することができる。この荷台用補助架台は、鋼材などを用いて格子状等に形成する他、鉄板を用いてコンテナー状に形成することもできる。
【0020】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかの課題を解決する為に、上記本発明に係る車載用コンテナーまたは荷台用補助架台を載せる為の、車両(トレーラーを含む)の荷台構造であって、少なくとも走行時における進行方向の後端側に前記サポート部材を支持して、車輪(走行輪)を荷台の外に案内する曲面または回転体からなるガイド部材が設けられている車両の荷台構造を提供する。
【0021】
かかるガイド部材は、前記した車載用コンテナーや荷台用補助架台の下面に形成される突起部材を円滑に案内する為のものであり、当該車載用コンテナーや荷台用補助架台を荷台上に載せる際に移動させる、移動方向の後端側に設置される。このガイド部材を具備する荷台上に前記した車載用コンテナーや荷台用補助架台を載せる場合には、その突起部材がスムーズに落下し、一層衝撃や引っ掛かりをなくすことができる。
【0022】
そして、かかる荷台構造においては、更に、走行輪を荷台の外にした状態における車載用コンテナーや荷台用補助架台における走行輪が形成されている側の下面を支持する柱部材を設ける事も望ましい。走行輪を落下させることにより、車載用コンテナーや荷台用補助架台が荷台よりも後方に出っ張る事になるが、それでも安定性をより高める為である。
【0023】
そして本発明では、上記本発明に係る車載用コンテナーまたは荷台用補助架台を載せる為の、車両(トレーラーを含む)の荷台構造であって、車載用コンテナーまたは荷台用補助架台に設けられた走行輪を載せた状態で、荷台上を長手方向にスライドする案内部材を備えた車両の荷台構造を提供する。
【0024】
車載用コンテナーをトレーラー等に載せる為に、当該トレーラーの平床上を移動させることが必要になる。しかしこの移動に際しては、仮にコンテナーの下面に設けられた走行輪を転がして移動させたのでは、当該走行輪の向きにより進行方向が定まってしまい、荷台上をまっすぐ移送させるのが困難である。そこで荷台上に、荷台上を長手方向に真直ぐスライドする案内部材を設け、この上に案内するコンテナーの車輪(又は走行輪)を載せて、走行輪を載せた状態でこの案代部材をスライドさせることにより、荷台上をまっすぐ移送するものである。
【0025】
更に本発明では、上述のようにして本発明にかかる車載用コンテナーまたは荷台用補助架台を荷台に載せた後において、当該車載用コンテナーまたは荷台用補助架台を荷台に固定又は保持するストッパーを備える車両の荷台構造とすることも望ましい。かかるストッパーは、油圧乃至はリンク機構などを利用して構成することができ、車載用コンテナーの何れかの部位を挟持する構造に形成したり、車載用コンテナーの下面に設けられた孔に軸を刺し通して保持する構造など、各種の構造で形成することができる。
【0026】
更に本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、トレーラーの進行方向前側に設けられるドローバー(牽引棒)を水平揺動自在または上下動自在に軸支してなるトレーラーである。かかるトレーラーにおいては、牽引車(トラック)の荷台に積載しているコンテナーをトレーラーの荷台に移す場合、或いはトレーラーの荷台に積載しているコンテナーを牽引車(トラック)の荷台に移す場合には、ドローバーを左右の何れかに倒すことにより、トレーラーと牽引車との間の隙間を小さくし、かかるコンテナーの移動を実施することができる。
【0027】
更に本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、荷台を有する車両であって、当該車両の荷台が上記本発明に係る荷台構造に形成されている車両を提供する。この車両とは、トラックなどの様に荷台を有する自動車に限らず、荷台が形成されているトレーラーや、荷台を有する鉄道車両も含む。またトレーラーは、当然のことながらセミトレーラーでもフルトレーラーでも良い。

【発明の効果】
【0028】
上記本発明に係る車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造によれば、平床の荷台であっても、多くの場合、産業廃棄物や一般廃棄物等を収容する為に使用されている車輪(走行輪)を具備するコンテナーを載せることができるようになり、1つの車両を多様な用途に使用することが可能になる。
【0029】
またトレーラーにコンテナーを積み込む場合には、牽引してきたトレーラーのドローバーを左右の何れかに倒すことにより、当該トレーラーの前からの積み込むことができ、積み込み作業時における牽引車(トラック等)の移動の手間を減じることができる。
【0030】
更に、平床の荷台上を長さ方向にスライドする案内部材を設けた場合には、コンテナーは、その下面の走行輪ではなく、平床の荷台上を真直ぐ移動する案内部材によって移送されることから、例え平床の荷台であっても、まっすくコンテナを載せることができる。これにより、平床の荷台には、コンテナのほか、必要に応じてパレットやその他の荷物を載せることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態に係るコンテナーの側面図
【図2】図1に示すコンテナーの背面図
【図3】図1に示すコンテナーの下方向から見た斜視図
【図4】走行輪とサポート部材を下面に設けら荷台用補助架台を示す側面図
【図5】サポート部材の構成を示す図面
【図6】本実施の形態にかかる車両の荷台構造を示す斜視図
【図7】荷台にガイド部材を設けた車両の背面図
【図8】走行輪を荷台の外に落とし込む手順を示す工程図
【図9】トレーラーにおけるドローバーの揺動状態を示す略図
【図10】コンテナーを運搬手順を示す略図
【図11】案内部材を設置した荷台を示す側面図(A)、および同平面図(B)
【図12】案内部材の構成を示す上面斜視図(A1)(A2)、および同下面斜視図(B)
【図13】荷台に対するコンテナの積み降ろしを説明する工程図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る車両荷台積載用コンテナー50と当該コンテナー積載用の車両荷台70構造を、図面に示した1つの実施の形態に基づいて説明する。
【0033】
図1は本実施の形態に係るコンテナー50の側面図、図2は当該コンテナー50の背面図であり、図3は当該コンテナー50の下方向から見た斜視図である。この図1〜3に示すコンテナー50は、車両の荷台70に載せた状態で搬送するとき、その進行方向の後端側となる、図1における図面右側の下面に、走行輪52が下に垂れ下がるように突起して設けられており、その内側にはフィン状に突起したサポート部材51が設けられている。この実施の形態におけるサポート部材51は、鋼鈑を用いて形成しており、コンテナー50の後端側から走行輪52の下端近傍まで大きく張り出し、走行輪52よりも前方において徐々に張り出し幅を狭めた形状に形成されている。その他にも、このサポート部材51は、楔形に形成したりすることもでき、また鋼鈑に変えて長尺な鋼材を曲折させて形成することもできる。かかるサポート部材51は、少なくとも走行輪52からコンテナー50の前方に向かってなだらかに傾斜していることが望ましい。
【0034】
なお、このサポート部材51は、図1および図2からも明らかなように、走行輪52よりも下に突き出ないように形成される。これは平ボディー(平床)の荷台70上でコンテナー50を移送する場合、当該走行輪52が荷台70上に接していることが必要だからである。但し、このサポート部材51を案内するような溝が当該荷台70上に形成されている場合には、この走行輪52よりも下に突き出るように形成することもできる。
【0035】
そして当該コンテナー50は、図3の底面斜視図にも示すように、その長さ方向に沿って平行に設けられた左右一対の縦フレーム53が設けられており、この縦フレーム53がコンテナー50の下面から出っ張っている。また縦フレーム53を横架してクロスフレーム54が複数設けられ、当該コンテナー50の強度を高く保っている。
【0036】
なお、本実施の形態ではサポート部材51を走行輪52の内側に設けているが、これに限らず走行輪52の外側に形成しても良い。また、このサポート部材51を幅広く形成したり、或いは複数形成した場合には、荷台70から走行輪52を落とし込むときにかかる重量を分散することができ、よって、後述する構造を有する荷台70に限らず使用することもできる。特に、このコンテナー50には、後述する牽引車に設けられたアームを係止する為の取り付け部分55が、前面に設けられている。
【0037】
図4は、上記の走行輪52とサポート部材51を荷台用補助架台60の下面に設けた実施の形態を示している。この荷台用補助架台60は、トラックの荷台70やトレーラーの荷台70上に載せて使用されるものであり、当該荷台用補助架台内に収めた物、本実施の形態ではコンテナー50を安定した状態で荷台70に載せる為に使用される。この荷台用補助架台60においても、走行輪52とサポート部材51とは、車両の走行方向の後端側の下面に設けられている。
【0038】
そして上記のように形成されたサポート部材51は、図5に示すように、コンテナー50または荷台用補助架台60の下面と成す内角θが80°以下、望ましくは65°以下、特に望ましくは20°〜40°の範囲で形成されるべきである。この内角θが80°を超えると、当該コンテナー50または荷台用補助架台60を再び荷台70の上に引き戻す時に大きな力が必要になり、一方で20°未満ではこのサポート部材51の出幅にもよるが、一般には走行輪52の回転中心からの距離Lが長くなってしまい、その結果、荷台70に載せて走行輪52を荷台70から落とし込んだ時ので幅が大きくなってしまう為である。
【0039】
次に図6を参照しながら、本実施の形態にかかる車両の荷台70構造と、この荷台70構造を示す自動車の実施の形態を示す。図6に示す車両の荷台70は、平床に形成されており、その走行時における後端側には、鼓形状を軸方向に交差する向きに半分にした形状(以下「半鼓形状」とする)であって、周方向に回動自在なガイド部材71を設けており、広がった側の端面同士を対向させ、かつ両者に一定の間隔をおいて配置している。このガイド部材71は、単純な円筒状に形成することもでき、更に軸周りに回動しないものとして形成しても良い。更に、当該ガイド部材71は、単なる湾曲面に形成してもよい。このガイド部材71は、前記したサポート部材51が載り、当該サポート部材51を荷台70の外に案内するものとして機能し、かかる機能を担保できる限り如何なる形状でも良い。
【0040】
特に、この図6に示すような半鼓形状に形成した場合には、対向して配置されたサポート部材51の夫々が、当該ガイド部材71の傾斜した湾曲面により、外側に向けて付勢され、その結果当該サポート部材間の中心と、ガイド部材間の中心の位置合わせを行うことができるので、好ましいものとなる。
【0041】
但し、このガイド部材71の設置位置(荷台70の幅方向に沿う位置)は、少なくとも前記サポート部材51がその上を通過するような位置に形成されるべきである。さもなくば車載用コンテナー50や荷台用補助架台60の下面に設けられたサポート部材51の案内を実現できない為である。
【0042】
図7は、上記図6に示したように半鼓形状のガイド部材71を対向配置した状態における、車両の後端から見た図面を示しており、特に荷台70上に、上記の実施の形態に示したように、下面に走行輪52とサポート部材51を設けたコンテナー50を載置した状態を示している。特にこの図7(A)は、荷台70上のコンテナー50を後端側に移送している状態を示しており、図7(B)は、コンテナー50の後端側であって、走行輪52を荷台70の外に落とした状態を示している。
【0043】
そして上記荷台には、車載用コンテナー50を荷台70の上にまっすぐに積載する為の案内部材10を設ける事が望ましい。図11は当該案内部材10を設置した荷台70を示す側面図(A)、および同平面図(B)であり、図12はこの案内部材10の構成を示す上面斜視図(A1)(A2)、および同下面斜視図(B)である。
【0044】
この実施の形態に示す案内部材10は、荷台70の幅方向と略同じに長さで、かつ少なくとも前記コンテナー50の下面に設けられた走行輪52を載せ置くことのできる幅を有するプレート部11と、このプレート部11の上面に突起して設けられ、このプレート部11の上に載った走行輪52の転がりを抑える支持部12とで構成されている。このプレート部11は、車両の荷台上を、当該車両荷台の長さ方向に移動乃至はスライド自在に設けられており、図11上に矢印で示す方向に移動可能に設けられている。なお、プレート部の移動をスムーズに行う場合には、当該荷台上にプレート部を案内するレールなどを設けることも考えられる。
【0045】
この案内部材10は、図12に示すように、荷台の幅の長さを有するプレート部の上であって、コンテナ50の各走行輪52に対応する位置に、夫々支持部12が設けられている。この支持部12は、図12(A1)および(A2)に示すように、プレート部11に対して着脱自在に設けられており、更にその向きを逆転させてプレート部11に固定できるように設けられている。即ち、本実施の形態では、支持部12の下面から2つの軸を延在させ、プレート部には、当該軸が挿入される孔13を設けている。特に、この支持部12は、走行輪52を抑える面14の前に当該走行輪を載せ置く為の面乃至は領域を確保できるようにして、プレート部上に設置できるように、当該プレート部に設ける孔13は、その形成位置が調整されている。また、この案内部材10は、図12(B)に示すように、その下面に荷台上をスライドする際の抵抗を減じるための凸部15が設けられている。この凸部15は、長年の使用により磨耗した場合などにおいて、任意に交換可能なように設置することが望ましい。例えば当該凸部15を着脱自在に設けることができる。
【0046】
以上のように構成された案内部材を具備する荷台上に前記のコンテナ50を載せ置く場合およびこれを降ろす場合の動作を、図13を参照しながら説明する。
コンテナ50を荷台に積み込む際には、図13(A)に示すように、最初にコンテナ50の下面に設けられた走行輪52を走行させて、これをプレート部11に載せると共に、この走行してきた走行輪52をプレート部上の支持部12で押さえて、これを支持する。そして、図13(B)に示すように、そのままコンテナ50を荷台の後方へ押して行く。このコンテナの移動に際しては、その移動方向は当該案内部材10のスライド方向に規制されることから、仮に走行輪52の回転軸が荷台70の長さ方向に対して直行していない場合であっても、当該コンテナは荷台上を真直ぐ進むことができる。そして、案内部材10を荷台の後端まで移動させた段階で、今度は支持部12を取り外し、そして走行輪52を転がしながら、そのままコンテナを更に後方へ押しやる。これにより、図13(C)に示すように、コンテナ50の下面からフィン状に突起しているサポート部材51が、車両の荷台70の後端側に設けられたガイド部材71に載ると共に、そのまま荷台の後方へ案内されて、当該コンテナ50が安定して平床の荷台上に載せ置かれる。
【0047】
次に、このコンテナ50を荷台70から降ろす場合には、図13(D)に示すように、取り外した支持部12を、コンテナを載せる時とは逆向きにしてプレート部11の上に設置し、そしてコンテナ50を荷台70の前方(矢印で示す方向)に引き出す。これにより、コンテナの下面に設けられた走行輪52は、この案内部材のプレート部11の上に載り、その転がりが支持部12によって抑えられることから、引かれたコンテナは当該案内部材10ごと、荷台上を真直ぐ移動することができる。
【0048】
なお、上記案内部材10は、荷台上を、その長さ方向に直進してスライド可能なように、即ち傾くことが無い様に、その移動方向が規制されることが望ましく、また荷台の上方に浮き上がることの無い用に荷台上にスライド自在に保持される事が望ましい。
【0049】
図8は、この走行輪52を荷台70の外に落とし込む手順を示している。この手順を、図面を参照しながら説明すると、先ず(A)に示すように、コンテナー50の下面に設けられている走行輪52により、コンテナー50を荷台70の後端まで移送する。後端まで移送した状態では、今度は(B)に示すようにサポート部材51がガイド部材71の上に乗り、そのまま後端側(図面中矢印で示す向き)に移送することで、(C)に示すように、走行輪52は浮いた状態で荷台70よりも後方に移動する。更にコンテナー50部材を荷台70の後方に移送することにより、サポート部材51がガイド部材71上を案内され、当該ガイド部材71の傾斜面(または湾曲面)により緩やかに、コンテナー50の下面が荷台70に近づくことになる。そして最終的にはコンテナー50の下面に設けられた、図3に示したような縦フレーム53が荷台70の上に載り、荷台70上に、当該荷台70と平行に積載されることになる。
【0050】
そして図9は車両が特にトレーラーである場合に、その進行方向前側、即ち牽引車側に設けられるドローバーを左右方向に揺動自在に形成した例を示している。ドローバーをこのように形成することで、牽引車の後端をトレーラーの全面に近接させることができ、これにより牽引車の荷台70上に載せたコンテナー50を、そのままトレーラーの荷台70上に移送することができるようになる。
【0051】
図10は、上記のような荷台70構造およびドローバーを有し、更に上記したようなコンテナー50を運搬する際の手順を示す略図である。この図において牽引車として使用されるトラックは、荷台70を備えると共に、その荷台70上に、側面略「L」字状で、油圧などの動力機構によって駆動するアームを伴って構成された移送機構が設けられており、当該アームの上端には、トラックの荷台70上に載せたコンテナー50の前面が係合している。そして図10(A)に示すように、アームの基端を中心に先端側を後方に回動させることにより、コンテナー50の前方が持ち上げられると共に、後端の下面に設けられた走行輪52によって、トラックの荷台70からトレーラの荷台70に移動する。この時トレーラーの先端側に設けられたドローバー80は、前記図9に示したように左右何れかの方に向けられていることから、トラックの荷台70とトレーラーの荷台70とは、大凡面一となるように、同じ高さに保持される。そして其のままコンテナー50を移送して、コンテナー50の下面に形成された走行輪52がトレーラーの後端からはみ出るまで移動させる。
【0052】
次にトラックは、トレーラーから離れて別の場所に置かれているコンテナー50を、その荷台70上に載せる。この手順は図10(B)に示すように、前述のアームによって地上におかれたコンテナー50を、荷台70上に引き上げることにより行うことができる。そして、トラックの荷台70上にもコンテナー50を載せた状態で、先のコンテナー50を載せたトレーラーをドローバーで接合することにより、2つのコンテナー50を同時に移送することができる。
【0053】
特に、この実施の形態に示した車両によれば、トレーラーへのコンテナー50の移動を、トラックの移動を最小限にして、円滑に行うことができる。
【0054】
なお、荷台70上に載せ置かれたコンテナー50や荷台用補助架台60は、ボルトやワイヤーなどにより荷台70に連結し、その脱落を確実に阻止するのが望ましい。

【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように構成された車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造を利用することにより、平床の荷台であっても産業廃棄物などのコンテナーを載置できるようになるのであるから、物流業界において有効に利用される。更に、これまでに無い車両荷台積載用コンテナー、車両荷台用補助架台および当該コンテナー積載用の車両荷台構造を提供することにより、トラックやトレーラーなどの荷台を有する車両の製造分野の活性化を図ることもできる。

【符号の説明】
【0056】
50 車両荷台積載用コンテナー
50 車載用コンテナー
51 サポート部材
52 走行輪
53 縦フレーム
54 クロスフレーム
60 荷台用補助架台
70 車両荷台
71 ガイド部材
80 ドローバー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラーを含む車両の荷台に載せ置かれる車載用コンテナーであって、
底面における長手方向の少なくとも何れかに、当該長手方向に回動自在な走行輪が設けられており、
当該走行輪の近傍には、当該走行輪の下端よりも短く突出すると共に、長手方向の中心方向に徐々に突出幅を狭めたサポート部材が設けられていることを特徴とする車載用コンテナー。

【請求項2】
少なくとも車載用コンテナーを、トレーラーを含む車両の荷台に積むための荷台用補助架台であって、
車両の車幅と実質同一となってトレーラに載置して固定可能な架台本体と、
架台本体の長手方向における少なくとも何れかに、当該長手方向に回動自在な走行輪が設けられており、
当該走行輪の近傍には、当該走行輪の下端よりも短く突出すると共に、長手方向の中心方向に徐々に突出幅を狭めたサポート部材が設けられていることを特徴とする荷台用補助架台。

【請求項3】
請求項1に記載の車載用コンテナーまたは請求項2に記載の荷台用補助架台を載せる為の、トレーラーを含む車両の荷台構造であって、
少なくとも走行時における進行方向の後端側に前記サポート部材を支持して、走行輪を荷台の外に案内する曲面または回転体からなるガイド部材が設けられていることを特徴とする、車両の荷台構造。

【請求項4】
更に、走行輪を荷台の外にした状態における請求項1に記載の車載用コンテナーまたは請求項2に記載の荷台用補助架台における走行輪が形成されている側の下面を支持する柱部材を設けた、請求項4に記載の車両の荷台構造。

【請求項5】
請求項1に記載の車載用コンテナーまたは請求項2に記載の荷台用補助架台を載せる為の、トレーラーを含む車両の荷台構造であって、
請求項1に記載の車載用コンテナーまたは請求項2に記載の荷台用補助架台に設けられた走行輪を載せると共に、荷台上を長手方向にスライドする案内部材を備えることを特徴とする、車両の荷台構造。

【請求項6】
前記案内部材は、荷台上を長手方向にスライドするプレート部と、当該プレート部の表面に突起して前記走行輪の転がりを抑える支持部とからなり。当該支持部は、プレート部に対して着脱自在に設けられている、請求項5に記載の、車両の荷台構造。

【請求項7】
請求項1に記載の車載用コンテナーまたは請求項2に記載の荷台用補助架台を載せる為の、トレーラーを含む車両の荷台構造であって、
請求項1に記載の車載用コンテナーまたは請求項2に記載の荷台用補助架台を固定又は保持するストッパーを備えることを特徴とする、車両の荷台構造。

【請求項8】
トレーラーを含む荷台を有する車両であって、当該車両の荷台が請求項3〜6の何れか一項に記載の荷台構造を備える、車両。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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