説明

車両運行記録装置および運行記録制御方法ならびに運行記録プログラム

【課題】運行記録計の車載器本体の表示だけで乗務員の識別を容易にすると共に、乗務員コードに関する不正な情報の流出を防止する。
【解決手段】数値や文字列の情報を可視表示可能な表示部29と、複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報を登録情報として保持可能な不揮発性記憶部21と、少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取り可能なカード読み取り部23と、装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記不揮発性記憶部21が保持している登録情報の乗務員コードとを照合し、照合に成功した場合に限り該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って前記表示部に出力する表示制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上に搭載され、前記車両の運行状況を表す情報を逐次収集し、所定の記録媒体上にデジタルデータとして前記情報を記録する車両運行記録装置および運行記録制御方法ならびに運行記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トラックやタクシー、配送用車両等の業務用車両については、乗務員の労務管理や安全管理のために、車両の運行状況を自動的に記録する車両運行記録計、すなわちタコグラフが車載器として各々の車両に搭載されている。このようなタコグラフは、その車両の走行速度やエンジン回転数といった走行状態を検出して自動的に記録する。各車両のタコグラフによってチャート紙等に記録された情報は、車両の運行を管理している会社の営業所等において読み取られ、乗務員の労務管理や安全管理に利用される。
【0003】
近年では、上述のような車両運行記録計は一般的にデジタルタコグラフと呼ばれ、様々な機能が追加されている。デジタルタコグラフは、車両の走行センサやエンジン回転数センサからの出力を基に割り出される走行速度やエンジン回転数といった、時々刻々変化する車両の走行状態に関する時系列情報を、デジタルデータの形で収集し不揮発性メモリを内蔵したメモリカードのような記憶媒体に自動的に記録する。更に、例えば乗務員が車両を運転した時間の情報や、車両の急発進、急停止の回数といった、乗務員の運行業務の状態に関する情報も収集されデジタルデータの形で記憶媒体に記録される。
【0004】
ところで、例えば個人タクシーのように個人で営業を行っている場合でない限り、一人の乗務員が常に同じ車両を使用して運行業務を行うわけではない。従って、車両運行記録計を使用する場合には、乗務員毎に個別に情報を収集して管理する必要がある。そこで、現状では以下に説明するような状態で管理を行っている。
【0005】
1.乗務員を管理している会社の事務所では、各々の乗務員を特定可能な乗務員コードが書き込まれた乗務員カード(メモリカード)を作成し、各々の乗務員に1枚ずつ乗務員カードを配布する。
2.各乗務員は、運行業務を開始する前に、自分の乗務員カードを使用する車両に搭載された車両運行記録計(車載装置)に装填し、車両の運行業務を開始する。
3.車両の運行業務を行っている間は、車両運行記録計が情報を収集する。
4.車両の運行業務が終了した時に、収集した情報をデジタルデータとして装填された乗務員カードに記録し、乗務員は自分の乗務員カードを車両上の車両運行記録計から抜き取って持ち帰る。
5.乗務員を管理している会社の事務所で、乗務員が自分の乗務員カードを管理用コンピュータのカードリーダに装填し、この乗務員カードに記録されているデータを読み取り、例えば紙にデータの内容を印刷して出力する。
【0006】
従って、各乗務員カードに記録されている乗務員コードにより各乗務員を特定できるので、車両運行記録計により収集され、前記管理用コンピュータにより出力されるデータと特定の乗務員とを対応付けることができる。これにより、乗務員毎に労務管理や安全管理を行うことができる。
【0007】
一方、過去に大容量のメモリカードが高価であった時には、車両毎に1枚のメモリカードを割り当てて車両運行記録計が収集したデータを車両のメモリカードに記録していた。しかし、この場合には車両のメモリカードに記録される運行記録情報の中に複数の乗務員のデータが混在する可能性があるので、乗務員毎の労務管理や安全管理が困難であった。
【0008】
そこで、例えば特許文献1では、車両運行記録計において複数の乗務員を区別するための技術を開示している。具体的には、各乗務員が所有しているカードから乗務員識別コードを読み取って、あるいはテンキーから入力された乗務員識別コードを読み取って、この乗務員識別コードと事前に車両運行記録計に登録された登録情報とを照合し、そのカードの保有者を識別することを提案している。
【0009】
また、特許文献2には、カードの情報を読み取ってその情報に含まれる識別情報と事前に登録された登録情報とを照合し、そのカードの保有者を識別する機器操作権管理端末が開示されている。また、照合に失敗した場合に、運転不可の情報を表示出力することも開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−306407号公報
【特許文献2】特開2000−311220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、例えば中華人民共和国における自動車運行記録計のCCC認証規定では、運行記録計本体において、乗務員コードの確認ができることが要求されている。しかしながら、現状の車両運行記録計の技術では、各乗務員が所有している乗務員カードを事務所の管理用コンピュータに装着しない限り乗務員コードを出力することはできない。つまり、車両運行記録計の本体だけで乗務員コードの確認ができないので、この車両運行記録計を中華人民共和国に輸出したり中華人民共和国内で販売することができない。
【0012】
勿論、車両運行記録計の本体から乗務員コードを出力できるような機能を追加すること自体は困難ではない。しかしながら、車両運行記録計の本体から乗務員コードを出力する場合には、次に示すように様々な問題の発生が予想できる。
【0013】
例えば、もしも車両運行記録計に対する簡単な操作で、誰でも簡単に登録された乗務員コードを読み出せるのであれば、正規の乗務員以外の人物の操作によって、不正に乗務員コード等の情報が漏洩してしまう可能性がある。
【0014】
また、仮に乗務員カードを各々の乗務員に配布せずに、1枚の乗務員カードを複数の乗務員で共有するのであれば、乗務員カードに登録されたデータから現在の乗務員を区別することができない。しかし、テンキーなどを用いて個別に自分の乗務員コードを入力するのは面倒であるし、間違ったコードを入力する可能性もある。
【0015】
また、仮に車両運行記録計の本体で現在の乗務員の乗務員コードを表示できたとしても、その乗務員コードが誰に割り当てられたものかを区別するのは容易ではない。更に、例えば複数の乗務員が同じ車両に同時に乗車して交代で運転を行うような場合には、実際に現在運転している乗務員に割り当てられたものと異なる乗務員コードが表示される可能性もある。
【0016】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運行記録計の車載器本体の表示だけで乗務員の識別を容易にすると共に、乗務員コードに関する不正な情報の流出を防止することが可能な車両運行記録装置および運行記録制御方法ならびに運行記録プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両運行記録装置は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 車両上に搭載され、前記車両の運行状況を表す情報を逐次収集し、所定の記録媒体上にデジタルデータとして前記情報を記録する車両運行記録装置であって、
数値や文字列の情報を可視表示可能な表示部と、
複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報を登録情報として保持可能な不揮発性記憶部と、
少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取り可能なカード読み取り部と、
前記カード読み取り部がそれに装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記不揮発性記憶部が保持している登録情報の乗務員コードとを照合し、照合に成功した場合に、該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って前記表示部に出力する表示制御部と
を備えること。
(2) 前記(1)に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、前記登録情報の乗務員コードの中に、装着された乗務員カードの識別情報と一致するものが存在しない場合には、乗務員カードの識別情報と、該当する乗務員コードが未登録であることを表す情報を前記表示部に出力すること。
(3) 前記(1)に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、乗務員コードおよび対応する乗務員名の情報を前記表示制御部に出力した後、少なくとも所定時間が経過した場合には、前記表示制御部の表示から前記乗務員コードおよび乗務員名を自動的に消去して次の画面を表示すること。
(4) 前記(1)に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、前記照合に成功し、乗務員コードおよび対応する乗務員名の情報を前記表示制御部に出力した後で、所定の入力操作を受け付けた場合には、前記登録情報の中から他の乗務員コードを選択し、前記表示部に出力する乗務員コードおよび乗務員名を更新すること。
(5) 前記(4)に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、2名分の乗務員コードおよび乗務員名を並べて同時に表示すると共に、表示中の2名の中で、選択状態の1名の乗務員ともう1名の乗務員とを区別可能な状態で表示すること。
【0018】
上記(1)の構成の車両運行記録装置によれば、正規の乗務員カードを所持している人(乗務員)がこの乗務員カードを車載器(車両運行記録装置)のカード読み取り部に装着した場合に限り、乗務員コードとそれに対応する乗務員名を表示することができる。乗務員コードだけでなく乗務員名も表示されるので、実際に運転している乗務員の把握が容易になる。また、乗務員カードの識別情報と登録情報の乗務員コードとの照合に失敗した場合には表示される情報が限定されるので、乗務員の情報が不用意に第三者に流出するのを防止できる。
また、上記(2)の構成の車両運行記録装置によれば、使用している乗務員カードの識別情報が車載器に未登録である場合には、その状態を表示内容により把握できる。
また、上記(3)の構成の車両運行記録装置によれば、車載器の画面上に乗務員コードおよび乗務員名が長時間にわたって表示され続けるのを防止できる。従って、表示内容が乗務員以外の第三者に見られて乗務員コードや乗務員名の情報が外部に流出するのを防止できる。
また、上記(4)の構成の車両運行記録装置によれば、前記登録情報として登録されている複数の人物の中から該当する乗務員を選択的に指定することができる。従って、1枚の乗務員カードを複数の乗務員が共有して使用するような場合であっても、実際の乗務員の情報を簡単な操作で入力することができる。
また、上記(5)の構成の車両運行記録装置によれば、表示画面が比較的小さい場合であっても、同時に2名の乗務員の情報を確認できるので、車載器に登録されている各々の乗務員の情報を簡単な操作で確認できる。
【0019】
前述した目的を達成するために、本発明に係る運行記録制御方法は、下記(6)を特徴としている。
(6) 車両上に搭載される車両運行記録装置を制御するための運行記録制御方法であって、
複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報を登録情報として前記車両運行記録装置上の不揮発性記憶部に保持し、
前記車両運行記録装置上のカード読み取り部を用いて、少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取り、
前記カード読み取り部に装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記登録情報の乗務員コードとを照合し、照合に成功した場合に、該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って所定の表示部に出力すること。
【0020】
上記(6)の構成の運行記録制御方法によれば、正規の乗務員カードを所持している人(乗務員)がこの乗務員カードを車載器(車両運行記録装置)のカード読み取り部に装着した場合に限り、乗務員コードとそれに対応する乗務員名を表示することができる。乗務員コードだけでなく乗務員名も表示されるので、実際に運転している乗務員の把握が容易になる。また、乗務員カードの識別情報と登録情報の乗務員コードとの照合に失敗した場合には表示される情報が限定されるので、乗務員の情報が不用意に第三者に流出するのを防止できる。
【0021】
前述した目的を達成するために、本発明に係る運行記録プログラムは、下記(7)を特徴としている。
(7) 車両上に搭載される車両運行記録装置を制御する所定のコンピュータが読み取り可能な運行記録プログラムであって、
複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報が登録情報として保持された前記車両運行記録装置上の不揮発性記憶部から前記登録情報を読み取るステップと、
前記車両運行記録装置上のカード読み取り部を用いて、少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取るステップと、
前記カード読み取り部に装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記登録情報の乗務員コードとを照合するステップと、
前記照合に成功した場合に、該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って所定の表示部に出力するステップと
を備えること。
【0022】
上記(7)の構成の運行記録プログラムをコンピュータで読み取って実行し車両運行記録装置を制御することにより、正規の乗務員カードを所持している人(乗務員)がこの乗務員カードを車載器(車両運行記録装置)のカード読み取り部に装着した場合に限り、乗務員コードとそれに対応する乗務員名を表示することができる。乗務員コードだけでなく乗務員名も表示されるので、実際に運転している乗務員の把握が容易になる。また、乗務員カードの識別情報と登録情報の乗務員コードとの照合に失敗した場合には表示される情報が限定されるので、乗務員の情報が不用意に第三者に流出するのを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の車両運行記録装置および運行記録制御方法ならびに運行記録プログラムによれば、運行記録計の車載器本体の表示だけで乗務員を容易に識別できる。また、乗務員コード等に関する不正な情報の流出を防止できる。
【0024】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態の車両運行記録装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車両運行記録装置を使用する前の準備に関するシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す車両運行記録装置を使用する前の準備に関するシステムの構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す車両運行記録装置を使用する場合の通常の手続きの手順を表すシーケンス図である。
【図5】図1に示す車両運行記録装置上に登録情報を書き込む際の車両運行記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す車両運行記録装置を用いて車両の運行業務を開始する際の車両運行記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す車両運行記録装置における運転手選択動作を示すフローチャートである。
【図8】図1に示す車両運行記録装置上に書き込まれる登録情報の具体例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の車両運行記録装置および運行記録制御方法ならびに運行記録プログラムに関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0027】
本実施形態の車両運行記録装置100の構成例が図1に示されている。図1に示す車両運行記録装置100は、車載器であり、管理対象の車両上に搭載して使用される。この車両運行記録装置100は車両の運行状況に関する様々な情報を自動的に収集しデジタルデータとして記録し保存する。
【0028】
図1に示すように、この車両運行記録装置100には、マイクロコンピュータ(CPU)10、不揮発性メモリ21、揮発性メモリ22、記録媒体インタフェース23、音声インタフェース24、時計回路(RTC:リアルタイムクロック)25、メモリ(EEPROM)26、スイッチ入力部27、LCDコントローラ28、液晶表示器(LCD)29、速度/エンジン回転インタフェース(IF)31、速度/エンジン回転警報部32、外部入力インタフェース33、アナログ入力インタフェース34、外部出力インタフェース35、プリンタインタフェース36、GPSインタフェース37、CAN通信インタフェース38、通信端末インタフェース39、電源部40が備わっている。
【0029】
マイクロコンピュータ(CPU)10は、メモリ26上に保持されているプログラムを実行することにより、車両運行記録装置100を制御するために必要な処理を行う。主要な制御の内容として、マイクロコンピュータ10は車両の営業運行中に、運行状態を表す様々な情報を収集し、得られたデジタルデータを記録し保存する。それ以外の特徴的な制御については、後で詳細に説明する。
【0030】
不揮発性メモリ21は、電源部40から供給される電源電力が遮断された時でも記憶された情報を保持することのできる記憶装置であり、情報の書き込み及び読み出しが可能である。不揮発性メモリ21は、車両運行記録装置100の動作に必要な情報、例えば後述するような乗務員に関する登録情報を保持するために利用される。
【0031】
揮発性メモリ22は、情報の書き込み及び読み出しが可能な半導体メモリであり、電源部40から電源電力が供給されている時に、一時的に使用するデータの書き込み及び読み出しのためにマイクロコンピュータ10によってアクセスされる。
【0032】
記録媒体インタフェース23は、記録媒体である所定のメモリカードを装着可能なカードスロットを備えており、装着されたメモリカードに対してマイクロコンピュータ10がアクセスするためのインタフェースとして機能する。メモリカードはカードスロットに着脱自在である。
【0033】
音声インタフェース24は、音声の入出力を行うためのインタフェースである。すなわち、乗務員等が発声する音声等の音響を電気信号として入力し、デジタルデータに変換して音声情報として収集したり、アナウンスなどの音声信号を合成して音響として出力することができる。
【0034】
時計回路25は、所定のクロックパルスを常時計数しており、現在の日付および時刻を把握してその情報を出力することができる。
【0035】
スイッチ入力部27は、乗務員が操作可能な複数のスイッチを有している。乗務員が各スイッチのボタンを操作した場合には、該当するスイッチの状態を表す信号がスイッチ入力部27からマイクロコンピュータ10に入力される。
【0036】
液晶表示器29は、車両運行記録装置100の筐体の前面パネルに配置された表示画面を有し、この表示画面上に数値や文字列を表示することができる。マイクロコンピュータ10は、LCDコントローラ28を介して液晶表示器29の表示内容を制御することができる。
【0037】
速度/エンジン回転インタフェース31は、車速やエンジンの回転数を把握するための各種電気信号をマイクロコンピュータ10に入力するためのインタフェースである。例えば、車両の車輪の回転量(回転速度)に応じてパルス信号を発生する車速センサの出力や、エンジン駆動部の回転量に応じた信号を出力するエンジン回転センサの出力が速度/エンジン回転インタフェース31の入力に接続される。
【0038】
速度/エンジン回転警報部32は、検出した車速やエンジン回転数(rpm)が異常な状態になった場合に、警報音を出力するために用いられる。
【0039】
外部入力インタフェース33は、オプションとして用意された外部機器、例えばスイッチユニットのような入力機器を接続するために利用される。アナログ入力インタフェース34は、アナログ電気信号を入力するために利用される。アナログ入力インタフェース34はアナログ/デジタル変換器を内蔵している。外部出力インタフェース35は、オプションとして用意された外部機器、例えばドライブレコーダのような出力機器を接続するために利用される。
【0040】
プリンタインタフェース36は、オプションとして用意されたプリンタを接続するために利用される。GPSインタフェース37は、GPS受信機を接続するために利用される。GPS受信機はGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して車両の現在位置を表す位置情報を出力することができる。
【0041】
CAN通信インタフェース38は、車両上に搭載されている他の装置との間で、CANの通信規格に従ったデータ通信を行うためのインタフェースである。通信端末インタフェース39は、所定の通信端末と車両運行記録装置100とを接続するためのインタフェースである。
【0042】
電源部40は、車両の電源回路(バッテリーの出力)の電圧をマイクロコンピュータ10が電源として利用可能な所定の電圧に変換するための電源回路である。
【0043】
図1に示した車両運行記録装置100を正しく使用するためには事前に次に説明するような準備を行う必要がある。
まず最初の準備として、車両運行記録装置100を搭載する特定の車両を運転する可能性のある複数の乗務員(例えば10人分)の情報を登録情報として車両運行記録装置100上に書き込む必要がある。
【0044】
この準備作業を行う場合には、図2に示すようなシステムを用いる。図2に示すシステムに含まれる事務所内端末200は、複数の乗務員を管理している会社の事務所内に設置され、所定の管理者により操作される。この事務所内端末200は、一般的なパーソナルコンピュータと同様に、コンピュータ本体201、キーボード202、ディスプレイ203、カードリーダ/ライタ204を備えている。
【0045】
また、コンピュータ本体201は乗務員の情報を管理するためのアプリケーションプログラムを有し、カードリーダ/ライタ204に装着される各メモリカードに対して乗務員の情報を書き込むことができる。
【0046】
車両運行記録装置100に前述の登録情報を書き込む際には、図2に示す設定カード301を用いる。この設定カード301は、カードリーダ/ライタ204に装着可能なメモリカードである。すなわち、メモリカードをカードリーダ/ライタ204に装着して事務所内端末200を操作することにより必要な情報をメモリカードに書き込み、これを設定カード301として利用できる。
【0047】
設定カード301上には、これが設定カードであることを表す設定カード識別コードと、登録情報とが書き込まれる。登録情報の具体例が図8に示されている。図8に示す例では、登録情報の中に10人分の乗務員のそれぞれに関する乗務員コード(各乗務員に予め割り当てた番号)と乗務員名(氏名)とが含まれている。
【0048】
図2に示すように、事務所内端末200を用いて作成した設定カード301を車両運行記録装置100の記録媒体インタフェース23に装着し所定の操作を行うことにより、設定カード301が保持している登録情報を車両運行記録装置100上に書き込むことができる。
【0049】
また、車両運行記録装置100を搭載した車両を各乗務員が運転し運行業務(営業)を開始する時には、図3に示す乗務員カード302が必要になる。この乗務員カード302はカードリーダ/ライタ204に装着可能なメモリカードであり、図3に示すシステムのように前述の事務所内端末200を用いて作成することができる。
【0050】
すなわち、メモリカードをカードリーダ/ライタ204に装着して事務所内端末200を操作することにより必要な情報をメモリカードに書き込み、これを乗務員カード302として利用できる。乗務員カード302上には、これが乗務員カードであることを表す乗務員カード識別コードと、特定の乗務員に割り当てられた乗務員コードとが書き込まれる。また、各乗務員カード302は、車両の運行業務の間に車両運行記録装置100によって自動的に収集される様々な運行状況のデジタルデータを記録するための大容量の記憶領域を有する。
【0051】
図3に示すように、事務所内端末200を用いて作成した乗務員カード302を車両運行記録装置100の記録媒体インタフェース23に装着し所定の操作を行うことにより、車両運行記録装置100は乗務員カード302が保持している乗務員コードを読み取り乗務員を認識できる。また、車両運行記録装置100は車両の運行業務の間に収集した様々な運行状況のデジタルデータを、記録媒体である乗務員カード302上に書き込んで保存する。
【0052】
前述の登録情報を車両運行記録装置100に書き込んだ後、各乗務員が車両に搭載された車両運行記録装置100を使用する場合には、通常、図4に示すような手順の手続きが行われる。
すなわち、事務所内において、該当する乗務員に割り当てられる乗務員カード302が作成され、これが各乗務員に配布される(P11)。
【0053】
車両の運行業務を開始する前に、各乗務員は運転する車両に搭載された車両運行記録装置100に自分の乗務員カード302を装着し(P12)、車両運行記録装置100が乗務員カード302から乗務員コードを読み取ってから運行業務(営業)を開始する(P13)。運行業務の間は、車両運行記録装置100が収集した運行状態のデジタルデータが乗務員カード302上に記録される。運行業務が終了すると、乗務員は自分の乗務員カード302を車両運行記録装置100から取り外して(P14)事務所に持ち帰る。また、運行業務中にデジタルデータを乗務員カードに随時書き込まれるのではなく、一日の業務が終了するときに車載器本体の「書込み」ボタンを押すことにより一日の運行データを全て一度にカードに書き込む処理となる。
【0054】
事務所内においては、1日の運行業務の報告を行うために、各乗務員は自分の乗務員カード302を事務所内端末200のカードリーダ/ライタ204に装着する。事務所内端末200は乗務員カード302から運行状態のデジタルデータを読み取り(P15)、所定のプリンタを用いて運行データを紙に印刷する(P16)。
【0055】
図1に示した車両運行記録装置100上に登録情報を書き込む際のマイクロコンピュータ10の処理の内容が図5に示されている。すなわち、図2に示したように作成した設定カード301を車両運行記録装置100の記録媒体インタフェース23に装着して所定の操作を行うことにより、図5に示す処理が開始される。
【0056】
ステップS11では、マイクロコンピュータ10は記録媒体インタフェース23のカードスロットに装着されているメモリカードが設定カード301であるか否かを識別する。設定カード301上には、予め定めた設定カード識別コードが書き込まれているので、このコードの存在の有無によりメモリカードが設定カード301か否かを識別できる。装着されたメモリカードが設定カード301であればステップS13に進み、そうでなければステップS12に進む。
【0057】
ステップS12では、マイクロコンピュータ10は液晶表示器29の表示画面に所定のメッセージを表示する。具体的には、図5に示す表示画面M00のように、「設定カードではありません。設定カードを挿入して下さい。」のような内容が表示される。
【0058】
ステップS13では、マイクロコンピュータ10は、設定カード301から読み込んだ乗務員情報を登録情報として不揮発性メモリ21上に書き込む。従って、この処理により例えば図8に示すような、10人分の乗務員の乗務員コードと乗務員名とが登録情報として不揮発性メモリ21上に保持される。
【0059】
図1に示した車両運行記録装置100を用いて車両の運行業務を開始する際のマイクロコンピュータ10の処理の内容が図6に示されている。すなわち、乗務員が運転する車両に搭載されている車両運行記録装置100に自分の所持している乗務員カード302を装着することにより、図6に示す処理が実行される。
【0060】
ステップS21では、マイクロコンピュータ10は、記録媒体インタフェース23のカードスロットに装着されているメモリカードが乗務員カード302であるか否かを識別する。各乗務員カード302上には、予め定めた乗務員カード識別コードが書き込まれているので、このコードの存在の有無によりメモリカードが乗務員カード302か否かを識別できる。装着されたカードが乗務員カード302であればステップS23に進み、そうでなければステップS22に進む。
【0061】
ステップS22では、マイクロコンピュータ10は液晶表示器29の表示画面に所定のメッセージを表示する。具体的には、図6に示す表示画面M01のように、「乗務員カードではありません。乗務員カードを挿入して下さい。」のような内容が表示される。そしてステップS21の処理に戻る。
【0062】
ステップS23では、マイクロコンピュータ10は不揮発性メモリ21上に前述の登録情報が存在するか否かを識別する。事前に図2に示したような手続きが行われ、登録情報が車両運行記録装置100に書き込まれていればステップS23からS25に進み、まだ登録情報が書き込まれていなければステップS24に進む。
【0063】
ステップS24では、マイクロコンピュータ10は液晶表示器29の表示画面に所定のメッセージを表示する。具体的には、図6に示す表示画面M02のように、「運転手未登録」のような内容が表示される。そしてステップS23の処理に戻る。
【0064】
ステップS25では、マイクロコンピュータ10は記録媒体インタフェース23に装着されている乗務員カード302の内容、すなわち乗務員コードを読み込む。
【0065】
ステップS26では、マイクロコンピュータ10はステップS25で読み込んだ乗務員コードと不揮発性メモリ21上の登録情報の各乗務員コードとを比較して、コードの合致する乗務員を検索する。
【0066】
ステップS27では、マイクロコンピュータ10はステップS26の処理でコードの合致する乗務員が見つかったか否かを識別する。見つかった場合はステップS29に進み、見つからない場合はステップS28に進む。
【0067】
ステップS28では、マイクロコンピュータ10は液晶表示器29の表示画面に所定のメッセージを表示する。具体的には、図6に示す表示画面M03のように、「運転手未登録情報 ???? 973119」のような内容が表示される。ここで表示される内容のうち、「????」は乗務員名が不明であることを表す情報であり、「973119」は装着されている乗務員カード302に登録されている乗務員コードである。
【0068】
ステップS29では、マイクロコンピュータ10はステップS26の比較で合致した特定の乗務員の情報を抽出し、その情報をメッセージとして液晶表示器29の表示画面に表示する。具体的には、図6に示す表示画面M04のように、「運転手登録情報 王幼幼 973119」のような内容が表示される。ここで表示される内容のうち、「王幼幼」は乗務員名の内容であり、「973119」は該当する乗務員に割り当てられた乗務員コードである。
【0069】
ステップS30では、マイクロコンピュータ10はステップS28又はS29でメッセージを表示してから所定時間が経過したか否かを識別する。所定時間が経過すると次のステップS31に進む。
【0070】
ステップS31では、マイクロコンピュータ10はステップS28又はS29で液晶表示器29の表示画面に表示したメッセージの内容を消去し、営業用の画面表示状態に遷移する。すなわち、図6に示す表示画面M05のように、「2009/08/24 14:08 124456 一般実車」のような内容が表示される。ここで表示される内容のうち、「2009/08/24 14:08」は日付及び時刻の情報であり、「123456」は走行距離等の情報であり、「一般実車」は通常の営業運行状態であることを表す情報である。
【0071】
ステップS32では、マイクロコンピュータ10は営業中の処理を行う。すなわち、時々刻々と変化する車速やエンジン回転数などの情報を一定の周期で繰り返し収集し、記録媒体インタフェース23に装着されている乗務員カード302上に、運行記録のデジタルデータとして記録する。
【0072】
ステップS33では、マイクロコンピュータ10は、記録媒体インタフェース23に装着されている乗務員カード302が取り外されたかどうかを識別する。営業走行が終了して運転者がこの乗務員カード302を取り外すと、車両運行記録装置100の動作は終了する。
【0073】
いずれにしても、図6に示す処理をマイクロコンピュータ10が実行することにより、予め車両運行記録装置100上に保存されている登録情報の中に含まれている乗務員であって、正規の乗務員カード302を所持している乗務員が乗務員カード302を車両運行記録装置100に装着した場合には、表示画面M04のように、自分の乗務員コードおよび乗務員名を車両運行記録装置100の表示画面に表示することができる。乗務員コードだけでなく乗務員名も表示されるので、自分の乗務員コードを忘れてしまった場合であっても自分が運転者として正しく認識されているかどうかを容易に把握できる。
【0074】
また、保持している登録情報と装着した乗務員カード302の乗務員コードとが合致しない場合には乗務員カード302の乗務員コードだけが表示されるので、運転者は自分の情報が車両運行記録装置100にまだ登録されていないことを把握できる。
【0075】
また、もしも正規の乗務員カード302以外のカードが装着された場合には、登録情報として保持されている乗務員コードや乗務員名が表示されることはないので、不正な操作による情報の漏洩を防止できる。
【0076】
更に、ステップS28又はS29でメッセージを表示してから所定時間が経過すると、表示内容は自動的に消去されるので、乗務員コードや乗務員名の情報が長時間にわたって表示され続けることはなく、これらの情報が第三者に見られる可能性は小さいので、情報の漏洩を防止できる。
【0077】
図1に示した車両運行記録装置100においては、実際の運転者として車両運行記録装置100が把握する人物を、運転者が所持している乗務員カード302に保持されている乗務員コードの人物以外に指定することもできる。乗務員カード302に保持されている乗務員コードの人物を運転者として選択する場合には、運転者がスイッチ入力部27で所定のボタン操作を行う。これにより、図7に示す処理が実行される。図7に示す処理の内容について以下に説明する。
【0078】
ステップS41では、マイクロコンピュータ10は不揮発性メモリ21上に前述の登録情報が存在するか否かを識別する。事前に図2に示したような手続きが行われ、登録情報が車両運行記録装置100に書き込まれていればステップS41からS43に進み、まだ登録情報が書き込まれていなければステップS42に進む。
【0079】
ステップS42では、マイクロコンピュータ10は液晶表示器29の表示画面に所定のメッセージを表示する。具体的には、図7に示す表示画面M11のように、「運転手未登録」のような内容が表示される。そしてステップS41の処理に戻る。
【0080】
ステップS43では、マイクロコンピュータ10は乗務員カード302から読み込んだ乗務員コードと不揮発性メモリ21上の登録情報の各乗務員コードとを比較して、コードの合致する乗務員を検索し、コードの合致する乗務員が見つかったか否かを識別する。見つかった場合はステップS45に進み、見つからない場合はステップS44に進む。
【0081】
ステップS44では、マイクロコンピュータ10は液晶表示器29の表示画面に所定のメッセージを表示する。すなわち、図7に示す表示画面M12のように、「運転手未登録情報 ???? 973119」のような内容が表示される。ここで表示される内容のうち、「????」は乗務員名が不明であることを表す情報であり、「973119」は装着されている乗務員カード302に登録されている乗務員コードである。
【0082】
ステップS45では、マイクロコンピュータ10は、登録情報として不揮発性メモリ21上に保持されている10人分の乗務員の情報の中から順番に2名分の情報を自動的に抽出し、2名分の情報を上下2行に分けてメッセージとして液晶表示器29の表示画面に表示する。例えば、図7に示す表示画面M13aのように、表示画面の上の行に1名の情報(乗務員コードと乗務員名)を表示し、表示画面の下の行にもう1名の情報を同時に表示する。また、表示した2名のうちの一方を選択状態、他方を非選択状態として区別できるように表示する。
【0083】
ステップS46では、マイクロコンピュータ10はスイッチ入力部27の状態を監視して、運転者によるボタンの入力操作を受け付ける。そして、所定の項目ボタンが押下された場合には、項目ボタンが押下される毎に、図7に示す表示画面M13a、M13b、M13c、・・・のように、表示する内容を順次に更新する。すなわち、項目ボタンが押下されると、登録情報の中から抽出する2名の乗務員を順番に切り替えて、表示する2名の乗務員の情報を入れ替える。
【0084】
また、所定の「確定」ボタンの入力操作を検出した場合には、マイクロコンピュータ10は現在の表示画面(M13a〜M13xのいずれか)に表示されている2名の乗務員の中でアクティブ表示、すなわち選択状態として表示されている1名の乗務員が選択されたものとみなす。
【0085】
ステップS47では、マイクロコンピュータ10は営業中の処理を行う。すなわち、時々刻々と変化する車速やエンジン回転数などの情報を一定の周期で繰り返し収集し、記録媒体インタフェース23に装着されている乗務員カード302上に、運行記録のデジタルデータとして記録する。また、ステップS46で「確定」ボタンの入力操作により選択された特定の乗務員に割り当てられている乗務員コードおよび乗務員名の情報も乗務員カード302上に記録する。
【0086】
ステップS48では、マイクロコンピュータ10は、記録媒体インタフェース23に装着されている乗務員カード302が取り外されたかどうかを識別する。営業走行が終了して運転者がこの乗務員カード302を取り外すと、車両運行記録装置100の動作は終了する。
【0087】
図7に示した処理を実行することにより、車両運行記録装置100上に予め保持されている登録情報の中から実際の運転者を運転者自身の入力操作により選択することができる。従って、事務所で管理している全ての乗務員のそれぞれに対して乗務員カード302を発行する必要はなく、例えば1台の車両を交代で運転する2名あるいは3名に対して1枚の乗務員カード302を配布するような状況であっても、各乗務員の管理を行うことができる。
【0088】
なお、上述の実施形態では登録情報として乗務員コードおよび乗務員名を車両運行記録装置100上に予め保持しているが、乗務員コードだけを登録情報として保持しても良い。その場合には、乗務員カード302上に乗務員コードおよび乗務員名を登録しておけば、車両運行記録装置100の画面上に乗務員コードだけでなく乗務員名も表示できる。
【0089】
なお、車両運行記録装置100を制御するためのマイクロコンピュータ10が実行する運行記録プログラムについては、様々な通信手段を用いて、あるいは記録媒体インタフェース23に装着可能なメモリカードを用いて、車両運行記録装置100上のメモリ(EEPROM)26に書き込むことができる。
【0090】
上述のように、本発明の車両運行記録装置および運行記録制御方法ならびに運行記録プログラムは、例えばタクシー、トラック、バスのような営業用の車両を運転する乗務員を管理する車載器上で、運転者の乗務員コードや乗務員名を出力するために利用でき、運転者の特定が容易である。しかも、乗務員コードに関する不正な情報の流出を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 マイクロコンピュータ
21 不揮発性メモリ
22 揮発性メモリ
23 記録媒体インタフェース
24 音声インタフェース
25 時計回路
26 メモリ(EEPROM)
27 スイッチ入力部
28 LCDコントローラ
29 液晶表示器
31 速度/エンジン回転インタフェース
32 速度/エンジン回転警報部
33 外部入力インタフェース
34 アナログ入力インタフェース
35 外部出力インタフェース
36 プリンタインタフェース
37 GPSインタフェース
38 CAN通信インタフェース
39 通信端末インタフェース
40 電源部
100 車両運行記録装置
200 事務所内端末
201 コンピュータ本体
202 キーボード
203 ディスプレイ
204 カードリーダ/ライタ
301 設定カード
302 乗務員カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上に搭載され、前記車両の運行状況を表す情報を逐次収集し、所定の記録媒体上にデジタルデータとして前記情報を記録する車両運行記録装置であって、
数値や文字列の情報を可視表示可能な表示部と、
複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報を登録情報として保持可能な不揮発性記憶部と、
少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取り可能なカード読み取り部と、
前記カード読み取り部がそれに装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記不揮発性記憶部が保持している登録情報の乗務員コードとを照合し、照合に成功した場合、該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って前記表示部に出力する表示制御部と
を備える車両運行記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、前記登録情報の乗務員コードの中に、装着された乗務員カードの識別情報と一致するものが存在しない場合には、乗務員カードの識別情報と、該当する乗務員コードが未登録であることを表す情報を前記表示部に出力する
車両運行記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、乗務員コードおよび対応する乗務員名の情報を前記表示制御部に出力した後、少なくとも所定時間が経過した場合には、前記表示制御部の表示から前記乗務員コードおよび乗務員名を自動的に消去して次の画面を表示する
車両運行記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、前記照合に成功し、乗務員コードおよび対応する乗務員名の情報を前記表示制御部に出力した後で、所定の入力操作を受け付けた場合には、前記登録情報の中から他の乗務員コードを選択し、前記表示部に出力する乗務員コードおよび乗務員名を更新する
車両運行記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両運行記録装置であって、
前記表示制御部は、2名分の乗務員コードおよび乗務員名を並べて同時に表示すると共に、表示中の2名の中で、選択状態の1名の乗務員ともう1名の乗務員とを区別可能な状態で表示する
車両運行記録装置。
【請求項6】
車両上に搭載される車両運行記録装置を制御するための運行記録制御方法であって、
複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報を登録情報として前記車両運行記録装置上の不揮発性記憶部に保持し、
前記車両運行記録装置上のカード読み取り部を用いて、少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取り、
前記カード読み取り部に装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記登録情報の乗務員コードとを照合し、照合に成功した場合に、該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って所定の表示部に出力する
運行記録制御方法。
【請求項7】
車両上に搭載される車両運行記録装置を制御する所定のコンピュータが読み取り可能な運行記録プログラムであって、
複数の乗務員のそれぞれを識別可能な複数の乗務員コードの情報が登録情報として保持された前記車両運行記録装置上の不揮発性記憶部から前記登録情報を読み取るステップと、
前記車両運行記録装置上のカード読み取り部を用いて、少なくとも1つの識別情報を保持する所定の乗務員カードから前記識別情報を読み取るステップと、
前記カード読み取り部に装着された乗務員カードから読み取った前記識別情報と、前記登録情報の乗務員コードとを照合するステップと、
前記照合に成功した場合に、該当する乗務員コードとそれに対応する乗務員名の情報を前記不揮発性記憶部もしくは乗務員カードから読み取って所定の表示部に出力するステップと
を備える運行記録プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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