説明

車両運行遅延情報連絡システム

【課題】鉄道利用者による利用路線情報の事前登録を行わずに、運行遅延情報を鉄道利用者に通知する。
【解決手段】携帯電話機が、携帯電話機の所有者が鉄道車両の乗降利用に際して、鉄道改札口装置から、利用路線名等の「車両利用情報」を無線通信装置を介して受信し、当該「車両利用情報」を記録保持し、一方、前記車両運行管理サーバは、運行ダイヤ遅延検出手段を有し、前記運行ダイヤ遅延検出手段により運行ダイヤに規定の範囲以上の運行遅延を検出したとき、当該遅延情報を前記携帯電話機管理サーバへ送信し、前記遅延情報を受信した前記携帯電話機管理サーバは、配下に接続されている全携帯電話機(利用者全員)に当該遅延情報を配信し、前記遅延情報を受信した携帯電話機は、当該遅延情報と、過去の利用状況を記録した前記「車両利用情報」とを照合し、該当する路線名が存在する場合は、緊急メッセージとして、表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運行遅延情報連絡システムに係り、特に、携帯電話機を使用することによって、鉄道利用者による利用路線情報の事前登録を必要とせずに、運行遅延情報を鉄道利用者に通知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の運行遅延情報を鉄道利用者に通知する方法としては、一般に、鉄道利用者が、利用する路線の情報をあらかじめ利用者情報として鉄道会社側に、登録しておく方法が知られている。(下記、特許文献1参照)
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特開2004−230978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した方法によれば、運行遅延情報を得るために、鉄道利用者による事前登録を前提としているため、初期サービス使用の為の敷居が高く、携帯電話機の機能や携帯電話会社の提供するサービスを良く知らない利用者は、運行遅延情報を通知するサービスを利用する事が困難であると言う問題があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、鉄道利用者による利用路線情報の事前登録を行わずに、遅延情報を鉄道利用者に通知する車両運行遅延情報連絡システムを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
前述の目的を達成するために、本発明においては、携帯電話機が、前記携帯電話機の所有者が鉄道車両の乗降利用に際して、鉄道改札口装置から、利用路線名等の「車両利用情報」を無線通信装置を介して受信し、当該「車両利用情報」を記録保持し、一方、前記車両運行管理サーバは、運行ダイヤ遅延検出手段を有し、前記運行ダイヤ遅延検出手段により運行ダイヤに規定(予め定めた)の範囲以上の運行遅延を検出したとき、当該遅延情報(路線名/遅延時間/遅延理由/回復予定、等々)を前記携帯電話機管理サーバへ送信し、前記遅延情報を受信した前記携帯電話機管理サーバは、配下に接続されている全携帯電話機(利用者全員)に当該遅延情報を配信し、前記遅延情報を受信した携帯電話機は、当該遅延情報と、過去の利用状況を記録した前記「車両利用情報」とを照合し、該当する路線名が存在する場合は、緊急メッセージとして、表示部に表示する。
【発明の効果】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明の車両運行遅延情報連絡システムによれば、鉄道利用者による利用路線情報の事前登録を行わずに、運行遅延情報を鉄道利用者に通知することが可能となる
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施例の車両運行遅延情報連絡システムの概略構成を示すブロック図である。
図1において、100は車両運行管理サーバ、101は携帯電話機管理サーバ、102はインターネットなどのネットワーク、103は携帯電話機、104は携帯電話機内の無線通信装置、105はデータ保存部、106は改札口装置を示す。
図2は、本実施例の車両利用情報のデータフォーマットを示す図である。
図2において、200は1件の車両利用情報、201は乗車駅名情報、202は降車駅名情報、203は降車日時情報、204は関連路線名情報を示す。
図3は、本実施例の車両運行遅延情報のデータフォーマットを示す図である。
図3において、300は1件の車両運行遅延情報、301は遅延路線名情報、302は遅延理由情報、303は遅延時間情報、304は回復見込情報を示す。
【0008】
次に、図1〜4を用いて、本実施例の車両運行遅延情報連絡システムにおいて、車両運行遅延情報を携帯電話機利用者に通知させる方法について説明する。
図4は、図1に示す携帯電話機103における、「車両利用情報」更新時の処理手順を示すフローチャートである。
先ず、携帯電話機利用者が車両利用情報を蓄積する方法について説明する。
携帯電話機103は、携帯電話機利用者が改札口を出札する際に、携帯電話機内の無線通信装置104を介して、車両利用情報200を、改札口装置106より受信する(ステップ400)。当該受信した車両利用情報はデータ保存部105に記憶保持される。
データ保存部105には、複数の車両利用情報を格納することができ、その件数の上限は予め定められているものとする。
改札口装置106が、携帯電話機103に車両利用情報を送信した際、携帯電話機103では、1件の車両利用情報を取得する。
車両利用情報には、乗車駅名情報201、降車駅名情報202、降車日時情報203、関連路線名情報204が含まれている。
複数の路線を乗り継いだ場合や、乗車駅から降車駅に向かう経路が複数存在する場合を考慮して、関連路線名情報には複数の路線名情報を含める事ができる。
【0009】
次に、既に携帯電話機103に記憶保持されている車両利用情報の中に、新規に受信した車両利用情報と、乗車駅名情報と降車駅名情報が両方同じ車両利用情報が存在するか否かを確認する(ステップ401)。
ステップ401において、乗車駅名情報と降車駅名情報が両方同じ車両利用情報が存在している場合には、新規に受信した車両利用情報と、乗車駅名情報と降車駅名情報が両方同じ車両利用情報を1件、データ保存部105より削除し(ステップ402)、ステップ405に進む。
ステップ401において、乗車駅名情報と降車駅名情報が両方同じ車両利用情報が存在していない場合は、予め定められたデータ保存部105の最大件数と、現在携帯電話機103が保持している車両利用情報の件数を比較し、保持している車両利用情報の件数がデータ保存部の最大件数に達しているか否かを判断する(ステップ403)。なお、ステップ403においては、新規受信した車両利用情報は、保持している車両利用情報の件数に含ませない。
ステップ401において、保持している車両利用情報の件数がデータ保存部の最大件数に達している場合には、最も古い車両利用情報を削除する(ステップ404)。
ステップ404では、データ保存部105に格納されている全ての車両利用情報の中から、降車日時情報の値が最も小さい(日付計算)1件を抽出し、データを削除する。
ステップ401において、保持している車両利用情報の件数がデータ保存部の最大件数に達していない場合には、改札口装置106より受信した車両利用情報をデータ保存部105に格納する。
【0010】
次に、車両運行遅延情報を携帯電話機103で受信する方法について説明する。
車両運行遅延情報のデータは、図3に示した通りで、遅延路線名情報301、遅延理由情報302、遅延時間情報303、回復見込情報304とから構成される。
鉄道車両の運行状況を管理する車両運行管理サーバ100は、運行ダイヤ遅延検出機能を有し、運行ダイヤに規定(予め定めた)の範囲以上の運行遅延を検出したとき、車両運行遅延情報をネットワーク102を介して、携帯電話機管理サーバ101に送信する。
携帯電話機の接続状況を管理する携帯電話機管理サーバ101は、車両運行管理サーバ100から受信した車両運行遅延情報を、管理する全ての携帯電話機103にネットワーク102を介して送信する。
車両運行遅延情報を受信した携帯電話機103は、データ保存部105に保持している全ての車両利用情報を読み込み、送信されてきた車両運行遅延情報の遅延路線名情報と同じ情報が、車両利用情報の関連路線名情報に含まれている場合に、緊急メッセージとして、携帯電話機103の表示部の規定の表示エリアに表示する。
なお、携帯電話機管理サーバ101から車両運行遅延情報が配信される携帯電話機103は、携帯電話機103の所有者が予め携帯電話機管理サーバ101に登録していてもよいものとする。
このように、本実施例によれば、従来必要であった、鉄道利用者による事前の利用路線情報の通知・登録をすることなく、利用する路線の車両運行遅延情報を利用者が取得することが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例の車両運行遅延情報連絡システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の車両利用情報のデータフォーマットを示す図である。
【図3】本発明の実施例の車両運行遅延情報のデータフォーマットを示す図である。
【図4】図1に示す携帯電話機における、「車両利用情報」更新時の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0012】
100 車両運行管理サーバ
101 携帯電話機管理サーバ
102 ネットワーク
103 携帯電話機
104 携帯電話機内の無線通信装置
105 データ保存部
106 改札口装置
200 1件の車両利用情報
201 乗車駅名情報
202 降車駅名情報
203 降車日時情報
204 関連路線名情報
300 1件の車両運行遅延情報
301 遅延路線名情報
302 遅延理由情報
303 遅延時間情報
304 回復見込情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の運行状況を管理する車両運行管理サーバがインターネットを介して、携帯電話機の接続状況を管理する携帯電話機管理サーバに接続され、前記携帯電話機管理サーバが前記車両運行管理サーバから取得した情報を、配下に接続された携帯電話機に配信する車両運行遅延情報連絡システムであって、
前記携帯電話機は、前記携帯電話機の所有者が鉄道車両の乗降利用に際して、鉄道改札口装置から車両利用情報を受信する無線通信装置と、
前記受信した車両利用情報を記憶保持する手段と、
前記携帯電話機管理サーバから配信される遅延情報と前記車両利用情報とを照合し、該当する路線名が存在する場合は、緊急メッセージとして、表示部に表示する手段とを有し、
前記車両運行管理サーバは、運行ダイヤ遅延検出手段と、
前記運行ダイヤ遅延検出手段により運行ダイヤに規定の範囲以上の運行遅延を検出したとき、当該遅延情報を前記携帯電話機管理サーバへ送信する手段とを有し、
前記携帯電話機管理サーバは、前記受信された遅延情報を、配下に接続された全携帯電話機に配信する手段とを有することを特徴とする車両運行遅延情報連絡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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