説明

車両部品取付構造

【課題】簡単な構成でエネルギー吸収部材のクラッシュストロークを長くする。
【解決手段】クラッシュボックス10は繊維強化樹脂材で構成されており、クラッシュボックス10は長手方向を車体前後方向に沿って配置された主壁部10C、10D、10E、10F、10G、10H、10J、上平板部10A、下平板部10B及びバンパリインフォースメントを取付ける取付壁部10Kを備えている。また、上平板部10A、下平板部10Bの長手方中間部には、ラジエータサポート24を取付ける取付部26、28が一体成形されており、取付部26、28を構成する繊維(織布)は、上平板部10A、下平板部10Bを構成する繊維(織布)に沿って設けられており、それぞれの繊維(織布)に含浸した樹脂によって、上平板部10A、下平板部10Bに取付部26、28がそれぞれ固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両部品取付構造に係り、特に、自動車等の車両に適用される車両部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両に適用される繊維強化樹脂材からなる部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、エネルギー吸収体(エネルギー吸収部材)が繊維強化樹脂材で形成されており、エネルギー吸収体としての使用時における圧縮方向と直交する断面形状が、圧縮方向において変化し、圧縮破壊に必要な荷重の大きさが圧縮方向における位置により異なるように形成されている。
【特許文献1】特開2005−195155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術においては、エネルギー吸収体に他部品を取り付ける場合に、エネルギー吸収体に設けた取付部に他部品をボルト締結等で固定する必要がる。この結果、エネルギー吸収体が長手方向端から該長手方向へ向けて負荷される荷重により圧縮破壊する際に、エネルギー吸収体に設けた取付部によってエネルギー吸収体のクラッシュストロークが短くなるのを防止するために、荷重が作用した際に取付部をエネルギー吸収体から切り離す必要があり取付部の構成が煩雑となる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、簡単な構成でエネルギー吸収部材のクラッシュストロークを長くできる車両部品取付構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の車両部品取付構造は、樹脂が繊維に含浸された繊維強化樹脂材からなり長手方向を車体前後方向に沿って配置された主壁部と、該主壁部に沿って配置されると共に前記主壁部の樹脂が含浸されることで前記主壁部の繊維に結合された繊維からなる繊維強化樹脂材で構成され他部品を取付ける取付部と、を備えたエネルギー吸収部材を有することを特徴とする。
【0006】
エネルギー吸収部材は、樹脂が繊維に含浸された繊維強化樹脂材からなり長手方向を車体前後方向に沿って配置された主壁部と、主壁部に沿って配置されると共に主壁部の樹脂が含浸されることで主壁部の繊維に結合された繊維からなる繊維強化樹脂材で構成され他部品を取付ける取付部と、を備えている。このため、荷重がエネルギー吸収部材に長手方向端から該長手方向へ向けて負荷され、主壁部が圧縮破壊する際に、互いの繊維に含浸する樹脂によって結合された主壁部から取付部が容易に外れる。この結果、エネルギー吸収部材が長手方向端から該長手方向へ向けて負荷される荷重により破壊する際に、エネルギー吸収部材の破壊が取付部によって邪魔されることが無く、エネルギー吸収部材のクラッシュストロークが長くなる。また、エネルギー吸収部材の破壊が取付部によって邪魔されることが無いように、主壁部と取付部との境に脆弱部を形成する必要がなく構成が簡単である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車両部品取付構造において、前記エネルギー吸収部材の外周部が平板部となっており、該平板部に前記取付部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
エネルギー吸収部材の外周部が平板部となっており、該平板部に取付部が設けられている。このため、衝突エネルギー吸収部材の外周部の平板部に取付部を介して他部品が容易に取付く。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1、2の何れか1項に記載の車両部品取付構造において、前記主壁部と前記取付部とが前記他部品の荷重作用方向に対して係合する曲げ部を前記取付部に有していることを特徴とする。
【0010】
主壁部と取付部とが他部品の荷重作用方向に対して係合する曲げ部を取付部に有している。このため、取付部に取付けられた他部品の荷重を、互いに係合する主壁部と取付部との曲げ部で支持することができる。この結果、取付部に取付けられた他部品の支持剛性が向上する。
【0011】
請求項4記載の本発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両部品取付構造において、前記主壁部を構成する繊維の一部と前記取付部を構成する繊維の一部とが連結されていることを特徴とする。
【0012】
主壁部を構成する繊維の一部と取付部を構成する繊維の一部とが連結されている。このため、主壁部が圧縮破壊する際に、主壁部と取付部とが互いに連結された繊維の一部によって完全に完全に切り離されることが無く、取付部が主壁部の近傍に保持される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明は、簡単な構成でエネルギー吸収部材のクラッシュストロークを長くできる。
【0014】
請求項2記載の本発明は、他部品の取付性が向上する。
【0015】
請求項3記載の本発明は、取付部に取付けられた他部品の支持剛性を向上できる。
【0016】
請求項4記載の本発明は、主壁部が圧縮破壊する際に、取付部を主壁部の近傍に保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明における車両部品取付構造の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0018】
なお、図中矢印UPは車両上方方向を示し、図中矢印FRは車両前方方向を示し、図中矢印INは車幅内側方向を示している。
【0019】
図3には、本発明の一実施形態に係る車両部品取付構造が車両後方斜め外側から見た斜視図で示されている。
【0020】
図3に示される如く、本実施形態の自動車車体では、車体前部となるエンジンルームの車幅方向両端下部に、エネルギー吸収部材としてのクラッシュボックス10が長手方向を車両前後方向に沿って配置されている。なお、クラッシュボックス10は左右一対のフロントサイドメンバの前端部にそれぞれ設けられており、図3では車両右側のクラッシュボックス10を示している。
【0021】
クラッシュボックス10は繊維強化樹脂材としてのCFRP(炭素繊維強化樹脂)よって構成されており、車両前後方向から見た断面形状が上平板部10Aと下平板部10Bを備えた凹凸形状となっている。
【0022】
より具体的に説明すると、クラッシュボックス10は長手方向を車体前後方向に沿って配置された複数の主壁部10C、10D、10E、10F、10G、10H、10Jを備えており、これらの主壁部は、開口部を車幅方向内側へ向けた上下に連結された2つのコ字状断面を形成している。また、上端の主壁部10Cの車幅方向内側端には車両上方に向って主壁部の外周部を構成する上平板部10Aが形成されており、下端の主壁部10Jの車幅方向内側端には車両下方に向って主壁部の外周部を構成する下平板部10Bが形成されている。
【0023】
なお、主壁部10C、10E、10G、10Jは車両前方から車両後方へ向かって車幅方向に沿った各幅が連続的に広がっている。
【0024】
図4にはクラッシュボックス10が車両斜め後方内側から見た斜視図で示されている。
【0025】
図4に示される如く、クラッシュボックス10の前端部には取付壁部10Kが車幅方向内側へ向って一体的に形成されている。
【0026】
図3に示される如く、車両前部となるエンジンルームの前端下部には、バンパリインフォースメント20が長手方向を車幅方向に沿って配置されている。このバンパリインフォースメント20は車幅方向両端部20Aが、クラッシュボックス10の取付壁部10Kに取付けられている。
【0027】
図2には、本発明の一実施形態に係る車両部品取付構造が車両前方斜め外側から見た斜視図で示されている。
【0028】
図2に示される如く、クラッシュボックス10における上平板部10Aの車両前後方向中間部には、他部品としてのラジエータサポート(車両部品)24を取り付けるための取付部26が設けられている。また、クラッシュボックス10における下平板部10Bの車両前後方向中間部における取付部26の下方の部位には、他部品としてのラジエータサポート24を取り付けるための取付部28が設けられている。
【0029】
なお、取付部26の車両幅方向から見た側面視形状は、車両上方側を頂部とする略三角形状となっており、取付部28の車両幅方向から見た側面視形状は、車両下方側を頂部とする略三角形状となっている。
【0030】
図1には図2の1−1断面線に沿った拡大図が示されている。
【0031】
図1に示される如く、取付部26の車両前後方向から見た形状は、クラッシュボックス10における上平板部10Aの車幅方向外側面10Lに重なる下壁部26Aと、上平板部10Aの上面10Mに下面が重なり、車両上方へ延びる上壁部26Bとを備えている。また、取付部26の下壁部26Aの上端と上壁部26Bの下端とは、連結部26Cによって連結されており、上壁部26Bの車幅方向内側面26Dは上平板部10Aの車幅方向内側面10Nと面一になっている。更に、下壁部26Aの下面26Eは主壁部10Cの上面に重なっている。
【0032】
従って、取付部26の連結部26Cがクラッシュボックス10の上平板部10Aとラジエータサポート24の荷重作用方向(車両下方)に対して係合する曲げ部となっている。
【0033】
また、取付部26を構成する繊維(織布)は、クラッシュボックス10の上平板部10Aを構成する繊維(織布)に沿って設けられており、それぞれの繊維(織布)に含浸した樹脂によって、クラッシュボックス10の上平板部10Aに取付部26が固定されている。
【0034】
なお、取付部26を構成する繊維(織布)が、クラッシュボックス10の上平板部10Aを構成する繊維(織布)に沿って設けられているとは、取付部26を構成する繊維(織布)とクラッシュボックス10の上平板部10Aを構成する繊維(織布)とが連続していないことを意味しており、互いの繊維(織布)が接触していてもよく、また、互いの繊維(織布)における表面の凹凸が噛み合った状態であってもよい。
【0035】
また、クラッシュボックス10の上平板部10Aを構成する織布における繊維の配列方向と、取付部26を構成する織布における繊維の配列方向と、は同方向であっても良く、また、異なる方向であってもよい。
【0036】
取付部26の上壁部26Bには、他部品取付用の貫通孔30が形成されており、この貫通孔30の内周部には、ナット32が固定されている。一方、ラジエータサポート24の車幅方向外側壁部24Aには、貫通孔34が形成されており、この貫通孔34には車幅方向内側からボルト36が挿通されている。ボルト36はナット32に締結されており、ボルト36とナット32によって、クラッシュボックス10の上平板部10Aにラジエータサポート24の車幅方向外側壁部24Aが固定されている。
【0037】
一方、取付部28の車両前後方向から見た形状は、クラッシュボックス10における下平板部10Bの車幅方向外側面10Pに重なる上壁部28Aと、下平板部10Bの下面1QCに上面が重なり、車両下方へ延びる下壁部28Bとを備えている。また、取付部28の上壁部28Aの下端と下壁部28Bの上端とは、連結部28Cによって連結されており、下壁部28Bの車幅方向内側面28Dは下平板部10Bの車幅方向内側面10Rと面一になっている。更に、上壁部28Aの上面28Eは主壁部10Jの下面に重なっている。
【0038】
また、取付部28を構成する繊維(織布)は、クラッシュボックス10の下平板部10Bを構成する繊維(織布)に沿って設けられており、それぞれの繊維(織布)に含浸した樹脂によって、クラッシュボックス10の下平板部10Bに取付部28が固定されている。
【0039】
なお、取付部28を構成する繊維(織布)が、クラッシュボックス10の下平板部10Bを構成する繊維(織布)に沿って設けられているとは、取付部28を構成する繊維(織布)とクラッシュボックス10の下平板部10Bを構成する繊維(織布)とが連続していないことを意味しており、互いの繊維(織布)が接触していてもよく、また、互いの繊維(織布)における表面の凹凸が噛み合った状態であってもよい。
【0040】
また、クラッシュボックス10の下平板部10Bを構成する織布における繊維の配列方向と、取付部28を構成する織布における繊維の配列方向と、は同方向であっても良く、また、異なる方向であってもよい。
【0041】
取付部28の下壁部28Bには、他部品取付用の貫通孔40が形成されており、この貫通孔40の内周部には、ナット42が固定されている。一方、ラジエータサポート24の車幅方向外側壁部24Aには、貫通孔44が形成されており、この貫通孔44には車幅方向内側からボルト46が挿通されている。ボルト46はナット42に締結されており、ボルト46とナット42によって、クラッシュボックス10の下平板部10Bにラジエータサポート24の車幅方向外側壁部24Aが固定されている。
【0042】
なお、ラジエータサポート24の車幅方向内側壁部24Bには、ボルト36を締結するための作業孔50とボルト46を締結するための作業孔52とが、ボルト36、46と対向する部位にそれぞれ形成されている。
【0043】
従って、車両前突時等にバンパリインフォースメント20からの荷重がクラッシュボックス10の前端から長手方向となる車両後方へ向けて負荷され、クラッシュボックス10が圧縮破壊する際には、それぞれの繊維(織布)に含浸した樹脂によって互いに連結されている取付部26、28がクラッシュボックス10の上平板部10A、下平板部10Bから容易に外れるようになっている。
【0044】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0045】
本実施形態のクラッシュボックス10はCFRPで構成されており、クラッシュボックス10は長手方向を車体前後方向に沿って配置された主壁部10C、10D、10E、10F、10G、10H、10Jと、主壁部の外周部を構成する上平板部10A、下平板部10Bと、上平板部10A、下平板部10Bの長手方中間部に一体成形されラジエータサポート24を取付ける取付部26、28と、を備えている。また、取付部26、28を構成する繊維(織布)は、クラッシュボックス10の上平板部10A、下平板部10Bを構成する繊維(織布)に沿って設けられており、それぞれの繊維(織布)に含浸した樹脂によって、クラッシュボックス10の上平板部10A、下平板部10Bに取付部26、28が固定されている。
【0046】
このため、車両前突時等にバンパリインフォースメント20からの荷重がクラッシュボックス10の前端から長手方向となる車両後方へ向けて負荷され、クラッシュボックス10が圧縮破壊する際には、繊維(織布)に含浸した樹脂によってクラッシュボックス10の上平板部10A、下平板部10Bに固定されている取付部26、28が容易に外れる。
【0047】
このため、クラッシュボックス10が車両前方側から車両後方側に向かって圧縮破壊する際に、取付部26、28が主壁部の外周部を構成する上平板部10A、下平板部10Bから外れることで、クラッシュボックス10の破壊が取付部26、28によって邪魔されることが無い。この結果、クラッシュボックス10の軸方向に沿ったクラッシュストロークが長くなる。
【0048】
また、本実施形態では、取付部26の連結部26Cがクラッシュボックス10の上平板部10Aとラジエータサポート24の荷重作用方向(車両下方)に対して係合する曲げ部となっている。このため、取付部26に取付けられたラジエータサポート24の荷重を、取付部26の連結部26Cに係合するクラッシュボックス10の上平板部10Aで支持することができる。この結果、取付部26に取付けられたクラッシュボックス10の支持剛性が向上する。
【0049】
また、本実施形態では、クラッシュボックス10が上平板部10Aと下平板部10Bとを有しており、上平板部10Aと下平板部10Bに取付部26、28が設けられている。このため、クラッシュボックス10の外周部の上平板部10Aと下平板部10Bに取付部26、28を介してラジエータサポート24を容易に取付けることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、上平板部10A、下平板部10Bを構成する繊維(織布)と、取付部26、28を構成する繊維(織布)とが連続していない構成としたが、これに代えて、上平板部10A、下平板部10Bとを構成する繊維(織布)の一部と、取付部26、28を構成する繊維(織布)の一部とが連結されており、クラッシュボックス10が圧縮破壊する際に、連結されている一部の繊維(織布)によって、取付部26、28が上平板部10A、下平板部10Bから完全に切り離されることが無く、取付部が主壁部の近傍に保持される構成としてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、上平板部10A、下平板部10Bを構成する繊維(織布)と、取付部26、28を構成する繊維(織布)とを同一の炭素繊維としたが、これに代えて、上平板部10A、下平板部10Bとを構成する繊維(織布)と、取付部26、28を構成する繊維(織布)とを異なる強化繊維、例えば、炭素繊維とガラス繊維とした構成としてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、取付部26の車両幅方向から見た側面視形状を車両上方側を頂部とする略三角形状とし、取付部28の車両幅方向から見た側面視形状を車両下方側を頂部とする略三角形状としてが、取付部26、28の側面視形状は、略三角形状に限定されず矩形等の他の形状としてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、クラッシュボックス10に取り付ける他部品をラジエータサポート24にしたが、他部品はラジエータサポート24に限定されず他の車両部品でもよい。
【0054】
次に、本発明における車両部品取付構造の第2実施形態を図5に従って説明する。
【0055】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図5には本実施形態の車両部品取付構造が図1に対応する断面図で示されている。
【0057】
図5に示される如く、本実施形態では、クラッシュボックス10における上側の取付部60の車両前後方向から見た形状が直線形状(平板形状)となっており、取付部60の下部60Aのみが上平板部10Aの車幅方向外側面10Lに重なっている。このため、取付部60の下部60Aの繊維のみがクラッシュボックス10の上平板部10Aの繊維と、それぞれの繊維に含浸した樹脂によって互いに結合されている。
【0058】
また、本実施形態では、クラッシュボックス10における下側の取付部64の車両前後方向から見た形状が直線形状(平板形状)となっており、取付部64の上部64Aのみが下平板部10Bの車幅方向外側面10Pに重なっている。このため、取付部64の上部64Aの繊維のみがクラッシュボックス10の下平板部10Bの繊維と、それぞれの繊維に含浸した樹脂によって互いに結合されている。
【0059】
従って、本実施形態では第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、第1実施形態に比べて構成が簡単のため生産性を向上できる。なお、本実施形態は第1実施形態と比較して、クラッシュボックス10に取り付ける他部品としての車両部品62、66が軽量の場合に適している。
【0060】
次に、本発明における車両部品取付構造の第3実施形態を図6に従って説明する。
【0061】
なお、第1実施形態又は第2実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図6には本実施形態の車両部品取付構造が図1に対応する断面図で示されている。
【0063】
図6に示される如く、本実施形態では、クラッシュボックス10における上方側の取付部70の車両前後方向から見た形状が、下部がL字状に分岐した形状となっており、車両下方に延びる縦壁部70Aと車両前方へ延びる横壁部70Bとを備えている。縦壁部70Aは主壁部10Dの車幅方向外側面10Sに重なっており、横壁部70Bは主壁部10Cの車両上面10Tに重なっている。このため、取付部70における縦壁部70A、横壁部70Bの各繊維と、クラッシュボックス10の主壁部10C、10Dの繊維とが含浸した樹脂によって互いに結合されている。
【0064】
また、下方側の取付部72の車両前後方向から見た形状が、上部がL字状に分岐した形状となっており、車両上方に延びる縦壁部72Aと車両前方へ延びる横壁部72Bとを備えている。縦壁部72Aは主壁部10Hの車幅方向外側面10Uに重なっており、横壁部72Bは主壁部10Jの車両下面10Pに重なっている。このため、取付部72における縦壁部72A、横壁部72Bの各繊維と、クラッシュボックス10の主壁部10H、10Jの繊維とが含浸した樹脂によって互いに結合されている。
【0065】
また、取付部70の横壁部70Bが車両部品62と車両部品62の荷重作用方向(車両下方)に対して係合する曲げ部となっている。
【0066】
従って、本実施形態では第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0067】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、クラッシュボックス10をCFRP(炭素繊維強化樹脂)によって構成したが、繊維強化樹脂はCFRPに限定されず、ガラス繊維強化樹脂等の他の繊維強化樹脂としてもよい。
【0068】
また、クラッシュボックス10の取付部26、70の曲げ部としての連結部26C、横壁部70Bの形状は上記各実施形態の断面形状に限定されず円弧形状等の他の形状であってもよい。
【0069】
また、クラッシュボックス10の長手方向から見た断面形状は上記各実施形態の断面形状に限定されず他の形状であってもよい。
【0070】
また、エネルギー吸収部材はクラッシュボックス10に限定されず他のエネルギー吸収部材でもよい。
【0071】
また、上記各実施形態では、本発明の車両部品取付構造をフロントサイドメンバに適用したが、本発明の車両部品取付構造はフロントサイドメンバ以外にもリヤサイドメンバ等の他の部位にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図2の1−1断面線に沿った拡大断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両部品取付構造を示す車両斜め前方外側から見た斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両部品取付構造を示す車両斜め後方外側から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両部品取付構造のクラッシュボックスを示す車両斜め後方内側から見た斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る車両部品取付構造を示す図1に対応する断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る車両部品取付構造を示す図1に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10 クラッシュボックス(エネルギー吸収部材)
10A クラッシュボックスの上平板部(外周部)
10B クラッシュボックスの下平板部(外周部)
10C クラッシュボックスの主壁部
10D クラッシュボックスの主壁部
10E クラッシュボックスの主壁部
10F クラッシュボックスの主壁部
10G クラッシュボックスの主壁部
10H クラッシュボックスの主壁部
10J クラッシュボックスの主壁部
10K クラッシュボックスの取付壁部
24 ラジエータサポート(他部品)
26 クラッシュボックスの取付部
26C 取付部の連結部(曲げ部)
28 クラッシュボックスの取付部
60 クラッシュボックスの取付部
62 車両部品(他部品)
64 クラッシュボックスの取付部
70 クラッシュボックスの取付部
70B 取付部の横壁部(曲げ部)
72 クラッシュボックスの取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂が繊維に含浸された繊維強化樹脂材からなり長手方向を車体前後方向に沿って配置された主壁部と、該主壁部に沿って配置されると共に前記主壁部の樹脂が含浸されることで前記主壁部の繊維に結合された繊維からなる繊維強化樹脂材で構成され他部品を取付ける取付部と、を備えたエネルギー吸収部材を有することを特徴とする車両部品取付構造。
【請求項2】
前記エネルギー吸収部材の外周部が平板部となっており、該平板部に前記取付部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両部品取付構造。
【請求項3】
前記主壁部と前記取付部とが前記他部品の荷重作用方向に対して係合する曲げ部を前記取付部に有していることを特徴とする請求項1、2の何れか1項に記載の車両部品取付構造。
【請求項4】
前記主壁部を構成する繊維の一部と前記取付部を構成する繊維の一部とが連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両部品取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−221986(P2008−221986A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62123(P2007−62123)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)