車両
【課題】灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを防止できる車両を提供する。
【解決手段】アウタパネル10は、インナパネル20より上方に貫設された装着用開口30を有する。インナパネル20は、装着用開口30の近傍に貫設された灯具用作業穴41、42L、42Rを有する。灯具50は、装着用開口30に固定される固定部51と、固定部51から車両1の内部に向かって突出する本体部55と、本体部55における固定部51とは反対側から引き出された電気配線59とを有する。本体部55及びインナパネル20の一方には、灯具50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、本体部55及びインナパネル20の他方に当接可能とされて、本体部55が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する規制部71L、71R、72、73L、73Rが設けられている。
【解決手段】アウタパネル10は、インナパネル20より上方に貫設された装着用開口30を有する。インナパネル20は、装着用開口30の近傍に貫設された灯具用作業穴41、42L、42Rを有する。灯具50は、装着用開口30に固定される固定部51と、固定部51から車両1の内部に向かって突出する本体部55と、本体部55における固定部51とは反対側から引き出された電気配線59とを有する。本体部55及びインナパネル20の一方には、灯具50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、本体部55及びインナパネル20の他方に当接可能とされて、本体部55が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する規制部71L、71R、72、73L、73Rが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の車両が開示されている。この車両は、車両本体と、車両本体を構成する車体パネルに装着される灯具とを備えている。
【0003】
車体パネルは、灯具が装着される装着用開口を有している。装着用開口の上端縁は、車体パネルの上方に位置している。装着用開口の下端縁は、車体パネルの下方に位置する底面側部材の端縁である。底面側部材は、図1及び図3の符号5aにより示されている。装着用開口の両側端縁はそれぞれ、装着用開口の上端縁の両端から下方に向けて円弧状に延びて、装着用開口の下端縁に連なっている。装着用開口の下端縁には、取付孔が貫設された切片が凸設されているとともに、仮着孔が貫設された立上部が凸設されている。仮着孔は、図1の符号5c、及び図3の符号51cにより示されている。
【0004】
灯具は、本体部と、本体部から車両の内部に向かって突出する取付座面と、本体部から車両の内部に向かって突出する突起部とを備えている。突起部は、図1の符号3、及び図3の符号31a、31bにより示されている。
【0005】
上記構成である従来の車両では、灯具を装着用開口に装着した際、突起部が仮着孔に係合して灯具の位置を仮決めすることにより、灯具側の取付座面と、装着用開口の下端縁側の取付孔との締結を容易に行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平01−123738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の車両では、通常、灯具が電気配線を有し、その電気配線が本体部から装着用開口に向かって引き出されている。このため、灯具が装着用開口に挿入される際、突起部が仮着孔に係合するまでは本体部の姿勢が定まらず、本体部が下方に傾斜し過ぎる場合がある。この場合、電気配線が装着用開口の下端縁に押し付けられて損傷するおそれがある。
【0008】
また、一般的な車両では、車体パネルにおける装着用開口の近傍に、灯具用作業穴が貫設されている場合がある。この灯具用作業穴は、装着用開口に装着される灯具に対する作業を可能とするためのものである。そして、この場合、灯具が装着用開口に挿入される際に本体部が下方に傾斜し過ぎると、電気配線が灯具用作業穴の周縁に押し付けられて損傷するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを防止できる車両を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両は、車両本体と、
前記車両本体に開閉可能に支持される開閉体と、
前記車両本体又は前記開閉体を構成する車体パネルに装着される灯具とを備える車両であって、
前記車体パネルは、前記車両の側面に露出するアウタパネルと、前記アウタパネルから前記車両の内部に向かって延在するインナパネルとを有し、
前記アウタパネルは、前記インナパネルより上方に貫設されて前記車両の外部から前記灯具が装着される装着用開口を有し、
前記インナパネルは、前記装着用開口の近傍に貫設されて前記インナパネルより下方からの前記灯具に対する作業を可能とする灯具用作業穴を有し、
前記灯具は、前記装着用開口に固定される固定部と、前記固定部から前記車両の内部に向かって突出する本体部と、前記本体部における前記固定部とは反対側から引き出された電気配線とを有し、
前記本体部及び前記インナパネルの一方には、前記灯具が前記装着用開口に挿入されてから装着されるまでの間において、前記本体部及び前記インナパネルの他方に当接可能とされて、前記本体部が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する規制部が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の車両では、本体部及びインナパネルの一方に設けられた規制部は、灯具が装着用開口に挿入されてから装着されるまでの間において、本体部及びインナパネルの他方に当接可能とされて、本体部が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する。このため、本体部が下方に傾斜し過ぎることがないので、電気配線が灯具用作業穴の周縁に押し付けられ難くなる。
【0012】
したがって、本発明の車両は、灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを防止できる。
【0013】
本発明の車両において、規制部は、本体部の横幅方向の両端側から固定部とは反対側に向けて突出する一対のリブであることが好ましい。そして、灯具用作業穴の横幅は、両リブの横幅方向の間隔より狭く、電気配線は、本体部における両リブの間から引き出されていることが好ましい(請求項2)。
【0014】
このような具体的構成により、灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを確実に防止できる。また、左右一対のリブは、灯具の姿勢が挿入方向まわりに回転することも防止できる。このため、灯具の装着作業が一層容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の車両の部分斜視図である。
【図2】実施例1の車両に係り、灯具近傍を拡大した部分背面図である。
【図3】実施例1の車両に係り、図2のIII−III断面を示す断面図である。
【図4】実施例1の車両に係り、図2のIV−IV断面を示す断面図である。
【図5】実施例1の車両に係り、図3のV−V断面を示す断面図である。
【図6】比較例の車両に係り、灯具が装着用開口に挿入される途中の姿勢を説明するIII−III断面図である。
【図7】実施例1の車両に係り、灯具が装着用開口に挿入される途中の姿勢を説明するIII−III断面図である。
【図8】実施例1の車両に係り、灯具が装着用開口に挿入される途中の姿勢を説明するIII−III断面図である。
【図9】実施例2の車両に係り、図2のIII−III断面を示す断面図である。
【図10】実施例2の車両に係り、図9のX−X断面を示す断面図である。
【図11】実施例3の車両に係り、図2のIII−III断面を示す断面図である。
【図12】実施例3の車両に係り、図2のIV−IV断面を示す断面図である。
【図13】実施例3の車両に係り、図11のXIII−XIII断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。なお、図1では、車両1のテールゲート3側を後方と規定し、テールゲート3とは反対側を前方と規定し、車室内の搭乗者の右手側を右方と規定し、車室内の搭乗者の左手側を左方と規定して、各方向を表示している。また、図2以降の各図に表示する各方向は、図1に対応している。
【0017】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の車両1は一般的な自動車である。車両1は、周知の車体フレーム、エンジン及び搭乗席等により構成される車両本体2と、車両本体2の後部に設けられたテールゲート3と、テールゲート3の上部に装着されるハイマウントストップランプ50とを備えている。テールゲート3は、本発明の開閉体の一例である。ハイマウントストップランプ50は、本発明の灯具の一例である。
【0018】
図1及び図2に示すように、テールゲート3は、車体パネル5及びリヤウィンドウガラス6等により構成されている。車体パネル5の上部は、大きな開口5Aを囲む枠形状とされ、図示しないヒンジによって車両本体2の後部に開閉可能に支持されている。車体パネル5の下部は、略平板形状とされている。リヤウィンドウガラス6は、車体パネル5の開口5Aを塞ぐように車両1の外側から車体パネル5に固定されている。
【0019】
図3及び図4に示すように、車体パネル5は、薄肉鋼板製であるアウタパネル10及びインナパネル20を有している。
【0020】
図1に示すように、アウタパネル10は、リヤウィンドウガラス6の上方及び下方で車両1の背面に露出して、車両1の意匠面を構成している。図3及び図4に示すように、インナパネル20は、アウタパネル10の上部の枠形状部分に対して車両1の内側から結合されて、その部分を補強している。図示は省略するが、インナパネル20は、アウタパネル10の下部の略平板形状部分に対しても車両1の内側から結合されて、その部分も補強している。
【0021】
インナパネル20は、アウタパネル10におけるリヤウィンドウガラス6の上端縁の近傍から車両1の内部に向かって略水平に延在する平面部20Aを有している。図2に示すように、平面部20Aは、車両1の横幅方向、すなわち、左右方向にも略水平に延在している。図3及び図4に示すように、インナパネル20において平面部20Aより前側部分は、さらに上向きに傾斜して、アウタパネル10の前端縁部と結合されている。
【0022】
図2〜図4に示すように、アウタパネル10におけるリヤウィンドウガラス6より上方には、装着用開口30が貫設されている。装着用開口30は、左右方向に細長い略矩形状とされて、平面部20Aより上方、かつテールゲート3の左右方向の中央に位置している。装着用開口30には、車両1の外部からハイマウントストップランプ50が装着されている。
【0023】
図2、図3及び図5に示すように、インナパネル20の平面部20Aには、灯具用作業穴41が貫設されている。灯具用作業穴41は、左右方向に細長い略矩形状とされて、装着用開口30の近傍、かつテールゲート3の左右方向の中央に位置している。灯具用作業穴41の大きさは、平面部20Aより下方から、作業者が手を差し入れて、平面部20Aより上方のハイマウントストップランプ50に対する作業を容易に実施可能な程度に大きくされている。
【0024】
次に、ハイマウントストップランプ50について、図3〜図5に示す装着用開口30に装着された状態を基準として説明する。ハイマウントストップランプ50は、固定部51と、本体部55と、弾性係合部材57と、電気配線59とを有している。
【0025】
固定部51は、車両1の背面側から見て、装着用開口30より一回り大きな輪郭を有するフランジ形状とされている。ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に装着された状態では、固定部51は、図示しないパッキンを介して、車両1の外側から装着用開口30の周縁の全周に当て止まる。
【0026】
本体部55は、車両1の背面側から見て、装着用開口30より一回り小さな断面形状を有して、固定部51から車両1の内部に向かって、すなわち、前方に向かって突出する箱状体である。図示は省略するが、本体部55内には、電球、ハロゲンランプ又はLED等からなる周知の発光手段が収容されている。
【0027】
固定部51及び本体部55は、樹脂製である。また、固定部51における発光手段と対向する範囲は、発光手段から照射される光を透過可能となっている。
【0028】
弾性係合部材57は、金属や樹脂等からなる弾性部材であり、本体部55の上面に左右一対設けられているとともに、本体部55の下面にも左右一対設けられている。弾性係合部材57は、側面視した場合、略「へ」字状に屈曲しており、本体部55に接近するように弾性変形可能となっている。ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に装着された状態では、弾性係合部材57は、装着用開口30の上端縁及び下端縁に弾性変形した状態で当接する。これにより、固定部51が装着用開口30の周縁に当て止まった状態で確実に固定される。
【0029】
電気配線59は、複数本の被覆電線が束ねられたワイヤハーネスである。電気配線59は、本体部55における固定部51とは反対側、すなわち、本体部55の前面側から、コネクタ59Aを介して引き出されている。電気配線59は、車両本体2側に設けられた図示しない給電装置と、本体部55内に収容された発光手段とを電気的に接続している。コネクタ59Aは、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に装着される前、又はその途中で、作業者が灯具用作業穴41に下方から手を差し入れて行う接続作業により、本体部55の前面側に嵌合される。
【0030】
図3〜図5に示すように、本体部55には、一対のリブ71L、71Rが設けられている。両リブ71L、71Rは、本発明の規制部の一例である。両リブ71L、71Rは、本体部55の前面側の左右両端側から前方に突出するリブ形状とされている。
【0031】
図3には、左側のリブ71Lが図示されている。その一方、図4には、右側のリブ71Rが図示されている。図3及び図4に示すように、側面視した場合、両リブ71L、71Rは同一形状とされている。両リブ71L、71Rの下面は、本体部55の前面側下端から略水平に前方に延びた後、上方に向けて傾斜する案内面71Aとされている。
【0032】
図5に示すように、灯具用作業穴41の左右方向の横幅W2は、両リブ71L、71Rの左右方向の間隔W1より小さくされている。すなわち、両リブ71L、71Rの案内面71Aの下方には、平面部20Aが位置している。また、電気配線59は、本体部55の前面側における両リブ71L、71Rの間、かつ灯具用作業穴41の上方から引き出されている。
【0033】
ここで、仮に、本体部55に一対のリブ71L、71Rが設けられていない場合におけるハイマウントストップランプ50の装着作業を比較例として先に説明する。この場合、図6に示すように、本体部55の前面側から電気配線59が引き出された状態のハイマウントストップランプ50を車両1の外側から装着用開口30に挿入すると、弾性係合部材57が装着用開口30の上端縁及び下端縁に接触しながら弾性変形して、本体部55に接近する。
【0034】
この際、本体部55の上面側の弾性係合部材57と、本体部55の下面側の弾性係合部材57とは、本体部55の挿入角度によって、弾性変形の程度が異なり易く、その結果、本体部55の姿勢が定まり難い。この状態で、本体部55をさらに挿入すると、本体部55が下方に傾斜し過ぎてしまう事態が生じ得る。そうすると、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられ易くなり、その結果、電気配線59が損傷する不具合が発生し易くなる。
【0035】
図6は、本体部55が下方に傾斜し過ぎて、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられた状態を示している。また、図6に示す所定の範囲E1は、本体部55がこの所定の範囲E1を超えて下方に傾斜しなければ、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aと接触しないという範囲であり、装着用開口30、本体部55、電気配線59及び灯具用作業穴41の相対位置関係によって定まる。
【0036】
この点、実施例1の車両1では、ハイマウントストップランプ50の装着作業を行う際、本体部55に設けられた一対のリブ71L、71Rが以下のように作用する。
【0037】
すなわち、図7に示すように、本体部55の前面側から電気配線59が引き出された状態のハイマウントストップランプ50を車両1の外側から装着用開口30に挿入する。そうすると、弾性係合部材57が装着用開口30の上端縁及び下端縁に接触する前から、両リブ71L、71Rの案内面71Aが平面部20Aの上方に位置する。この際、本体部55が図7に示す姿勢まで傾斜すれば、案内面71Aが平面部20Aに当接して、本体部55がさらに傾斜することを防止する。その一方、本体部55が図7に示す姿勢まで傾斜していなければ、案内面71Aは平面部20Aに対して上方に離間する。ここで、案内面71Aの形状は、案内面71Aが平面部20Aに当接した場合に、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜しないように設定されている。
【0038】
図8に示すように、ハイマウントストップランプ50をさらに装着用開口30に挿入すると、弾性係合部材57が装着用開口30の上端縁及び下端縁に接触しながら弾性変形して、本体部55に接近する。この間においても、本体部55が図8に示す姿勢まで傾斜すれば、案内面71Aが平面部20Aに当接して、本体部55がさらに傾斜することを防止する。その一方、本体部55が図8に示す姿勢まで傾斜していなければ、案内面71Aは平面部20Aに対して上方に離間する。このため、この間においても、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜しない。
【0039】
そして、図3及び図4に示すように、ハイマウントストップランプ50を装着用開口30に完全に挿入して、固定部51と弾性係合部材57とで装着用開口30の周縁を挟むことにより、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に確実に固定される。
【0040】
このように、この車両1では、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜することを両リブ71L、71Rが防止する。このため、この車両1では、図6を示して説明した比較例とは異なり、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられない。
【0041】
したがって、実施例1の車両1は、ハイマウントストップランプ50の装着作業中に電気配線59が損傷することを確実に防止できる。
【0042】
また、この車両1において、両リブ71L、71Rは、本体部55の左右方向の両端側から前方に向けて突出する構成により、ハイマウントストップランプ50の姿勢が挿入方向まわりに回転することを防止できる。このため、ハイマウントストップランプ50の姿勢が定まり易くなり、ハイマウントストップランプ50の装着作業が一層容易になる。
【0043】
(実施例2)
図9及び図10に示すように、実施例2の車両は、実施例1の灯具用作業穴41を灯具用作業穴42L、42Rに変更し、実施例1の一対のリブ71L、71Rを一本のリブ72に変更し、本体部55から電気配線59を引き出す位置を灯具用作業穴42Lの上方にずらしたものである。実施例2の車両のその他の構成は、実施例1の車両1と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0044】
図9及び図10に示すように、実施例2の車両において、インナパネル20の平面部20Aには、左右一対の灯具用作業穴42L、42Rが貫設されている。両灯具用作業穴42L、42Rは、それぞれ略矩形状とされて、装着用開口30の近傍に位置している。テールゲート3の左右方向の中央に対して、灯具用作業穴42Lは左側に位置し、灯具用作業穴42Rは右側に位置している。両灯具用作業穴42L、42Rの大きさは、平面部20Aより下方から、作業者が手を差し入れて、平面部20Aより上方のハイマウントストップランプ50に対する作業を容易に実施可能な程度に大きくされている。
【0045】
本体部55には、一本のリブ72が設けられている。リブ72は、本発明の規制部の一例である。リブ72は、本体部55の前面側における左右方向の中央から前方に突出するリブ形状とされている。
【0046】
図9に示すように、リブ72の下面は、本体部55の前面側下端から略水平に前方に延びた後、上方に向けて傾斜する案内面72Aとされている。側面視した場合、案内面72Aは、実施例1のリブ71L、71Rと同一形状とされている。
【0047】
図10に示すように、平面視した場合、リブ72の案内面72Aは、両灯具用作業穴42L、42Rの間に位置している。すなわち、案内面72Aの下方には、平面部20Aが位置している。また、電気配線59は、本体部55の前面側におけるリブ72より左側、かつ灯具用作業穴42Lの上方から引き出されている。電気配線59のコネクタ59Aは、作業者が両灯具用作業穴42L、42Rに下方から手を差し入れて行う接続作業により、本体部55の前面側に嵌合される。
【0048】
このような構成である実施例2の車両では、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、リブ72の案内面72Aが平面部20Aに当接可能とされて、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜することを防止する。このため、この車両では、電気配線59が左側の灯具用ランプ用作業穴42Lの前端縁42Aに押し付けられない。
【0049】
したがって、実施例2の車両も、実施例1の車両1と同様に、ハイマウントストップランプ50の装着作業中に電気配線59が損傷することを防止できる。
【0050】
(実施例3)
図11〜図13に示すように、実施例3の車両は、実施例1のリブ71L、71Rを本体部55に設けない代わりに、平面部20Aにインナパネル側規制面73L、73Rを設けたものである。実施例3の車両のその他の構成は、実施例1の車両1と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0051】
図11〜図13に示すように、実施例3の車両において、インナパネル20の平面部20Aには、左右一対の台部74L、74Rが形成されている。両台部74L、74Rは、平面部20Aの一部の領域が上方に押し出し加工されて、他の領域より一段高くされている。両台部74L、74Rの前後方向に延在する上面は、一対のインナパネル側規制面73L、73Rとされている。両インナパネル側規制面73L、73Rは、本発明の規制部の一例である。図13に示すように、平面視した場合、両インナパネル側規制面73L、73Rは、本体部55の前面側における左右方向両端側の下方に位置している。
【0052】
図11には、左側の台部74L及びインナパネル側規制面73Lが図示されている。その一方、図12には、右側の台部74R及びインナパネル側規制面73Rが図示されている。図11及び図12に示すように、側面視した場合、両インナパネル側規制面73L、73Rは、所定の範囲E1よりわずかに高く略水平に延在する同一形状とされている。
【0053】
このような構成である実施例3の車両では、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、平面部20Aの両インナパネル側規制面73L、73Rが本体部55の下面に当接可能とされて、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜することを防止する。このため、この車両では、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられない。
【0054】
したがって、実施例3の車両も、実施例1、2の車両1と同様に、ハイマウントストップランプ50の装着作業中に電気配線59が損傷することを防止できる。
【0055】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は自動車や産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
2…車両本体
3…開閉体(テールゲート)
5…車体パネル
50…灯具(ハイマウントストップランプ)
1…車両
10…アウタパネル
20…インナパネル
30…装着用開口
41、42L、42R…灯具用作業穴
51…固定部
55…本体部
59…電気配線
71L、71R、72、73L、73R…規制部(71L、71R…一対のリブ、72…一本のリブ、73L、73R…インナパネル側規制面)
E1…所定の範囲
W2…灯具用作業穴の横幅
W1…一対のリブの横幅方向の間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の車両が開示されている。この車両は、車両本体と、車両本体を構成する車体パネルに装着される灯具とを備えている。
【0003】
車体パネルは、灯具が装着される装着用開口を有している。装着用開口の上端縁は、車体パネルの上方に位置している。装着用開口の下端縁は、車体パネルの下方に位置する底面側部材の端縁である。底面側部材は、図1及び図3の符号5aにより示されている。装着用開口の両側端縁はそれぞれ、装着用開口の上端縁の両端から下方に向けて円弧状に延びて、装着用開口の下端縁に連なっている。装着用開口の下端縁には、取付孔が貫設された切片が凸設されているとともに、仮着孔が貫設された立上部が凸設されている。仮着孔は、図1の符号5c、及び図3の符号51cにより示されている。
【0004】
灯具は、本体部と、本体部から車両の内部に向かって突出する取付座面と、本体部から車両の内部に向かって突出する突起部とを備えている。突起部は、図1の符号3、及び図3の符号31a、31bにより示されている。
【0005】
上記構成である従来の車両では、灯具を装着用開口に装着した際、突起部が仮着孔に係合して灯具の位置を仮決めすることにより、灯具側の取付座面と、装着用開口の下端縁側の取付孔との締結を容易に行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平01−123738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の車両では、通常、灯具が電気配線を有し、その電気配線が本体部から装着用開口に向かって引き出されている。このため、灯具が装着用開口に挿入される際、突起部が仮着孔に係合するまでは本体部の姿勢が定まらず、本体部が下方に傾斜し過ぎる場合がある。この場合、電気配線が装着用開口の下端縁に押し付けられて損傷するおそれがある。
【0008】
また、一般的な車両では、車体パネルにおける装着用開口の近傍に、灯具用作業穴が貫設されている場合がある。この灯具用作業穴は、装着用開口に装着される灯具に対する作業を可能とするためのものである。そして、この場合、灯具が装着用開口に挿入される際に本体部が下方に傾斜し過ぎると、電気配線が灯具用作業穴の周縁に押し付けられて損傷するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを防止できる車両を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両は、車両本体と、
前記車両本体に開閉可能に支持される開閉体と、
前記車両本体又は前記開閉体を構成する車体パネルに装着される灯具とを備える車両であって、
前記車体パネルは、前記車両の側面に露出するアウタパネルと、前記アウタパネルから前記車両の内部に向かって延在するインナパネルとを有し、
前記アウタパネルは、前記インナパネルより上方に貫設されて前記車両の外部から前記灯具が装着される装着用開口を有し、
前記インナパネルは、前記装着用開口の近傍に貫設されて前記インナパネルより下方からの前記灯具に対する作業を可能とする灯具用作業穴を有し、
前記灯具は、前記装着用開口に固定される固定部と、前記固定部から前記車両の内部に向かって突出する本体部と、前記本体部における前記固定部とは反対側から引き出された電気配線とを有し、
前記本体部及び前記インナパネルの一方には、前記灯具が前記装着用開口に挿入されてから装着されるまでの間において、前記本体部及び前記インナパネルの他方に当接可能とされて、前記本体部が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する規制部が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の車両では、本体部及びインナパネルの一方に設けられた規制部は、灯具が装着用開口に挿入されてから装着されるまでの間において、本体部及びインナパネルの他方に当接可能とされて、本体部が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する。このため、本体部が下方に傾斜し過ぎることがないので、電気配線が灯具用作業穴の周縁に押し付けられ難くなる。
【0012】
したがって、本発明の車両は、灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを防止できる。
【0013】
本発明の車両において、規制部は、本体部の横幅方向の両端側から固定部とは反対側に向けて突出する一対のリブであることが好ましい。そして、灯具用作業穴の横幅は、両リブの横幅方向の間隔より狭く、電気配線は、本体部における両リブの間から引き出されていることが好ましい(請求項2)。
【0014】
このような具体的構成により、灯具の装着作業中に電気配線が損傷することを確実に防止できる。また、左右一対のリブは、灯具の姿勢が挿入方向まわりに回転することも防止できる。このため、灯具の装着作業が一層容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の車両の部分斜視図である。
【図2】実施例1の車両に係り、灯具近傍を拡大した部分背面図である。
【図3】実施例1の車両に係り、図2のIII−III断面を示す断面図である。
【図4】実施例1の車両に係り、図2のIV−IV断面を示す断面図である。
【図5】実施例1の車両に係り、図3のV−V断面を示す断面図である。
【図6】比較例の車両に係り、灯具が装着用開口に挿入される途中の姿勢を説明するIII−III断面図である。
【図7】実施例1の車両に係り、灯具が装着用開口に挿入される途中の姿勢を説明するIII−III断面図である。
【図8】実施例1の車両に係り、灯具が装着用開口に挿入される途中の姿勢を説明するIII−III断面図である。
【図9】実施例2の車両に係り、図2のIII−III断面を示す断面図である。
【図10】実施例2の車両に係り、図9のX−X断面を示す断面図である。
【図11】実施例3の車両に係り、図2のIII−III断面を示す断面図である。
【図12】実施例3の車両に係り、図2のIV−IV断面を示す断面図である。
【図13】実施例3の車両に係り、図11のXIII−XIII断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。なお、図1では、車両1のテールゲート3側を後方と規定し、テールゲート3とは反対側を前方と規定し、車室内の搭乗者の右手側を右方と規定し、車室内の搭乗者の左手側を左方と規定して、各方向を表示している。また、図2以降の各図に表示する各方向は、図1に対応している。
【0017】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の車両1は一般的な自動車である。車両1は、周知の車体フレーム、エンジン及び搭乗席等により構成される車両本体2と、車両本体2の後部に設けられたテールゲート3と、テールゲート3の上部に装着されるハイマウントストップランプ50とを備えている。テールゲート3は、本発明の開閉体の一例である。ハイマウントストップランプ50は、本発明の灯具の一例である。
【0018】
図1及び図2に示すように、テールゲート3は、車体パネル5及びリヤウィンドウガラス6等により構成されている。車体パネル5の上部は、大きな開口5Aを囲む枠形状とされ、図示しないヒンジによって車両本体2の後部に開閉可能に支持されている。車体パネル5の下部は、略平板形状とされている。リヤウィンドウガラス6は、車体パネル5の開口5Aを塞ぐように車両1の外側から車体パネル5に固定されている。
【0019】
図3及び図4に示すように、車体パネル5は、薄肉鋼板製であるアウタパネル10及びインナパネル20を有している。
【0020】
図1に示すように、アウタパネル10は、リヤウィンドウガラス6の上方及び下方で車両1の背面に露出して、車両1の意匠面を構成している。図3及び図4に示すように、インナパネル20は、アウタパネル10の上部の枠形状部分に対して車両1の内側から結合されて、その部分を補強している。図示は省略するが、インナパネル20は、アウタパネル10の下部の略平板形状部分に対しても車両1の内側から結合されて、その部分も補強している。
【0021】
インナパネル20は、アウタパネル10におけるリヤウィンドウガラス6の上端縁の近傍から車両1の内部に向かって略水平に延在する平面部20Aを有している。図2に示すように、平面部20Aは、車両1の横幅方向、すなわち、左右方向にも略水平に延在している。図3及び図4に示すように、インナパネル20において平面部20Aより前側部分は、さらに上向きに傾斜して、アウタパネル10の前端縁部と結合されている。
【0022】
図2〜図4に示すように、アウタパネル10におけるリヤウィンドウガラス6より上方には、装着用開口30が貫設されている。装着用開口30は、左右方向に細長い略矩形状とされて、平面部20Aより上方、かつテールゲート3の左右方向の中央に位置している。装着用開口30には、車両1の外部からハイマウントストップランプ50が装着されている。
【0023】
図2、図3及び図5に示すように、インナパネル20の平面部20Aには、灯具用作業穴41が貫設されている。灯具用作業穴41は、左右方向に細長い略矩形状とされて、装着用開口30の近傍、かつテールゲート3の左右方向の中央に位置している。灯具用作業穴41の大きさは、平面部20Aより下方から、作業者が手を差し入れて、平面部20Aより上方のハイマウントストップランプ50に対する作業を容易に実施可能な程度に大きくされている。
【0024】
次に、ハイマウントストップランプ50について、図3〜図5に示す装着用開口30に装着された状態を基準として説明する。ハイマウントストップランプ50は、固定部51と、本体部55と、弾性係合部材57と、電気配線59とを有している。
【0025】
固定部51は、車両1の背面側から見て、装着用開口30より一回り大きな輪郭を有するフランジ形状とされている。ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に装着された状態では、固定部51は、図示しないパッキンを介して、車両1の外側から装着用開口30の周縁の全周に当て止まる。
【0026】
本体部55は、車両1の背面側から見て、装着用開口30より一回り小さな断面形状を有して、固定部51から車両1の内部に向かって、すなわち、前方に向かって突出する箱状体である。図示は省略するが、本体部55内には、電球、ハロゲンランプ又はLED等からなる周知の発光手段が収容されている。
【0027】
固定部51及び本体部55は、樹脂製である。また、固定部51における発光手段と対向する範囲は、発光手段から照射される光を透過可能となっている。
【0028】
弾性係合部材57は、金属や樹脂等からなる弾性部材であり、本体部55の上面に左右一対設けられているとともに、本体部55の下面にも左右一対設けられている。弾性係合部材57は、側面視した場合、略「へ」字状に屈曲しており、本体部55に接近するように弾性変形可能となっている。ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に装着された状態では、弾性係合部材57は、装着用開口30の上端縁及び下端縁に弾性変形した状態で当接する。これにより、固定部51が装着用開口30の周縁に当て止まった状態で確実に固定される。
【0029】
電気配線59は、複数本の被覆電線が束ねられたワイヤハーネスである。電気配線59は、本体部55における固定部51とは反対側、すなわち、本体部55の前面側から、コネクタ59Aを介して引き出されている。電気配線59は、車両本体2側に設けられた図示しない給電装置と、本体部55内に収容された発光手段とを電気的に接続している。コネクタ59Aは、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に装着される前、又はその途中で、作業者が灯具用作業穴41に下方から手を差し入れて行う接続作業により、本体部55の前面側に嵌合される。
【0030】
図3〜図5に示すように、本体部55には、一対のリブ71L、71Rが設けられている。両リブ71L、71Rは、本発明の規制部の一例である。両リブ71L、71Rは、本体部55の前面側の左右両端側から前方に突出するリブ形状とされている。
【0031】
図3には、左側のリブ71Lが図示されている。その一方、図4には、右側のリブ71Rが図示されている。図3及び図4に示すように、側面視した場合、両リブ71L、71Rは同一形状とされている。両リブ71L、71Rの下面は、本体部55の前面側下端から略水平に前方に延びた後、上方に向けて傾斜する案内面71Aとされている。
【0032】
図5に示すように、灯具用作業穴41の左右方向の横幅W2は、両リブ71L、71Rの左右方向の間隔W1より小さくされている。すなわち、両リブ71L、71Rの案内面71Aの下方には、平面部20Aが位置している。また、電気配線59は、本体部55の前面側における両リブ71L、71Rの間、かつ灯具用作業穴41の上方から引き出されている。
【0033】
ここで、仮に、本体部55に一対のリブ71L、71Rが設けられていない場合におけるハイマウントストップランプ50の装着作業を比較例として先に説明する。この場合、図6に示すように、本体部55の前面側から電気配線59が引き出された状態のハイマウントストップランプ50を車両1の外側から装着用開口30に挿入すると、弾性係合部材57が装着用開口30の上端縁及び下端縁に接触しながら弾性変形して、本体部55に接近する。
【0034】
この際、本体部55の上面側の弾性係合部材57と、本体部55の下面側の弾性係合部材57とは、本体部55の挿入角度によって、弾性変形の程度が異なり易く、その結果、本体部55の姿勢が定まり難い。この状態で、本体部55をさらに挿入すると、本体部55が下方に傾斜し過ぎてしまう事態が生じ得る。そうすると、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられ易くなり、その結果、電気配線59が損傷する不具合が発生し易くなる。
【0035】
図6は、本体部55が下方に傾斜し過ぎて、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられた状態を示している。また、図6に示す所定の範囲E1は、本体部55がこの所定の範囲E1を超えて下方に傾斜しなければ、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aと接触しないという範囲であり、装着用開口30、本体部55、電気配線59及び灯具用作業穴41の相対位置関係によって定まる。
【0036】
この点、実施例1の車両1では、ハイマウントストップランプ50の装着作業を行う際、本体部55に設けられた一対のリブ71L、71Rが以下のように作用する。
【0037】
すなわち、図7に示すように、本体部55の前面側から電気配線59が引き出された状態のハイマウントストップランプ50を車両1の外側から装着用開口30に挿入する。そうすると、弾性係合部材57が装着用開口30の上端縁及び下端縁に接触する前から、両リブ71L、71Rの案内面71Aが平面部20Aの上方に位置する。この際、本体部55が図7に示す姿勢まで傾斜すれば、案内面71Aが平面部20Aに当接して、本体部55がさらに傾斜することを防止する。その一方、本体部55が図7に示す姿勢まで傾斜していなければ、案内面71Aは平面部20Aに対して上方に離間する。ここで、案内面71Aの形状は、案内面71Aが平面部20Aに当接した場合に、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜しないように設定されている。
【0038】
図8に示すように、ハイマウントストップランプ50をさらに装着用開口30に挿入すると、弾性係合部材57が装着用開口30の上端縁及び下端縁に接触しながら弾性変形して、本体部55に接近する。この間においても、本体部55が図8に示す姿勢まで傾斜すれば、案内面71Aが平面部20Aに当接して、本体部55がさらに傾斜することを防止する。その一方、本体部55が図8に示す姿勢まで傾斜していなければ、案内面71Aは平面部20Aに対して上方に離間する。このため、この間においても、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜しない。
【0039】
そして、図3及び図4に示すように、ハイマウントストップランプ50を装着用開口30に完全に挿入して、固定部51と弾性係合部材57とで装着用開口30の周縁を挟むことにより、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に確実に固定される。
【0040】
このように、この車両1では、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜することを両リブ71L、71Rが防止する。このため、この車両1では、図6を示して説明した比較例とは異なり、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられない。
【0041】
したがって、実施例1の車両1は、ハイマウントストップランプ50の装着作業中に電気配線59が損傷することを確実に防止できる。
【0042】
また、この車両1において、両リブ71L、71Rは、本体部55の左右方向の両端側から前方に向けて突出する構成により、ハイマウントストップランプ50の姿勢が挿入方向まわりに回転することを防止できる。このため、ハイマウントストップランプ50の姿勢が定まり易くなり、ハイマウントストップランプ50の装着作業が一層容易になる。
【0043】
(実施例2)
図9及び図10に示すように、実施例2の車両は、実施例1の灯具用作業穴41を灯具用作業穴42L、42Rに変更し、実施例1の一対のリブ71L、71Rを一本のリブ72に変更し、本体部55から電気配線59を引き出す位置を灯具用作業穴42Lの上方にずらしたものである。実施例2の車両のその他の構成は、実施例1の車両1と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0044】
図9及び図10に示すように、実施例2の車両において、インナパネル20の平面部20Aには、左右一対の灯具用作業穴42L、42Rが貫設されている。両灯具用作業穴42L、42Rは、それぞれ略矩形状とされて、装着用開口30の近傍に位置している。テールゲート3の左右方向の中央に対して、灯具用作業穴42Lは左側に位置し、灯具用作業穴42Rは右側に位置している。両灯具用作業穴42L、42Rの大きさは、平面部20Aより下方から、作業者が手を差し入れて、平面部20Aより上方のハイマウントストップランプ50に対する作業を容易に実施可能な程度に大きくされている。
【0045】
本体部55には、一本のリブ72が設けられている。リブ72は、本発明の規制部の一例である。リブ72は、本体部55の前面側における左右方向の中央から前方に突出するリブ形状とされている。
【0046】
図9に示すように、リブ72の下面は、本体部55の前面側下端から略水平に前方に延びた後、上方に向けて傾斜する案内面72Aとされている。側面視した場合、案内面72Aは、実施例1のリブ71L、71Rと同一形状とされている。
【0047】
図10に示すように、平面視した場合、リブ72の案内面72Aは、両灯具用作業穴42L、42Rの間に位置している。すなわち、案内面72Aの下方には、平面部20Aが位置している。また、電気配線59は、本体部55の前面側におけるリブ72より左側、かつ灯具用作業穴42Lの上方から引き出されている。電気配線59のコネクタ59Aは、作業者が両灯具用作業穴42L、42Rに下方から手を差し入れて行う接続作業により、本体部55の前面側に嵌合される。
【0048】
このような構成である実施例2の車両では、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、リブ72の案内面72Aが平面部20Aに当接可能とされて、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜することを防止する。このため、この車両では、電気配線59が左側の灯具用ランプ用作業穴42Lの前端縁42Aに押し付けられない。
【0049】
したがって、実施例2の車両も、実施例1の車両1と同様に、ハイマウントストップランプ50の装着作業中に電気配線59が損傷することを防止できる。
【0050】
(実施例3)
図11〜図13に示すように、実施例3の車両は、実施例1のリブ71L、71Rを本体部55に設けない代わりに、平面部20Aにインナパネル側規制面73L、73Rを設けたものである。実施例3の車両のその他の構成は、実施例1の車両1と同一である。このため、同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0051】
図11〜図13に示すように、実施例3の車両において、インナパネル20の平面部20Aには、左右一対の台部74L、74Rが形成されている。両台部74L、74Rは、平面部20Aの一部の領域が上方に押し出し加工されて、他の領域より一段高くされている。両台部74L、74Rの前後方向に延在する上面は、一対のインナパネル側規制面73L、73Rとされている。両インナパネル側規制面73L、73Rは、本発明の規制部の一例である。図13に示すように、平面視した場合、両インナパネル側規制面73L、73Rは、本体部55の前面側における左右方向両端側の下方に位置している。
【0052】
図11には、左側の台部74L及びインナパネル側規制面73Lが図示されている。その一方、図12には、右側の台部74R及びインナパネル側規制面73Rが図示されている。図11及び図12に示すように、側面視した場合、両インナパネル側規制面73L、73Rは、所定の範囲E1よりわずかに高く略水平に延在する同一形状とされている。
【0053】
このような構成である実施例3の車両では、ハイマウントストップランプ50が装着用開口30に挿入されてから装着されるまでの間において、平面部20Aの両インナパネル側規制面73L、73Rが本体部55の下面に当接可能とされて、本体部55が所定の範囲E1を超えて下方に傾斜することを防止する。このため、この車両では、電気配線59が灯具用ランプ用作業穴41の前端縁41Aに押し付けられない。
【0054】
したがって、実施例3の車両も、実施例1、2の車両1と同様に、ハイマウントストップランプ50の装着作業中に電気配線59が損傷することを防止できる。
【0055】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は自動車や産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
2…車両本体
3…開閉体(テールゲート)
5…車体パネル
50…灯具(ハイマウントストップランプ)
1…車両
10…アウタパネル
20…インナパネル
30…装着用開口
41、42L、42R…灯具用作業穴
51…固定部
55…本体部
59…電気配線
71L、71R、72、73L、73R…規制部(71L、71R…一対のリブ、72…一本のリブ、73L、73R…インナパネル側規制面)
E1…所定の範囲
W2…灯具用作業穴の横幅
W1…一対のリブの横幅方向の間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に開閉可能に支持される開閉体と、
前記車両本体又は前記開閉体を構成する車体パネルに装着される灯具とを備える車両であって、
前記車体パネルは、前記車両の側面に露出するアウタパネルと、前記アウタパネルから前記車両の内部に向かって延在するインナパネルとを有し、
前記アウタパネルは、前記インナパネルより上方に貫設されて前記車両の外部から前記灯具が装着される装着用開口を有し、
前記インナパネルは、前記装着用開口の近傍に貫設されて前記インナパネルより下方からの前記灯具に対する作業を可能とする灯具用作業穴を有し、
前記灯具は、前記装着用開口に固定される固定部と、前記固定部から前記車両の内部に向かって突出する本体部と、前記本体部における前記固定部とは反対側から引き出された電気配線とを有し、
前記本体部及び前記インナパネルの一方には、前記灯具が前記装着用開口に挿入されてから装着されるまでの間において、前記本体部及び前記インナパネルの他方に当接可能とされて、前記本体部が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する規制部が設けられていることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記規制部は、前記本体部の横幅方向の両端側から前記固定部とは反対側に向けて突出する一対のリブであり、
前記灯具用作業穴の横幅は、両前記リブの横幅方向の間隔より狭く、
前記電気配線は、前記本体部における両前記リブの間から引き出されている請求項1記載の車両。
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に開閉可能に支持される開閉体と、
前記車両本体又は前記開閉体を構成する車体パネルに装着される灯具とを備える車両であって、
前記車体パネルは、前記車両の側面に露出するアウタパネルと、前記アウタパネルから前記車両の内部に向かって延在するインナパネルとを有し、
前記アウタパネルは、前記インナパネルより上方に貫設されて前記車両の外部から前記灯具が装着される装着用開口を有し、
前記インナパネルは、前記装着用開口の近傍に貫設されて前記インナパネルより下方からの前記灯具に対する作業を可能とする灯具用作業穴を有し、
前記灯具は、前記装着用開口に固定される固定部と、前記固定部から前記車両の内部に向かって突出する本体部と、前記本体部における前記固定部とは反対側から引き出された電気配線とを有し、
前記本体部及び前記インナパネルの一方には、前記灯具が前記装着用開口に挿入されてから装着されるまでの間において、前記本体部及び前記インナパネルの他方に当接可能とされて、前記本体部が所定の範囲を超えて下方に傾斜することを防止する規制部が設けられていることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記規制部は、前記本体部の横幅方向の両端側から前記固定部とは反対側に向けて突出する一対のリブであり、
前記灯具用作業穴の横幅は、両前記リブの横幅方向の間隔より狭く、
前記電気配線は、前記本体部における両前記リブの間から引き出されている請求項1記載の車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−144134(P2012−144134A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3512(P2011−3512)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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