説明

車体高さ制御装置

【課題】軌道上での作業性を向上することができる車体高さ制御装置を提供する。
【解決手段】車輪と鉄輪12とを有する軌陸両用車の車体高さ制御装置3である。
そして、車体高さ制御装置3は、伸縮することで鉄輪12を張出又は格納するアクチュエータ13と、鉄輪12が格納位置より下方かつ全張出位置より上方の低床位置となるようにアクチュエータ13を保持する保持手段4と、を備えている。
さらに、車体には、近接センサ35−37が設置されるとともに、鉄輪12を有する軌道走行部22には、少なくとも低床姿勢で近接センサ35−37に近接する被検出体32−34が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体高さ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道の保守や点検のために鉄道軌道と自動車道の両方を走行するために鉄輪と車輪を備える軌陸両用車が使用されている。
【0003】
軌陸両用車は、踏み切りなどの自動車道が鉄道軌道と交差する場所において、転車台で車体を持ち上げた状態で車輪よりも下に鉄輪を張り出し、鉄輪によって鉄道軌道上を走行する。
【0004】
このような軌陸両用車として、例えば特許文献1には、支持部材と車輪(鉄輪)支持手段と伸縮シリンダとを備え、車輪支持手段を通常位置(張出位置)よりも下方の下動位置まで付勢する付勢手段が設けられている軌道走行装置が開示されている。
【0005】
この軌道走行装置によれば、すべての鉄輪が軌道に接しつづけるため、車体の前後左右にある軌道走行用車輪のうちの一輪が軌道から離れてしまうことを防止できる。
【0006】
ところで、軌陸両用車では、軌道走行姿勢は道路走行姿勢と比べて軌道走行装置を張り出している分だけ車両高さが高くなる。そのため、荷台、工具箱、操作レバー等の位置も高くなり作業しにくくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3754203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、特許文献1の軌道走行装置は、曲線部を走行する際に鉄輪が浮かないように車輪を付勢するものの、通常位置よりも下方の途中位置で車体重量を支持して姿勢を保持できるものではなかった。
【0009】
そこで、本発明は、軌道上での作業性を向上することができる車体高さ制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の車体高さ制御装置は、車輪と鉄輪とを有する軌陸両用車の車体高さ制御装置であって、伸縮することで前記鉄輪を張出又は格納するアクチュエータと、前記鉄輪が格納位置より下方かつ全張出位置より上方の低床位置となるように前記アクチュエータを保持する保持手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明の車体高さ制御装置は、鉄輪が格納位置より下方かつ全張出位置より上方の低床位置となるようにアクチュエータを保持する保持手段を備えている。
【0012】
この構成によれば、保持手段を用いて軌道上での車体の高さを低くすることで、荷台、工具箱、操作レバーの位置が低くなるため、積み込み作業や機器の操作がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】軌陸両用車の全体構成を説明する側面図である。
【図2】全格納時の車体高さ制御手段の構成を拡大して説明する側面図である。
【図3】油圧系統の構成を説明する油圧図である。
【図4】全張出時の車体高さ制御手段の構成を拡大して説明する側面図である。
【図5】低床時の車体高さ制御手段の構成を拡大して説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0015】
(全体構成)
まず、図1用いて本実施例の車体高さ制御装置3を備える軌陸両用車としての軌陸両用カーゴクレーン1の全体構成を説明する。なお、本発明は、軌陸両用カーゴクレーン1だけでなく、軌陸両用車であれば、軌陸両用高所作業車、軌陸両用ラフテレーンクレーン、軌陸両用ダンプなどにも適用できる。
【0016】
本実施例の軌陸両用カーゴクレーン1は、図1に示すように、四角形の枠状に形成される車体10と、車体10の前後左右に設置される車輪11,・・・と、車体10の前後左右にあって車輪11,・・・の車両後方側に設置される鉄輪12,・・・と、この鉄輪12,・・・を設置・格納するアクチュエータとしての伸縮シリンダ13,・・・と、車体10の中央前寄りに旋回自在、起伏自在、伸縮自在に設置されるクレーン14と、車体10の後方に配置される荷台15と、作業時に転倒を防止する左右一対のアウトリガ16,16と、車体10の前方に配置されるキャブ17と、車体10を浮上させて回転させる転車台18と、を備えている。
【0017】
車体10は、鋼材によって枠状に形成されるもので、下部にはプロペラシャフトや車輪11や鉄輪12などの機器が設置されるとともに、それらの機器と干渉しないように転車台18が配置されている。
【0018】
車輪11は、軌陸両用カーゴクレーン1が自動車道を走行する際に用いられるもので、エンジンによって駆動される。車輪11は、鉄輪12を格納した状態よりも下に張り出している。
【0019】
鉄輪12は、軌陸両用カーゴクレーン1が鉄道軌道を走行する際に用いられるもので、PTO(Power Take Off)に接続された油圧ポンプで発生される油圧によって駆動される。この鉄輪12は、後述する鉄輪張出機構2の伸縮シリンダ13を伸縮することによって、張出又は格納される。
【0020】
そして、鉄輪12は、格納姿勢では車輪11より上に位置することで、車輪11による走行を可能とし、全張出姿勢では車輪11より下に位置することで、鉄輪12による走行を可能としている。
【0021】
加えて、本実施例では、鉄輪張出機構2に車体高さ制御装置3(図2参照)を追加することで、鉄輪12は低床姿勢では車輪11より下に位置するものの全張出姿勢の鉄輪12の位置よりは上に位置する。
【0022】
転車台18は、車体10に固定された図示しない一対の転車シリンダ、転車シリンダの下端に取り付けられた上板、上板に相対的に水平回転自在に取り付けられた下板、などによって構成される。
【0023】
そして、自動車道から鉄道軌道へと載線する際には、転車台18を用いて車体10を持ち上げる。具体的には、車体10を鉄道軌道間の正確な位置に配置し、下板の向きを鉄道軌道に直交するように回転させ、転車シリンダを伸長して車体10を浮かせつつ自動車道から車輪11を浮かせ、浮上した車体10を旋回させて方向転換し、転車シリンダを短縮して転車台18を収納しつつ鉄輪12を張り出して鉄道軌道上へ載せる。
【0024】
(鉄輪張出機構の構成)
次に、図2を用いて鉄輪張出機構2の構成について説明する。本実施例の鉄輪張出機構2は、主に、車体10に取り付けられるフレーム21と、鉄輪12を有する軌道走行部22と、伸縮することで鉄輪12を張出又は格納する伸縮シリンダ13と、によって構成されている。なお、ここでは車体10の前方の鉄輪張出機構2を例として説明するが、後方でも略同様の構成となる。
【0025】
フレーム21は、鋼材によって腕状に形成されるもので、上端近傍は車体10に固定され、下端近傍には回転軸25が設けられて軌道走行部22を回動自在に支持する。加えて、フレーム21の下部の前向き側面には、第1のピン孔52が形成されたボス54が突設されている。
【0026】
さらに、フレーム21には、下部の側面に3つの近接センサ35−37が設置されている。具体的には、格納姿勢を検知する近接センサ35は前方寄りに下向きに設置され、全張出姿勢を検知する近接センサ37は後方寄りに下向きに設置され、低床姿勢を検知する近接センサ36はそれらの中間に側方向きに設置される。
【0027】
近接センサ35−37は、磁場の変化を捉えることで金属製の被検出体32−34を検知する非接触式のセンサであり、被検出体32−34の存在を検知するとコントローラ(不図示)に通知する。
【0028】
ここにおいて、格納姿勢とは鉄輪12が最上部まで回動して完全に格納されている姿勢であり、全張出姿勢とは鉄輪12が最下部まで回動して完全に張り出されている姿勢であり、低床姿勢とは鉄輪12が格納位置より下方かつ全張出姿勢の鉄輪12の位置よりは上方に位置している姿勢である。さらに、各姿勢における鉄輪12の位置を格納位置、全張出位置、低床位置というものとする。
【0029】
このうち低床姿勢は、規則によって定められている車両限界を考慮して、可動部分がレールから所定距離だけ離れるように決定される。ただし、低床姿勢は、低速で移動する場合には車両限界を超えないように設定し、停車して作業する場合には車両限界を超えるように設定することもできる。
【0030】
軌道走行部22は、鉄道軌道を走行する鉄輪12と、鉄輪12の回転軸を受ける軸受部24と、左右の軸受部24を一体に連結するタイロッド26と、鉄輪12を回転駆動する油圧モータ27と、を備えている。
【0031】
このうち軸受部24は、鉄輪12を挟むように配置された二枚の鋼板によって形成されるもので、上端近傍の中央部が回転軸25を介してフレーム21に取り付けられている。さらに、軸受部24の前寄りにはアクチュエータとして伸縮シリンダ13が取り付けられているため、伸縮シリンダ13を伸縮することで回転軸25を中心として軸受部24が回動する。加えて、軸受部24には、低床姿勢で第1のピン孔52に対応する位置に第2のピン孔53が形成されている。
【0032】
さらに、軸受部24には、格納姿勢と低床姿勢と全張出姿勢それぞれの姿勢で近接センサ35−37に近接する3つの被検出体32−34が配置されている。具体的には、格納姿勢で近接センサ35に近接する位置に被検出体32が配置され、全張出姿勢で近接センサ37に近接する位置に被検出体34が配置され、低床姿勢で近接センサ36に近接する位置に被検出体33が配置される。
【0033】
伸縮シリンダ13は、油圧制御によって伸縮駆動する油圧シリンダであり、上部はフレーム21に回動自在に取り付けられ、下部は軌道走行部22の軸受部24に回動自在に取り付けられる。
【0034】
そして、本実施例では、ここで説明した鉄輪張出機構2に、鉄輪12の張出量を制御することで車体10の高さを従来よりも低い位置に保持する車体高さ制御装置3が搭載されている。
【0035】
(車体高さ制御装置)
次に、図2,3を用いて車体高さ制御装置3の構成について説明する。本実施例の車体高さ制御装置3は、鉄輪12を張出又は格納するアクチュエータとしての伸縮シリンダ13と、鉄輪12が格納位置より下方かつ全張出位置より上方の低床位置となるように伸縮シリンダ13を保持する保持手段4と、を備えている。
【0036】
保持手段4は、油圧制御によって伸縮シリンダ13のストロークを所定位置に保持するもので、シリンダラインに配置された2つのチェック弁41,42と、上記した3箇所の被検出体32−34及び近接センサ35−37と、によって構成される。
【0037】
チェック弁41,42は、双方向に作動油を流せるパイロット操作型の逆止弁であり、それぞれキャップ側とロッド側に配置され、互いに他方のラインから取り出したパイロット圧によって逆流を防止する。この場合、方向切換弁43は、中立位置(停止状態)でパイロット圧が残らないようにABT接続のものが使用される。
【0038】
このように、チェック弁41,42を配置することで、油圧ポンプ45を駆動したまま中間位置で長時間停止しても油漏れによって停止位置が移動してしまうことを防止している。
【0039】
加えて、本実施例の車体高さ制御装置3は、低床姿勢において鉄輪12を有する軌道走行部22を車体10に対して固定する固定手段5をさらに備えている。固定手段5は、低床姿勢において、軌道走行部22と車体10のフレーム21の相対位置を固定し、フレーム21から軌道走行部22へ軌陸両用カーゴクレーン1の重量を伝達して支持するように形成されている。
【0040】
具体的には、固定手段5として、車体10のフレーム21には第1のピン孔52が形成されるとともに、鉄輪12を有する軌道走行部22には低床姿勢で第1のピン孔52に対応する位置に別の第2のピン孔53が形成されて、第1のピン孔52及び第2のピン孔53には低床姿勢においてロックピン51が挿入される。
【0041】
すなわち、低床姿勢では、第1のピン孔52と第2のピン孔53の位置が重なるため、ロックピン51を自動又は手動で連通することで、低床姿勢の状態でフレーム21と軌道走行部22とを固定する。
【0042】
(作用)
次に、本実施例の車体高さ制御装置3が付加された鉄輪張出機構2の作用について、格納姿勢と全張出姿勢と低床姿勢のそれぞれの姿勢ごとに説明する。なお、ここでは格納姿勢から全張出姿勢を経て低床姿勢へと変化する場合について説明するが、格納姿勢から直接に低床姿勢へと変化することもできる。
【0043】
(格納姿勢)
格納姿勢への過程では、図2,3に示すように、コントローラ(不図示)は方向切換弁43を左に移動し、伸縮シリンダ13のロッド側と油圧ポンプ45が接続されることで伸縮シリンダ13が縮む。
【0044】
伸縮シリンダ13が縮んで被検出体32が近接センサ35に近づくと、近接センサ35が格納姿勢であることを検知する。近接センサ35から通知を受けたコントローラは方向切換弁43を右に移動し、伸縮シリンダ13のロッド側及びキャップ側が油圧タンク44に接続されることで伸縮シリンダ13の移動が停止する。
【0045】
結果として、格納姿勢では、鉄輪12が車輪11よりも上方に位置し、車輪11が接地するため、車体10の高さは最も低い状態となる。
【0046】
(全張出姿勢)
全張出姿勢への過程では、図3,4に示すように、コントローラは方向切換弁43を右に移動し、伸縮シリンダ13のキャップ側と油圧ポンプ45が接続されることで伸縮シリンダ13が伸びる。
【0047】
伸縮シリンダ13が伸びて被検出体34が近接センサ37に近づくと、近接センサ37が全張出姿勢であることを検知する。近接センサ37から通知を受けたコントローラは方向切換弁43を左に移動し、伸縮シリンダ13のロッド側及びキャップ側が油圧タンク44に接続されることで伸縮シリンダ13の移動が停止する。
【0048】
結果として、全張出姿勢では、鉄輪12が車輪11よりも下方に位置し、鉄輪12が最も下にある状態でレールに載線されるため、車体10の高さは最も高い状態となる。
【0049】
(低床姿勢)
低床姿勢への過程では、図3,5に示すように、コントローラは方向切換弁43を左に移動し、伸縮シリンダ13のロッド側と油圧ポンプ45が接続されることで伸縮シリンダ13が縮む。
【0050】
伸縮シリンダ13が縮んで被検出体33が近接センサ36に近づくと、近接センサ35が低床姿勢であることを検知する。近接センサ35から通知を受けたコントローラは方向切換弁43を右に移動し、伸縮シリンダ13のロッド側及びキャップ側が油圧タンク44に接続されることで伸縮シリンダ13の移動が停止する。
【0051】
そして、本実施例では、低床姿勢においてフレーム21に設けた第1のピン孔52及び軌道走行部22に設けた第2のピン孔53の両方を貫通するようにロックピン51が挿入される。
【0052】
結果として、低床姿勢では、鉄輪12が格納姿勢よりも下方に位置し、かつ、鉄輪12が全張出姿勢よりは上方にある状態でレールに載線されるため、車体10の高さは全張出姿勢よりは低い状態となる。
【0053】
(効果)
次に、本実施例の車体高さ制御装置3の効果を列挙して説明する。
【0054】
(1)このように、本実施例の車体高さ制御装置3は、車輪11と鉄輪12とを有する軌陸両用車としての軌陸両用カーゴクレーン1の車体高さ制御装置3である。
【0055】
そして、伸縮することで鉄輪12を張出又は格納するアクチュエータとしての伸縮シリンダ13と、鉄輪12が格納位置より下方かつ全張出位置より上方の低床位置となるように伸縮シリンダ13を保持する保持手段4と、を備えている。
【0056】
したがって、保持手段4を用いて鉄道軌道上での車体10の高さを低くすることで、荷台、工具箱、操作レバーの位置が低くなるため、積み込み作業や機器の操作がしやすくなる。
【0057】
このように、車体10の高さを低くするために、伸縮シリンダ13を低床位置で保持するのは、次に示す4つの理由による。すなわち、第一に、鉄輪12の径を小さくすると車両限界寸法に抵触してしまう、第二に、左右を連結するタイロッド26がエンジン等と干渉しないようにする必要がある、第三に、フレーム21が上方に出張らないようにする必要がある、第四に、車体10からサブフレームを取り除いたうえで補強によって対処すると重量が増加してしまう、等の理由がある。
【0058】
さらに、車体10の高さを低く保持すれば、アウトリガ16のジャッキストロークを短くすることで、軌陸両用カーゴクレーン1の車体重量を軽くし、積載重量を増やすことも可能である。
【0059】
(2)また、車体10には、近接センサ36が設置されるとともに、鉄輪12を有する軌道走行部22には、少なくとも低床姿勢で近接センサ36に近接する被検出体33が設置される。
【0060】
このように近接センサ36及び被検出体33の組み合わせによって、低床姿勢を正確に検知することで、鉄輪12を正確な位置に保持することができる。
【0061】
この場合、低床姿勢では、姿勢を正確に検知したうえで伸縮シリンダ13をストロークの中間位置で長時間保持する必要があるため、保持手段4としてチェック弁41,42を用いることが有効である。
【0062】
(3)さらに、本実施例の車体高さ制御装置3は、低床姿勢において鉄輪12を有する軌道走行部22を車体10のフレーム21に対して固定する固定手段5をさらに備えている。
【0063】
このため、固定手段5によって車体10のフレーム21と軌道走行部22が固定されて車体10の重量を支持するため、低床姿勢に保持した状態のまま低速(5km/h−10km/h)での移動中に作業したりできるようになる。
【0064】
この場合、低床姿勢が車両限界を超えないように設定されていれば停車して作業できるうえ低速で移動もできるが、低床姿勢が車両限界を超えるように設定されていれば移動できず停車しての作業のみできる。
【0065】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0066】
例えば、実施例では、保持手段4として被検出体32−34及び近接センサ35−37とチェック弁41,42とを備える場合について説明したが、これに限定されるものではなく、低床姿勢に保持できるものであればどのような構成であってもよい。
【0067】
また、実施例では、格納姿勢と全張出姿勢と低床姿勢の3位置に被検出体32−34及び近接センサ35−37を配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、機械的な停止機構があれば、格納姿勢と全張出姿勢の位置の被検出体32,34及び近接センサ35,37は必要ない。
【0068】
さらに、実施例では、固定手段5として、低床姿勢において第1のピン孔52及び第2のピン孔53にロックピン51が連通される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、走行する必要がない場合等には固定手段5はなくてもよい。
【0069】
そして、実施例では、鉄輪12が格納位置より下方かつ車輪11より下方の低床位置にある場合について説明したが、これに限定されるものではなく、低床位置は格納位置より下方であればよく、必ずしも車輪11より下方である必要はない。例えば、鉄道軌道に車輪11を接触させて走行駆動力とするタイプの軌陸両用車の場合には、低床位置は車輪11と同一の高さになる。
【0070】
また、実施例では、固定手段5として、第1のピン孔52及び第2のピン孔53にロックピン51が連通される構成について説明したが、これに限定されるものではなく、低床姿勢において相対位置の固定と荷重の支持ができる構成であればどのような構成であってもよい。
【0071】
さらに、実施例では、低床姿勢として1つの姿勢を設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、低床姿勢として車両限界を超える場合と超えない場合など複数の姿勢を設定することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 軌陸両用カーゴクレーン(軌陸両用車)
10 車体
11 車輪
12 鉄輪
13 伸縮シリンダ
2 鉄輪張出機構
21 フレーム
22 軌道走行部
24 軸受部
3 車体高さ制御装置
32,33,34 被検出体
35,36,37 近接センサ
4 保持手段
41,42 チェック弁
5 固定手段
51 ロックピン
52,53 ピン孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と鉄輪とを有する軌陸両用車の車体高さ制御装置であって、
前記鉄輪を張出又は格納するアクチュエータと、
前記鉄輪が格納位置より下方かつ全張出位置より上方の低床位置となるように前記アクチュエータを保持する保持手段と、
を備えることを特徴とする車体高さ制御装置。
【請求項2】
前記車体には、近接センサが設置されるとともに、前記鉄輪を有する軌道走行部には、少なくとも低床姿勢で前記近接センサに近接する被検出体が設置されることを特徴とする請求項1に記載の車体高さ制御装置。
【請求項3】
低床姿勢において前記鉄輪を有する軌道走行部を前記車体に対して固定する固定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体高さ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131250(P2012−131250A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282756(P2010−282756)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)