説明

車内空気調節装置

【課題】
車両内部の空気を温度調節や換気するのみならず、悪臭等に影響されず車両の運転者及び乗客に常時安定した快適な居住環境を維持する車内空気調節装置を提供する。
【解決手段】
車内空気調節装置は、空気流(F)を生じさせるブロア(2)、空気流(F)の温度処理を行う少なくとも1つの熱交換器(4、5、6)、混合チャンバ(23)から車両内部の第1ゾーンへ空気流(F)をチャネリングする少なくとも1つのエアダクト(24、25、27、28)及び香水(68)を拡散させる芳香装置(60)を備えている。更に、車内空気調節装置はブランチダクト(40)を備え、空気流(F)の一部の空気流(F2)を、車内の第2専用ゾーンへチャネリングし、この一部の空気流(F2)を、芳香装置(60)に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調節装置に関し、特に車両内部の空気を、ユーザ、即ち運転者及び乗客に快適な状態に調節する車内空気調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内部、即ち車内は、一般的に閉鎖空間である。夏季及び冬季に、車両の窓を閉めて、空調(又はエアコン)システムを使用し、車内を冷房及び/又は暖房すると、車内から発する、タバコの煙、ペット等の動物、運送物、車内の構造物のプラスチック材料、その他によるか、或いは車外から発する排気ガス、環境汚染物、悪臭物、その他による不快な臭いに悩まされることとなる。
【0003】
そのため、上述した如き悪臭を抑えるか、又はマスクすることを主たる機能とする装置を、車内に搭載することが知られている。
【0004】
更に詳しく説明すると、車両内部に装備された公知の暖房、換気、及び/又はエアコン装置は、空気流を生じさせるブロアを収容するハウジング、空気流を熱処理可能にする少なくとも1個の熱交換器、混合チャンバから車内の第1ゾーンへ空気流をチャネリング可能にする少なくとも1個のダクト、及び香りを拡散させる芳香装置を備えている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行文献】
【0005】
【特許文献1】フランス特許第2833534号公報
【特許文献2】フランス特許第2815294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如き従来の車内空気調節装置は、最適な品質、及び一定温度の空気流を提供することはできず、そのため、車内の芳香を理想状態にすることができないという課題を有する。
【0007】
特に、芳香装置に取り入れられる空気流は、未処理状態である。換言すると、その空気流は、香りを含ませるために取り込まれる前に、それに含まれる汚染物や臭いをフィルタする構造とはなっていない。
【0008】
更に、空気流は、車外から取り込まれるか又は車内の空気を再循環しているので、調節された温度範囲内にはない。そのため、極めて低温又は高温の空気流が、芳香装置を通過することとなり得る。その結果、温度範囲が大幅にばらつき、芳香剤である香水の気化を適切に制御することができない。
【0009】
上述の如き状態では、温度が高すぎる場合には香りが過剰になり、他方、温度が低すぎる場合には、香りが不足するか、または全く感じられなくなる。
【0010】
最後に、上述した如き公知の車内空気調節装置は、芳香装置を組み込むのに、暖房、換気、及び/又はエアコン装置のハウジングに大幅な変更を加える必要があり、その結果、車内に香りを適切に拡散させるための負担が大きかった。
【0011】
本発明は、上述した従来技術の課題に鑑みなされたものであり、上記課題を解消又は軽減し、車内の温度を常時快適な範囲に維持するのみならず、車内の空気が、車両の運転者及び同乗者の臭覚に不快感を与えないように調節可能にする車内空気調節装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の上述した課題を克服し、かつ上述した目的を達成するために、本発明の車内空気調節装置は、次の如き特徴的な構成を採用している。即ち、本発明の車内空気調節装置は、空気流を生じさせるブロアを収容するハウジング、空気流の熱処理を行う少なくとも1個の熱交換器、混合チャンバから内部の第1ゾーンへ空気流をチャネリングする少なくとも1個の空気ダクト、及び芳香剤を拡散する芳香装置、並びに車両の内部を加温、換気及び/又は空調する装置を備えている。更に、本発明の車内空気調節装置の加温、換気、及び/又は空調装置は、ブランチダクトを備え、空気流の一部を、車両内部の第2専用ゾーンへチャネリング可能にしている。芳香装置には、車両内部の第2専用ゾーンへチャネリングされた空気流の一部が供給されるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上述の如き特徴的な構成を採用する本発明の車内空気調節装置によると、フィルタされ、かつ一定温度範囲の空気流が得られ、これを芳香装置へ供給することにより、車内へ拡散される芳香剤の品質を保証し、かつ芳香剤の拡散のコントロールを可能にするという、上述した従来技術にない特有の効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による車内空気調節装置の好適な実施形態である車両内部に搭載される加温、換気及び/又は空気調整メカニズム全体の断面図である。
【図2】本発明の車内空気調節装置に使用される芳香装置の一例の断面図である。
【図3】図3a〜図3eは、本発明における空気流のチャネリングの5つの具体例を示し、図3fは、図3eの線III−IIIに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による車内空気調節装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による車内空気調節装置の好適な実施形態の全体構成を示す断面図であり、車内空気調節装置を構成する加温、換気及び/又は空調装置及び芳香装置の断面を示している。
【0016】
車内空気調節装置のハウジング1は、主空気処理素子としてブルア2、フィルタ3、気化器4及び加熱器又はヒータ5を備えている。ハウジング1には、正温度係数を有する電気抵抗のようなトップアップ熱源6が収容されている。
【0017】
ハウジング1は、ブロア2に連通する空気取り込み開口(図示せず)を備えている。ブロア2は、空気取り込み開口から空気を取り込み、ハウジング1内に空気流Fを生じさせるタービンを備えている。空気流Fは、この特定実施形態では、ハウジング1の前端に位置するダクト7を通過し、更に車両内部に取り付けられた車内空気調節装置の長手方向を略前後に進み、フィルタ3及び気化器4を通過する。気化器4を通過することにより、空気流Fは冷却される。気化器4の後で、空気流Fは、加熱器5を収容する再加熱ブランチ22に向かう空気流Fの第1部分に分配され、加熱器5の通過時に再加熱される。空気流Fの第2部分は、上述した再加熱ブランチ22と平行に配置されたトランスミッション又は伝送ブランチ21に向けられる。
【0018】
気化器4、加熱器5、及び、必要ならばトップアップ熱源6は、熱交換器であり、空気流Fの熱処理を可能にする。
【0019】
再加熱ブランチ22にチャネリングされた空気流Fの第1部分、及びトランスミッションブランチ21でチャネリングされた空気流Fの第2部分は、混合チャンバ23内で混合される。
【0020】
バタフライフラップ20が、ハウジング1のトランスバースシャフトの周りに取り付けられ、図1中の実線で示す第1位置、及び図1中に破線で示す第2位置間を移動可能に構成されている。第1位置では、バタフライフラップ20のウイング(又は羽根)が、再加熱ブランチ22の入口及び出口を開き、バタフライフラップ20の上に位置する混合チャンバ23を最高潮とし、トランスミッションブランチ21を介する気化器4から、混合チャンバ23への直接通過を閉じる。他方、第2位置では、バタフライフラップ20のウイングは、再加熱ブランチ22の入口及び出口を閉じ、トランスミッションブランチ21を介する混合チャンバ23への直接通過を自由にする。このバタフライフラップ20は、空気流の混合のフラップ機能を果たす。
【0021】
図示の特定実施形態では、「バタフライ」タイプの1個の混合フラップ20を備えているが、本発明はこの実施形態のみに限定するものではなく、「フラグ」、「ドラム」又は「フィルム」タイプを含む種々の変形変更を包含することに留意されたい。
【0022】
混合チャンバ23から、ハウジング1は、空気流Fを、内部の少なくとも第1ゾーン内へ送る空気ダクトを備えている。この特定実施形態によると、3個の空気ダクトが、車両内部の1以上の第1ゾーンを形成する各種ゾーンへ開いている。即ち、通気ダクト24、デフロストダクト25、及び「フィート」ダクト27である。通気ダクト24は、好ましくは車内の昼間及び/又はラテラル位置に配置された1以上の通気装置に接続され、混合チャンバ23から出る空気流を、車内のパッセンジャ(又は乗者)空間へ拡散可能にする。デフロストダクト25は、デフロスト用ノズルに接続され、混合ゾーン23から車両のウインドスクリーン(又はフロントガラス)への空気流を拡散する。「フィート」ダクト27は、好ましくは車内の床部に設けられた1以上の通気装置に接続され、混合ゾーンから、運転者又は同乗者の足元への空気流を拡散する。
【0023】
更に、「後部」ダクト28を設け、車内の1以上の後部ゾーンへ空気流を供給するようにしてもよい。この「後部」ダクト28は、図1に示す如く、「フィート」ダクト27のブランチとしてもよい。
【0024】
また、「後部」ダクト28は、車内の後部ゾーンへ空気流を供給する別体の専用ダクトであってもよい。
【0025】
軸支されたフラップ29、30及び31が、それぞれ通気ダクト24、デフロストダクト25、「フィート」ダクト27、及び「後部」ダクト28の入口に配置され、これらのダクトへの空気流の流速を調整する。これらの軸支されたフラップ29、30及び31は、分配フラップとして機能する。
【0026】
本発明の特定実施形態によると、軸支フラップ29、30及び31は、「バタフライ」タイプである。しかしながら、本発明は「フラグ」タイプ、「ドラム」タイプ及び「フィルム」タイプ等の他のタイプの分配フラップを組み込んだものも包含する。
【0027】
図1に示す本発明の車内空気調節装置では、加熱、換気、及び空調装置、及びブランチダクト40が一体に構成されている。このブランチダクト40は、空気流Fの一部を形成するとともに加熱、換気、及び空調装置により熱処理された空気流F2を車内の第2専用ゾーン70へチャネリングする。
【0028】
車内の第2専用ゾーン70は、上述の如く規定した車内の第1ゾーンから明確に区別された特定の空間である。
【0029】
空気流F2は、車内空気調節装置のハウジング1の壁面に設けられた開口42を介して、ブランチダクト40で捕らえられる。図1に示す特定の実施形態において、開口42は、ハウジング1の空気流Fの方向であり、気化器4の下流かつトランスミッションブランチ21、及び再加熱ブランチ22の上流であるゾーンに位置している。
【0030】
好ましくは、車内の第2専用ゾーン70は、車両内に配置されたグローブボックス内部である。図1に示す如く、ブランチダクト40により、冷たい空気流である空気流F2をグローブボックスへ向かわせ、その空気流を冷却を可能にする。
【0031】
また、本発明の車内空気調節装置は、芳香装置60を備えている。最も効果的な構成とするために、芳香装置60は、第2専用ゾーン、即ち本発明の好適な実施形態によると、車両内部のグローブボックス内に組み込まれている。従って、この芳香装置60には、車両の運転者及び同乗者(又は乗客)がアクセス可能である。
【0032】
芳香装置60は、芳香パイプ46に接続されている。また、この芳香パイプ46は、連結部44において、ブランチダクト40に接続されている。この連結部44により、空気流F2を冷却又は冷房用空気流F3と香り付けされる空気流F4とに分離される。冷房用空気流F3は、連結部44に接続された冷却パイプ48により、第2専用ゾーンにチャネリングされる。他方、香り付けされる空気流F4は、芳香パイプ46によりチャネリングされる。
【0033】
芳香装置60には、香り付けされる空気流F4が供給される。従って、空気流F2の少なくとも一部が、芳香装置60に供給されることとなる。
【0034】
図示しないが、本発明の別の実施形態によると、空気流F2の一部が直接第2専用ゾーン70に入る。その後、香り付けされる空気流F4は、第2専用ゾーン70から捕らえられて芳香装置60に供給される。この実施形態は、本発明の最も簡単なバージョンである。
【0035】
芳香装置60は、再挿入パイプ50に接続され、芳香装置60から離れる香り付けされた空気流F5を拡散ゾーンに向かわせて、香り付けされた空気流F5をハウジング1内に拡散させる。好ましくは、この香り付けされた空気流F5の拡散ゾーンは、通気ダクト24、デフロストダクト25、「フィート」ダクト27及び「後部」ダクト28により形成される空気分配装置の上流に配置される。特に、香り付けされた空気流F5の拡散ゾーンは、混合ゾーン23により形成される。
【0036】
空気流F5は、車内空気調節装置のハウジング1の壁面に形成された開口51を介して、混合ゾーン23に入る。
【0037】
芳香装置60は、香水ハウジング64内に入れられた香水のカートリッジ62を備えている。この構成の詳細を、図2を参照して後で説明する。
【0038】
次に、図2は、加熱、換気、及び/又は空調装置に組み込まれ、図1に示す本発明の車内空気調節装置の1構成要素である芳香(又は香り付け)装置60の詳細な断面図である。
【0039】
芳香装置60は、芳香ハウジング64及びカートリッジ62を備えている。また、芳香装置60は、香り付けチャンバ66を備え、その内部に香り付けされる空気流F4に香水68を含ませるように、カートリッジ62から香り付けチャンバ66内に拡散される。
【0040】
更に詳しく説明すると、カートリッジ62は、インタフェース82と接触するボトル80を備え、香り付けチャンバ66内に香水68を拡散可能にする。
【0041】
図2の具体例では、ボトル80は、液状の香水68を受けるために使用されている。図示しない他の例では、香水68は、例えば粒状又はゲル状であり、適当な媒体に含浸させたものでもよい。
【0042】
ボトル80は、液状の香水68を溜める香水溜め84となる。この構成の場合には、インタフェース82は気体/液体タイプである。
【0043】
更に、芳香装置60は、空気流循環ダクトから隔離可能にする部材を配置できることに留意されたい。特に、再挿入パイプ50を閉鎖する手段、例えば旋回可能なフラップを配置することが可能である。これに代えて、又は付加して、例えば旋回可能なフラップの助けで、ブランチダクト40を閉鎖する手段が挿入可能である。
【0044】
上述の如く隔離することにより、芳香装置60により、香水68の拡散が制御不能及び/又は不必要に拡散するのが阻止される。
【0045】
次に、図3a〜図3fを参照して説明する。これら図3a〜図3fは、芳香装置60に空気流を供給するためのパイプの連結器44の複数の具体例を示している。
【0046】
図3aは、連結器44の第1具体例である。この連結器44は、空気流F2をチャネリングするマニフォルド52を備えている。このマニフォルド52は、下流において、芳香パイプ46及び冷却パイプ48を形成する2つのダクトに分割されている。
【0047】
この第1具体例によると、芳香パイプ46及び冷却パイプ48は、両者のなす角度がαである2本の直線状ダクト54で形成されている。
【0048】
好ましくは、これら直線状ダクト54は、マニフォルド52の長手軸に対して対称に配置されている。従って、図3aに示す連結器44は、略Y字状である。
【0049】
次に、図3bは、連結器44の第2具体例を示す。この具体例の連結器44は、2分割された2個の直線状ダクト54のなす角度αが180°である点で、図3aに示す第1具体例の連結器44と相違している。従って、図3bに示す第2具体例の連結器44は、略T字状である。
【0050】
次に、図3cは、連結器44の第3具体例を示す。この第3具体例の連結器44は、図3aに示す第1具体例の連結器44と、芳香パイプ46及び冷却パイプ48の形状が異なる。
【0051】
特に、図3cに示す連結器44では、マニフォルド52の下流に、それぞれ芳香パイプ46及び冷却パイプ48をなすカーブした2本のダクト56が形成されている。
【0052】
次に、図3dは、連結器44の第4具体例を示す。この第4具体例の連結器44は、マニフォルド52の下流部に1本のみのカーブしたダクト56を有する点で、上述した図3cに示す連結器44と相違している。この第4具体例の連結器44において、カーブしたダクト56は、マニフォルド52内に入り込み、かつマニフォルド52内の空気流F2を香り付けされる空気流F4に分離して、芳香装置60へチャネリング可能にする。
【0053】
冷却用空気流F3は、図示しない専用ダクトにより上述した第2専用ゾーン70へ送られる。これに代えて、冷却用空気流F3を第2専用ゾーン70へ直接送り出してもよい。
【0054】
上述した図3a〜図3cに示す具体例によると、空気流F2の冷却用空気流F3、及び香り付けされる空気流F4への分離は、芳香パイプ46及び冷却パイプ48をなす専用ダクト54及び56により行われる。
【0055】
次に、図3e及び図3fは、連結器44の最後、即ち第5具体例を示す。ここで、図3fは、図3eの線III−IIIに沿う断面図である。
【0056】
図3eに示す第5具体例の連結器44において、芳香パイプ46及び冷却パイプ48は、マニフォルド52内で規定されている。従って、マニフォルド52は、マニフォルド52の出口の上流部に配置された隔壁58を備えている。この隔壁58は、マニフォルド52の内部を分離する。マニフォルド52の出口は、それぞれ上述した第2専用ゾーン70及び芳香装置60に接続されている。
【0057】
上述した連結器44の各種具体例において、マニフォルド52は円形断面であり、芳香パイプ46および冷却パイプ48を形成する直線状ダクト54、及びカーブしたダクト56も円形断面である。しかし、これらのダクトは、本発明の要旨や精神を逸脱することなく、他の任意断面形状であってもよいこと勿論である。
【0058】
また、カートリッジ62は、香水と混合された媒体よりなり、ユーザの使用を容易にするために、固体状に形成されている。また、カートリッジ62は、香水を拡散又は発散する手段、例えば媒体を加熱して含有する香水を発散させる電気抵抗を備えている。
【0059】
カートリッジ62は、単一の香水又はそれぞれ異なり、かつ相互にシールされた複数の香水を備えていてもよい。この変形例によると、車両のユーザは、車内に希望する香水を選択して拡散又は発散できる。当然ながら、この形態は、単なる例示に過ぎず、他の任意の形態であってもよい。本発明による車内空気調整装置のこの芳香装置は、特に簡単かつ経済的である。
【0060】
本発明によると、車内に発散される香りのオン/オフ及び強さの調節は、好ましくは加熱、換気及び/又は空調装置の制御パネルに配置された電子モジュール(図示せず)により駆動される。
【0061】
特に、本発明の変形例によると、車内に発散される香りのオン/オフ及び強さ制御手段は、カートリッジ内に組み込み可能である。香りの種類を変更するため、ユーザはカートリッジを交換する。従って、オン又はオフの切換、香りの選択、及び/又は香りの強さの調節は、芳香ハウジング64に対してカートリッジ62を、例えばユーザが手動で回転することにより実現できる。
【0062】
図示の実施形態では、グローブボックスの冷却専用のブランチダクトは、車内に配置されている。しかしながら、空気流をチャネリングするダクトを備える如何なる加熱、換気、及び/又は空調装置にも適用可能である。
【0063】
特に、ブランチダクトの開口は、何れのダクト内に配置してもよい。一例を挙げると、ブランチダクト40の開口42は、通気、出フロスト、「フィート」又は「後部」空気出口へ導かれるダクト24、25、27及び28の何れかの内部にあってもよい。この場合には、ブランチダクト40は、熱交換器4、5及び6の下流で、空気流Fの流れの方向で空気流F2を捕らえる。
【0064】
上述した具体例によると、再挿入パイプ50は、車内空気調節装置のハウジング1の混合チャンバ23内でマージする。本発明の他の実施形態では、再挿入パイプ50は、空気流Fを車内に分配するよう設計されたダクト24、25、27又は28内でマージしてもよい。特に、再挿入パイプ50は、通気、出フロスト、「フィート」又は「後部」空気出口へ導かれるダクト内でマージしてもよい。
【0065】
従って、本発明の他の実施形態によると、ブランチダクト40は、通気、出フロスト、「フィート」又は「後部」空気出口へ導かれるダクト内を始点とし、再挿入パイプ50はそのダクトを終点とする。特に、それは例えば通気用空気出口へ導かれる同じダクト内である。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について詳述したが、本発明は、これらの実施形態のみに限定するものではなく、本発明の要旨や精神を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できると思う。
【0067】
以下、本発明による車内空気調節装置の変形変更例について言及する。先ず、ハウジングはフィルタを備え、ブランチダクトは、フィルタの下流の空気流の一部を捕らえるように構成するのが好ましい。
【0068】
更に、ブランチダクトを、熱交換器の下流又は上流の空気流の一部を捕らえるように構成する。
【0069】
熱交換器は、冷房用の気化器及び/又はヒータ用の加熱器であるのが好ましい。
【0070】
また、ブランチダクトは、エアダクト内の空気流の一部を捕らえ、混合チャンバからの空気流を車内の第1ゾーンへチャネリング可能にする。
【0071】
更に、芳香装置を再挿入パイプに接続し、香り付けされた芳香装置からの空気流を、ハウジング内に設けられた拡散ゾーンへ導くように構成する。
【0072】
ハウジング内に配置された拡散ゾーンは、混合チャンバ又は混合チャンバから、車内の第1ゾーンへ空気流をチャネリング可能なエアダクトであるのが好ましい。
【0073】
芳香装置は、空気流の一部に香水が含まれるようにする香り付けチャンバを有する芳香ハウジングを備えている。更に、芳香ハウジングは、ボトルと香り付けチャンバ間のインタフェースを備え、香水を拡散又は発散可能にする。
【0074】
ブランチダクトは、連結部を備え、空気流を冷却パイプにより第2専用ゾーンへチャネリングされる冷却用空気流と、芳香パイプにより芳香装置へチャネリングされる香り付けされた空気流とに分離するのが好ましい。
【0075】
上述した連結部は、それぞれ芳香パイプ及び冷却パイプを形成する2つのダクトに接続されたマニフォルドを備えている。或いは、マニフォルドは、それぞれ芳香パイプ及び冷却パイプを形成する内部分離部を備えている。
【0076】
車内の第2専用ゾーンは、特定方法で車両内部に配置されたグローブボックスである。
【符号の説明】
【0077】
1 ハウジング
2 ブロア
3 フィルタ
4 気化器
5 加熱器(ヒータ)
6 トップアップヒート
23 混合チャンバ
24 通気ダクト
25 デフロストダクト
27 「フィート」ダクト
28 「後部」ダクト
40 ブランチダクト
44 連結部
46 芳香パイプ
48 冷却パイプ
60 芳香装置
64 芳香ハウジング
66 香り付けチャンバ
68 香水
70 第2専用ゾーン
80 ボトル
82 インタフェース
F 空気流
F2 空気流の一部
F3 冷却用空気流
F4 香り付けされる空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジング内に空気流を生じさせるブロア、前記空気流を熱処理する少なくとも1個の熱交換器、混合チャンバから車内の第1ゾーン及び香水を拡散させる芳香装置へ、空気流をチャネリングする少なくとも1個のエアダクトを備える車内空気調節装置において、
前記空気流の一部の空気流を車内の第2専用ゾーンへチャネリングするブランチダクトを備え、前記芳香装置には、前記ブランチダクトでチャネリングされた前記空気流の前記一部の空気流が供給されるようになっていることを特徴とする車内空気調節装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、フィルタを備え、前記ブランチダクトは、前記フィルタの下流で前記空気流の一部の空気流を捕らえるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車内空気流調節装置。
【請求項3】
前記ブランチダクトは、前記熱交換器の下流で、前記空気流の一部を捕らえるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車内空気調節装置。
【請求項4】
前記ブランチダクトは、前記熱交換器の上流で前記空気流の一部を捕らえるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車内空気調節装置。
【請求項5】
前記熱交換器は、気化器であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車内空気調節装置。
【請求項6】
前記熱交換器は、加熱器であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車内空気調節装置。
【請求項7】
前記ブランチダクトは、前記混合チャンバから車内の前記第1ゾーンへチャネリング可能なエアダクトの空気流の一部を捕らえるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車内空気調節装置。
【請求項8】
前記芳香装置は、再挿入パイプに接続され、前記芳香装置から前記ハウジング内の拡散ゾーンへ香り付けされた空気流を導くようになっていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の車内空気調節装置。
【請求項9】
前記ハウジング内の拡散ゾーンは、前記混合チャンバであることを特徴とする請求項8に記載の車内空気調節装置。
【請求項10】
前記ハウジング内の拡散ゾーンは、前記空気流を前記混合チャンバから車内の前記第1ゾーンへチャネリング可能なエアダクトであることを特徴とする請求項8に記載の車内空気調節装置。
【請求項11】
前記芳香装置は、前記空気流の一部の空気流に香水が含まれる香り付けチャンバを有する芳香ハウジングを備えることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の車内空気調節装置。
【請求項12】
前記芳香ハウジングは、前記香り付けチャンバ及び香水を溜めるボトル間に前記香水を拡散させるインタフェースを備えることを特徴とする請求項11に記載の車内空気調節装置。
【請求項13】
前記ブランチダクトは連結部を備え、前記空気流の一部の空気流を、冷却パイプにより第2専用ゾーンへチャネリングされる冷却用空気流と、芳香パイプにより前記芳香装置へチャネリングされる香り付けされる空気流とに分離するようになっていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の車内空気調節装置。
【請求項14】
前記連結部は、それぞれ、芳香パイプ及び冷却パイプを形成する2つのダクトに接続されたマニフォルドを備えることを特徴とする請求項13に記載の車内空気調節装置。
【請求項15】
前記連結部は、それぞれ、芳香パイプ及び冷却パイプを形成する内部分離部を有するマニフォルドを備えることを特徴とする請求項13に記載の車内空気調節装置。
【請求項16】
前記車内の第2専用ゾーンは、前記車内に設けられたグローブボックスであることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の車内空気調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【公開番号】特開2010−188993(P2010−188993A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−30766(P2010−30766)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】