説明

車内補充券発行装置

【課題】駅情報の入力を迅速かつ簡単に行うことを可能とする車内補充券発行装置を提供する。
【解決手段】操作ユニット10は、操作部1、入力処理部2、表示部3、表示制御部4、通信部5、記憶部6、制御部7を含んで構成され、乗務員が、車内補充券を発行する際に操作する。運賃精算業務に使用する駅情報の入力は、表示部3に表示される路線地図の駅名を選択することによって行う。路線地図は、駅名が表示されている駅名表示路線地図と、駅名表示路線地図の表示領域をガイドするガイド地図を含み、表示部3には、駅名路線地図が単独で、又は駅名路線地図及びガイド地図が領域分割表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車等の車内で運賃精算業務を行う時に使用する車内補充券発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車内における乗客の求めに応じた乗車券発行や乗り越し精算等の運賃精算業務を合理化するため、携帯型の車内補充券発行装置が利用されている。運賃精算業務を行うためには、駅情報の入力が必要であり、駅情報の入力を迅速かつ簡単に行うことが業務の効率化につながる。従来、駅情報の入力は、入力すべき駅の駅名を、カナ文字の入力によって検索したり、路線地図上に表示された駅名を選択したりすることによって行っているが、車内補充券発行装置において入力する駅は、固定された情報ではあるものの非常に数が多く、迅速な入力は簡単ではない。
【0003】
カナ文字入力用のキーと地図式入力パネルを有する車内補充券発行機は、特許文献1に示されている。特許文献1に記載された車内補充券発行機は、地図式入力パネル上に駅名が表示されていない駅の情報を入力するに際して、路線上の検索マークを有する検索キーによって、隣接する駅の駅名を表示手段に順次表示するものである。この車内補充券発行機の地図式入力パネルは、表示される路線地図及び駅が固定であり、広範囲の路線の全駅の駅名を表示することができないため、表示されていない駅名を検索キーによって検索表示させるものである。
【0004】
また、駅情報入力用の地図入力部を有する操作ユニットと補充券の印刷を行う発券ユニットとを無線接続した車内補充券発行装置も提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載される操作ユニットの地図も、路線及び駅名が固定表示されるものであり、広範囲の路線の全駅の駅名を全て表示させることは困難である。
【0005】
特許文献3には、カナ文字の入力により駅名を入力する車内補充券売装置が記載されている。この車内補充券売装置は、入力すべき駅名の1文字目のカナを入力すると、その文字を頭文字とする駅名を50音順に表示する。そして、必要ならスクロールすることにより入力すべき駅名を表示させ、その駅名を選択することにより、駅名の入力を行うものである。
【0006】
しかし、広範囲の路線の駅名が登録されている場合、1つの頭文字に対応する駅名を全て同時に表示させることは困難であり、スクロールが必要となるため、入力すべき駅名を表示させるには時間がかかる。また、進行中の車内での目的とする駅名をサーチしながらのスクロールは、操作する乗務員の負担が大きい。
【0007】
【特許文献1】特開平9−282495号公報
【特許文献2】特開平4−360298号公報
【特許文献3】特開平1−207892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、駅情報の入力を迅速かつ簡単に行うことを可能とする車内補充券発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車内補充券発行装置は、車内補充券の発行の入力操作を行うための操作部と、少なくとも路線地図の表示が可能な表示部と、前記路線地図を表示するための地図情報を記憶する地図情報記憶部と、前記操作部による入力操作にしたがって、前記車内補充券の発行に使用する駅を特定する駅特定処理部と、前記駅特定処理部によって特定された駅についての情報を利用して車内補充券の発行処理を行う補充券発行処理部とを備え、前記路線地図は、駅名が表示されている駅名表示路線地図と、前記駅名表示路線地図の表示領域をガイドするガイド地図を含み、前記表示部は、前記駅名路線地図単独の表示と、前記駅名路線地図及び前記ガイド地図の領域分割表示の切替えが可能であり、前記駅特定処理部は、前記駅名路線地図に駅名が表示された駅が前記入力操作によって選択された場合に、その選択された駅を特定するものである。
【0010】
本発明によれば、駅名表示路線地図とガイド地図の表示を行うことにより、入力すべき駅名を含む路線を迅速に表示させることができ、駅情報の入力を迅速かつ簡単に行うことができる。
【0011】
本発明の車内補充券発行装置は、前記駅名表示路線地図が、全路線を表示する全路線詳細地図と、都市近郊領域の路線を詳細に表示する近郊区地図を含み、前記表示部が、前記全路線詳細地図表示時に、前記全路線詳細地図における前記都市近郊領域が前記入力操作によって選択された場合は、前記近郊区地図表示に切替え、前記近郊区地図表示時に、前記近郊区地図における前記大都市近郊領域以外の領域が前記入力操作によって選択された場合は、前記全路線詳細地図表示に切替えるものを含む。本発明によれば、路線及び駅が密集している都市近郊の駅名の特定も簡単な操作に迅速に行うことができる。
【0012】
本発明の車内補充券発行装置は、前記駅名表示路線地図が、さらに幹線路線を表示する広域地図を含むものを含む。本発明によれば、特急列車走行路線等の幹線路線のみを表示させることができるので、特急列車等の車内における補充券発行時の駅名の特定を迅速に行うことができる。さらに、広域地図において、特急列車等の特定の列車が停車する主要駅のみ駅名を表示させると、大きな効果が期待できる。
【0013】
本発明の車内補充券発行装置は、前記表示部が、前記駅名表示路線地図の表示時に、前記入力操作に応じて前記駅名表示路線地図のスクロールを行うものを含む。本発明によれば、駅名表示路線地図が表示部の表示領域に対して大きい場合でも、迅速に入力すべき駅名が表示された部分の路線地図を表示させることができる。
【0014】
本発明の車内補充券発行装置は、さらに、駅名とその駅名の読みを示すカナとを対応付けた駅名辞書を記憶する辞書記憶部を備え、前記操作部が、その入力操作によってカナの入力が可能であり、前記駅特定処理部が、前記カナの入力毎に、前記駅名辞書を参照して入力されたカナに対応する読みを有する候補駅名を検索して前記表示部に表示させ、前記表示された駅名候補が選択された場合に、その選択された駅名の駅を特定するものを含む。本発明によれば、カナ文字を入力する毎に順次絞られた候補駅名が表示されるので、入力すべき駅名の特定を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0015】
本発明の車内補充券発行装置は、さらに、カナの入力を利用して特定された駅について、前記駅名辞書に登録された情報を学習駅名辞書として記憶する学習辞書記憶部を備え、前記駅特定処理部が、前記カナの入力毎に、前記学集駅名辞書を参照して入力されたカナに対応する読みを有する候補駅名を検索して前記表示部に表示させ、前記表示された駅名候補が選択された場合に、その選択された駅名の駅を特定するものを含む。本発明によれば、過去に入力した駅名を、かな文字を入力する毎に候補駅名として表示するので、入力するべき駅名の特定をさらに迅速に行うことができる。
【0016】
本発明の車内補充券発行装置は、さらに、複数の駅名の登録が可能なユーザパネル情報を、記憶するユーザパネル記憶部と、前記入力操作にしたがって、前記ユーザパネル情報の記憶を行うユーザパネル登録処理部を備え、前記表示部が、前記入力操作に対応して前記ユーザパネル記憶部を参照し、前記ユーザパネル情報に基づいて登録された駅名を含むユーザパネルを表示し、前記駅特定処理部が、前記表示されたユーザパネルに含まれる駅名が選択された場合に、その選択された駅名の駅を特定するものを含む。本発明によれば、ユーザ毎に使用頻度の高い駅名をユーザパネルに登録しておいて選択できるので、入力すべき駅名の特定を迅速に行うことができる。
【0017】
本発明の車内補充券発行装置は、前記ユーザパネル記憶部が、複数頁分の前記ユーザパネル情報を記憶可能であり、前記表示部が、前記入力操作によって選択された頁の前記ユーザパネルを表示するものを含む。本発明によれば、列車の走行区間毎等、ユーザの使用形態に合わせた駅名をページ毎に登録できるので、さらに効率的な駅名の特定が可能となる。
【0018】
本発明の車内補充券発行装置は、前記ユーザパネル登録処理部が、前記駅特定処理部によって特定された駅の駅名を前記ユーザパネル情報として登録するものを含む。本発明によれば、ユーザパネルへの駅名の登録を簡単に行うことができる。
【0019】
本発明の車内補充券発行装置は、前記ユーザパネル登録処理部が、外部から入力された前記ユーザパネル情報を記憶するものを含む。また、前記ユーザパネル記憶部に記憶された前記ユーザパネル情報を、外部に出力可能であるものを含む。本発明によれば、他の車内補充券発行装置で登録したユーザパネルを利用できるので、ユーザパネルへの駅名の登録を省略することができる。また、複数の車内補充券発行装置で共通のユーザパネルを使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、駅情報の入力を迅速かつ簡単に行うことを可能とする車内補充券発行装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の車内補充券発行装置の概略構成を示す図である。図1の車内補充券発行装置は、操作ユニット10と発券ユニット20からなる。操作ユニット10は、操作部1、入力処理部2、表示部3、表示制御部4、通信部5、記憶部6、制御部7を含んで構成され、乗務員が、車内補充券を発行する際に操作するものである。発券ユニット20は、車内補充券印刷用のプリンタ(図示せず)、操作ユニットとの間でBluetooth等を利用した近距離無線通信を行うための通信部(図示せず)を含んで構成され、操作ユニット10からの制御により、車内補充券を印刷するものである。なお、発券ユニット20は、特許文献2に記載される発券ユニットと同様の機能を有するものであるので説明を省略する。
【0022】
操作部1は、乗務員が操作するもので、乗車券発行や乗り越し精算等の運賃精算業務を行う際に必要な情報を入力するために利用される。具体的には、表示部と共動するタッチパネルであり、タッチペン等でパネル面をタップすることにより、そのタップ位置その時点の表示画像に応じた情報を入力することができる。入力処理部2は、タッチパネルからの信号(光、容量、磁気、抵抗等の検出による)に基づき、パネル面のタップ位置を求め、求めたタップ位置座標を制御部7に送るものである。なお、操作部1には、ジョグダイヤルを含んでいてもよく、その場合、入力処理部2は、ジョグダイヤルの回転方向及び回転速度に関する信号を制御部2に送る。ジョグダイヤルは画面のスクロールに利用される。
【0023】
表示部3は、操作ユニット10使用時の各種情報を表示するものであり、具体的には液晶表示パネルを含んで構成される。表示部3が表示する情報には、路線地図、カナ入力時の入力カナ文字及び入力カナ文字に対応する駅名候補、駅名入力のためのユーザパネルが含まれる。また、操作ユニット10の動作を制御するための各種ボタン(操作部1と共動する。)も表示する。なお、駅情報入力に利用する路線地図等の表示については後述する。表示制御部4は、制御部7からの表示情報に基づいて、表示部1を駆動する信号を生成するものである。
【0024】
通信部5は、発券ユニット20との間で近距離無線通信を行うもので、例えばBluetooth等を利用した無線通信を行う。記憶部6は、車内補充券発行に必要な各種情報を記憶するもので、駅情報を入力するために利用する地図情報、駅名辞書、学習辞書、ユーザパネル情報が含まれる。駅情報入力に利用する情報については、後述する。なお、記憶部6は、具体的には、アクセス速度、記憶用容量が異なる複数種類の記憶媒体によって実現される。記憶部6として、メモリカード等の着脱可能な記憶メディアを利用する場合は、対応するインタフェースが設けられる。
【0025】
制御部7は、操作ユニット10全般の動作を制御するもので、具体的には、記憶部7に記憶された所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成される。制御部7が行う処理には、入力処理部2からのタップ位置座標とその時点の表示画像に基づいて、操作部1による入力操作を特定する処理、表示部1に表示する画像データを生成する処理、車内補充券の発行に使用する駅を特定する駅特定処理、カナの入力を利用して特定された駅について、学習駅名辞書を記憶する処理、利用者毎のユーザパネル情報を記憶する処理、ユーザパネル情報を入出力する処理が含まれる。
【0026】
以上の説明から明らかなように、図1に示す操作ユニット10が有する各ハードウェア要素は、近距離無線通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistance)が備えるハードウェア要素と同様のものであるので、操作ユニット10は、近距離無線通信機能を有するPDAに所定のプログラムをインストールすることにより、実現することができる。
【0027】
次に、図1に示す車内補充券発行装置を利用して、運賃精算業務を行う場合の動作について説明する。運賃精算は、発駅及び着駅、必要に応じて経由駅情報及び原券に関する情報を入力することによって行う。そして、発券指示を行うことにより、操作ユニット10から発券ユニット20に補充券印刷指示信号を送信し、発券ユニット20で補充券の印刷を行う。精算処理、補充券印刷処理は従来のものと同様であるので、説明を省略する。
【0028】
運賃精算業務に使用する駅情報の入力は、路線地図、カナ入力、ユーザパネル等を利用して行う。図2に、運賃精算業務を行う場合に表示部3に表示される初期画面の一例を示す。図2の初期画面は、発駅及び着駅の駅名が表示される発駅表示領域21及び着駅表示領域22、制御ボタン表示領域23、路線地図表示領域24、ツールバー表示領域25を有する。制御ボタン表示領域23には、操作ユニット20を動作させる各種制御ボタンが表示される。制御ボタンの機能については後述する。路線地図表示領域24には、駅情報の入力に利用する路線地図が表示される。図2の初期画面では、駅名が表示されている駅名表示路線地図が表示されているが、駅名表示路線地図の表示領域をガイドするガイド地図を合わせて表示することもできる(図4参照)。ガイド地図の表示は、ツールバー領域24の「ガイドON」ボタン25aをタップすることによって行う。また、駅名表示路線地図は、全路線を表示する全路線詳細地図と、都市近郊領域の路線を詳細に表示する近郊区地図を含んでおり、切替え表示可能である。
【0029】
以下、駅情報の入力について詳述する。
【0030】
(路線地図を利用した入力)
図2に示す初期画面のように、駅名表示路線地図が表示された状態では、駅名路線地図に表示される駅名を利用して入力すべき駅を特定することができる。図3に、路線地図を利用した駅特定処理の概略フローを示す。
【0031】
タッチペンによって表示部の画面がタップされると、ステップS301で、タップ位置が路線地図表示領域24であるかどうかが判断され、路線地図表示領域24である場合には、タップ座標とその時点での表示地図とのマッチング処理が行われる(ステップS302)。そして、ステップS303で、駅名ボタンのタップかどうかが判断される。駅名ボタンは、路線地図上では丸マークで示されており、駅名ボタンのタップであると判断された場合は、そのボタンに対応付けられた駅コードを取得し、さらに駅コードに対応する駅名を取得する。駅名ボタンと駅コード、駅コードと駅名を対応付けるデータは、予め記憶部6に記憶しておく。精算処理に使用する各種駅情報を記憶する駅マスタに駅名ボタンを対応付けることで実現することができる。
【0032】
今、図2の駅名ボタン24aがタップされたとすると、駅名として「福島」が取得される。そして、ステップS306で、取得された駅名を発駅表示領域21又は着駅表示領域22に表示する。図2の場合は、発駅表示領域21に駅名が表示されていないので、発駅表示領域21に「福島」を表示する。発駅表示領域21に駅名が表示されている場合には、着駅表示領域22に取得した駅名を表示する。
【0033】
図2から明らかなように、路線地図表示領域24に全路線を同時に表示することができないので、発駅又は着駅として指定したい駅が表示されていない場合は、路線地図の表示領域の変更を行う。表示領域の変更を行う一つの方法は、路線地図表示領域24に表示された駅名表示路線地図をスクロールによる方法である。スクロールは、タッチペンを表示画面にタッチした状態で移動させる(ドラッグさせる)ことで行う。ジョグダイヤルが設けられている場合は、ジョグダイヤルによって行うこともできる。
【0034】
表示領域の変更を行う他の方法は、ガイド地図を利用する方法である。ガイド地図を表示させるために、「ガイドON」ボタン25aをタップすると、ステップS301で、路線地図表示領域のタップではないと判断され、ステップS312で、制御ボタンのタップと判断される。したがって、ステップS313で、タップされた制御ボタンに対応した処理、すなわち、ガイド地図の表示が行われる。
【0035】
図4に、ガイド地図の表示例を示す。ガイド地図241は、路線地図表示領域24に駅名表示路線地図と領域分割して表示される。ガイド地図241の表示領域には、カーソル242が表示される。カーソル242の位置は、駅名表示路線地図の表示領域に対応しており、図4(a)の例では、駅名表示路線地図が「仙台」近郊の領域を表示しているので、カーソル242は、ガイド地図上で仙台付近に表示されている。
【0036】
ガイド地図を利用して駅名表示路線地図の表示領域の変更を行う場合は、ガイド地図の移動させたい領域をタップする。このようなタップが行われると、図3のステップS301で、路線地図表示領域のタップと判断され、ステップS303で、駅名ボタンのタップでないと判断され、ステップS307で、近郊領域のタップでないと判断され、ステップS309でガイド地図領域のタップであると判断される。
【0037】
そして、ステップS310で、ガイド地図領域の解析が行われてタップ領域が特定され、ステップS311で、駅名表示地図の表示領域が変更される。今、図4(a)の領域X付近がタップされたとすると、図4(b)に示すように、名古屋近郊の駅名表示路線地図が表示される。そして、ガイド地図241のカーソルも名古屋付近に移動する。
【0038】
駅名が表示されている駅名表示路線地図としては、全路線を表示する全路線詳細地図とともに、都市近郊領域の路線を詳細に表示する近郊区地図と幹線路線を表示する広域地図が用意され、記憶部6に記憶される。
【0039】
近郊区地図の表示は、全路線詳細地図における近郊区領域をタップすることによって行う。すなわち、図3のステップS301で、路線地図表示領域のタップと判断され、ステップS303で、駅名ボタンのタップでないと判断され、ステップS307で、近郊領域のタップと判断される、ステップS308で、近郊区地図への表示に切替えられる。
【0040】
図5に、近郊区地図の表示例を示す。図5(a)に示すように、全路線詳細地図においては、東京近郊の全ての駅名が表示されないので、表示されない駅を選択する場合は、網掛けを付した近郊領域(駅名ボタンを除く。)をタップする。近郊領域がタップされ、近郊区地図の表示に切替えられた場合の表示例を図5(b)に示す。近郊区地図に切替えられた場合の表示領域は、タップされた近郊領域に対応した領域とするのが好ましい。図5(b)は、図5(a)における「新宿」付近の領域をタップした場合の表示例である。
【0041】
なお、図3のフローには記載を省略したが、近郊区地図の表示から全路線詳細地図の表示に切替える場合は、近郊区地図における近郊領域以外の領域をタップする。例えば、図5(b)の領域Yをタップすることにより、全路線詳細地図の表示に切替えることができる。
【0042】
広域地図の表示は、制御ボタン領域23の「広域」ボタン23cをタップすることによって行う。図6に、広域地図の一例の一部を示す。図6に示すように、広域地図は、特急列車が運行されている幹線路線と特急列車の停車駅のみを表示しているので、特急列車内での補充券発行を効率的に行うことができる。
【0043】
(カナ入力を利用した入力)
カナ入力を行うことによって駅情報を入力する場合は、図2の制御ボタン領域23の「カナ」ボタン23aをタップすることによって、図7に示すカナ入力画面表示に切替える。図7のカナ入力画面は、入力済カナ表示領域31、候補駅名表示領域32、33、カナ選択領域34を有する。カナ入力によって入力すべき駅を特定する場合、カナの入力毎に、入力されたカナに対応する読みを有する候補駅名を候補駅名表示領域32、33に表示させ、表示された駅名候補をタップする。図7の例では、カナ選択領域のカナ文字をタップすることによって、「モリオカ」が入力され、駅名候補として「盛岡」が表示されている。
【0044】
図8に、カナ入力を利用した駅特定処理の概略フローを示す。タッチペンによって表示部の画面がタップされると、ステップS801で、カナ選択領域34のカナ文字ボタンのタップであるかどうかが判断され、カナ文字のタップである場合は、駅名検索処理を行う(ステップS802)。駅名検索処理は、駅名辞書及び学習駅名辞書を用いて行う。そして、ステップS803で、駅名検索処理によって検索された駅名を候補駅名表示領域32、33に表示する。
【0045】
次いで、スクロールが指示されたかどうかを判断し(ステップS804)、スクロールが指示された場合は、候補名表示領域のスクロールを行う(ステップS805)。スクロールの指示は、スクロールボタン35のタップ又はジョグダイヤルの操作によって行う。
【0046】
ステップS806では、さらに連続してカナ文字ボタンのタップがされたかどうかを判断し、カナ文字ボタンのタップである場合はステップS802の駅名検索処理に戻る。
【0047】
ステップS807では、候補駅名表示領域32、33の候補駅名のタップがされたかどうかを判断し、候補駅名のタップである場合は、タップされた駅名を取得し(ステップS808)、表示画面をカナ入力画面に切替える前の画面に切替える。図2に示すような画面に戻った場合は、発駅表示領域21又は着駅表示領域22に取得された駅名が表示される。
【0048】
図9に示すカナ入力時の表示画面の遷移例を用いて、さらに詳細に説明する。図9は、駅名「柏崎」を入力する場合の表示例である。なお、ここでは、学習駅名辞書を備えていないか、備えていても学習事項がないものとして説明する。
【0049】
図10に、駅名辞書の一例を示す。駅名辞書は、駅名とその駅名の読みを示すカナとを対応付けたもので、図10は、読みの1文字目が「カ」である駅を検索するための辞書の一部を概念的に示すものである。1文字目のカナ「カ」がタップされると、入力済カナ表示領域31に「カ」が表示され、「カ」を先頭の読みとして有する駅名が検索され、図9(a)に示すように、先頭の駅から順に候補駅名が候補駅名表示領域32に表示される。候補駅名表示領域32は、6駅の表示が可能なので、「甲斐大泉」から「甲斐大和」まで表示される。
【0050】
次いで、2文字目のカナ「シ」がタップされると、図9(b)に示すように、入力済カナ表示領域31に「カシ」が表示され、「カシ」を先頭の読みとして有する駅名が検索される。そして、候補駅名表示領域32に、「鹿島」から「柏」までの6駅の駅名が表示される。さらに、3文字目のカナ「ワ」がタップされると、図9(c)に示すように、入力済カナ表示領域31に「カシワ」が表示され、候補駅名表示領域32に、「柏」「柏木平」「柏崎」の3駅が表示される。この時点で、入力しようとする「柏崎」が表示されるので、候補駅名表示領域32の駅名「柏崎」をタップすることにより、駅名「柏崎」が取得され、発駅表示領域21又は着駅表示領域22に表示される。
【0051】
図11に、学習駅名辞書の一例を示す。学習駅名辞書は、カナの入力を利用して特定された所定数の駅について、上述した駅名辞書に登録された情報を記憶するものである。記憶する駅の数は、例えば100である。記憶駅数が100を超えるとファーストインファーストアウトで古いものを削除する。図11の例では、1文字目の読みが「カ」である駅が、「軽井沢」「柏崎」「柿崎」「春日山」の5駅記憶されている。
【0052】
学習辞書を備えていて、入力されたカナに対応する駅が記憶されている場合は、候補駅名表示領域33に検索された候補駅名が表示される。今。図11に示される学習駅名辞書が記憶されており、1文字目のカナ「カ」をタップすると、図9(d)に示す表示画面となる。すなわち、駅名辞書の検索によって得られた候補駅名は、図9(a)の場合と同様、候補駅名表示領域33に「甲斐大泉」から「甲斐大和」が表示される。一方、学習駅名辞書には、1文字目の読みが「カ」である駅が5駅記憶されているので、候補駅名表示領域33には、5駅全てが表示される。
【0053】
したがって、入力しようとする「柏崎」が候補駅名表示領域33に表示されているので、候補駅名表示領域33の駅名「柏崎」をタップすることにより、駅名「柏崎」を取得することができる。
【0054】
なお、図8のステップS810で、制御ボタン(例えば、「キャンセル」ボタン等)のタップであると判断した場合に、そのボタンに対応した処理を実行する(ステップS811)。
【0055】
(ユーザパネルを利用した入力)
ユーザパネルを利用して駅情報を入力する場合は、図2の制御ボタン領域23の「ユーザ」ボタン23bをタップすることによって、図12に示すユーザパネル表示画面に切替える。ユーザパネル41は、利用者が登録したユーザパネル情報に基づいて登録した複数の駅名を表示するものである。表示されたユーザパネルに含まれる駅名をタップすることにより、入力すべき駅が特定される。
【0056】
図13に、ユーザパネルを利用した駅特定処理の概略フローを示す。タッチペンによって表示部の画面がタップされると、ステップS1301で、駅名登録ボタン42のタップであるかどうかが判断され、駅名登録ボタン42のタップでない場合は、ステップS1302で、ユーザパネル41の駅名表示領域のタップかどうかが判断される。駅名表示領域のタップである場合は、タップされた領域駅名を取得し(ステップS1303)、発駅表示領域21又は着駅表示領域22に取得された駅名を表示する(ステップS1304)。
【0057】
ステップS1302で、ユーザパネル41の駅名表示領域のタップでないと判断され、ステップS1305で、制御ボタンのタップであると判断した場合に、そのボタンに対応した処理を実行する(ステップS1306)。ここでの制御ボタンには、ユーザパネル41の頁切替えに使用する頁指定ボタン(「1頁」ボタン、「2頁」ボタン等)も含まれ、タップされた頁指定ボタンに対応する頁が表示される。
【0058】
ステップS1301で、駅名登録ボタン42のタップであると判断されると、表示画面を切替え、ユーザパネル駅名登録画面を表示する(図14(a)参照)。図14に、ユーザパネル登録時の表示画面の遷移例を示す。ユーザパネルに駅名を登録する場合、ユーザパネル駅名登録画面のユーザパネル51の任意の駅名表示領域51aをタップして、駅名を登録するべき領域を選択する(図14(b)参照)。次いで、再度選択した駅名表示領域51aをタップすると、駅名選択画面に表示画面を切替える。駅名選択画面は、図2に示す画面であり、路線地図を利用して登録したい駅名を特定することができる。この画面で「カナ」ボタンをタップし、カナ入力によって登録すべき駅名を特定してもよい。登録すべき駅名が特定されると、駅名のユーザパネルへの登録が行われ、図14(c)の画面に戻る。図14(c)は、駅名選択画面での操作によって「相生」が選択され、ユーザパネルの1頁目に記憶された場合の表示例である。
【0059】
以上の処理は、図13のステップS1308、ステップS1309、ステップS1310、ステップS1311の順に実行される。複数の駅名を登録する場合、以上の処理を繰り返す。なお、登録済の駅名表示領域51aを選択して駅名選択を行った場合は、新規に選択された駅名に修正される。
【0060】
ユーザパネルに登録した情報の編集を行う場合は、編集すべき駅名表示領域を選択した後、編集用ボタン52〜55のいずれかをタップすることによって行う。例えば、特定の駅名表示領域に登録した駅名を他の駅名表示領域にコピーする場合は、コピー元の駅名表示領域を選択後、コピーボタン52をタップする。そして、コピー先の駅名表示領域をタップ後、貼付ボタン53をタップする。また、特定の駅名表示領域の駅名又は全登録駅名を削除する場合は、削除ボタン55又は全削除ボタンをタップする。編集処理は、図13のステップS1308、ステップS1309、ステップS1312、ステップS1313の順に実行される。
【0061】
以上の説明したように、ユーザパネルへの駅名の登録は、路線地図の利用、カナ入力の利用、あるいはユーザパネルの他の領域の登録駅名を利用して行われる。
【0062】
なお、登録したユーザパネルの情報を外部に出力する場合は、ユーザパネル駅名登録画面に、外部出力ボタンを設け、ユーザパネル全体あるいは選択した頁を外部に出力する。通信部5を利用して外部に出力する場合は、一旦、記憶部6の所定領域に記憶してから通信部6を動作させるようにしてもよい。
【0063】
また、ユーザパネルの登録時に、外部から入力したユーザパネルの情報をそのまま登録するようにしてもよい。
【0064】
(オートコンプリートを利用した入力)
図1に示す操作ユニット10は、オートコンプリートを利用した駅名入力も可能である。図15に、オートコンプリートを利用した駅名入力画面の一例を示す。発駅領域21及び着駅領域22への駅名入力がされるたびに、制御部7は、記憶部6に入力駅名を記憶しておく。記憶する駅名数は任意である。オートコンプリートを利用した入力を行う場合は、発駅領域21又は着駅領域22のプルダウン表示ボタン21a又は22aをタップして、記憶された駅名を表示する。図15は、プルダウン表示ボタン22aをタップすることによって、記憶された駅名「上野」「青森」が表示された状態を示している。表示された駅名を入力する場合は、その駅名をタップする。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の車内補充券発行は、駅情報の入力を迅速かつ簡単に行うことを可能とする車内補充券発行装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置の概略構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置を利用して運賃精算業務を行う場合の表示部の初期画面の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置における路線地図を利用した駅特定処理の概略フローを示す図
【図4】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるガイド地図の表示例を示す図
【図5】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置における近郊区地図の表示例を示す図
【図6】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置における広域地図の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるカナ入力画面の一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるカナ入力を利用した駅特定処理の概略フローを示す図
【図9】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるカナ入力時の表示画面の遷移例を示す図
【図10】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置における駅名辞書の内容を概念的に示す図
【図11】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置における学習駅名辞書の内容を概念的に示す図
【図12】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるユーザパネル表示画面の一例を示す図
【図13】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるユーザパネルを利用した駅特定処理の概略フローを示す図
【図14】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるユーザパネル登録時の表示画面の遷移例を示す図
【図15】本発明の実施の形態の車内補充券発行装置におけるオートコンプリートを利用した駅名入力画面の一例を示す図
【符号の説明】
【0067】
1・・・操作部
2・・・入力処理部
3・・・表示部
4・・・表示制御部
5・・・通信部
6・・・記憶部
7・・・制御部
10・・・操作ユニット
20・・・発券ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内補充券の発行の入力操作を行うための操作部と、
少なくとも路線地図の表示が可能な表示部と、
前記路線地図を表示するための地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
前記操作部による入力操作にしたがって、駅を特定する駅特定処理部と、
前記駅特定処理部によって特定された駅についての情報を利用して車内補充券の発行処理を行う補充券発行処理部とを備え、
前記路線地図は、駅名が表示されている駅名表示路線地図と、前記駅名表示路線地図の表示領域をガイドするガイド地図を含み、
前記表示部は、前記駅名路線地図単独の表示と、前記駅名路線地図及び前記ガイド地図の領域分割表示の切替えが可能であり、
前記駅特定処理部は、前記駅名路線地図に駅名が表示された駅が前記入力操作によって選択された場合に、その選択された駅を特定する車内補充券発行装置。
【請求項2】
前記駅名表示路線地図は、全路線を表示する全路線詳細地図と、都市近郊領域の路線を詳細に表示する近郊区地図を含み、
前記表示部は、前記全路線詳細地図表示時に、前記全路線詳細地図における前記都市近郊領域が前記入力操作によって選択された場合は、前記近郊区地図表示に切替え、前記近郊区地図表示時に、前記近郊区地図における前記大都市近郊領域以外の領域が前記入力操作によって選択された場合は、前記全路線詳細地図表示に切替える請求項1記載の車内補充券発行装置。
【請求項3】
前記駅名表示路線地図は、さらに幹線路線を表示する広域地図を含む請求項1又は2記載の車内補充券発行装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記駅名表示路線地図の表示時に、前記入力操作に応じて前記駅名表示路線地図のスクロールを行う請求項1ないし3のいずれか1項記載の車内補充券発行装置。
【請求項5】
駅名とその駅名の読みを示すカナとを対応付けた駅名辞書を記憶する辞書記憶部を備え、
前記操作部は、その入力操作によってカナの入力が可能であり、
前記駅特定処理部は、前記カナの入力毎に、前記駅名辞書を参照して入力されたカナに対応する読みを有する候補駅名を検索して前記表示部に表示させ、前記表示された駅名候補が選択された場合に、その選択された駅名の駅を特定する請求項1ないし4のいずれか1項記載の車内補充券発行装置。
【請求項6】
カナの入力を利用して特定された駅について、前記駅名辞書に登録された情報を学習駅名辞書として記憶する学習辞書記憶部を備え、
前記駅特定処理部は、前記カナの入力毎に、前記学集駅名辞書を参照して入力されたカナに対応する読みを有する候補駅名を検索して前記表示部に表示させ、前記表示された駅名候補が選択された場合に、その選択された駅名の駅を特定する請求項5記載の車内補充券発行装置。
【請求項7】
複数の駅名の登録が可能なユーザパネル情報を、記憶するユーザパネル記憶部と、
前記入力操作にしたがって、前記ユーザパネル情報の記憶を行うユーザパネル登録処理部を備え、
前記表示部は、前記入力操作に対応して前記ユーザパネル記憶部を参照し、前記ユーザパネル情報に基づいて登録された駅名を含むユーザパネルを表示し、
前記駅特定処理部は、前記表示されたユーザパネルに含まれる駅名が選択された場合に、その選択された駅名の駅を特定する請求項1ないし6のいずれか1項記載の車内補充券発行装置。
【請求項8】
前記ユーザパネル記憶部は、複数頁分の前記ユーザパネル情報を記憶可能であり、
前記表示部は、前記入力操作によって選択された頁の前記ユーザパネルを表示する請求項7記載の車内補充券発行装置。
【請求項9】
前記ユーザパネル登録処理部は、前記駅特定処理部によって特定された駅の駅名を前記ユーザパネル情報として登録する請求項7又は8記載の車内補充券発行装置。
【請求項10】
前記ユーザパネル登録処理部は、外部から入力された前記ユーザパネル情報を記憶する請求項7ないし9のいずれか1項記載の車内補充券発行装置。
【請求項11】
前記ユーザパネル記憶部に記憶された前記ユーザパネル情報は、外部に出力可能である請求項7ないし10のいずれか1項記載の車内補充券発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−139411(P2006−139411A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326875(P2004−326875)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(592138019)株式会社ジェイアール東日本情報システム (6)
【Fターム(参考)】