説明

車室内構造

【課題】後席乗員用の乗降口の幅を狭めつつ、シートを操作することなく第3列シートにアクセスできる車室内構造を提供する。
【解決手段】運転席シート15と助手席シート16間の離間距離L1は、この間を通って車体後部に歩いて移動することができる通路幅に設定されている。第1列シート11と第2列シート12の間の離間距離L2は乗員が通過可能な通路幅に設定されている。第2列シート12を構成する右側シート17と左側シート18間の離間距離L3は乗員が車体後部に歩いて移動することができる通路幅が設定されており、第3列シート13として、車幅方向中央に配設された一人用の最後部シート19で構成されている。後席乗員用の乗降口32は、従来に比べて幅寸法Xが小さく設定されており、この開口幅Xは第1列シート11と第2列シート12との間の離間距離L2に実質的に対応している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関し、より詳しくは車室内構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の形式としてワンボックスカーが周知である。ワンボックスカーは、比較的車高が高く、そして車室が車体後端まで延びているために、8人乗車というように多人数のシートを配設して様々なシートアレンジすることが可能であることからファミリー層の支持を得ているだけでなく、大型のシートを配設して4〜5人でゆったりとしたドライブを楽しむのに利用されている。
【0003】
ワンボックスカーは、フロントサイドドアを使って乗降する運転席及び助手席の第1列シートの後方に、第2列シート、第3列シートを含み、この第2列、第3列シートに着座する乗員用のリアサイドドアがフロントサイドドアの直ぐ後方に配設されている。
【0004】
特許文献1には、ワンボックスカーに関し、リアサイドドアを開放して車室に乗降する一般的な方法が開示されている。すなわち、特許文献1の図10に例示のとおり、リアサイドドアに隣接する第2列シートのシートバックを前倒しにした状態で、この第2列シートを前方にスライドさせることで、リアサイドドアから第3列シートにアクセスすることのできる通路を形成するのが一般的であり、また、リアサイドドアは、フロントサイドドアの直ぐ後方から第3列シートの近傍まで延びる比較的幅広いドアが採用されているのが一般的である。このことから、リアサイドドアで開閉される後席乗員用の乗降口の後端縁は、この乗降口から第3列シートに直接的にアクセスできるように第2列シートの後端よりも後方に配置されている。
【0005】
特許文献1は、この従来の方法では、第3列シートにアクセスするのに第2列シートを操作しなければならない煩雑さを解消するために、第3列シートの一部、すなわちリアサイドドア側のシートを折り畳み可能にすると共に第2列シートのリアサイド側のシートを車体後端部までスライド可能に構成して、比較的少人数でドライブするときには、第2列シートのリアサイド側シートを後方にスライドさせて、これを第3列シートの一部として利用可能にすることを提案している。
【特許文献1】特開2000−62502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が提案する方法によれば、確かに、予め第2列シートの一部のシートを後方にスライドさせて、このシートを第3列シートの一部として利用することで、後席乗員用の乗降口から第3列シートに通じる通路を形成することができるが、この通路を形成するために、予め第2列シートの一部を後方にスライドさせて第3列シートに組み込む準備が必要である。
【0007】
また、従来のワンボックスカーは、前述したように、後席乗員用の乗降口が車体前後方向に大きく広がった幅広の開口で構成されているため、車体剛性を確保するのが難しいという問題を有していた。
【0008】
本発明の目的は、後席乗員用の乗降口の幅を狭めつつ、第2列シートを操作することなく第3列シートにアクセス可能な車室内構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
フロントサイドドアによって開閉される前席乗員用乗降口からアクセス可能な運転席及び助手席を含む第1列シートから車体後端まで延びる車室を備え、該車室に、前記第1列シートから後方に向けて順に、リアサイドドアによって開閉される後席乗員用乗降口からアクセス可能な第2列シート、第3列シートが配設された車室内構造であって、
前記第1列シートと前記第2列シートとの間に、シートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な車幅方向に延びる車幅方向通路が形成され、
第2列シートが2つの個々に独立した左右のシートで構成され、
該左右のシートが車幅方向に離間されて該左右のシート間に車体前後方向に延び且つシートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な後部通路が形成され、
前記後席乗員用乗降口が前記第1通路の通路幅と実質的に同じ幅寸法を有し、
該後席乗員用乗降口から前記第1通路を通り、次いで第2通路を通ることで前記第3列シートにアクセス可能であることを特徴とする車室内構造を提供することにより達成される。
【0010】
すなわち、本発明によれば、第1列シートと第2列シートとの間に車幅方向通路を設けると共に、第2列シートを、互いに離間した左右の独立したシートで構成して、この左右のシート間に後部通路を設けることで、後席乗員用乗降口から上記車幅方向通路を通り、次いで上記後部通路を通ることで、シートを操作することなく第3列シートにアクセスすることができる。また、第1列シートと第2列シートとの間に車幅方向通路を設けて、この車幅方向通路を介して第3列シートにアクセスするようにしたことから、後席乗員用乗降口の開口幅を小さく設定して、車体剛性を向上することができる。また、第2列シートや第3列シートの乗員の回りに手荷物を置くのに車幅方向通路や後部通路を利用することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態では、
前記第1列シートが、個々に独立した運転席シートと助手席シートとで構成され、
該運転席シートと前記助手席シートとが離間されて、これら運転席シートと助手席シートとの間に車体前後方向に延び且つシートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な前部通路が形成され、
該前部通路と前記車幅方向通路と前記後部通路とで車室内に十文字の通路が形成され、
前記第1列シートからシートを操作することなく前記十文字通路を通じて車体後部にアクセス可能である。
【0012】
前記第3列シートは、車幅方向中央部分に配置された一人用の最後部シートで構成されるのが好ましく、この最後部シートが前記後部通路に臨んで配設されると共に、該最後部シートのシートクッション及びシートバックの幅が、前記後部通路の通路幅と同じか、これよりも大きいのが好ましい。これによれば、最後部シートとして大型シートを採用することが可能であるが、この大型シートに着座した乗員が後部通路まで脚を伸ばした姿勢をとることができる。
【0013】
第2列シートの左右のシートが、これら左右のシートのシートクッションよりも幅寸法が小さい台座を介して車体に設置されて、該台座が前記左右のシートのシートクッションの中央部分に位置している場合には、最後部シートに着座した乗員が後部通路まで脚を伸ばした姿勢をとったときに足先の部分を左右のシートのシートクッションの下の台座の脇に置くことができるため最後部シートの乗員の足元のスペースに余裕を与えることができる。
【0014】
好ましい態様として、第2列シートの左右のシート間の離間距離が、前記運転席シートと前記助手席シート間の離間距離よりも大きく設定するのがよい。これによれば、最後部シートに通じる後部通路の通路幅が拡大するため最後部シートへのアクセスが容易になるだけでなく、最後部シートが後部通路に臨んでいるため、これに着座した乗員の脚を自由に伸ばした状態で休息姿勢でドライブを楽しむことができる。
【0015】
本発明は、典型的には、第1列シート、第2列シート、第3列シートの全てが、肉厚のクッション材を備えた実質的に同じ大きさの大型シートで構成されるが、最後部シートは、飛行機のビジネスクラスなどで採用されているコンフォート大型シートを採用してもよい。
【0016】
また、本発明が適用されるワンボックスカーは、従来と同様に、車体の後端面にバックドアを備え、このバックドアを開放することで、最後部シートの両脇のラッゲージスペースにアクセス可能であるのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0018】
図1は本発明を適用した自動車を斜め前方から見た斜視図である。図示の自動車1は、いわゆるワンボックスカーと呼ばれている形式の車両であり、全長約4800mm、全幅約1800mm、高さ約1900mmの日本では比較的大型のワンボックスカーである。この種のワンボックスカーは、個々に独立した且つ肉厚のクッション材を備えた大型シートが設置され、内装も豪華であることから乗員は、ゆったりとくつろいだ気分でドライブを楽しむことができる。
【0019】
図1の参照符号2は、運転席及び助手席の乗降に用いられるフロントサイドドアを示し、その直ぐ後方に、右側又は左側の少なくとも一方に後部座席乗員用のリアサイドドア3が配設されている。このリアサイドドア3は、ガイドレール4に案内されて後方にスライド可能な、いわゆるスライドドアであるが、リアサイドドア3の前端又は後端を、隣接するピラー部材にヒンジ止めしたヒンジドアであってもよい。当業者であれば直ちに分かることであるが、図示のリアサイドドア3の幅(車体前後方向の寸法)は、この種のワンボックスカーの従来のリアサイドドアよりも可成り小さい。この点については、後に説明する。なお、作図上の理由から図1には現れていないが、このワンボックスカー1は従来と同様に、車両の後端面にバックドアを有し、このバックドアを開閉することにより荷物の出し入れをすることができる。
【0020】
図2は、車室内を上から見た図であり、参照符号5は左右の前輪を示し、また、参照符号6は左右の後輪である。また、参照符号7はエンジンルームであり、参照符号8はハンドルを示す。ワンボックスカー1は、その車体後端まで連続した車室10に配設された、車体後方に向けて順に、最前列(第1列)シート11、第2列シート12、第3列シート13を備えている。
【0021】
第1列シートは、運転席シート15と助手席シート16とで構成され、運転席シート15と助手席シート16は互いに独立したセパレートシートで構成されている。同様に、第2列シート12は、2つの独立したセパレートシート17、18で構成されている。第3列シート13は一人の乗員が着座可能な単一のシート19で構成されている。
【0022】
第1列〜第3列のシート11〜13を構成する各シート15〜19には、各シートの各参照番号に「a」を付して示してあり、また、シートバックには「b」を付して示してある。各シート15〜19は、実質的に同じ大きさの、従来と同様に大人がゆったりと着座可能な所謂大型シートで構成され、各シート15〜19のシートクッションとシートバックの幅が実質的に同じである。勿論のことであるが、第1列〜第3列のシート11〜13を構成する各シート15〜19は前後にスライド可能であるのが好ましく、また、シート高さの調整やリクライニングが可能であるのが好ましい。
【0023】
図3は車室10を側方から見た図である。この図3からも理解できるように、各シート15〜19は、所定の高さを有する台座20を介してフロアに設置されており、図2に破線からも分かるように、この台座20は平面視したときにシートクッション15a〜19aよりも幅及び長さが小さく、シートクッション15a〜19aの中央部分に配置されている。
【0024】
第1列シート11を構成する運転席シート15と助手席シート16は、車幅方向に離間して配設され、その離間距離L1(図2)は、運転席シート15と助手席シート16との間を通って車体後部に歩いて移動することができる、所謂ウオークスルーが可能な通路幅に設定されている。すなわち、運転席シート15と助手席シート16との間の隙間は、この間を通って乗員が歩いて移動できる車体前後方向の第1通路つまり前部通路25を構成している。
【0025】
第2列シート12は、第1列シート11から後方に大きく離間して配設され、その車体前後方向の離間距離L2は、第1列シート11のシートバック15b又は16bを前倒しすることなく乗員が通過することのできる通路幅が設定されている。すなわち、第1列シート11と第2列シート12との間の隙間は、シートを操作することなく、この間を通って乗員が歩いて移動できる車幅方向の第2通路26を構成している。
【0026】
第2列シート12を構成する右側シート17と左側シート18は、車幅方向に離間して配設され、その離間距離L3は、これら左右のシート17、18の間を通って、シートを操作することなく乗員が車体後部に歩いて移動することができる幅寸法が設定されている。すなわち、第2列シート12を構成する左右のシート17、18の間の隙間は、この間を通って乗員が歩いて移動できる車体前後方向の第3通路つまり後部通路27を構成している。
【0027】
第3列シート13を構成する単独の最後部シート19は、車幅方向中央部分に配設され、その両脇にラッゲージスペースS1、S2が形成され、車両後端の開口30を閉じるバックドア(図示せず)を開放することにより、ラッゲージスペースS1、S2から比較的大きな荷物を出し入れすることができる。
【0028】
この第3列シート13と第2列シート12との車体前後方向の離間距離L4は、図3から理解できるように、最後部シート19に着座した乗員が膝を折り曲げた通常の着座姿勢をとったときに十分なレッグスペースが形成される程度の距離に設定されている。
【0029】
図2に戻って、第2列シート12を構成する左右のシート17、18は、これに隣接する車体側壁に近づけて配置するのが好ましい。このように第2列シート12の左右のシート17、18を、これに隣接する左右の側壁に近接させて配置することで、この左右のシート17、18の間の離間距離L3を拡大することができるが、この離間距離L3の拡大によって、これらシート17、18間に形成される車体前後方向の第3通路27の通路幅を拡大することができるため、乗員が最後部シート19にアクセスし易くなる。
【0030】
図2を参照して、車体後端部において車幅方向中央部分に配置された最後部シート19は、前述した第2列シート12の間に形成された車体前後方向の第3通路27に臨んでいる。この最後部シート19のシートクッション19aの幅Wは、上記第3通路27の通路幅L3と実質的に同じ又はそれよりも若干大きい。換言すれば、最後部シート19のシートクッション19aは、車体前後方向から見たときに、第2列シート12を構成する左右のシート17、18のシートクッション17a、18aの車幅方向内端と若干オーバーラップしている。
【0031】
このような最後部シート19の配置にすることで、最後部シート19の乗員が膝を折り曲げた通常の着座姿勢であっても脚回りに余裕があるため大人がゆったりと着座可能であるが、例えば最後部シート19の乗員が、目の前の第3通路27まで脚を伸ばした休息姿勢をとったとしても、この第3通路27を形成する左右のシート17、18を、隣接する側壁に近接させて第3通路27の通路幅つまり上記離間距離L3を拡大してあるため、第3通路27に入り込んだ膝から下の部分の車幅方向スペースに余裕を与えることができる。また、第2列シート12の左右のシート17、18は、そのシートクッション17a、18bにより幅寸法の小さい台座20によって支持されており、この左右の台座20、20間の離間距離L5が通路27の通路幅L3よりも大きいことから、最後部シート19で脚を伸ばした姿勢の乗員の靴先を例えば左右のシート17、18の下に入れた状態で休息姿勢をとることができる。
【0032】
図2に見られる参照符号31は、フロントサイドドア2によって開閉される運転席又は助手席用の乗降口であり、この乗降口31を通じて運転席シート15、助手席シート16にアクセスすることができる。また、参照符号32は、リアサイドドア3によって開閉される後席乗員用の乗降口であり、この乗降口32を通じて第2列シート12及び第3列シート13にアクセスすることができる。
【0033】
後席乗員用の乗降口32は、従来に比べて幅寸法Xが小さく設定されており、この開口幅Xは上述した第2通路26つまり第1列シート11と第2列シート12との間の離間距離L2に実質的に対応している。すなわち、後席乗員用の乗降口32の前端縁は第1列シート11のシートバック15b、16bの背面位置に実質的に対応しており、他方、後席乗員用の乗降口32の後端縁は第2列シート12のシートクッション17b、18bの前端位置に実質的に対応している。なお、第2列シート12のシートクッション17b、18bは、後席乗員用の乗降口32を通じた後席乗員の乗り込みを阻害しない程度に、側面視が後席乗員用乗降口32の後端縁よりも前方に一部延出してもよいことは言うまでもない。
【0034】
上述したシート配列とこれに伴う車室内通路の構成を採用することにより、リアサイドドア3を開放して後席乗員用の乗降口32を通じて第2列シート12又は第3列シート13にアクセスするときに、後席乗員用の乗降口32に通じる車幅方向の第2通路26を歩いてアクセスすることができる。特に、第3列シート13を利用する乗員は、第2列シート12を操作する必要無しに、単に、車室10の中央部分に対面した姿勢でリアサイドドア3を開放し、その姿勢のままで第2通路26に足を踏み入れて車室10に乗り込み、そして、この車幅方向に延びる第2通路26及びこれとT字状に直交して車体後方に延びる第3通路27を通って最後部シート19にアクセスすることができる。最後部シート19の乗員が車から降りるときも同様である。したがって、最後部シート19を利用する乗員にとって第2列シート12を操作する煩わしさ無しに且つ一般生活でドアを通過する同じ要領で大きく姿勢を変化させることなく車に乗降することができる。
【0035】
従来では、第3列シート13の乗員のために後席乗員用の乗降口32の入り口部分にステップを設ける必要があったが、本発明の実施例では、後席乗員用の乗降口32の入り口部分にステップを設けてもよいし、ステップ無しであってもよい。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、第3列シート13として、図4、図5に示すようなシートの上で乗員が横になることのできる、例えばコンフォート大型シート40のようなシートを採用してもよい。図5を参照して、コンフォート大型シート40は、幅方向に大きなシートクッション41と、頭部を含む上半身を包みシートバック42と、シートクッション41の前端から斜め下方且つ前方に大きく延びるフットレスト43と、シートクッション41の両側に位置する左右一対の大きなサイドサポート44、44とを備えており、シートクッション41の高さ位置は調整可能であるのがよい。また、コンフォート大型シート40は、好ましくは、着座した乗員が横になることができるようにシートクッション41がリクライニング機構を備えているのがよく、また、フットレスト43及びサイドサポート44もその傾き角度を調整できるのが好ましい。、
【0037】
このようなコンフォート大型シート40を、図4に示すように、第3列シート13として車幅方向中央部分に配設することで、これに着座した乗員は、長時間のドライブであっても、例えばシートクッション41の上で胡座をかいたり、シートバック42を倒し且つフットレスト43の前端を上げて横になったりすることで快適に過ごすことができる。
【0038】
また、本発明の変形例として、例えば第1列シート11をベンチシートで構成してもよく、また、第3列シート13を複数人が着座可能なベンチシートで構成したり、例えば横並びの2つのセパレートシートで構成してもよい。
【0039】
上述したように、本発明の実施例によれば、第2列シート12の前に位置する車幅方向の第2通路26と、この第2通路26の中央から車体後方に延びる第3通路27とで構成されるT字状の通路を含み、これにより第3列シート13を利用する乗員も後席乗降用開口32(リアサイドドア3)から第2通路26を通り、次いで第3通路27を通って第3列シート13にアクセスすることができるため、これにアクセスするために第2列シート12などを操作する必要が無く、一般的なドア開口を通るときと同じに車室10に乗り降りすることができる。
【0040】
また、リアサイドドア3によって開閉される後席乗員用の乗降口32の車体前後方向の幅Xが小さいため、例えばリアサイドドア3としてスライドドアを採用したとしても、これを案内するガイドレールの長さ寸法を短縮できるため車体後部のデザインの自由度を向上できるだけでなく、車体の側部に大きな後席乗員用の乗降口を形成する必要が無くなるため、車体剛性を向上することができる。
【0041】
また、第2列シート12の回りに位置する第2、第3通路26、27が比較的大きな通路幅を備えているため、この第2、第3通路26、27を手荷物置き場として利用することで、第2列シート12の乗員の手荷物を身の回りの近くに置いた状態でドライブを楽しむことができる。
【0042】
また、第1列シート11をセパレートシートで構成して運転席シート15と助手席シート16との間にウオークスルー通路25を形成した場合には、車室10内に第1〜第3通路25〜27で十字路が形成されることから、第1列シート11から車体後部座席や車体後部に置いた荷物にアクセスするのが容易である。このことは第2列シート12についても同様であり、左右のシート17、18の間の第3通路27を通って、最後部シート19の両脇のラッゲージスペースS1、S2に置いた荷物にアクセスするのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例を適用したワンボックスカーを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図1のワンボックスカーのシート配列及びサイドドアの配置を説明するための図である。
【図3】図1のワンボックスカーのシート配列を説明するために車体側方から見た図である。
【図4】変形例を説明するための、図2に対応した図である。
【図5】図4に例示した最後部シートを斜め前方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ワンボックスカー
2 フロントサイドドア
3 リアサイドドア
10 車室
11 第1列シート
12 第2列シート
13 第3列シート
15 運転席シート
16 助手席シート
17、18 第2列シートを構成する2つのセパレートシート
19 第3列シートを構成する単一の最後部シート
20 シートの台座
25 運転席と助手席との間の前部通路
26 第1、第2列シート間の車幅方向の通路
27 第2列シートの左右のシート間の後部通路
30 車体後端の開口(バックドア)
32 後席乗員用の乗降口
S1 ラッゲージスペース
S2 ラッゲージスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントサイドドアによって開閉される前席乗員用乗降口からアクセス可能な運転席及び助手席を含む第1列シートから車体後端まで延びる車室を備え、該車室に、前記第1列シートから後方に向けて順に、リアサイドドアによって開閉される後席乗員用乗降口からアクセス可能な第2列シート、第3列シートが配設された車室内構造であって、
前記第1列シートと前記第2列シートとの間に、シートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な車幅方向に延びる車幅方向通路が形成され、
第2列シートが2つの個々に独立した左右のシートで構成され、
該左右のシートが車幅方向に離間されて該左右のシート間に車体前後方向に延び且つシートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な後部通路が形成され、
前記後席乗員用乗降口が前記第1通路の通路幅と実質的に同じ幅寸法を有し、
該後席乗員用乗降口から前記第1通路を通り、次いで第2通路を通ることで前記第3列シートにアクセス可能であることを特徴とする車室内構造。
【請求項2】
前記第1列シートが、個々に独立した運転席シートと助手席シートとで構成され、
該運転席シートと前記助手席シートとが離間されて、これら運転席シートと助手席シートとの間に車体前後方向に延び且つシートを操作することなく乗員が歩いて移動可能な前部通路が形成され、
該前部通路と前記車幅方向通路と前記後部通路とで車室内に平面視で十文字の通路が形成され、
前記第1列シートから前記十文字通路を通じて車体後部にアクセス可能である、請求項1又は2に記載の車室内構造。
【請求項3】
前記第3列シートが、車幅方向中央部分に配置された一人用の最後部シートで構成され、該最後部シートが前記後部通路に臨んで配設され、
該最後部シートのシートクッション及びシートバックの幅が、前記後部通路の通路幅と同じか、これよりも大きい、請求項1又は2に記載の車室内構造。
【請求項4】
前記第2列シートの左右のシートが、これら左右のシートのシートクッションよりも幅寸法が小さい台座を介して車体に設置され、
該台座が前記左右のシートのシートクッションの中央部分に位置している、請求項3に記載の車室内構造。
【請求項5】
前記第2列シートの左右のシート間の離間距離が、前記運転席シートと前記助手席シート間の離間距離よりも大きい、請求項4に記載の車室内構造。
【請求項6】
前記第1列シートを構成する運転席シートと助手席シートと、前記第2列シートを構成する左右のシートと、前記第3列シートを構成する一人用の最後部シートが、実質的に同じ大きさのシートで構成されている、請求項
3〜5のいずれか一項に記載の車室内構造。
【請求項7】
車体の後端面にバックドアを備え、該バックドアを開放することにより、前記最後部シートの両脇のラッゲージスペースにアクセス可能である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の車室内構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−168606(P2007−168606A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368823(P2005−368823)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】