説明

車庫及び建物

【課題】紫外光を照射しなくても、内面を洗浄することができる車庫を得る。
【解決手段】付属車庫11は、可視光応答型光触媒を含む光触媒層24が表面に設けられた内面23を備えている。また、付属車庫11は、その車庫11内に散水する散水システム50を備え、ミスト噴射ノズル51からミストが噴射されるようになっている。この付属車庫11では、紫外光照射灯を設けて紫外光を照射しなくても、照明装置33が照射する可視光によって光触媒層24に含まれる可視光応答型光触媒が活性化される。この光触媒の活性化により、内面23は超親水性を有している。このため、ミストを噴射して内面23を水で濡らすことにより、内面23に付着した汚れを洗い流せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が駐車される車庫、及びその車庫を付属車庫として備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両が駐車される車庫の内面、すなわち床面、内壁面及び天井面は、各種の要因によって汚れる。例えば、タイヤの汚れやタイヤ痕が床面に付着したり、車両の排気ガスに含まれるススや有機物等が内面に付着する。
【0003】
そこで、このような汚れを除去するため、紫外光応答型の光触媒組成物を利用する技術が提案されている(特許文献1参照)。この従来技術では、地下駐車場の側壁及び天井に紫外光応答型の光触媒組成物被膜が設けられている。そして、この光触媒の活性化には紫外光が必要である。
【0004】
ところが、太陽光は地下駐車場内まで届かない。このため、自然状態では紫外光を得ることができない。そのような状況を解決するため、駐車場内に紫外光を発する紫外光照射灯が設けられており、その紫外光照射灯から照射される紫外光により光触媒を活性化させている。光触媒が活性化すれば汚染を防止する効果が得られるため、それにより駐車場内の汚れが防止されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−45654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、駐車場内に紫外光が直接照射されるため、紫外光による悪影響、例えば駐車場に出入りする人への悪影響等が顕著となってしまうという問題がある。
【0006】
その対策として、紫外光照射灯ではなく蛍光灯を代わりに用いることも考えられるが、その場合、蛍光灯から得られる紫外光では光触媒を活性化させるのに不十分であり、現実的な対策とはいえない。
【0007】
そこで、本発明は、紫外光を照射しなくても、内面を洗浄することができる車庫及び、その車庫を付属車庫として備えた建物を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0009】
すなわち、第1の発明では、可視光応答型光触媒を含む光触媒層が表面に設けられた内面を備え、その内面により車両を駐車する駐車スペースが形成されている。
【0010】
この第1の発明によれば、駐車スペース内に蛍光灯等の室内灯が設けられた場合、その室内灯が照射する可視光によって光触媒層に含まれる光触媒が活性化される。この光触媒の活性化により、駐車スペースを形成する内面、すなわち床面、内壁面及び天井面は超親水性を有する。このように超親水性を有する内面を水で濡らせば、内面に付着した汚れの下に水が入り込んで汚れが浮き上がるため、その内面の汚れを水で洗い流せる。したがって、紫外光を照射しなくても、内面を洗浄することができる。
【0011】
第2の発明では、前記内面の汚れ度を検知する内面汚れ検知手段を備えている。
【0012】
この第2の発明によれば、目視という主観的な基準ではなく、内面汚れ検知手段によって内面の汚れ度が検知されるため、内面の汚れ具合を客観的に把握することができる。また、その検知情報を、内面を洗浄する洗浄処理の自動化に利用することも可能となる。
【0013】
なお、汚れ度を示す数値として具体的には、汚れが除去された状態を基準とする色差や反射率の差を採用することができる。
【0014】
第3の発明では、前記駐車スペース内に散水して前記内面を水で濡らす車庫用散水手段を備えている。
【0015】
この第3の発明によれば、車庫用散水手段によって内面が水で濡れるため、その内面に付着した汚れは洗い流される。これにより、車庫外に散水栓が設けられていないような場合でも汚れを洗い流すことができる。また、車庫外の散水栓にホースをつないで散水するといった煩わしさもなくなり、ユーザの利便性を高めることができる。
【0016】
なお、前記車庫用散水手段は、内面に向けて水を噴射する水噴射ノズルや、水を霧状にしたミストを噴射するミスト噴射ノズルを有することが好ましい。そして、これら噴射ノズルは、択一的に設けられるのではなく、組み合わせて設けられるようにしてもよい。
【0017】
また、ミスト噴射ノズルが設けられた場合、前記駐車スペースへの出入り口を開閉する開閉手段が設けられることが好ましい。これにより、ミストを噴射する場合には、開閉手段により出入り口を閉じた状態とすれば、噴射されたミストが車庫外に逃げてしまうことを防止できる。さらに、ミスト噴射ノズルが設けられた場合、前記駐車スペース内の空気を撹拌する撹拌手段が設けられることが好ましい。これにより、噴射したミストを駐車スペース内に均等に充満させることが可能となり、内面全域をむらなく水で濡らして汚れを洗い流すことができる。
【0018】
なお、散水の際にノズルから噴射される水やミストは、温水であることが好ましい。これにより、汚れを浮き上がらせる効果を向上させることができる。
【0019】
第4の発明では、前記内面の汚れ度を検知する内面汚れ検知手段と、前記駐車スペース内に散水して前記内面を水で濡らす車庫用散水手段と、前記車庫用散水手段を制御する車庫用散水制御手段と、を備え、前記車庫用散水制御手段は、前記内面汚れ検知手段によって検知された汚れ度が所定値を超える場合又は所定値以上の場合に散水するように前記車庫用散水手段を制御するようになっている。
【0020】
この第4の発明によれば、汚れの除去が必要となる程度まで内面が汚れているか否かが自動的に判断され、その程度まで汚れていれば自動的に散水処理が実行されて汚れが洗い流される。このような散水処理の自動化により、ユーザの利便性を高めることができる。
【0021】
第5の発明では、前記駐車スペースの人を検出する人検出手段と、前記駐車スペース内に散水して前記内面を水で濡らす車庫用散水手段と、前記車庫用散水手段を制御する車庫用散水制御手段と、を備え、前記車庫用散水制御手段は、前記人検出手段により人が非検出であることを条件として散水するように前記車庫用散水手段を制御するようになっている。
【0022】
この第5の発明によれば、駐車スペース内に人が存在しないことが確認されて始めて散水処理が実行されるため、人が存在していることを看過して散水処理が実行されてしまうことを防止できる。
【0023】
第6の発明では、前記車庫用散水手段は、内面に向けて水を噴射する水噴射ノズルと、水を霧状にしたミストを噴射するミスト噴射ノズルとを有し、前記車庫用散水制御手段は、前記ミスト噴射ノズルによってミストを噴射する予備散水処理の後、前記水噴射ノズルによって水を噴射する本散水処理を実行するように、前記車庫用散水手段を制御するようになっている。
【0024】
この第6の発明によれば、予備散水処理で噴射されたミストが内面に付着してその内面が濡れるため、内面に付着した汚れを浮き上がらせることができる。そのミストが集まってできた水滴が流れることにより、内面の汚れは洗い流される。そして、その後の本散水処理にて、汚れが浮き上がった状態にある内面に向けて水が噴射される。このように段階的に散水されることにより、内面の洗浄効果を高めることができる。
【0025】
第7の発明では、前記駐車スペースに駐車された車両のボディ表面の汚れ度を検知する車両汚れ検知手段と、前記車両のボディ表面に向けて散水して該ボディ表面を水で濡らす車両用散水手段と、前記車両用散水手段を制御する車両用散水制御手段と、を備え、前記車両用洗浄制御手段は、前記車両汚れ検知手段によって検知された汚れ度が所定値を超える場合又は所定値以上の場合に散水するように前記車両用散水手段を制御するようになっている。
【0026】
この第7の発明によれば、車両用散水手段により、駐車された車両のボディ表面を車庫内で水で濡らして洗浄することができる。特に、ボディ表面に光触媒(紫外光応答型、可視光応答型を問わない。)がコーティングされた車両であれば、ボディ表面の光触媒は太陽光を浴びて活性化しているため、水で濡らすだけで汚れを洗い流せる。このため、このような光触媒がコーティングされた車両の場合に、特に有効となる。
【0027】
また、汚れの除去が必要となる程度までボディ表面が汚れているか否かが自動的に判断され、その程度まで汚れていれば自動的に散水処理が実行されて汚れが洗い流される。このような散水処理の自動化により、ユーザの利便性を高めることもできる。
【0028】
なお、車両汚れ検知手段においても、その汚れ度を示す数値として具体的には、汚れが除去された状態を基準とする色差や反射率の差を採用することができる。また、車両用散水手段は、ボディ表面に向けて水を噴射する水噴射ノズルや、水を霧状にしたミストを噴射するミスト噴射ノズルを有することが好ましい。そして、これら噴射ノズルは、択一的に設けられるのではなく、組み合わせて設けられるようにしてもよい。さらに、車両用散水手段を前記車庫用散水手段と共通化させてもよい。
【0029】
前述した各車庫の好適な具体例は、建物の一部を利用して設けられた付属車庫である。建物にそのような付属車庫を備えることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態では、建物の一部を利用して設けられた付属車庫として具体化されている。
【0031】
最初に、付属車庫の基本的構成を、図1に基づいて説明する。なお、図1は、付属車庫を示す建物の縦断面図である。
【0032】
図1に示されているように、建物10にはその一階部分に、付属車庫11が設けられている。付属車庫11は、壁部21によって一階部分の居室や屋外と区画され、境界部22によって二階部分と区画されている。なお、壁部21及び境界部22は、周知のごとく下地材や仕上げ材等の各部材によって複合的に構成されている。
【0033】
付属車庫11には、その内面23、すなわち床面23a、内壁面23b及び天井面23cによって例えば1台の車両Vが駐車可能となる駐車スペースが形成されている。なお、本実施の形態では、駐車スペース以外のスペース(例えば、作業スペース等)が設けられていないため、付属車庫11内の全域が駐車スペースとなっている。このため、付属車庫11を形成する内面23は、駐車スペースを形成する内面23でもある。
【0034】
建物10の一階部分には、付属車庫11への出入り口12が設けられいる。その出入り口12を介して付属車庫11に車両Vが出入りするようになっている。出入り口12には、その出入り口12を開閉する開閉手段としてのシャッタ31が設けられている。シャッタ31は、例えば境界部22の出入り口12側に設けられたシャッタ駆動部32により、開閉駆動されるようになっている。
【0035】
付属車庫11の天井面23cには、照明装置33が設けられている。照明装置33は蛍光灯や白熱球等であって調光可能な照明器具、及び調光器等から構成される周知のものである。この照明装置33により、付属車庫11内が照らされるようになっている。照明装置33にはその照明装置33を点灯又は消灯させる点灯スイッチや、調光(出力のアップ又はダウン)するための調光スイッチ等の各種スイッチを備え、それら各種スイッチの操作に基づいて点灯若しくは消灯、又は調光がなされるようになっている。
【0036】
ここで、この実施の形態における車両Vは、そのボディ表面に光触媒がコーティングされたものを想定している、光触媒は光(紫外光や可視光)によって活性化し、その活性化によってボディ表面の強酸化作用や超親水作用といった効果が得られる周知のものである。光触媒としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、適宜のものを用いることが可能であるが、その中でも酸化チタンを用いることが好ましい。
【0037】
次に、この付属車庫11は、その内面23や駐車された車両Vを洗浄するための特徴的構成を備えている。その構成は、付属車庫11の内面23に設けられた光触媒層24、内壁面23bの汚れを検知する汚れ検知システム40及び付属車庫11内に散水する散水システム50を有している。それらの各構成を図1に基づいて説明する。
【0038】
まず、光触媒層24は可視光応答型光触媒が含まれた層であり、付属車庫11の内面23の全域にわたって設けられている。なお、図1では、光触媒層24の存在を強調するために実際より厚く図示されている。以後、付属車庫11の内面23とは、この光触媒層24を表面に有する内面23を意味するものとする。
【0039】
この光触媒層24は、例えば、可視光応答型光触媒が含まれたコーティング材が内面23に塗布されることによって形成されている。可視光応答型光触媒は、前述した光触媒の中でも、蛍光灯や白熱球等の室内灯から照射される可視光によって活性化する光触媒であり、得られる効果は前述した通りである。可視光応答型光触媒としては、例えば、酸化チタンを窒素(N)ドープや硫黄(S)ドープしたもの等、適宜のものを用いることが可能である。
【0040】
内面汚れ検知手段又は車両汚れ検知手段としての汚れ検知システム40は、案内レール41、移動体42及び汚れ検知装置43を備え、内壁面23bに設けられている。なお、説明の便宜上、内壁面23bのうち、出入り口12側からみた左壁面にのみこの汚れ検知システム40が設けられているものする。
【0041】
案内レール41は、出入り口12側から奥側に向けて水平方向に延びるように設けられ、付属車庫11の内壁面23bの上下中央部よりも床面23a側寄りに配置されている。案内レール41には、同案内レール41の延びる方向(水平方向)に沿って移動可能な移動体42が設けられている。移動体42は、移動体駆動部44により、出入り口12側又は奥側のいずれか一方の側に配置された待機位置から、他方の側まで駆動される。移動体駆動部44は、例えば壁部21内に設けられている。移動体駆動部44の具体的構成としては、移動体42をワイヤで引っ張る等の従来公知の機械的構成を適宜採用することが可能であり、その詳細な説明は省略する。
【0042】
移動体42には、付属車庫11の内壁面23bと接近した状態で、汚れ検知装置43が設けられている。このため、案内レール41に沿って移動体42が移動すれば、汚れ検知装置43もその移動体42と一体になって水平方向に沿って移動する。汚れ検知装置43には、色差計45が設けられている。色差計45は、計測対象に照射した光の反射光から計測対象の色を数値化し(例えば、L*a*b*表色系)、基準とする色の数値との差(色差)を検出する計測機器である。この色差計45により検出される色差が、汚れ度を示す数値となる。
【0043】
色差計45は照射部、及び反射光受光部を備えた一対の計測部と、基準色の数値を記憶する記憶部とを備えている。各計測部は、付属車庫11の内壁面23b側と、その反対側とに向けてそれぞれ設けられている。このため、内壁面23b側の計測部により内壁面23bが計測され、付属車庫11内に車両Vが駐車された状態では、内壁面23bと反対側に設けられた計測部により車両Vのボディ表面も計測される。また、ここでは、汚れが除去された状態にある内壁面23b及び車両Vのボディ表面の色が基準色となっており、その色の数値が予め記憶部に記憶されている。
【0044】
したがって、汚れ検知装置43の色差計45により、内壁面23bについて汚れが除去された状態との色差が検出される。そして、汚れ検知装置43が移動体42の移動とともに移動すれば、汚れ検知装置43が設けられた高さ位置で、水平方向に沿ってその色差が順次検出される。また、付属車庫11内に車両Vが駐車された状態では、汚れ検知装置43により、車両Vのボディ表面について汚れが除去された状態との色差も検出される。そして、汚れ検知装置43が移動体42の移動とともに移動すれば、汚れ検知装置43が設けられた高さ位置で、水平方向に沿ってその色差が順次検出される。
【0045】
なお、汚れ検知装置43により色差が検出される範囲は、内壁部23bや車両Vのボディ表面の中でも、その汚れ検知装置43が配置された上下方向の位置、すなわち、上下中央部よりも床面23a側寄りの位置と、その位置における水平方向の移動範囲に限定される。もっとも、その床面23a寄りの位置は内壁面23bやボディ表面の中で、比較的汚れが付着しやすい位置である。このため、前述した検出範囲の汚れ度を検出することにより、内面23全体の汚れ度を概ね把握することが可能である。
【0046】
車庫用散水手段又は車両用散水手段としての散水システム50は、ミスト噴射ノズル51、散水用配管52及び散水バルブ53を備えている。ミスト噴射ノズル51は供給された水を霧状にしたミストを噴射するノズルであり、付属車庫11の天井面23cに複数設けられている。なお、付属車庫11内にミストを効率よく充満させるには、本実施の形態のように、複数のミスト噴射ノズル51が設けられるとよい。
【0047】
ミスト噴射ノズル51には、同噴射ノズル51に水を供給する散水用配管52が接続されている。散水用配管52は建物10の水回り設備に水を供給するための配管から分岐して設けられ、壁部21や境界部22の内部に設けられている。この散水用配管52には、散水バルブ53が設けられている。散水バルブ53は電磁弁等によって構成される周知のものである。そして、散水バルブ53が開かれた状態では、ミスト噴射ノズル51に水が供給されるため、同噴射ノズル51から付属車庫11内にミストが噴射される。一方、散水バルブ53が閉じられた状態では、ミスト噴射ノズル51への水供給が停止されるため、同噴射ノズル51からミストは噴射されないようになっている。
【0048】
なお、ミスト噴射ノズル51に供給される水は、上水道の水を直接供給してもよいし、給湯設備を利用して暖められた温水であってもよい。また、ポンプによって加圧された水がミスト噴射ノズル51に供給されるようにしてもよい。
【0049】
そして、付属車庫11の天井面23cには撹拌手段としてのファン装置54が設けられ、ミストが噴射されるとともにそのファン装置54も駆動されるようになっている。このファン装置54が駆動されることにより、噴射されたミストが空気とともに撹拌され、付属車庫11内で均一に広がる。
【0050】
このように付属車庫11内にはミストが噴射されることから、計測機器である色差計45が設けられた汚れ検知装置43には防水処理が施されている。また、付属車庫11の床面23aには排水設備55が設けられており、ミストの噴射により床面23aに溜まった水が排出されるようになっている。
【0051】
また、上記各構成の他、本実施の形態の付属車庫11には、車両Vを検出する車両検出センサ61、及び人を検出する人検出手段としての人検出センサ62が設けられている。車両検出センサ61は、例えば奥側の内壁面23bに設けられた距離センサであり、付属車庫11の所定位置に車両Vが駐車されると、車両検出センサ34によりその車両Vが検出されるようになっている。また、人検出センサ62は、例えば天井面23cに設けられた人感センサであり、この人検出センサ62により付属車庫11内に存在する人が検出されるようになっている。
【0052】
次に、以上の構成をもとに付属車庫11の内面23や車両Vのボディ表面を洗浄するための制御を行う制御システムを、図2に基づいて説明する。なお、図2は、本制御システムを示すブロック図である。
【0053】
図2に示されているように、本制御システムは車庫用散水制御手段又は車両用散水制御手段としてのコントローラ71を備えている。コントローラ71はシステム全体の制御を司るもので、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成されている。コントローラ71は、ROMやRAM等からなる記憶装置72を備えている。システムの制御プログラムや、制御の基準となる情報等が予め記憶されているとともに、コントローラ71に入力される各種情報が一時的に記憶されるようになっている。
【0054】
コントローラ71は、例えば付属車庫11の内壁面23bに設けられた操作装置73と一体的に設けられている。操作装置73は、付属車庫11の洗浄処理を開始させる車庫洗浄ボタンや、車両Vの洗浄処理を開始させる車両洗浄ボタン等の各種ボタンが設けられている。そして、住人等、建物10のユーザによるボタン操作に基づいて、コントローラ71は要求された制御を実行するようになっている。
【0055】
また、コントローラ71には、前述した汚れ検知装置43、車両検出センサ61及び人検出センサ62が接続されている。そして、コントローラ71には汚れ検知装置43から内壁面23bや車両Vの色差情報が、車両検出センサ61から車両Vの検出情報が、人検出センサ62から人の検出情報が、それぞれ随時入力されるようになっている。
【0056】
さらに、コントローラ71には、前述したシャッタ駆動部32、照明装置33、移動体駆動部44、散水バルブ53及びファン装置54が接続されている。そして、このコントローラ71から出力される制御信号により、シャッタ31の開閉、照明装置33の調光、移動体42の移動、散水バルブ53の開閉、ファン装置54の駆動がそれぞれ個別に制御されるようになっている。ここで、照明装置33は前述したように点灯スイッチ等の操作によっても点灯若しくは消灯、又は調光されるようになっている。そのようなスイッチ操作に基づく点灯時間を含め、照明装置33が点灯して付属車庫11内を照らしている時間(照射時間)の履歴が記憶装置72に記憶される。
【0057】
次に、コントローラ71によって、付属車庫11の内面23を洗浄する制御、及び車両Vのボディ表面を洗浄する制御の流れを、図3及び図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、図3は、付属車庫の内面を洗浄する処理の流れが示されており、図4は、車両のボディ表面を洗浄する処理の流れが示されている。
【0058】
まず、付属車庫11の内面23を洗浄する車庫洗浄処理を、図3のフローチャートに基づいて説明する。コントローラ71は、建物10のユーザによって操作装置73の車庫洗浄ボタンが操作されることにより、この処理を開始する。
【0059】
図3に示されているように、ステップS11にて、車両検出センサ61によって車両Vが検出されたか否かを判定する。付属車庫11内に車両Vが駐車されていないため、車両Vが検出されていない場合は、判定を否定して次のステップS12に進む。ステップS12では、人検出センサ62によって人が検出されたか否かを判定する。付属車庫11内に人が存在しないため、人が検出されていない場合は、判定を否定して次のステップS13に進む。すなわち、付属車庫11内に車両Vも人も存在しない場合に限り、ステップS13に進むことになる。
【0060】
一方、先のステップS11にて、付属車庫11内に車両Vが駐車されているため、車両Vが検出されている場合、及びステップS12にて、付属車庫11内に人が存在するため、人が検出されている場合、それぞれ判定を肯定してステップS14に進む。ステップS14では警告処理を実行し、その後、本処理を終了する。警告処理では、車両Vが検出された旨、又は人が検出された旨を、ユーザに対し音声等を利用して警告を発する。これにより、付属車庫11内から車両Vを出庫させること、付属車庫11内から人を退出させることを促す。
【0061】
なお、車両Vが検出された場合に洗浄処理を終了するのは、車両Vの存在が洗浄処理の支障となるからである。例えば、車両Vが存在すると、ミスト噴射ノズル51から噴射されるミストを付属車庫11の床面23aまで行き渡らせることかが困難となる。また、人が検出された場合に洗浄処理を終了するのは、ミストの噴射によって人が濡れてしまうことを予め防止するためである。
【0062】
ステップS13に進むと、そこでは汚れ検知処理を実行する。汚れ検知処理では、移動体駆動部44を制御して移動体42を待機位置から水平方向に移動させる。移動体42の移動に伴い、内壁面23bについて現状と汚れが除去された状態との色差が汚れ検知装置43によって検出される。続くステップS15にて、色差が所定値以上の場合(例えば、Eab≧3.0の場合)に判定を肯定してステップS16に進む。一方、所定値より小さい場合、洗浄する程度まで汚れていないため、判定を否定して本処理を終了する。なお、色差が所定値を超える場合に判定を肯定し、所定値以下の場合に判定を否定するようにしてもよい。
【0063】
ステップS16では、光触媒層24に含まれる可視光型光触媒が所定の活性化状態にあるか否かを判定する。具体的には、記憶装置72に記憶された照明装置33の照射時間を読み出し、照明装置33によって付属車庫11内が所定時間照らされていたか否かを判定する。この所定時間は、可視光応答型光触媒の活性化による所望の効果を得るまで、その可視光応答型光触媒を活性化させるのに必要な時間であり、用いられる光触媒の種類によって任意に設定される。そして、所定時間照らされていた場合、光触媒層24では可視光応答型光触媒が十分に活性化しているため、判定を肯定してステップS17に進む。一方、照明装置33による照射時間が所定時間に至らない場合、可視光応答型光触媒を十分に活性化させることができていないため、判定を否定してステップS18に進み、光触媒活性化処理を実行する。光触媒活性化処理では、照明装置33に対し、それが消灯していれば点灯させ、さらにその出力をアップさせる等の制御を実行し、可視光応答型光触媒を活性化させる。かかる処理を実行した後、ステップS17に進む。
【0064】
ステップS17では、散水処理を実行する。この散水処理では、最初に、シャッタ31が閉じられた状態にあるか否かを判定し、開かれた状態にある場合はシャッタ駆動部32を制御してシャッタ31を閉じ動作させる。続いて、シャッタ31が閉じた状態で、散水バルブ53を所定時間だけ開動作させる。すると、その所定時間だけ、ミスト噴射ノズル51に水が供給され、ミスト噴射ノズル51からミストが噴射する。それとともに、ファン装置54を駆動させる。これにより、付属車庫11内の空気が撹拌され、付属車庫11内はミストが均一に広がる。
【0065】
ここで、光触媒層24の可視光型光触媒は十分に活性化しているため、その光触媒層24が設けられた付属車庫11の内面23は超親水性を有している。このように超親水性を有する内面23を水で濡らすと、汚れの下に水が入り込んでその汚れを浮き上がらせ、さらには汚れ洗い流すことが可能である。このため、ミスト噴射ノズル51から噴射されて付属車庫11内に広がったミストにより内面23が水で濡らされるとともに、その水によって内面23に付着した汚れが洗い流される。
【0066】
そして、所定時間が経過すれば、散水バルブ53を閉じ動作させるとともに、ファン装置54の駆動を停止させる。これにより、ミスト噴射ノズル51からミストは噴射しなくなる。その後、本処理を終了する。
【0067】
次に、付属車庫11に駐車された車両Vのボディ表面を洗浄する車両洗浄処理を、図4のフローチャートに基づいて説明する。コントローラ71は、ユーザによって操作装置73の車両洗浄ボタンが操作されることにより、この処理を開始する。
【0068】
図4に示されているように、ステップS21にて、車両検出センサ61によって車両Vが検出されたか否かを判定する。付属車庫11内に車両Vが駐車されているため、車両Vが検出されている場合は、判定を肯定して次のステップS22に進む。ステップS22では、人検出センサ62によって人が検出されたか否かを判定する。付属車庫11内に人が存在しないため、人が検出されていない場合は、判定を否定して次のステップS23に進む。
【0069】
一方、先のステップS21にて、付属車庫11内に車両Vが駐車されていないため、車両Vが検出されていない場合、判定を否定してステップS24に進む。また、ステップS22にて、付属車庫11内に人が存在するため、人が検出されている場合、判定を肯定して同じステップS24に進む。ステップS24では警告処理を実行し、その後、本処理を終了する。警告処理では、車両Vが検出されていない旨、人が検出された旨をユーザに対し音声等を利用して警告を発する。
【0070】
ステップS23に進むと、そこでは汚れ検知処理を実行する。汚れ検知処理は前述した通りであるが、この車両洗浄処理では、車両Vのボディ表面について、現状と汚れが除去された状態との色差が汚れ検知装置43によって検出される。続くステップS25にて、色差の判定を行う。この判定も前述した通りである。
【0071】
色差が所定値以上である場合に進んだステップS26では、散水処理を実行する。この散水処理も前述したとおりである。そして、車両Vのボディ表面にコーティングされた光触媒は、車両Vが屋外を走行する際に照射された太陽光によって十分に活性化しているため、車両Vのボディ表面は超親水性を有している。このため、車両Vのボディ表面に付着した汚れは、ミスト噴射ノズル51から噴射されて付属車庫11内に広がったミストによって洗い流される。
【0072】
以上の構成により、本実施の形態によれば、以下に示す有利な効果が得られる。
【0073】
上記実施の形態では、付属車庫11の内面23に設けられた光触媒層24に可視光応答型光触媒が含まれているため、照明装置33によって照射される可視光により、その光触媒を活性化させることができる。そして、その光触媒の活性化により、付属車庫11の内面23は超親水性を有する。このため、ミスト噴射ノズル51から噴射されたミストで内面23を濡らしてその内面23に付着した汚れを洗い流すことができる。したがって、従来技術のように紫外光を照射しなくても、内面23を洗浄することができる。
【0074】
また、光触媒の活性化により、前述した超親水性が得られるだけでなく、強酸化作用も得られる。この強酸化作用によれば、有機物を分解することができる。そのため、排気ガスに含まれる油分等の汚れや臭気の原因となる有機物が内面23で分解されることになり、汚れの付着や臭気の発生を防止できる。その上、抗菌、防カビ効果等も得られる。したがって、光触媒層24が設けられたことにより、内面23が汚れることそれ自体を抑制することもできる。
【0075】
上記実施の形態では、ミストを噴射することによって付属車庫11内に散水する散水システム50が付属車庫11に設けられているため、付属車庫11外に散水栓が設けられていないような場合でも汚れを洗い流すことができる。また、付属車庫11外の散水栓にホースをつないで散水するといった煩わしさもなくなり、ユーザの利便性を高めることができる。
【0076】
上記実施の形態では、付属車庫11の出入り口12にはシャッタ31が設けられ、ミストを噴射する場合にはそのシャッタ31が閉じられるようになっている。このため、出入り口12を介して付属車庫11の外にミストが逃げてしまうことを防止できる。加えて、付属車庫11内に設けられたファン装置54により、空気とともにミストが撹拌されるため、噴射したミストを均等に充満させることが可能となり、内面23の全域をむらなく水で濡らして汚れを洗い流すことができる。
【0077】
上記実施の形態では、汚れが除去された状態を基準とする色差を検出する汚れ検知装置43が設けられ、その汚れ検知装置43によって内壁面23bの汚れ度が検知される。このため、内面23の汚れ具合を客観的に把握することができる。
【0078】
そして、この汚れ検知装置43による検知情報を利用し、汚れ度(色差)が所定値を超える場合又は所定値以上である場合には、コントローラ71によって自動的にミストを噴射する散水処理が実行されるようになっている。このように、汚れの除去が必要となる程度まで内面23が汚れているか否かが自動的に判断され、その程度まで汚れていれば自動的に散水処理が実行されて汚れが洗い流される。このような散水処理の自動化により、ユーザの利便性を高めることができる。
【0079】
上記実施の形態では、人検出センサ62により、付属車庫11内に人が存在するか否かが検出され、人が存在しないことが確認されて初めてミストを噴射する散水処理を実行するようしている。このため、人が存在していることを看過して散水処理が実行されてしまい、人までもが水で濡れてしまうことを防止できる。
【0080】
上記実施の形態では、車両洗浄ボタンが操作された場合、車両Vが駐車されていることは検出されると、ミストが噴射されるようになっており、駐車された車両Vのボディ表面も付属車庫11内で洗浄できる。特に、本実施の形態の車両Vは、ボディ表面に光触媒がコーティングされており、そのボディ表面の光触媒は太陽光を浴びて活性化している。このため、水で濡らすだけで汚れを洗い流せる。
【0081】
また、この場合も、汚れ検知装置43によってボディ表面の汚れ度(色差)が検出される検知情報を利用し、汚れ度が所定値を超える場合又は所定値以上である場合には、コントローラ71によって自動的にミストを噴射する散水処理が実行されるようになっている。汚れの除去が必要となる程度までボディ表面が汚れているか否かが自動的に判断され、その程度まで汚れていれば自動的に散水処理が実行されて汚れが洗い流される。このような散水処理の自動化により、ユーザの利便性を高めることもできる。
【0082】
なお、以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
【0083】
上記実施の形態では、ミストを噴射するミスト噴射ノズル51が付属車庫11の天井面23cに設けられているが、これを床面23aや内壁面23bに設けられるようにしてもよい。ミストを噴射する以上、天井面23cに設けられることは必須ではないからである。また、ファン装置54を省略してもよい。
【0084】
上記実施の形態では、汚れ検知装置43によって検出された色差が所定値を超える場合又は所定値以上である場合に散水処理が実行されるようになっているが、その検出結果にかかわらず散水処理が実行されるようにしてもよい。また、洗浄処理を所望するたびに洗浄ボタンの操作を必要とするのではなく、所定の周期(例えば、一週間)で汚れ検知装置43による色差の検出を実行して散水処理が実行されるようにしてもよい。
【0085】
上記実施の形態では、ミストを噴射するノズルであるミスト噴射ノズル51を用いているが、これに代えて、例えばストレート型の放水ノズル、シャワーノズル、スプリンクラー等の回転型ノズルといった水噴射ノズルが設けられてもよい。このような水噴射ノズルから噴射される水によっても、付属車庫11内に散水したり、車両Vのボディ表面に向けて散水することができる。この場合、ポンプによって加圧された水が水噴射ノズルに供給されるようにすれば、付属車庫11の内面23や車両Vのボディ表面に当たる際の圧力を高めることができるため、洗浄力を高めることができる。
【0086】
上記実施の形態では、散水システム50を構成するノズルはミスト噴射ノズル51だけであるが、前述した水噴射ノズルが併せて設けられてもよい。この場合、水の噴射態様が異なる両噴射ノズルを、適宜使い分けて散水処理を行うことができる。例えば、予備洗浄処理ではミスト噴射ノズル51を用い、その後の本洗浄処理水では水噴射ノズルを用いる。これにより、予備散水処理で噴射されたミストが付属車庫11の内面23に付着してその内面23が濡れるため、内面23の汚れを浮き上がらせることができる。そのミストが集まってできた水滴が流れることにより、内面23の汚れは洗い流される。そして、その後の本散水処理にて、汚れが浮き上がった状態にある内面23に向けて水が噴射される。このように段階的に散水されることにより、内面23の洗浄効果を高めることができる。
【0087】
上記実施の形態における散水システム50は必須の構成ではなく、これを省略してもよい。この場合、付属車庫11の外に設けられた散水栓にホースをつなぎ、ユーザ自身が付属車庫11の内面23や車両Vに水をかけるようにすればよい。
【0088】
上記実施の形態では、汚れ検知装置43に色差計45が設けられ、それによって検出された色差を汚れ度を示す数値として用いたが、それに代えて、例えば、反射率の差を用いてもよい。この場合も、汚れが除去された状態にある内壁面23b及び車両Vのボディ表面の反射率が基準となっており、その反射率との差によって汚れ度が検出される。
【0089】
上記実施の形態では、内壁面23bのうち左壁面にだけ汚れ検知システム40が設けられているが、その汚れ検知システム40が他の壁面に設けられてもよいし、床面23aや天井面23cに設けられてもよい。これにより、広範囲にわたって汚れ度を検出することができる。また、汚れ検知システム40の構成も、例えば汚れ検知装置43を伸縮自在なアームによって支持し、汚れ度を検出する場合にはそのアームを伸長させて汚れ検知装置43を測定位置に配置する等、周知の技術を利用して各種の機械的構成を採用することができる。
【0090】
さらに、汚れ検知システム40は必須の構成ではなく、これを省略してもよい。この場合、ハンディタイプの色差計等を用いてユーザ自身により汚れ度を検出したり、ユーザが目視したりして、洗浄が必要な場合と判断すればユーザの操作により散水システム50を稼動させるようにすればよい。
【0091】
上記実施の形態では、付属車庫11の内面23に光触媒層24が設けられているが、その光触媒層24を省略した構成を採用してもよい。この構成によっても、前述した車両洗浄処理を実行することができる。
【0092】
上記実施の形態では、建物10の一部を利用して設けられた付属車庫11を車庫の例として示されているが、建物10とは独立して設けられた車庫であってもよい。
【0093】
なお、課題を解決するための手段において記載された技術的思想のほかに、上記実施の形態から把握される技術的思想をその効果とともに以下に示す。括弧内には上記実施の形態における具体的手段を示している。
【0094】
(1)ボディ表面に光触媒がコーティングされた車両(車両V)が駐車される車庫(付属車庫11)であって、
前記車両を駐車する駐車スペース内に散水する散水手段(散水システム50)を備えた車庫。
【0095】
この構成によれば、車庫に駐車された車両のボディ表面を水で濡らして洗浄することができる。特に、ボディ表面に光触媒がコーティングされた車両であれば、ボディ表面の光触媒は太陽光を浴びて活性化しているため、水で濡らすだけで汚れを洗い流せる。
【0096】
(2)駐車された車両のボディ表面の汚れ度を検知する車両汚れ検知手段(汚れ検知システム40)と、
前記散水手段を制御する制御手段(コントローラ71)と、
を備え、
前記制御手段は、前記車両汚れ検知手段によって検知された汚れ度が所定値を超える場合又は所定値以上の場合に散水するように前記散水手段を制御する前記(1)に記載の車庫。
【0097】
この構成によれば、汚れの除去が必要となる程度までボディ表面が汚れているか否かが自動的に判断され、その程度まで汚れていれば自動的に散水処理が実行されて車両の汚れが洗い流される。このような散水処理の自動化により、ユーザの利便性を高めることもできる。
【0098】
(3)可視光応答型光触媒を含む光触媒層(光触媒層24)が表面に設けられた内面(内面23)を備え、その内面により前記駐車スペースが形成された前記(1)又は(2)に記載の車庫。
【0099】
この構成によれば、駐車スペース内に蛍光灯等の室内灯を設ければ、その室内灯が照射する可視光によって光触媒層に含まれる光触媒が活性化されるため、駐車スペースを形成する内面、すなわち床面、内壁面及び天井面は超親水性を有する。前記散水手段により駐車スペース内を散水すれば、超親水性を有する内面も水で濡れるため、車両のボディ表面とともに車庫の内面の汚れも同時に水で洗い流せる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】付属車庫を示す建物の縦断面図。
【図2】制御システムのブロック図。
【図3】付属車庫の内面を洗浄する処理を示すフローチャート。
【図4】車両のボディ表面を洗浄する処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0101】
11…付属車庫(車庫)、23…内面、24…光触媒層、40…汚れ検知システム(内面汚れ検知手段、車両汚れ検知手段)、50…散水システム(車庫用散水手段、車両用散水手段)、51…ミスト噴出ノズル、62…人検出センサ(人検出手段)、71…コントローラ(車庫用散水制御手段、車両用散水制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光応答型光触媒を含む光触媒層が表面に設けられた内面を備え、その内面により車両を駐車する駐車スペースが形成されたことを特徴とする車庫。
【請求項2】
前記内面の汚れ度を検知する内面汚れ検知手段を備えた請求項1に記載の車庫。
【請求項3】
前記駐車スペース内に散水して前記内面を水で濡らす車庫用散水手段を備えた請求項1又は2に記載の車庫。
【請求項4】
前記内面の汚れ度を検知する内面汚れ検知手段と、
前記駐車スペース内に散水して前記内面を水で濡らす車庫用散水手段と、
前記車庫用散水手段を制御する車庫用散水制御手段と、
を備え、
前記車庫用散水制御手段は、前記内面汚れ検知手段によって検知された汚れ度が所定値を超える場合又は所定値以上の場合に散水するように前記車庫用散水手段を制御する請求項1に記載の車庫。
【請求項5】
前記駐車スペースの人を検出する人検出手段と、
前記駐車スペース内に散水して前記内面を水で濡らす車庫用散水手段と、
前記車庫用散水手段を制御する車庫用散水制御手段と、
を備え、
前記車庫用散水制御手段は、前記人検出手段により人が非検出であることを条件として散水するように前記車庫用散水手段を制御する請求項1に記載の車庫。
【請求項6】
前記車庫用散水手段は、内面に向けて水を噴射する水噴射ノズルと、水を霧状にしたミストを噴射するミスト噴射ノズルとを有し、
前記車庫用散水制御手段は、前記ミスト噴射ノズルからミストを噴射する予備散水処理の後、前記水噴射ノズルから水を噴射する本散水処理を実行するように、前記車庫用散水手段を制御する請求項4又は5に記載の車庫。
【請求項7】
前記駐車スペースに駐車された車両のボディ表面の汚れ度を検知する車両汚れ検知手段と、
前記車両のボディ表面に向けて散水して該ボディ表面を水で濡らす車両用散水手段と、
前記車両用散水手段を制御する車両用散水制御手段と、
を備え、
前記車両用洗浄制御手段は、前記車両汚れ検知手段によって検知された汚れ度が所定値を超える場合又は所定値以上の場合に散水するように前記車両用散水手段を制御する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車庫。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車庫は建物の一部を利用して設けられた付属車庫であり、その付属車庫を備えた建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−144395(P2009−144395A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322373(P2007−322373)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】