説明

車椅子昇降機

【課題】車両に積み込む作業および車両から降ろす作業を簡単に行うことのできる車椅子昇降機を提案すること。
【解決手段】車椅子昇降機2は4本の油圧シリンダ11〜14によって水平に昇降する昇降台10を備え、前側油圧シリンダ11、12の外周面には前側キャスタ22、23および24、25が取り付けられ、前側キャスタ22、23の間、前側キャスタ24、25の間には把手として機能するループ状のロープ26、27が取り付けられている。左右のロープ26、27を握って車椅子昇降機2を車両の床41に引き上げると、前側キャスタ23、25が床後端縁に当たり、これらを支点として車椅子昇降機2が前方に倒れて水平になる。この後は、前側キャスタ22〜25によって車椅子昇降機2が支持された状態になるので、敷板3の上面3aに沿って簡単に車椅子昇降機2を車両室内に押し込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワゴン車、ワンボックス車の荷台に、人を乗せたままの車椅子を乗り降りさせるために用いる車椅子昇降機に関する。さらに詳しくは、ワゴン車、ワンボックス車の荷台、室内への積み込み作業、そこからの積み下ろし作業を簡単に行うことのできる車椅子昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
自立歩行が困難な身障者などの人を車で運搬する手段として、車椅子専用の昇降機付きの介護タクシーなどの専用車が知られている。しかし、専用車は非常に高価であるので、一般のワゴン車、ワンボックス車に、人を乗せたままの車椅子を載せるために用いる車椅子昇降機が提案されている。特許文献1〜3には、このような車椅子昇降機が提案されている。
【特許文献1】特開平06−100175号公報
【特許文献2】特開平10−182082号公報
【特許文献3】特開2001−114109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、車椅子昇降機を用いる場合には、車椅子昇降機も車の荷台に積載して車椅子と一緒に運搬し、目的地において車椅子昇降機を荷台から降ろし、しかる後に車椅子を荷台から車椅子昇降機に載せて地面まで降ろす必要がある。車椅子の昇降動作は、油圧式、電動式の昇降機構によって行われるが、車椅子昇降機を荷台に積み込む作業、降ろす作業は人力により行われる。車椅子昇降機を車に積載し、車から降ろす作業は力仕事であり、特に、女性、老人などにとっては困難である。
【0004】
しかしながら、従来においては、車椅子昇降機を既存のワゴン車等に積み込む作業、そこから降ろす作業を簡単に行うための工夫は何ら提案されていない。
【0005】
本発明の課題は、この点に鑑みて、車に積み込む作業、および車から降ろす作業を簡単に行うことができるようにした車椅子昇降機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の車椅子昇降機は、
車椅子を昇降させるための昇降台、および、当該昇降台を水平に保持したまま昇降させるための昇降機構を備えた昇降ユニットと、
この昇降ユニットを正立姿勢で移動させるために、当該昇降ユニットの底部に取り付けた底側転動輪と、
前記昇降ユニットを前方に倒した姿勢で移動させるために、当該昇降ユニットの前面側の部位に取り付けた前側転動輪と、
前記昇降ユニットの前面側の部位に取り付けた把手とを有していることを特徴としている。
【0007】
本発明の車椅子昇降機をワゴン車などに載せる作業は次のように行うことができる。車椅子昇降機を車両の後端に寄せ、車椅子昇降機の左右の把手を持ち、車椅子昇降機を前方に倒して車室内の床の後端に載せる。車椅子昇降機を前に倒しながら床に引き上げる。車両の床に引き上げられて前方に倒れた車椅子昇降機は前側転動輪によって支持された状態になるので、簡単に前方に滑走させて室内の所定位置に収納できる。車椅子昇降機を車両から降ろす場合には、前側転動輪によって支持されている前倒れ姿勢の車椅子昇降機を後方に滑走させ、後方に起こして左右の把手を掴み、車両の床の後端縁に沿って下方に滑り落とす。車椅子昇降機の底側転動輪が地面に付いた後は、車椅子昇降機を後方に押して起こせばよい。このように、前側転動輪および把手を取り付けたことにより、車椅子昇降機を車の荷台に載せる作業、および、そこから地面に降ろす作業を簡単に行うことができる。
【0008】
ここで、昇降機構としては油圧シリンダを用いることができる。この場合には、2本の前側油圧シリンダおよび2本の後側油圧シリンダを垂直に配置し、これらの油圧シリンダに前記昇降台を水平となるように固定し、各油圧シリンダから下方に突出している作動ロッドを伸縮させることにより前記昇降台を昇降させるようにすればよい。
【0009】
また、前記前側油圧シリンダの前記作動ロッドの下端に前記底側転動輪を取り付けておけば、車椅子昇降機の正立姿勢での移動を簡単に行うことができる。さらに、前記後側油圧シリンダの前記作動ロッドの下端に、当該下端からの突出量を調整可能なアジャスタを取り付けておけば、左右のアジャスタの高さを微調整することにより、地面に多少の凹凸があった場合でも昇降台が水平となるように調整できる。
【0010】
さらには、前記前側油圧シリンダにおける前記前面側を向いている部位に、上下方向に一定の間隔を開けて前記前側転動輪を前向きに取り付けておけばよい。
【0011】
次に、前記前側油圧シリンダの間に、前記昇降台の前端縁を中心として前後に旋回可能な状態で当該前端縁に跳ね上げ式渡し板を取り付け、この跳ね上げ式渡し板を、前記昇降台の上面に折り畳まれた折り畳み位置から、前記昇降台の上面から垂直に起立した跳ね上げ位置を経由して、前記昇降台の前方に水平に延びる架け渡し位置まで旋回可能にし、前記跳ね上げ式渡し板と、一方の前記前側油圧シリンダとの間に紐を張架することにより、前記跳ね上げ式渡し板を前記跳ね上げ位置に保持すればよい。昇降台に車椅子を載せた状態では跳ね上げ式渡し板を跳ね上げ位置に保持することにより、車椅子が昇降台から前方に落下することを防止できる。また、昇降台を上昇させて車の荷台と同一高さ位置にした後は、跳ね上げ式渡し板を前方に倒して渡し位置にすれば、昇降台と荷台の床との間の隙間が塞がれるので、昇降台と荷台の間での車椅子の移動を円滑に行うことができる。
【0012】
また、左側の前記前側油圧シリンダと左側の前記後側油圧シリンダの間に、前記昇降台よりも高い位置において水平に左側手摺を架け渡し、右側の前記前側油圧シリンダと右側の前記後側油圧シリンダの間にも、前記昇降台よりも高い位置において水平に右側手摺を架け渡しておけば、昇降台に載せた車椅子が側方から落下することを防止できる。また、左側手摺および前記右側手摺の間に、前記昇降台に載せた車椅子が前記後側油圧シリンダの間から後方に落下することを防止するための落下防止ベルトを架け渡しておくことが望ましい。
【0013】
一方、本発明の車椅子昇降機セットは、
上記構成の車椅子昇降機と、
車両の荷台の床に敷く敷板と、
この敷板に取り付けた左右の連結金具と、
前記車椅子昇降機における左右の前記把手と左右の前記連結金具の間に着脱可能な状態で架け渡される長さ調整可能な左右のベルトとを有していることを特徴としている。
【0014】
本発明では、敷板を、予め、車椅子および車椅子昇降機を搭載するための車両の床に敷いておく。車椅子昇降機を車両に積み込む作業においては、まず、敷板の左右の連結金具と、車椅子昇降機の左右の把手の間に、ベルトをそれぞれ架け渡しておく。次に、車椅子昇降機を車両の床の縁に寄せ、車椅子昇降機の左右の把手を持ち、車椅子昇降機を前方に倒して、その前面側の部位を車両の床の縁に載せ、車椅子昇降機を前に倒しながら床に引き上げる。床に引き上げられて前方に倒れた車椅子昇降機は前側転動輪によって支持された状態になるので、簡単に前方に滑走させて室内の所定の位置に収納できる。
【0015】
前に倒れた状態で車両に積み込まれた後は、ベルトの長さを短くして、車両昇降機を敷板から浮き上がらないように締結しておけばよい。
【0016】
次に、車椅子昇降機を車両から降ろす場合には、ベルトを緩めた後に、前側転動輪によって支持されている前倒れ姿勢の車椅子昇降機を後方に滑走させ、後方に起こして左右の把手を掴み、床の縁に沿って下方に滑り落とす。ベルトが敷板と車椅子昇降機の間に架け渡されているので、車椅子昇降機を後方に押し出した際に、不用意に車椅子昇降機が荷台の後端縁から地面に落下してしまうことを防止できる。
【0017】
車椅子昇降機を床の縁に沿って滑り落とし、その底側転動輪が地面に付いた後は、車椅子昇降機を後方に押して起こせばよい。
【0018】
ここで、敷板は、当該敷板に載せた車椅子の車輪をクランプするためのクランプ機構を備えていることが望ましい。車両に載せた車椅子が前後左右に移動しないように固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車椅子昇降機は、当該車椅子昇降機を正立姿勢の状態で移動させるための底側転動輪に加えて、前方に倒した姿勢の状態で移動させるための前側転動輪を備えている。また、車両に車椅子昇降機を上げ下ろしする際に握るための把手を備えている。したがって、車椅子昇降機を車に載せる作業、および、そこから地面に降ろす作業を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明を適用した車椅子昇降機セットを示す概略斜視図である。車椅子昇降機セット1は、車椅子昇降機2と、車両の荷台あるいは床に敷くための矩形の敷板3と、長さ調整可能な左右のベルト4、5とを有している。敷板3の上面3aには左右にベルト連結用のフック6、7が取り付けられている。
【0022】
車椅子昇降機2は、矩形の昇降台10と、この昇降台10を水平に保持したまま昇降させるための昇降機構とを有している。昇降機構は、昇降台10の四隅に下向き姿勢で垂直に取り付けた4本の油圧シリンダ11〜14と、昇降台10の裏面に取り付けた電動式油圧供給部15と、この電動式油圧供給部15から引き出されている給電用リード線16と、電動式油圧供給部15から引き出されている制御用リード線の先に接続されているリモートコントローラ17とを備えている。これら昇降台10および昇降機構によって昇降ユニットが構成されている。
【0023】
昇降台10の前側の両端に取り付けられている前側油圧シリンダ11、12から下方に垂直に延びている作動ロッド11a、12aの下端には、自在キャスタ18、19が取り付けられている。これらの自在キャスタ18、19は、ロッド中心軸線および水平軸線回りに回転自在である。昇降台2の後側の両端に取り付けられている後側油圧シリンダ13、14から下方に垂直に延びている作動ロッド13a、14aの下端には、円盤状の接地板を備えたアジャスタ20、21が取り付けられており、アジャスタ20、21を回すことにより、それらの高さを微調整できるようになっている。
【0024】
前側油圧シリンダ11の外周面における前方を向いている部位には、2個の前側キャスタ22、23が上下に一定の間隔を開けて取り付けられている。同様に、他方の前側油圧シリンダ12の外周面における前方を向いている部位にも、2個の前側キャスタ24、25が取り付けられている。また、前側油圧シリンダ11における前側キャスタ22、23の間には、把手として機能するループ状のロープ26が取り付けられており、前側油圧シリンダ12における前側キャスタ24、25の間にも、把手として機能するループ状のロープ27が取り付けられている。左右のロープ26、27には、左右のベルト4、5の端がナスカンなどの脱着可能な連結金具を介して連結可能となっている。
【0025】
次に、前側油圧シリンダ11、12の間には、昇降台10の前端縁10aを中心として前後に旋回できるように、左右の蝶番31、32によって、横長の長方形の跳ね上げ式渡し板33が前端縁10aに取り付けられている。この跳ね上げ式渡し板33は、昇降台2の上面10bに折り畳まれた折り畳み位置から、昇降台10の上面10bから垂直に起立した跳ね上げ位置を経由して、昇降台10の前方に水平に延びる架け渡し位置までの180度の範囲内を旋回可能である。また、跳ね上げ式渡し板33の幅方向の中央部位と、左側の前側油圧シリンダ11との間には紐34が架け渡されている。紐34を張架することにより、跳ね上げ式渡し板33を跳ね上げ位置に保持することが可能である。
【0026】
次に、左側の前側油圧シリンダ11と左側の後側油圧シリンダ13の間には、昇降台2よりも高い位置において水平に左側手摺35が架け渡されている。同様に、右側の前側油圧シリンダ12と右側の後側油圧シリンダ14の間にも、昇降台2よりも高い位置において水平に右側手摺36が架け渡されている。また、左側手摺35および右側手摺36の間には、昇降台2に載せた車椅子が後側油圧シリンダ13、14の間から後方に落下することを防止するための落下防止ベルト37が架け渡されている。
【0027】
本実施の形態の車椅子昇降機2は、その昇降機構として電動油圧シリンダを用いている。電動油圧シリンダは、電流消費量の少ないACモータを備えたものを用いることが望ましい。この場合には、DC12Vの車載電源をインバータを介してDA変換してACモータの駆動電流として用いることができる。油圧シリンダは300W程度で300kg程度の荷重を昇降可能である。
【0028】
昇降機構としては、電動式の代わりに足踏み式の油圧ジャッキを用いることもできる。また、チェーン式昇降機構、ラック・ピニオンとギヤードモータの組み合わせからなる昇降機構を用いることができる。さらに、従来技術の欄で引用した特許文献1〜3に記載されているようなパンタグラフ式のリンク機構からなる昇降機構を用いることも可能である。
【0029】
(車椅子を車両に載せる作業)
車両としては一般的なワゴン車、ワンボックス車を用いることができる。図2に示すように、車両40の室内の床41には予め敷板3を敷いておく。
【0030】
車椅子50を車両40に載せる作業は次の手順により行う。車椅子昇降機2を車両40の後側の地面Gに置き、その昇降台10を最下降位置にしておく。また、跳ね上げ式渡し板33を跳ね上げ位置に立て紐34で保持しておく。人Pを乗せた車椅子50を昇降台10に載せた後は、落下防止ベルト37を車椅子50の後側に掛け、車椅子50が昇降台10の後端縁から落下しないようにする。この状態でリモートコントローラ17を操作して昇降台10を、車両40の室内の床41とほぼ同一高さ位置まで上昇させる。
【0031】
しかる後に、紐34を解き、跳ね上げ式渡し板33を前方に水平に倒す(渡し位置)。これにより、車両の床41と昇降台10の隙間に車椅子50の車輪51、52が嵌り込むことなく、円滑に車椅子50を車両室内に押し込むことができる。室内に入れた車椅子50は敷板3の前端まで押し込む。
【0032】
ここで、車両40に乗せた車椅子50を前後左右に移動しないように固定するためには、例えば、敷板3の前端側の部位にフックを取り付けておき、ここにベルトの後端を連結する。ベルトの先端に取り付けられているベルト側フックを車椅子の車輪の下端部分に架け渡し、ベルトを強く締め付けて車輪を敷板に固定する。また、車輪51を確実に固定するためには、例えば、面ファスナなどの固定具あるいはクランパを敷板に取り付けておき、これで車輪51を固定すればよい。さらには、敷板に車椅子50の前側車輪52用のストッパを取り付けておいてもよい。
【0033】
(車椅子昇降機の車載方法)
車椅子50を載せた後には、次のようにして、車椅子昇降機2を車両40に載せることができる。
【0034】
まず、図3に示すように、敷板3の連結金具6、7に後端が連結されている左右のベルト4、5を後方に引き出して、ナスカンなどの金具を利用して、これらのベルト4、5の先端を、車椅子昇降機2の前側油圧シリンダ11、12のロープ26、27に架ける。次に、左右のロープ26、27を握って、車椅子昇降機2を車両40の床41に引き上げる。左右のロープ26、27を摘むことにより、簡単に車椅子昇降機2を車両40内に引き上げることができる。
【0035】
図4に示すように、車椅子昇降機2を引き上げて前方に倒すと、左右の前側油圧シリンダ11、12に取り付けられている下側の位置している左右の前側キャスタ23、25が車両床面41の後端縁に当たり、これらを中心として車椅子昇降機2が前方に倒れて横向き状態になる。この結果、前側キャスタ22、23および24、25によって、昇降台10および昇降機構からなる昇降ユニットが前方に水平に倒れた姿勢で支持された状態になる。この後は、図5に示すように、これらのキャスタによって車椅子昇降機2を敷板3の上面3aに沿って簡単に前方に滑走させることができる。
【0036】
車椅子昇降機2を前方に押し込んだ後は、左右のベルト4、5を締め付けて、車椅子昇降機2が移動しないように固定する。
【0037】
次に、車両40に載せた車椅子昇降機2を降ろす作業は次のようにすればよい。図6に示すように、ベルト4、5を緩めた後に車椅子昇降機2を敷板3の上面3a上を後方に引き出す。下側に位置している前側キャスタ23、25が床41の後端縁に到達した後は、これらを支点として、車椅子昇降機2を後方に倒す。この結果、車椅子昇降機2の前側油圧シリンダ11、12の自在キャスタ18、19が地面Gに付き、しかる後に後側油圧シリンダ13、14の下端を地面Gに付けることができる。この作業において、左右のベルト4、5を適切な長さに設定しておけば、車椅子昇降機2が勢い良く後方に倒れて地面に衝突してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を適用した車椅子昇降機セットを示す説明図である。
【図2】図1の車椅子昇降機セットを用いて車椅子を車両に載せる作業手順を示す説明図である。
【図3】車椅子昇降機を車両に載せる作業手順の始めの工程を示す説明図である。
【図4】車椅子昇降機を車両に載せる作業手順の途中の工程を示す説明図である。
【図5】車椅子昇降機を車両に載せる作業手順の終わりの工程を示す説明図である。
【図6】車椅子昇降機を車両から降ろす作業手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 車椅子昇降機セット
2 車椅子昇降機
3 敷板
3a 上面
4、5 ベルト
6、7 連結金具
10 昇降台
10a 前端縁
11、12 前側油圧シリンダ
13、14 後側油圧シリンダ
11a〜14a 作動ロッド
15 電動式油圧供給部
16 給電用リード線
17 リモートコントローラ
18、19 自在キャスタ
20、21 アジャスタ
22〜25 前側キャスタ
26、27 ロープ
31、32 蝶番
33 跳ね上げ式渡し板
34 紐
35 左側手摺り
36 右側手摺り
40 車両
41 床
50 車椅子
51 車輪
G 地面
P 人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子を昇降させるための昇降台、および、当該昇降台を水平に保持したまま昇降させるための昇降機構を備えた昇降ユニットと、
この昇降ユニットを正立姿勢で移動させるために、当該昇降ユニットの底部に取り付けた底側転動輪と、
前記昇降ユニットを前方に倒した姿勢で移動させるために、当該昇降ユニットの前面側の部位に取り付けた前側転動輪と、
前記昇降ユニットの前面側の部位に取り付けた把手とを有していることを特徴とする車椅子昇降機。
【請求項2】
請求項1に記載の車椅子昇降機において、
前記昇降機構は、垂直に配置された2本の前側油圧シリンダおよび2本の後側油圧シリンダを有し、これらの油圧シリンダに前記昇降台が水平に固定されており、
各油圧シリンダから下方に突出している作動ロッドを伸縮させることにより前記昇降台を昇降させることを特徴とする車椅子昇降機。
【請求項3】
請求項2に記載の車椅子昇降機において、
前記前側油圧シリンダの前記作動ロッドの下端には前記底側転動輪が取り付けられており、
前記後側油圧シリンダの前記作動ロッドの下端には、当該下端からの突出量を調整可能なアジャスタが取り付けられていることを特徴とする車椅子昇降機。
【請求項4】
請求項3に記載の車椅子昇降機において、
前記前側油圧シリンダにおける前記前面側を向いている部位には、上下方向に一定の間隔を開けて前記前側転動輪が前向きに取り付けられていると共に、前記把手が取り付けられていることを特徴とする車椅子昇降機。
【請求項5】
請求項4に記載の車椅子昇降機において、
前記前側油圧シリンダの間には、前記昇降台の前端縁を中心として前後に旋回可能な状態で当該前端縁に跳ね上げ式渡し板が取り付けられており、
この跳ね上げ式渡し板は、前記昇降台の上面に折り畳まれた折り畳み位置から、前記昇降台の上面から垂直に起立した跳ね上げ位置を経由して、前記昇降台の前方に水平に延びる架け渡し位置まで旋回可能であり、
前記跳ね上げ式渡し板と、一方の前記前側油圧シリンダとの間に紐を張架することにより、前記跳ね上げ式渡し板が前記跳ね上げ位置に保持されることを特徴とする車椅子昇降機。
【請求項6】
請求項5に記載の車椅子昇降機において、
左側の前記前側油圧シリンダと左側の前記後側油圧シリンダの間には、前記昇降台よりも高い位置において水平に左側手摺が架け渡されており、
右側の前記前側油圧シリンダと右側の前記後側油圧シリンダの間にも、前記昇降台よりも高い位置において水平に右側手摺が架け渡されており、
前記左側手摺および前記右側手摺の間には、前記昇降台に載せた車椅子が前記後側油圧シリンダの間から後方に落下することを防止するための落下防止ベルトが架け渡されていることを特徴とする車椅子昇降機。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の車椅子昇降機と、
車両の荷台あるいは車両室内の床に敷く敷板と、
この敷板に取り付けた左右の連結金具と、
前記車椅子昇降機における左右の前記把手と左右の前記連結金具の間に着脱可能な状態で架け渡される長さ調整可能な左右のベルトとを有していることを特徴とする車椅子昇降機セット。
【請求項8】
請求項7に記載の車椅子昇降機セットにおいて、
前記敷板は、当該敷板に載せた車椅子の車輪をクランプするためのクランプ機構を備えていることを特徴とする車椅子昇降機セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−66053(P2009−66053A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235364(P2007−235364)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(594106911)株式会社マスターマインド (12)