説明

車椅子用段差解消機

【目的】 安全であると共に、緊急時でも使用出来る車椅子用段差解消機を提供する。
【構成】 充電器と、この充電器で充電されるバッテリーと、このバッテリーで作動されるモータと、このモータで駆動されるシリンダーと、このシリンダーで駆動される昇降部とよりなり、その昇降部の一側の安全柵6には前後方向に延びる軸10をロック軸受け9により回動および前後動すべく設け、この軸10の前端には安全柵11を、後端には操作ハンドル12を設け、また中間には昇降部の操作用手動スイッチ13を作動するキースイッチ14を隠す操作ハンドル15を設ける。またその昇降部の操作用手動スイッチ13に接続した上昇用回路のリレーの常開接点には前記モータを駆動する回路を接続し、このリレーの常閉接点には前記充電器の充電回路を接続する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は車椅子用段差解消機に関するもので、車椅子が玄関やベランダ等の段差のある部分を通れるように、段差のある部分で昇降させる段差解消機である。
【0002】
【従来の技術】
本願考案者は従来から充電器1と、この充電器1で充電されるバッテリー2と、このバッテリー2で作動されるモータ3と、このモータ3で駆動されるシリンダー4と、このシリンダー4で駆動される昇降部5とよりなる車椅子用段差解消機を製造販売してきた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしこの従来のものは図3示のようにその昇降部5に左右両側に安全柵6,7があるのみで、その前後側には安全柵がなく、危険であった。また充電中には、上記昇降部5を駆動できず、緊急時の脱出には間に合わなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案はかかる従来のものを改良するもので、充電器1と、この充電器1で充電されるバッテリー2と、このバッテリー2で作動されるモータ3と、このモータ3で駆動されるシリンダー4と、このシリンダー4で駆動される昇降部5とよりなり、その昇降部5の一側の安全柵6には前後方向に延びる軸10をロック軸受け9により回動および前後動すべく設け、この軸10の前端には安全柵11を、後端には操作ハンドル12を設け、また中間には昇降部5の操作用手動スイッチ13を作動するキースイッチ14を隠す操作ハンドル15を設ける。またその昇降部5の操作用手動スイッチ13に接続した上昇用回路20のリレー21の常開接点22には前記モータ3を駆動する回路23を接続し、このリレー21の常閉接点24には前記充電器1の充電回路25を接続する。
【0005】
【考案の実施の形態】
図1は本考案の一実施の形態を示すもので、その昇降部5の一側の安全柵6には前後方向に延びる軸10を筒状の前の軸受け8と後ろのロック軸受け9により回動および前後動すべく設け、この軸10の前端には膝用の安全柵11を、後端には操作ハンドル12を設け、また中間には昇降部5の操作用レバースイッチ13を作動するキースイッチ14を隠す操作ハンドル15を斜め方向に設ける。安全柵11と操作ハンドル12とは互いに90°をなし、操作ハンドル15は中間の角度をなす。安全柵11は軸10に対し直角の部分とその端部よりループ状に折り曲げた部分11aよりなる。ロック軸受け9にはL型の溝9aを有し、軸10にはこの溝9aに係合するピン10aを植設する。
【0006】
図2は本考案の一実施の形態の電気回路図を示すもので、充電器1と、この充電器1で充電されるバッテリー2と、このバッテリー2で作動されるモータ3とを有する。このモータ3はポンプ3aを駆動し、このポンプ3aで駆動されるシリンダー4は昇降部5を駆動する。このポンプ3aのシリンダー4に接続される出口はレリーフ弁3bを介してタンク3cに接続する。
【0007】
昇降部5操作用の手動操作のレバースイッチ13の可動接点13aは上昇用回路20と下降用回路19の何れか一方に接続し、前記キースイッチ14及びヒューズ26を介してバッテリー2に接続する。上昇用回路20にはリミットスイッチ27を介してリレー21を接続する。電磁接触器28はこのリレー21の常開接点22を介してバッテリー2に接続し、この電磁接触器28の接点29は前記モータ3を駆動する回路23を接続する。前記充電器1の充電回路25はこのリレー21の常閉接点24を介して前記バッテリー2に接続する。
【0008】
前記下降用回路19は前記昇降部5に設けた常開の安全スイッチ5aを介してリレー30とリレー31を接続する。前記レリーフ弁3bを作動するソレノイド32は前記リレー30の常閉接点33とリレー31の常開接点34とを介してバッテリー2に接続する。
【0009】
次にこの装置の動作を説明する。
不使用状態では操作ハンドル12は水平で人の進入を阻止する。操作ハンドル15は手動スイッチ13を作動するキースイッチ14を隠し、昇降部5を作動出来ないようにする。
使用状態では人が操作ハンドル12に接近し、図1示の様に操作ハンドル12を上方に回動する。この時軸10を介して安全柵11は上方に回動し、水平状態となり、人を保護する。かくして操作ハンドル12と軸10を前方に押せば、ピン10aは溝9aに係合し、その状態にロックされる。 かくして人は安全に昇降部5上に進入する。この時操作ハンドル15は、キースイッチ14より離れるのでキーを挿入してオンとし、レバースイッチ13の可動接点13aをバッテリー2に接続する。
【0010】
レバースイッチ13の可動接点13aを前記上昇用回路20に接続した時にはリレー21の常閉接点24はオフとなって、充電器1の充電回路25を切り離し、またリレー21の常開接点22はオンとなって、電磁接触器28に電流を流し、接点29はオンとなって、前記モータ3を駆動し、ポンプ3aはシリンダー4を駆動し、昇降部5を上昇させる。
【0011】
レバースイッチ13の可動接点13aを前記下降用回路19に接続した時にはリレー31の常開接点34はオンとなり、常閉接点33を通してソレノイド32に電流を流し、、レリーフ弁3bが開いて、シリンダー4と昇降部5を下降させる。なおこの下降時に昇降部5に物が挟まると、安全スイッチ5aはオンとなって、リレー30に電流を流し、常閉接点33はオフとなって、ソレノイド32の電流を切り、前記レリーフ弁3bを閉じて、昇降部5の下降を停止する。
【0012】
次に操作ハンドル15で軸10を逆に作動してロックを外し、逆に軸10を回動させれば、安全柵11は下方に回動して垂直状態となり、人は昇降部5より出ることができるものである。
【0013】
【考案の効果】
以上のように、本考案によれば、その前側には安全柵が有るので、安全であると共に上昇時には充電器1の充電回路25は切り離されるので、充電中でも昇降部5を駆動出来、緊急時でも使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施の形態の要部の斜視図である。
【図2】その電気回路図である。
【図3】従来の装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 充電器
2 バッテリー
3 モータ
4 シリンダー
5 昇降部
6 安全柵
9 ロック軸受け
10 軸
11 安全柵
12 操作ハンドル
13 手動スイッチ
14 キースイッチ
15 操作ハンドル
20 上昇用回路
21 リレー
22 常開接点
23 駆動回路
24 常閉接点
25 充電回路

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 充電器(1)と、この充電器(1)で充電されるバッテリー(2)と、このバッテリー(2)で作動されるモータ(3)と、このモータ(3)で駆動されるシリンダー(4)と、このシリンダー(4)で駆動される昇降部(5)とよりなり、その昇降部(5)の一側の安全柵(6)には前後方向に延びる軸(10)をロック軸受け(9)により回動および前後動すべく設け、この軸(10)の前端には安全柵(11)を、後端には操作ハンドル(12)を設けてなる車椅子用段差解消機。
【請求項2】 上記軸(10)の中間には昇降部(5)の操作用手動スイッチ(13)を作動するキースイッチ(14)を隠す操作ハンドル(15)を設けてなる請求項1記載の車椅子用段差解消機。
【請求項3】 充電器(1)と、この充電器(1)で充電されるバッテリー(2)と、このバッテリー(2)で作動されるモータ(3)と、このモータ(3)で駆動されるシリンダー(4)と、このシリンダー(4)で駆動される昇降部(5)とよりなり、その昇降部(5)の操作用手動スイッチ(13)に接続した上昇用回路(20)のリレー(21)の常開接点(22)には前記モータ(3)を駆動する回路(23)を接続し、このリレー(21)の常閉接点(24)には前記充電器(1)の充電回路(25)を接続してなる車椅子用段差解消機。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【登録番号】第3021763号
【登録日】平成7年(1995)12月13日
【発行日】平成8年(1996)3月8日
【考案の名称】車椅子用段差解消機
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−8729
【出願日】平成7年(1995)8月21日
【出願人】(595120024)株式会社ハーツエイコー (1)