説明

車載オーディオ装置

【課題】車載オーディオ装置のデザイン性及び興趣性の向上を図る。
【解決手段】音声信号を出力する車載オーディオ装置1において、本体の前面パネル2に、車載オーディオ装置1の操作子として機能する発光ボタン部17a〜k、及び、発光部19a〜gを並べて配設した構成として、これら発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gの発光状態を、出力中の音声信号に基づいて変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号を出力する車載オーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンパクトディスク(CD)やミニディスク(MD)等を再生するオーディオ装置において、前面パネルに設けた操作ボタンを透明樹脂製として、この操作ボタンを照明するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−298700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車載オーディオ装置においては、車載オーディオ装置の機能増加に伴って、操作ボタンの増加、ディスプレイの大型化が進んでおり、限られた設置スペースに、これらディスプレイや複数の操作ボタン等を配置しなければならない。このため、装飾を目的とした部材を追加してデザイン性の向上を図ることは、非常に困難であった。
【0004】
本発明は、上述した課題に鑑み、車載オーディオ装置のデザイン性及び興趣性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、音声信号を出力する車載オーディオ装置において、本体の前面パネルに並ぶ複数の発光部と、出力中の音声信号に基づいて前記発光部の発光状態を変化させる発光制御部と、を備え、前記発光部の少なくとも一部は、当該車載オーディオ装置の操作に用いられる操作子を兼ねることを特徴とする車載オーディオ装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、車載オーディオ装置において、本体の前面パネルに並ぶ複数の発光部を備え、これら発光部の少なくとも一部は、当該車載オーディオ装置の操作に用いられる操作子を兼ねた構成とされ、発光制御部によって、出力中の音声信号に基づいて前記発光部の発光状態を変化させる。このため、操作子を兼ねる発光部、或いは操作子を兼ねる発光部とその他の発光部との組み合わせにおいて、例えばスピーカ等から出力される音声信号の状態に合わせて発光状態を変化させるので、車載オーディオ装置のデザイン性及び興趣性の向上を図ることができる。そして、少なくとも一部の発光部が操作子を兼ねる構成としたため、スペースの制約が厳しい車載オーディオ装置であっても容易に実現可能である。また、発光部の発光状態の変化によって音声信号の状態を視覚的に表現できることから、音声信号の状態を表示するディスプレイ等を必要としないため、ディスプレイを小型化または省略することが可能となり、ディスプレイを含む各部の配置の自由度が高まるという利点もある。
【0007】
ここで、本発明の車載オーディオ装置は、スピーカに音声信号を出力するものであってもよいし、アンプや他のオーディオ装置(携帯型オーディオ装置を含む)等、他の装置に音声信号を出力するものであってもよい。
【0008】
本発明において、前記発光部は、前記本体の前面パネルにおいて複数の列をなすように並べて配設され、各々の列は前記本体の前面パネルの端部に沿うように延びる列としてもよい。
【0009】
この場合、発光部が、前面パネルの端部に沿うように延びる複数の列をなして並べて配置されているので、音声信号の状態を効果的に視覚化することができる。例えば、発光部が2列をなす構成とすれば、これらの発光部を、左右のチャンネルの音声信号に対応したレベルメータとして利用できる。また、より多くの列をなす発光部を備えた構成とすれば、これらの発光部を、周波数帯域毎に出力レベルを表示するイコライザーとして利用することもできる。このように、音声信号に係る量的変化を視覚的に表現することができ、車載オーディオ装置のデザイン性及び興趣性の向上を図ることができる。さらに、音声信号の状態をより詳細に表現できるため、ディスプレイのより一層の小型化、或いはディスプレイを省略した構成とすることが可能となり、車載オーディオ装置における各部の配置の自由度が高まるという利点もある。
【0010】
また、本発明において、各々の前記発光部は光源を内蔵しており、前記発光制御部は、前記発光部が内蔵する光源の点灯状態を制御することによって前記発光部の発光状態を変化させるものとしてもよい。
【0011】
この場合、各々の発光部が内蔵する光源の点灯状態を制御することにより、容易に、複数の発光部の発光状態を変化させることができる。また、この場合において、各々の発光部が多色で発光可能な光源を内蔵する構成とすれば、複数の発光部の発光色を容易に変化させることも可能になり、音声信号の状態を多彩に表現することができ、デザイン性及び興趣性のより一層の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記発光制御部は、音声信号の信号レベルと前記発光部の数とを対応づけた設定値に基づいて、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部の発光状態を変化させるようにしてもよい。
【0013】
この場合、音声信号の信号レベルに対応する数の発光部の発光状態が変化するので、音声信号のレベルを、発光する発光部の数によって忠実に表現できる。
また、この構成において、前記発光制御部は、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部を発光させる一方、他の前記発光部は発光させないようにしてもよい。この場合、発光部の発光/非発光(消灯)の切り替えにより、音声信号のレベルを視覚的に表現できる。
【0014】
また、本発明において、前記発光制御部は、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部を所定の発光色で発光させる一方、他の前記発光部を、前記所定の発光色とは異なる色で発光させるようにしてもよい。
【0015】
この場合、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の発光部が所定の発光色で発光し、他の発光部は異なる色で発光する。つまり、2以上の発光色により音声信号のレベルを視覚的に表現でき、デザイン性及び興趣性を、より高めることができる。
【0016】
また、本発明において、音声信号を出力する音源、または、外部接続された音源からの音声信号の入力を受け付ける音声入力部を備えた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、出力される音声信号の状態に応じて発光部の発光状態が変化するので、車載オーディオ装置のデザイン性及び興趣性の向上を図ることができ、少なくとも一部の発光部が操作子を兼ねるため、スペースの制約が厳しい車載オーディオ装置であっても容易に実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の車載オーディオ装置1の正面図である。
車載オーディオ装置1は、車輌に搭載され、ユーザの操作に応じて、車輌に搭載されたスピーカから音声を出力するものであり、略箱形の本体に、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)等の記録媒体の再生機能及びチューナー機能を実現する各種部品を内蔵する。
【0019】
車載オーディオ装置1本体の前面パネル2のほぼ中央部には、上から順に、CD挿入口12、ディスプレイ11、及びMD挿入口13が設けられている。また、MD挿入口13の右側には、MDの排出を指示するためのMDイジェクトボタン14が設けられている。
さらに、MD挿入口13の下方には、電源SW15や、再生開始/停止を指示するボタン、選曲操作を行うためのボタン等を含む複数の操作ボタンからなるボタン群16が配設されている。
【0020】
前面パネル2には、発光ダイオード(LED)を備えた発光部としての11個の発光ボタン部17a〜k、及び、7個の発光部19a〜gが配設されている。
前面パネル2の右側端部には、4個の発光部19a、19b、19c、19d、及び、5個の発光ボタン部17a、17b、17c、17d、17eとが、縦に列をなして配置される。これら9個の発光部(発光ボタン部を含む)を総称して右発光部群21と呼ぶ。
また、前面パネル2の左側には、3個の発光部19e、19f、19g、及び、6個の発光ボタン部17f、17g、17h、17i、17j、17kとが、縦に列をなして配置される。これら9個の発光部(発光ボタン部を含む)を総称して左発光部群22と呼ぶ。
【0021】
右発光部群21及び左発光部群22に含まれる発光ボタン部17a〜17kは、それぞれ、車載オーディオ装置1を操作するための操作子として機能する。具体的には、発光ボタン部17aは、CDの排出を指示するイジェクトボタンとして機能し、発光ボタン部17bは、曲のタイトルを表示させるタイトルボタンとして機能し、発光ボタン部17c、17d、17e、17i、17j、17kは、チューナーによる選局を指示するチャンネルボタンとして機能する。また、発光ボタン部17fは、ディスプレイ11の色調整や発光ボタン部17a〜17k及び発光部19a〜gの発光色の調整を行うための色調整ボタンとして機能し、発光ボタン部17gは、音声信号処理による音場の調整を指示する音場調整ボタンとして機能し、発光ボタン部17hは、特定の音域を強調する等の音質調整を指示する音質調整ボタンとして機能する。
【0022】
図2は、発光ボタン部17aの構成を示す断面図である。
発光ボタン部17b〜17kは、発光ボタン部17aと同様に構成されるので、ここでは、一例として発光ボタン部17aについて説明する。
【0023】
この図2に示すように、発光ボタン部17aは、前面パネル2に埋設された透明板30と、前面パネル2の下方に配設された基板31と、その基板31上に実装された光源としてのLED32と、そのLED32に並ぶように設けられたスイッチ33と、透明板30の裏面に設けられた拡散板34とから構成されている。
【0024】
前面パネル2には、複数の開口部が形成されており、透明板30は、前面パネル2の表面から突出するように、前面パネル2の開口部分に埋設されている。この透明板30は、光を透過する透光性の高い材料からなり、例えば、ガラス、或いは、アクリル樹脂やスチロール樹脂等の透明性の高い合成樹脂で構成される。
【0025】
前面パネル2及び透明板30の下方に配設された基板31は、前面パネル2と平行になっている。基板31の透明板30の真下にあたる位置には、LED32が設けられている。また、基板31には、スイッチ33がLED32と並ぶように設けられている。
【0026】
透明板30の裏面には、拡散板34が、LED32が発した光を拡散させるために設けられている。この拡散板34が設けられていることによって、LED32が発した光が透明板30全体に拡散されるので、発光ボタン部17aが、均一に光っているように見える。また、この拡散板34は、透明板30に接着され、或いは2色成形等の手法により一体化されており、透明板30の押下時には、透明板30とともに下へ変位する。拡散板34には、下方に延びるボス34aが一体に設けられ、ボス34aの先端は、後述するスイッチ33に接している。
スイッチ33は、透明板30のほぼ真下に位置するタクトスイッチであって、その上端面には、拡散板34に設けられたボス34aが当接している。前面パネルに露出する透明板30の表面が押されると、透明板30が拡散板34及びボス34aとともに下へ変位し、スイッチ33がオンされる。
【0027】
前面パネル2と基板31との間には、側壁35が設けられている。側壁35の端は、前面パネル2と基板31との両方に接しており、LED32の側方と下方とがふさがれた構成となっている。この側壁35と、前面パネル2と、基板31とによって閉空間が形成される。このため、LED32が発した光は、前面パネル2の開口部分に埋設されている透明板30から放出される。その一方、LED32の側方、下方、及び、前面パネルの開口部を除く部分からは、LED32が発した光が漏れない。
このように、発光ボタン部17aには、上述した閉空間が形成され、LED32が発した光が上記閉空間から外に漏れない。そのため、発光ボタン部17a及び発光ボタン部17aと同様の構成である発光ボタン部17b〜17kは、それぞれ独立して光を発することが可能な構成になっている。
【0028】
図3は、発光部19aの構成を示す断面図である。
発光部19b〜19gは、発光部19aと同様に構成されるので、ここでは、一例として発光部19aについて説明する。
この図3に示す発光部19aは、図2に示す発光ボタン部17aと同様に構成される。
発光部19aにおいては、拡散板34に一体となって延設されるボス34bが基板31まで達している。このため、透明板30は、基板31に当接するボス34bにより、拡散板34とともに前面パネル2の開口部に固定されており、押圧されても変位しない。また、発光部19aには、スイッチ33が配設されない。
この発光部19aが、発光ボタン部17aと同様に構成されることから、LED32が発した光が、拡散板34によって透明板30全体に拡散され、発光部19aが、均一に光っているように見える。また、発光部19aにおいても、上述した閉空間が形成され、LED32が発した光が上位閉空間から外に漏れない。そのため、発光部19a及び発光部19aと同様の構成である発光部19b〜19gは、それぞれ独立して光を発することが可能な構成になっている。
【0029】
図4は、本発明の構成を表すブロック図である。
車載オーディオ装置1は、前面パネル2(図1)に配設されたボタン群16や発光ボタン部17a〜17k等の操作を検出する操作部46を備え、操作部46により検出された操作に従って、車輌に搭載されたスピーカ48、49より音声を出力するものである。
また、車載オーディオ装置1は、右発光部群21(図1)及び左発光部群22(図1)の各発光部のうち、出力する音声のレベルに対応する数の発光部を発光させる。すなわち、車載オーディオ装置1は、右発光部群21の9個の発光部と、左発光部群22の9個の発光部とを、出力音声レベルを示すレベルメータとして機能させる。
【0030】
図4に示すように、車載オーディオ装置1は、CD再生部61、MD再生部62及びチューナー63の3種類の音源からなる内部音源70を備える。CD再生部61は、CD挿入口12(図1)に挿入されたCDから音声データを読み出して再生し、音声信号を信号入力部65に出力する。MD再生部62は、MD挿入口13に挿入されたMDから音声データを読み出して再生し、音声信号を信号入力部65に出力する。チューナー63は、AM/FM放送等の放送波を受信するためのアンテナを備え、操作部46により検出された操作によって選局された放送信号を受信して放送音声を再生し、音声信号を信号入力部65に出力する。
また、信号入力部65には、音声入力部としての外部インタフェース(I/F)64を介して外部音源71が接続されている。外部音源71は、例えば、CDチェンジャー装置、MDチェンジャー装置、半導体メモリやハードディスクを内蔵した携帯型音楽再生装置等であり、外部I/F64は、上記各装置を接続するためのコネクタを具備し、上記各装置から入力された音声信号を信号入力部65に出力する。
【0031】
信号入力部65は、内部音源70の各音源及び外部I/F64のうち、操作部46により検出された操作に従ってひとつの音源を選択し、選択した音源から入力される音声信号を、疑似レベルメータ部40及びアンプ47に出力する。
本実施の形態に係る車載オーディオ装置1は、R(右)チャンネル及びL(左)チャンネルからなるステレオ音声信号を入出力するものである。このため、図4に示す例では、信号入力部65は、Lチャンネル及びRチャンネルからなるステレオ音声信号を疑似レベルメータ部40及びアンプ47に出力する。
【0032】
アンプ47は、信号入力部65から入力されたステレオ音声信号を増幅して、スピーカ48、49に出力する。アンプ47におけるゲインは操作部46により検出された操作に従って決定される。また、アンプ47は、音声信号処理による音場の調整を指示する発光ボタン部17g(図1)、特定の音域を強調する等の音質調整を指示する発光ボタン部17h(図1)等の操作によって指示された処理を実行し、処理後の音声信号をスピーカ48、49に出力する。
【0033】
疑似レベルメータ部40は、信号入力部65から入力された音声信号のレベルを調整するアンプ41、42と、アンプ41、42による調整後の音声信号を整流する整流回路43、44とを備える。
整流回路43、44により整流された音声信号は制御マイコン45に入力される。制御マイコン45は、Lチャンネル及びRチャンネルの音声信号の各々について、電圧値を所定のサンプリングレートで取得し、A/D変換を行ってデジタル値の信号レベルを求める。さらに、制御マイコン45は、求めた信号レベルを10段階(0〜9)のスケールに換算することにより、信号レベルの表示値を求める。制御マイコン45が取得した信号レベルと表示値との関係については、予め、車載オーディオ装置1により処理される音声信号レベルを想定して設定値が定められており、この設定値に従って制御マイコン45が表示値を決定する。上記設定値は、右発光部群21及び左発光部群22の発光部の数に応じて決めることが望ましく、例えば、右発光部群21及び左発光部群22が各々11個の発光部を備える構成であれば、0〜11の12段階のスケールで表示値を定める必要がある。このため、車載オーディオ装置1により処理可能な信号レベルの範囲を12段階のスケールに適合させるべく、上記設定値が定められる。
【0034】
車載オーディオ装置1は、18個のLED32−1〜18を備えている。LED32−1〜18は、図2及び図3に示したように、発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gに内蔵される発光体である。このうち、LED32−1〜9は、右発光部群21を構成する9個の発光部(発光ボタン部17a〜e及び発光部19a〜d)に内蔵されたものであり、LED32−10〜18は、左発光部群22を構成する9個の発光部(発光ボタン部17f〜k及び発光部19e〜g)に内蔵されたものである。
【0035】
LED32−1は、赤色に発光するLED(R)55−1、緑色に発光するLED(G)57−1、及び、青色に発光するLED(B)59−1が一つのパッケージに実装されたフルカラーLEDである。LED(R)55−1、LED(G)57−1及びLED(B)59−1の各々は、独立してLEDドライバ50から電流の供給を受け、電流に応じた輝度で発光する。従って、LEDドライバ50からLED(R)55−1、LED(G)57−1及びLED(B)59−1の各々に供給する電流のバランスを調整することで、任意の色でLED32−1を発光させることができる。
【0036】
LED32−2〜18も同様に、それぞれ、赤色に発光するLED(R)55−2〜18、緑色に発光するLED(G)57−2〜18、及び、青色に発光するLED(B)59−2〜18を備えたフルカラーLEDであり、LEDドライバ50、51の制御により任意の発光色で発光させることができる。
【0037】
LEDドライバ50は、LED32−1〜9に接続されている。LEDドライバ50は、制御マイコン45の制御に従って、9個のLED32−1〜9の各々に対して所定電圧の直流電流を供給して発光させる。また、LEDドライバ51は、LED32−1〜9に接続されている。LEDドライバ50は、制御マイコン45の制御に従って、9個のLED32−1〜9の各々に対して所定電圧の直流電流を供給して発光させる。
LEDドライバ50、51によりLED32−1〜18を発光させる際の発光色は、制御マイコン45の制御に従って決定される。
【0038】
発光制御部としての制御マイコン45は、右発光部群21の9個のLED32−1〜9のうち、Rチャンネル音声信号のレベルについて求めた表示値と同数のLEDを発光させるべく、LEDドライバ50を制御する。また、制御マイコン45は、左発光部群22の9個のLED32−10〜18のうち、Lチャンネル音声信号のレベルについて求めた表示値と同数のLEDを発光させるべく、LEDドライバ51を制御する。
【0039】
以上の構成により、車載オーディオ装置1は、前面パネル2に設けられた右発光部群21の9個の発光部を、Rチャンネル音声信号のレベルを表示するレベルメータとして動作させ、左発光部群22の9個の発光部を、Lチャンネル音声信号のレベルを表示するレベルメータとして動作させる。
【0040】
図5は、右発光部群21及び左発光部群22の発光状態の一例を示す図である。
この図5に示す例では、右発光部群21の9個の発光部のうち、下部の6個(符号A)が発光し、上部の3個(符号B)が消灯している。この表示から、車載オーディオ装置1により出力中のRチャンネル音声信号のレベルが、0〜9の10段階のスケールで「6」であることが表示される。
また、左発光部群22の9個の発光部のうち、下部の4個(符号C)が発光し、上部の5個(符号D)が消灯している。この表示から、車載オーディオ装置1により出力中のLチャンネル音声信号のレベルが、0〜9の10段階のスケールで「4」であることが表示される。
【0041】
図5に示す例によれば、右発光部群21及び左発光部群22の発光部が消灯した状態で、音声信号レベルに対応する数の発光部が所定の発光色で発光する。これにより、前面パネル2に配設された操作ボタンを含む右発光部群21及び左発光部群22を用いて、音声信号のレベルを視覚的に表現できる。
また、右発光部群21及び左発光部群22における発光は、制御マイコン45(図4)が所定のサンプリングレートで音声信号レベルを取得する毎に更新されるので、リアルタイムで音声信号のレベルを表示できる。
【0042】
以上のように、本発明を適用した実施の形態に係る車載オーディオ装置1によれば、前面パネル2に、車載オーディオ装置1を操作する機能を有する発光ボタン部17a〜k、及び発光部19a〜gを設け、これら発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gの発光状態を、車載オーディオ装置1から出力する音声信号に基づいて変化させる。これにより、スピーカ48、49から出力される音声に合わせて前面パネル2の発光状態が変化するので、車載オーディオ装置1のデザイン性及び興趣性の向上を図ることができる。また、発光ボタン部17a〜kは車載オーディオ装置1の操作ボタンを兼ねるので、スペースの制約が厳しい車載オーディオ装置1において容易に実現可能である。また、発光状態の変化によって音声信号の状態を視覚的に表現できることから、ディスプレイ11における音声信号の状態表示を省略できる。このため、ディスプレイ11を小型化または省略することが可能となり、前面パネル2における各部の配置の自由度が高まるという利点もある。
【0043】
また、発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gが前面パネル2において複数の列(ここでは2列)をなすように並べて配設され、各々の列は前面パネル2の端部に沿うように延びた構成となっている。このため、左右のチャンネルの音声信号に対応したレベルメータとして利用することが可能であり、音声信号に係る量的変化を視覚的に表現することができ、車載オーディオ装置のデザイン性及び興趣性の向上を図ることができる。さらに、ディスプレイ11にレベルメータを表示する必要がないため、ディスプレイ11の小型化等を実現できる。
【0044】
また、発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gは光源としてのLED32−1〜18を備えるため、LED32−1〜18の点灯状態を制御することにより、容易に発光状態を変化させることができる。また、LED32−1〜18はフルカラーLEDとして構成することで、発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gの発光色を容易に変化させることができるので、音声信号の状態を多彩に表現でき、デザイン性及び興趣性のより一層の向上を図ることができる。
また、右発光部群21と左発光部群22においては、発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gのうち、音声信号の信号レベルに対応する数の発光部が発光するので、音声信号のレベルを発光する発光部の数によって、忠実に表現できる。
また、この構成において、前記発光制御部は、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部を発光させる一方、他の前記発光部は発光させないようにしてもよい。この場合、発光部の発光/非発光(消灯)の切り替えにより、音声信号のレベルを視覚的に表現できる。
【0045】
なお、上記実施の形態においては、前面パネル2において発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gが2列をなす構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gに相当する発光部を、より多くの列をなす発光部を備えた構成としてもよい。この場合、これらの発光部を、周波数帯域毎に出力レベルを表示するイコライザーとして利用することもできる。また、上記実施の形態では、車載オーディオ装置が、前面パネル2の側端部に沿うように延びる縦方向の列をなす右発光部群21及び左発光部群22を備えた構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば1つの列をなす発光部を備えた構成としてもよいし、或いは、前面パネル2の上下端部に沿う列をなす発光部を備えた構成としてもよく、3以上の列をなす発光部を備えた構成としてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態において、右発光部群21及び左発光部群22の発光ボタン部17a〜k、発光部19a〜gのうち、音声信号の信号レベルに対応する数の発光部を発光させる際の発光色は任意であり、例えば、使用中の音源の種類に応じて発光色を変える構成としてもよい。すなわち、内部音源70が備えるCD再生部61、MD再生部62及びチューナー63と、外部I/F64とに対応づけて、発光色を定めておき、使用する音源が切り替えられると、その音源に対応する色で右発光部群21及び左発光部群22が発光する。例えば、CD再生部61により再生中の音声信号がスピーカ48、49に出力される間は、CD再生部61に対応づけられた色で右発光部群21及び左発光部群22が発光する。このようにすれば、右発光部群21及び左発光部群22の発光色が変化することで、デザイン性と興趣性のより一層の向上を図ることが可能になる上、発光色によって使用中の音源を識別できるという利点がある。
【0047】
さらに、上記実施の形態において、右発光部群21及び左発光部群22の発光部のうち、音声信号のレベルに対応する数の発光部を所定の発光色で発光させるとともに、他の発光部を、別の色で発光させてもよい。
【0048】
図6は、右発光部群21及び左発光部群22の発光状態の別の例を示す図である。
この図6に示す例では、右発光部群21の9個の発光部のうち、上部の3個(符号B)が所定の発光色で発光し、下部の6個(符号A)が別の色で発光している。また、左発光部群22の9個の発光部のうち、上部の5個(符号D)が所定の発光色で発光し、下部の4個(符号C)が別の色で発光している。
つまり、音声信号のレベルに対応する数の発光部と、それ以外の発光部とが別の色で発光している。換言すれば、定常状態では全ての発光部が所定の発光色で発光しており、音声信号レベルに対応する数の発光部の発光色が切り替わる。
この場合、発光色の変化により音声信号レベルを表示する上に、音声信号レベルが低い状態でも多くの発光部が発光するので、デザイン性と興趣性をより一層高めることが可能となる。また、夜間の運転中等における視認性を高めることができる。
【0049】
さらに、上記実施の形態においては、発光部としての発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gが、いずれも光源としてのLED32−1〜18を内蔵した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gとは別体として配設された光源からの光を、発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gに導くことにより、発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gを発光させる構成としてもよい。この場合、光源の数は発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gの数と同数であってもよいし、少なくてもよい。発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gより少ない数の光源を用いる場合、例えば、光源から発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gまでの導光路を遮断するシャッタ機構等を用いれば、発光ボタン部17a〜k及び発光部19a〜gを個別に発光させることが可能となる。
また、上述した車載オーディオ装置1の他の細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲において、任意に変更可能である。
さらに、本発明は、音声信号のみを出力する車載オーディオ装置に限らず、映像を表示する表示画面を備えた車載装置において、音声信号に応じて発光部の発光状態を変化させる構成として適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した実施の形態に係る車載オーディオ装置の構成を示す正面図である。
【図2】発光ボタン部の構成を示す断面図である。
【図3】発光部の構成を示す断面図である。
【図4】車載オーディオ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】車載オーディオ装置における右発光部群及び左発光部群の発光状態の一例を示す図である。
【図6】車載オーディオ装置における右発光部群及び左発光部群の発光状態の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 車載オーディオ装置
2 前面パネル
17a〜k 発光ボタン部(発光部)
19a〜g 発光部
21 右発光部群
22 左発光部群
32−1〜18 LED(光源)
33 スイッチ
34 拡散板
40 擬似レベルメータ部
41、42 アンプ
43、44 整流回路
45 制御マイコン(発光制御部)
46 操作部
47 アンプ
48、49 スピーカ
50、51 LEDドライバ
55−1〜18 LED(R)
57−1〜18 LED(G)
59−1〜18 LED(B)
64 外部I/F(音声入力部)
65 信号入力部
70 内部音源(音源)
71 外部音源(音源)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を出力する車載オーディオ装置において、
本体の前面パネルに並ぶ複数の発光部と、
出力中の音声信号に基づいて前記発光部の発光状態を変化させる発光制御部と、を備え、
前記発光部の少なくとも一部は、当該車載オーディオ装置の操作に用いられる操作子を兼ねること、
を特徴とする車載オーディオ装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記本体の前面パネルにおいて複数の列をなすように並べて配設され、各々の列は前記本体の前面パネルの端部に沿うように延びる列であること、を特徴とする請求項1記載の車載オーディオ装置。
【請求項3】
各々の前記発光部は光源を内蔵しており、前記発光制御部は、前記発光部が内蔵する光源の点灯状態を制御することによって前記発光部の発光状態を変化させること、を特徴とする請求項1または2記載の車載オーディオ装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、音声信号の信号レベルと前記発光部の数とを対応づけた設定値に基づいて、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部の発光状態を変化させること、を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載オーディオ装置。
【請求項5】
前記発光制御部は、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部を発光させる一方、他の前記発光部は発光させないこと、を特徴とする請求項4記載の車載オーディオ装置。
【請求項6】
前記発光制御部は、出力中の音声信号の信号レベルに対応する数の前記発光部を所定の発光色で発光させる一方、他の前記発光部を、前記所定の発光色とは異なる色で発光させること、を特徴とする請求項4記載の車載オーディオ装置。
【請求項7】
音声信号を出力する音源、または、外部接続された音源からの音声信号の入力を受け付ける音声入力部を備えたこと、を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車載オーディオ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−42226(P2008−42226A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209564(P2006−209564)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】