説明

車載カメラ

【課題】車両の外部に取付けられ、広い画角を持つ広角レンズを介して車外を撮像するものでありながら、広い画角を維持しつつ、広角レンズに対する雨滴や泥の付着を抑制できる車載カメラを提供すること。
【解決手段】広い画角を持つ広角レンズ12を介して車外を撮像するカメラ本体10と、カメラ本体10の前面部13を覆い、かつ、広角レンズ12と対向する部分が開口したフード20と、フード20をカメラ本体10の前面部13に対して前後方向に摺動させるフード摺動手段30と、を備え、カメラ非動作時には、フード20をカメラ本体10の前面部13から離間する前進位置に保持することにより、広角レンズ12の視界をフード20で覆い、カメラ動作時には、フード20をカメラ本体10の前面部13に近接する位置に保持することにより、広角レンズ12の視界後方にフード20を退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部に取付けられる後方確認カメラ、死角監視カメラなどの車載カメラに係り、特に、広い画角(画角)を持つ魚眼レンズなどの広角レンズを介して車外を撮像する車載カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の外部に取付けられ、レンズを介して車外を撮像する後方確認カメラ、死角監視カメラなどの車載カメラが知られている。この種の車載カメラにおいては、レンズに雨滴や泥が付着し、カメラ映像の視認性が大きく損なわれるという課題が存在する。
【0003】
そこで、このような課題を解決するために、例えば、特許文献1、2に示すような技術が提案されている。
特許文献1に示される技術は、カメラ本体を車体内に組込み、カメラ動作時には、車体の開口を介して車外を撮像し、カメラ非動作時には、左右方向に回動するカバーで開口を覆うものである。
また、特許文献2に示される技術は、レンズの前方を前面ガラスで覆い、カメラ動作時には、前面ガラスを介して車外を撮像し、カメラ非動作時には、左右方向に移動する防塵シャッタで前面ガラスを覆うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−30082号公報
【特許文献2】特開平7−89388号公報
【特許文献3】特開2008−311890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、特許文献3に示すように、魚眼レンズなどの広角レンズを用い、より広い範囲を撮像して安全を確保する車載カメラが提案されている。
しかしながら、この種の車載カメラにおいて、前述した特許文献1、2のような構造を適用すると、その構造上、撮像範囲を広くとることができなかったり、撮像範囲内にカバー、防塵シャッタなどの構造物が写りこんでしまうなどの問題が生じる。
また、近年においては、車載カメラの小型化が進んでいるが、特許文献1、2のように、カバーや防塵シャッタを左右方向に移動させるものでは、車載カメラが大型化(特に、正面寸法)してしまうだけでなく、構造が複雑になってコストアップとなるなどの問題も生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、車両の外部に取付けられ、広角レンズを介して車外を撮像するものでありながら、広い画角を維持しつつ、広角レンズに対する雨滴や泥の付着を抑制できるだけでなく、装置の大型化や構造の複雑化も回避することができる車載カメラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、車両の外部に取付けられる車載カメラであって、前面に広角レンズを配し、車外を撮像するカメラ本体と、前記カメラ本体に取り付けられ前記広角レンズの前方に開口を有する筒状のフードと、前記フードの開口を前記広角レンズの光軸方向に前後に摺動させるフード摺動手段と、を備え、カメラ非動作時には、前記フードの開口を前記カメラ本体の前記広角レンズから離間する位置に保持し、カメラ動作時には、前記フードの開口を前記カメラ本体の前記広角レンズに近接する位置に保持することにより、前記カメラ本体の視界を遮らない様にした
ことを特徴とする車載カメラである。
【0008】
この構成によれば、カメラ非動作時には、広角レンズから広角レンズの光軸方向に離間する位置にフードの開口を保持するので、広角レンズに対する雨滴や泥の付着を抑制でき、また、カメラ動作時には、広角レンズへ広角レンズの光軸方向に近接する位置にフードの開口を保持するので、カメラ本体の視界を遮らず広い画角を確保することができる。
しかも、フードは、広角レンズの光軸方向に前後に摺動させるので、左右方向に移動させる場合に比べ、装置の大型化を回避できるだけでなく、構造も単純にしてコストダウンを図ることができる。
なお、広角レンズの前方に開口を有したフードは、広角レンズから広角レンズの光軸方向に離間する位置に保持した状態でも、広角レンズを完全に外界から遮蔽することは困難であるが、フードを設けない場合に比べ、広角レンズに対する雨滴や泥の付着が抑制され、また、広角レンズを誤って指で触ることも防止できる。
【0009】
上記発明は、前記フードを、前記カメラ本体の外周部に前後に摺動自在に装着するにあたり、前記カメラ本体のフード摺接面に、周方向に沿う複数の溝を設けたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、カメラ本体とフードとの隙間への雨滴の侵入を複数の溝で阻止することができるだけでなく、カメラ本体とフードとの摩擦抵抗を低減し、フードの動きをスムーズにすることができる。尚、溝は摺動面に留まらず、例えばカメラ本体の外周部全体に設けてもよい。
【0011】
上記発明は、前記カメラ本体の下面部に、複数の前記溝と直交するように連通する凹部を設け、該凹部を、複数の前記溝に入り込んだ水の排水経路としたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、複数の溝に入り込んだ水を凹部を介して適宜排水することにより、複数の溝による雨滴の侵入防止効果を高めることができる。
【0013】
上記発明は、前記フードの下部に、前記フード内に入り込んだ水を排出する排水穴を設けたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、フード内に水が溜まることがないので、フード内に溜まった水が広角レンズに付着することを防止できる。
【0015】
上記発明は、前記フード摺動手段として、前記フードを前記広角レンズから前記広角レンズの光軸方向に離間する位置に向けて付勢するバネと、前記バネの付勢力に対抗して前記フードを前記広角レンズへ前記広角レンズの光軸方向に近接する位置に引き寄せる電磁石と、を備え、カメラ非動作時には、前記電磁石を非駆動とし、前記バネの付勢力で前記フードの開口を前記離間する位置に保持し、カメラ動作時には、前記電磁石を駆動し、その吸引力で前記フードの開口を前記近接する位置に保持することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、バネと電磁石の組合せでフードの開口を離間する位置と近接する位置に保持するので、フード摺動手段としてモータなどを用いる場合に比べ、構造の簡略化やコストダウンを図ることができる。また、カメラ本体への電源の供給断のときに、車の移動による振動があっても安定して保持状態を維持できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車載カメラによれば、車両の外部に取付けられ、広い画角を持つ広角レンズを介して車外を撮像するものでありながら、広い画角を維持しつつ、広角レンズに対する雨滴や泥の付着を抑制できるだけでなく、装置の大型化や構造の複雑化も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る車載カメラのカメラ非動作状態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は側面図、(E)はX−X断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載カメラのカメラ動作状態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載カメラの分解図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車載カメラの取付状態を示す図であり、(A)はカメラ非動作状態の側面図、(B)はカメラ動作状態の側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車載カメラの排水構造を示す図であり、(A)は車載カメラの要部拡大断面図、(B)は排水経路を示す概略側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る車載カメラのカメラ非動作状態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は側面図、(E)はX−X断面図、図2は、本発明の実施形態に係る車載カメラのカメラ動作状態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、図3は、本発明の実施形態に係る車載カメラの分解図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【0021】
これらの図に示す本発明の実施形態に係る車載カメラ1は、車両の外部に取付けられるものであり、カメラ本体10と、フード20と、フード摺動手段30と、を備えて構成されている。
【0022】
カメラ本体10は、筐体11と、広角レンズ12と、図示しない撮像素子、撮像制御回路などの撮像部構成部材と、を備えて構成されている。
なお、撮像素子、撮像制御回路などの撮像部構成部材としては、周知のものを用いることができるので、詳細な説明は省略する。
【0023】
筐体11は、撮像素子、撮像制御回路などの撮像部構成部材を内蔵する箱体であり、その前面部13には、広角レンズ12を組み込むための開口14が形成されている。本実施形態では、広角レンズ12の画角を広く確保するために、筐体11の前面部13を前方に突出する形状とし、その先端部に広角レンズ12を組み込むようにしてある。
【0024】
広角レンズ12は、広い画角を持つ魚眼レンズなどの凸状レンズである。このような広角レンズ12を介して車外の広い範囲を撮像することにより、安全の確保が容易となる。その反面、この種の車載カメラ1では、広角レンズ12に対する雨滴や泥の付着を防止するために、前述した特許文献1、2のような構造を適用すると、撮像範囲にカバーや防塵シャッタが写りこんでしまうため撮像範囲を広くとることができなかったり、撮像範囲内にカバー、防塵シャッタなどの構造物が写りこんでしまうなどの問題が生じていた。
【0025】
フード20は、上記のような問題を解決するために設けられるものであり、カメラ本体10の広角レンズ12の光軸方向に前後に摺動自在に装着される。また、フード20には、カメラ動作時に広角レンズ12を露出させるための開口21が形成されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、フード20の前後摺動範囲には、フード20の開口21がカメラ本体10の広角レンズ12から広角レンズ12の光軸方向に離間する位置(図1参照)と、フード20の開口21がカメラ本体10の広角レンズ12に広角レンズ12の光軸方向に近接する位置とが含まれる。そして、フード20の開口21を離間する位置に保持すると、広角レンズ12は雨滴や泥の付着が抑制され、また、フード20の開口21を近接する位置に保持すると、車載カメラ1の視界を遮らない位置までフード20の開口21を近接させることが可能になる。つまり、近接する位置のフード20の開口21は、車載カメラ1の視界を遮らないように、広角レンズ12を露出状態とする。
【0027】
本実施形態のフード20は、開口21が形成される前面部22と、カメラ本体10の外周部に対して前後摺動自在に嵌合する筒部23と、筒部23の後端部に形成される左右一対の係合部24と、を備えている。一方、カメラ本体10の左右側面部には、前後を向くガイド溝15が形成されており、このガイド溝15にフード20の係合部24が係合される。
【0028】
このように構成すると、係合部24とガイド溝15による係合ガイド作用によって、フード20をスムーズに前後摺動させることができるだけでなく、係合部24をガイド溝15の前端で係止して、フード20を離間する位置に位置決め(抜け止め)することが可能になる。
なお、本実施形態では、係合部24に凸形状又は爪形状のストッパ24aを形成し、このストッパ24aをガイド溝15の前端で係止するようにしてある。
【0029】
フード20を形成する素材は、車載カメラ1の用途や取付場所に応じて任意に選択することが可能であるが、成形性、組立性、前後摺動の容易性などを考慮すると、樹脂であることが好ましい。特に、透明の樹脂でフード20を形成すると、フード20の内部状態を目視で容易に確認することができ、また、仮に動作不良によってフード20が近接不能となっても、透明なフード20を介して撮影した最少限の画像が得られるという利点がある。
【0030】
フード摺動手段30は、フード20を広角レンズ12の光軸方向に前後に摺動させる手段であり、フード20の開口21を前述した離間する位置と近接する位置とに保持することが可能になる。例えば、本実施形態のフード摺動手段30は、フード20の開口21を離間する位置に向けて付勢するバネ31と、バネ31の付勢力に対抗してフード20の開口21を近接する位置に引き寄せる電磁石32と、を備えて構成されている。
【0031】
バネ31は、図1の(E)に示すように、フード20の前面部22と、カメラ本体10の前面部13との間に圧縮状態で組み込まれ、フード20を離間する位置に向けて付勢する。本実施形態では、4つのバネ31をフード20の四隅に配置しているが、2つのバネ31をフード20の対角位置に配置するようにしてもよい。
【0032】
電磁石32は、カメラ本体10の前面部13に設けられている。フード20が磁性体である場合は、フード20側に部材を追加することなく、電磁石32の電磁力でフード20を近接する位置に引き寄せることが可能であるが、フード20が樹脂などの非磁性体である場合は、フード20の電磁石32と対向する部分に磁性金属などの磁性体33を設けることで、電磁石32によるフード20の引き寄せ動作が可能となる。
【0033】
なお、本実施形態では、フード20のスムーズな前後摺動を実現すべく、2つの電磁石32を広角レンズ12の上下位置に配置しているが、電磁石32の数は、1つでもよいし、3つ以上としてもよい。
【0034】
つぎに、本発明の実施形態に係る車載カメラ1の基本的な動作について、図4を参照して説明する。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係る車載カメラの取付状態を示す図であり、(A)はカメラ非動作状態の側面図、(B)はカメラ動作状態の側面図である。
この図に示すように、車載カメラ1は、後方確認カメラや死角監視カメラとして用いる場合、前側が低く、後側が高くなる傾斜姿勢で車両の外部に取付けられ、取付位置から下方を見下ろすように車外を撮像する。
例えば、本実施形態の車載カメラ1は、取付角度を調整可能な取付金具40を介して、車体50の後部に傾斜姿勢で取付けられる。ちなみに、取付金具40は、カメラ本体10の後面部に固定されるカメラ固定部材41と、車体50に固定される車体固定部材42と、カメラ固定部材41と車体固定部材42を角度調整自在に連結する連結部材43とを備えて構成されている。
【0036】
カメラ非動作時には、電磁石32を非駆動とし、バネ31の付勢力でフード20の開口21を広角レンズ21の光軸方向に離間する位置に保持する。フード20の開口21が、広角レンズ12から離間することにより、広角レンズ12を外界から遮蔽するので、広角レンズ12に対する雨滴や泥の付着を抑制でき、また、広角レンズ12を誤って指で触ることも防止できる。
【0037】
なお、フード20は、開口21を有しているので、離間する位置に保持した状態でも、広角レンズ12を完全に外界から遮蔽することは困難であるが、フード20を設けない場合に比べ、広角レンズ12に対する雨滴や泥の付着が抑制される。特に、前低後高状の傾斜姿勢で取付けられる車載カメラ1では、フード20の開口21が斜め下方を向き、降雨時に開口21から雨滴が入り込む可能性が低くなるので、広角レンズ12に対する雨滴の付着を効果的に抑制することができる。
【0038】
カメラ動作時には、電磁石32を駆動し、バネ31の付勢力に対抗してフード20を近接する位置に引き寄せ、ここに保持する。近接する位置のフード20の開口21は、カメラ本体10の前面部13に近接し、車載カメラ1の視界を遮らない位置まで退避する。つまり、近接する位置のフード20は、広角レンズ12の視界を遮らないように、開口21を介して広角レンズ12を露出状態とするので、広い画角を確保することができる。
【0039】
ところで、上記のような構造が適用された車載カメラ1であっても、カメラ本体10とフード20との隙間から雨滴が浸入すると、浸入した雨滴がカメラ本体10の上面及び前面を伝わり、広角レンズ12に付着する可能性がある。本実施形態の車載カメラ1は、このような問題を解決するための排水構造を有しており、以下、この排水構造について図5を参照して説明する。
【0040】
図5は、本発明の実施形態に係る車載カメラの排水構造を示す図であり、(A)は車載カメラの要部拡大断面図、(B)は排水経路を示す概略側面図である。
本発明の実施形態に係る車載カメラ1の排水構造は、溝16と、凹部17と、排水穴25と、を備えて構成されている。
【0041】
溝16は、カメラ本体10のフード摺接面に、周方向に沿うように複数並設されている。このような溝16を設けると、カメラ本体10とフード20との隙間における雨滴の侵入を阻止することができるだけでなく、カメラ本体10とフード20との摩擦抵抗を低減し、フード20の動きをスムーズにすることができる。
【0042】
溝16の断面形状は、任意に設定することが可能であるが、図5の(A)に示すように、溝16の断面形状を三角形とすれば、溝同士の間隔を最小化して多くの溝16を設けることが可能になる。また、溝16の断面形状を三角形とする場合、前側の溝側面が垂直面で、後側の溝側面が傾斜面となる直角三角形とすれば、垂直面が防水壁となり、雨滴の浸入を効果的に阻止することができる。
【0043】
凹部17は、カメラ本体10の下面部に、複数の溝16と直交するように連通するように設けられ、複数の溝16に入り込んだ水の排水経路として機能する。つまり、複数の溝16に入り込んだ水は、溝16内を伝わってカメラ本体10の下面に達するとともに、溝16から凹部17に流れ込み、凹部17を介してカメラ本体10の最下部から排出される。このような凹部17を設けると、複数の溝16に入り込んだ水を凹部17を介して適宜排水することができるので、複数の溝16による雨滴の侵入防止効果を高めることが可能になる。
【0044】
排水穴25は、フード20の最下部に形成され、フード20内に入り込んだ水を排出する。例えば、開口21からフード20内に入り込んだ水や、カメラ本体の凹部17からフード20内に流れ込んだ水を排水穴25を介して排出する。このような排水穴25を設けると、フード20内に水が溜まることがないので、フード20内に溜まった水がフード近接時に広角レンズ12に付着するという問題を解決することができる。
【0045】
以上に述べた実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)カメラ非動作時には、広角レンズ12から広角レンズ12の光軸方向に離間する位置にフード20の開口21を保持するので、広角レンズ12に対する雨滴や泥の付着を抑制でき、また、カメラ動作時には、広角レンズ12の視界を遮らない位置まで広角レンズ12の光軸方向に退避する位置にフード20の開口21を保持するので、広い画角を維持することができる。
しかも、フード20の開口21は、広角レンズの光軸方向に対し前後方向に摺動させるので、左右方向に摺動させる場合に比べ、装置の大型化を回避できるだけでなく、構造も単純にしてコストダウンを図ることができる。
【0046】
(2)カメラ本体10のフード摺接面に、周方向に沿う複数の溝16を設けたので、カメラ本体10とフード20との隙間における雨滴の侵入を複数の溝16で阻止できるだけでなく、カメラ本体10とフード20との摩擦抵抗を低減し、フード20の動きをスムーズにすることができる。
【0047】
(3)カメラ本体10の下面部に、複数の溝16と直交するように連通する凹部17を設けたので、複数の溝16に入り込んだ水を凹部17を介して適宜排水することにより、複数の溝16による雨滴の侵入防止効果を高めることができる。
【0048】
(4)フード20の下部に、フード20内に入り込んだ水を排出する排水穴25を設けたので、フード20内に水が溜まることを防止でき、その結果、フード20内に溜まった水がフード近接時に広角レンズ12に付着するという問題を解決することが可能になる。
【0049】
(5)バネ31と電磁石32の組合せでフード20の開口21を広角レンズ12の光軸方向に対し広角レンズ12から離間する位置と近接する位置に保持するので、フード摺動手段30としてモータなどを用いる場合に比べ、構造の簡略化やコストダウンを図ることができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態の車載カメラ1では、画角が180°を超えない広角レンズ12を用いているが、画角が180°を超える魚眼レンズを用いる場合でも、本発明が適用可能であることは言うまでもない。つまり、魚眼レンズを用いる場合は、カメラ動作時にフード20を近接する位置に摺動したとき、側面視において魚眼レンズのレンズ機能面全体がフード20よりも前方に突出するようにカメラ本体10及びフード20の形状を設定すればよい。
【0052】
また、前記実施形態の車載カメラ1では、バネ31と電磁石32との組み合わせでフード20を前後摺動させているが、フード20を前後摺動させる手段は、ソレノイドやモータであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…車載カメラ、10…カメラ本体、11…筐体、12…広角レンズ、13…前面部、14…開口、15…ガイド溝、16…溝、17…凹部、20…フード、21…開口、22…前面部、23…筒部、24…係合部、25…排水穴、30…フード摺動手段、31…バネ、32…電磁石、33…磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に取付けられる車載カメラであって、
前面に広角レンズを配し、車外を撮像するカメラ本体と、
前記カメラ本体に取り付けられ、前記広角レンズの前方に開口を有した筒状のフードと、
前記フードの開口を前記広角レンズの光軸方向に前後に摺動させるフード摺動手段と、を備え、
カメラ非動作時には、前記フードの開口を前記カメラ本体の前記広角レンズから離間する位置に保持し、
カメラ動作時には、前記フードの開口を前記カメラ本体の前記広角レンズに近接する位置に保持することにより、前記車載カメラの視界を遮らない様にした
ことを特徴とする車載カメラ。
【請求項2】
前記フードを、前記カメラ本体の外周部に前後に摺動自在に装着するにあたり、前記カメラ本体のフード摺接面に、周方向に沿う複数の溝を並設したことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラ。
【請求項3】
前記カメラ本体の下面部に、複数の前記溝と直交するように連通する凹部を設け、該凹部を、複数の前記溝に入り込んだ水の排水経路としたことを特徴とする請求項2に記載の車載カメラ。
【請求項4】
前記フードの下部に、排水穴を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載カメラ。
【請求項5】
前記フード摺動手段として、
前記フードを前記広角レンズから前記広角レンズの光軸方向に離間する位置に向けて付勢するバネと、
前記バネの付勢力に対抗して前記フードを前記広角レンズへ前記広角レンズの光軸方向に近接する位置に引き寄せる電磁石と、を備え、
カメラ非動作時には、前記電磁石を非駆動とし、前記バネの付勢力で前記フードの開口を前記離間する位置に保持し、
カメラ動作時には、前記電磁石を駆動し、その吸引力で前記フードの開口を前記近接する位置に保持する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9211(P2013−9211A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141338(P2011−141338)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】