説明

車載器の入力装置

【課題】車載器の入力装置において、筐体内の電子部品への液体や塵の侵入を防ぐための一技術を提供する。
【解決手段】車載器の入力装置であって、基板を格納している筐体と、基板側から筐体を貫通して外部に露出している操作部材と、を備える。筐体には、当該筐体と操作部材との隙間の位置に対応して、第1排水孔が形成されている。第1排水孔には、排水パイプが接続しており、排水パイプは、基板を貫通して、基板の裏面側に抜けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ナビゲーション装置、空調装置、オーディオ装置などの車載器を操作するための入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
方向、回転、押下などの複数の操作を検知する入力素子および当該入力素子に接続された操作ノブや、押下操作を検知する入力素子および当該入力素子に接続された押しボタン、などを有する入力装置が車載器の入力装置として知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−331917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載器の入力装置は、操作ノブや押しボタンが配列された操作面の隙間(例えば、ボタンとボタンの間の隙間や、操作ノブとボタンの間の隙間)から液体(例えば、入力装置のユーザがこぼした水やコーヒーなど)や塵が侵入すると、筐体内の入力素子や回路などの電子部品に液体や塵が到達し、故障することがある。例えば、車両内の2つの前座席の間に、車両の天井方向に操作面が向けられて入力装置が設置されている場合、液体や塵が操作面に上から降り掛かり易く、故障が発生する可能性が高い。
【0005】
本発明は、車載器の入力装置において、筐体内の電子部品への液体や塵の侵入を防ぐための一技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、車載器の入力装置であって、基板を格納している筐体と、基板側から前記筐体を貫通して外部に露出している操作部材と、を備え、前記筐体には、当該筐体と前記操作部材との隙間の位置に対応して、第1排水孔があり、前記第1排水孔には、排水パイプが接続しており、前記排水パイプは、前記基板を貫通して、前記基板の裏面側に抜けている、ことを特徴とする。
【0007】
ここで、上記の入力装置であって、前記筐体には、前記基板の裏面側に、外部に通じる第2排水孔があってもよい。また、上記のいずれかの入力装置であって、前記筐体には、当該筐体と前記操作部材との隙間の位置に対応して、排水溝があり、前記第1排水孔は、前記排水溝の底面に形成されていてもよい。
【0008】
また、上記の入力装置であって、前記第1排水孔は、前記入力装置の上面側が所定角度傾いて設置された場合に、前記排水溝の底面のうちより低くなる位置に形成されていてもよい。また、上記の入力装置であって、前記筐体は、前記第1排水孔を少なくとも2つ以上有し、前記第1排水孔の少なくとも1つは、前記入力装置の上面側が所定の角度傾いて設置された場合に、前記排水溝の底面のうちより低くなる位置に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車載器の入力装置において、筐体内の電子部品への液体や塵の侵入をより効果的に防ぐことができる。そして、液体や塵による故障の可能性をより低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の入力装置1の外観を示す斜視図である。
【図2】入力装置1を主要な部材に分解した状態を示す斜視図である。
【図3】入力装置1の基板50の外観を示す斜視図である。
【図4】入力装置1の上面の外観(操作ノブを外した状態)を示す斜視図である。
【図5】入力装置1の下面の外観(基板50および筐体80を外した状態)を示す斜視図である。
【図6】入力装置1の下面の外観(筐体80を外した状態)を示す斜視図である。
【図7】入力装置1の断面(図1の断面A)を示す斜視図である。
【図8】入力装置1の断面(図1の断面B)の特徴の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、車載器の入力装置として、ナビゲーション装置の入力装置を例に挙げて説明する。もちろん、車載器はナビゲーション装置に限られず、例えば、エアコン、オーディオなどであってもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態の入力装置1の外観を示す斜視図である。図2は、入力装置1を主要な部材に分解した状態を示す斜視図である。図3は、入力装置1の基板50の外観を示す斜視図である。図4は、入力装置1の上面の外観(操作ノブを外した状態)を示す斜視図である。図5は、入力装置1の下面の外観(基板50および筐体80を外した状態)を示す斜視図である。図6は、入力装置1の下面の外観(筐体80を外した状態)を示す斜視図である。図7は、入力装置1の断面(図1の断面A)を示す斜視図である。図8は、入力装置1の断面(図1の断面B)の特徴の概要を説明する図である。
【0013】
図1に示すように、入力装置1は、上面(Y1側)に操作部(操作面)を有する筐体10と、筐体10の操作部の中央の収納部22(図4および図8参照)に格納された操作ノブ12と、収納部22の周りに配置された複数の押しボタン11とを有する。また、入力装置1は、操作ノブ12が上方向(Y1)に外れるのを防ぐリング部材30が収納部22の周りに取り付けられている。操作ノブ12とリング部材30との間には、操作ノブ12の周囲に沿って、操作ノブ12の回転や傾く動作を許容するクリアランス40がある。
【0014】
図2に示すように、筐体(フロント筐体)10は、入力素子やLEDを有する基板50(図3参照)が内部に組み込まれ、筐体(リア筐体)80により下面(Y2側)が閉じられるようになっている。
【0015】
図3に示すように、基板50は、方向、回転、押下などの複数の操作を検知する入力素子であるマルチスイッチ53と、マルチスイッチ53と操作ノブ12とを接続するマルチスイッチロッド54と、押しボタン11それぞれと対応する位置に配置されたタクトスイッチ55およびLED56とを、上面(Y1側)に有する。
【0016】
本実施形態の入力装置1は、ナビゲーション装置本体とケーブル等を介して接続される。そして、例えば、車両内の2つの前座席の間に、操作部(Y1側)が車両の天井に向けられて設置される。また、筐体80の底面(Y2側)の一端の辺(X2側)が他端の辺(X1側)よりもやや高くなるように(すなわち、操作部が車の前方向に斜めに起き上がるように)、所定角度傾けて設置される。そのため、液体や塵が上面(Y1側)に降り掛かかり易い。そして、押しボタン11と押しボタン11との間の隙間や、操作ノブ12と筐体10との間の隙間(クリアランス40)から、水や埃が浸入し易い。そこで、以下で説明するように、入力装置1は、液体や塵が基板50へ到達するのを防ぐための構造を有する。
【0017】
図4および図8は、入力装置1の筐体10からリング部材30を取り外すとともに、マルチスイッチロッド54から操作ノブ12を取り外した状態を示している。
【0018】
図4および図8に示すように、筐体10の上面(Y1側)には、操作ノブ12が収納される円柱状の収納部22が形成されている。収納部22は、円状の底面(Y1側)と、底面の周囲の側壁21とにより形成される。収納部22の底面は、その中央に、マルチスイッチ53が下(Y2)から上方向(Y1)に挿入されるマルチスイッチ孔20が形成されている。また、収納部22の底面は、マルチスイッチ孔20の外周に、環状の面17、面17よりも上方向(Y1)に高さが高い環状の面18、面17よりも底の高さが低い(深い)環状の排水溝19が形成されている。
【0019】
また、排水溝19には、その底面の所定の位置に、所定の大きさの排水孔15および排水孔16が形成されている。排水孔15および排水孔16には、それぞれ、下方向(Y2)に延びる排水パイプ13および排水パイプ14が連結されている。排水パイプ13および排水パイプ14は、それぞれ、筐体10に取り付けられた基板50の排水パイプ孔51および排水パイプ孔52を貫通している。
【0020】
図2および図3、図6〜8、に示すように、基板50は、筐体10の排水パイプ13および排水パイプ14が貫通する、排水パイプ孔51および排水パイプ孔52が形成されている。また、筐体80は、下面(Y2側)に、外部に通じる排水孔81および排水孔82を有する。
【0021】
ここで、上述したように、筐体80の底面(Y2側)の一端の辺(X2側)が他端の辺(X1側)よりもやや高くなるように車両に設置された場合を考える。この場合に、排水孔16は、排水溝19の底面の中で最も低くなる位置に形成されている。従って、入力装置1の操作面に降り掛かった液体や塵は、まず、操作ノブ12の表面に沿ってクリアランス40から収納部22内に侵入し、排水溝19に侵入する。それから、排水溝19に溜まった液体や塵は、その大部分は、重力により、環状の排水溝19内を流れて排水孔16に向かう。そして、排水孔16および排水パイプ14通じて、基板50を通過し、筐体80内に流れ込む。最終的に、筐体80の排水孔82を通じて、入力装置1の外部に排出される。
【0022】
以上が本発明の一実施形態である。本実施形態によれば、車載器の入力装置において、筐体内の電子部品への液体や塵の侵入をより効果的に防ぐことができる。そして、液体や塵による故障の可能性をより低くすることができる。
【0023】
すなわち、本実施形態では、入力装置の筐体の上面に排水孔を形成し、また、当該排水孔に連結された排水パイプを形成する。また、筐体内部に取り付けらる基板に、排水パイプが下方向に貫通する排水パイプ孔を形成する。また、筐体の、基板よりも下の位置に、外部に通じる排水孔を形成する。これにより、筐体の上面から侵入した液体や塵が電子部品に到達する可能性をできる限り低くすることができる。
【0024】
また、本実施形態では、入力装置の筐体の上面に排水溝を形成し、当該排水溝の底面に排水孔を形成している。これにより、筐体の上面から侵入した液体や塵は、まず排水溝に溜まるため、排水孔により導かれ易くなる。また、液体や塵が排水孔から離れた場所に侵入した場合でも、排水溝に沿って排水孔導かれるようになる。このように、筐体の上面から侵入した液体や塵が電子部品に到達する可能性をできる限り低くすることができる。
【0025】
また、本実施形態では、排水孔の位置は、製品仕様上予め定められた設置位置に入力装置が設置された場合に、高さがより低い位置となるように形成されている。これにより、まず、排水溝に溜まった液体や塵が重力にしたがってより排水孔に導かれ易くなる。このように、筐体の上面から侵入した液体や塵が電子部品に到達する可能性をできる限り低くすることができる。
【0026】
なお、上記の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【0027】
例えば、排水孔および排水パイプは、1組形成されていてもよいし、3組以上形成されてもよい。また、2組の場合と同様に、少なくとも一組は、製品仕様上予め定められた設置位置に入力装置が設置された場合に、高さがより低い位置となるように形成される。また、排水溝は、複数形成されていてもよい。この場合、各排水溝において、上記のように排水孔および排水パイプの位置が決定されるようにすればよい。また、排水孔および排水パイプの大きさ、長さ等は上記に限られない。
【0028】
また、排水溝が形成される位置は、操作ノブの収納部に限られず、排水溝の形状も環状に限られない。例えば、押下ボタンの収納部の下に排水溝を形成しても良い。このとき、排水溝の形状は、押下ボタンと押下ボタンの隙間(クリアランス)の形状に沿った形状としてもよい。
【0029】
また、外部に通じる排水孔の位置、大きさ、数、形状等は上記に限られない。例えば、外部に通じる排水孔の位置は、基板よりも下であれば、筐体の側面であってもよい。また、外部に通じる少なくとも一つは、製品仕様上予め定められた設置位置に入力装置が設置された場合に、高さがより低い位置となるように形成される。
【符号の説明】
【0030】
1:入力装置、10:筐体、11:押しボタン、12:操作ノブ、13:排水パイプ、14:排水パイプ、15:排水孔、16:排水孔、17:面、18:面、19:排水溝、20:マルチスイッチ孔、21:側壁、22:収納部、30:リング部材、40:クリアランス、50:基板、51:排水パイプ孔、52:排水パイプ孔、53:マルチスイッチ、54:マルチスイッチロッド、55:タクトスイッチ、56:LED、80:筐体、81:排水孔、82:排水孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器の入力装置であって、
基板を格納している筐体と、
基板側から前記筐体を貫通して外部に露出している操作部材と、を備え、
前記筐体には、当該筐体と前記操作部材との隙間の位置に対応して、第1排水孔があり、
前記第1排水孔には、排水パイプが接続しており、
前記排水パイプは、前記基板を貫通して、前記基板の裏面側に抜けている、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記筐体には、前記基板の裏面側に、外部に通じる第2排水孔がある、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の入力装置であって、
前記筐体には、当該筐体と前記操作部材との隙間の位置に対応して、排水溝があり、
前記第1排水孔は、前記排水溝の底面に形成されている、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の入力装置であって、
前記第1排水孔は、前記入力装置の上面側が所定角度傾いて設置された場合に、前記排水溝の底面のうちより低くなる位置に形成されている、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置であって、
前記筐体は、前記第1排水孔を少なくとも2つ以上有し、
前記第1排水孔の少なくとも1つは、前記入力装置の上面側が所定の角度傾いて設置された場合に、前記排水溝の底面のうちより低くなる位置に形成されている、
ことを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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