説明

車載機器、車載機器の制御方法および制御プログラム

【課題】複数種類の携帯型機器を接続して使用することができるように構成するとともに、優先順位の高い携帯型機器に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生を行う。
【解決手段】音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器10と接続され、音楽ファイルの再生制御を行う車載機器20を携帯型機器10が接続される接続部21と、接続部21に携帯型機器10が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って音楽ファイルの再生制御を行う優先再生制御部26を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器、車載機器の制御方法および制御プログラムに関し、特に音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続され、当該記憶媒体に記憶された音楽ファイルに基づく音響出力が可能に構成された車載機器、車載機器の制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハードディスク装置等の記憶装置を備え、ハードディスク装置等に記録された音楽ファイル等を再生して音響出力を行うようにした車載機器が知られている。また、この種の車載機器において、USB(Universal Serial Bus)接続型のフラッシュメモリ(以下、「USBメモリ」という。)を外部記憶装置として接続可能に構成し、USBメモリに記録された音楽ファイルを再生して音響出力を行うようにしたものがある。
さらに、車載機器とUSB接続型の携帯型音楽再生装置とを接続可能に構成し、車載機器の制御下で、携帯型音楽再生装置に音楽ファイルの再生を行わせ、再生された音楽ファイルに基づいて車内に音響出力を行うように構成されたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−287379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車載機器の汎用性や利便性を向上するためには、車載機器にはUSBメモリや携帯型音楽再生装置等、複数の種類の携帯型機器を接続して使用可能に構成することが好ましい。この場合、車載機器側では接続される携帯型機器の種類を認識するためのデバイス認識処理を行い、接続された携帯型機器に対応する音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、当該プログラムに従った所定の再生制御手順で音楽ファイルの再生を行うように構成することが考えられる。この様に構成することで、ユーザがどの種類の携帯型機器を有していても、車載機器にユーザの所有する携帯型機器を接続して使用することができる。
しかしながら、車載機器に接続される可能性が最も高い携帯型機器はユーザの所有する携帯型機器であるにも関わらず、車載機器に携帯型機器が接続される都度、デバイス認識処理を行うのは無駄な作業となる。また、携帯型機器が接続される都度、デバイス認識処理を行ったのでは、特定の種類の携帯型機器のみを接続可能に構成した車載機器に対して、音楽ファイルの再生を開始するまでの時間を要するという課題が生じる。
本発明の課題は、複数種類の携帯型機器を接続して使用することができるとともに、優先順位の高い携帯型機器に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生を行うことのできる車載機器、車載機器の制御方法および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の車載機器は、音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続され、前記音楽ファイルの再生制御を行う車載機器であって、前記携帯型機器が接続される接続部と、前記接続部に前記携帯型機器が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って前記音楽ファイルの再生制御を行う優先再生制御部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、複数種類の携帯型機器と接続して、携帯型機器の記憶媒体に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う際に、優先順位の最も高い再生制御手順に従って音楽ファイルの再生制御を行う優先再生制御部を備えたので、例えば、ユーザの有する携帯型機器等に応じた再生制御手順を優先順位の最も高い再生制御手順とすれば、接続部に優先順位の最も高い携帯型機器が接続された際に、速やかに音楽ファイルの再生を行うことができる。
【0005】
また、上記構成において、前記複数種類の携帯型機器毎に各携帯型機器に応じた前記音楽ファイルの再生制御手順を記憶する再生制御手順記憶部と、前記複数種類の携帯型機器のうち、優先順位の最も高い携帯型機器を記憶する優先順位記憶部と、を備え、前記優先再生制御部は、前記優先順位記憶部に記憶された優先順位の最も高い携帯型機器に応じた再生制御手順を前記優先順位の最も高い再生制御手順とすること、が好ましい。
上記構成によれば、再生制御手順記憶部には、複数種類の携帯型機器毎に各携帯型機器に応じた音楽ファイルの再生制御手順が記憶されているので、車載機器は接続された携帯型機器に応じた再生制御手順で音楽ファイルの再生制御を行うことができる。また、優先順位記憶部には複数種類の携帯型機器のうち、優先順位の最も高い携帯型機器を記憶するので、優先順位記憶部にユーザの有する携帯型機器を優先順位の最も高い携帯型機器として記憶させておけば、接続部を介して車載機器に携帯型機器が接続された場合、優先再生制御部により直ちに優先順位の最も高い携帯型機器に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生制御を行わせることができる。
【0006】
上記構成において、前記優先順位記憶部には、前記接続部に前回接続された携帯型機器が前記優先順位の最も高い携帯型機器として記憶されることが好ましい。
あるいは、前記優先順位記憶部には、過去に前記接続部に接続された頻度の高い携帯型機器が前記優先順位の最も高い携帯型機器として記憶されるように構成してもよい。
上記構成によれば、前回接続された携帯型機器あるいは過去に接続部に接続された頻度の高い携帯型機器を優先順位の最も高い携帯型機器として優先順位記憶部に記憶されるので、使われる頻度の高い携帯型機器に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生制御を行うことができる。
【0007】
また、上記構成において、前記優先順位の最も高い再生制御手順に従って、前記音楽ファイルの再生ができるか否かを判別する再生判別部と、前記接続部に接続された携帯型機器の種類を識別する携帯型機器識別部と、前記優先再生制御部により前記音楽ファイルの再生ができないと判別された場合、前記携帯型機器識別部により、前記携帯型機器の種類を識別させ、前記再生制御手順記憶部に記憶された当該携帯型機器に応じた再生制御手順に従って、前記音楽ファイルの再生制御を行う通常再生制御部とを備えることが好ましい。
この構成によれば、車載機器に優先順位の最も高い携帯型機器とは異なる種類の携帯型機器が接続部を介して接続された場合、通常制御部は、接続部に接続された携帯型機器の種類が識別され、当該携帯型機器に応じた再生制御手順で音楽ファイルの再生制御を行うので、ユーザが普段接続しない携帯型機器が車載機器に接続された場合にも、音楽ファイルの再生制御を行うことができる。
【0008】
また、本発明の車載機器の制御方法は、音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続される接続部を備え、前記音楽ファイルの再生制御を行う車載機器を制御するための車載機器の制御方法であって、前記接続部に前記携帯型機器が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って前記音楽ファイルの再生制御を行う過程を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の制御プログラムは、音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続される接続部を備え、前記音楽ファイルの再生制御を行う車載機器をコンピュータを用いて制御するための制御プログラムであって、前記接続部に前記携帯型機器が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って前記音楽ファイルの再生制御を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数種類の携帯型機器を接続して使用することができ、優先順位の高い携帯型機器に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1に本実施の形態の車載機器20の機能的構成を示す。図1に示す車載機器20は、音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類のUSB機器10を接続して使用することができ、USB機器10に記憶された音楽ファイル、あるいは、USB機器10において再生された音楽ファイルに基づいて、車内(図示略)に設置されたスピーカ30から音響信号を出力可能に構成したものである。
【0012】
本実施の形態では、車載機器20に接続可能なUSB機器(携帯型機器)10として、USBメモリ11、2種類の携帯型音楽再生装置12、13を例に挙げて説明する。これらのUSB機器10はいずれもUSB接続端子11a、12a、13aを介して車載機器20に物理的および電気的に接続される。
USBメモリ11は、USB接続端子11aを有するフラッシュメモリの他、USB規格において定義されるマスストレージクラスに準拠したデバイスであればどのようなデバイスであってもよい。但し、USBメモリ11には、音楽ファイルが記憶されているものとして以下説明する。また、音楽ファイルはMP3、WMA、AAC,ATRAC、OGGなどの所定の圧縮形式により圧縮されて記憶されているものとする。
【0013】
一方、携帯型音楽再生装置12、13はそれぞれUSB接続端子12a、13aを備え、図示しない音楽ファイルを記録する記録媒体、音楽ファイルを再生する再生部等を有している。音楽ファイルはMP3、WMA、AAC,ATRAC、OGGなどの所定の圧縮形式により圧縮されて記録媒体に記録されており、車載機器20の制御の下、指定された音楽ファイルを再生して車載機器20に再生された音楽ファイルを転送するように構成されている。また、携帯型音楽再生装置12、13の記録媒体に記録されたこれらの音楽ファイルは、デジタル著作権管理(DRM:Digital Rights Management)技術により、所定の暗号化処理等が施された上で、車載機器20に転送される。各携帯型音楽再生装置12、13ではそれぞれ異なるDRM技術を採用している。例えば、一方の携帯型音楽再生装置12はA方式のDRM技術が採用されており、他方の携帯型音楽再生装置13はB方式のDRM技術が採用されており、ホスト機器としての車載機器20には各携帯型音楽再生装置12、13のDRM技術に対応する所定の音楽ファイル再生制御用プログラム(ソフト)を用いなければ、携帯型音楽再生装置12、13の再生制御を行うことができないようになっている。
【0014】
一方、車載機器20は、USB機器10を接続するためのUSB接続部(接続部)21と、USB接続部21を介してUSB機器10(主としてUSBメモリ11)から転送された圧縮された音楽ファイルの伸張処理等を行う音楽再生部22と、音楽再生部22において再生されたデジタル信号としての音響信号に対して音質調整処理、音量調整処理等の各種処理を施すオーディオDSP23と、オーディオDSPにおいて各種処理が施されたデジタル信号としての音響信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ24aおよびアナログ信号としての音響信号を増幅してスピーカ30に出力するアンプ24bとを有する音声出力部24とを備えている。
【0015】
上記のUSB接続部21は、更に、USB機器10が有するUSB接続端子11a、12a、13aを物理的に接続するためのUSBコネクタ21aと、USB規格において定義されるUSBの物理層、論理層の制御を行う制御LSI(Large Scale Integration)であるUSBコントローラ21bとを備えている。
また、上記の音楽再生部22は、圧縮された音楽ファイルの伸張処理等を行うデコーダ22aと、デコーダ22aが伸張処理等を実行するために用いる動作用メモリであるDRAM22bとを備えている。
【0016】
車載機器20は、上述の構成に加えて、更に、操作内容や各種情報を表示するとともにユーザからの操作入力を受け付ける操作表示部25と、当該車載機器20の各部を制御する制御部(優先再生制御部、通常再生制御部)26とを備えている。
操作表示部25は、車載機器20から出力される各種データに従って、操作内容や各種情報を表示するディスプレイ装置25aと、ユーザにより押下操作される操作キー25bおよびディスプレイ装置25aに設けられるタッチパネル等の操作手段と、ディスプレイ装置25aの表示制御や上記操作手段を介して入力される操作信号を制御部26に出力する表示/操作キー制御部25cとを備えている。
【0017】
制御部26は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備え、制御部26において、CPUはROM等に記憶された各種制御プログラムに従ってRAMの一部を作業領域として各種演算を行うことにより、これらの協働の下、各種処理を実行するものである。制御部26は、ROM等に記憶された各種制御プログラムに従った処理を実行することにより、車載機器20の各部を制御する。制御部26のROM等にはUSBメモリ11または、図示しないハードディスク装置等に記憶された音楽ファイルを音楽再生部22等を制御して再生する際に用いる音楽ファイル再生制御用プログラムの他、各携帯型音楽再生装置12、13に対して音楽ファイルの再生や再生された音楽ファイルの転送等を制御するために用いる音楽ファイル再生制御用プログラムが記憶されている。制御部26は、USB接続部21を介して接続されたUSB機器10に応じた音楽ファイル再生制御用プログラムに従って、USB機器10に記憶された音楽ファイルを所定の再生制御手順で再生させ、スピーカ30から音響出力されるように制御する。
【0018】
ここで、車載機器20はUSB規格に準拠しており、USB機器10が接続された場合にホスト機器として動作する。このため、制御部26では、USB機器10が接続されたことを検出すると、デバイスディスクリプタ情報と呼ばれるUSB機器10の種類(USB機器10のベンダID、プロダクトID等)等を表す情報をUSB機器10から取得してUSB機器10のデバイス認識処理を行い、接続されたUSB機器10に対応する音楽ファイル再生制御用プログラムを起動するように設計されている。
【0019】
しかしながら、車載機器20に接続されるUSB機器10は、USBメモリ11、A方式の携帯型音楽再生装置12、B方式の携帯型音楽再生装置13等であり、車載機器20ではUSB機器10が接続されるまでそれがどのUSB機器10であることを識別することはできないが、車載機器20に接続されるUSB機器10はユーザの有する特定の種類のUSB機器10である場合が多い。そこで、本実施の形態の車載機器20では、制御部26のROMには、ROM等に記憶された優先順位の最も高いUSB機器10に対応する音楽ファイル再生制御用プログラムを直ちに起動して、速やかに音楽ファイルを再生させる優先再生制御動作を行うように構成されている。
但し、優先順位の最も高いUSB機器10は優先順位記憶部としてのRAM等に記憶されている。また、制御部26は、USB機器10の過去の所定回数分の接続履歴をRAM等に記憶させており、過去にUSB接続部21に接続された回数(頻度)の高いUSB機器10が優先順位の最も高いUSB機器10として自動的に記憶されるようになっている。
【0020】
以下、図2を参照して、制御部26の制御の下で実行される、優先再生制御処理について説明する。但し、図2において、優先順位の最も高いUSB機器10として、USBメモリ11が制御部26のRAM等に記憶されているものとして説明する。
制御部26は、USB接続部21にUSB機器10が接続されたことを検出すると(ステップS1:Y)、直ちにUSBメモリ11から音楽ファイルを再生するための音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、USBメモリ11に記憶された音楽ファイルの再生を音楽再生部22に行わせるように制御する(ステップS2)。
ここで、所定の時間内にUSB接続部21に接続されたUSB機器10に記憶された音楽ファイルの再生ができたか否かを判別する(ステップS3)。そして、USB機器10に記憶された音楽ファイルを再生することができると判別された場合(ステップS3:Y)、USB機器10の接続が解除されるまで、USBメモリ11に対応する音楽ファイル再生制御用プログラムに従ってUSBメモリ11に記憶された音楽ファイルの再生制御処理を継続する。但し、図2には図示を省略したが、ステップS3において、一度、USBメモリ11に記憶された音楽ファイルを再生することができたと判別された場合は、次回よりステップS3はスキップされる。
【0021】
一方、所定の時間内にUSB機器10に記憶された音楽ファイルを再生ができなかったと判別された場合(ステップS3:N)、USB機器10とのデバイス認識処理を行うべく、USB機器10に対してデバイスディスクリプタ情報の送信を要求する(ステップS5)。次いで、USB機器10から返送されるデバイスディスクリプタ情報に基づいて、USB機器10の種類を識別する(ステップS6)。識別の結果、USB接続部21に接続されたUSB機器10がA方式のDRM技術を採用する携帯型音楽再生装置12であると判別された場合(ステップS6:A方式)、制御部26は、当該携帯型音楽再生装置12に応じた音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、A方式のDRM技術に対応する所定の再生制御手順に従って携帯型音楽再生装置12の図示せぬ記憶媒体に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う(ステップS7)。そして、携帯型音楽再生装置12の接続が解除されるまで(ステップS8:Y)、携帯型音楽再生装置12に応じた音楽ファイル再生用制御プログラムに従って音楽ファイルの再生制御処理を行う。
【0022】
一方、ステップS6においてUSB接続部21に接続されたUSB機器10がB方式のDRM技術を採用する携帯型音楽再生装置13であると判別された場合(ステップS6:B方式)、制御部26は、当該携帯型音楽再生装置13に応じた音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、B方式のDRM技術に対応する所定の再生制御手順に従って携帯型音楽再生装置13の図示せぬ記憶媒体に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う(ステップS9)。そして、携帯型音楽再生装置13の接続が解除されるまで(ステップS10:Y)、携帯型音楽再生装置13に応じた音楽ファイル再生用制御プログラムに従って音楽ファイルの再生制御処理を行う。
【0023】
以上説明した本実施の形態によれば、複数種類(図示例では3種類)のUSB機器10と接続して、USB機器10の図示しない記憶媒体に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う際に、優先再生制御部としての制御部26は、USB機器10がUSB接続部21に接続された場合には、優先順位の最も高いUSB機器10に応じた音楽再生制御用プログラムを起動して、優先順位の最も高いUSB機器10に応じた再生制御手順に従って、音楽ファイルの再生制御を行うので、優先順位の最も高いUSB機器10をUSB接続部21に接続した場合には、当該USB機器10に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生制御を行うことができる。
【0024】
また、上記実施の形態によれば、制御部26のROM等には、複数種類のUSB機器10毎に各USB機器10(11、12、13)に応じた音楽ファイル再生制御用プログラムが記憶されているので、車載機器20は接続されたUSB機器10に応じた再生制御手順で音楽ファイルの再生制御を行うことができる。また、制御部26のRAM等には複数種類のUSB機器10のうち、優先順位の最も高いUSB機器10(上記実施形態ではUSBメモリ11)を記憶するので、USB接続部21を介して車載機器20にUSB機器10が接続された場合、デバイスディスクリプタ情報の送信要求等を行うことなく、直ちに優先順位の最も高いUSB機器10に応じた再生制御手順で速やかに音楽ファイルの再生制御を行わせることができる。
【0025】
また、上記実施形態によれば、制御部26のRAM等に過去にUSB接続部21に接続された頻度の高いUSB機器10を優先順位の最も高いUSB機器10として自動的に記憶されるので、ユーザは優先順位の最も高いUSB機器10をRAM等に記憶させるための登録操作等を行う必要がなく、利便性が高い。
また、上記実施形態によれば、車載機器20に優先順位の最も高いUSB機器10(USBメモリ11)とは異なる種類のUSB機器10(携帯型音楽再生装置12、携帯型音楽再生装置13)がUSB接続部21を介して接続された場合、制御部26は、USB接続部21に接続された携帯型音楽再生装置12、13の種類が識別され(ステップS5、6)、当該携帯型音楽再生装置12、13に応じた再生制御手順で音楽ファイルの再生制御を行うので、ユーザが普段接続しない携帯型音楽再生装置12、13が車載機器20に接続された場合にも、音楽ファイルの再生制御を行うことができる。
また、ユーザが普段車載機器20に接続して使用するUSB機器10の種類が例えば、USBメモリ11からA方式のDRM技術を採用する携帯型音楽再生装置12に変わった場合であっても、携帯型音楽再生装置12の使用頻度が高くなれば、制御部26のRAM等に記憶される優先順位の最も高いUSB機器10が携帯型音楽再生装置12に置き換わるので、ユーザの使用するUSB機器10が変化した場合でも、ユーザの使用頻度の高いUSB機器10を優先順位の最も高いUSB機器10として、当該USB機器10に応じた音楽再生制御用プログラムを起動して、音楽ファイルの速やかな再生制御処理を行うことができる。
【0026】
以上説明した本発明の実施の形態は、本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態において、制御部26のRAM等に過去の接続履歴に基づき、過去にUSB接続部21に接続された回数の多いUSB機器10が優先順位の最も高いUSB機器10として記憶されるものとして説明したが、単に前回使用時にUSB接続部21に接続されたUSB機器10を優先順位の最も高いものとして記憶する構成としてもよい。
また、操作表示部25における操作により、ユーザが適宜優先順位の最も高いUSB機器10を入力(又は選択)して、ユーザ操作により優先順位の最も高いUSB機器10を登録することができる構成としてもよい。
【0027】
また、上記実施の形態では、優先順位の最も高いUSB機器10としてUSBメモリ11を例に挙げて説明したが、優先順位の最も高いUSB機器10はUSBメモリ11に限定されるものではないのは勿論であり、携帯型音楽再生装置12又は携帯型音楽再生装置13であってもよい。更に、車載機器20に接続されるUSB機器10の例として、USBメモリ11とDRM技術の異なる二種類の携帯型音楽再生装置12、13を例に挙げて説明したが、車載機器20に接続されるUSB機器10は3種類に限定されるものではなく、少なくとも二種類以上であれば何種類のUSB機器10が接続されてもよい。
また、携帯型機器の例としてUSB接続端子11a、12a、13aを介して車載機器20に接続されるUSB機器10(USBメモリ11、携帯型音楽再生装置12、13)を例に挙げて説明したが、携帯型機器はUSB端子を介して車載機器20に接続されるものに限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信技術等を利用して車載機器20に接続されるBluetooth技術対応の携帯型機器であってもよい。
【0028】
また、上記実施の形態では、USB接続部21にUSB機器10が接続された場合は、直ちに優先順位の最も高い音楽ファイル再生制御用プログラムを起動するものとして説明したが、例えば、優先再生制御処理を行わせるか否かをユーザに設定させ、ユーザにより優先再生制御処理(優先再生制御モード)が設定されている場合に、当該処理を行わせるようにしてもよい。以下、図3を参照して、この場合の処理手順を説明する。但し、優先再生制御処理の設定は、上記の操作表示部25により行うようにしてもよいし、例えば、操作キー25bの一つとして設定ボタンを備えるようにしてもよい。また、図3においても、優先順位の最も高いUSB機器10としてUSBメモリ11がRAM等に記憶されているものとする。
【0029】
図3に示すように、この場合、制御部26は、USB機器10がUSB接続部21に接続されたことを検出すると(ステップS11:Y)、優先再生制御モードが設定されているか否かを判別する(ステップS12)。優先再生モードが設定されている場合(ステップS12:Y)、制御部26は、直ちにUSBメモリ11から音楽ファイルを再生するための音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、USBメモリ11に記憶された音楽ファイルの再生を音楽再生部22に行わせるように制御する(ステップS13)。そして、USB接続部21からUSBメモリ11の接続が解除されるまで(ステップS14:Y)、USBメモリ11に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う。
【0030】
一方、優先再生制御モードが設定されていないと判別した場合(ステップS12:N)、次に、制御部26は、USB機器10とのデバイス認識処理を行うべく、USB機器10に対してデバイスディスクリプタ情報の送信を要求する(ステップS15)。ここで、一定時間以内にUSB機器10から返送が無い場合(ステップS16:N)には、強制的にUSBメモリ11が接続されたものとしてステップS13に移行する。一方、一定時間以内にUSB機器10からデバイスディスクリプタ情報の返送があった場合(ステップS16:Y)、デバイスディスクリプタ情報に基づいて、USB機器10の種類を識別する(ステップS17)。識別の結果、USB接続部21に接続されたUSB機器10がUSBメモリ11であると判別された場合(ステップS17:USBメモリ)は、上記ステップS13へ移行する。
【0031】
また、ステップS17において、USB接続部21に接続されたUSB機器10がA方式のDRM技術を採用する携帯型音楽再生装置12であると判別された場合(ステップS17:A方式)、制御部26は、当該携帯型音楽再生装置12に応じた音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、A方式のDRM技術に対応する所定の再生制御手順に従って携帯型音楽再生装置12の図示せぬ記憶媒体に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う(ステップS18)。そして、携帯型音楽再生装置12の接続が解除されるまで(ステップS19:Y)、携帯型音楽再生装置12に応じた音楽ファイル再生用制御プログラムに従って音楽ファイルの再生制御処理を行う。
【0032】
一方、ステップS17において、USB接続部21に接続されたUSB機器10がB方式のDRM技術を採用する携帯型音楽再生装置13であると判別された場合(ステップS17:B方式)、制御部26は、当該携帯型音楽再生装置13に応じた音楽ファイル再生制御用プログラムを起動して、B方式のDRM技術に対応する所定の再生制御手順に従って携帯型音楽再生装置13の図示せぬ記憶媒体に記憶された音楽ファイルの再生制御を行う(ステップS20)。そして、携帯型音楽再生装置13の接続が解除されるまで(ステップS21:Y)、携帯型音楽再生装置13に応じた音楽ファイル再生用制御プログラムに従って音楽ファイルの再生制御処理を行う。
【0033】
なお、上記説明した場合において、優先再生制御モードが設定されていると判別された場合(ステップS12:Y)に、図2において示したように、所定時間内に接続されたUSB機器10に記憶された音楽ファイルの再生ができたか否かを判別するステップを設けてもよい。そして、所定時間内に音楽ファイルの再生ができなかったと判別された場合には、ステップS15に移行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態に係る車載機器の機能的構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態の他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10 USB機器
11 USBメモリ
11 携帯型音楽再生装置
11a USB接続端子
12、13 携帯型音楽再生装置
11a、12a、13a USB接続端子
20 車載機器
21 USB接続部(接続部)
22 音楽再生部
22a デコーダ
22b DRAM
23 オーディオDSP
24 音声出力部
24a D/Aコンバータ
24b アンプ
25 操作表示部
26 制御部(優先再生制御部、通常再生制御部)
30 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続され、前記音楽ファイルの再生制御を行う車載機器であって、
前記携帯型機器が接続される接続部と、
前記接続部に前記携帯型機器が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って前記音楽ファイルの再生制御を行う優先再生制御部と、
を備えたことを特徴とする車載機器。
【請求項2】
請求項1記載の車載機器において、
前記複数種類の携帯型機器毎に各携帯型機器に応じた前記音楽ファイルの再生制御手順を記憶する再生制御手順記憶部と、
前記複数種類の携帯型機器のうち、優先順位の最も高い携帯型機器を記憶する優先順位記憶部と、
を備え、
前記優先再生制御部は、前記優先順位記憶部に記憶された優先順位の最も高い携帯型機器に応じた再生制御手順を前記優先順位の最も高い再生制御手順とすること、
を特徴とする車載機器。
【請求項3】
請求項2記載の車載機器において、
前記優先順位記憶部には、前記接続部に前回接続された携帯型機器が前記優先順位の最も高い携帯型機器として記憶されること、
を特徴とする車載機器。
【請求項4】
請求項2記載の車載機器において、
前記優先順位記憶部には、過去に前記接続部に接続された頻度の高い携帯型機器が前記優先順位の最も高い携帯型機器として記憶されること、
を特徴とする車載機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載機器において、
前記優先順位の最も高い再生制御手順に従って、前記音楽ファイルの再生ができるか否かを判別する再生判別部と、
前記接続部に接続された携帯型機器の種類を識別する携帯型機器識別部と、
前記優先再生制御部により前記音楽ファイルの再生ができないと判別された場合、前記携帯型機器識別部により、前記携帯型機器の種類を識別させ、前記再生制御手順記憶部に記憶された当該携帯型機器に応じた再生制御手順に従って、前記音楽ファイルの再生制御を行う通常再生制御部と、
を備えたことを特徴とする車載機器。
【請求項6】
音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続される接続部を備え、前記音楽ファイルの再生制御を行う車載機器を制御するための車載機器の制御方法であって、
前記接続部に前記携帯型機器が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って前記音楽ファイルの再生制御を行う過程を備えたこと、
を特徴とする車載機器の制御方法。
【請求項7】
音楽ファイルを記憶する記憶媒体を有する複数種類の携帯型機器と接続される接続部を備え、前記音楽ファイルの再生制御を行う車載機器をコンピュータを用いて制御するための制御プログラムであって、
前記接続部に前記携帯型機器が接続された場合、優先順位の最も高い再生制御手順に従って前記音楽ファイルの再生制御を行わせること、
を特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−245042(P2008−245042A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84728(P2007−84728)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】