説明

車載用アンテナ装置

【課題】コネクタ接続端子位置のバラつきを防止すると共に、ケースを一部品として部品点数を削減することができる車載用アンテナ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、アンテナ組立体2と、有底穴41が形成されたケース4と、を備え、アンテナ組立体2が有底穴41に挿入されて固定された車載用アンテナ装置であって、ボビン21の前端部に長手方向と直角な周方向に突出して設けられ、ケース4の内周面に当接してアンテナ組立体2を周方向に位置決めする位置決めフランジ6と、ケース4の当接面と当接してアンテナを長手方向に位置決めする位置決め部2aと、位置決め部2aが当接面に当接した状態でケースに設けられたケース係合部43と係合してアンテナ組立体2をケース4に固定するボビン係合部9と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載用アンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、無線を用いてドアやトランクのロック/アンロックを行うスマートキーシステムが主流になっている。無線を用いるシステムでは、例えば特開2008−42237号公報(特許文献1)に記載のように、アンテナ体がケースに収容された送信アンテナ装置が、ドアハンドル内やリアバンパ内に配置されている。ケースが車体に取り付けられ、アンテナ体と車両側のコネクタとが接続される。ケースとコネクタによりシール性能が発揮され、アンテナ体が被水から保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−42237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用アンテナ装置のコネクタとの接続では、アンテナ装置におけるコネクタ接続端子の位置が固定されていることが重要である。例えば、特許文献1の図1に示されたアンテナ装置では、コネクタ接続端子が組み込まれている端子台とケース内周面との当接点や、当該端子台とハウジングの当接点により、コネクタ接続端子の位置が決まる。ここで、端子台がケース内周面のどこに当たるかによって、コネクタ接続端子の位置にバラつきが生じうる。
【0005】
また、上記アンテナ装置では、アンテナ体の抜け落ち防止の観点から、複数の部材(ハウジングやケース)によりアンテナ体が収容されている。そして、ケース内には、ハウジングとケースの間の液密性を確保するためにOリングが配置されている。上記アンテナ装置では、ハウジングとケースの間、およびハウジングの開口端(コネクタとの嵌合部分)の2箇所でシール性を確保しなければならない。このように、従来のアンテナ装置では、部品点数およびシール性能の面で問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、コネクタ接続端子位置のバラつきを防止すると共に、ケースを一部品として部品点数を削減し且つシール性能を向上させることができる車載用アンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する請求項1に係る車載用アンテナ装置の発明は、ボビンと、前記ボビンに長手方向に沿って支持されたコアと、前記コアを巻回するコイルと、コンデンサと、各一端が前記ボビンの前端から長手方向に突出し、各他端が前記コイルおよび前記コンデンサの直列回路の各端部にそれぞれ接続された第一および第二のコネクタ接続端子と、で一体的に組成されたアンテナ組立体と、前端側で開口し後端側に閉塞底面を有する有底穴が形成されたケースと、を備え、前記第一および第二のコネクタ接続端子が前記開口側に位置するように前記アンテナ組立体が前記有底穴に挿入されて固定された車載用アンテナ装置であって、前記第一および第二のコネクタ接続端子が突出する前記ボビンの前端部に長手方向と直角な周方向に突出して設けられ、前記ケースの内周面に当接して前記アンテナ組立体を周方向に位置決めする位置決めフランジと、前記ボビンに設けられ、ケースの当接面と当接してアンテナを長手方向に位置決めする位置決め部と、前記ボビンに設けられ、前記位置決め部が前記当接面に当接した状態で前記ケースに設けられたケース係合部と係合して前記アンテナ組立体を前記ケースに固定するボビン係合部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記ケースの前端に開口する前記有底穴の前端部には、挿入される外部コネクタと液密的に嵌合する嵌合部が形成され、前記第一および第二のコネクタ接続端子は、前記ボビンの一外周面に突出する第一および第二接続部とそれぞれ電気的に接続されて前記ボビンに設けられ、前記ボビンには、前記位置決めフランジとの間で前記第一および第二接続部を挟むように保護フランジが前記第一および第二接続部より周方向外側に突出するように設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記ボビンの前記コイルが巻回された部分より後端側に設けられ、前記ケースの内周面に当接して前記アンテナ組立体を周方向に位置決めする弾性部材を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記弾性部材は、前記ボビンからそれぞれ直交する4方向に突出することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項2〜4のいずれか一項において、前記ケースに形成された有底穴には、前端側から後端側に向かって、外部コネクタと液密的に嵌合する嵌合部と、第一および第二のコネクタ接続端子、前記位置決めフランジ、前記第一および第二接続部、並びに前記保護フランジが設けられた前記アンテナ組立体の前側部分を収容する大穴部と、前記コイルおよび前記コアが設けられた前記アンテナ組立体の後側部分を収容する小穴部と、が設けられるとともに、前記大穴部と前記小穴部との間に前端側から後端側に向かって内側に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項において、前記位置決め部は、前記ケースの閉塞底面と当接する前記アンテナ組立体の後端部であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5において、前記位置決め部は、前記ケースの前記傾斜面と当接する前記保護フランジであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、位置決めフランジにより、コネクタ接続端子が配置されるアンテナ組立体の位置について、ケース開口側でのバラつきが防止される。これにより、車載用アンテナ装置と車両側コネクタとの接続はスムーズに行える。また、ボビン係合部およびケース係合部によりアンテナ組立体の前方への動きが規制されるため、アンテナ組立体の抜け落ちが防止される。これに伴い、ケースには別体の蓋部材が不要となり、ケースを一部品で構成することができる。また、一部品であるため、他部品との接続部分がなく、Oリングが不要となり、シール性能も向上する。本発明によれば、部品点数を削減し且つシール性能を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、アンテナ組立体をケースに挿入する際(組立工程)、ケース内周面に対し保護フランジが第一および第二接続部よりも先に当接し、ケース内周面(シール面)が傷つくことが防止される。なお、一外周面とは、長手方向直交断面が多角形の外周面のうちの一面である。多角形には、角が丸いものも含まれる。
【0016】
請求項3の発明によれば、アンテナ組立体の閉塞底面側でも位置決めが行われ、より確実にアンテナ組立体のバラつきを防止することができる。また、この構成によれば、車載用アンテナ装置への外部からの衝撃を吸収し、アンテナ組立体を保護することもできる。
【0017】
請求項4の発明によれば、さらにアンテナ組立体のバラつきが防止され、且つ、衝撃吸収によるアンテナ組立体の保護が強化される。
【0018】
請求項5の発明によれば、アンテナ組立体をケースに挿入する際、傾斜面により、よりスムーズに挿入することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、簡易な構成により、アンテナ組立体の長手方向の位置決めが可能となる。
【0020】
請求項7の発明によれば、アンテナ組立体の後方端部とケースの閉塞端面との間に間隔を設けることができ、外部からの衝撃に対するアンテナ組立体の後方端部の観点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車載用アンテナ装置1の側面を示す部分断面図である。
【図2】車載用アンテナ装置1の正面図である。
【図3】アンテナ組立体2の上方から見た平面図である。
【図4】アンテナ組立体2の下方から見た底面図である。
【図5】コネクタCを接続した状態の車載用アンテナ装置1を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、好ましい実施形態を挙げ、図1〜図5を参照して本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、リアバンパ内に取り付けられ、携帯機に電波を送信する送信アンテナを例にして説明する。図1は、ケース4のみ断面図である。
【0023】
本実施形態の車載用アンテナ装置1は、アンテナ組立体2と、ケース4と、を備えている。ケース4は、有底筒形状であって、前端側が開口し後端側に閉塞底面41aを有する有底穴41が形成されたものである。本実施形態において、ケース4の長手方向が前後方向となる。ケース4の前後方向直交断面は、角が丸い略矩形となっている。ケース4は、一体形成されたもの、すなわち一部品で構成されている。ケース4の詳細については後述する。
【0024】
アンテナ組立体2は、図1〜図4に示すように、ボビン21と、コア22と、コイル23と、コンデンサ24と、第一および第二のコネクタ接続端子31、32と、第一接続部51と、第二接続部52と、位置決めフランジ6と、保護フランジ7と、第一〜第四弾性部材81〜84と、ボビン係合部9と、を備えている。
【0025】
ボビン21は、樹脂からなり、前後方向に延伸した略直方体形状に形成されている。コア22は、棒状の磁性体であって、ボビン21に長手方向(前後方向)に沿って支持されている。コイル23は、ボビン21の前後方向略中央で、コア22に巻回されている。コンデンサ24は、コイル23と電気的に直列接続されており、コイル23とで共振回路を構成する。
【0026】
第一および第二のコネクタ接続端子31、32は、各一端がボビン21の前端から長手方向に突出している。換言すると、第一および第二のコネクタ接続端子31、32は、ボビン21の前端面から並列して前方に突出したコネクタ接続用の端子である。第一のコネクタ接続端子31の他端は、後述する第一接続部51を介して、コイル23の一端部に電気的に接続されている。第二のコネクタ接続端子32の他端は、コンデンサ24および第二接続部52を介して、コイル23の他端部に電気的に接続されている。
【0027】
第一接続部51は、金属からなり、一端部がボビン21の上面から上方に突出している。第一接続部51の一端部には、コイル23の一端部が巻き付けられている。第一接続部51は、一端部がコイル23に電気的に接続され、他端部がボビン21内でコネクタ接続端子31に電気的に接続されている。
【0028】
第二接続部52は、金属からなり、一端部がボビン21の上面から上方に突出している。第二接続部52の一端部には、コイル23の他端部が巻き付けられている。第二接続部52は、一端部がコイル23に電気的に接続され、他端部がボビン21内でコンデンサ24に電気的に接続されている。
【0029】
位置決めフランジ6は、樹脂からなり、ボビン21の前方端部に、外周面の周方向(各面から垂直)に突出するように設けられている。換言すると、位置決めフランジ6は、ボビン21におけるコネクタ接続端子31、32の根元位置に周方向に並んで設けられている。位置決めフランジ6は、上面フランジ61と、下面フランジ62と、左側面フランジ63と、右側面フランジ64と、からなっている。
【0030】
上面フランジ61は、ボビン21の上面から凹形状に上方に突出し、両先端がケース4の内周面に当接している。下面フランジ62は、ボビン21の下面から下方に突出し、先端がケース4の内周面に当接している。左側面フランジ63は、ボビン21の左側面から突出し、先端がケース4の内周面に当接している。右側面フランジ64は、ボビン21の右側面から突出し、先端がケース4の内周面に当接している。つまり、位置決めフランジ6は、周方向に配置された各フランジ61〜64がケース4内周面に当接し、ケース4内における、アンテナ組立体2の前後方向に直交する方向への動きを規制している。位置決めフランジ6は、アンテナ組立体2のコネクタ接続端子31、32の根元位置(アンテナ組立体2の前端部)での位置決めを実現している。
【0031】
保護フランジ7は、ボビン21の上面において、両接続部51、52よりも閉塞底面41a側に位置している。保護フランジ7は、樹脂からなり、ボビン21の上面から平板状に突出している。保護フランジ7は、ボビン21の上面の左右方向いっぱいに延在している。保護フランジ7は、ボビン21の上面からの垂直高さが両接続部51、52の垂直高さよりも大きくなっている。換言すると、ボビン21には、位置決めフランジ6との間で第1および第2接続部51、52を挟むように保護フランジ7が第1および第2接続部51、52より周方向外側に突出するように設けられている。保護フランジ7の先端は、ケース4内周面に対して離間している。
【0032】
第一弾性部材81は、樹脂からなり、ボビン21の後端部上面に設けられている。第一弾性部材81は、板を湾曲させて上方に膨らませた形状であり、上下方向の弾力が大きくなっている。第一弾性部材81は、若干沈んだ状態でケース4内周面に当接している。つまり、第一弾性部材81は、一部(膨らみの頂点部分)がケース4内周面に対して付勢されて当接している。
【0033】
第二弾性部材82は、樹脂からなり、ボビン21の後端部下面に設けられている。第二弾性部材82は、ボビン21の一部を下方に湾曲させて板形状に突出させたものであり、上下方向の弾力が大きくなっている。第二弾性部材82は、先端が根元よりもケース4前端側に位置している。第二弾性部材82は、若干上方に押された状態でケース4内周面に当接している。つまり、第二弾性部材82は、一部(先端)がケース4内周面に対して付勢されて当接している。
【0034】
第三弾性部材83は、樹脂からなり、ボビン21の後端部左側面に設けられている。第三弾性部材83は、ボビン21左側面から薄く凸状に盛り上がった形状であり、左右方向の弾力が大きくなっている。第三弾性部材83は、頂面がケース4から若干押された状態でケース4内周面に当接している。つまり、第三弾性部材83は、一部(頂面)がケース4内周面に対して付勢されて当接している。
【0035】
第四弾性部材84は、樹脂からなり、ボビン21の後端部右側面に設けられている。第四弾性部材84は、ボビン21右側面から薄く凸状に盛り上がった形状であり、左右方向の弾力が大きくなっている。第四弾性部材84も、第三弾性部材83と同様、一部(頂面)がケース4内周面に対して付勢されて当接している。アンテナ組立体2の閉塞底面41a側の端部は、各弾性部材81〜84により、位置決めされている。
【0036】
ボビン係合部9は、樹脂からなり、上面フランジ61の両先端の間から後方に突出している。ボビン係合部9は、先端が上方に凸となったフック形状に形成されている。ボビン係合部9は、ボビン21が閉塞底面41aに当接した状態で、後述するケース係合部43に係合し、アンテナ組立体2の前方への動きを規制している。
【0037】
ケース4は、有底筒形状であり、ケース4の開口高さ(ケース4内周面の下面から上面までの離間距離)は、前後方向略中央から前方が、後方よりも大きく形成されている。ケース4の前端部は、車両側のコネクタCと液密的に嵌合する。ケース4の前方端部(嵌合部4C)の内周面とコネクタCのシール部材C2とは液密的に当接する。つまり、ケース4に形成された有底穴41には、開口側から閉塞底面41aに向かって、外部コネクタCと液密的に嵌合する嵌合部4Cと、開口高さが大きい大穴部4Aと、開口高さが小さい小穴部4Bと、が設けられている。
【0038】
大穴部4Aは、第1および第2コネクタ接続端子31、32、位置決めフランジ6、第1および第2接続部51、52、並びに保護フランジ7が設けられたアンテナ組立体2の前側部分を収容する。小穴部4Bは、コイル23およびコア22が設けられたアンテナ組立体2の後側部分を収容する。当該構成によれば、両接続部51、52の突出部分を収容できると共に、アンテナ組立体2の閉塞底面41a側の部位を収まりよく(ある程度位置決めして)収容することができる。
【0039】
さらに、ケース4の内周面には、ケース係合部43と、傾斜面44と、が設けられている。ケース係合部43は、大穴部4Aの内周面上面から下方に突起したものである。ケース係合部43は、ボビン係合部9に係合している。
【0040】
ここで、ケース4の閉塞底面41aは、アンテナ組立体2の後端部2a(「位置決め部」に相当する)に当接している。つまり、閉塞底面41aおよび後端部2aは、アンテナ組立体2の長手方向(前後方向)における位置決めをする部位である。アンテナ組立体2のケース4内における前後方向の動きは、両係合部9、43、閉塞底面41aおよび後端部2aにより規制されている。
【0041】
傾斜面44は、大穴部4Aと小穴部4Bとの間に前端側から後端側に向かって内側に傾斜している。これにより、アンテナ組立体2をケース4内に挿入する際に、各部位のひっかかりを防ぎ、よりスムーズに挿入することができる。
【0042】
なお、ケース4の外周面には取付部45が設けられている。取付部45は、フック形状に形成されている。取付部45は、リアバンパ(図示せず)内の取付部と嵌合する。これにより、車載用アンテナ装置1は、車両に取り付けられる。
【0043】
嵌合部4Cは、図5に示すように、車両側のコネクタCと嵌合する部分である。嵌合部4Cの内周面は、全周に亘って、コネクタCのシール部材C2と当接している。なお、一般に、コネクタCは、コネクタ本体C1と、シール部材C2と、ケーブルC3と、端子C4と、を有している。第一および第二のコネクタ接続端子31、32は、端子C4に接続される。
【0044】
本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、位置決めフランジ6が前方側におけるアンテナ組立体2の周方向への動きを規制し、ケース4内における第一および第二のコネクタ接続端子31、32位置のバラつきを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、両係合部9、43が係合することにより、アンテナ組立体2のケース4からの抜け落ちが防止される。これにより、ケース4は、蓋などの別部材を必要とせず、一部品(一体形成品)で構成することができる。ケース4が一部品であることで、部品点数およびコストを抑えることができる。さらに、ケース4が一部品であることで、外部に対する開口は1箇所(前方端部)のみとなり、Oリング等の部材を複数用いることなくシール性を確保・向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、アンテナ組立体2をケース4内に挿入する際、保護フランジ7によって、両接続部51、52が嵌合部41内周面に当接することを防ぐことができる。嵌合部4Cの内周面は、シール部材C2と当接してシール性を確保するシール面41bを構成している。挿入時に、このシール面41bと金属からなる各接続部51、52とが接触すると、当該シール面41bに傷がつく可能性がある。しかし、本実施形態によれば、挿入時、両接続部51、52よりも周方向高さ(垂直高さ)が高い樹脂製の保護フランジ7が、先にシール面41bに接触して両者の接触を防止する。
【0047】
また、本実施形態によれば、各弾性部材81〜84により、アンテナ組立体2の後端側においても、周方向に位置決めされる。これにより、ケース4内におけるアンテナ組立体2の位置のバラつきはさらに防止される。さらに、各弾性部材81〜84は、それぞれ弾力に富んでおり、アンテナ組立体2への衝撃を吸収する。例えば、車載用アンテナ装置1を誤って落下させてしまった場合でも、衝撃が吸収され、アンテナ組立体2は保護される。つまり、本実施形態は、アンテナ組立体2保護の観点においても有効である。
【0048】
なお、本実施形態は上記に限られない。例えば、弾性部材は、ボビン21の一外周面(上面、下面、左面または右面)のみに設けられてもよい。弾性部材がケース4内周面と当接し、ボビン21が当該当接面と対向するケース4の内周面に付勢されて当接する。これによっても、周方向の位置決めが可能である。
【0049】
また、弾性部材81〜84は、対向する2つの弾性部材81、82(又は83、84)があることが位置決めおよび保護の観点で効果的である。車載用アンテナ装置1の組付け作業状態(上方を上にして置いた状態)を考慮すると、上下方向の弾性部材81、82のみを設けるほうが好ましい。
【0050】
また、アンテナ組立体2のケース4内における後方への動きを規制する手段は、上記構成に代えて(あるいは上記構成と共に)、保護フランジ7(「位置決め部」を兼用する)と傾斜面44であってもよい。つまり、アンテナ組立体2を組付けた状態で保護フランジ7と傾斜面44とが当接することで、当該動きは規制されて、アンテナ組立体2が長手方向に位置決めされる。また、各係合部9、43および各弾性部材81〜84の形状は上記に限られない。弾性部材81〜84の形状は、互いに同じでも、入れ替わっていても成立する。
【0051】
また、本実施形態において、車載用アンテナ装置1がリアバンパ内に設置されるが、設置位置はドアハンドル内であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:車載用アンテナ装置、 2:アンテナ組立体、 2a:後端部(位置決め部)、
21:ボビン、 22:コア、 23:コイル、 24:コンデンサ、
31:第一のコネクタ接続端子、 32:第二のコネクタ接続端子、
51:第一接続部、 52:第二接続部、
6:位置決めフランジ、 7:保護フランジ、
81:第一弾性部材、 82:第二弾性部材、 83:第三弾性部材、
84:第四弾性部材、 9:ボビン係合部、
4:ケース、 41a:閉塞底面、 41b:シール面、
43:ケース係合部、 44:傾斜面、 45:取付部、
4A:大穴部、 4B:小穴部、 4C:嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンと、前記ボビンに長手方向に沿って支持されたコアと、前記コアを巻回するコイルと、コンデンサと、各一端が前記ボビンの前端から長手方向に突出し、各他端が前記コイルおよび前記コンデンサの直列回路の各端部にそれぞれ接続された第一および第二のコネクタ接続端子と、で一体的に組成されたアンテナ組立体と、
前端側で開口し後端側に閉塞底面を有する有底穴が形成されたケースと、を備え、
前記第一および第二のコネクタ接続端子が前記開口側に位置するように前記アンテナ組立体が前記有底穴に挿入されて固定された車載用アンテナ装置であって、
前記第一および第二のコネクタ接続端子が突出する前記ボビンの前端部に長手方向と直角な周方向に突出して設けられ、前記ケースの内周面に当接して前記アンテナ組立体を周方向に位置決めする位置決めフランジと、
前記ボビンに設けられ、ケースの当接面と当接してアンテナを長手方向に位置決めする位置決め部と、
前記ボビンに設けられ、前記位置決め部が前記当接面に当接した状態で前記ケースに設けられたケース係合部と係合して前記アンテナ組立体を前記ケースに固定するボビン係合部と、を備えることを特徴とする車載用アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ケースの前端に開口する前記有底穴の前端部には、挿入される外部コネクタと液密的に嵌合する嵌合部が形成され、
前記第一および第二のコネクタ接続端子は、前記ボビンの一外周面に突出する第一および第二接続部とそれぞれ電気的に接続されて前記ボビンに設けられ、
前記ボビンには、前記位置決めフランジとの間で前記第一および第二接続部を挟むように保護フランジが前記第一および第二接続部より周方向外側に突出するように設けられていることを特徴とする車載用アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ボビンの前記コイルが巻回された部分より後端側に設けられ、前記ケースの内周面に当接して前記アンテナ組立体を周方向に位置決めする弾性部材を備えることを特徴とする車載用アンテナ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記弾性部材は、前記ボビンからそれぞれ直交する4方向に突出することを特徴とする車載用アンテナ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項において、
前記ケースに形成された有底穴には、前端側から後端側に向かって、外部コネクタと液密的に嵌合する嵌合部と、第一および第二のコネクタ接続端子、前記位置決めフランジ、前記第一および第二接続部、並びに前記保護フランジが設けられた前記アンテナ組立体の前側部分を収容する大穴部と、前記コイルおよび前記コアが設けられた前記アンテナ組立体の後側部分を収容する小穴部と、が設けられるとともに、前記大穴部と前記小穴部との間に前端側から後端側に向かって内側に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする車載用アンテナ装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項において、
前記位置決め部は、前記ケースの閉塞底面と当接する前記アンテナ組立体の後端部であることを特徴とする車載用アンテナ装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記位置決め部は、前記ケースの前記傾斜面と当接する前記保護フランジであることを特徴とする車載用アンテナ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−204959(P2012−204959A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65891(P2011−65891)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】