説明

車載用ノブスイッチ装置

【課題】 操作つまみをガタ付きなくスムーズに押圧操作することができる車載用ノブスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】 開口6aを有する筒状のハウジング1(ケース6とカバー7)と、このハウジング1の内部に配設されたホルダ2と、このホルダ2に保持された回路基板3と、この回路基板3に実装された第1のプッシュスイッチ15と、ハウジング1の開口6a内に露出して第1のプッシュスイッチ15を押圧操作する操作つまみ5とを備え、ハウジング1に設けたガイド部9によって操作つまみ5の押圧操作を案内する車載用ノブスイッチ装置において、ホルダ2の相対向する両側壁に開口6aと対向する切欠き形状の逃げ部2aを設けると共に、ケース6の内部に開口6aから逃げ部2a内に向かって延びる複数のガイド部9を一体形成し、操作つまみ5の操作面5aの裏面四隅から突出する複数のスライド脚片5bを対応するガイド壁8の凹溝8aに摺動自在に嵌合するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストークスイッチ等と称せられる車載用ノブスイッチ装置に係り、特に、筒状ハウジングの外周面に押圧操作用の操作つまみが配設された車載用ノブスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に自動車のステアリングコラムの近傍には、ワイパーやヘッドライト等の動作を制御するためのストークスイッチと称せられる車載用ノブスイッチ装置が配設されている。この車載用ノブスイッチ装置は、ステアリングコラム側に揺動可能に支持された筒状のハウジングと、このハウジングの外周面に形成された開口内に露出する操作つまみと、ハウジング内に固定されたホルダと、このホルダに保持された回路基板等を具備しており、回路基板には操作つまみの押圧操作によって動作されるプッシュスイッチ等が搭載されている。そして、ユーザがハウジングを揺動操作したり操作つまみを押圧操作することによって、ワイパー装置のオン/オフ切換えや強弱および間欠動作の切換え、あるいはヘッドライトのオン/オフ切換えやビーム切換え等が行われるようになっている。
【0003】
従来より、このような車載用ノブスイッチ装置において、ハウジングの内部に配設したガイド体によって操作つまみを昇降可能に支持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このガイド体はスナップ結合等の固定手段を用いてホルダに一体化されており、回路基板に実装されたプッシュスイッチはガイド体によって包囲されている。ガイド体にはプッシュスイッチと対向する位置に円筒状のガイド部が設けられており、操作つまみの裏面から突出する円柱状のボスをこのガイド部に摺動自在に嵌合することにより、操作つまみをスムーズに押圧操作できるようになっている。
【特許文献1】特開平10−号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の車載用ノブスイッチ装置において、デザイン上の制約等によってハウジングの内部空間が狭くなると、前述した従来例のようなガイド体を設置するスペースを確保することが困難になるため、ガイド体を省略してハウジング自体で操作つまみをガイドさせることが必要となる。その場合、ハウジングの開口周縁に回路基板の板面に向かって内方へ延びるガイド部を設け、このガイド部を摺動面として操作つまみの昇降動作を案内すれば良いが、ハウジング内に回路基板を保持するホルダを配設する関係上、ガイド部の長さを最大でも開口とホルダ間距離までしか延ばすことができず、押圧操作時に操作つまみに大きなガタ付きが発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作つまみをガタ付きなくスムーズに押圧操作することができる車載用ノブスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の車載用ノブスイッチ装置は、開口を有する筒状のハウジングと、このハウジングの内部に配設されたホルダと、このホルダに保持された回路基板と、この回路基板に実装されたプッシュスイッチと、前記開口内に露出して前記プッシュスイッチを押圧操作する操作つまみとを備え、前記ホルダの相対向する側壁に前記開口と対向する切欠き形状の逃げ部を設けると共に、前記ハウジングに前記開口から前記逃げ部内に向かって延びるガイド部を設け、前記操作つまみに前記ホルダを跨いで前記ハウジング内へ突出する複数のスライド部を設け、これらスライド部を前記ガイド部に摺動自在に嵌合するように構成した。
【0007】
このように構成された車載用ノブスイッチ装置では、操作つまみの押圧操作を案内するガイド部をハウジングに設け、このガイド部をホルダに設けた切欠き形状の逃げ部内に位置させることにより、ガイド部の長さをハウジングの開口からホルダの側方に至るまで十分に大きく設定できるため、押圧操作時に操作つまみに発生するガタ付きを大幅に低減することができる。
【0008】
上記の構成において、操作つまみの各スライド部とハウジングの各ガイド部との係合関係は特に限定されないが、スライド部が操作つまみの裏面四隅に設けられた脚片であり、これら脚片がガイド部に設けられた凹溝内に摺動自在に嵌合していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車載用ノブスイッチ装置は、ハウジング内に配設したホルダの相対向する側壁にハウジングの開口と対向する切欠き形状の逃げ部を設け、この逃げ部内にハウジングに設けたガイド部を位置させたので、ガイド部の長さをハウジングの開口からホルダの側方に至るまで十分に大きく設定でき、このようなガイド部によって操作つまみをガタ付きなくスムーズに押圧操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る車載用ノブスイッチ装置の平面図、図2は該車載用ノブスイッチ装置の縦断面図、図3は該車載用ノブスイッチ装置の分解斜視図、図4は該車載用ノブスイッチ装置の内部構造を示す裏面図、図5は図4のV−V線に沿う断面図、図6は図4のVI−VI線に沿う断面図、図7は図4のA部詳細図である。
【0011】
これらの図に示すように、本実施形態例に係る車載用ノブスイッチ装置は、コンビ・スイッチの一部を構成する筒状のハウジング1と、このハウジングの内部に配設されたホルダ2と、このホルダ2上に保持された回路基板3と、ホルダ2に回転可能に支持された操作リング4と、ハウジング1に昇降可能に支持された操作つまみ5等を備えている。
【0012】
ハウジング1は、下面を開放する合成樹脂製のケース6と、このケース6の下面開放端を蓋閉する合成樹脂製のカバー7とからなり、これらケース6とカバー7はスナップ結合によって一体化されている。ケース6の外周面には開口6aが設けられており、この開口6a内に操作つまみ5の操作面5aが露出している。この操作つまみ5は操作面5aの裏面からケース6内に向かって突出する4つのスライド脚片5bと1つの抜止片5cとを有しており、これら操作面5aとスライド脚片5bおよび抜止片5cは合成樹脂を用いて一体成形されている。各スライド脚片5bは操作面5aの裏面四隅から直線状に延びており、抜止片5cは相対向する2つのスライド脚片5b間から延びている。図4と図7に示すように、ケース6の相対向する両内壁面には片側について2個、両側で計4個のガイド壁8が一体形成されており、各ガイド壁8は開口6aの四隅から内部に向かって直線状に延びている。各ガイド壁8にはそれぞれ延出方向に沿って凹溝8aが形成されており、操作つまみ5の各スライド脚片5bを対応する各凹溝8a内に摺動自在に嵌合することにより、操作つまみ5はケース6に昇降可能に支持されている。また、ケース6とカバー7の相対向する外周面にはそれぞれ別の開口6b,7aが設けられており、操作リング4の一部はこれら開口6b,7aから露出している。さらに、ケース6の先端部には貫通孔6cが形成されており、ホルダ2に進出可能に支持されたキートップ9がこの貫通孔6cからケース6の先端側へ突出している。
【0013】
ホルダ2はハウジング1(ケース6とカバー7)の内部空間に沿って延びる合成樹脂製の長尺体であって、このホルダ2はネジ10を用いてケース6の天井面に固定されている。ケース6の開口6aと対向する部位において、ホルダ2の相対向する両側壁には切欠き形状の逃げ部2aが形成されており、ホルダ2の幅寸法は逃げ部2aの形成箇所が部分的に狭くなっている。図4と図7に示すように、ケース6の各ガイド壁8はこれら逃げ部2a内を通ってホルダ2の下部側方まで達しており、操作つまみ5の各スライド脚片5bはホルダ2を跨ぐようにして逃げ部2a内で対応するガイド壁8の凹溝8aに嵌合している。
【0014】
また、ホルダ2には摺動子(図示省略)を有するスライダ11が長手方向へ移動可能に保持されており、このスライダ11に設けられた垂下片11aはホルダ2の下部に形成された長孔2bを通ってホルダ2の外部に達している。ホルダ2にはスライダ11を包囲するように半円筒状部2cが形成されており、この半円筒状部2cにはスプリング12を介してボール13が保持されている。また、半円筒状部2cには円筒状の駆動体14が回転可能に保持されており、操作リング4はこの駆動体14に外嵌されて一体化されている。駆動体14の周面にはクリック孔14aと螺旋状孔14bとが形成されており、クリック孔14aにはボール13が係脱可能に対向し、螺旋状孔14bにはスライダ11の垂下片11aが係合している。これにより、ハウジング1に対して操作リング4を回転操作すると、操作リング4に連動して回転する駆動体14の回転力がスライダ11の直線運動に変換されると共に、駆動体14の回転に伴ってボール13がクリック孔14aに係脱してクリック感を生起させるようになっている。
【0015】
回路基板3はホルダ2の上面に載置・固定されており、この回路基板3は操作リング4と駆動体14を挿通した状態で複数の突起2dを用いてホルダ2に位置決めされている。回路基板3の上面には第1のプッシュスイッチ15が実装されており、図2に示すように、この第1のプッシュスイッチ15のステムは操作つまみ5の操作面5aの裏面に当接している。第1のプッシュスイッチ15の近傍の回路基板3には係止孔3aが穿設されており、この係止孔3aの縁部に前述した操作つまみ5の抜止片5cの下端が係止することにより、操作つまみ5のケース6からの脱落が防止されるようになっている。また、回路基板3の下面にはキートップ9によって動作される第2のプッシュスイッチ16が実装されると共に、スライダ11の図示せぬ摺動子と接離可能な固定接点17がパターン形成されており、これら摺動子と固定接点17によってスライドスイッチが構成されている。回路基板3はホルダ2の平面形状よりも小さめな細長形状をしており、図5に示すように、逃げ部2aの形成部分でホルダ2と回路基板3の幅寸法はほぼ等しく設定されているが、図6に示すように、半円筒状部2cの形成部分でホルダ2は回路基板3の幅寸法よりも大きめに設定されている。なお、回路基板3の一端部にはフレキシブルプリント基板18が接続されており、第1および第2のプッシュスイッチ15,16や固定接点17から出力される信号がこのフレキシブルプリント基板18を介してハウジング1の外部に導出されるようになっている。
【0016】
このように構成された車載用ノブスイッチ装置において、ユーザがハウジング1の開口6b,7aから露出している操作リング4を回転操作すると、操作リング4に一体化した駆動体14が連動回転することに伴って、駆動体14のクリック孔14aにボール13が係脱してクリック感が得られ、同時に、駆動体14の回転力が螺旋状孔14bと垂下片11aとの係合部分でスライダ11の直線運動に変換されるため、スライダ11の図示せぬ摺動子が回路基板3の下面に形成された固定接点17上を摺動する。これにより摺動子と固定接点17とで構成されるスライドスイッチから操作リング4の回転操作量に応じた電気信号が出力され、この信号が回路基板3からフレキシブルプリント基板18を介して導出される。
【0017】
また、ユーザがハウジング1の開口6a内に露出する操作つまみ5の操作面5aを押圧操作すると、この操作つまみ5の各スライド脚片5bが対応するガイド壁8の凹溝8aに案内されて下降するため、第1のプッシュスイッチ15が操作つまみ5の操作面5aに押下されてオン動作する。そして、操作面5aに対する押圧操作力を取り除くと、操作つまみ5は第1のプッシュスイッチ15に内蔵された図示せぬ戻しばねの弾発力によって上昇し、第1のプッシュスイッチ15はオフ状態に復帰する。さらに、ユーザがハウジング1の先端から突出するキートップ9を押し込み操作すると、第2のプッシュスイッチ16がキートップ9に押圧されてオン動作し、これら第1および第2のプッシュスイッチ15,16のオン/オフ信号も回路基板3からフレキシブルプリント基板18を介して導出される。
【0018】
以上説明したように、本実施形態例に係る車載用ノブスイッチ装置は、開口6aを有する筒状のハウジング1(ケース6とカバー7)と、このハウジング1の内部に配設されたホルダ2と、このホルダ2に保持された回路基板3と、この回路基板3に実装された第1のプッシュスイッチ15と、ハウジング1の開口6a内に露出して第1のプッシュスイッチ15を押圧操作する操作つまみ5とを備え、ハウジング1に設けたガイド部9によって操作つまみ5の押圧操作を案内する車載用ノブスイッチ装置において、ホルダ2の相対向する両側壁に開口6aと対向する切欠き形状の逃げ部2aを設けると共に、ケース6の内部に開口6aからホルダ2の逃げ部2aに向かって延びる複数のガイド部9を一体形成し、操作つまみ5の操作面5aの裏面四隅から突出する複数のスライド脚片5bを対応するガイド壁8の凹溝8aに摺動自在に嵌合するように構成したので、ケース6に一体形成したガイド部9をホルダ2の逃げ部2a内に位置させることにより、ガイド部9の長さを開口6aからホルダ2の側方に至るまで十分に大きく設定することができ、その分、押圧操作時に操作つまみ5に発生するガタ付きを大幅に低減することができる。また、ハウジング1の構成部材であるケース6自体に操作つまみ5のガイド部9を一体形成してあるため、別部材からなるガイド体によって操作つまみ5を案内するものに比べると、ガイド体を設置するスペースを省略することができ、その分、車載用ノブスイッチ装置のデザイン上の自由度を高めることができる。
【0019】
なお、上記実施形態例では、ハウジング1に回転操作用の操作リング4と押圧操作用の操作つまみ5およびキートップ9とを配設した車載用ノブスイッチ装置について説明したが、本発明はハウジング1に少なくとも押圧操作用の操作つまみ5が配設された車載用ノブスイッチ装置に適用可能であり、操作リング4やキートップ9は必要に応じて省略しても良い。
【0020】
また、上記実施形態例では、ハウジング1を構成するケース6とカバー7のうち、操作つまみ5を露出させる開口6aをケース6側に設けた場合について説明したが、カバー7側に設けた開口内に操作つまみ5を露出させても良く、必要に応じてケース6とカバー7のそれぞれに設けた開口内に操作つまみ5を露出させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態例に係る車載用ノブスイッチ装置の平面図である。
【図2】該車載用ノブスイッチ装置の縦断面図である。
【図3】該車載用ノブスイッチ装置の分解斜視図である。
【図4】該車載用ノブスイッチ装置の内部構造を示す裏面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図4のA部詳細図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ハウジング
2 ホルダ
2a 逃げ部
3 回路基板
3a 係止孔
5 操作つまみ
5a 操作面
5b スライド脚片(スライド部)
5c 抜止片
6 ケース
6a 開口
7 カバー
8 ガイド壁
8a 凹溝
15 第1のプッシュスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筒状のハウジングと、このハウジングの内部に配設されたホルダと、このホルダに保持された回路基板と、この回路基板に実装されたプッシュスイッチと、前記開口内に露出して前記プッシュスイッチを押圧操作する操作つまみとを備え、
前記ホルダの相対向する側壁に前記開口と対向する切欠き形状の逃げ部を設けると共に、前記ハウジングに前記開口から前記逃げ部内に向かって延びるガイド部を設け、前記操作つまみに前記ホルダを跨いで前記ハウジング内へ突出する複数のスライド部を設け、これらスライド部を前記ガイド部に摺動自在に嵌合したことを特徴とする車載用ノブスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記スライド部が前記操作つまみの裏面四隅に設けられた脚片であり、これら脚片が前記ガイド部に設けられた凹溝内に摺動自在に嵌合していることを特徴とする車載用ノブスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−80788(P2007−80788A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270499(P2005−270499)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】