説明

車載用磁気ディスク装置、車載用磁気ディスク装置の制御方法

【課題】 この発明は、車両等の移動体に搭載されるHDD装置から発生する音を低減させることを目的としている。
【解決手段】 磁気ディスク(12)からリードされたデータを記録可能な不揮発性メモリ(22)と、車両の速度を受信する手段(20)と、受信した車両の速度を予め設定された第1の値または第2の値と比較する手段(20)と、比較された車両の速度が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する手段(20)を備え、比較された車両の速度が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)で磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(シーク速度)で磁気ディスクからデータを読み出し、読み出されたデータを不揮発性メモリ(22)に記録するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の移動体に搭載される車載用磁気ディスク装置に関する。またこの発明は、移動体の車両の速度情報に応じて、磁気ディスクからデータを読み出す際のヘッド移動速度(シーク速度)を制御する車載用磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HDD(ハードディスクドライブ)装置が普及し、車両にも搭載されている。このようにHDD装置を搭載することによって、車両で移動する移動先においてもHDD装置を使用することが可能となっている。
【0003】
一般に、HDD装置は大容量であり、コンテンツ等のたくさんのデータを記憶可能である。しかし、HDD装置は磁気ディスクを回転させ、磁気ヘッドを用いて、データを磁気ディスクから読み出し(リード)または書き込み(ライト)を行うため、リードまたはライト動作に伴う音が発生する。
【0004】
また、高級車と呼ばれる車両の車内では、一般に、高い静粛性が要求されている。このため、エンジン音や走行音も低く抑えられており、車両自身から発生する音に加え、車両に搭載されたカーナビゲーションシステム等で用いられるHDD装置から発生する音を低減して欲しいというユーザ要求がある。
【0005】
特許文献1には、車両に搭載されるHDD装置を、振動などの衝撃から保護するための技術が開示されている。すなわち、ハードディスク(HDD)装置を備えるナビゲーション装置において、メインCPUが、車両の走行情報(走行速度や角速度)を、センサー部および車両I/F部の各々から取得し、この走行情報に基づいて、走行によりHDD装置に衝撃が加わり得ると判断される場合に、HDD装置の保護制御を行うようにするための技術が開示されている。
【0006】
また特許文献2には、HDDを内蔵したパーソナルコンピュータに関し、内蔵HDDから発生するシーク動作時の騒音低減と外部から受ける振動によるヘッド位置決め精度の劣化防止を、周囲環境に応じて自動的に行う技術が開示されている。すなわち、パーソナルコンピュータに、周囲騒音検出用の小型マイクロフォンと振動検出用の加速度センサーと、小型マイクロフォンと加速度センサーの少なくとも一方の出力レベルを判定するレベル判定回路と、レベル判定回路の出力に応じてHDDを通常の高速シークモードと低騒音で耐振動性能の高い低速シークモードとを切り替える制御手段が設けられている。この制御手段の一例は、レベル判定回路からの割り込みに応じてCPUがHDDに動作モード切り替えのための特殊コマンドを発行する技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、車両に振動が発生する(HDD装置に衝撃が加わる)と予想される場合には、アンロードを行うため、データ(コンテンツ等)を利用することができないという問題があった。また、特許文献2に開示された技術では、車載への応用が考慮されていない。仮に、特許文献2に開示された技術を単純に車載へ応用したとしても、上記と同様に、車両に振動発生と予想される場合には、データ(コンテンツ等)が制限される恐れがあるという問題があった。
【特許文献1】特開2004−288294
【特許文献2】特開平11−126422
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、車両等の移動体に搭載されるHDD装置から発生する音を低減させることを目的としている。またこの発明は、車両に振動が発生すると予想される場合にも、磁気ディスクに記憶されたデータ(コンテンツ等)が極力利用可能な車載用磁気ディスク装置を提供することを目的としている。これによって、ユーザの利便性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る車載用磁気ディスク装置は、磁気ディスクからリードされたデータを記録可能な不揮発性メモリと、車両の速度情報を受信する車両の速度情報受信手段と、前記受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値または第2の値と比較する速度比較手段と、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する速度判別手段を備え、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)または前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクから読み出されたデータを前記不揮発性メモリに記録するように制御する制御手段を備えるように構成している。
【0010】
この発明に係る車載用磁気ディスク装置の制御方法は、車両の速度情報を受信するステップと、前記受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値または第2の値と比較するステップと、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別するステップと、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)または前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクから読み出されたデータを不揮発性メモリに記録するように制御するステップを備えるように構成している。
【発明の効果】
【0011】
上記した構成によれば、車両等の移動体に搭載されるHDD装置から発生する音を低減させることが可能となる。また、車両に振動が発生すると予想される場合にも、磁気ディスクに記憶されたデータ(コンテンツ等)が極力利用可能な車載用磁気ディスク装置を提供することが可能となる。これによって、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1はこの発明の実施の形態に係る車載用磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
符号11は磁気ディスク(ディスク)、符号12は磁気ヘッド(ヘッド)、符号13はスピンドルモータ、符号14はアクチュエータ、符号15はボイスコイルモータ、符号16はモータドライバ、符号17はリード/ライトチャンネル、符号18はシステムLSI、符号19はHDC(ハードディスクコントローラ)、符号20はCPU、符号21はROM、符号22は不揮発性メモリ、符号30はカーナビゲーションシステムである。
【0013】
ディスク(磁気ディスク媒体)11はデータが磁気的に記録される記録面を備えている。ヘッド(磁気ヘッド)12は、このディスク11の記録面に対応して配置されている。ヘッド12は、ディスク11へのデータ書き込み(データ記録)及びディスク11からのデータ読み出し(データ再生)に用いられる。
【0014】
ここでは、ディスク11は上側面、下側面の両面共に記録面を構成し、その両方の記録面に対応してそれぞれのヘッド12すなわち、2つのヘッド12が配置されている。
【0015】
ディスク11の記録面には、図示しない同心円状の複数のトラックが配置されている。これら複数のトラックには、等間隔に、且つ離散的にサーボ領域が設けられ、予め、サーボ情報が記録されている。これらのサーボ情報は、ヘッド12を目標トラックに位置付けるための制御に必要な位置情報が含まれている。
【0016】
これらの位置情報には、サーボ情報が書き込まれているディスク11上のシリンダ(トラック)位置を示すシリンダコード(シリンダ番号)と、ヘッド12のシリンダ位置からのずれを検出するための位置誤差信号とが含まれている。
【0017】
隣接するサーボ領域で挟まれた領域は、ユーザデータ領域と呼ばれている。ユーザデータ領域には、ユーザデータを記録再生する際に用いられる複数のデータセクタが配置される。
【0018】
スピンドルモータ(SPM)13はディスク11を高速回転させる。ヘッド
12はアクチュエータ(キャリッジ)14の先端に取り付けられている。アクチュエータ14は、当該アクチュエータ14の駆動源となるボイスコイルモータ(VCM)15を構成している。また、アクチュエータ14は、このVCM15により駆動されて、ヘッド12をディスク11の半径方向に移動する。これらの動作によって、ヘッド12は、目標トラック上に位置付けられる。
【0019】
SPM13及びVCM15は、モータドライバ(モータドライバIC)16からそれぞれ供給される駆動電流(SPM電流及びVCM電流)によって駆動される。すなわち、モータドライバ16は、SPM13及びVCM15をそれぞれ駆動するSPMドライバ及びVCMドライバ(図示せず)を含んでいる。
【0020】
ヘッド12は図示しないヘッドアンプ回路(ヘッドIC)を介してリード/ライトチャネル(リード/ライトIC)17と接続されている。リード/ライトチャネル17はリード/ライトに関連する信号処理を行うデバイスである。ここでは、ヘッドアンプ回路により増幅されたリード信号をアナログ/ディジタル変換(A/D変換)するA/D変換処理、リードデータを復号化する復号化処理、A/D変換後のデータからサーボ情報を抽出する抽出処理等を実行する。
【0021】
モータドライバ16及びリード/ライトチャネル17はシステムLSI(18)と接続されている。ここでは、システムLSI(18)は、ハードディスクコントローラ(HDC)19及びCPU20が単一チップに集積されたLSIである。このシステムLSI(18)は、ROM21及び不揮発性メモリ22と接続されている。ROM21には、制御プログラム(ファームウェアプログラム)が予め格納されている。尚、この発明の実施の形態においては、このシステムLSI(18)が、リード/ライトチャネル17、ROM21及び不揮発性メモリ22の少なくとも1つを更に含むように構成しても良い。
【0022】
ここで、不揮発性メモリ22の説明を行う。不揮発性メモリ22は、電源の供給がなくても記憶データを維持できる性質を備えている。ここでは、不揮発性メモリ22は、例えば、電気的に書き換えが可能なフラッシュメモリ等を用いることが望ましい。これに対して、例えばDRAM(Dynamic RAM)等を用いて構成されるキャッシュメモリは、キャッシュメモリへの供給電源が断たれると記憶データが揮発、すなわち失われる。不揮発性メモリ22は、キャッシュメモリに対して、データを長時間記憶させておくのに適している。
【0023】
HDC19は、HDD装置と当該HDD装置を利用するパーソナルコンピュータ等のホストとのインターフェースである。例えば、HDC19は、ホストから転送されたユーザデータをデータセクタに対応する一定サイズに分割し、分割されたユーザデータを符号化してライトチャネル17に送出する機能を有する。またHDC19は、不揮発性メモリ22へのアクセスを実行する。このアクセスの制御、特に不揮発性メモリ22にどのようにデータを記憶させるかの制御は、ROM21に格納されている制御プログラムに従いCPU20によって実行される。
【0024】
また、ハードディスクコントローラ(HDC)19は、カーナビゲーションシステム30と接続される。
カーナビゲーションシステム30は、車両のコントローラから出力される車速パルス等の車両の速度情報(信号)を受信している。これによって、車両の走行速度(車両の速度情報)を把握することが可能である。ここでは、車両の速度情報(信号)がハードディスクコントローラ(HDC)19に入力される。ハードディスクコントローラ(HDC)19は、この車両の速度情報をCPU20に送信する。
【0025】
CPU20は、後述するように、受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値または第2の値と比較し、この車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する。
【0026】
また、この車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)で磁気ディスク11からデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)より遅い第2のヘッド移動速度(シーク速度)で磁気ディスク11からデータを読み出す。
【0027】
また、第1のヘッド移動速度(シーク速度)または第2のヘッド移動速度(シーク速度)で磁気ディスク11から読み出されたデータを不揮発性メモリ22に記録するように制御する。
【0028】
データを記録または再生するための磁気ヘッド12は、ボイスコイルモータ(VCM)15によって駆動されるロータリーアクチュエータ14により制御される。VCM15はモータドライバ16によって駆動され、VCM電流はCPU20からの命令により制御される。VCM電流はシーク時の加速度に影響するものであるので、VCMの電流を制限することでシーク速度が低下することになり、HDD装置から発生する騒音を減少させるための一助になる。
【0029】
CPU20は、ROM21に格納されている制御プログラムを実行することにより、HDD装置のコントローラとして機能する。例えばCPU20は、リード/ライトチャネル17によって検出されたサーボ情報に基づき、ヘッド12を目標トラックに移動するためのシーク制御と当該ヘッド12を目標トラックの目標位置に位置付ける位置決め制御とを行う。CPU20はまた、HDC19による不揮発性メモリ22へのアクセス、例えば不揮発性メモリ22にHDC19によりどのようにデータを記憶させるかを制御する。
【0030】
上記のように、カーナビゲーションシステム30は車速パルスやGPS信号等から車両の速度情報を受信可能であるので、車両の速度を監視可能である。
一般的に、高速走行(例えば30km/h以上)の車両は、比較的に、低速走行(例えば30km/h以下)よりも車両から発生する音(エンジン音等)が大きい。このため、HDD装置から発生する音(動作音)は聞こえにくい。このため、この発明の実施の形態においては、高速走行時(例えば30km/h以上)は、第1のヘッド移動速度(シーク速度)で磁気ディスクからデータを読み出す。
【0031】
ここでは、例えば、低速走行(10〜30km/h)となったら、カーナビ30から受信した車両の速度情報に基づいてHDD装置のCPU20は低速モードに切り替える。低速モードに設定されたHDD装置は、シーク時のVCM最大電流を一段階抑え、シーク速度を遅くすることで、HDD装置から発生する音(ノイズ)を低減する。
【0032】
さらに、車両が停止中の場合や停止直前、および発進直後(0〜10km/h)には、カーナビ30から受信した車両の速度情報に基づいてHDD(磁気ディス)装置を停止モードに設定することも可能である。これによって、シーク時の最大電流をもう一段階抑えることで、さらにシーク速度を遅くし、HDD装置から発生する音(ノイズ)を低減することが可能である。
【0033】
この方法により、車の速度が遅くなることで車内騒音が小さくなったときのみ、HDDの騒音を低減することができるので、低騒音化が必要ない通常走行中はパフォーマンスを維持することができる。
【0034】
尚、上記説明においては、3段階のシーク速度(低速モード、停止モード、通常時モード)を設定可能としたが、車の速度に応じ、さらに細かくシーク速度を変更することも可能である。
【0035】
図2は、この発明の実施の形態に係る車載用磁気ディスク装置の動作を説明するフローチャートである。
符号S100はここでの開始ステップである。続いて符号S101を付したステップへ進む。
符号S101はユーザ指示に応じて、磁気ディスク(HDD)11に記憶されたデータ(コンテンツ)を、不揮発性メモリ22に記憶させるステップである。磁気ディスク11に記憶されたコンテンツを、不揮発性メモリ22に記憶させる場合は符号S102を付したステップへ進む(YES)。磁気ディスク11に記憶されたコンテンツを、不揮発性メモリ22に記憶させない場合はここでの処理を繰り返す(NO)。
【0036】
尚、コンテンツには例えばコピーフリー(自由にコピー可)やコピーワンス(一度だけコピー可)といった保護形態があり、この発明の実施の形態においては、コピーフリーであれば磁気ディスク11に記憶されたコンテンツを、不揮発性メモリ22に記憶させる際にコピーさせる。コピーワンスであれば磁気ディスク11に記憶されたコンテンツを、不揮発性メモリ22に記憶させる際にムーブ(移動)させる。
【0037】
符号S102はカーナビゲーションシステム(カーナビ)30から出力された車速パルス等の車両の速度情報(信号)をハードディスクコントローラ(HDC)19が受信し、CPU20で監視するステップである。続いて符号S103を付したステップへ進む。
【0038】
符号S103は受信した車両の速度情報を、予め設定された第1の値(速度30 不揮発性メモリ22)と比較するステップである。比較された車両の速度情報が第1の値(速度30 不揮発性メモリ22)より大きいか否かを判別するステップである。比較された車両の速度情報が第1の値(速度30 不揮発性メモリ22)より大きいと判別された場合は符号104を付したステップへ進む(YES)。比較された車両の速度情報が第1の値(速度30 不揮発性メモリ22)より大きいと判別されない場合は符号106を付したステップへ進む(NO)。
【0039】
符号S104は第1のヘッド移動速度(通常に動作するシーク速度:通常速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出すステップである。続いて符号S105を付したステップへ進む。
【0040】
符号S106は受信した車両の速度情報を、予め設定された第1の値(例えば30 不揮発性メモリ22)および第2の値(例えば20 不揮発性メモリ22:第1の値より遅い速度)と比較するステップである。受信した車両の速度情報が、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する。受信した車両の速度情報が、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は符号107を付したステップへ進む(YES)。比較された車両の速度情報が第2の値より小さいと判別された場合は符号108を付したステップへ進む(NO)。
【0041】
符号S107は第2のヘッド移動速度(第1のヘッド移動速度より遅いシーク速度)で磁気ディスクからデータを読み出すステップである。続いて符号S105を付したステップへ進む。
【0042】
符号S105は磁気ディスク(HDD)11に記憶されたデータ(コンテンツ)を、上記のように不揮発性メモリ22に記憶させるステップである。続いて符号S101を付したステップへ進み、上記処理を繰り返す。
【0043】
符号S108は磁気ディスク(HDD)11に記憶されたデータ(コンテンツ)の不揮発性メモリ22への記憶を中止させるステップである。続いて符号S101を付したステップへ進み、上記処理を繰り返す。
【0044】
尚、ここでは終了ステップについては特に説明していないが、適宜、上記処理を終了させることは可能である。尚、その際、磁気ディスク11に記録されたデータが破壊されないように注意することが望ましい。
【0045】
また、この発明の実施の形態においては、カーナビゲーションシステムから命令(コマンド)を受けてHDD装置が動作モードを変更するように構成することも可能である。
【0046】
すなわち、この発明の実施の形態に係る車載用磁気ディスク装置においては、磁気ヘッドによってリード/ライトされる磁気ディスクに加え、磁気ディスクからリードされたデータを記録可能な不揮発性メモリ22を備えている。
【0047】
また、車両の速度情報を受信する車両の速度情報受信手段と、前記受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値(例えば30 不揮発性メモリ22)または第2の値(例えば20 不揮発性メモリ22:第1の値より遅い)と比較する速度比較手段と、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する速度判別手段を備えている。
【0048】
また、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(通常に動作するシーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(第1のヘッド移動速度より遅いシーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)または前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクから読み出されたデータを前記不揮発性メモリ22に記録するように制御する制御手段を備えている。
【0049】
そして、前記比較された車両の速度情報が第2の値より小さい場合は、磁気ディスクからデータ(コンテンツ)を読み出すことに代えて、前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)または前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクから読み出されて、前記不揮発性メモリ22に記録されたデータ(コンテンツ)を読み出すことが可能である。
【0050】
上記のように構成することによって、この発明の実施の形態においては、不揮発性メモリ22からデータ(コンテンツ)を読み出すので、車両等の移動体に搭載されるHDD装置から発生する音を低減させることが可能となるという効果がある。また、車両に振動が発生すると予想される場合にも、上記動作によって、磁気ディスクに記憶されたデータ(コンテンツ等)を不揮発性メモリ22に記録しておくことで、磁気ディスクに記憶されたデータ(コンテンツ等)が利用可能となるという効果がある。したがって、ユーザの利便性が向上するという効果がある。
【0051】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその趣旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施の形態に係る車載用磁気ディスク装置の構成を示すブロック図。
【図2】この発明の実施の形態に係る車載用磁気ディスク装置の動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
11…磁気ディスク(ディスク)、12…磁気ヘッド(ヘッド)、13…スピンドルモータ、14…アクチュエータ、15…ボイスコイルモータ、16…モータドライバ、17…リード/ライトチャンネル、18…システムLSI、19…HDC(ハードディスクコントローラ)、20…CPU、21…ROM、22…不揮発性メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドと、
磁気的に記録されたデータが前記磁気ヘッドによってリードされる磁気ディスクを備える車載用磁気ディスク装置において、
前記磁気ディスクからリードされたデータを記録可能な不揮発性メモリと、
車両の速度情報を受信する車両の速度情報受信手段と、
前記受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値または第2の値と比較する速度比較手段と、
前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する速度判別手段を備え、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度で前記磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)または前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクから読み出されたデータを前記不揮発性メモリに記録するように制御する制御手段を備えることを特徴とする車載用磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記第1の値および前記第2の値は速度を示す値であり、前記第1の値は前記第2の値より速度が大きいことを特徴とする請求項1に記載の車載用磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)は前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)より速い速度であることを特徴とする請求項1または2に記載の車載用磁気ディスク装置。
【請求項4】
磁気ヘッドと、
磁気的に記録されたデータが前記磁気ヘッドによってリードされる磁気ディスクを備える車載用磁気ディスク装置において、
車両の速度情報を受信する車両の速度情報受信手段と、
前記受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値または第2の値と比較する速度比較手段と、
前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別する速度判別手段を備え、前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出すことを特徴とする車載用磁気ディスク装置。
【請求項5】
車両の速度情報を受信するステップと、
前記受信した車両の速度情報を予め設定された第1の値または第2の値と比較するステップと、
前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいか、第1の値より小さく第2の値より大きいか、第2の値より小さいかを判別するステップと、
前記比較された車両の速度情報が第1の値より大きいと判別された場合は第1のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、第1の値より小さく第2の値より大きいと判別された場合は第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクからデータを読み出し、前記第1のヘッド移動速度(シーク速度)または前記第2のヘッド移動速度(シーク速度)で前記磁気ディスクから読み出されたデータを不揮発性メモリに記録するように制御するステップを備えることを特徴とする車載用磁気ディスク装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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