説明

車載用通信機器充電装置とそれを搭載した車両

【課題】本発明は車載用通信機器充電装置とそれを搭載した車両に関するもので、携帯通信機器の充電時においても、この携帯通信機器における通信が行えるようにすることを目的とするものである。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、上面が開口した容器22と、この容器22の内底面上に配置した充電コイル14と、前記容器22の上面開口部を開閉自在に覆った蓋17とを備え、前記容器22の底面と外周面に容器シールド体23を配置すると共に、前記蓋17に蓋シールド体24を配置し、前記容器シールド体23の上端と前記蓋シールド体24の下面間には、通信電波通過部26を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載用通信機器充電装置とそれを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信機器の普及にともない、この携帯通信機器の充電が車内でも行えるようにした車載用通信機器充電装置が提案されている(例えば下記特許文献1)。
【0003】
すなわち、この車載用通信機器充電装置は、上面が開口した容器と、この容器の内底面上に配置した充電コイルと、前記容器の上面開口部を開閉自在に覆った蓋とを備えた構成となっている。
【0004】
そして、この車載用通信機器充電装置を用いて携帯通信機器の充電を行う時には、容器内に携帯通信機器を収納させると共に、この容器の上面開口部を蓋で覆い、この状態で充電コイルに通電するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−104868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例における課題は、携帯通信機器の充電時においては、この携帯通信機器における通信が行えないと言うことであった。
【0007】
すなわち、上記容器や蓋には、充電時に充電コイルから容器外に不要な電波が放出されないようにするためにシールド体を配置している。
【0008】
このため、容器内に収納された携帯通信機器への電波もこの容器内に到達することができず、この結果として、携帯通信機器の充電時においては、この携帯通信機器における通信が行えないのであった。
【0009】
そこで、本発明は、携帯通信機器の充電時においても、この携帯通信機器における通信が行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そしてこの目的を達成するために本発明は、上面が開口した容器と、この容器の内底面上に配置した充電コイルと、前記容器の上面開口部を開閉自在に覆った蓋とを備え、前記容器の底面と外周面に容器シールド体を配置すると共に、前記蓋に蓋シールド体を配置し、前記容器シールド体の上端と前記蓋シールド体の下面間には、通信電波通過部を形成し、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、上面が開口した容器と、この容器の内底面上に配置した充電コイルと、前記容器の上面開口部を開閉自在に覆った蓋とを備え、前記容器の底面と外周面に容器シールド体を配置すると共に、前記蓋に蓋シールド体を配置し、前記容器シールド体の上端と前記蓋シールド体の下面間には、通信電波通過部を形成したものであるので、携帯通信機器の充電時においても、この携帯通信機器における通信が行えるようにするこ
とができる。
【0012】
すなわち、本発明においては、前記容器の底面と外周面に容器シールド体を配置すると共に、前記蓋に蓋シールド体を配置し、前記容器シールド体の上端と前記蓋シールド体の下面間には、通信電波通過部を形成したものであるので、この通信電波通過部を介して充電中の携帯通信機器への通信が行えるようになるのである。
【0013】
また、容器と蓋の間には、通信電波通過部だけが設けられ、後は容器シールド体と蓋シールド体が設けられた状態となっているので、この充電時において、充電コイルから容器外に放出される不要な電波は、実質的に問題を発生させないわずかな量に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる車載用通信機器充電装置を車両に搭載した状態を示す図
【図2】同車両の制御ブロック図
【図3】同車載用通信機器充電装置を示す断面図
【図4】同車載用通信機器充電装置を示す断面図
【図5】同車載用通信機器充電装置の動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1において、1は車両本体を示し、この車両本体1の車内2の右手前方にはハンドル3が配置され、またハンドル3の左方には、車載用電子機器としてオーディオ装置4が配置されている。
【0016】
さらに、オーディオ装置4の後方には、車載用通信機器充電装置5が配置されている。
【0017】
図2は、オーディオ装置4と車載用通信機器充電装置5の制御ブロックを示している。まず、オーディオ装置4は、良く知られているように、オーディオ再生部6、ディスプレイ(表示部の一例)7、操作部8、および携帯電話(通信機器の一例)9のハンズフリー通話を行うためのマイク10、Bluetooth(登録商標)などの無線通信部11、さらにそれらの制御部12により構成されている。
【0018】
つまり、CDなどを再生するときには、オーディオ再生部6で再生され、音声出力は、スピーカ13から発せられる構成となっている。また、その時の音楽名などは、ディスプレイ7に表示され、音量調整などは、操作部8によって行なわれるようになっている。
【0019】
次に、車載用通信機器充電装置5は、充電コイル14とその出力制御を行うコイル制御部15を備え、コイル制御部15には、温度検知部16と、図3,4に示す蓋17の開閉を検知する蓋開閉検出部18が接続されている。
【0020】
また、携帯電話9は、充電コイル14によって非接触充電を行うための充電コイル19を有し、この充電コイル19には、電池(図示せず)が接続されている。そして、この電池からの電源を受けて端末制御部20、端末通信部21が駆動されるようになっている。
【0021】
図3、図4は、車載用通信機器充電装置5の構成を示すものであって、上面が開口した容器22と、この容器22の内底面上に配置した前記充電コイル14と、前記容器22の上面開口部を開閉自在に覆った前記蓋17とを備えている。
【0022】
また、前記容器22の底面と外周面には、上面が開口した箱状の容器シールド体23を配置すると共に、前記蓋17には、平板状の蓋シールド体24を配置している。なお、蓋シールド体24を、透明電極で構成することにより、この蓋17を介して容器22内に配置した携帯電話を目視することができるようになっている。
【0023】
つまり、本実施形態においては、図4のごとく蓋17を開放した状態で容器22内に携帯電話9を配置することで、充電コイル14、19を対向させ、その後、図3に示すように蓋17を閉じれば、携帯電話9への非接触充電が行われるようになっている。なお、蓋17の下面側に携帯電話9を容器22の底面側に付勢する付勢体25を設ければ、充電池において充電コイル14、19の位置関係が安定することとなる。
【0024】
図5は、このような充電を行うための制御部12の制御フローを示したものである。
【0025】
まず、充電に際して、確認されることは、エンジン(電気自動車の場合のモータを含む)が起動されているか否かが確認される(S1)。
【0026】
つまり、エンジンが起動されていないときには、充電は行えないこととなっている(S2)。
【0027】
また、エンジンが起動されているときには、次に蓋17が開放されたか否かを確認し(S3)、この状態で図4に示すごとく容器22内に携帯電話9を収納させ、この状態で操作部8を操作し(S4)、次に図3に示すごとく、蓋17を閉じる(S5)。
【0028】
すると、次に制御部は、容器22内の温度を温度検知部16で検知し、その温度が50度以下の場合には、充電コイル14に通電し、携帯電話9の充電が開始される(S6、S7)。そして、このように操作部8で充電指示がされ、蓋17が閉じられ、容器22内の温度が50度以下で、充電が開始される状態になると、図1、図2に示すディスプレイ7に携帯電話9の充電を開始したことを示す表示がなされるようになっている。
【0029】
また、S4において、操作部8で充電を指示したにも関らず、蓋17が閉じられないときには、S8を介して充電の非実行状態となる(S9)。
【0030】
また、S6において、容器22内の温度が50度を超えている場合には、充電コイル14への通電は行われないこととなる(S10)。
【0031】
以上の構成において、本実施形態の特徴点は、容器シールド体23の上端と前記蓋シールド体24の下面間に、図3のごとく、通信電波通過部26を形成したことである。
【0032】
つまり、携帯電話9の充電時において、充電コイル14、19からの不要な電波が容器22外に放出されるのを抑制するために容器22には、容器シールド体23を配置し、また、蓋17には、蓋シールド体24を配置している。
【0033】
このため、携帯電話9は、充電時において、着信電波を捉えることが難しくなるので、本実施形態では、容器シールド体23の上端と前記蓋シールド体24の下面間には、通信電波通過部26を形成した。その結果、この通信電波通過部26を介して充電中の携帯電話9は、着信や通話の電波をこの通信電波通過部26を介して捉えることができ、これによって、充電時であっても通話が行えるようになるのである。
【0034】
また、容器22と蓋17の間には、通信電波通過部26だけが設けられ、後は容器シー
ルド体23と蓋シールド体24が設けられた状態となっているので、この充電時において、充電コイル14、19から容器22外に放出される不要な電波は、実質的に問題を発生させないわずかな量に留めることができる。
【0035】
また、このような容器22外への不要な電波の放出を抑制するためには、容器22内に携帯電話9を収納させた状態でこの携帯電話9の上面よりも容器シールド体23の上端を上方にまで立ち上げておくことが好ましい。
【0036】
なお、本実施形態において、携帯電話9と無線通信部11との通信も通信電波通過部26を介して行えるようになっている。
【0037】
また、本実施形態においては、制御部12は、充電コイル14、19を介して携帯電話9からその電源状態を確認する構成となっている。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように本発明は、前記容器の底面と外周面に容器シールド体を配置すると共に、前記蓋に蓋シールド体を配置し、前記容器シールド体の上端と前記蓋シールド体の下面間には、通信電波通過部を形成したものであるので、この通信電波通過部を介して充電中の携帯通信機器への通信が行えるようになるのである。
【0039】
また、容器と蓋の間には、通信電波通過部だけが設けられ、後は容器シールド体と蓋シールド体が設けられた状態となっているので、この充電時において、充電コイルから容器外に放出される不要な電波は、実質的に問題を発生させないわずかな量に留めることができる。
【0040】
したがって、本発明の車載用通信機器充電装置としての活用が期待されるものとなる。
【符号の説明】
【0041】
1 車両本体
2 車内
3 ハンドル
4 オーディオ装置
5 車載用通信機器充電装置
6 オーディオ再生部
7 ディスプレイ(表示部の一例)
8 操作部
9 携帯電話(通信機器の一例)
10 マイク
11 無線通信部
12 制御部
13 スピーカ
14 充電コイル
15 コイル制御部
16 温度検知部
17 蓋
18 蓋開閉検出部
19 充電コイル
20 端末制御部
21 端末通信部
22 容器
23 容器シールド体
24 蓋シールド体
25 付勢体
26 通信電波通過部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した容器と、この容器の内底面上に配置した充電コイルと、前記容器の上面開口部を開閉自在に覆った蓋とを備え、
前記容器の底面と外周面に容器シールド体を配置すると共に、前記蓋に蓋シールド体を配置し、前記容器シールド体の上端と前記蓋シールド体の下面間には、通信電波通過部を形成した車載用通信機器充電装置。
【請求項2】
前記容器と前記蓋のいずれか一方には、前記蓋の開閉を検出するスイッチを設け、このスイッチで前記蓋の閉成を検出することで、前記充電コイルに通電する構成とした請求項1に記載の車載用通信機器充電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載用通信機器充電装置に制御部を接続し、この制御部には、表示部を接続した車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記スイッチで前記蓋の開閉を検出すると、前記表示部に充電の開始を確認する表示をさせる構成とした請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記制御部は、前記充電コイルを介して通信機器からその電源状態を確認する構成とした請求項4に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−249449(P2012−249449A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119993(P2011−119993)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】