説明

車輌用広告および装飾装置

【課題】透明樹脂板の肉厚に沿ってにLED発光素子の照射光を通過させることにより、透明樹脂板に刻設した広告または装飾表示を浮き上がらせる。
【解決手段】所定の厚みを有し、片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示または装飾表示を刻設して施した透明樹脂板に対し、該樹脂板の一辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて複数のLED発光素子を配設、LED発光素子の光照射を車内に取り付けたコントロール手段によりコントロールすることができる。広告表示または装飾表示を刻設して施した透明樹脂板を車輌の屋根や側面、または後部に取り付けてコントロール手段により光照射をしながら車輌を走行させることにより装飾機能を十分に発揮、また走る広告装置として広告効果を向上、また他車輌と差別化して自車を目立たせるように装飾機能を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行する車輌に取り付けて十分な広告効果あるいは装飾効果を発揮させることのできる広告および装飾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行する車輌を利用した広告は、車輌が移動する限りにおいて一定の箇所に静置される広告物に比して広告効果がきわめて高い。このような観点からこれまでに例えばマグネットラバー付クリアーケース内にチラシ等の広告物を入れて車輌の側面部に張り付けるようにしたもの(特開2002−244609号公報参照)が知られている。
【0003】
また車輌のホイールキャップ表面に、外表面に広告等を施すとともに、中心から偏った位置に重りを取付けた円形表示板を、中心にベアリングを介在させることによりホイールキャップ本体に対して相対的に回転自在に取り付けたものを車輪に嵌め込んで走行するようにしたもの(特開平7−61202号公報参照)も知られている。
【0004】
さらに、第1・第2・第3の光源体を同一の基板部材上に備えるとともに、これら各光源体を個別に覆う光透過性のグローブ部材で覆った標識灯装置を車輌のルーフ上にマグネットにより取り付けるようにしたもの(実開平2−150606号公報参照)も知られている。
【特許文献1】特開2002−244609号公報
【特許文献2】特開平7−61202号公報
【特許文献3】実開平2−150606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記した特許文献1に開示されたものは、タクシーや企業の営業車としては適するものの、一般自家用車輌には違和感があり必ずしも適しない。また特許文献2に開示されたものについても、専ら車輌の側面方向への広告であり、後続車や周囲の車輌に対する広告機能はあまりない。
【0006】
また車輌の走行による円形表示板の揺れが避けられず、コスト高の割には広告装置としてあまり有効ではない。さらに特許文献3に開示されたものについても、全方位からの視認性の面においては優れているが、一般のタクシー車輌との関係で差別が難しく、広告装置としての大きな機能は得難い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、広告装置を違和感のないシンプルな構成とし、タクシーや企業の営業車輌に限らず、一般の自家用車輌との契約によっても安価に広告効果を得ることができるようにし、また車輌自体の装飾についても他車輌と差別化して自車を目立たせるように装飾機能を向上させるようにしたものである。
【0008】
具体的には所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示を刻設して施した透明樹脂板と、該樹脂板の一辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて配設された少なくとも複数のLED発光素子と、該LED発光素子の光照射をコントロールするコントロール手段とからなる車輌用広告装置に関する。
【0009】
また所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示を刻設して施した略長方形の透明樹脂板と、該樹脂板の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて配設された少なくとも複数のLED発光素子と、上記透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具と、上記LED発光素子の光照射をコントロールするコントロール手段とからなる車輌用広告装置にも関する。
【0010】
さらに所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる装飾表示を刻設して施した略長方形の透明樹脂板と、該樹脂板の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側面に向けて配設された少なくとも複数のLED発光素子と、上記透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具と、上記LED発光素子の光照射をコントロールするコントロール手段とからなる車輌用装飾装置にも関する。
【発明の効果】
【0011】
本願の発明は、所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示または装飾表示を刻設して施した透明樹脂板に対し、該樹脂板の一辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて少なくとも複数のLED発光素子を配設し、これらのLED発光素子の光照射を車内に取り付けたコントロール手段によりコントロールすることができるようにしたために、広告表示または装飾表示を刻設して施した透明樹脂板を車輌の屋根や側面、あるいは後部に取り付けてコントロール手段により光照射をしながら車輌を走行させることによって装飾機能を十分に発揮させ、また走る広告装置として広告効果を向上させることができる。
【0012】
また固定具により上記透明樹脂板を車体に取り付けるようにした場合においては、上記したLED発光素子を配設してなる透明樹脂板を乗用車など車輌の屋上やトランクルーム開閉扉上に、車輌屋上あるいはトランクルーム開閉扉と略平行となるように平らにもしくは幾分傾斜させて取付けることにより、車輌に対して違和感のないシンプルな構成として用いることができ、しかも走行時においてLED発光素子による光照射によって、透明樹脂板に刻設して施された広告表示または装飾表示が透明樹脂板の上面にくっきりと顕現された状態のまま車輌が移動するために広告効果が大きく、また他車輌と差別化して自車を目立たせるように装飾機能を向上させる効果も大きい。
【0013】
さらに透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具が、位置調整材を介して透明樹脂板の取付け角度を任意に調整自在としたために、車高の違いや高速道路あるいは繁華街などの走行領域如何により透明樹脂板の取り付け角度を必要に応じて任意に変えることができるために、より一層目立つようにし、あるいは控えめの表示にするなど、表現の度合いについて適宜自在に調整が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下において本発明の具体的な内容について、本発明を乗用車のリアウイング(リアスポイラー)として適用した場合について説明すると、図1は本発明を車輌用広告装置として用いる場合の弟1実施例であり、同図において1は略長方形の透明樹脂板、2は該透明樹脂板1の表面に刻設された広告表示、5はLEDケース、7は取付け用ブラケット、13は車内に取り付けたコントロール手段をあらわしている。
【0015】
透明樹脂板1は例えばアクリル材などの所定の厚みを有し、しかも全体が透明な略長方形の樹脂板が用いられ、長さ方向の左右両端部には取り付け材4aを介してサイドフィン4・4が取り付けられている。広告表示2は略長方形の樹脂板1に、片側面(裏面側)より厚み方向(上面方向)に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示2を手彫りあるいは電子的手法により刻設して施される(図3の断面図を参照)。なお図において3a・3bは取付け穴をあらわしている。
【0016】
LEDケース5は、上記した略長方形の樹脂板1の片側長辺に沿って樹脂板1に対して一体的に取り付けられ、内部には該樹脂板1の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板1の片側端面(車輌走行後方)より反対側端面(車輌走行方向)に向けて発光照射されるべく配設された少なくとも複数のLED発光素子6が取り付けられている。
【0017】
さらに取付け用ブラケット7は図3および図4にもあらわしたように、上端部に樹脂板受8を有し、これを高さ位置調整材10aを介して取付け用ブラケット7の上端部に取り付ける。すなわち樹脂板受8の裏面(下面)には車輌の走行方向前後に固定部9および10を有し、一方の固定部9をボルト9aにより取付け用ブラケット7の一端(車輌走行後方)に形成されている長穴7aに固定するとともに、もう一方の固定部(車輌後方寄り)10を取付け用ブラケット7の他端に高さ位置調整材10aを介して固定部10に螺旋止め固定する。
【0018】
高さ位置調整材10aは長さ方向に複数の取り付け用螺旋穴10b・10c・10d・10eが形成されており、端部の取り付け用螺旋穴10bを固定部10にボルト10fにより固定するとともに、支持穴10gを支点とした樹脂板1の取り付け角度如何により高さ位置調整材10aの最適な取り付け用螺旋穴10c〜10eの何れかを選択して取付け用ブラケット7の固定部9より少し離れた位置に設けられた支持穴にボルト10gにより螺旋止め固定する。また取付け用ブラケット7の下端には車体取り付け用の台座11a・11bが取り付けられている。なお図において12はLED発光素子6に接続されるケーブルをあらわしている。
【0019】
車内に取り付けたコントロール手段13は内部に前記した少なくとも複数のLED発光素子6を発光させるためのコントロール回路(図示省略)が内臓されており、出力側のケーブル12を介して各個別のLED発光素子6に接続されているとともに、入力側のケーブル16について、マイナス側16aを車体にアース接続させるとともに、プラス側16bをヒューズ17を介して直流電源(バッテリー)に接続される。
【0020】
なお図において12aと12bは接続端子を、また14は制御ボタンを、さらに15はLED発光素子を、それぞれあらわしている。なお前記した少なくとも複数のLED発光素子6は、白色または青色や赤色など、すべて同系色の発光素子により統一してもよく、また赤・青・緑・紫・透明・黄・白などの複数の発光色のLED発光素子6を配設してもよい。
【0021】
上記したコントロール手段13内に内臓された複数のLED発光素子6を発光させるためのコントロール回路については、例えば赤→OFF→青→OFF→緑→OFF→紫→OFF→透明→OFF→黄→OFF→白→OFFなど、適宜カラーコントロールサイクルを変更可能とし、また変更速度の調整についても任意に設定することができる。
【0022】
上記の構成において、車内に取り付けたコントロール手段13の制御ボタン14を操作することにより、樹脂板1の片側長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板1の片側端面(車輌走行後方)より反対側端面(車輌走行方向)に向けて発光照射されるべくLEDケース5内に配設された各LED発光素子6が、コントロール手段13の手動による、またはあらかじめ設定されたプログラムの内蔵コントロール回路によって発光する。
【0023】
各LED発光素子6・・・の照射発光は、樹脂板1の片側端面(車輌走行後方)より反対側端面(車輌走行方向)に向けて樹脂板1の層内に発光照射された後、反対側端面(車輌走行方向)に向けて進行し、光の進行途中に樹脂板1に刻設された広告表示2の刻設部分に当たるとその部分で上方に屈折し、樹脂板1の上面方向に刻設された部分の広告表示2が周辺部に比して著しく明るく表現されて外部から容易に視認される。
【0024】
なお、図2には本発明を車輌用装飾装置として用いる場合の第2実施例が示されている。この場合には略長方形の樹脂板1に、片側面(裏面側)より厚み方向(上面方向)に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせ等からなる装飾表示2Aを手彫りあるいは電子的手法により刻設して施されているものであり、その他の構成については前記した弟1実施例の構成と同様であるので具体的な説明については割愛する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の弟1実施例である車輌用広告装置の全体斜視図。
【図2】本発明の第2実施例である車輌用装飾装置の全体斜視図。
【図3】図1におけるAーA線矢視方向の拡大断面図。
【図4】取付け用ブラケットの側面図(A)および斜面図(B)。
【図5】LEDケースとコントロ−ル手段の概略図。
【符号の説明】
【0026】
1 樹脂板
2 広告表示
3a 取付け穴
3b 取付け穴
4 サイドフィン
4a 取り付け材
5 LEDケース
6 LED発光素子
7 取付け用ブラケット
7a 長穴
8 樹脂板受
9 固定部
9a ボルト
10 固定部
10a 高さ位置調整材
10b 取り付け用螺旋穴
10c 取り付け用螺旋穴
10d 取り付け用螺旋穴
10e 取り付け用螺旋穴
10f ボルト
10g ボルト
11a 台座
11b 台座
12a 接続端子
12b 接続端子
13 コントロール手段
14 制御ボタン
15 LED発光素子
16 入力側のケーブル
16a マイナス側
16b プラス側
17 ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示を刻設して施した透明樹脂板と、該樹脂板の一辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて配設された少なくとも複数のLED発光素子と、該LED発光素子の光照射をコントロールするコントロール手段とからなる車輌用広告装置。
【請求項2】
所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる広告表示を刻設して施した略長方形の透明樹脂板と、該樹脂板の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて配設された少なくとも複数のLED発光素子と、上記透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具と、上記LED発光素子の光照射をコントロールするコントロール手段とからなる車輌用広告装置。
【請求項3】
樹脂板の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて配設された複数のLED発光素子が赤・青・黄など複数の発光色による光照射のものにより構成されているとともに、コントロール手段によりこれら複数の発光色によるLED発光素子を任意のパターンにより光照射がなされるように設定されているところの請求項1又は請求項2に記載の車輌用広告装置。
【請求項4】
透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具が、位置調整材を介して透明樹脂板の取付け角度を任意に調整自在としたものである請求項2に記載の車輌用広告装置。
【請求項5】
所定の厚みを有し、しかも片側面より厚み方向に向けて所定の文字、または図形、記号もしくはこれらの組み合わせからなる装飾表示を刻設して施した略長方形の透明樹脂板と、該樹脂板の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側面に向けて配設された少なくとも複数のLED発光素子と、上記透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具と、上記LED発光素子の光照射をコントロールするコントロール手段とからなる車輌用装飾装置。
【請求項6】
樹脂板の長辺に沿って一定の間隔毎に該樹脂板の片側端面より反対側端面に向けて配設された複数のLED発光素子が赤・青・黄など複数の発光色による光照射のものにより構成されているとともに、コントロール手段によりこれら複数の発光色によるLED発光素子を任意のパターンにより光照射がなされるように設定されているところの請求項5に記載の車輌用装飾装置。
【請求項7】
透明樹脂板を車体に取り付けるための固定具が、位置調整材を介して透明樹脂板の取付け角度を任意に調整自在としたものである請求項5に記載の車輌用広告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−98314(P2009−98314A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268519(P2007−268519)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(507024622)株式会社ストリート・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】