説明

車輌用灯具の洗浄装置

【課題】 車体又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図る。
【解決手段】 洗浄液を噴射する噴射ノズル14、14を有するノズル部8と該ノズル部が連結され車体100又はバンパーに形成された開口部101を介して出し入れされるようにノズル部と一体となって移動されるピストン7と該ピストンを移動自在に支持するシリンダー6と、該シリンダーに結合され開口部に取り付けられてシリンダーを車体又はバンパーに対して位置決めするブラケット3と、該ブラケットに外嵌状に連結されると共に所定の取付位置で車体又はバンパーに取り付けられる固定部材4と、ブラケットと固定部材との間に取り付けられ車体又はバンパーにブラケットと固定部材を互いに反対方向へ押し付ける弾性部材5とを備え、ブラケットに保持部20を設け、固定部材に、取付位置とは異なる位置でブラケットの保持部に保持される被保持部28cを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具の洗浄装置に関する。詳しくは、ブラケットに保持部を設け固定部材に被保持部を形成して車体又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一部が車体又はバンパーに形成された開口部から出し入れされるように移動され、車輌用灯具、例えば、車輌用前照灯の前面カバーを洗浄する洗浄装置がある。
【0003】
洗浄装置は、前端側に設けられ洗浄液を噴射する噴射ノズルを有するノズル部と該ノズル部が連結され車体又はバンパーに形成された開口部を介して出し入れされるように前記ノズル部と一体となって移動されるピストンと該ピストンを移動自在に支持するシリンダーとを備えている。
【0004】
このような洗浄装置には、シリンダーに結合され開口部に取り付けられてシリンダーを車体又はバンパーに対して位置決めするブラケットと、該ブラケットに外嵌状に連結され所定の取付位置で車体又はバンパーに取り付けられる固定部材と、車体又はバンパーにブラケットと固定部材を互いに反対方向へ押し付ける弾性部材とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された洗浄装置は、以下のようにして車体又はバンパーに取り付けられて固定される。
【0006】
ブラケットはシリンダーの前端側の部分に結合されており、ブラケットには外方へ張り出された受け板が設けられている。
【0007】
先ず、シリンダーに結合されたブラケットの前端部に設けられた一対の係合腕片を車体又はバンパーの開口部に後方から挿入し、挿入した一対の係合腕片を開口部の開口縁にそれぞれ係合する。このとき一対の係合腕片の一部が開口部の前側開口縁に接する。
【0008】
次いで、略筒状に形成された固定部材を後方からシリンダー及びブラケットに対してスライドさせ、前端部に設けられた四つの突っ張り部を車体又はバンパーの背面に突き当てる。固定部材を後方からシリンダー及びブラケットに対してスライドさせることにより、固定部材がブラケットに外嵌状に連結される。
【0009】
最後に、弾性部材を固定部材の後面とブラケットの受け板の前面との間に挿入して取り付ける。弾性部材が固定部材の後面とブラケットの受け板の前面との間に挿入されると、固定部材が弾性部材によって前方へ付勢され四つの突っ張り部が車体又はバンパーの背面に押し付けられ、ブラケットが弾性部材によって後方へ付勢され一対の係合腕片の上記各一部が開口部の前側開口縁に押し付けられる。
【0010】
このように弾性部材が固定部材の後面とブラケットの受け板の前面との間に挿入されることにより、固定部材とブラケットが弾性部材によって互いに反対方向へ付勢され、洗浄装置が車体又はバンパーに固定される。
【0011】
【特許文献1】特開2006−335274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載された従来の洗浄装置にあっては、上記したように、車体又はバンパーへの取付に際し、ブラケットの一対の係合腕片を開口部の開口縁にそれぞれ係合する第1の作業と、固定部材をシリンダー及びブラケットに対してスライドさせて四つの突っ張り部を車体又はバンパーに突き当てる第2の作業と、弾性部材を固定部材とブラケットの受け板との間に挿入する第3の作業とが順に行われる。
【0013】
従って、作業者は、シリンダーに結合されたブラケットと固定部材と弾性部材の三つの部材を両手で把持して第1の作業から第3の作業を順に行うか、または、弾性部材を作業台に載置しておき、シリンダーに結合されたブラケットと固定部材を両手で把持して第1の作業と第2の作業を行い、次いで、作業台に載置しておいた弾性部材を把持して第3の作業を行う。
【0014】
しかしながら、ブラケットと固定部材と弾性部材の三つの部材を両手で把持した状態で、第1の作業から第3の作業を順に行うことは容易ではなく、作業性が悪いと言う問題がある。
【0015】
また、弾性部材を作業台に載置しておき、第1の作業と第2の作業を行い、次いで、作業台に載置しておいた弾性部材を把持して第3の作業を行うことは、第3の作業において弾性部材を改めて把持する必要が生じ、作業効率が悪く作業時間が長くなると言う問題がある。
【0016】
そこで、本発明車輌用灯具の洗浄装置は、車体又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
車輌用灯具の洗浄装置は、上記した課題を解決するために、洗浄液を噴射する噴射ノズルを有するノズル部と該ノズル部が連結され車体又はバンパーに形成された開口部を介して出し入れされるように前記ノズル部と一体となって移動されるピストンと該ピストンを移動自在に支持するシリンダーとを備え、前記シリンダーに結合され前記開口部に取り付けられて前記シリンダーを前記車体又は前記バンパーに対して位置決めするブラケットと、前記ブラケットに外嵌状に連結されると共に所定の取付位置で前記車体又は前記バンパーに取り付けられる固定部材と、前記ブラケットと前記固定部材との間に取り付けられ前記車体又は前記バンパーに前記ブラケットと前記固定部材を互いに反対方向へ押し付ける弾性部材とを備え、前記ブラケットに保持部を設け、前記固定部材に、前記取付位置とは異なる位置で前記ブラケットの保持部に保持される被保持部を形成したものである。
【0018】
従って、車輌用灯具の洗浄装置にあっては、車体又はバンパーに対する取付前に、取付位置とは異なる位置において固定部材が保持部によってブラケットに保持される。
【発明の効果】
【0019】
本発明車輌用灯具の洗浄装置は、洗浄液を噴射する噴射ノズルを有するノズル部と該ノズル部が連結され車体又はバンパーに形成された開口部を介して出し入れされるように前記ノズル部と一体となって移動されるピストンと該ピストンを移動自在に支持するシリンダーとを備えた車輌用灯具の洗浄装置であって、前記シリンダーに結合され前記開口部に取り付けられて前記シリンダーを前記車体又は前記バンパーに対して位置決めするブラケットと、前記ブラケットに外嵌状に連結されると共に所定の取付位置で前記車体又は前記バンパーに取り付けられる固定部材と、前記ブラケットと前記固定部材との間に取り付けられ前記車体又は前記バンパーに前記ブラケットと前記固定部材を互いに反対方向へ押し付ける弾性部材とを備え、前記ブラケットに保持部を設け、前記固定部材に、前記取付位置とは異なる位置で前記ブラケットの保持部に保持される被保持部を形成したことを特徴とする。
【0020】
従って、洗浄装置の全ての部品を両手で容易に把持した状態で車体又はバンパーへの取付を行うことができ、車体又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0021】
請求項2に記載した発明にあっては、前記ブラケットの保持部として、軸状に形成され前記固定部材が前記車体又は前記バンパーに押し付けられる方向に延びるスリットを有する保持突部を設け、前記固定部材に前記車体又は前記バンパーに押し付けられる方向に延びる溝部を形成し、前記溝部に前記保持突部の径より小さい溝幅にされた幅狭部と前記保持突部の径より大きい溝幅にされ前記被保持部として用いられる幅広部とを形成したので、突部と溝という簡単な構成により固定部材をブラケットに仮止めされた状態で保持することができ、製造コストの増大を来たすことなく車体又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0022】
請求項3に記載した発明にあっては、前記溝部に長手方向に離隔して複数の幅広部を形成したので、固定部材を必要な位置においてブラケットに対して移動不能な状態で保持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明車輌用灯具の洗浄装置を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
洗浄装置1は、図1に示すように、装置本体2とブラケット3と固定部材4と弾性部材5を備えている。
【0025】
装置本体2は、図2及び図3に示すように、シリンダー6と該シリンダー6に摺動自在に支持されたピストン7と該ピストン7の前端部に連結されたノズル部8と該ノズル部8を前方から覆うノズルカバー9とを備えている。
【0026】
シリンダー6は略円筒状に形成され、前端部に内方へ張り出された内フランジ部6aを有している。シリンダー6の前端部における外周面には、周方向に離隔して係合突部6b、6b、・・・が設けられている。
【0027】
シリンダー6の後端部にはジョイント10が取り付けられている。ジョイント10はシリンダー6の後端部を閉塞するカバー部10aと該カバー部10aの後面に連続された連結管部10bとを有している。ジョイント10のカバー部10aの内部にはバネ掛け部10cが設けられている。
【0028】
ジョイント10がシリンダー6の後端部に取り付けられた状態においては、カバー部10aの内部がピストン7の内部に連通される。
【0029】
ジョイント10の連結管部10bには図示しない洗浄液供給用チューブの一端部が連結され、該洗浄液供給用チューブの他端部は図示しない洗浄液用タンクに連結されている。従って、洗浄液は、洗浄液用タンクから洗浄液供給用チューブ及びジョイント10を介してピストン7の内部に供給される。
【0030】
ピストン7は略円筒状に形成され、後端部に外方へ張り出された外フランジ部7aが設けられている。ピストン7はシリンダー6に対する移動時に外フランジ部7aがシリンダー6の内周面に摺動されると共に外周面がシリンダー6の内フランジ部6aに摺動される。
【0031】
ピストン7の前端部における内部にはバネ掛け突部7bが設けられている。ピストン7のバネ掛け突部7bとジョイント10のバネ掛け部10cとの間には引張コイルバネ11が支持されている。従って、引張コイルバネ11によってピストン7が後方へ付勢される。
【0032】
ノズル部8は前後に長いバルブ部12と左右に長い筒部13、13とを有し、該筒部13、13がそれぞれバルブ部12の前端寄りの位置に左右方向に延びる軸を支点とした軸回り方向へ回転自在に支持されている。
【0033】
バルブ部12の内部にはチェックバルブ12aが配置されている。チェックバルブ12aはノズル部8の内部に供給される洗浄液の水圧の大きさに応じて開閉され、洗浄液の前方側への供給及びその停止を制御する機能を有する。
【0034】
筒部13、13にはそれぞれ噴射ノズル14、14が上下に延びる軸を支点とした軸回り方向へ回転自在に支持されている。
【0035】
洗浄装置1にあっては、筒部13、13をそれぞれバルブ部12に対して左右方向に延びる軸を支点とした軸回り方向へ回転させると共に筒部13、13に対してぞれぞれ噴射ノズル14、14を上下方向に延びる軸を支点とした軸回り方向へ回転させることにより、噴射ノズル14、14から噴射される洗浄液の噴射方向を所望の方向に調整することができる。
【0036】
ノズル部8の前端部にはホルダー15が連結され、該ホルダー15の前端部にノズルカバー9が連結されている。
【0037】
ブラケット3は、図4及び図5に示すように、略角筒状に形成された配置部16と該配置部16の後端に連続し略円筒状に形成された結合部17とが一体に形成されて成る。
【0038】
配置部16の一方の側面部には弾性変形可能な第1の係合片部18が設けられている。第1の係合片部18は左右方向を向く基面部18aを有し、該基面部18aの左右に上下に離隔し前後に延びる変形用スリット18b、18bが形成されることによって略左右方向へ弾性変形可能とされている。基面部18aの前端部には外方へ突出された係合腕片18cが設けられている。
【0039】
第1の係合片部18には基面部18aの外面から外方へ突出された連結片18dと該連結片18dの外端に連続し左右方向を向く平板状に形成された押圧片18eとが設けられている。
【0040】
配置部16の他方の側面部は第2の係合片部19として設けられている。第2の係合片部19の前端部には外方へ突出された係合腕片19aが設けられている。第2の係合片部19は弾性変形不能とされている。
【0041】
配置部16の上面部には上方へ突出された保持突部20が設けられ、該保持突部20は固定部材4を車体又はバンパーに対する取付位置とは異なる位置において保持する保持部として機能する。
【0042】
保持突部20は軸状に形成され、前後に延び上方に開口されたスリット20aを有している。保持突部20はスリット20aの左右の部分が左右方向へ弾性変形可能とされている。
【0043】
結合部17の前端部にはそれぞれ左方又は右方へ突出された受け面部17a、17aが設けられている。結合部17の前端寄りの部分における外周面には、周方向に離隔して係合孔17b、17b、・・・が形成されている。
【0044】
ブラケット3は係合孔17b、17b、・・・にそれぞれ係合突部6b、6b、・・・が係合されることにより、シリンダー6に結合される(図1参照)。ブラケット3がシリンダー6に結合された状態においては、結合部17がシリンダー6の前端部に外嵌状に固定され、配置部16の内部にノズル部8が配置され、配置部16の前側にノズルカバー9が位置される。
【0045】
ブラケット3には、該ブラケット3を外側から覆うように固定部材4が取り付けられる。
【0046】
固定部材4は、図6に示すように、上下方向を向く連結面部21と該連結面部21の左右両端部からそれぞれ下方へ突出された側面部22、23とを有している。固定部材4の前端面は、洗浄装置1が取り付けられる車体又はバンパーの背面の形状に応じて、例えば、所定の方向に傾斜する形状に形成されている。
【0047】
固定部材4には少なくとも前端部に四つの突っ張り部24、24、25、25が設けられている。突っ張り部24、24は連結面部21と側面部22、23の各連結部分に設けられ、突っ張り部25、25は側面部22、23の各下端部に設けられ、何れも他の部分より外形が太い形状に形成されている。下側に位置する突っ張り部25、25はそれぞれ一部が側面部22、23より内方へ突出された形状に形成され、この内方へ突出された部分がそれぞれ受け突部26、26として設けられている。突っ張り部25、25間の空間は挿入用切欠27として形成されている。
【0048】
連結面部21には前後に延びる溝部28が形成されている。溝部28は前端寄りの位置に互いに近付く方向へ突出された突部28a、28aを有し、該突部28a、28aの前側の部分と後側の部分がそれぞれ第1の幅広部28b、第2の幅広部28cとして形成されている。第1の幅広部28bと第2の幅広部28cは同じ溝幅に形成され、溝幅がブラケット3に設けられた保持突部20の径より大きくされている。第2の幅広部28cは保持突部20に保持される被保持部として機能する。
【0049】
溝部28のうち、突部28a、28aが設けられた部分は、溝幅が第1の幅広部28b及び第2の幅広部28cの溝幅より小さくされた幅狭部28dとして形成されている。幅狭部28dは溝幅が保持突部20の径より稍小さくされている。
【0050】
左側に位置する側面部22には前後に延び前方に開口された係合用溝22aが形成されている。
【0051】
弾性部材5は、洗浄装置1の車体又はバンパーへの取付時に、ブラケット3の受け面部17a、17aと固定部材4の後面との間に挿入されて取り付けられる。
【0052】
弾性部材5は、例えば、板バネであり、図1に示すように、前後方向を向くベース面部5aと、該ベース面部5aの左右両端部からそれぞれ上方へ突出された弾接片部5b、5bと、ベース面部5aの下縁から該ベース面部5aに対して略90°屈曲された折曲部5cとから成る。弾接片部5b、5bは、上端部を除く部分が略円弧状に後方へ凸の状態で緩やかに屈曲されている。
【0053】
固定部材4は、ブラケット3がシリンダー6に結合された状態において、挿入用切欠27からシリンダー6が挿入されるように上側からシリンダー6を覆い、この状態で以下のようにシリンダー6及びブラケット3に対して前方へ移動されることにより該ブラケット3に組み付けられる(図7乃至図9参照)。
【0054】
固定部材4をシリンダー6及びブラケット3に対して前方へ移動し、溝部28の第1の幅広部28bがブラケット3に設けられた保持突部20の真上に位置されたところで固定部材4をシリンダー6に対して下方へ移動する。従って、保持突部20が溝部28の第1の幅広部28bに挿入される(図7参照)。
【0055】
保持突部20が溝部28の第1の幅広部28bに挿入された状態において、再び、固定部材4をシリンダー6及びブラケット3に対して前方へ移動する。固定部材4を前方へ移動すると、保持突部20が溝部28に設けられた突部28a、28aに摺動され、保持突部20が弾性変形される(図8参照)。
【0056】
引き続き固定部材4を前方へ移動することにより、保持突部20が弾性復帰されて溝部28の第2の幅広部28cに挿入される(図9参照)。保持突部20が第2の幅広部28cに挿入された状態においては、固定部材4は第2の幅広部28cの長さ分、ブラケット3に対して前後方向への移動が可能であるが、突部28a、28aによって後方側への移動が規制されるため、保持突部20が第1の幅広部28bに挿入されることはない。また、保持突部20が第2の幅広部28cに挿入された状態においては、固定部材4がブラケット3に対して上方側へ移動しようとしても受け突部26、26がブラケット3の一部に接触し、固定部材4がブラケット3から上方へ外れることはない。
【0057】
このように固定部材4は、第2の幅広部28cに保持突部20が挿入された状態において一定範囲の移動は可能であるがブラケット3から脱落することはなく、該ブラケット3に仮止めされた状態で保持される。
【0058】
以下に、洗浄装置1の車体又はバンパーへの取付作業における取付手順について説明する(図10乃至図12参照)。
【0059】
車体又はバンパーへの取付作業の開始時には、上記のように、固定部材4はブラケット3に仮止めされた状態で保持されている。従って、作業者は、片手で弾性部材5を把持し、別の片手で弾性部材5以外のブラケット3や固定部材4等の洗浄装置1の全ての部品を把持することが可能である。
【0060】
先ず、ブラケット3に設けられた保持突部20が固定部材4に形成された溝部28における第2の幅広部28cの前端部に位置されるように固定部材4を位置させる(図10参照)。このとき固定部材4はブラケット3における第1の係合片部18の押圧片18eの後方に位置されている。
【0061】
次に、押圧片18eを外側から押圧して第1の係合片部18を弾性変形させブラケット3の前端部を車体100又はバンパーに形成された開口部101に後方から挿入する(図11参照)。
【0062】
続いて、押圧片18eに対する押圧を解除して第1の係合片部18を弾性復帰させ、ブラケット3を後方へ移動させることにより第1の係合片部18の係合腕片18c及び第2の係合片部19の係合腕片19aを開口部101の前側開口縁に係合する(図12参照)。
【0063】
上記のように第1の係合片部18を弾性変形させるときには、基面部18aから外方へ突出された押圧片18eを押圧すればよいため、第1の係合片部18を容易に弾性変形させることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0064】
次いで、固定部材4を前方へ移動し、車体100又はバンパーの背面102に固定部材4の突っ張り部24、24、25、25を突き当てる。このとき固定部材4の側面部22に形成された係合用溝22aに、ブラケット3における第1の係合片部18の連結片18dが挿入される。従って、第1の係合片部18の基面部18aと押圧片18eの間に固定部材4の側面部22が挿入され、第1の係合片部18の変形が規制される。
【0065】
固定部材4の前方への移動は、上記したように、溝部28の第2の幅広部28cの溝幅が保持突部20の径より大きくされているため、円滑に行うことができる。
【0066】
最後に、固定部材4の後面とブラケット3の受け面部17a、17aとの間に、それぞれ弾性部材5の弾接片部5b、5b及びベース面部5aを挿入する(図13参照)。弾性部材5は、弾接片部5b、5bの上端部とベース面部5aが固定部材4の後面に接し、弾接片部5b、5bの長手方向における中間部がそれぞれ受け面部17a、17aの前面に接する。従って、固定部材4が弾性部材5によって前方へ付勢され四つの突っ張り部24、24、25、25が車体100又はバンパーの背面102に押し付けられ、ブラケット3が弾性部材5によって後方へ付勢され係合腕片18c、19aが開口部101の前側開口縁に押し付けられる。
【0067】
このように弾性部材5が固定部材4の後面とブラケット3の受け面部17a、17aとの間に挿入されることにより、固定部材4とブラケット3が弾性部材5によって互いに反対方向へ付勢され、洗浄装置1が車体100又はバンパーに固定される。
【0068】
以上に記載した通り、洗浄装置1にあっては、ブラケット3の保持突部20によって固定部材4がブラケット3に仮止めされた状態で保持されるため、洗浄装置1の全ての部品を両手で容易に把持した状態で車体100又はバンパーへの取付を行うことができ、車体100又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0069】
また、ブラケット3の保持部としてスリット20aを有し弾性変形可能な保持突部20を設け、固定部材4に保持突部20が挿入される溝部28を形成して固定部材4がブラケット3に仮止めされた状態で保持されるようにしているため、突部と溝という簡単な構成により固定部材4をブラケット3に仮止めされた状態で保持することができ、製造コストの増大を来たすことなく車体100又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0070】
以下に、ブラケット3に形成された溝部の変形例を示す(図14参照)。
【0071】
変形例に係る溝部28Aは前後方向に離隔して複数の幅狭部28d、28d、28dを有し、該幅狭部28d、28d、28d以外の部分が順に前方から幅広部28e、28f、28g、28hとされている。幅広部28gは前後方向における長さが、例えば、幅広部28e、28f、28hより長くされている。
【0072】
最も前側の幅広部28eは固定部材4がブラケット3に対して下方へ移動されたときに保持突部20が挿入される部分であり、幅広部28fは固定部材4がブラケット3に仮止めされた状態で保持されるときに保持突部20が挿入される部分であり、幅広部28hは固定部材4の突っ張り部24、24、25、25が車体100又はバンパーに突き当てられたときに挿入ピン20が挿入される部分である。
【0073】
このように複数の幅広部28e、28f、28g、28hを有する溝部28Aを用いることにより、固定部材4を必要な位置においてブラケット3に対して前後方向へ移動不能な状態で保持することが可能となる。特に、固定部材4をブラケット3に対してほとんど移動不能な状態で保持することができる。
【0074】
尚、溝部28Aにあっては、幅広部28gと幅広部28hの間の幅狭部28dを設けなくてもよい。
【0075】
また、上記には、四つの幅広部28e、28f、28g、28hを形成した例を示したが、幅広部の数は四つに限られることはなく、複数であれば必要に応じて任意の数を形成することが可能である。
【0076】
以下に、ブラケット3と固定部材4の保持構造の変形例を示す(図15参照)。
【0077】
ブラケット3には前後に延び上方に開口された係合溝29が形成されている。係合溝29には前後に離隔して上方に開口された係合凹部29a、29bが形成されている。
【0078】
固定部材4には前後に延びる弾性変形可能な係合突部30が設けられ、該係合突部30には下方へ突出された係合爪30aが設けられている。
【0079】
固定部材4がブラケット3に対して前方へ移動され、係合爪30aが後側の係合凹部29bの開口縁に係合されることにより固定部材4がブラケット3に仮止めされた状態で保持される。
【0080】
固定部材4がさらにブラケット3に対して前方へ移動され、係合爪30aが前側の係合凹部29aの開口縁に係合されたときに固定部材4の突っ張り部24、24、25、25が車体100又はバンパーに突き当てられる。
【0081】
このように係合溝29と係合突部30によって固定部材4がブラケット3に仮止めされた状態で保持される構造とした場合にも、簡単な構成により固定部材4をブラケット3に仮止めされた状態で保持することができ、製造コストの増大を来たすことなく車体100又はバンパーに対する取付時の取付作業における作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0082】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図2乃至図15と共に本発明車輌用灯具の洗浄装置の最良の形態を示すものであり、本図は、洗浄装置の分解斜視図である。
【図2】洗浄装置の平面図である。
【図3】洗浄装置の装置本体を示す縦断面図である。
【図4】ブラケットの拡大斜視図である。
【図5】図4とは異なる方向から見た状態で示すブラケットの拡大斜視図である。
【図6】固定部材の拡大斜視図である。
【図7】保持突部が溝部の第1の幅広部に挿入された状態を一部を断面にして示す拡大側面図である。
【図8】保持突部が突部に挟持されている状態を示す拡大平面図である。
【図9】保持突部が溝部の第2の幅広部に挿入され固定部材がブラケットに保持された状態を示す拡大平面図である。
【図10】保持突部が溝部の第2の幅広部の前端部に挿入されるように固定部材を位置させた状態を示す拡大平面図である。
【図11】ブラケットの第1の係合片部が弾性変形されブラケットの前端部が開口部から挿入された状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図12】ブラケットの係合腕片が開口部の前側開口縁に係合された状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図13】ブラケットの開口部に弾性部材が挿入され洗浄装置が車体又はバンパーに固定された状態を一部を断面にして示す拡大平面図である。
【図14】溝部の変形例を示す拡大平面図である。
【図15】保持構造の変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1…洗浄装置、3…ブラケット、4…固定部材、5…弾性部材、6…シリンダー、7…ピストン、8…ノズル部、14…噴射ノズル、20…保持突部、28…溝部、28b…第1の幅広部、28c…第2の幅広部、28d…幅狭部、28A…溝部、28e…幅狭部、28e…幅広部、28f…幅広部、28g…幅広部、28h…幅広部、29b…係合凹部(保持部)、30…係合突部(被保持部)、100…車体、101…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を噴射する噴射ノズルを有するノズル部と該ノズル部が連結され車体又はバンパーに形成された開口部を介して出し入れされるように前記ノズル部と一体となって移動されるピストンと該ピストンを移動自在に支持するシリンダーとを備えた車輌用灯具の洗浄装置であって、
前記シリンダーに結合され前記開口部に取り付けられて前記シリンダーを前記車体又は前記バンパーに対して位置決めするブラケットと、
前記ブラケットに外嵌状に連結されると共に所定の取付位置で前記車体又は前記バンパーに取り付けられる固定部材と、
前記ブラケットと前記固定部材との間に取り付けられ前記車体又は前記バンパーに前記ブラケットと前記固定部材を互いに反対方向へ押し付ける弾性部材とを備え、
前記ブラケットに保持部を設け、
前記固定部材に、前記取付位置とは異なる位置で前記ブラケットの保持部に保持される被保持部を形成した
ことを特徴とする車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項2】
前記ブラケットの保持部として、軸状に形成され前記固定部材が前記車体又は前記バンパーに押し付けられる方向に延びるスリットを有する保持突部を設け、
前記固定部材に前記車体又は前記バンパーに押し付けられる方向に延びる溝部を形成し、
前記溝部に前記保持突部の径より小さい溝幅にされた幅狭部と前記保持突部の径より大きい溝幅にされ前記被保持部として用いられる幅広部とを形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具の洗浄装置。
【請求項3】
前記溝部に長手方向に離隔して複数の幅広部を形成した
ことを特徴とする請求項2に記載の車輌用灯具の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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