説明

車輪ロック装置

【課題】 安価でかつ装置が大型化することなく、駆動軸にかかる負荷および駆動軸の位置ずれや傾きや芯ずれ等の誤差を吸収すること。
【解決手段】 車輪ロック装置3は、垂直部48aを有する枠部材45と、
垂直部48aにゴムブッシュ62cを介して取り付けられるモータ体60と、
モータ体60からの出力軸63bに係合され、その出力軸63bと一体に回転する偏心カムの支持部61bと、偏心カムの回転により駆動されるロックアームと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車、車椅子、原動機付き自転車、二輪自動車などの車両の車輪をロックする車輪ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車用有料駐車装置としての車輪ロック装置が開示されている。この車輪ロック装置では、一対の開閉アームは電気的駆動手段によって開閉され、当該開閉アームが閉鎖した状態で、ソレノイドの出力軸に連結されているロック軸を、一対の開閉アームに設けられているそれぞれのロック穴に挿入することで、開閉アームを閉鎖状態に維持している。また、ソレノイドの駆動力によりロック軸をロック穴から引き抜くことで開閉アームを開放状態へと移行させている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−237655号公報(図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来の車輪ロック装置では、ロック軸は、軸継手を介してソレノイドの出力軸に取り付けられている。この軸継手は、開閉アームに加えられた負荷を吸収すると共に、ソレノイドの出力軸とロック軸の位置ずれおよび傾き等の誤差を吸収する役割を果たしている。また、ロック軸が従動側の軸となり開閉アームを従動させるような構成を採用した場合、またはロック軸を高速回転させる場合には、ロック軸には大きな負荷がかかることとなり、軸継手はさらに大きな役割を果たすこととなる。しかしながら、このような構成を採用した場合には、軸継手を用いない場合と比較して装置が大型化し、さらにはコストがかかるという問題を有している。
【0005】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、装置が大型化することなくかつ安価にモータ体の出力軸とカム軸の位置ずれ若しくは傾き等の誤差またはモータ体の出力軸とカム軸との連結の芯ずれによって発生する回転に伴う振れの動きおよびモータ体の出力軸にかかる負荷ならびにロックする対象物の損傷につながる衝撃を吸収することができる車輪ロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の車輪ロック装置は、フレームを有するハウジングと、フレームに緩衝体を介して取り付けられるモータ体と、モータ体からの出力軸に係合され、その出力軸と一体に回転するカムと、カムの回転により駆動されるロックアームとを有するものである。
【0007】
この構成によれば、モータ体は緩衝体を介してフレームに取り付けられるため、緩衝体によりモータ体の出力軸の中心軸線とカム軸の中心軸線との位置ずれ若しくは傾き等の誤差またはモータ体の出力軸とカム軸との連結の芯ずれによって発生する回転に伴う振れの動きが吸収されることとなる。また、出力軸にかかる負荷、例えば自転車の使用者が不正脱出(ただ逃げ)しようとして、ロックアームを手または道具でいじる等した時に出力軸にかかる負荷やロックする対象物の損傷につながる衝撃も緩衝体により吸収される。したがって、緩衝体によって上記誤差等および負荷ならびに衝撃が吸収されるため、軸継手を介して出力軸とカムを連結する必要がなくなる。このため、装置の小型化およびコストの削減が図れることとなる。
【0008】
また、他の発明の車輪ロック装置は、上述の発明に加えて、ロックアームの開閉動作の1サイクルは、出力軸の正半回転と逆半回転によって行われるものである。このように構成した場合には、ロックアームの開閉動作は、出力軸の180度の正逆半回転によって行われるため、ロックアームがロックする対象物に当たった等、何らかの原因で半回転以下でロックアームが止まったとしても、当たった衝撃が緩衝体により吸収されると共に、その後は逆方向へ回転することになるので、ロックする対象物の損傷を防止することができる。
【0009】
他の発明に係る車輪ロック装置は、上述した発明の構成に加えて、出力軸はモータの回転を減速して低速で回転させられ、ロックアームを0.5〜5秒の間で開から閉に駆動させているものである。このように構成した場合には、出力軸の回転は低速となるため、出力軸にかかるトルクは大きなものとなる。したがって、車輪の確実なロックが可能となる。また、ソレノイドのように瞬時のロックとはならないので車輪を傷つける危険性が減少する。
【0010】
他の発明に係る車輪ロック装置は、上述した発明の構成に加えて、緩衝体をゴムからなる弾性部材とされ、出力軸は、その軸受部がフレームに設けられた孔に遊びをもって入れられているものである。このように構成した場合には、安価にかつ容易に出力軸の中心軸線とカム軸の中心軸線との位置ずれ若しくは傾き等の誤差またはモータ体の出力軸とカム軸との連結の芯ずれによって発生する回転に伴う振れの動きおよび出力軸にかかる負荷をより効果的に吸収することができることとなる。
【0011】
さらに、他の発明に係る車輪ロック装置は、上述した発明の構成に加えて、出力軸とカムは軸方向に移動不能であって軸方向に対して垂直方向には出力軸が動作可能に連結されているものである。このように構成した場合には、出力軸とカムとは1本の伝達軸によって連結されているため、軸継手等を介して出力軸とカムとを連結する場合と比較して、装置の軸方向の幅を小さくすることが可能となる。また、出力軸が垂直方向に動作可能に連結されているため、出力軸の中心軸線とカム軸の中心軸線との位置ずれ若しくは傾き等の誤差またはモータ体の出力軸とカム軸との連結の芯ずれによって発生する回転に伴う振れの動きを確実に吸収することが可能となる。
【0012】
また、他の発明の車輪ロック装置は、上述の発明に加え、ロックアームには孔が設けられており、ロックアームは揺動可能となるように支軸によって支持され、孔に挿入されたカムの回転駆動によって支軸を中心として揺動するものである。このように構成した場合には、ロックアームは、出力軸とは別の支軸を中心として揺動するため、ロックアームの開閉に伴う負荷は支軸に最もかかることとなり、出力軸にかかる負荷は低減されることとなる。そのため、出力軸とカム軸との間に発生する位置ずれは小さなものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、装置が大型化することなくかつ安価に軸同士の位置ずれ若しくは傾き等の誤差またはモータ体の出力軸とカム軸との連結の芯ずれによって発生する回転に伴う振れの動きおよび駆動軸にかかる負荷ならびにロックする対象物の損傷につながる衝撃を吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る車輪ロック装置を、図面に基づいて説明する。なお、車輪ロック装置は、駐輪システムの一部として説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る駐輪システムを示す斜視図である。
【0016】
この実施の形態に係る駐輪システムは、主に、低ラックユニット1と、高ラックユニット2と、低ラックユニット1および高ラックユニット2の総数と同数の車輪ロック装置3と、集金ユニット4と、を有する。なお、この実施の形態では、低ラックユニット1と高ラックユニット2とを1つずつ有する駐輪システムを例として説明するが、低ラックユニット1および高ラックユニット2は、それぞれ2つ以上あっても良い。また、この実施の形態は、低ラックユニット1と高ラックユニット2とを1つずつ有するので、車両ロック装置3は2つ存在することになる。
【0017】
低ラックユニット1は、低ラック用の車輪レール21と、ガイド部材22と、ローラ23とを有する。
【0018】
低ラック用の車輪レール21は、底部21aと、2つの側部21b,21bとを有する。底部21aの幅は、自転車の車輪101の幅よりも広く形成され、底部21aの長さは、自転車の長さと略同じ長さの長尺形状に形成されている。なお、底部21aの長さは、自転車の前輪あるいは後輪が載置される程度の長尺形状に形成されていても良い。2つの側部21b,21bは、底部21aの長尺な端部に沿って、かつ底部21aに対してほぼ垂直に立てられる形状にてそれぞれ設けられている。これにより、低ラック用の車輪レール21は、断面略コの字形状に形成されている。このような低ラック用の車輪レール21は、長尺の鋼板をその短尺方向の両端部を同じ側に折り曲げることで形成することができる。
【0019】
この低ラック用の車輪レール21は、その長尺方向の一端側が後架台5に固定される。また、低ラック用の車輪レール21の長尺方向の他端側は、車輪ロック装置3を挟んで前架台6に固定される。これにより、低ラック用の車輪レール21は、その長尺方向の一端側よりも他端側の方が持ち上がった傾斜した姿勢に固定される。以下、この低ラック用の車輪レール21の持ち上がっている他端側を、低ラック用の車輪レール21の先端と記載し、この一端側を後端と記載する。
【0020】
低ラックユニット1のガイド部材22は、低ラック用の車輪レール21の形状に沿うように、かつ車輪レール21よりも上方に突出して設けられるものである。この低ラックユニット1のガイド部材22は、低ラック用の車輪レール21からこのガイド部材22の上縁までの高さが、自転車の車輪の半径と同じかあるいは車輪の半径よりも若干低くなるように形成されている。
【0021】
低ラックユニット1のローラ23は、低ラック用の車輪レール21の2つの側部21b,21bの間に、後述するペダル71を介してその回転軸が取り付けられ、その回転軸を回転中心として底部21aの長尺方向に回転可能に配設される。このローラ23は、低ラック用の車輪レール21の長手方向の中央部あるいは中央部よりも若干車輪レール21の先端寄りの位置に配設される。また、ローラ23は、底部21aより上方に突出した形状で取り付けられる。このローラ23より先端側の底部21aは、地面に対して水平となるように形成され、車輪レール21の最後端からローラ23の直前まではその底部21aは徐々に高さが高くなる傾斜面として形成されている。
【0022】
このような低ラックユニット1には、低くなっている低ラック用の車輪レール21の後端側から自転車が押し込まれる。そして、自転車の前輪がローラ23を越えると、自転車から手を離しても自転車が後端側に戻ってしまうことはなく、しかも、自転車がガイド部材22に寄りかかって立った状態にて支えられる。これにより、自転車を、低ラックユニット1に立った状態で駐車させることができる。
【0023】
高ラックユニット2は、高ラック用の車輪レール31と、ガイド部材32と、ローラ33とを有する。
【0024】
高ラック用の車輪レール31は、底部31aと、2つの側部31b,31bとを有する。また、高ラック用の車輪レール31は、低ラック用の車輪レール21をさらに長くし、その長手方向中央部においてさらに急角度に折り曲げた形状を有する。
【0025】
この高ラック用の車輪レール31は、その長尺方向の一端側が低い支柱7を挟んで後架台5に固定される。また、高ラック用の車輪レール31の長尺方向の他端側は、車輪ロック装置3および高い支柱8を挟んで前架台6に固定される。これにより、高ラック用の車輪レール31は、その長尺方向の一端側よりも他端側の方が持ち上がった大きく傾斜した姿勢に固定される。以下、この高ラック用の車輪レール31の持ち上がっている他端側を、高ラック用の車輪レール31の先端と記載し、この一端側を後端と記載する。
【0026】
高ラックユニット2のガイド部材32は、低ラックユニット1のガイド部材22と同様な形状とされ、高ラック用の車輪レール31の形状に沿うように、かつ車輪レール21よりも上方に突出して設けられるものである。この高ラックユニット2のガイド部材32は、高ラック用の車輪レール31からこのガイド部材32の上縁までの高さが、自転車の車輪の半径と同じかあるいは車輪の半径よりも若干低くなるように形成されている。
【0027】
高ラックユニット2のローラ33は、ローラ23と同様な構成を有し、高ラック用の車輪レール31の2つの側部31b,31bの間に、後述するペダル71を介して回転可能に、かつローラ23と同様な位置関係となるように配設される。このように、ローラ23,33が後述するペダル71に取り付けられているのは、不正駐車を防ぐためである。すなわち、ローラ23,33が側部21b,21b,31b,31bに直接取り付けられていると、自転車がガイド部材22とローラ23によって、またはガイド部材32とローラ33によって支持され、しかもペダル71が下がらない状態が生じ易くなり、不正駐車が行われ易くなる。しかし、ローラ23,33がペダル71に付いていると、ローラ23,33が押されると、ペダル71も確実に押され、駐車を検出できることとなる。また、ローラ33は、高ラック用の車輪レール31の屈曲部位よりも先端寄りで、かつ高ラック用の車輪レール31の長手方向の中央部あるいは中央部よりも若干車両レール31の先端寄りの位置に配設される。
【0028】
このような高ラックユニット2には、低くなっている高ラック用の車輪レール31の後端側から自転車が押し込まれる。そして、自転車の前輪が急角度となっている後端側の底部31aを徐々に上っていき、自転車の前輪がローラ33を越えるまで自転車が押し込まれると、自転車の前輪は、底部31aが水平となる部分に位置すると共に、ローラ33が戻し動作を阻止する。このため、自転車から手を離しても自転車が押し戻されてしまうことはなく、しかも、自転車がガイド部材32に寄りかかって立った状態に支えられる。これにより、自転車を、高ラックユニット2に立った状態で駐車させることができる。
【0029】
図2は、図1中の車輪ロック装置3の外側に現れる部材を示す分解斜視図で、図3は、図1中の車輪ロック装置3の枠部材の構成を示す分解斜視図である。図4は、図1中の車輪ロック装置3の枠部材の内部に配置される部材を示す分解斜視図である。図5は、図1中の車輪ロック装置3において、支軸51,52を差し込む前の支軸51,52と係止バネ51g、52gの状態を示す図であり(A)は、垂直部47bを後端側から見た図であり、(B)は、垂直部46bと垂直部47bとの間を側面から一部透視した状態を示す図である。図6は、図1中の車輪ロック装置3において、支軸51,52を垂直部46bに差し込んでいる途中の支軸51,52と係止バネ51g、52gの状態を示す図であり(A)は、垂直部47bを後端側から見た図であり、(B)は、垂直部46bと垂直部47bとの間を側面から一部透視した状態を示す図である。図7は、図1中の車輪ロック装置3において、支軸51,52を垂直部46bに差し込み完了後の支軸51,52と係止バネ51g、52gの状態を示す図であり(A)は、垂直部47bを後端側から見た図であり、(B)は、垂直部46bと垂直部47bとの間を側面から一部透視した状態を示す図である。図8は、モータ体60を枠構成部材48に固定した状態を示す図であり、(A)は、垂直部48aを先端側から見た図であり、(B)は、枠構成部材48を側面から一部透視した状態で示す図である。図9は、図1中の車輪ロック装置3の車輪レール21,31への取り付け状態を示す部分断面図である。図10は、図1の車輪ロック装置3の先端側から一部透視した状態で見た図で、ロックアーム53,54が開放状態となっている図で、図11は、図1の車輪ロック装置3の先端側から一部透視した状態で見た図で、ロックアーム53,54が閉じた状態となっている図である。図12は、図10中の車輪ロック装置3をZ−Z線で切断した状態を示す側断面図である。
【0030】
車輪ロック装置3は、図2に示されるように、車輪レール21,31の裏面に固定されるハウジング41を有する。このハウジング41は、上面が塞がれる一方、底なしの箱形状に形成されている。つまり、ハウジング41は、略四角形形状の上面部41aと、この上面部41aの周縁に沿って設けられる4つの側面部41b〜41eと、箱の底面となる部位に形成される開口部41fと、後述するロックアーム53,54をカバーするカバー部41g,41gと、差し込み穴となる切り欠き孔41hとを有する形状に形成されている。このようなハウジング41は、樹脂成型品(プラスチック)またはステンレス、その他の鋼板を折り曲げることで形成することができる。なお、車輪レール21,31の裏面には、ハウジング41の上面部41aが固定される。
【0031】
ハウジング41の開口部41fには、底板が嵌め合わされても良いが、この実施の形態では底板は設置されていない。底板の代わりに、先端側は、後述する枠構成部材46で塞がれ、後端側は前架台6の嵌合部分や支柱8が開口部41fに入り塞がれる。すなわち、ハウジング41内に配置される、後述する枠構成部材48内に、前架台6の嵌合部分や支柱8が入り、枠構成部材48がハウジング41ごと、前架台6の嵌合部分や支柱8に固定される。ハウジング41の開口部41fに枠構成部材46等を嵌めあわせることで、ハウジング41の内部はかなり密閉される。そのため、ハウジング41内部に、雨などの水が侵入し難い耐水構造とすることができる。なお、ハウジング41の4つの側面部41b〜41eに、底板を嵌め込み、それらの間にOリングを挟み込み、これによりさらに水が侵入し難い構造としても良い。
【0032】
以下において、ハウジング41の上面部41aの周縁に沿って設けられる4つの側面部のうち、車輪レール21,31に取り付けた姿勢において車輪レール21,31の先端側となる面を正面部41bと記載し、車輪レール21,31の後端側となる面を背面部41cと記載し、車輪レール21,31の先端側から見て右側となる面を右側面部41dと記載し、車輪レール21,31の先端側から見て左側となる面を左側面部41eと記載する。
【0033】
ハウジング41の上面部41aには、後述するペダル71の先端が入り込む貫通孔43が形成され、カバー部41gにはロックアーム53,54が出入り自在となる穴44,44が形成されている。なお、この穴44は、車輪レール21の側部21b,21bや車輪レール31の側部31b,31bで全体の2/3程度が塞がれ、上部のみが露出するものとなっている。
【0034】
ハウジング41の内部には、後述するロックアーム53や偏心カム61等を保持するフレームとなる枠部材45(図3参照)が固定される。この枠部材45は、フレームを構成する3つの枠構成部材46,47,48から構成されている。枠構成部材46は、底面部46aと、底面部46aの先端から垂直方向上方に伸びる垂直部46bと、垂直部46bの上端から底面部46aと平行となるように先端側に伸びる上面平面部46cと、底面部46aの端部から垂直方向上方に立ち上がる3つの側面部46dとから形成されている。
【0035】
底面部46aには、枠構成部材47を取り付けるため2つのねじ孔46e,46eと、水抜け穴46f,46fが設けられている。垂直部46bには、支軸51が取り付けられる貫通孔46gと、支軸52が取り付けられる貫通孔46hと、後述する偏心カム61の先端側の支持部61aが挿入される貫通孔46iと、後述するペダル71の上下動を検知するための検出板72と一体駆動する検出軸73が貫通する孔46jと、その検出軸73を元の位置であるペダル71が押されていない状態に常時付勢する巻バネ74を取り付けるための軸が挿入される孔46kとが設けられている。上面平面部46cには、ペダル71の先端が通過できるように、大きく切り欠かれた切り欠き部46mが中央に設けられ、その切り欠き部46mの両側部にはねじによってハウジング41の上面部41aに取り付けるための孔46nがそれぞれ1つずつ設けられている。中央の側面部46dには、この枠構成部材46を枠構成部材48に取り付けるため2つのねじ孔46p,46pが設けられている。
【0036】
枠構成部材47は、底面部47aと、この底面部47aの先端から垂直方向上方に伸びる垂直部47bと、この垂直部47bの上端から底面部47aと平行となるように後端側に伸びると共に後端が2つに分岐する上面平面部47cと、この上面平面部47cの後端から立ち下がる2つの立ち下がり部47dとを有している。
【0037】
底面部47aには、枠構成部材46のねじ孔46e,46eと同位置に2つの貫通孔47e,47eが設けられている。先のねじ孔46eとこの貫通孔47eにねじ(図示省略)が挿通され枠構成部材46,47が一体化される。
【0038】
垂直部47bには計8つの孔が設けられている。略中央には偏心カム61の後端側の支持部が貫通する貫通孔47gが設けられ、この貫通孔47gを挟んで対称的に各3つの孔が八の字状に並べて設けられている。一方の3つは、支軸51が貫通する貫通孔47hと、その上下に配置される2つの孔47i,47jである。他方の3つは支軸52が貫通する貫通孔47mと、その上下に配置される2つの孔47n,47pである。垂直部47bの上方には、検出軸73が挿通される孔47qが設けられている。
【0039】
上面平面部47cには、大きく切り欠かれた切り欠き部47sが設けられ、2つの枝部47t,47tが形成されている。2つの立ち下がり部47dにはそれぞれ、この枠構成部材47をねじによって枠構成部材48に固定するための貫通孔47u,47uが設けられている。
【0040】
枠構成部材48内には偏心カム61の駆動源が配置される。この枠構成部材48は、平面に対し垂直に立ち上がる垂直部48aと、この垂直部48の両端から垂直に突出し、同様に平面に対し垂直となる2つの側面部48b,48bと、この2つの側面部48b,48bの上端から水平に互いに近づくように突出する2つの上面平面部48c,48cを有する。
【0041】
垂直部48aには、後述する偏心カム61と係合する減速ユニット63の出力軸63bが支持される軸受部63eが入る孔48eと、後述する駆動源となるモータ62を支持するためのねじが挿入される3つの孔48f(3つのうち、1つの孔48fは、孔48eとつながっている)と、枠構成部材47および枠構成部材46とねじ係合するための4つの孔48gと、センサ基板67の端子が枠構成部材48の後端側から見て露出するようにし、端子接続を容易にするための2つの長方形状の長形孔48hが設けられている。側面部48bにはそれぞれハウジング41を取り付けるためのねじ(図示省略)が挿入する孔48jが1つづつ設けられ、上面平面部48cにもねじ(図示省略)によってハウジング41を取り付けるための孔48kが1つずつ設けられている。なお、この孔48eの内径は、軸受部63eの外径よりかなり大きくされている。これは、出力軸63bと偏心カム61が芯ずれ状態で結合した場合に、偏心カム61側は精度良く固定されているため、モータ体60側が偏心カム61側の回転に伴い振れながら回ることとなるため、その回動を許容する遊びが必要となるためである。
【0042】
支軸51は、図4に示すように、後述する工具56の雄ネジ部56aが反時計回りの回転によって差し込まれる雌ネジ部51aと、支軸51が差し込まれたとき枠構成部材46の垂直部46bに突き当たる円環状の突き当たり部51bと、後述するロックアーム53,54を揺動可能に支持する円柱状の支持部51cと、支軸51の後端側に円周状に設けられた溝からなる溝部51dと、後端側の端部に設けられた円錐状の円錐部51eと、溝部51dと円錐部51eとの間の部分であり支持部51cと同径となる円柱部51fとを有している。支軸52も、支軸51と同様の形状をしており、雌ネジ部52aと、突き当たり部52bと、支持部52cと、溝部52dと、円錐部52eと、円柱部52fとを有している。
【0043】
車輪ロック装置3では、押し込みおよび引き抜きによって、支軸51,52を枠構成部材46,47から着脱可能となっている。このため、この支軸51,52は、ネジ止め等によって固定されている場合と比較して、手動または工具56を雌ネジ部51aに差し込むことで容易に枠構成部材46,47から着脱することができることとなる。この支軸51,52を押し込んだ場合の、当該支軸51,52の枠構成部材46,47に対する係止は、支軸51,52に形成された溝部51d,52dに枠構成部材47の後端側に配置されている係止ばね51g、52gが係合することおよび突き当たり部51bが枠構成部材46の垂直部46bに当接することによってなされる。
【0044】
係止バネ51gは、図5(A)に示されるように、U字型の形状をしており、曲線形状をした根元部51hと、その根元部51hから同方向に突出して形成されている2つの脚部51i,51iとから構成されている。そして、係止バネ51gは、枠構成部材47の後端側に、根元部51hが側面部46dおよび底面部47aの両者に当接し、その両者のいずれに対しても斜めとなるように取り付けられている。また、その固定は、係止バネ51gを、その根元部51hが側面部46dと底面部47aの両者に接するように構成部材47の角部47vに配置させ、ワッシャ51lと係止バネ51gよりやや厚いカラーを介して撓み自在に孔47jにネジ止めすると共に、脚部51i,51iの開口部近傍を、ワッシャ51jと係止バネ51gよりやや厚いカラーを介して撓み自在に孔47iにネジ止めする形で行われている。係止バネ51gの根元側での軸方向の抜けは、ワッシャ51lで防止される。なお、係止バネ51gの開口部側は、図5(A)で示されるように、脚部51i,51iが孔47iに挿入されるネジ51kにより固定されたカラーを両側から挟んでいる。このため、2つの脚部51i,51iが、孔47iに挿入されるネジ51kにより固定されたカラーを常に両側から付勢する状態が形成されると共に、ワッシャ51jにより係止バネ51gの開放端側での軸方向の抜けが防止されることとなる。
【0045】
係止バネ52gも、係止バネ51gと同様にU字型の形状をしており、曲線形状をした根元部52hと、2つの脚部52i,52iとから構成されている。また、係止バネ52gは、係止バネ51gと同様に、その根元部52hが角部47wにワッシャ52lと係止バネ52gよりやや厚いカラーを介して撓み自在に孔47pにネジ止めされていると共に、脚部52i,52iの開口部近傍は、ワッシャ52jと係止バネ52gよりやや厚いカラーを介して撓み自在に孔47nにネジ止めされている。
【0046】
支軸51,52が差し込まれる前の係止バネ51g,52gの状態は、図5(A)に示すように、係止バネ51gおよび係止バネ52gの脚部51i,51iおよび脚部52i,52iがネジ51kにより固定されたカラーおよびネジ52kにより固定されたカラーの両側を挟み込んでいる状態である。この際、脚部51i,51iおよび脚部52i,52iは、ネジ51kにより固定されたカラーおよびネジ52kにより固定されたカラーを両側から付勢している。また、脚部51i,51iおよび脚部52i,52iは、貫通孔47hおよび貫通孔47mの外周側で、その一部が重なった状態で配置されており、当該貫通孔47hおよび貫通孔47mの中心軸線に対して両側に位置している。
【0047】
支軸51,52が、貫通孔46g,47h,46h,47mに差し込まれ、支軸51,52の円柱部51f,52fの周側面が、それぞれ係止バネ51g,52gと接している状態では、図6(A)に示されるように、脚部51i,51iおよび脚部52i,52iがネジ51kにより固定されたカラーおよびネジ52kにより固定されたカラーの両側から離れて開いた状態となっている。この状態では、貫通孔46g,47h,46h,47mに支軸51,52が差し込まれることで、それぞれの円柱部51f,52fが脚部51i,51iおよび脚部52i,52iと接し、脚部51i,51iおよび脚部52i,52iをその付勢力に抗して外側に撓ませている。
【0048】
支軸51,52が、貫通孔46g,47h,46h,47mに完全に差し込まれた状態では、図7(A)に示されるように、枠構成部材47と枠構成部材48の間の空間に突出した溝部51d,52dに、係止バネ51g,52gの脚部51i,51iおよび脚部52i,52iが入り込んだ状態となっている。このように、溝部51d,52dに、その両側から溝部51d,52dを挟み込むように、脚部51i,51iおよび脚部52i,52iが入り込むことで、支軸51,52の枠構成部材47の貫通孔47h,47mからの抜けが防止される。また、係止バネ51g、52gは、その開口部側に配置されているワッシャ51j,52jで、係止バネ51g、52gの開口部側が軸方向へ抜けけるのが防止され、その根元部51h,52hに配置されているワッシャ51l,52lで、係止バネ51g、52g根元側が軸方向へ抜けるのが防止されている。なお、垂直部47bの平面と平行な方向への位置ずれは、底面部47aと両側の側面部46dとで防止される。
【0049】
支軸51,52は、共に雄ネジを有する工具56が雌ネジ部51a,52aに差し込まれ両者を係合させた後、工具56を強く先端側に引くと、係止バネ51g,52gが一瞬ふくらみ係止が外れることで取り出される。また、逆に差し入れたいときは、工具56を使用しない場合でも差し込みが可能となる。すなわち、支軸51を、貫通孔46g、後述するロックアーム54の支点孔54c,54c,貫通孔47hに挿通することで、円錐部51eが係止バネ51gの脚部51i,51iの間に入り込む。そこで強く支軸51を押し込むと、係止バネ51gは一瞬外側にふくらみ、その後、溝部51dに入り込む。この結果、支軸51は係止バネ51gで係止され、抜けが防止される。支軸52についても同様に、強く押し込むことで支軸52の溝部52dに係止バネ52gが入り込み、抜けが防止される。
【0050】
枠構成部材46の垂直部46bと枠構成部材47の垂直部47bとの間には、2つのロックアーム53,54が配設される。このロックアーム53とロックアーム54とは、対で配設され、利用されるものである。ロックアーム53およびロックアーム54は、略円環を半分にした形状(以下、半円環形状と記載する。)にそれぞれ形成されている。ロックアーム53とロックアーム54は、X字状に交叉する形で設置される(図10参照)。両ロックアーム53,54を向かい合わせて、その先端同士を接触させると、接触部分と偏心カム61との距離を直径とする略円環が形成される。これらロックアーム53,54は、金属部材で形成されている。しかし、ポリカーボネート樹脂で形成してもよい。ポリカーボネート樹脂は、エンジニアリングプラスチックの一種であり、大きな力が加えられても破損し難い特性を有する。また、ポリカーボネート樹脂などのエンジニアリングプラスチックは、金属よりも材料の当たりが柔らかいため、自転車に当たっても自転車を傷つけ難い特徴がある。このため、ポリカーボネート樹脂以外の他のエンジニアリングプラスチックや、その他の硬い樹脂材料を、両ロックアーム53,54に採用しても良い。
【0051】
ロックアーム53,54は、全く同一形状で、互いに交換して使用可能である。ロックアーム53は、中央のロック板53aと、ロック板53aの両側に配置されロック板53aに固定される2つの側板53b、53bとから構成されている。同様にロックアーム54は、ロック板54aと側板54b,54bとから構成されている。側板53b、53bの一端側には、支点孔53cがそれぞれ設けられ、この支点孔53c、53cに支軸52が挿入されている。同様に側板54b、54bには支点孔54c、54cが設けられ支軸51が挿入されている。ロックアーム53は、支点用の支軸52を中心として回動し揺動することとなり、ロックアーム54は支点用の支軸51を中心として回動し揺動することとなる。なお、それぞれの回動支点は、支軸51,52の中心軸線となる。
【0052】
側板53b,53bの略中央には長孔53d,53dが設けられ、側板54b,54bの略中央にも長孔54d,54dが設けられている。長孔53d,53dのうち先端側の長孔53dと、長孔54d,54dのうち、先端側の長孔54dに、後述する偏心カム61が挿入される。
【0053】
なお、このロックアーム53,54は車輪101を強行脱出させようとしたとき、その他端部の間隔Gがさらにせばまるような構成とされている。すなわち、このロックアーム53,54の回動支点となる支軸51,52と、作用点となるロックアームの先端部55の位置と、駐車された車が強行脱出しようとしたときに加わる力の方向との関係を工夫している。この点の詳細は、駐輪システムの動作を説明する際に説明することとする。
【0054】
偏心カム61は、駆動源となるモータ体60によって回転駆動される。モータ体60は、通電によって出力軸62bを回転させるモータ62と、その出力軸62bの回転速度を減速させる減速ユニット63とから構成されている。モータ体60は、図8および図12に示されるように、減速ユニット63の軸受部63eが枠構成部材48の垂直部48aに設けられた孔48eに遊びをもって入った状態でネジ止めにより固定される。このため、モータ体60は枠構成部材48の内部空間48m内に配置され、減速ユニット63の出力軸63bは垂直部48aから先端側に突き出た状態となっている。モータ体60の垂直部48aへの固定は、垂直部48aの3つの孔48fに略円筒形のゴム材からなるゴムブッシュ62cをその孔48fの内部および内部からその両端が突き出るように入れ、その略円筒形のゴムブッシュ62cの中央に設けられた貫通孔62fを貫通するように円筒形のカラーを挿入し、そしてそのカラーを貫通するようにネジを挿入し、さらに当該ネジを減速ユニット63に形成されたネジ穴63gに螺合することによって行われる。ゴムブッシュ62cは、図8(B)に示すように、円筒形の円筒部62dと、その両端から全周に亘って外方に突出した円盤状の円盤部62e,62eとその3者を貫通する貫通孔62fとから構成されている。このようにモータ62と減速ユニット63から構成されるモータ体60を、シャーシとなる垂直部48aにゴムブッシュ62cを介して取り付けることにより、軸継手を使用せずに動力伝達を行っている。また、孔48eに軸受部63eが遊びを持った状態で入れられることで芯ずれ等への対応をしている。
【0055】
ロックアーム53,54から偏心カム61が受ける負荷は、支持部61bを介して減速ユニット63の出力軸63bに伝達される。さらに、出力軸63bに伝達された負荷は、モータ体60が固定されている垂直部48aによって受け止められる。このため、垂直部48aにおいてモータ体60を固定している部位には最も負荷がかかることとなる。したがって、モータ体60を垂直部48aにネジ止めにて固定する部位にゴムブッシュ62cを配置して負荷を吸収することは、車輪ロック装置3の構成上効果的であるといえる。
【0056】
また、ロックアーム53,54の開から閉の動作または閉から開の動作は、減速ユニット63の出力軸63bの180度の回転によって行われるため、少ない回転数によってロックアーム53,54の開閉動作が行われる。また、モータ62の回転を減速して低速で回転させ、ロックアーム53,54を1〜2秒の間で開から閉に駆動させているため、出力軸63bの回転は低速となり、出力軸63bにかかるトルクは大きなものとなる。したがって、車輪101の確実なロックが可能となる。また、ソレノイドのように瞬時のロックとはならないので車輪101を傷つける危険性が減少する。なお、開から閉および閉から開の動作時間は、0.5〜5秒の間とすると、駐輪する者の待ち時間や駐輪ミス防止の面等で好ましく、上述のように1〜2秒とすると、さらに好ましい。
【0057】
偏心カム61は、図4および図12に示すように、先端側の支持部61aと、この支持部61aと一直線状に配置される後端側の支持部61bと、両支持部61a,61bに対して、その中心が偏心する円柱状のカム部61cと、減速ユニット63の出力軸63bが挿入される円柱状の空間部となる係合凹部61dとを有する。この係合部凹部61dは、支持部61bの端部側に形成されており、その外周は、支持部61bによって囲まれている。また、係合凹部61dを囲む部分には、出力軸63bの軸線方向に対して垂直方向に、出力軸63bと偏心カム61とを一体化させるための止めネジ60dが螺入されるネジ孔61eが形成されている。
【0058】
モータ62は、円筒形状のモータハウジング62aと、モータハウジング62aに回転可能に支持される出力軸62bと、出力軸62bに固定される図示外のロータと、このロータとモータハウジング62aとの間に配設される図示外のステータと、を有する。そして、通電によってロータに磁界が発生すると、ステータの磁界とロータの磁界との磁気的な吸引力あるいは反発力によってロータおよび出力軸62bが回転する。通電がなくなると、ロータおよび出力軸62bの回転は停止する。
【0059】
減速ユニット63は、ユニットケース63a内の図示外のギア群と、減速出力軸63bと、ユニットケース63aから出力軸63bの軸方向に向かって突出し、出力軸63bの後端側を全周に亘って覆う円柱状の軸受部63eとを有する。出力軸63bは支持部61bの係合凹部61dに嵌め込まれ、偏心カム61と連結される。出力軸63bは、その外周の一部に平らな部分のあるD形断面を有している。そして、出力軸63bを係合凹部61dに嵌め込んだ状態で、止めネジ60dをネジ孔61eに螺入して、出力軸63bの平らな部分に締め付けて固定する。このような構成から、支持部61bは、偏心カム61と出力軸63bとを連結する伝達軸の役割を果たしている。また、この連結においては、止めネジ60dを強く締めることにより、出力軸63bと偏心カム61とは軸方向には相対移動不能であっても、軸方向に対して垂直方向にはわずかに相対移動可能となっている。すなわち、出力軸63bと偏心カム61とは、止めネジ60dを中心として折れ曲がり可能となるように係合されていることとなる。また、出力軸63bと係合凹部61dとの嵌め合いを少し緩めにすれば、さらに、軸方向に対して垂直方向の誤差を調整することが可能となる。なお、止めネジ60を非常に強く締めれば、出力軸63bと支持部61bは軸方向にも軸方向に対して垂直となる方向にも相対移動不能となり、がたの発生は防止されることとなる。
【0060】
また、この連結においては、ゴムブッシュ62cにより、もし、モータ体60の出力軸63bと偏心カム61の係合凹部61dに軸方向と垂直方向となる位置ずれまたは傾き等の誤差があっても、それらの誤差は吸収されることとなる。また、もし出力軸63bと偏心カム61の連結に芯ずれが生じていて、出力軸63bの回転に伴い両者の間に軸方向に対して垂直方向となる振れの動きが発生した場合でも、ゴムブッシュ62cにより吸収されると共に孔48eに発生する遊びにより出力軸63bの回転は偏心カム61側にスムーズに伝わることとなる。また、もし自転車等の使用者が、不正脱出(ただ逃げ)しようとしてロックアーム53,54を手または道具でいじる等した場合に、偏心カム61が回転方向または軸方向の動きを受け、その動きによって生じる負荷がモータ体60に伝わっても、ゴムブッシュ62cにより吸収されることとなる。また、もしロックアーム53,54がロックする対象物に当たっても、ゴムブッシュ62cによりその衝撃が吸収され、ロックする対象物の損傷を防止することができることとなる。
【0061】
ギア群は、複数のギアで構成されるものであり、少なくともモータ62の出力軸62bとともに回転するギアと、減速出力軸63bとともに回転するギアとを有する。そして、この減速ユニット63による減速率は、1/1000〜1/50程度であればよい。たとえば減速率が1/100である場合、モータ62の出力軸62bが100回転することで、減速出力軸63bは1回転する。なお、ギア群に替えて、複数のプーリで構成されるプーリ群などで所望の減速率を得るようにすることもできる。ただし、プーリを使用する場合には、プーリとそのプーリに掛け渡すベルトとの間の必然的にすべりが発生してしまうので、ギア群を使用する方が好ましい。
【0062】
減速出力軸63bが回転すると、偏心カム61は、その支持部61a,61bを中心として回転する。また、この回転に伴って、偏心カム61のカム部61cの外周部であって、回転中心から最も離れた部分は、ロックアーム53,54の長孔53d,54d内を支持部61a,61bの中心軸に対して垂直な面内で回転移動する。偏心カム61の上下動する移動範囲は、支持部61a,61bの中心軸線と、回転中心から最も離れた外周部分との間の距離をxとし、支持部61a,61bの中心軸線と、回転中心から最も近い外周部分との間の距離をyとした場合、x−yが相当することとなる。x−yが大きければ大きいほど、上下動する移動範囲は広くなる。
【0063】
偏心カム61の後端側の支持部61bの部分には、検出板64がねじ固定されている。検出板64は、その先端がモータ62側に向かって折れ曲がり、その先端部分が後述するセンサ65,66によって検出されるようになっている。
【0064】
そして、モータ体60は、この偏心カム61の回転中心と減速出力軸63bの中心軸とが一直線状となるように、枠部材45に固定されている。これにより、偏心カム61がその支持部61a,61bを中心として回転すると、偏心カム61のカム部61cの回転に伴う移動にしたがって、ロックアーム53,54は、支軸51,52を中心として所定の角度範囲内で揺動する。
【0065】
なお、ロックアーム53,54の揺動の角度範囲は、偏心カム61のカム部61cの大きさなどに応じて決まる。すなわち、カム部61cにおける偏心度合である距離xと距離yの差を大きくすればするほど、ロックアーム53,54の揺動の角度範囲を広げることができる。この実施の形態では、図10に示す状態、すなわち、偏心カム61のカム部61cの外周部が最も低い位置となったときにおいて、両ロックアーム53,54が開放、すなわち、両ロックアーム53,54が開いている状態となる。このとき、ロックアーム53,54の他端部(=上端)の間隔Gは、最も広くなり、間隔G1となる。
【0066】
図11に示すように、図10に示す状態から偏心カム61が略180度回転した位置が、両ロックアーム53,54が最も近接し、すなわち、両ロックアーム53,54が閉じている状態となる。このとき、ロックアーム53,54の他端部(=上端)の間隔Gは、最も狭くなり、間隔G2となる。
【0067】
これにより、駆動源となるモータ62を通電により回転させることで、ロックアーム53およびロックアーム54を開いたり閉じたりすることができる。なお、ロックアーム53の他端とロックアーム54の他端とは、最も閉じたときに、厳密には接触していなくてもよい。最も閉じたときのロックアーム53の他端とロックアーム54の他端との間隔が、自転車の車輪の幅よりも狭くなっていればよい。
【0068】
また、枠構成部材47の内部空間には、閉位置検出センサ65と、開位置検出センサ66と、がセンサ基板67とともに配設されている。センサ基板67は、枠構成部材48に固定される。閉位置検出センサ65および開位置検出センサ66は、検出板64の位置を光学的に検出する光センサとされている。光センサは、発光素子と受光素子を有し、発光素子からの光の受光素子における受光状態の変化を検出するセンサである。また、光センサには、発光素子と受光素子との相対位置に応じて反射型と透過型の2種類が存在しており、いずれを採用しても良い。
【0069】
たとえば、閉位置検出センサ65として透過型の光センサを用いる場合、ロックアーム53の他端とロックアーム54の他端とが接触または近接している状態、すなわち、偏心カム61のカム部61cの外周部が最も高い位置となったときでの偏心カム61と一体回転する検出板64が閉位置検出センサ65の発光素子と受光素子との間に位置するように閉位置検出センサ65を配置する。なお、ロックアーム53の他端とロックアーム54の他端とが離れている状態になったときは、検出板64が閉位置検出センサ65の発光素子と受光素子との間に位置しないように設置する必要がある。閉位置検出センサ65は、受光素子が受光しなくなると検出信号を出力する。
【0070】
また、開位置検出センサ66として透過型の光センサを用いる場合、ロックアーム53の他端とロックアーム54の他端とが最も離れた状態、すなわち、偏心カム61のカム部61cの外周部が最も低い位置となったときにおいて検出板64が開位置検出センサ66の発光素子と受光素子との間に位置するように開位置検出センサ66を配置する。なお、ロックアーム53の他端とロックアーム54の他端とが最も離れていない状態となったときは、検出板64が発光素子と受光素子との間に位置しないような位置に、開位置検出センサ66を設置する必要がある。開位置検出センサ66は、受光素子が受光しなくなると検出信号を出力する。
【0071】
また、車輪ロック装置3は、ペダル71を有する。ペダル71は、図2および図9に示すように、略長方形形状のペダル本体71aと、ペダル本体71aの長尺方向の一端に配設されるペダルリンク板71bと、を有する。ペダル本体71aは、その長尺方向の他端において、車輪レール21の2つの側面21b,21bや、車輪レール31の2つの側面31b,31bの間に配設される固定軸71cを中心として回転可能に設置されている。これにより、ペダル71は、その一端を中心として回転することができる。ペダルリンク板71bには、後端側に突出するリンク部71dが設けられている。このリンク部71dが検出軸73の一端部73a側に係合し、ペダル71の上下動に合わせ検出軸73を回動させることとなる。
【0072】
ペダルリンク板71bは、ペダル本体71aを車輪レール21,31上に配設させた状態で、車輪レール21,31に形成された貫通孔75(図9参照)を貫通して、車輪レール21,31の裏側へ突出する。そして、ペダルリンク板71bの21,31の裏側へ突出している先端部には、上述したようにリンク部71dが形成されている。検出軸73の一端部73aには、付勢部材としての巻バネ74が配置されている。したがって、たとえば、ペダル本体71aの一端が持ち上がっている状態から車輪101の荷重などによってペダル本体71aが押し下げられると、検出軸73の一端部73a側も押し下げられる。検出軸73は、この押し下げる力によって回転し、この回転とともに検出板72も回転することになる。
【0073】
検出板72は、略長方形形状に形成された検出板本体72aと、検出板本体72aの先端側であって、モータ62側に向かって曲げられたセンサ板部72bと、を有する。検出板本体72aは、その長尺方向一端部において検出軸73に固定されている。検出軸73は、一本の軸部材から構成されていて、リンク部71dと係合する一端部73aと、巻バネ74が巻かれると共に枠部材45に支持される支持部73bとを有する。一端部73aは、車輪レール21,31の長さ方向に対して直交すると共に略水平方向に配置される。支持部73bは、車輪レール21,31の長さ方向に平行配置される。
【0074】
巻バネ74は、コイル部74aと、コイル部74aの両端に形成される一対のフック部74bとを有する。一対のフック部74bの中の一方のフック部74bは、検出軸73の係合部73aに架けられている。一対のフック部73bの中の他方のフック部74bは、枠構成部材46に設けられた穴46rに架けられている。これにより、検出軸73には、ペダル71を持ち上げる向きの力が付勢される。また、この巻バネ74による付勢力によって、ペダル71の上に自転車が乗っていない状態では、車輪レール21,31に取り付けられたペダル本体71aの一端は、車輪レール21,31から浮き上がった状態(図9参照)に維持される。
【0075】
検出板72の位置を検出するため駐輪検出センサとしての押下検出センサ75が設けられている。ペダル本体71aの一端が車輪レール21,31に接している状態あるいは近接している状態におけるセンサ板部72bの位置を検出するものである。この押下検出センサ75としては、たとえば透過型の光センサなどを使用すればよい。そして、押下検出センサ75は、透過型の光センサの受光素子が受光すると、検出信号を出力する。この押下検出センサ75は、この実施の形態では、閉位置検出センサ65および開位置検出センサ66とともに、センサ基板67上に配設されている。しかも、このセンサ基板67は上述した枠構成部材48に固定されるとともに、枠構成部材47で囲まれる空間内に配設され、かつハウジング41の上面部41aの面に対して垂直となる方向に配設されている。
【0076】
図13は、図1中の集金ユニット4および駐輪システムの制御系を示すブロック図である。図14は、自転車の車輪101を車輪レール21,31に載せた状態を示す図である。図15は、強行脱出されようとするときの車輪ロック装置3の最初の状態を示す図で、先端側から一部を透視した状態で示す図で、図16は、強行脱出されようとするときに力が加わった後の車輪ロック装置3の状態を示す図で、先端側から一部を透視した状態で示す図である。図17は、車輪ロック装置3から支軸52を引き抜く場合、支軸52に工具56を取り付ける操作を示す図であり、図18は、車輪ロック装置3から支軸52を引き抜く操作を示す図である。図19は、車輪ロック装置3から支軸52を引き抜いた状態の先端側から一部を透視した状態で示す図であり、図20は、車輪ロック装置3から支軸51および支軸52の両者を引き抜いた状態の先端側から一部を透視した状態で示す図である。
【0077】
集金ユニット4は、時刻情報を出力するタイマ81と、データを記憶する記録部82と、入力キー83と、表示部84と、紙幣や貨幣が投入される料金回収部85と、車両ロック装置3のモータ62に通電するモータ駆動部86と、マイクロコンピュータと、を有する。マイクロコンピュータは、図示外の駐輪制御プログラムを実行することで、駐車検出部91と、通電制御手段としての施錠制御部92と、料金計算部93と、入金計量部94と、通電制御手段としての開錠制御部95と、を実現する。駐輪制御プログラムは、たとえば図示外のコンパクトディスクなどのコンピュータ読取可能な記録媒体や電気通信回線などの伝送媒体を媒体として、記録部82に記憶することができる。
【0078】
駐車検出部91は、押下検出センサ75から検出信号が入力されると、その検出信号の入力タイミングにおける時刻情報をタイマ81から読み取り、その読み取った時刻情報を駐車開始時刻として記録部82に記録させるものである。
【0079】
施錠制御部92は、駐車検出部91に検出信号が入力した後に、モータ駆動部86に通電を開始させる。また、施錠制御部92は、閉位置検出センサ65から検出信号が入力されると、モータ駆動部86による通電を停止させる。
【0080】
なお、駐車検出部91に検出信号が入力してから施錠制御部92がモータ駆動部86に通電を開始させるまでの期間は、任意の時間に設定することができる。つまり、駐車検出部91に検出信号が入力したら直ちに施錠制御部92がモータ駆動部86に通電を開始させるように設定しても良いし、駐車検出部91に検出信号が入力してからたとえば20分などの所定の時間が経過してから、施錠制御部92がモータ駆動部86に通電を開始させるように設定してもよい。
【0081】
料金計算部93は、入力キー83において清算の対象となる低ラックユニット1あるいは高ラックユニット2がたとえばラックユニット毎に固有の識別番号によって指定されると、記録部82からそのラックユニットの駐車開始時刻を読み取るとともに、タイマ81から現在の時刻情報を読み取り、それらの時間差に基づいて料金を計算するものである。また、料金計算部93は、計算した料金を表示部84に表示させる。
【0082】
入金計量部94は、料金回収部85に投入された料金を計算するものである。そして、入金計量部94は、投入された料金が料金計算部93によって計算された料金以上になったら、開錠制御部95へ通知を行う。
【0083】
開錠制御部95は、入金計量部94からの通知があったらモータ駆動部86に通電を開始させる。また、開錠制御部95は、開位置検出センサ66からの検出信号が入力されると、モータ駆動部86による通電を停止させる。
【0084】
次に、この実施の形態に係る駐輪システムの全体の動作を説明する。
【0085】
自転車に乗ってきた人は、たとえば低ラック用の車輪レール21に自転車を載せる(図14(A)参照)。具体的には、低ラック用の車輪レール21の低くなっている後端側から先端側に向かって自転車を押すことで、低ラック用の車輪レール21に自転車を載せることができる。この際、自転車の前輪は低ラック用の車輪レール21の途中に、ペダル71を介して設けられたローラ23を乗り越えるため、自転車は、後ろに下がらないように保持される。また、低ラック用の車輪レール21には、ガイド部材22が設けられているので、自転車から手を離したとしても、自転車が倒れて低ラック用の車輪レール21から落ちてしまうことはない。また、低ラックユニット1に駐車した自転車の前輪は、ペダル71に載置される。
【0086】
この前輪の載置、すなわち駐車した自転車の重さによって、ペダル71は押し下げられる。ペダル71が押し下げられると、リンク部71dによって、検出軸73の一端部73a側が押し下げられる。一端部73a側が押し下げられると検出軸73は回転するようになっているので、ペダル71が押し下げられることで、検出軸73が回転する。検出軸73と一体的に固定されている検出板72は、検出軸73とともに回転する。検出板72のセンサ板部72bが押下検出センサ75の発光素子と受光素子との間から外れると、押下検出センサ75は、検出信号を出力する。
【0087】
この押下検出センサ75からの検出信号が駐車検出部91に入力されると、駐車検出部91は、その検出信号の入力タイミングにおける時刻情報をタイマ81から読み取り、その読み取った時刻情報を駐車開始時刻として記録部82に記録させる。
【0088】
また、施錠制御部92は、駐車検出部91に検出信号が入力された後に、モータ駆動部86にモータ62への通電を開始させる。モータ駆動部86による通電によってモータ62の出力軸62bは回転を開始し、この出力軸62bの回転を減速した回転によって偏心カム61も回転を開始する。偏心カム61の回転に伴う移動にしたがってロックアーム53およびロックアーム54は閉方向に回動していく。そして、閉位置検出センサ65から検出信号が入力されると、施錠制御部92は、モータ駆動部86による通電を停止させる。
【0089】
閉位置検出センサ65からの検出信号が出力される状態では、ロックアーム53の他端とロックアーム54の他端とが接触または近接している。また、両ロックアーム53,54の他端が接触または近接することで円環が形成されるため、この円環とペダル71に載っている車輪101のリムとがわずかな隙間をもって鎖のように連結された状態になる。つまり、図14(B)に示すように、ロックアーム53とロックアーム54とで車輪101を包み込んだ状態となる。その結果、低ラックユニット1から自転車を引き出そうとしても、その自転車の車輪101のリムがロックアーム53およびロックアーム54に引っかかるので、自転車を引き出すことはできない。つまり、自転車は低ラックユニット1に施錠された状態になる。
【0090】
しかし、時には、違法な強行脱出を試みる者が存在する。強行脱出者は力を入れて自転車を引き出そうとする。従来の車輪ロック装置では、そのような場合、この力はロックアームの先端を開くように働くため、両ロックアームの先端の間隔がやや大きくなる。この結果、違法な強行脱出者はさらに力を入れることとなり、ロックアーム53,54やロックアーム53,54の駆動機構が壊され、強行脱出が成功する。また、部品のガタやたわみが生じていると、少し力を入れて自転車を引き出そうとするだけで、間隔Gは、車輪101がすり抜けるだけの開き幅となってしまう場合もある。
【0091】
これに対し、本実施の形態の車輪ロック装置3は、図15に示すように、強行脱出(ただ逃げ)を試みて車輪101が持ち上げられると、ロックアーム53が矢示A方向に押されて支軸52の回りに図15において時計方向のモーメントM1を受けることとなる。これは拘束を強める方向である。このモーメントM1は、車輪101によって生ずる矢示A方向の力MAによって生ずる。すなわち、力MAは、ロックアーム53の回動支点である支軸52の中心と作用点を結ぶ線上の力MA1と、その直線に直交する力MA2に分解できる。この力MA2が時計方向のモーメントM1を生じる。このように、ロックアーム53に対して、図15で右方向に働く分力MA2が生じるように、ロックアーム53の形状やロックアーム53の支点を形成すれば、ロックアーム53は閉まり方向に動作することとなる。
【0092】
同様にロックアーム54も、矢示B方向に押されて、支軸51の回りに拘束を強める方向のモーメントM2を受けることになる。このモーメントM2も、車輪101によって生ずる矢示B方向の力MBによって生ずる。すなわち、力MBは、ロックアーム54の回動支点である支軸51の中心と作用点を結ぶ線上の力と、その直線に直交する力に分解できる。この直交方向の力が、図15において、反時計方向のモーメントM2を生じる。このように、ロックアーム54に対して、図15で左方向に働く分力が生じるように、ロックアーム54の形状やロックアーム54の支点を形成すれば、ロックアーム54は閉まり方向に動作することとなる。
【0093】
この結果、強行脱出(ただ逃げ)を試みても、ロックアーム53とロックアーム54が閉まるので(図16参照)、車輪101は脱出できない。このとき、間隔Gは、さらに狭くなり、間隔G3となる。
【0094】
なお、ロックアーム53とロックアーム54が閉まる方向に動かされると、それらの長孔53d,54dを囲むカムフォロワ部分すなわち、偏心カム61との当接部分は偏心カム61から離れる。すなわち、ロックアーム53,54と偏心カム61との間には空間gが形成される。この結果、モータ62、偏心カム61、偏心カム61の支持部61a,61b、枠構成部材47の垂直部47b等に強行脱出の力がかからないので、それらが破損する危険性が大幅に減少する。
【0095】
次に、自転車の出車動作について説明する。先の低ラックユニット1から自転車を出車させたい人は、入力キー83を操作して、その低ラックユニット1を指定する。料金計算部93は、この入力キー83によって指定された低ラックユニット1の駐車開始時刻を記録部82から読み取るとともに、タイマ81から現在の時刻情報を読み取る。このときの現在時刻は、駐車終了時刻となる。そして、料金計算部93は、それら駐車開始時刻と駐車終了時刻との時間差に基づいて駐車料金を計算し、計算した駐車料金を表示部84に表示させる。
【0096】
自転車を出車させたい人は、表示部84に表示された駐車料金を料金回収部85に投入する。入金計量部94は、料金回収部85に投入された料金が料金計算部93によって計算された料金以上になったら、開錠制御部95への通知を行う。なお、投入された料金が駐車料金を超えている場合には、入金計量部94は、その差額を料金回収部85に返金させればよい。
【0097】
開錠制御部95は、入金計量部94からの通知があったら直ちにモータ駆動部86に通電を開始させる。モータ駆動部86による通電によってモータ62の出力軸62bは施錠時と同一方向に回転を開始し、この出力軸62bの回転を減速した回転によって偏心カム61も回転を開始する。偏心カム61の回転に伴う移動にしたがってロックアーム53およびロックアーム54は開方向に回転していく。そして、開位置検出センサ66からの検出信号が入力されると、開錠制御部95は、モータ駆動部86による通電を停止させる。
【0098】
開位置検出センサ66から検出信号が出力されている状態では、両ロックアーム53,54の他端は、最も離れた状態になっている。したがって、自転車を出車させたい人は、低ラックユニット1から自転車を引き出すことができる。
【0099】
なお、自転車を高ラックユニット2に駐車する場合の駐輪システムの動作は、上述した低ラックユニット1に自転車を駐車する場合と同様であり、その説明を省略する。
【0100】
次に、ロックアーム53およびロックアーム54が閉じた状態において車輪ロック装置3の制御機構や集金ユニット4等が故障し、車輪101が車輪ロック装置3から脱出不可能となった場合のロックアーム53およびロックアーム54の拘束を解除する方法について説明する。
【0101】
上述したように、支軸51および支軸52は、押し込みおよび引き抜き可能であるため、支軸51および支軸52を車輪ロック装置3から引き抜くことによりロックアーム53およびロックアーム54の拘束を解除することができる。まずは、支軸52のみを引き抜く場合について説明する。
【0102】
ロックアーム53およびロックアーム54が閉じた状態では、支軸51および支軸52は、差し込まれた(押し込まれた)状態となっているので、支軸51,52の突き当たり部51b、52bは、枠構成部材46の垂直部46bに当接している。
【0103】
つまり、この状態から、工具56を用いて支軸52を引き抜くわけである。工具56は、反時計回り方向の回転で螺入可能となる雄ネジ部56aと、手で把持する部分である把持部56bとから構成されている。そして、図17に示すように、工具56を、ハウジング41の先端側の切り欠き孔41hから差し入れ、その先端を支軸52の雌ネジ部52aと当接させる。そして工具56を反時計回り方向となる矢示D方向に回転させながら、支軸52の雌ネジ部52aに差し入れていく。工具56を矢示D方向に回転させることで雄ネジ部56aが雌ネジ部52aと係合し、工具56が支軸52に差し込まれていく。
【0104】
工具56を支軸52に差し込んだ状態では、依然として支軸52は、車輪ロック装置3に差し込まれた状態である。すなわち、支軸52は、図7(B)で示される支軸51の場合と同様に、枠構成部材46に形成された貫通孔46h、ロックアーム53に形成された支点孔53c、枠構成部材47に形成された貫通孔47mに貫通している。そして、支軸52の先端部は、図7(A)(B)に示すように、枠構成部材47と枠構成部材48の間の空間に突出した溝部52dに、係止バネ52gの脚部52i,52iが入り込み、係止された状態となっている。
【0105】
このように支軸52に工具56が差し込まれた状態から、図18に示す、矢示E方向すなわち先端側に支軸52を引き抜く。支軸52を引き抜く方向に力が加わると、図6(A)に示すように、係止バネ52gの脚部52i,52iが、その付勢力に抗して外側に撓み、溝部52dに嵌まり込んでいた状態から外れ、脚部52i,52iがネジ52kにより固定されたカラーの両側から離れて開いた状態となる。
【0106】
さらに支軸52を引き抜くと、支軸52は係止バネ52gから離れ、図18に示すように、完全に車輪ロック装置3から引き抜かれる。それに伴い、係止バネ52gの脚部52i,52iは、それぞれその付勢力によってネジ52kにより固定されたカラーを挟み込む方向に移動し、図5(A)に示すように、ネジ52kにより固定されたカラーと両側で接する状態となる。この状態では、脚部52i,52iは、ネジ52kにより固定されたカラーを両側から付勢している。
【0107】
以上のような状態を経て、支軸52は、完全に車輪ロック装置3から引き抜かれる。
【0108】
支軸52が引き抜かれると、ロックアーム53の拘束が解除される。拘束が解除されると、ロックアーム53は、その自重により偏心カム61のカム部61cの中心軸線Mの近傍を支点として開方向へと回動していく。このロックアーム53の回動は、長孔53dの内周面53hが、カム部61cの外周面61dに接する形で行われる。そして、ハウジング41のカバー部41gの内周面に、ロックアーム53の角部53gが当接すると、ロックアーム53の開動作が完了し、図19に示すように、ロックアーム53が最も開いた状態となる。この状態で、ロックアーム54の先端とカバー部41gとの間隔G4が、自転車の車輪101の幅よりも広くなっていれば、自転車を車輪ロック装置3から脱出することができることとなる。通常、間隔G4は、車輪101の幅よりも広いため、自転車を脱出させることができる。しかし、時には脱出させることができない場合がある。その場合、もう一方の支軸51をさらに引き抜くこととなる。
【0109】
次に、支軸51と支軸52の両者を引き抜く場合について説明する。この場合、支軸51と支軸52の両者を同時に引き抜く場合は想定しづらいので、支軸51または支軸52のどちらかを先に引き抜き、その後、残りの一方を引き抜くこととなる。ここでは、上記説明との関係から、支軸52を先に引き抜き、その後、支軸51を引き抜く場合について説明する。
【0110】
支軸52を引き抜いた状態では、図19に示すように、ロックアーム53が、最も開いた状態となっている。その後、支軸51を引き抜く場合も、上述した場合と同様に、工具56を反時計回り方向に回転させながら雄ネジ部56aを支軸51の雌ネジ部51aに差し込む。この状態では、上述した場合と同様、支軸51は、図7に示すように、車輪ロック装置3に完全に差し込まれた状態となっており、支軸51の先端は係止バネ51gによって係止されている。
【0111】
この状態から、支軸51を引き抜くと、係止バネ51gは、図6に示す、脚部51i,51iがネジ51kにより固定されたカラーの両側から離れて開いた状態を経て、図5に示す、脚部51i,51iのそれぞれが、ネジ51kにより固定されたカラーを挟み込んだ状態となる。そして、支軸51を完全に引き抜くと、ロックアーム54が開方向へと開いていく。
【0112】
支軸51が完全に引き抜かれた場合のロックアーム54の開動作は、支軸52を引き抜いた場合のロックアーム53の開動作と同様となる。すなわち、ロックアーム54は、その自重により偏心カム61のカム部61cの中心軸線Mの近傍を支点として開方向へと回動していく。このロックアーム54の回動は、支軸52を引き抜いた場合のロックアーム53の開動作と同様に、長孔54dの内周面54hが、カム部61cの外周面61dに接する形で行われる。そして、ハウジング41のカバー部41gの内周面に、ロックアーム54の角部54gが当接すると、ロックアーム54の開動作が完了し、図20に示すように、ロックアーム53およびロックアーム54は最も開いた状態となる。この状態では、ロックアーム53およびロックアーム54は完全にカバー部41g,41gに中に入り込むので、自転車を車輪ロック装置3から確実に脱出させることが可能となる。
【0113】
逆に、支軸51または支軸52を車輪ロック装置3に差し込む場合は、まず、手によって、ロックアーム54またはロックアーム53を閉方向へ回動させて、ロックアーム54の支点孔54cまたはロックアーム53の支点孔53cの位置を、枠構成部材46の貫通孔46gまたは貫通孔46hの位置と合わせる。そして、支軸51または支軸52を貫通孔46gまたは貫通孔46hの方向に向かって差し込む。差し込みが完了したら、強く手で押し込む。なお、工具56を反時計方向に回転させながら支軸51または支軸52と係合させ、その後、工具56を強く押し込むことで押し込みを完了させるようにしても良い。その場合は、工具56を時計回り方向に回転させながら、工具56を支軸51または支軸52から引き抜く作業が必要となる。以上のようにして、支軸51または支軸52の車輪ロック装置3への差し込みが行われる。
【0114】
以上のように構成された、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、モータ体60はゴムブッシュ62cを介して垂直部48aに取り付けられているため、ゴムブッシュ62cによりモータ体60を構成する減速ユニット63の出力軸63bの中心軸線と偏心カム61の支持部61bの中心軸線との位置ずれ若しくは傾き等の誤差または出力軸63bと偏心カム61との連結の芯ずれによって発生する回転に伴う振れの動きが吸収されることとなる。また、その振れが大きくなっても孔48eと軸受部63eとの間の遊びによって、出力軸63bの回転はスムーズに偏心カム61に伝わる。また、ロックアーム53,54の開閉に伴い出力軸63bにかかる負荷およびロックする対象物の損傷につながる衝撃もゴムブッシュ62cにより吸収されることとなる。また、もし自転車等の使用者が不正脱出(ただ逃げ)しようとして、ロックアーム53,54を手または道具でいじる等した時に偏心カム61が回転方向または軸方向の動きを受け、それにより発生する負荷がモータ体60に伝わっても、ゴムブッシュ62cにより吸収されることとなる。したがって、ゴムブッシュ62cによって上記誤差および負荷が吸収されるため、軸継手を介して出力軸63bと偏心カム61を連結する必要がなくなる。このため、車輪ロック装置3の小型化およびコストの削減が図れることとなる。
【0115】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、ロックアーム53,54の開閉動作は、出力軸63bの180度の正逆回転によって行われるため、何らかの原因で半回転以下でロックアーム53,54が止まったとしても、その後は逆方向へ回転することになるので、ロックする対象物の損傷を防止することができる。
【0116】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、出力軸63bは減速ユニット63によりモータ62の回転を減速して低速で回転させているため、出力軸63bにかかるトルクは大きなものとなる。したがって、車輪101の確実なロックが可能となる。また、ソレノイドのように瞬時のロックとはならないので車輪101を傷つける危険性が減少する。
【0117】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、出力軸63bにかかる負荷等を吸収する部材としてゴム製のゴムブッシュ62cを採用している。このため、安価にかつ容易に出力軸63bの中心軸線と支持部61bの中心軸線との位置ずれ若しくは傾き等の誤差または出力軸63bと偏心カム61との連結の芯ずれによって発生する回転に伴うモータ体60の振れの動きおよびロックする対象物の損傷につながる衝撃および出力軸63bにかかる負荷を吸収することができることとなる。
【0118】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、出力軸63bと偏心カム61とは止めネジ60dによって連結されている。このため、軸継手等を介して出力軸63bと偏心カム61とを連結する場合と比較して、車輪ロック装置3の出力軸63b方向の幅を小さくすることが可能となる。また、出力軸63bが支持部61bと垂直方向にわずかに動作可能に連結されているため、出力軸63bの中心軸線と支持部61bの中心軸線との位置ずれまたは傾き等の誤差若しくは出力軸63bと偏心カム61との連結の芯ずれによって発生する回転に伴うモータ体60の振れの動きまたはロックする対象物の損傷につながる衝撃をこの点でも吸収することが可能となる。また、出力軸63bが支持部61bと、軸方向にも軸方向に対して垂直方向にも動けないように固定されたとしても、孔48eに設けられる遊びによってモータ対60の振れの動きは許容されることとなる。
【0119】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、ロックアーム53,54には長孔53d,54dが設けられており、ロックアーム53,54は揺動可能となるように支軸51,52によって支持され、長孔53d,54dに挿入された偏心カム61の回転駆動によって支軸51,52を中心として揺動する。したがって、ロックアーム53,54は、出力軸63bとは別の支軸51,52を中心として揺動するため、ロックアーム53,54の開閉に伴う負荷は支軸51,52に最もかかることとなり、出力軸63bにかかる負荷は低減されることとなる。このため、出力軸63bと支持部61bとの間の位置ずれ等が減少することとなる。
【0120】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、ロックアーム53,54を支持する支軸52,51を、押し込みおよび引き抜きによって、枠部材45、具体的には、枠構成部材46,47に対して着脱できる。したがって、自転車等の車輪101がロックアーム53,54により拘束された状態で、車輪ロック装置3の内部の制御機構や集金ユニット4等が故障し、自転車の脱出が不可能となった場合でも、支軸51,52のいずれか一方または両者を引き抜くという単純な操作で車輪101の拘束を解除でき、自転車を車輪ロック装置3から容易に脱出させることが可能となる。したがって、使用者にとっては不当な拘束が長引かず便利なものとなる。また、管理者にとっても安心できると共に管理に対する負担が軽減されることとなる。さらに、単純な機構により支軸51,52を着脱することができるためコストが軽減されると共に、車輪ロック装置3の小型化が図れることとなる。
【0121】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、ロックアーム53,54と支軸52,51は、それぞれ一対となるように2つずつ設けられ、支軸52,51により左右一対の揺動であって互いに逆方向の回動を行うように支持されている。したがって、車輪ロック装置3は単純な構成となると共に、ロックアーム53,54が左右一対に設けられた支軸52,51を中心に揺動を行うため、一方の支軸52または支軸51に過度の負荷がかかることを回避できる。
【0122】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、ロックアーム53,54には長孔53d,54dが設けられており、当該長孔53d,54dが重なるようにロックアーム53,54をX字状に交叉させて配置させ、その2つの長孔53d,54d内にモータ62により駆動される偏心カム61が挿入されている。したがって、単純なモータ62を駆動源として、偏心カム61を回転させることで2つのロックアーム53,54を駆動させることができることとなり、機構が単純化される。また、長孔53d,54dが重なるようにロックアーム53,54を交叉させ、当該長孔53d,54dに偏心カム61を挿入してロックアーム53,54を揺動させているため、支軸51,52に負荷がかかる前に偏心カム61で負荷が吸収されることとなり、支軸51,52に過度の負荷がかかることがなくなる。
【0123】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、枠構成部材47の後端側の面には、その付勢力によって支軸51,52を狭持する2つの脚部51i,51i,52i,52iを有するU字型の形状をした係止バネ51g,52gが取り付けられている。したがって、支軸51,52は、2つの脚部51i,51i,52i,52iに狭持される形で両側から付勢されるため、挿入がスムーズで強固に枠構成部材47に対して係止されることとなる。また、枠構成部材46ではなく奥側の枠構成部材47に係止バネ51g,52gが取り付けられるので外部からは取り外しができにくい場所に設置されることとなり、安全面で好ましいものとなる。
【0124】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、支軸51,52の先端側には、係止バネ51g,52gが係合するための係合溝51d,52dが、支軸51,52の全周に亘って設けられている。したがって、係止バネ51g,52gの付勢力によって係止バネ51g,52gの脚部51i,51i,52i,52iが係合溝51d,52dに嵌まり込むこととなり、さらに強固に支軸51,52を係止することが可能となる。
【0125】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、係止バネ51g,52gが、その付勢力によって係合溝51d,52dに嵌まり込むことによって支軸51,52の押し込みが完了する構成となっている。このような構成により、突き当たり部51b,52bが枠構成部材46の垂直部46bに突き当たる押し込み完了位置がバネ部材51g,52gの溝嵌入時となるので、バネ部材51g,52gが係合溝51d,52dから飛び出る危険がなくなる。また、支軸51,52を貫通孔47h,47mに挿入し押し込みが完了すると、支軸51,52の位置決めがなされることとなる。
【0126】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、係止バネ51g,52gは、そのU字型の根元部51h,52hが枠構成部材46の側面部46dおよび枠構成部材47底面部47aが交叉する角部47v,47wに当接し、かつ側面部46dおよび底面部47aのいずれに対しても斜めとなる形で固定されている。したがって、係止バネ51g,52gは、その根元部51h,52hが角部47v,47wに当接する形で固定されているため、支軸51,52を貫通孔47h,47mに挿入することで係止バネ51g,52gが撓み、係止バネ51g,52gに負荷がかかった場合でも、その負荷を角部47v,47wが受け止めることによって、係止バネ51g,52gがその負荷によって位置ずれすることが防止される。
【0127】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、係止バネ51g,52gは、係止バネ51g,52gの支軸51,52の挿入方向への移動を拘束するワッシャ51j,52jとカラーを介してネジ51k,52kによって枠構成部材47に設置され、ネジ51k,52kにより固定されたカラーは、係止バネ51g,52gの2つの脚部51i,51i,52i,52iの間に挟まれている。したがって、ネジ51k,52kにより固定されたカラーが、U字の開口部の閉方向へ付勢される脚部51i,51i,52i,52iを受け止めることにより、U字の形状を維持することが可能となる。また、ワッシャ51j,52jの存在により、支軸51,52の挿入によって、係止バネ51g,52gが支軸51,52の挿入方向への位置ずれすることを防止することができる。また、支軸51,52の突き当たり部51b,52bの存在により、支軸51,52が軸方向へ抜けることを防止することができる。
【0128】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、支軸51,52の後端(車輪ロック装置3の先端側)には、工具56の雄ネジ部56aが反時計回りの回転をすることによって螺入可能な雌ネジ部51a,52aが形成されている。したがって、特殊な工具56を所持している車輪ロック装置3の管理者のみが、当該工具56を支軸51,52に形成された雌ネジ部51a,52aに差し込むことによって、支軸51,52を車輪ロック装置3から引き抜くことが可能となる。そのため、反時計回りでねじ込まれるという特殊な工具56を所有していない一般の人には車輪101の拘束を解除できないため、不正脱出(ただ逃げ)や自転車等の盗難を防止することができる。
【0129】
また、この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、雌ネジ部51a,52aは、車輪ロック装置3を囲むハウジング41の外部から工具56が差し込まれ係合可能となるようにハウジング41に設けられた切り欠き孔41hと対向する位置に配置されるものである。したがって、車輪ロック装置3をハウジング41により囲み、駐輪システムの一部として配設した場合でも、ハウジング41の外部から支軸51,52を車輪ロック装置3に対して押し込みおよび引き抜きすることが可能となる。また、雌ネジ部51a,52aがハウジング41の奥まった所にあるため、一般の人には見難く、触わり難いものとなり不正に支軸51,52を引き抜かれることを防止できることとなる。また、このようにハウジング41の外部から、支軸51,52を引き抜くことが可能なため、ロックアーム53,54が車輪101を拘束した状態で、車輪ロック装置3が故障し、車輪101を車輪レール21または31から外せなくなった場合でも、支軸51,52を引き抜くことで拘束を解除し、車輪ロック装置3または当該装置の故障部分をハウジング41から取り出すことが可能となる。
【0130】
また、この実施の形態に係る駐輪システムでは、低ラックユニット1および高ラックユニット2に駐車された自転車を施錠し、かつ、駐車料金の支払いに応じてそれを開錠することができる。また、この実施の形態に係る駐輪システムは、低ラックユニット1および高ラックユニット2への自転車の駐車を管理することができる。
【0131】
特に、この実施の形態に係る車輪ロック装置3は、車輪101をロックするロックアーム53,54と、通電により出力軸62bを回転するモータ62と、出力軸62bとともに回転する偏心カム61と、ロックアーム53,54に形成されて偏心カム61が挿入される長孔53d,54dと、を有するものである。そのため、この実施の形態に係る車輪ロック装置3は、モータ62の出力軸62bの回転によって偏心カム61を回転させ、偏心カム61の回転に伴う変位によって偏心カム61が挿入されるロックアーム53,54を揺動させることができる。したがって、通電によって出力軸62bを回転させることができる単純なモータ62および単純な機構を使用して、両ロックアーム53,54を開閉することができる。
【0132】
この実施の形態に係る車輪ロック装置3は、強行脱出しようとすると、ロックアーム53,54が閉じる方向に動くため、強行脱出を防止できる。また強行脱出が試みられたときには、偏心カム61がロックアーム53,54から離れるため、ロックアーム53,54を駆動する機構の損傷を防止することができる。なお、モータ62は、両方向回転可能なモータとしている。これは、ロックアーム53,54が空気バルブ等に当たり、最後まで揺動できない場合に備えるものである。すなわち、ロックアーム53,54を閉めるときに、空気バルブやスポークに取り付けた反射板などの異物にロックアーム53,54が当たったとき、ずれて載せた車輪101に当たったとき、および異形リムに当たった時などには、モータ62は、行ける所まで回転し、その位置でロックする。その後、ロックアーム53,54を開く時には、モータ62は逆回転する。この動作によって、異形リムなどに対応できることとなる。このように、所定時間、モータ62に通電しても閉位置検出センサ65が検知しない状態、すなわち、ロックアーム53,54が最後まで閉めきれない状態があっても、相手側を傷つけることなく、また駆動源側にも余分な負荷がかからないこととなると共に、確実なロックが得られることとなる。
【0133】
また、偏心カム61が、円柱形状の外周部の上端においてロックアーム53,54と接し、ロックアーム53,54によって車輪101をロックしている状態においては、図11および図15に示すように、ロックアーム53,54と偏心カム61とが接する位置と、偏心カム61の回転中心とが略一直線上に位置するものである。このため、ロックアーム53,54によって車輪101をロックしている状態において、このロックアーム53やロックアーム54を開こうとした場合、この開く力によって偏心カム61に作用させる力は、ほぼそれらの接点から偏心カム61の回転中心に向かった方向の力となる。したがって、ロックアーム53やロックアーム54を開こうとする力が偏心カム61に作用する力は、偏心カム61を回転させる方向の分力をほとんど生じない。しかも、ロックアーム53,54は互いに反対方向に動くため、偏心カム61に働く回転力も互いに反対方向となる。その結果、ロックアーム53,54によって車輪101をロックしている状態において、このロックアーム53,54を開こうとしても、偏心カム61が回転し難いため、ロックアーム53,54による車輪101のロック状態を維持することができる。
【0134】
しかも、この実施の形態に係る車輪ロック装置3は、出力軸62bと偏心カム61との間に、出力軸62bの回転数よりも偏心カム61の回転数が低くなるように減速する減速ユニット63が設けられている。このため、偏心カム61を回転させる力は、減速ユニット63によって増速されてモータ62の出力軸62bに作用する。したがって、ロータとステータとの間に働くコギングトルクの抵抗力が極めて大きくなり、モータ62に通電がなされていない状態であっても、両ロックアーム53,54を開く方向に力を加えたとしても両ロックアーム53,54はほとんど動かない。このため、偏心カム61に伝わる力も小さくなり、偏心カム61は回動しにくくなる。その結果、モータ62として小型で低出力のものを利用しつつ、ロックアーム53やロックアーム54による車輪101のロック状態を維持することができる。
【0135】
この実施の形態に係る車輪ロック装置3では、ロックアーム54とロックアーム53とは逆回りに揺動する。これにより、ロックアーム53だけを揺動させて開く場合に比べて、略二倍の開き角を確保することができる。逆にいえば、たとえば偏心カム61を小径化してロックアーム53,54の揺動させる角度を略半分にしたとしても、ロックアーム53,54の一方だけを揺動させて開く場合と同じ開き角を確保することができる。これにより、車輪ロック装置3を小型軽量にすることができる。
【0136】
この実施の形態に係る車輪ロック装置3は、駐車する車輪101により押し下げられるペダル71と、ペダル71が押し下げられることで変位する検出板72と、ペダル71が押し下げられた状態での検出板72を検出する押下検出センサ75と、検出板72が押下検出センサ75の位置方向に力を付勢する巻バネ74と、を有する。このため、ペダル71が押し下げられたことを、つまり車両の車輪101がロック可能な正しい位置にあることを押下検出センサ75で検出することができる。そして、この押下検出センサ75の検出信号に基づいてモータ62を制御し、車輪101をロックすることができる。また、巻バネ74の他端を枠構成部材46に設けた穴46rに引っかけるという簡単な構成で検出軸73を回転させ、検出板72を回動させている。
【0137】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【0138】
上述の実施の形態では、ゴムブッシュ62cは、円筒形の円筒部62dを孔48fの内部に位置させ、円盤状の円盤部62eを孔48fから垂直部48aの両側に突き出るように配置させている。これにより、モータ体60は、円盤部62eの軸方向の撓みで軸方向に移動可能となり、円筒部62dの撓みで軸方向に対して垂直方向にも移動可能としている。このゴムブッシュ62cを貫通孔62fを有する平板状または円盤状の形状とし、垂直部48aの後端側のみに配置させるようにしても良い。また、両側の円盤部62eがなく円筒部62dのみのゴムブッシュとし、円筒状のカラーを垂直部48aの厚さよりわずかに長いカラーとし、モータ体60が軸方向にほとんど移動不能であって、軸方向に対し垂直方向には移動可能に連結しても良い。また、ゴムブッシュ62cをゴムからなる弾性材に限らず、ワッシャや他の樹脂材等からなる弾性材としても良い。
【0139】
また、上述の実施の形態では、出力軸63bの形状をその外周の一部に平らな部分のあるD形断面とし、係合凹部61dの形状を円柱形状とし、止めネジ60により両者を係合させているが、出力軸63bの先端側の形状を断面円形の一部を切り欠いた、例えば小判状とし、その形状に合わせて係合凹部61dを設けることで、両者をキー接合となる形で接合させるようにしても良い。このような接合とした場合、止めネジ60dは不要となる。
【0140】
また、上述の実施の形態では、モータ体60は、モータ62と減速ユニット63とから構成されているが、モータ62の中に減速ユニットを有するモータ体60としても良い。
【0141】
また、上述の実施の形態では、出力軸63bと支持部61bの固定は、支持部61bにおける1箇所でのネジ止めによって行われているが、1箇所に限らず2箇所以上でのネジ止めによって行うようにしても良い。
【0142】
また、上述の実施の形態では、車輪ロック装置3は、ロックアーム53,54で車輪101を挟み込むことで車輪101をロックしているが、ロックアーム53,54の一方のみで車輪101を引っ掛けることで車輪101をロックするようにしてもよい。また、偏心カム61の回転でロックアーム53,54を揺動させているが、その回転をモータ62ではなく、従来のようにソレノイド機構を利用して回転させるようにしてもよい。また、車輪101の重さや動きでロックアーム53,54を回転させ、ソレノイド機構で固定する構造としても良い。また、ロックアーム53,54それぞれを、ソレノイド機構で揺動させるようにしてもよい。また、偏心カム61ではなく、他の形状のカムとしても良い。さらに、カムが挿入される孔は、長孔53d,54dとするのではなく、片側が開いた切り欠き孔などとしても良い。
【0143】
また、ロックアーム53,54の配置を、先端側の側板53bを最も先端に配置し、次に、先端側の側板54bを配置し、その次に後端側の側板53bを配置し、そして、最も後端側に、後の側板54bがくるように配置しているが、ロックアーム53,54の配置は、他の関係となるように配置しても良い。たとえば、ロックアーム54の前側の側板54bが最も先端側となるようにしたりしても良い。また、ロックアーム53,54は、それぞれ1部材からなるもので構成したり、C字状の形状のもとしたり等、種々変更したものを採用することができる。
【0144】
上述の実施の形態では、車輪101の下側に車輪ロック装置3を配設している。この他にもたとえば、車輪101の前方などに車輪ロック装置3を配設するようにしてもよい。また、自転車の前輪ではなく、後輪に対して車輪ロック装置3を配置するようにしてもよい。また、低ラックユニット1のみを複数並べて設置したり、高ラックユニット2のみを複数並べて設置したりしてもよい。
【0145】
上述の実施の形態では、係止バネ51g,52gを2つの脚部51i,52iを有するU字型の形状としているが、これに限ることなく、脚部を1つのみ有する巻バネとしたり、脚部のみを有する線状の弾性部材を2つ平行に並べることで1つの係止ばねを構成したりしても良い。
【0146】
上述の実施の形態では、係止バネ51g,52gは、枠構成部材47の後端側に配置されているが、これに限ることなく、枠構成部材47の先端側に配置するようにしても良いし、枠構成部材46の先端側または後端側に配置するようにしても良い。このようにした場合、支軸51,52をそれぞれの場合に対応させて形成する必要がある。
【0147】
上述の実施の形態では、支軸51,52には、溝部51d,52dが全周に渡って形成されているが、全周ではなく周の一部に形成したり、溝部51を全く形成しないようにしてもよい。このようにした場合でも、突き当たり部51bの存在によって、支軸51,52の位置決めはなされることとなる。また、溝部を全く形成しないようにした場合、係止バネ51g,52gが溝部51d,52dに嵌まり込まないため、手によっても支軸51,52を引き抜くことが可能となる。
【0148】
上述の実施の形態では、ハウジング41には、切り欠き孔41hが形成されているが、切り欠き孔41hを形成する代わりに、貫通孔46g,46hと対向する位置に2つの差し込み穴を形成して、支軸51,52がハウジング41の側面部41bを通過して、押し込みおよび引き抜き可能となるようにしても良い。また、その場合、差し込み穴の径を突き当たり部51b,52bの径より小径として、突き当たり部51b,52bを側面部41bに当接させるようにして、支軸51,52の位置決めを行うようにしても良い。このようにした場合、支軸51,52をそれぞれの場合に対応させて形成する必要がある。
【0149】
なお、突き当たり部51b,52bから支軸51,52の後端までの距離S(図5参照)は、人の指で十分にその部分をつかめないほどの長さとしている。具体的には0〜15mmとするのが好ましく、0〜10mmとするのがさらに好ましい。また、雌ネジ部51a,52aを有さない支軸51,52としたり、突き当たり部51b,52bを有さない支軸51,52としても良い。
【0150】
また、上述の実施の形態では、料金の支払いに応じてロックを開錠している。この他にもたとえば、マンションなどの住居家屋にあっては、暗証番号の入力や、キー操作などに応じてロックを開錠するように構成してもよい。また、一定時間は無料にして、一定時間経過後を有料としたり、料金の支払いの代わりにプリペイドカードなどの磁気カードを挿入することで清算されるようにしてもよい。
【0151】
上述の実施の形態では、車輪ロック装置3は、車輪レール21,31とともに用いられている。この他にもたとえば、車輪ロック装置3を単体で床面や路面に配設するようにしてもよい。このように車輪ロック装置3を単体で使用する場合には、ハウジング41の上面部41aの上に連結アタッチメント部材を配設して、この連結アタッチメント部材でペダル71を回転可能に軸支すればよい。また、車輪レール21,31と、後架台5や前架台6との交差角度は、上述の実施の形態のように45度とするのではなく、他の角度、たとえば90度としてもよい。
【0152】
さらに、上述の実施の形態では、二輪自転車の車輪101をロックする場合を例に説明している。この他にもたとえば、車輪ロック装置3および駐輪システムは、一輪車、車椅子、スーパーやゴルフ場のカート、二輪自動車、その他の車両の車輪をロックするために用いることができる。
【0153】
また、上述の実施の形態では、集金ユニット4は、自転車の車輪101をロックする複数の車輪ロック装置3の料金を清算している。この他にもたとえば、集金ユニット4は、自転車の車輪101をロックする複数の車輪ロック装置3と、自動車をロックする他の車輪ロック装置の料金を清算するようにしてもよい。さらに他にもたとえば、複数の車輪ロック装置3に対して、複数の集金ユニット4を設けてもよい。特に、このように複数の集金ユニット4で複数の車輪ロック装置3を管理する場合、各車輪ロック装置3の清算がその複数の集金ユニット4のどれであっても清算を可能とすることで、複数の出入口を有する駐輪場などにおいて好適に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の車輪ロック装置、駐輪システムおよび駐輪用の駆動ロックアームの駆動方法は、自転車、車椅子、原動機付き自転車、二輪自動車などの車両の車輪をロックするために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の実施の形態に係る駐輪システムを示す斜視図である。
【図2】図1中の車輪ロック装置の外側に現れる部材を示す分解斜視図である。
【図3】図1中の車輪ロック装置の枠部材の構成を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、図1中の車輪ロック装置の枠部材の内部に配置される部材を示す分解斜視図である。
【図5】図1中の車輪ロック装置において、支軸を差し込む前の支軸と係止バネの状態を示す図であり、(A)は、係止バネが取り付けられた垂直部を後端側から見た図であり、(B)は、枠部材を側面から透視した状態で見た図である。
【図6】図1中の車輪ロック装置において、支軸を垂直部に差し込んでいる途中の支軸と係止バネの状態を示す図であり(A)は、係止バネが取り付けられた垂直部を後端側から見た図であり、(B)は、枠部材を側面から透視した状態で見た図である。
【図7】図1中の車輪ロック装置において、支軸を垂直部に差し込み完了後の支軸と係止バネの状態を示す図であり(A)は、係止バネが取り付けられた垂直部を後端側から見た図であり、(B)は、枠部材を側面から透視した状態で見た図である。
【図8】図1中の車輪ロック装置において、モータ体を枠構成部材に固定した状態を示す図であり、(A)は、モータ体を固定した垂直部を先端側から見た図であり、(B)は、モータ体を固定した枠構成部材を側面から見た断面図でモータ体以外を断面図とし、かつ中心部分付近を2つの断面線で切った図を重ね合わせて表示した一部断面図である。
【図9】図1中の車輪ロック装置の車輪レールへの取り付け状態を示す部分断面図である。
【図10】図1の車輪ロック装置の先端側から一部透視した状態で見て、かつ要部のみを示した図で、ロックアームが開放状態となっている図である。
【図11】図1の車輪ロック装置の先端側から一部透視した状態で見て、かつ要部のみを示した図で、ロックアームが閉じた状態となっている図である。
【図12】図10中の車輪ロック装置3をZ−Z線で切断した状態を示す側断面図である。
【図13】図1中の集金ユニットおよび駐輪システムの制御系を示すブロック図である。
【図14】自転車の車輪を車輪レールに載せた状態を示す図である。
【図15】強行脱出されようとするときの車輪ロック装置の最初の状態を示す図で、先端側から一部を透視した状態で示す図である。
【図16】強行脱出されようとするときに力が加わった後の車輪ロック装置の状態を示す図で、先端側から一部を透視した状態で示す図である。
【図17】車輪ロック装置から支軸を引き抜く場合、支軸に工具を取り付ける操作を示す図である。
【図18】車輪ロック装置から支軸を引き抜く操作を示す図である。
【図19】車輪ロック装置から一方の支軸を引き抜いた状態を先端側から一部を透視した図である。
【図20】車輪ロック装置から2つの支軸を引き抜いた状態を先端側から一部を透視した図である。
【符号の説明】
【0156】
1 低ラックユニット
2 高ラックユニット
3 車輪ロック装置
4 集金ユニット
21,31 車輪レール
41 ハウジング
45 枠部材(フレーム)
48 枠構成部材(フレームの一部)
48a 垂直部
51,52 支軸(支点用の支軸)
53,54 ロックアーム
53d,54d 長孔(孔)
60 モータ体
61 偏心カム(伝動部材の一部)
61b 支持部(伝達軸)
62 モータ(駆動源)
63 減速ユニット(伝動部材の一部)
63b 出力軸
101 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを有するハウジングと、
上記フレームに緩衝体を介して取り付けられるモータ体と、
上記モータ体からの出力軸に係合され、その出力軸と一体に回転するカムと、
上記カムの回転により駆動されるロックアームと、
を有することを特徴とする車輪ロック装置。
【請求項2】
前記ロックアームの開閉動作の1サイクルは、前記出力軸の正半回転と逆半回転によって行われることを特徴とする請求項1記載の車輪ロック装置。
【請求項3】
前記出力軸はモータの回転を減速して低速で回転させられ、前記ロックアームを0.5〜5秒の間で開から閉に駆動させていることを特徴とする請求項1または2記載の車輪ロック装置。
【請求項4】
前記緩衝体はゴムからなる弾性部材とされ、前記出力軸は、その軸受部が前記フレームに設けられた孔に遊びをもって入れられていることを特徴とする請求項1記載の車輪ロック装置。
【請求項5】
前記出力軸と前記カムは軸方向に移動不能であって軸方向に対して垂直方向には前記出力軸が動作可能に連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の車輪ロック装置。
【請求項6】
前記ロックアームには孔が設けられており、前記ロックアームは揺動可能となるように支軸によって支持され、上記孔に挿入された前記カムの回転駆動によって上記支軸を中心として揺動することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の車輪ロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−143142(P2006−143142A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339425(P2004−339425)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(503253079)株式会社サニカ (20)